生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_イグチ科ヌメリイグチ属担子菌の液体培地
出願番号:2008093494
年次:2009
IPC分類:C12N 1/14


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鳥丸 亮 田中 弘 JP 2009240275 公開特許公報(A) 20091022 2008093494 20080331 イグチ科ヌメリイグチ属担子菌の液体培地 株式会社ナリス化粧品 591230619 鳥丸 亮 田中 弘 C12N 1/14 20060101AFI20090925BHJP JPC12N1/14 HC12N1/14 G 4 OL 5 4B065 4B065AA71X 4B065AC20 4B065BB01 4B065BB02 4B065BB27 4B065BC01 4B065CA41 4B065CA44 4B065CA50本発明は、イグチ科ヌメリイグチ属担子菌の液体培養培地に関する。イグチ科担子菌(Boletaceae)はハラタケ目(Agaricales)に属し、肉質で管孔を有する子実体を形成する。イグチ科担子菌のヌメリイグチ属(Suillus)には、ハナイグチ(Suillus grevillei)、ヌメリイグチ(Suillus luteus)、アミタケ(Suillusbovinus)、チチアワタケ(Suillus granulatus)、シロヌメリイグチ(Suillus laricinus)、ヌメリツバイグチ(Suillus luteus)等が属する。これらヌメリイグチ属の担子菌の中には様々な生理活性効果を示すものがあり、例えばチロシナーゼ活性抑制作用、血管内皮細胞増殖促進作用、α−グルコシダーゼ阻害作用、COX-2活性阻害作用が知られている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4参照。)しかし、その供給源としての天然の子実体は入手の時期が限定され、また入手した後も、子実体の個体差による有用性の変動や量産化等実用面での問題点が多い。そこで近年、イグチ科担子菌を含む外生菌根菌の菌糸体を人工的に培養する方法が提案されている(例えば、特許文献5)。この培養法は、多孔質担体に含水率が30〜40重量%となるように液体培地を含有させた後、培養槽内において該多孔質担体を密閉状態で滅菌し、次に、外生菌根菌の栄養菌糸を含む液体培地を該培養槽内に添加して該多孔質担体の含水率を65〜80重量%に調整し、無菌状態で多孔質担体を攪拌した後に静置状態とすることにより、外生菌根菌を培養することを特徴とする外生菌根菌の固体培養方法である。さらに特許文献6には、ハタケシメジの人工栽培に際して、人工栽培用培地におからを添加する方法が記載されている。しかしながら、該公報に記載された栽培用培地は、担子菌の子実体を発生させるための固体培養用の培地であり、本発明の液体培養培地ではない。一般に、担子菌の増殖に必要な栄養素と、子実体の形成に必要な栄養条件は大きく異なっている。加えて、子実体中の成分と、液体培養で得た菌糸体中の成分、さらに固体培養あるいは菌床培養で得た菌糸体中の成分は大きく異なっていることが多いため、栽培用培地、すなわち固体培養用培地に有効な栄養成分が、そのまま液体培養用培地にも有効であるとは限らない(例えば、特許文献7)。また、同じく特許文献7には、従来の液体培地に豆乳を添加することによって、メシマコブ菌糸体の収量を飛躍的に増加させる方法について記載されている。しかしながら、該公報においては振とう培養で検討しており、大量に培養する際に適用される通気培養での効果は記載されていない。特許3678832号公報特開2000−212059号公報特許3511231号公報特表2004−529079号公報特開2005−27546号公報特開2002−70号公報特開2006−271339号公報解決しようとする問題点は、イグチ科ヌメリイグチ属担子菌は菌糸の成長が遅く、従来のような液体培養方法では得られる菌糸体の収量が少なく、充分な菌糸体を得ることができないことである。問題を解決するための手段本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、イグチ科ヌメリイグチ属担子菌の液体培養を行うに際し、従来の液体培養組成物に豆乳及びシリコーンを配合してイグチ科ヌメリイグチ属の担子菌を培養することにより、菌糸体の生産量が飛躍的に向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、豆乳及びシリコーンが添加された液体培地にイグチ科担子菌を接種し、これを液体培養することによりイグチ科ヌメリイグチ属担子菌菌糸体の増殖を飛躍的に増加させるものである。発明を実施する為の最良の形態本発明によるイグチ科ヌメリイグチ属担子菌の液体培養方法によれば、豆乳及びシリコーンを含有する液体培地の中で培養させることで、イグチ科ヌメリイグチ属担子菌菌糸体の収量を短期間で飛躍的に増加させることが可能である。本発明における豆乳は、水に浸漬処理した大豆を磨砕して絞った絞り汁である。豆乳はタンパク質、脂質、あるいは無機質などの成分を含有するため、担子菌の良い窒素源となる。本発明で使用する液体培養に用いる豆乳は、豆乳であれば特に限定はなく、実施例では、株式会社紀文フードケミファ製の市販品を用いた。また配合量についても有効量配合されていれば特に限定はないが、好ましくは液体培地物中0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜10重量% である。配合量が0.1重量%未満の場合には十分な効果を発揮させることができない為に好ましくなく、20重量%より多い場合には高圧滅菌時または培養時に発泡性が強くなり、滅菌を十分に行うことが出来ない、もしくは通気時にコンタミネーションを生じやすくなる為に好ましくない。本発明におけるシリコーンは、連続したシロキサン結合(-Si-O-)を骨格とした有機化合物の総称である。構造的にはジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン等が例示できる。実施例では、信越化学工業株式会社製の商品名シリコンKS―66(成分名シメチコン)を用いた。また配合量についても有効量配合されていれば特に限定はないが、好ましくは液体培地物中0.0002〜0.04重量%、更に好ましくは0.001〜0 .02重量% である。配合量が0.0002重量%未満の場合には十分な効果を発揮させることができない為に好ましくなく、0.04重量%より多い場合には効果が平衡に達する。本発明の液体培養で用いられる基本培地には、イグチ科担子菌を含む外生菌根菌の培養に用いられるポテトデキストロース培地、改変メーリン・ノルクラン(MMN)培地、改変浜田培地が好適に示される。ポテトデキストロース培地は、例えばPotato−Dextrose Broth2.4gを精製水100mLに溶解させることで調製可能である。MMN培地は、例えばグルコース1.0g 、モルトエキス0.3g、塩化カルシウム2水和物0.0066g、塩化ナトリウム0.0025g、リン酸2水素カリウム0.05g、リン酸水素2アンモニウム0.025g、硫酸マグネシウム7水和物0.015g、塩化鉄(III)1%溶液0.12mL、チアミン塩酸塩0.01mg を精製水100mLの水に溶解させることで調製可能である。改変浜田培地は、例えばグルコース2.0g、乾燥酵母0.5gを精製水100mLに溶解させることで調製可能である。基本培地には炭素源、窒素源などイグチ科担子菌菌糸体を培養する際の生育に必要な栄養素が含まれており、さらにビタミン類やミネラルを含むこともある。基本培地の炭素源としては、グルコース、キシロース、マンノース、ガラクトース等の単糖類、シュクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース等の二糖類、デキストリン、デンプン、セルロース等の多糖類を用いることができる。基本培地の窒素源としては、イーストエキス、モルトエキス、ペプトン、ポリペプトン、カザミノ酸等の有機物、硝酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、塩化アンモニウム等の窒素含有化合物を用いることができる。また、ビタミン類としては、例えばビオチン、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB6)、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等を用いることができる。ミネラルとしては、例えばリン、窒素、カリウム、カルシウム、マグネシウム、イオウ、鉄、マンガン、亜鉛、ホウ素、銅、モリブデン、塩素、ナトリウム、ヨウ素、コバルト等が挙げられ、これらの成分は例えば硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、塩化カリウム、リン酸1水素カリウム、リン酸2水素カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、ホウ酸、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、三酸化モリブデン、ヨウ化カリウム、塩化コバルト等の化合物として用いることができる。前記以外の培地であっても、イグチ科ヌメリイグチ属担子菌菌糸培養に適している培地であれば、本発明に適用されるのは勿論である。本発明におけるイグチ科ヌメリイグチ属担子菌の液体培養法は、前述の豆乳およびシリコーンを添加した液体培地にイグチ科担子菌の種菌を接種し、室温約20〜30℃ の好気的条件下で約10〜20日間培養するのが望ましい。以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、培養および操作方法は無菌的に行なうものとする。<実施例1>グルコース10.0 g 、モルトエキス3.0g、塩化カルシウム2水和物0.066g、塩化ナトリウム0.025g、リン酸2水素カリウム0.5g、リン酸水素2アンモニウム0.25g、硫酸マグネシウム7水和物0.15g、塩化鉄(III)1%溶液1.2mL、チアミン塩酸塩0.1mg を1000mLの水に添加して基本の液体培地を作った。また、添加物として豆乳およびシリコーンを表1の量を添加して液体培地を調製後、オートクレーブを用いて高圧殺菌した。上述の液体培地を室温まで放冷した後、th(Difco社製)2.4%で予め培養した(24℃、150rpmにて14日間振とう培養)ハハナイグチ(独立行政法人製品評価技術基盤機構より購入、NBRC No.32786)をPotato−Dextrose Broナイグチ培養物を取り、ホモジネートしたものを10mLずつフラスコに接種した。接種後は24℃の条件下で通気培養を行った。培養を開始して約12日後には液体培地に菌糸体が生育した。そこで、生育した菌糸体を収集し、これを水でよく洗浄したのち凍結乾燥した。前記収集した菌糸体の成長比を表1に示す。成長比は比較例1の基本培地で培養した時の収量を100とし、それに対する比計算によって算出した。表1によれば、豆乳または、シリコーンの単独配合では、基本培地での生育率とほとんど変化はみられないが、豆乳とシリコーンを併用した場合には、飛躍的に生育率が高まることが分かる。また、豆乳を培地全量の0.5〜10重量%及びシリコーンを0.001〜0 .02重量%配合したには、爆発的に生育率が高まることが認められた。尚、その他のヌメリイグチ属に属する担子菌である、ヌメリイグチ、アミタケ、チチアワタケ、シロヌメリイグチ、ヌメリツバイグチについても、同様に豆乳とシリコーンの併用によって著しい増殖促進が認められた。以上の結果から、豆乳およびシリコーンを配合することはイグチ科ヌメリイグチ属担子菌の増殖に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。本発明によるイグチ科ヌメリイグチ属担子菌菌糸体の液体培養方法によれば、豆乳及びシリコーンを含有する液体培地の中で培養させることで、イグチ科担子菌菌糸体の収量を短期間で飛躍的に増加させることが可能であり、化粧料や医薬品、及び食品の各分野に広く応用が期待できる。 豆乳及びシリコーンを配合したことを特徴とするイグチ科ヌメリイグチ属(Suillus)担子菌の液体培養培地。豆乳を培地全量の0.5〜10重量% 及びシリコーンを0.001〜0 .02重量%配合したことを特徴とする請求項1記載の液体培養培地。イグチ科ヌメリイグチ属(Suillus)に属する担子菌が、ハナイグチ(Suillus grevillei)、ヌメリイグチ(Suillus luteus)、アミタケ(Suillusbovinus)、チチアワタケ(Suillus granulatus)、シロヌメリイグチ(Suillus laricinus)、ヌメリツバイグチ(Suillus luteus)であることを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の液体培養培地。請求項1乃至請求項3記載の培地を用いて培養することを特徴とする培養方法。 【課題】イグチ科担子菌の液体培養を行うに際し、菌体の生産量を飛躍的に向上させる液体培地を提供することを課題とする。【解決の手段】従来の液体培養組成物に豆乳及びシリコーンを配合してイグチ科担子菌を培養することにより、菌体の生産量を飛躍的に向上させることができる。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_イグチ科ヌメリイグチ属担子菌の液体培地

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_イグチ科ヌメリイグチ属担子菌の液体培地
出願番号:2008093494
年次:2013
IPC分類:C12N 1/14


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鳥丸 亮 田中 弘 JP 5295607 特許公報(B2) 20130621 2008093494 20080331 イグチ科ヌメリイグチ属担子菌の液体培地 株式会社ナリス化粧品 591230619 鳥丸 亮 田中 弘 20130918 C12N 1/14 20060101AFI20130829BHJP JPC12N1/14 HC12N1/14 G C12N 1/14 CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) PubMed 特許第3678832(JP,B2) 特開2006−271339(JP,A) 特開平05−192036(JP,A) 特開2007−300874(JP,A) 特開平03−094652(JP,A) 特開昭61−092589(JP,A) 2 2009240275 20091022 6 20110228 濱田 光浩本発明は、イグチ科ヌメリイグチ属担子菌の液体培養培地に関する。イグチ科担子菌(Boletaceae)はハラタケ目(Agaricales)に属し、肉質で管孔を有する子実体を形成する。イグチ科担子菌のヌメリイグチ属(Suillus)には、ハナイグチ(Suillus grevillei)、ヌメリイグチ(Suillus luteus)、アミタケ(Suillusbovinus)、チチアワタケ(Suillus granulatus)、シロヌメリイグチ(Suillus laricinus)、ヌメリツバイグチ(Suillus luteus)等が属する。これらヌメリイグチ属の担子菌の中には様々な生理活性効果を示すものがあり、例えばチロシナーゼ活性抑制作用、血管内皮細胞増殖促進作用、α−グルコシダーゼ阻害作用、COX-2活性阻害作用が知られている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4参照。)しかし、その供給源としての天然の子実体は入手の時期が限定され、また入手した後も、子実体の個体差による有用性の変動や量産化等実用面での問題点が多い。そこで近年、イグチ科担子菌を含む外生菌根菌の菌糸体を人工的に培養する方法が提案されている(例えば、特許文献5)。この培養法は、多孔質担体に含水率が30〜40重量%となるように液体培地を含有させた後、培養槽内において該多孔質担体を密閉状態で滅菌し、次に、外生菌根菌の栄養菌糸を含む液体培地を該培養槽内に添加して該多孔質担体の含水率を65〜80重量%に調整し、無菌状態で多孔質担体を攪拌した後に静置状態とすることにより、外生菌根菌を培養することを特徴とする外生菌根菌の固体培養方法である。さらに特許文献6には、ハタケシメジの人工栽培に際して、人工栽培用培地におからを添加する方法が記載されている。しかしながら、該公報に記載された栽培用培地は、担子菌の子実体を発生させるための固体培養用の培地であり、本発明の液体培養培地ではない。一般に、担子菌の増殖に必要な栄養素と、子実体の形成に必要な栄養条件は大きく異なっている。加えて、子実体中の成分と、液体培養で得た菌糸体中の成分、さらに固体培養あるいは菌床培養で得た菌糸体中の成分は大きく異なっていることが多いため、栽培用培地、すなわち固体培養用培地に有効な栄養成分が、そのまま液体培養用培地にも有効であるとは限らない(例えば、特許文献7)。また、同じく特許文献7には、従来の液体培地に豆乳を添加することによって、メシマコブ菌糸体の収量を飛躍的に増加させる方法について記載されている。しかしながら、該公報においては振とう培養で検討しており、大量に培養する際に適用される通気培養での効果は記載されていない。特許3678832号公報特開2000−212059号公報特許3511231号公報特表2004−529079号公報特開2005−27546号公報特開2002−70号公報特開2006−271339号公報解決しようとする問題点は、イグチ科ヌメリイグチ属担子菌は菌糸の成長が遅く、従来のような液体培養方法では得られる菌糸体の収量が少なく、充分な菌糸体を得ることができないことである。問題を解決するための手段本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、イグチ科ヌメリイグチ属担子菌の液体培養を行うに際し、従来の液体培養組成物に豆乳及びシリコーンを配合してイグチ科ヌメリイグチ属の担子菌を培養することにより、菌糸体の生産量が飛躍的に向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、豆乳及びシリコーンが添加された液体培地にイグチ科担子菌を接種し、これを液体培養することによりイグチ科ヌメリイグチ属担子菌菌糸体の増殖を飛躍的に増加させるものである。発明を実施する為の最良の形態本発明によるイグチ科ヌメリイグチ属担子菌の液体培養方法によれば、豆乳及びシリコーンを含有する液体培地の中で培養させることで、イグチ科ヌメリイグチ属担子菌菌糸体の収量を短期間で飛躍的に増加させることが可能である。本発明における豆乳は、水に浸漬処理した大豆を磨砕して絞った絞り汁である。豆乳はタンパク質、脂質、あるいは無機質などの成分を含有するため、担子菌の良い窒素源となる。本発明で使用する液体培養に用いる豆乳は、豆乳であれば特に限定はなく、実施例では、株式会社紀文フードケミファ製の市販品を用いた。また配合量についても有効量配合されていれば特に限定はないが、好ましくは液体培地物中0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜10重量% である。配合量が0.1重量%未満の場合には十分な効果を発揮させることができない為に好ましくなく、20重量%より多い場合には高圧滅菌時または培養時に発泡性が強くなり、滅菌を十分に行うことが出来ない、もしくは通気時にコンタミネーションを生じやすくなる為に好ましくない。本発明におけるシリコーンは、連続したシロキサン結合(-Si-O-)を骨格とした有機化合物の総称である。構造的にはジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン等が例示できる。実施例では、信越化学工業株式会社製の商品名シリコンKS―66(成分名シメチコン)を用いた。また配合量についても有効量配合されていれば特に限定はないが、好ましくは液体培地物中0.0002〜0.04重量%、更に好ましくは0.001〜0 .02重量% である。配合量が0.0002重量%未満の場合には十分な効果を発揮させることができない為に好ましくなく、0.04重量%より多い場合には効果が平衡に達する。本発明の液体培養で用いられる基本培地には、イグチ科担子菌を含む外生菌根菌の培養に用いられるポテトデキストロース培地、改変メーリン・ノルクラン(MMN)培地、改変浜田培地が好適に示される。ポテトデキストロース培地は、例えばPotato−Dextrose Broth2.4gを精製水100mLに溶解させることで調製可能である。MMN培地は、例えばグルコース1.0g 、モルトエキス0.3g、塩化カルシウム2水和物0.0066g、塩化ナトリウム0.0025g、リン酸2水素カリウム0.05g、リン酸水素2アンモニウム0.025g、硫酸マグネシウム7水和物0.015g、塩化鉄(III)1%溶液0.12mL、チアミン塩酸塩0.01mg を精製水100mLの水に溶解させることで調製可能である。改変浜田培地は、例えばグルコース2.0g、乾燥酵母0.5gを精製水100mLに溶解させることで調製可能である。基本培地には炭素源、窒素源などイグチ科担子菌菌糸体を培養する際の生育に必要な栄養素が含まれており、さらにビタミン類やミネラルを含むこともある。基本培地の炭素源としては、グルコース、キシロース、マンノース、ガラクトース等の単糖類、シュクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース等の二糖類、デキストリン、デンプン、セルロース等の多糖類を用いることができる。基本培地の窒素源としては、イーストエキス、モルトエキス、ペプトン、ポリペプトン、カザミノ酸等の有機物、硝酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、塩化アンモニウム等の窒素含有化合物を用いることができる。また、ビタミン類としては、例えばビオチン、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB6)、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等を用いることができる。ミネラルとしては、例えばリン、窒素、カリウム、カルシウム、マグネシウム、イオウ、鉄、マンガン、亜鉛、ホウ素、銅、モリブデン、塩素、ナトリウム、ヨウ素、コバルト等が挙げられ、これらの成分は例えば硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、塩化カリウム、リン酸1水素カリウム、リン酸2水素カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、ホウ酸、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、三酸化モリブデン、ヨウ化カリウム、塩化コバルト等の化合物として用いることができる。前記以外の培地であっても、イグチ科ヌメリイグチ属担子菌菌糸培養に適している培地であれば、本発明に適用されるのは勿論である。本発明におけるイグチ科ヌメリイグチ属担子菌の液体培養法は、前述の豆乳およびシリコーンを添加した液体培地にイグチ科担子菌の種菌を接種し、室温約20〜30℃ の好気的条件下で約10〜20日間培養するのが望ましい。以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、培養および操作方法は無菌的に行なうものとする。<実施例1>グルコース10.0 g 、モルトエキス3.0g、塩化カルシウム2水和物0.066g、塩化ナトリウム0.025g、リン酸2水素カリウム0.5g、リン酸水素2アンモニウム0.25g、硫酸マグネシウム7水和物0.15g、塩化鉄(III)1%溶液1.2mL、チアミン塩酸塩0.1mg を1000mLの水に添加して基本の液体培地を作った。また、添加物として豆乳およびシリコーンを表1の量を添加して液体培地を調製後、オートクレーブを用いて高圧殺菌した。上述の液体培地を室温まで放冷した後、th(Difco社製)2.4%で予め培養した(24℃、150rpmにて14日間振とう培養)ハハナイグチ(独立行政法人製品評価技術基盤機構より購入、NBRC No.32786)をPotato−Dextrose Broナイグチ培養物を取り、ホモジネートしたものを10mLずつフラスコに接種した。接種後は24℃の条件下で通気培養を行った。培養を開始して約12日後には液体培地に菌糸体が生育した。そこで、生育した菌糸体を収集し、これを水でよく洗浄したのち凍結乾燥した。前記収集した菌糸体の成長比を表1に示す。成長比は比較例1の基本培地で培養した時の収量を100とし、それに対する比計算によって算出した。表1によれば、豆乳または、シリコーンの単独配合では、基本培地での生育率とほとんど変化はみられないが、豆乳とシリコーンを併用した場合には、飛躍的に生育率が高まることが分かる。また、豆乳を培地全量の0.5〜10重量%及びシリコーンを0.001〜0 .02重量%配合したには、爆発的に生育率が高まることが認められた。尚、その他のヌメリイグチ属に属する担子菌である、ヌメリイグチ、アミタケ、チチアワタケ、シロヌメリイグチ、ヌメリツバイグチについても、同様に豆乳とシリコーンの併用によって著しい増殖促進が認められた。以上の結果から、豆乳およびシリコーンを配合することはイグチ科ヌメリイグチ属担子菌の増殖に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。本発明によるイグチ科ヌメリイグチ属担子菌菌糸体の液体培養方法によれば、豆乳及びシリコーンを含有する液体培地の中で培養させることで、イグチ科担子菌菌糸体の収量を短期間で飛躍的に増加させることが可能であり、化粧料や医薬品、及び食品の各分野に広く応用が期待できる。 豆乳を培地全量の5〜10重量% 及びシリコーンを0.001〜0 .02重量%配合したことを特徴とする液体培養培地を用いたイグチ科ヌメリイグチ属(Suillus)担子菌菌体の生産方法。イグチ科ヌメリイグチ属(Suillus)に属する担子菌が、ハナイグチ(Suillus grevillei)、ヌメリイグチ(Suillus luteus)、アミタケ(Suillus bovinus)、チチアワタケ(Suillus granulatus)、シロヌメリイグチ(Suillus laricinus)、ヌメリツバイグチ(Suillus luteus)であることを特徴とする請求項1記載の生産方法。


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