タイトル: | 公開特許公報(A)_ケトン化合物の製造方法 |
出願番号: | 2008059177 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 45/34,C07C 49/403,B01J 27/24,C07B 61/00 |
村上 昌義 西本 純一 JP 2009215199 公開特許公報(A) 20090924 2008059177 20080310 ケトン化合物の製造方法 住友化学株式会社 000002093 中山 亨 100113000 坂元 徹 100151909 村上 昌義 西本 純一 C07C 45/34 20060101AFI20090828BHJP C07C 49/403 20060101ALI20090828BHJP B01J 27/24 20060101ALI20090828BHJP C07B 61/00 20060101ALN20090828BHJP JPC07C45/34C07C49/403 AB01J27/24 ZC07B61/00 300 7 OL 7 4G169 4H006 4H039 4G169AA02 4G169AA03 4G169BA36A 4G169BB10B 4G169BB20A 4G169BB20B 4G169BC16B 4G169BC54A 4G169BC55A 4G169BC56A 4G169BC59A 4G169BC59B 4G169BC60A 4G169BC66B 4G169BD01A 4G169BD01B 4G169BD02A 4G169BD02B 4G169BD06A 4G169BD06B 4G169CB07 4G169CB11 4G169CB65 4G169CB72 4H006AA02 4H006AC44 4H006BA14 4H006BA19 4H006BA25 4H006BB21 4H006BB31 4H006BE03 4H006BE30 4H039CA62 4H039CC30本発明は、オレフィンを酸化して対応するカルボニル化合物を製造する方法に関する。オレフィン類の直接酸化によるカルボニル化合物の製造方法としては、古くからPdCl2−CuCl2触媒によるワッカー法が知られている。しかし、このワッカー法においては、塩素による装置の腐食や塩素化合物の副生などの問題がある。そのうえ、原料オレフィンの炭素数が増加するにつれて反応速度が著しく低下することや、内部オレフィンの反応性が低いなどの問題があり、工業的にはアセトアルデヒドやアセトン等の低級カルボニル化合物の製造以外には用いられていない。このような問題を解決する方法として、特許文献1ではパラジウム及びヘテロポリ酸の存在下、レドックス金属を添加して反応を行う方法が開示されている。特許文献1 特許出願公表63−500923しかしながら、特許文献1開示の方法ではPdあたりの活性が低く、生産性の観点から満足できるものではなかった。加えて、ヘテロポリ酸を多段階のステップで合成する必要があり、尚且つ単離にカリウム塩とする必要があるなど、触媒の入手、取り扱いの点から問題があった。すなわち、本発明は、有効量のプロトンならびに、パラジウム、イソポリ酸のアンモニウム塩、及び鉄化合物の存在下、水を含む溶媒中で、オレフィンと分子状酸素を反応させることを特徴とするカルボニル化合物の製造方法に関するものである。本発明によれば、入手の容易なイソポリ酸のアンモニウム塩を用いて高いケトン収率を得ることができる。本発明において使用できるパラジウム源としては、例えば、パラジウム金属、パラジウム化合物及びそれらの混合物が挙げられる。パラジウム化合物の具体例としては、例えば、パラジウムの有機酸塩、パラジウムの酸素酸塩、酸化パラジウム、硫化パラジウムが挙げられる。また、これらの塩や酸化物、硫化物の有機錯体又は無機錯体、ならびにこれらの混合物などが挙げられる。パラジウムの有機酸塩の例としては、例えば、酢酸パラジウムやシアン化パラジウムが挙げられる。パラジウムの酸素酸塩の例としては、例えば、硝酸パラジウムや硫酸パラジウムが挙げられる。これらの塩、酸化物、及び硫化物の有機錯体又は無機錯体の例としては、例えば、硝酸テトラアミンパラジウム(II)、ビス(アセチルアセトナート)パラジウムなどが挙げられる。中でも、パラジウムの有機酸塩又はパラジウムの酸素酸塩が好ましく、酢酸パラジウムが、より好ましい。特にシクロヘキセンを酸化する際には、パラジウム源に塩素が含まれていないことが望ましい。本明細書において、イソポリ酸のアンモニウム塩は、一種類以上の金属成分を含有する酸素酸の縮合生成物のアニオン部分と、そのカウンターカチオンの一部もしくは全部がアンモニウムイオンであるイソポリ酸塩を意味する。イソポリ酸のアンモニウム塩としては、例えば、Mo、W、V、Nb又はTaなどの酸素酸イオン(具体的には例えば、モリブデン酸、タングステン酸、バナジン酸、ニオブ酸、タンタル酸など)が一種類以上含まれるイソポリ酸のアンモニウム塩を挙げることができる。本発明において使用することができるイソポリ酸のアンモニウム塩は、特に限定されないが、好ましいイソポリ酸のアンモニウム塩は、一種類の金属元素からなるイソポリ酸のアンモニウム塩である。イソポリアニオンの一般式としては、[MyOz]x−(式中、Mは、Mo、W、V、Nb、およびTaから選ばれる一種類の元素を表し、x、y、zは1以上の整数を表す。)を示すことができる。さらに具体的には、例えば、イソポリモリブデン酸の場合、[Mo2O7]2−、[Mo3O10]2−、[Mo5O17]4−、[Mo6O19]2−、[Mo7O24]6−、[Mo8O27]6−、[Mo10O34]8−、[Mo36O112]8−などを挙げることができる。とくに好ましいイソポリモリブデン酸のアンモニウム塩は、入手の容易さから、(NH4)6[Mo7O24]である。前述のイソポリ酸のアンモニウム塩は、結晶水を含んでいてもよい。イソポリ酸のアンモニウム塩の使用量は、使用する溶媒の種類や反応条件によって異なるため一概には規定できないが、水を含む有機溶媒(典型的には、水を含むアセトニトリルを溶媒)を使用するときは、イソポリ酸のアンモニウム塩の濃度が0.1 mmol/L 〜100 mmol/Lとなる量を添加することが好ましく、更に好ましくは1 mmol/L 〜 50 mml/Lの範囲である。また、イソポリ酸のアンモニウム塩の使用量は、通常、パラジウム1モルに対して50〜0.1モル、好ましくは20〜0.5モル、更に好ましくは1〜10モルである。本発明の方法においては鉄化合物を添加して、反応が行なわれる。鉄化合物としては公知のものを使用することができるが、例えば、硫酸鉄、ミョウバン鉄(硫酸アンモニウム鉄)、硝酸鉄、リン酸鉄などの無機塩や、クエン酸鉄、酢酸鉄などの有機酸塩、フタロシアニン鉄、アセチルアセトナート鉄などの錯体、及び酸化鉄などを挙げることができる。なかでも無機塩が好適に用いられ、硫酸鉄やミョウバン鉄が好ましい。また、鉄化合物を用いる代わりに、鉄を含有するイソポリ酸のアンモニウム塩を用いることもできる。例えば、文献(Polyhedron, 6(2), p213-218, 1987)のように鉄化合物とイソポリ酸のアンモニウム塩で適当な処理を行い、得られた固体を反応系に添加することも可能である。好適な鉄濃度としては、イソポリ酸1モルに対して0.01〜100モル、より好ましくは0.1〜50モルである。本発明の反応は通常、液相中で行われ、不活性有機溶媒が通常、反応溶媒として使用される。不活性有機溶媒の例としては、例えば、ニトリル化合物(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、及びエーテル(1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなど)などの有機溶媒が挙げられる。通常、極性有機溶媒が好ましく使用され、アセトニトリルがさらに好ましい。また溶媒としては、上述の化合物を単独で用いても良いし混合物として使用してもよし。本発明においては、前記溶媒に含まれる水の割合としては、使用するイソポリ酸の種類や反応条件によって異なるため一概には規定できないが、50%容量以下が好ましく、とくに5〜40容量%が好ましい。本発明において用いられるオレフィンは制限されないが、特に環状オレフィンを酸化して効率的に環状ケトンを得ることができる。環状オレフィンの例としては、炭素数4〜20個の環状オレフィンが挙げられる。例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロドデセン、シクロオクタデセンなどが挙げられる。より好適に使用されるシクロオレフィンはシクロヘキセンであり、シクロヘキセンからシクロヘキサノンが効率的に製造される。分子状酸素としては、純酸素又は空気を使用することができ、これらのガスを、窒素又はヘリウムなどの不活性ガスで希釈することによって分子状酸素を含有するガスとして使用してもよい。使用する酸素量は、通常、反応系内に導入される酸素含有ガスの圧力によって調整され、酸素分圧として、好ましくは0.01〜10MPa(ゲージ圧)、さらに好ましくは0.05〜5MPa(ゲージ圧)の範囲に設定する。この反応ガスは、全量を反応前に導入しておいても良いし、反応中に系内に吹き込むなどして、連続的に供給しながら反応を行っても良い。 本発明の反応においては、プロトンは、イソポリ酸によって与えられてもよく、又はプロトン酸として反応に添加されてもよい。プロトン酸としては、無機酸、有機酸、又は固体酸が挙げられる。無機酸としては、フッ化水素酸のような二元酸(水素酸)と、硫酸、硝酸ようなオキソ酸(酸素酸)が例示される。有機酸の例としては、例えば、ギ酸、脂肪族カルボン酸(例えば酢酸)、脂環式カルボン酸(例えばシクロヘキサンカルボン酸)、芳香族カルボン酸(例えば安息香酸)、スルホン酸等などが挙げられる。スルホン酸としては、例えば、アルキルスルホン酸(例えばメタンスルホン酸又はエタンスルホン酸)、アリールスルホン酸(例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸又はナフタレンスルホン酸)などが挙げられる。固体プロトン酸の例としては、例えば、イオン交換樹脂(例えば、スルホン酸型イオン交換樹脂など)、酸性ゼオライトなど、及び硫酸化ジルコニアが挙げられる。特に、硫酸が好ましい。前述のプロトンの有効量は、使用されるオレフィン化合物、使用される溶媒の量及び種類により異なり、適宜調整される。例えば、反応が水相及び有機相を含む2相系である液相中で行われる場合、水相中のプロトンの濃度が好ましくは10−5〜10mol/l、さらに好ましくは10−3〜1mol/lになるように、プロトンをプロトン酸として添加しても良い。反応が水及び有機溶媒から形成される均一液相中で行われる場合、添加されるプロトン酸及びイソポリ酸がカウンターカチオンとしてプロトンを含む場合、含まれるプロトンの全てが遊離していると仮定して、均一液相中のプロトンの濃度が好ましくは10−5〜10mol/l、さらに好ましくは10−3〜1mol/lになるように添加してもよい。反応は、通常は、0〜200℃、好ましくは10〜150℃、さらに好ましくは30〜100℃の温度範囲で行われる。反応は、通常は、0.01〜10MPa(絶対圧)、好ましくは0.05〜7MPa(絶対圧)、さらに好ましくは0.1〜5MPa(絶対圧)の圧力範囲内で行なわれる。反応は、回分式、半回分式、連続法、又はそれらの組合せにおいて行なうことができる。触媒は、反応器内に予め仕込んでから反応を開始しても良いし、連続的に供給しながら反応しても良い。生成物を含有する反応溶液、又は反応ガスは捕集され所望のケトンを単離する。生成したケトン化合物は、通常は、蒸留、相分離などによって分離される。以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例1シクロヘキセン0.33g (4mmol)、アセトニトリル4.3ml、水0.7ml、硫酸0.04g、Pd(OAc)2 7mg (0.03mmol)、AHM((NH4)6[Mo7O24]・4H2O、和光純薬)6mg(0.005mmol)、ミョウバン鉄(FeNH4(SO4)2・12H2O、関東化学)3mg(0.005mmol)の混合物を120mlオートクレーブに入れ、空気2MPa、N2 3MPa下、撹拌子で撹拌しながら323Kで2時間反応させた。得られた反応マスをガスクロマトグラフィーで分析した結果を表1に示す。実施例2ミョウバン鉄の代わりに、硫酸鉄(FeSO4・7H2O、ナカライテスク)2mg(0.008mmol)を加えた以外は、実施例1と同様にしてシクロヘキセンの酸化反応を行った。結果を表1に示す。実施例3ミョウバン鉄の代わりに、酸化鉄(Fe2O3、関東化学)1mg(0.006mmol)を加えた以外は、実施例1と同様にしてシクロヘキセンの酸化反応を行った。結果を表1に示す。実施例4アセトニトリル4.6ml、水0.4mlにした以外は、実施例1と同様にしてシクロヘキセンの酸化反応を行った。結果を表1に示す。実施例5アセトニトリル3ml、水2mlにした以外は、実施例1と同様にしてシクロヘキセンの酸化反応を行った。結果を表1に示す。実施例6文献(Polyhedron, 6(2), p213-218, 1987)の方法に従い、ミョウバン鉄と(NH4)6[Mo7O24]・4H2Oを処理した。AHM 5g(4.2mmol)を水80mlに溶解させ、沸騰するまで加熱した。そこに、ミョウバン鉄1.5g(3.1mmol)を水20mlに溶かした溶液を滴下した。加熱下、容量が半分になるまで濃縮し、ろ過した。ろ液をさらに濃縮し、固体を得た。固体は、水で再結晶した。得られた固体は文献と同様の赤外吸収スペクトルを示した。以後、Fe−AHMと表記する。実施例7シクロヘキセン0.33g (4mmol)、アセトニトリル4.3ml、水0.7ml、硫酸0.04g、Pd(OAc)2 7mg (0.03mmol)、Fe−AHM 7mgの混合物を120mlオートクレーブに入れ、空気2MPa、N2 3MPa下、撹拌子で撹拌しながら323Kで2時間反応させた。得られた反応マスをガスクロマトグラフィーで分析した結果を表1に示す。比較例1特許文献1開示の方法に従ってK5H4PMo6V6Mo40を調製した。蒸留水38mlにメタバナジン酸ナトリウム7.32gを溶解させ、90℃にした。また、これとは別に蒸留水12mlにモリブデン酸ナトリウム8.07gを加え90℃に加熱し、先に調製したメタバナジン酸ナトリウム水溶液を加えた。この混合液に85%リン酸 5mlを添加した。冷却後、硝酸カリウム8gを加えて撹拌した後、固形物をろ過した。その固体を0.25M H2SO4から再結晶した。得られた固体を元素分析したところ、K5H4PMo6V6O40であった。比較例2シクロヘキセン1.6g(20mmol)、アセトニトリル3ml、水2ml、硫酸8.7mg、Pd(OAc)2 4 mg (0.02 mmol)、K5H4PMo6V6O40 100mg(0.06mmol)、ミョウバン鉄58mg(0.12mmol)の混合物を120mlオートクレーブに入れ、空気2MPa、N2 3MPa下、撹拌子で撹拌しながら323Kで2時間反応させた。得られた反応マスをガスクロマトグラフィーで分析した結果を表1に示す。比較例3シクロヘキセン210mg(2.6mmol)、アセトニトリル1.3ml、水3.8ml、硫酸7.7mg、Pd(NO3)2 8mg (mmol)、K5H4PMo6V6O40 160mg(0.09mmol)、Cu(NO3)2・3H2O 120mgの混合物を120mlオートクレーブに入れ、空気2MPa、N2 3MPa下、撹拌子で撹拌しながら323Kで2時間反応させた。得られた反応マスをガスクロマトグラフィーで分析した結果を表1に示す。TOF/h−1:(生成物のモル数)/(Pdのモル数)/(反応時間)AHM:((NH4)6[Mo7O24]・4H2O)有効量のプロトンならびに、パラジウム、イソポリ酸のアンモニウム塩、及び鉄化合物の存在下、水を含む溶媒中で、オレフィンと分子状酸素を反応させることを特徴とするカルボニル化合物の製造方法。イソポリ酸が、式[MyOz]x−(式中、Mは、Mo、W、V、Nb、およびTaから選ばれる一種類の元素を表し、x、y、zは1以上の整数を表す。)で表されるアニオンを有するイソポリ酸である請求項1記載の製造方法。イソポリ酸が、(NH4)6[Mo7O24]で表されるアンモニウム塩である請求項1記載の製造方法。アセトニトリルと水の混合溶媒中で反応させることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の製造方法。有効量のプロトンのプロトン源が硫酸である請求項1〜4いずれかに記載の製造方法。オレフィンが環状オレフィンであり、生成するカルボニル化合物が環状ケトンである請求項1〜5いずれかに記載の製造方法。オレフィンがシクロヘキセンであり、生成するカルボニル化合物がシクロヘキサノンである請求項1〜5いずれかに記載の製造方法。 【課題】オレフィン化合物と酸素と水からケトン化合物をより効率的に製造する方法を提供する。【解決手段】有効量のプロトンならびに、パラジウム、イソポリ酸のアンモニウム塩、及び鉄化合物の存在下、水を含む溶媒中で、オレフィンと分子状酸素を反応させることを特徴とするカルボニル化合物の製造方法に関する。例えば、シクロヘキセンをアセトニトリルと水の混合溶媒中でイソポリ酸のアンモニウム塩である(NH4)6[Mo7O24]及びミョウバン鉄の存在下、空気と反応させることにより、シクロヘキサノンを得ることができる。入手の容易なイソポリ酸のアンモニウム塩を用いて高いケトン収率を得ることができる。【選択図】なし