タイトル: | 再公表特許(A1)_白斑治療剤および色素沈着促進方法 |
出願番号: | 2008068828 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | A61K 45/00,A61P 17/00,A61K 31/7076,A61K 31/416,A61K 38/27,A61K 31/593,A61K 33/18,A61K 31/355,C07H 19/167,C07H 19/20,C07D 231/56,C07D 311/72 |
玉置 邦彦 菊池 かな子 小宮根 真弓 藤本 盛揮 JP WO2009051213 20090423 JP2008068828 20081017 白斑治療剤および色素沈着促進方法 国立大学法人 東京大学 504137912 マルホ株式会社 000113908 特許業務法人みのり特許事務所 110000475 玉置 邦彦 菊池 かな子 小宮根 真弓 藤本 盛揮 JP 2007273181 20071019 JP 2008097207 20080403 A61K 45/00 20060101AFI20110204BHJP A61P 17/00 20060101ALI20110204BHJP A61K 31/7076 20060101ALI20110204BHJP A61K 31/416 20060101ALI20110204BHJP A61K 38/27 20060101ALI20110204BHJP A61K 31/593 20060101ALI20110204BHJP A61K 33/18 20060101ALI20110204BHJP A61K 31/355 20060101ALI20110204BHJP C07H 19/167 20060101ALN20110204BHJP C07H 19/20 20060101ALN20110204BHJP C07D 231/56 20060101ALN20110204BHJP C07D 311/72 20060101ALN20110204BHJP JPA61K45/00A61P17/00A61K31/7076A61K31/416A61K37/36A61K31/593A61K33/18A61K31/355C07H19/167C07H19/20C07D231/56 EC07D311/72 102 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20110303 2009538158 18 4C057 4C062 4C084 4C086 4C057CC03 4C057DD03 4C057LL30 4C057LL35 4C057LL44 4C062FF22 4C084AA01 4C084AA02 4C084AA17 4C084AA19 4C084BA44 4C084DB54 4C084MA02 4C084MA28 4C084MA63 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZA891 4C084ZA892 4C084ZC751 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA09 4C086BC37 4C086DA08 4C086DA16 4C086EA18 4C086HA09 4C086MA01 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA28 4C086MA63 4C086NA05 4C086NA14 4C086ZC75 本発明は、表皮を肥厚させることにより色素沈着を促進して、白斑を治療することができる医薬品および表皮を肥厚させることにより色素沈着を促進する方法に関する。 尋常性白斑は突発的に生じる後天性疾患であり、メラノサイトの破壊や減少またはメラノサイトによるメラニン生成の減少や停止により表皮の一部分の色素(メラニン)が欠落した境界が明瞭である大小の類円形ないし不整形のほぼ完全な脱色素斑である。 尋常性白斑は単一疾患ではなく、多種の原因によって惹起されると考えられている。その病因としては、尋常性白斑の合併症として甲状腺機能亢進症などの自己免疫疾患が多いことに基づく自己免疫説、メラニン合成の中間代謝産物にはメラノサイトに毒性があるものがあるので、これらによりメラノサイトが破壊されるという自己破壊説、分節型の尋常性白斑では脱色素斑が神経の走行に一致して生ずることによる神経説などが提唱されているが、詳細は不明である。 尋常性白斑は顔、四肢などの露出部位に生じることが多く、患者はQOL(quality of life)の観点から治療することを望んでいるが、難治性の皮膚疾患であることから、有効な治療方法が存在しない。 尋常性白斑の治療に薬剤としてステロイド外用剤を用いることが多いが、治療効果は芳しくない。また、その他の薬剤として、活性型ビタミンD3含有外用剤も使用されている。さらに、PUVA療法またはナローバンドUVB療法といった光線療法が用いられている。これらの光線療法の治療成績はステロイド外用剤と比較すると優れているだけでなく、光線療法は照射頻度が高いほど好成績を得られる傾向にある。しかし、光線療法による治療を受けるためには、患者は装置を導入している医療機関に通院しなければならず、これは患者にとって負担である。そのため、薬剤の開発が望まれている。 メラノサイトの生存や色素産生は、ケラチノサイトをはじめとする周囲の細胞から分泌される各種のサイトカイン、またはホルモン(幹細胞成長因子(SCF)、α−メラノサイト刺激ホルモン(α−MSH)、エンドセリン−1、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、またはプロスタグランジンE2など)によって影響を受ける。白斑部位のケラチノサイトでは、これらの因子をうまく産生できていない可能性がある。実際に、白斑部位においてSCFの低下が確認されている。 また、白斑部位においてケラチノサイトのアポトーシスの割合が正常部位と比較して高いため、ケラチノサイトのアポトーシスと白斑との関係は深く、アポトーシスを抑制すると白斑部位に色素沈着が生じるとの報告がある(特許文献1、非特許文献1)。 皮膚疾患は、しばしば表皮の肥厚を伴うことがある。例えば、慢性湿疹、慢性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)、脂漏性角化症、扁平苔癬、乾癬、または有棘細胞癌などの皮膚疾患病変部位では表皮の肥厚が観察されている。 アポトーシスと皮膚疾患との関連は古くから知られており、例えば、乾癬または有棘細胞癌ではアポトーシスをきたしたケラチノサイトはほとんど観察されず、むしろアポトーシスの誘導に抑制的に働く因子が強く発現している。一方で、慢性湿疹、慢性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)、脂漏性角化症、または扁平苔癬などの皮膚疾患において、これらの病変部表皮内にはアポトーシスに陥ったケラチノサイトが観察されることが知られる。このことから、ケラチノサイトのアポトーシスと表皮の厚さには直接的な関係はない。 尋常性白斑治療剤としては、メラノサイトを直接活性化させることによりメラニンの産生を促進する試みが様々行われているが実用化されていない。 熱傷潰瘍、下腿潰瘍、糖尿病潰瘍、または術後潰瘍などの皮膚潰瘍治療剤および褥瘡治療剤は医療現場で汎用されている薬剤であるが、白斑の治療剤としては使用されていない。WO 2006/088310J. Invest. Dermatol, 124, 976-983, 2005 白斑部位の表皮を肥厚させることにより色素沈着を促進して、白斑を治療することができる医薬品および表皮を肥厚させることにより色素沈着を促進する方法を提供することである。 本発明者らは、尋常性白斑患者の白斑部位の皮膚状態を組織学的に観察したところ、正常部位の皮膚状態とは異なっている知見を得た。 すなわち、白斑部位の皮膚では表皮が正常部位と比較して明らかにひ薄化していた。さらに、表皮突起が扁平化して、メラノサイトの消失を認めるといった正常な表皮とは明らかに異なる現象を認めた。しかし、ナローバンドUVBによる治療の結果、色素沈着を認めた白斑部位では表皮が肥厚し、表皮突起が正常化して、メラノサイトの出現を認めた。 このことから、発明者らはひ薄化している白斑部位の表皮を肥厚させることができれば、表皮突起が正常化し、メラノサイトが出現して色素沈着することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明の第一の態様としては、表皮肥厚作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する白斑治療剤を提供するものである。 本発明の第二の態様としては、表皮肥厚作用を有する化合物が熱傷潰瘍、下腿潰瘍、糖尿病潰瘍、または術後潰瘍などの皮膚潰瘍の治療に用いられている皮膚潰瘍治療剤および褥瘡治療剤から選ばれる白斑治療剤である。 本発明の第三の態様としては、表皮肥厚作用を有する化合物が式(I)(式中、R1、R2およびR3は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、または置換もしくは非置換の低級アルカノイルであって、R4およびR5は同一または異なって、水素原子、または置換もしくは非置換の低級アルコキシ、あるいはR4とR5が一緒になってリン酸エステルを形成する)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩である白斑治療剤であり、好ましくはN,2’−O−ジブチリルアデノシン−3’,5’-リン酸、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンまたはそれらの薬理学的に許容される塩である白斑治療剤である。 本発明の第四の態様として、表皮肥厚作用を有する化合物が式(II)(式中、R6およびR7は同一または異なって、水素原子、低級アルキル、カルボニル低級アルキル、置換もしくは非置換のアリール低級アルキルを表す)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩である白斑治療剤であって、好ましくは[(1−ベンジル−1H−インダゾール−3−イル)オキシ]酢酸またはその薬理学的に許容される塩である白斑治療剤である。 本発明の第五の態様として、表皮肥厚作用を有する化合物が酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF,FGF−1)、または塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF,FGF−2)などの線維芽細胞増殖因子(Fibrobrast growth factor : FGF)、上皮細胞増殖因子(Epidermal growth factor : EGF)、血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor : VEGF)、ケラチノサイト増殖因子(Keratinocyte growth factor : KGF)、および血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor : PDGF)などの増殖因子から選ばれる白斑治療剤であって、好ましくは遺伝子組替え型塩基性線維芽細胞増殖因子である白斑治療剤である。 本発明の第六の態様として、表皮肥厚作用を有する化合物が(±)−(2E,4E,6E,8E)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2,4,6,8−ノナテトラエン酸 3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−1−ベンゾピラン−6−イルエステル、ヨウ素、もしくはポビドンヨード、またはそれらの薬理学的に許容される塩である白斑治療剤である。 また、本発明の表皮肥厚作用を有する化合物またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する色素沈着促進剤として使用することもできる。 さらに、本発明は表皮を肥厚させることにより、色素沈着を促進させる治療方法または白斑の治療方法、また、表皮肥厚作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩および光線療法を併用することにより、さらには、表皮肥厚作用を有する化合物またはそれらの薬理学的に許容される塩およびステロイド外用剤もしくは活性型ビタミンD3含有外用剤を併用することにより色素沈着を促進させる治療方法または白斑の治療方法を提供することができる。 色素沈着を促進する薬剤を提供することにより、光線療法による治療のために医療機関に頻繁に通院することなく白斑の治療をすることができるので、患者の負担を軽減させることができる。 また、ナローバンドUVBなどの光線療法またはステロイド外用剤、または活性型ビタミンD3含有外用剤などと併用することが可能であるので、これらとの併用療法により相乗効果が期待でき、色素沈着を促進することができる。被験製剤1を14日間塗布したときの有色モルモット背部の写真である。 低級アルキルとは、直鎖または分岐状の炭素数1〜6のアルキルが挙げられ、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、またはヘキシルなどが挙げられる。 低級アルコキシとは、直鎖または分岐状の炭素数1〜6のアルコキシが挙げられ、具体的にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、またはヘキソキシなどが挙げられる。 アリールとは、炭素数6〜14のアリールが挙げられ、具体的にはフェニル、ナフチル、またはアントリルなどが挙げられる。 低級アルカノイルとは、直鎖または分岐状の炭素数1〜6のアルカノイルが挙げられ、具体的にはアセチル、プロピル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、またはヘキサノイルなどが挙げられる。 アリール低級アルキルにおけるアリール部分は前記アリールと同義であり、低級アルキル部分は前記低級アルキルと同義であり、アリール低級アルキルとは具体的にはベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、フェニルブチル、ナフタレニルメチル、ナフタレニルエチル、ナフタレニルプロピル、アントラセニルメチル、アトラセニルエチル、またはアトラセニルプロピルなどが挙げられる。 カルボニル低級アルキルにおける低級アルキル部分は前記低級アルキルと同義であり、カルボニル低級アルキルとは具体的には、カルボニルメチル、カルボニルエチル、カルボニルプロピル、2−カルボニルプロピル、またはカルボニルブチルなどが挙げられる。 本発明で用いることができる表皮肥厚作用を有する化合物の薬理学的に許容される塩としては、通常知られているアミノ基などの塩基性基またはヒドロキシル基もしくはカルボキシル基などの酸性基における塩が挙げられる。塩基性基における塩としては、たとえば、塩酸、臭化水素酸または硫酸などの鉱酸との塩;酒石酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸またはクエン酸などの有機カルボン酸との塩;ならびにメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸などのスルホン酸との塩が、また、酸性基における塩としては、たとえば、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属との塩;カルシウムまたはマグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;ならびにリジン、アルギニンまたはオルニチンなどのアミノ酸、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジエチルアミンまたはジシクロヘキシルアミンなどの含窒素有機塩基との塩などが挙げられる。 これらの化合物は常法によって合成することができる。また、医薬品または試薬として入手することが可能な化合物もある。さらに、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンなどのアデノシン酸誘導体はWO2003/035662に記載された方法で合成することもできる。 さらに、各種増殖因子は天然物型であっても、遺伝子組み替え型であってもよく、また起源もヒトであっても、ヒト以外の動物由来であってもよい。 遺伝子組み替え型塩基性線維芽細胞増殖因子はトラフェルミン(Trafermin)、遺伝子組み替え型表皮細胞増殖因子はパリフェルミン(Palifermin)、遺伝子組み替え型血管内皮細胞増殖因子はテルベルミン(Telbermin)として入手することができる。 本発明の白斑治療剤は、表皮肥厚作用を有する薬剤を含有することを特徴とするものであり、本発明の効果を損なわない限り、通常使用しうる生理学的または薬学的に許容されうる坦体、賦形剤、着色剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、基剤、乳化剤、増粘剤、安定剤、保存剤、溶剤、溶解補助剤、乳化剤、懸濁化剤、または緩衝剤などを配合することもできる。 本発明の白斑治療剤は、白斑部位への直接用途を目的とした外用剤として使用することができ、その剤形としては、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、エアゾール剤、または貼付剤などが挙げられる。また、全身的には注射剤や経口剤として使用することもでき,その剤形としては、水性注射剤、油性注射剤、乳濁性注射剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、または液剤などが挙げられる。これらの製剤は公知の方法、例えば日本薬局方に記載の方法などにより製造することができる。 N,2’−O−ジブチリルアデノシン−3’,5’-リン酸ナトリウムを含有した製剤はアクトシン(登録商標)軟膏として、遺伝子組替え型塩基性線維芽細胞増殖因子を含有した製剤はフィブラスト(登録商標)スプレー、[(1−ベンジル−1H−インダゾール−3−イル)オキシ]酢酸を含有した製剤はジルダザック(登録商標)軟膏、(±)−(2E,4E,6E,8E)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2,4,6,8−ノナテトラエン酸 3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−1−ベンゾピラン−6−イルエステルを含有した製剤はオルセノン(登録商標)軟膏、ヨウ素を含有した製剤はカデックス(登録商標)軟膏、ポビドンヨードを含有した製剤はユーパスタ(登録商標)コーワとして我が国で医療用医薬品として販売しているので、これら市販品をそのまま使用することもできる。 ステロイド外用剤としては、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、ジフルプレドナート、吉草酸ジフルコルトロン、フランカルボン酸モメタゾン、フルオシノニド、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、アムシノニド、プロピオン酸デキサメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸デプロドン、プロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、プロピオン酸アクロメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、または酪酸ヒドロコルチゾンを含有した製剤を挙げることができ、活性型ビタミンD3含有外用剤としては、タカルシトール、カルシポトリオール、またはマキサカルシトールを含有した製剤を挙げることができる。 本発明において、「表皮が肥厚した」または「表皮肥厚作用」とは治療終了時の表皮の厚さが、治療開始前の表皮の厚さと比較して5%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上増加したことを意味する。 表皮厚の測定は公知の方法により行うことができる。例えば、白斑部位から生検用パンチを用いて組織を採取して、常用のホルマリン固定、パラフィン包埋手順によって処理する。1標本あたり任意に選んだ5〜10箇所で表皮の厚さを測定して、その平均値を表皮の厚さとする。 上記製剤中への有効成分の配合量は、剤形によっても異なるが、軟膏剤などの外用剤では、0.001〜30重量%、好ましくは0.01〜20重量%である。また、本発明の白斑治療剤の投与量は、白斑の大きさまたは程度に応じて、上記製剤の適量を1日当り1〜数回、患部に塗布すればよい。注射剤や経口剤では、治療有効量であれば特に限定されないが、1日あたり0.001〜1000mg、好ましくは0.01〜100mgである。 本発明の白斑治療剤は単独で使用することもできるし、複数を同時に使用することもできる。また、ステロイド外用剤、もしくは活性型ビタミンD3含有外用剤などの薬剤またはPUVA療法、もしくはナローバンドUVB療法などの光線療法と併用して使用することもできる。 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。 被験製剤としては、(±)−(2E,4E,6E,8E)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2,4,6,8−ノナテトラエン酸 3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−1−ベンゾピラン−6−イルエステル含有軟膏(被験製剤1)、[(1−ベンジル−1H−インダゾール−3−イル)オキシ]酢酸含有軟膏(被験製剤2)およびN,2’−O−ジブチリルアデノシン−3’,5’-リン酸ナトリウム含有軟膏(被験製剤3)を用いた。[実施例1] 皮膚色の測定 1週間馴化飼育を行った4週齢有色モルモット(入荷時体重:200〜400g)の背部を電気バリカンおよび電気かみそりで6cm×6cm程度除毛した。なお、一様に被験製剤を塗布するため、週2回の頻度で除毛した。投与部位として、正中を避けて2cm×2cmを左右各1箇所(左:被験製剤塗布部、右:無処置部)作製した。被験製剤は1日1回、30mgを14日間塗布した。なお、2日目以降は被験製剤塗布前に、微温湯で湿らせた脱脂綿で塗布部位を清拭した。 皮膚色の指標として色差計を用いてL値(明度)を測定した。その結果を表1に示した。暗くなるほどL値は小さくなり、いずれの被験製剤においても、数値が無処置群と比較して有意に小さくなっていることがわかる。 また、被験製剤1を14日間塗布したときの有色モルモット背部の写真を図1に示した。[実施例2] 表皮厚の測定 試験開始後15日目に、有色モルモットをエーテル麻酔下で放血致死させた。被験製剤塗布部および無処置部の皮膚を摘出し、10%中性緩衝ホルマリン溶液に固定した後、パラフィン切片とし、ヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)を施して表皮厚を測定した。 表皮厚の測定は1標本あたり任意に選んだ5箇所の表皮の厚さを測定して、その平均値を表皮の厚さとした。 その結果を表1に示した。いずれの被験製剤においても無処置群と比較して有意に表皮が肥厚していることがわかる。 皮膚色(実施例1)および表皮厚(実施例2)の結果より、いずれの被験製剤においても表皮厚が増加すると皮膚色の値が小さくなっており、表皮が肥厚することにより色素沈着が促進していることがわかる。 表皮肥厚作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する白斑治療剤。 表皮肥厚作用を有する化合物が皮膚潰瘍治療剤および褥瘡治療剤から選ばれる請求項1記載の白斑治療剤。 表皮肥厚作用を有する化合物が式(I)(式中、R1、R2およびR3は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、または置換もしくは非置換の低級アルカノイルであって、R4およびR5は同一または異なって、水素原子、または置換もしくは非置換の低級アルコキシ、あるいはR4とR5が一緒になってリン酸エステルを形成する)で表される化合物またはそれらの薬理学的に許容される塩である請求項1記載の白斑治療剤。 表皮肥厚作用を有する化合物がN,2’−O−ジブチリルアデノシン−3’,5’-リン酸、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン、またはそれらの薬理学的に許容される塩である請求項1記載の白斑治療剤。 表皮肥厚作用を有する化合物が式(II)(式中、R6およびR7は同一または異なって、水素原子、低級アルキル、カルボニル低級アルキル、あるいは置換もしくは非置換のアリール低級アルキルを表す)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩である請求項1記載の白斑治療剤。 表皮肥厚作用を有する化合物が[(1−ベンジル−1H−インダゾール−3−イル)オキシ]酢酸またはその薬理学的に許容される塩である請求項1記載の白斑治療剤。 表皮肥厚作用を有する化合物が酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、上皮細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、ケラチノサイト増殖因子および血小板由来増殖因子から選ばれる請求項1記載の白斑治療剤。 表皮肥厚作用を有する化合物が遺伝子組替え型塩基性線維芽細胞増殖因子である請求項1記載の白斑治療剤。 表皮肥厚作用を有する化合物が(±)−(2E,4E,6E,8E)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2,4,6,8−ノナテトラエン酸 3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−1−ベンゾピラン−6−イルエステル、ヨウ素、もしくはポビドンヨード、またはそれらの薬理学的に許容される塩である請求項1記載の白斑治療剤。 表皮肥厚作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する色素沈着促進剤。 表皮を肥厚させることにより、色素沈着を促進させる治療方法。 表皮肥厚作用を有する薬剤、およびステロイド外用剤あるいは活性型ビタミンD3含有外用剤を併用することにより、色素沈着を促進させる治療方法。 表皮肥厚作用を有する薬剤および光線療法を併用することにより、色素沈着を促進させる治療方法。 ひ薄化している白斑部位の表皮を肥厚させることにより色素沈着を促進して、白斑を治療することができる医薬品および表皮を肥厚させることにより色素沈着を促進する方法を提供することである。 表皮肥厚作用を有する化合物、例えば、熱傷潰瘍、下腿潰瘍、糖尿病潰瘍、もしくは術後潰瘍などの皮膚潰瘍の治療に用いられている皮膚潰瘍治療剤、または褥瘡治療剤を用いることにより、白斑を治療することができる。