生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アディポネクチン産生促進剤
出願番号:2008068538
年次:2008
IPC分類:A61K 36/18,A61P 3/10,A61P 1/16,A61P 3/04,A23L 1/30,A23K 1/16


特許情報キャッシュ

作田 智洋 藍谷 教夫 中島 優哉 JP 2008273938 公開特許公報(A) 20081113 2008068538 20080317 アディポネクチン産生促進剤 株式会社資生堂 000001959 長谷川 洋子 100098800 作田 智洋 藍谷 教夫 中島 優哉 JP 2007091678 20070330 A61K 36/18 20060101AFI20081017BHJP A61P 3/10 20060101ALI20081017BHJP A61P 1/16 20060101ALI20081017BHJP A61P 3/04 20060101ALI20081017BHJP A23L 1/30 20060101ALI20081017BHJP A23K 1/16 20060101ALI20081017BHJP JPA61K35/78 CA61P3/10A61P1/16A61P3/04A23L1/30 BA23K1/16 304C 9 1 OL 10 2B150 4B018 4C088 2B150AB10 2B150DD44 2B150DD56 4B018MD48 4B018MD61 4B018ME03 4B018MF01 4C088AB64 4C088AC05 4C088BA08 4C088CA05 4C088CA06 4C088CA07 4C088CA08 4C088CA09 4C088CA14 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZA70 4C088ZA75 4C088ZC21 4C088ZC33 4C088ZC35 本発明はオリーブ葉エキスを有効成分とするアディポネクチン産生促進剤に関し、特には高分子量アディポネクチンの産生を促進するアディポネクチン産生促進剤に関する。本発明は食品、医薬製剤、飼料等に好適に適用される。 アディポネクチンは、脂肪細胞から特異的に産生および分泌されるタンパク質であり、循環器系疾患、糖尿病、肥満などの生活習慣病と密接に関連することが知られている。血中アディポネクチン濃度が低下した病態である低アディポネクチン血症は、上記疾病の根本的な原因の1つであると考えられ、低アディポネクチン血症の治療・予防は、低アディポネクチン血症に起因する上記疾患や生活習慣病の予防・治療に有用である。また、低アディポネクチン血症下ではインスリン抵抗性が増大することから、インスリン抵抗性の亢進も上記疾患や生活習慣病の原因の1つと考えられている。よってインスリン抵抗性を改善することも上記疾患や生活習慣病の予防・治療に有用である。 さらに最近、アディポネクチンがメタボリックシンドロームの発症・進展において中心的な役割を担っていること、血中アディポネクチン濃度の低下が非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝線維化の進展を促進すること、およびメタボリックシンドロームの病態として内臓脂肪蓄積、インスリン抵抗性、動脈硬化惹起性リポタンパク異常、血圧高値、高尿酸血症等が挙げられること、また、メタボリックシンドロームは軽度ではあるが全身性易炎症性状態、発癌や炎症性疾患の発症と関連づけられて注目されていること、等が報告されている(例えば、非特許文献1〜2参照)。肥満・インスリン抵抗性に関連した発癌としては、子宮癌、閉経後乳癌、白血病、大腸癌、胃癌、前立腺癌などが挙げられ、これらが低アディポネクチン血症と密接に関連しているとの報告もされている。したがって低アディポネクチン血症の治療・予防、インスリン抵抗性の改善は、メタボリックシンドローム等の上記疾病の予防・治療にも有用である。 上記状況下にあって、血中でのアディポネクチンの産生を促進する成分の研究・開発が進められている。これまでアディポネクチンについては、特許文献1において大豆サポニンを有効成分とするアディポネクチン分泌促進組成物が提案され、特許文献2ではプロアントシアニジンを有効成分とする血中アディポネクチン量増加剤が提案され、特許文献3ではHMG−CoA還元酵素阻害剤を有効成分として含有するアディポネクチン産生増強剤が提案されている。 そしてさらに、アディポネクチンの中でも特に高分子量アディポネクチンが上記疾病と関連性が高いことが報告されている(例えば、非特許文献3〜4参照)。 アディポネクチンは血中において、67kDa以下の低分子量多量体アディポネクチン(LMW:low molecular weight)、136kDaの中分子量多量体アディポネクチン(MMW:middle molecular weight)、300kDa以上の高分子量多量体アディポネクチン(HMW:high molecular weight)の3種類の多量体構造をとって存在する。低分子量アディポネクチンはおもに3量体のアディポネクチンからなり、3量体アディポネクチンはアミノ末端39位のシステイン残基どうしのジスルフィド結合により6量体の中分子アディポネクチンやそれ以上(12〜18量体)の高分子量多量体アディポネクチン(=高分子量アディポネクチン)を形成している。 ヒトアディポネクチン遺伝子変異のうち、84番目のアミノ酸であるグリシンがアルギニンに置換したG84Rと、90番目のアミノ酸であるグリシンがセリンに置換したG90Sでは、HMWの形成のみが阻害され、MMWおよびLMWの形成は阻害されない。G84RまたはG90Sのアディポネクチン遺伝子変異を有するヒトでは、低アディポネクチン血症に加え糖尿病を有しており、インスリン抵抗性改善作用にはHMWアディポネクチンが重要であることが明らかとなっている。また、肥満やメタボリックシンドロームの基盤であるインスリン抵抗性においては、HMWアディポネクチンが特に低下していることが報告されている。 高分子多量体アディポネクチンは、総アディポネクチンに比べ、チアゾリジン誘導体投与によるインスリン抵抗性の改善とより相関が認められている。また、メタボリックシンドロームの各因子に関しては、高分子量多量体アディポネクチンとインスリン感受性、内臓脂肪の減少、糖脂質代謝と有意に相関している。 以上のように、高分子量多量体アディポネクチンが、糖尿病・メタボリックシンドロームの病態形成に最も重要な役割を担っていることが明らかとなってきているが、血中の高分子量多量体アディポネクチンを増加させるものとしては、チアゾリジン誘導体、フィブラート剤などの医薬品成分のみで、安全に毎日摂取できる食品成分に関してはそのような報告は未だない。 一方、従来、オリーブ葉エキスにはオレウロペインやヒドロキシチロソール等のフェノール成分が含まれていることが知られている。オリーブ葉エキスの作用としては、血糖降下作用(αアミラーゼ阻害、αグルコシダーゼ阻害)(例えば、特許文献4参照)、血中中性脂肪低下作用、血中コレステロール低下作用(例えば、特許文献5参照)、血糖値上昇抑制、糖尿病発症抑制(例えば、特許文献6参照)、血圧低下作用および抗動脈硬化作用などが報告されているが、オリーブ葉エキスにアディポネクチン産生促進効果があるということに関する報告は、本発明者らが知る限りにおいて、これまでなされていない。田村、外1名、「アディポネクチンと発癌」、アディポサイエンス、フジメディカル出版、2005年、第2巻、第2号、p.122−127河田、外3名、「内臓脂肪蓄積を基盤とした消化器病態とその発症機序−アディポサイトカイン、特にアディポネクチンを中心に−」、日消誌、日本消化器病学会、平成17年11月、第102巻、第11号、p.1384−1391熊田、外1名、「メタボリックシンドロームの病態診断−高分子量アディポネクチン」、日本臨床、日本臨床社、2006年、第64巻、増刊号9、p.536−539堀越、「高分子量アディポネクチン」、医学のあゆみ、医歯薬出版株式会社、2006年4月、第217巻、第1号、p.156−162特開2006−143609号公報特開2006−182706号公報特開2005−232150号公報特開2002−010753号公報特開2004−352626号公報特開2005−176770号公報 上記従来の事情に鑑み、アディポネクチンの産生をより強く促進し得る物質が解明できれば、アディポネクチンの血中濃度の低下、インスリン抵抗性の亢進等に起因する種々の疾患、例えばメタボリックシンドローム、糖尿病やその合併症、動脈硬化、消化器疾患等の種々の病態を治療・予防し得る医薬製剤、例えば脂肪肝改善剤等や、食品、飼料の開発に可能性が開かれる。 すなわち、本発明は、アディポネクチンの産生を促進し得る物質の解明と、このアディポネクチン産生促進物質に基づく各種疾患の治療・予防に役立つ医薬製剤、食品、飼料の開発を課題とする。 上記課題を解決するために本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、オリーブ葉エキスがアディポネクチン産生促進効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、オリーブ葉エキスを有効成分とするアディポネクチン産生促進剤を提供する。 また本発明は、食品、医薬製剤、または飼料である、上記アディポネクチン産生促進剤を提供する。 また本発明は、アディポネクチン産生促進効果に基づく機能表示を付した食品である、上記アディポネクチン産生促進剤を提供する。 また本発明は、アディポネクチンの産生促進が、分子量300kDa以上の高分子量アディポネクチンの産生促進である、上記アディポネクチン産生促進剤を提供する。 また本発明は、低アディポネクチン血症の予防または治療剤である、上記アディポネクチン産生促進剤を提供する。 また本発明は、インスリン抵抗性改善剤である、上記アディポネクチン産生促進剤を提供する。 また本発明は、メタボリックシンドロームの予防または治療剤である、上記アディポネクチン産生促進剤を提供する。 また本発明は、糖尿病およびその合併症の予防または治療剤である、上記アディポネクチン産生促進剤を提供する。 また本発明は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)およびそれに由来する肝疾患の予防または治療剤である、上記アディポネクチン産生促進剤を提供する。 本発明はアディポネクチンの産生促進効果が高いため、それを利用した機能剤や飲食品を提供することができ、アディポネクチンが関与する種々のインスリン抵抗性の改善、血中アディポネクチン濃度の改善により、メタボリックシンドローム、糖尿病やその合併症、動脈硬化、消化器疾患等の種々の病態の治療・予防に役立ち、脂肪肝治療・予防剤等としての効果も期待される。 以下、本発明について詳述する。 本発明で用いるオリーブ葉エキスは、モクセイ科オリーブ属(Olea)に属する植物の葉を抽出したエキスをいう。オリーブ属に属する植物としては、オリーブ(O. europaea)、クリソフィア種(O. chrysophylla)等が挙げられる。本発明ではオリーブ(O. europaea)が好ましく用いられる。 オリーブ葉エキスは、オリーブの葉を必要により乾燥した後、抽出溶媒に一定期間浸漬するか、あるいは加熱還流している抽出溶媒と接触させ、次いで濾過し、濃縮して得ることができる。抽出溶媒としては、通常抽出に用いられる溶媒であれば任意に用いることができ、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、クロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、アセトン、酢酸エチル等の有機溶媒を、それぞれ単独あるいは組み合わせて用いることができる。上記溶媒で抽出して得た抽出液をそのまま、あるいは濃縮したエキスを用いるか、あるいはこれらエキスを吸着法、例えばイオン交換樹脂を用いて不純物を除去したものや、ポーラスポリマー(例えばアンバーライトXAD−2)のカラムにて吸着させた後、メタノールまたはエタノールで溶出し、濃縮したものも使用することができる。また分配法、例えば水/酢酸エチルで抽出した抽出物等も用いられる。 なお、オリーブ葉エキスは「オピエース」、「オラリス」(以上、いずれもエーザイフードケミカル(株)製)等として市販されており、これら市販品を用いることもできる。 本発明のアディポネクチン産生促進剤は医薬製剤としてヒトおよび動物に投与することができる他、各種飲食品、飼料(ペットフード等)に配合して摂取させることができる。 本発明のアディポネクチン産生促進剤を医薬製剤として用いる場合、低アディポネクチン血症の予防または治療剤、インスリン抵抗性改善剤、メタボリックシンドロームの予防または治療剤、糖尿病およびその合併症の予防または治療剤、癌(子宮内膜癌、閉経後乳癌、白血病、大腸癌、胃癌、前立腺癌等を含む)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)およびそれに由来する肝疾患の予防または治療剤等(例えば、脂肪肝予防剤、等)として好適に用いられる。 医薬製剤は、経口的にあるいは非経口的(静脈投与、腹腔内投与、等)に適宜に使用される。剤型も任意で、例えば錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の経口用固形製剤や、内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤、または、注射剤などの非経口用液体製剤など、いずれの形態にも公知の方法により適宜調製することができる。これらの医薬製剤には、通常用いられる結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、矯味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤やpH調製剤などの賦形剤を適宜使用してもよい。 本発明医薬製剤において、有効成分であるオリーブ葉エキスの投与量(実分)は、その種類、その剤型、また患者の年令、体重、適応症状などによって異なるが、例えば経口投与の場合は、成人1日1回〜数回投与され、1日あたり10mg〜1000mg程度、あるいはオリーブ葉エキス300mg/日(オレウロペインとして102.6mg/日)投与するのが好ましい。 本発明のアディポネクチン産生促進剤を飲食品、飼料等として用いる場合、一般の飲食品の他、低アディポネクチン血症の予防・治療、インスリン抵抗性改善、メタボリックシンドロームの予防・治療、糖尿病およびその合併症の予防・治療剤、癌(子宮内膜癌、閉経後乳癌、白血病、大腸癌、胃癌、前立腺癌等を含む)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)およびそれに由来する肝疾患の予防・治療等の生理機能をコンセプトとし、その旨を表示した機能性飲食品、疾病者用食品、特定保険用食品等に応用することができる。 飲食品の形態としては、例えば、顆粒状、粒状、ペースト状、ゲル状、固形状、または、液体状に任意に成形することができる。これらには、食品中に含有することが認められている公知の各種物質、例えば、結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、矯味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤やpH調製剤などの賦形剤を適宜含有させることができる。 本発明の飲食品中に含まれる有効成分であるオリーブ葉エキスの含有量(実分)は、それらの種類、目的、形態、利用方法などに応じて、適宜決めることができ、例えば、0.03〜0.1質量%程度とすることができる。特に、保健用飲食品等として利用する場合には、本発明の有効成分を所定の効果が十分発揮されるような量で含有させることが好ましい。従ってこのような場合には、本発明の飲食品は、オリーブ葉エキスを含有し、血中アディポネクチン量の増加、あるいはメタボリックシンドロームなどの予防または改善等に用いられるものである旨の表示を付した飲食品とすることができる。 以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 遺伝的に2型糖尿病を発症するKK−Ayマウスに高脂肪食を摂取させることによって、肥満、2型糖尿病の発症に加え、血中アディポネクチン濃度も低下する(Tsuchida A et al, Diabetes. 2005 :3358-3370)。そこでKK−Ay/TaJclマウス(オス、5週齢、日本クレア社製)12匹を用いて、1週間の予備飼育後、群間の平均体重がほぼ同等になるようにコントロール群(6匹)とオリーブ葉エキス摂取群(6匹)に群分けを行った。 コントロール群には、脂肪分約30質量%含む高脂肪食(固形飼料。オリエンタル酵母(株)製)を自由摂取させた(Maeda N et al, Nat Med. 2002 :731-737)。オリーブ葉エキス摂取群には、上記高脂肪食(オリエンタル酵母(株)製)に、オリーブ葉エキス(「オピエース」;エーザイフードケミカル(株)製)を該高脂肪食に対し0.57質量%(w/w)(実分)の配合割合となるよう添加したオリーブ葉エキス添加高脂肪食(固形飼料)を自由摂取させた。 上記各飼料を各群2週間自由摂取させて飼育した後、両群ともエーテル麻酔下において尾静脈より採血を行い、定法に従って血清を調製した。血清中のアディポネクチン濃度は、アディポネクチン測定用ELISAキット(大塚製薬製)を用いて測定した。結果を図1に示す。図1の結果から明らかなように、オリーブ葉エキス摂取群ではコントロール群に比べ、有意に血中アディポネクチン濃度が増加(P<0.05)した。この結果より、オリーブ葉エキスを摂取することにより、アディポネクチンの産生が促進され、高脂肪食摂取によるインスリン感受性の低下が抑制され、血糖値が低下したと考えられる。 すなわちオリーブ葉エキスが、アディポネクチンの血中濃度の低下、インスリン抵抗性の亢進等に起因する種々の疾患、例えば、メタボリックシンドローム、糖尿病やその合併症、動脈硬化、消化器疾患等の種々の病態に対し、優れた予防・治療効果を有することが裏付けられた。 実施例2 血中アディポネクチン濃度は、ヒトの肥満度を表す指数であるBMI(body mass index。ボディマス指数)と逆相関し、日本人男性では約6μg/ml、女性では約9μg/mlが平均値と報告されている。日本肥満学会によると、BMIが22の場合が標準体重、BMIが25以上の場合を肥満としている。 そこで、BMI25以上の男女で、血中アディポネクチン値が平均以下の21名を被験者として、オリーブ葉エキス含有サプリメント(試験試料)を1日3回食前に1錠ずつ8週間摂取させた後の血清中の総アディポネクチン濃度および高分子多量体アディポネクチン濃度を測定した。 (被験者) 下記表1に示す構成による。 (試験試料) 下記オリーブ葉エキス含有サプリメントを用いた。なお含有量はタブレット3錠中の含有量を示す。 (配 合 成 分) (mg/3錠) オリーブ葉エキス 300(純分) 海藻ポリフェノール(注1) 100 赤ショウガエキス 15(注1):仏産アスコフィラム・ノドサムと呼ばれるヒバマタ科の褐藻から抽出したフロロタンニンと呼ばれるポリフェノールの一種。 (試験方法) 試験試料(サプリメント)を1日3回、食前に1錠ずつ、8週間経口摂取し、試験開始時(0週)、4週間後、および8週間後に採血を行い、定法に従って血清を調製し、血清中の総アディポネクチン濃度および高分子多量体アディポネクチン濃度を測定した。測定にはヒト多量体アディポネクチン分別測定キット(第一化学薬品)を用いた。結果を図2に示す。 図2(a)は血中総アディポネクチン量、図2(b)は血中高分子多量体アディポネクチン量を示す。図中、横軸は週を示す。これらの図から明らかなように、血中総アディポネクチン濃度は摂取8週間後に、高分子量多量体アディポネクチン濃度は摂取4週間後および8週間後にともに有意な増加が認められた。 この実施例2により、医薬品以外で、ヒトにおけるオリーブ葉エキス摂取による血中アディポネクチン濃度増加、特には高分子多量体アディポネクチン濃度増加が初めて確認された。このことから、本発明のアディポネクチン産生促進剤は、食品等として用いることが可能で、これら食品を摂取することによって、血中の高分子多量体アディポネクチンを増加させることができ、メタボリックシンドローム、糖尿病やその合併症、動脈硬化、消化器疾患等の種々の病態に対し、優れた予防・治療効果が期待される。 以下にさらに処方例を示す。なお各処方例中、エキス配合量は純分(実分)を示す。 実施例3:サプリメント(タブレット3錠中) (配 合 成 分) (mg) オリーブ葉エキス 300 レスベラトロール(注2) 2 赤ショウガ 15(注2):ブドウの果皮部・新芽や赤ワイン、ピーナッツの薄皮などに多く含まれるポリフェノールの一種。 実施例4:サプリメント(タブレット3錠中) (配 合 成 分) (mg) オリーブ葉エキス 300 生コーヒーエキス(注3) 100 赤ショウガ 15(注3):コーヒー豆、アカネ科コーヒーノキの種子より含水エタノールで抽出したエキス。 実施例5:サプリメント(ソフトカプセル3錠中) (配 合 成 分) (mg) コエンザイムQ10 100 黒胡椒抽出物 4 Lーカルニチン酒石酸塩 100 イソフラボンアグリコン 30 ビタミンB1 20 ビタミンB2 12 イソロイシン 10 ロイシン 20 バリン 10 オリーブ葉エキス 10実施例1におけるコントロール群とオリーブ葉エキス摂取群での血中アディポネクチン濃度を示すグラフである。実施例2におけるヒトでの血中アディポネクチン濃度を示すグラフである。図2(a)は血中総アディポネクチン濃度を、図2(b)は高分子多量体アディポネクチン濃度を、それぞれ示す。 オリーブ葉エキスを有効成分とするアディポネクチン産生促進剤。 食品、医薬製剤、または飼料である、請求項1記載のアディポネクチン産生促進剤。 アディポネクチン産生促進効果に基づく機能表示を付した食品である、請求項1または2記載のアディポネクチン産生促進剤。 アディポネクチンの産生促進が、分子量300kDa以上の高分子量アディポネクチンの産生促進である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤。 低アディポネクチン血症の予防または治療剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤。 インスリン抵抗性改善剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤。 メタボリックシンドロームの予防または治療剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤。 糖尿病およびその合併症の予防または治療剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤。 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)およびそれに由来する肝疾患の予防または治療剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤。 【課題】低アディポネクチン血症、インスリン抵抗性亢進等に由来する各種疾患(例えば、メタボリックシンドローム、糖尿病およびその合併症、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)およびそれに由来する肝疾患、子宮内膜癌、閉経後乳癌、白血病、大腸癌、胃癌、前立腺癌等の癌)の治療・予防に役立つ食品、医薬製剤、飼料を提供する。【解決手段】オリーブ葉エキスを有効成分とするアディポネクチン、特には高分子量アディポネクチンの産生促進剤。該剤としては、食品、医薬製剤、または飼料が挙げられる。【選択図】図1


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