生命科学関連特許情報

タイトル:再公表特許(A1)_ケタジン化合物の製造方法
出願番号:2008052915
年次:2010
IPC分類:C07C 249/16,C07C 251/88


特許情報キャッシュ

谷口 正俊 森 浩司 JP WO2008102830 20080828 JP2008052915 20080214 ケタジン化合物の製造方法 大塚化学株式会社 302060306 田村 巌 100081536 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 谷口 正俊 森 浩司 JP 2007039185 20070220 C07C 249/16 20060101AFI20100430BHJP C07C 251/88 20060101ALI20100430BHJP JPC07C249/16C07C251/88 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20100527 2009500226 13 4H006 4H006AA02 4H006AC59 4H006BC31 4H006BE14 4H006BE32 4H006BE36 本発明は、ケタジン化合物の製造方法に関する。 ケタジンは水加ヒドラジンの合成中間体として有用であり、過酸化水素とアンモニアとケトンから製造できることが知られている(非特許文献1及び2)。これら反応の過程において生成するヒドラジンと、残存する酸化剤との反応によって該ヒドラジンが分解され、目的とするケタジンの収率を低下させる虞がある。また、ケトン、アミン、及び生成するヒドラジンにより、複雑な副反応を生じ、例えば下記式(A)又は(B)で表されるような、除去が困難な高沸点有機物が副生する。[R’又はR”は、同一又は異なってメチル基又はエチル基を表す。] そのため、実際には使用するケトン及びアンモニアを大過剰に使用し、使用する酸化剤を速やかに消費するように反応を行っている。しかしながら、ケトン及びアンモニアを大量に使用するため、結果として反応液中のケタジンの濃度が、通常3%以下と極めて低くなっている。カークオスマー第3版、第12巻、734〜755頁、「ヒドラジン 性質とその応用」(横田俊雄著、地人書館1968年3月発行) 得られたケタジンから水加ヒドラジンを得るには、一般的には生成したケタジンを含有する水溶液を加圧蒸留して製造している。 しかしながら、反応液中のケタジン濃度が低いと水加ヒドラジンを得る反応で行う加圧蒸留に大きなエネルギーを必要とする問題が生じている。 これを避けるために生成するケタジンが高濃度となるように反応を行った場合には、前述したように、ケタジンの生成収率の低下に加え、製造する水加ヒドラジン中に不純物となる副生成物が混入することになる。 本発明の課題は、ケタジン化合物を高収率で製造することができ、副生成物の生成を抑えることができる製造方法であって、ケタジン化合物の高濃度反応液を得ることができる、ケタジン化合物の製造方法を提供することにある。 本発明は、以下の発明に係る。1.式(2)で表されるケトン化合物、アンモニア及び酸化剤から式(1)で表されるケタジン化合物を製造する方法であって、流路幅が2〜10000μmの管状反応器中で式(2)で表されるケトン化合物及びアンモニアを含む溶液と、酸化剤を含む水溶液とを接触させる式(1)で表されるケタジン化合物の製造方法。[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、C1−6アルキル基を表すか、或いはR1及びR2が互いに結合して直鎖状のC2−7アルキレン基を表す。][式中、R1及びR2は前記に同じ。]2.酸化剤が過酸化水素水又は次亜塩素酸ナトリウムである上記に記載の製造方法。3.過酸化水素1モルに対して、式(2)で表されるケトン化合物2〜5モル及びアンモニア2〜10モルを使用する上記に記載の製造方法。4.次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素1モルに対して、式(2)で表されるケトン化合物2〜50モル及びアンモニア2〜400モルを使用する上記に記載の製造方法。5.式(2)で表されるケトン化合物及びアンモニアを含む溶液と、酸化剤を含む水溶液とからなる反応液中の酸化剤が1.6〜20重量%である上記に記載の製造方法。 本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意研究を続けた結果、ケトン、アンモニア、及び酸化剤からケタジンを製造する反応を、極めて小さな流路幅を有する管状反応器内で行うことで、生成するケタジン化合物が高濃度となる反応液であっても、副生成物の生成を抑制し、高収率でケタジン化合物を生成することを見出し、本発明を完成した。 本明細書において各置換基は以下を意味する。 C1−6アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。 直鎖状のC2−7アルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基を挙げることができる。 本発明は式(2)で表されるケトン化合物及びアンモニアを含む溶液と、酸化剤を含む水溶液を管状反応器中で接触させることで、式(1)で表されるケタジン化合物を製造する方法にかかる。 本発明の製造方法で使用する式(2)で表されるケトン化合物としては、例えば、アセトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンが挙げられる。特に、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンが好ましい。 本発明の製造方法で使用するアンモニアは、市販のアンモニア水を使用してもよいが、アンモニアガスを水に導入して調製することで任意の高濃度アンモニア水とすることができ、好ましい。 式(2)で表されるケトン化合物及びアンモニアを含む溶液は、水に式(2)で表されるケトン化合物とアンモニアが溶解した水溶液であり、例えばアンモニア水に式(2)で表されるケトン化合物を投入して溶解混合した後、必要に応じて所定濃度になるように希釈して調製してもよく、式(2)で表されるケトン化合物の水溶液とアンモニア水とを混合することでも調製できる。 また、予め調製した式(2)で表されるケトン化合物及びアンモニアを含む水溶液を、管状反応器内に導入して反応に用いてもよく、式(2)で表されるケトン化合物の水溶液とアンモニア水とをそれぞれ別の導入口から管状反応器内に導入して、流路内で接触させてもよい。 式(2)で表されるケトン化合物とアンモニアとを含む溶液中において、一部又は全部が反応して下記式(3)で表されるケチミン化合物を生成することが考えられる。[式中、R1及びR2は前記に同じ。] 上記ケチミン化合物1モルは、式(2)で表されるケトン化合物1モルとアンモニア1モルに相当する。 本発明の製造方法で使用する酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウム又は過酸化水素を挙げることができる。 過酸化水素としては、市販品を使用することができ、通常30〜90重量%の過酸化水素水溶液を用いることができる。これら過酸化水素には、リン酸等の通常使用される過酸化水素の安定化剤が含まれていてもよい。 次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品である有効塩素濃度10〜20重量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液、又は製造装置、条件に応じて、適宜選択的に製造時に副生する塩化ナトリウム量を低減した脱塩次亜塩素酸ナトリウムを使用することができる。 式(2)で表されるケトン化合物、アンモニア、及び酸化剤の使用量は、酸化剤として過酸化水素を用いる場合には、例えば、過酸化水素1モルに対して、式(2)で表されるケトン化合物を2〜5モル、好ましくは3〜4モル程度とすればよく、アンモニアは2〜10モル、好ましくは3〜4モル程度とすればよい。 また、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いる場合には、次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素1モルに対して、式(2)で表されるケトン化合物を2〜50モル、好ましくは4〜40モル程度とすればよく、アンモニアは2〜400モル、好ましくは3〜300モル程度とすればよい。 本発明の製造方法において、酸化剤の使用濃度は、広範囲の中から設定することができ、式(2)で表されるケトン化合物及びアンモニアを含む溶液と、酸化剤を含む水溶液とからなる反応液中の酸化剤の使用濃度としては、0.1〜30重量%、好ましくは1.6〜20重量%、更に好ましくは2〜15重量%である。 一般にケタジンを製造する方法においては、反応過程で生成するヒドラジンとの反応を制御するために、反応液中のヒドラジン又はケタジンの濃度を3重量%以下となるように行うのが好ましいとされる。そのため、酸化剤として過酸化水素を使用する場合には、使用限界濃度が約1重量%程度でなければならないことになる。 本発明の製造方法によれば、反応液中の酸化剤の使用濃度を、低濃度は勿論、高濃度であっても生成収率に影響することなく式(1)で表されるケタジン化合物を生成することができる。例えば、2重量%の酸化剤を使用した場合には、理論的には反応液中約6.6重量%程度のケタジン化合物を生成することになる。 酸化剤として過酸化水素を使用する場合には、触媒作用のある化合物を用いるのが好ましく、例えば特開2004−67633号公報に記載されているアミド化合物、アンモニウム塩、又はニトリル化合物、更に有機ヒ素化合物及びカルボン酸化合物を水とアルコールの混合溶媒に溶解させた作動液を好ましく使用することができる。 当該作動液は、酸化剤を含む水溶液との接触又は混合に先立って、式(2)で表されるケトン化合物及びアンモニアを含む溶液と接触又は混合させるのが好ましい。 また、作動液中に、使用する式(2)で表されるケトン化合物又はアンモニアの一部を添加しておいてもよい。 なお、当該作動液を使用した場合、前記酸化剤の反応液中の使用濃度は、当該作動液と式(2)で表されるケトン化合物及びアンモニアを含む溶液と酸化剤を含む水溶液からなる反応液中の濃度である。 反応は、通常30〜110℃、好ましくは30〜70℃で行うことができる。反応温度が30℃よりも低い場合は反応収率が低下し、また110℃よりも高い場合には過酸化水素又は次亜塩素酸ナトリウムの分解が生じるため、やはり反応収率が低下する。また、反応圧力は任意で行えるが、常圧で行うのが容易である。 本反応で得られた式(1)で表されるケタジン化合物は、例えばミキサー/セトラー又は遠心分離機による液々分離法、液−液抽出、蒸留等の公知の方法、及びこれらを組み合わせた方法で反応液から取り出すことがでる。 本発明において使用する管状反応器は、液体の導入口と排出口を有し、導入口から排出口へ液体が流れることができる流路からなっている。好ましくは、2つ又は3つの導入口を有し、それぞれの導入口から異なる流体を導入し、各流体が接触した後、排出口から排出される構造とした管状反応器であり、流路を例えばT字又はY字のように分岐した形状とすることができる。各流体が接触する流路部分を以下反応流路と呼ぶことがある。 このような管状反応器は、基板表面に積層、貼付、エッチング、LIGA(Lithographie,Galvanoformung,Abformung)プロセス、切削、鋳型成型等の手法を用いて流路を形成させることで製造することができるが、アービオテック社製Microfluidcs chip、インスティチュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ社製マイクロリアクター、セルラー・プロセス・ケミストリー社製SelectoもしくはCytos等の市販の反応器を使用することも可能である。 流路の断面形状は、特に制限されず、例えば三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、八角形等の多角形、円形、楕円形等を挙げることができる。 また、流路の表面は、滑面であってもよく、微妙な凹凸を有していてもよく、場合によっては当該凹凸で螺旋を形成していてもよい。 当該流路の幅、即ち流路幅は2〜10000μm、好ましくは5〜5000μmであり、流路幅が2μmよりも小さい場合には析出した固形物により流路が閉塞する危険性が高まり、また10000μmよりも大きい場合には、本発明で目的とする効果を得るのが困難となる。なお、本明細書において流路幅とは、2つ以上の流体が接触することができる部分の流路の最大幅であって、断面が円形である流路においては直径に相当することを意味する。 当該流路の長さは、反応流路で0.01〜100m程度、好ましくは0.05〜10m程度で適宜設定すればよく、流路を直管状だけでなく曲管状としてよく、円形、楕円形、角形のコイル状、螺旋状としてもよい。 図1の管状反応器を用いた本発明の製造方法を簡単に説明する。例えば、式(2)で表されるケトン化合物を含む水溶液を導入口a(2)から導入し、アンモニアを含む水溶液を導入口b(3)から導入することで、流路(5a)内で混合され、式(2)で表されるケトン化合物とアンモニアを含む溶液を形成し、導入口c(4)から酸化剤を含む水溶液を導入することで、それ以降の流路内で式(2)で表されるケトン化合物とアンモニアを含む溶液と酸化剤を含む水溶液とを接触又は混合させることができ、生成した式(1)で表されるケタジン化合物を排出口(6)から反応液とともに取り出すことができる。 また、酸化剤として過酸化水素を使用する場合、式(2)で表されるケトン化合物を含む水溶液とアンモニアを含む水溶液とを予め混合した水溶液を導入口a(2)から導入し、作動液を導入口b(3)から導入することで、流路(5a)内で接触又は混合されて式(2)で表されるケトン化合物とアンモニアを含む溶液を形成し、導入口c(4)から酸化剤を含む水溶液(過酸化水素水)を導入することで、式(1)で表されるケタジン化合物を製造することができる。 本発明の製造方法において使用する管状反応器は、導入口から導入した2種以上の流体が反応流路において接触又は混合して通過する際、各流体が層流状態を形成するよう設計されることが好ましい。 層流状態は、下記式(1)により表されるレイノルズ数で表され、少なくとも2300よりも小さく、より好ましくは100以下であることが好ましい。Re=LUρ/η (1)[式中Reはレイノルズ数、Lは流路の長さ、Uは流体の流速、ρは流体の密度、ηは流体の粘度係数を表す。] 本発明で使用される微細構造を有する反応器は、反応器を流れる流体の圧力変動が小さいほど接触又は混合の効率が向上し、それに伴い局所的な温度上昇や副反応が抑制されるため、結果的に反応効率を増大させることができる。 圧力変動幅は5%以下とし、2%以下が好ましく、1%以下とすることが特に好ましい。 圧力変動幅が5%以上の場合は、その変動に伴い流体の流量、流速が変動するため、均一な接触又は混合比率が維持できなくなり、結果的に反応効率が低下する。 流体の導入方法は、安定な流量(流速)及び圧力を有する流体が導入でき、安定した層流構造を形成できる導入方法であれば特に限定されないが、例えばシリンジポンプ、ピストンポンプ、ダイアフラムポンプ、プランジャーポンプ、ギアポンプ、ペリスターポンプ、ボリュートポンプ、デフューザポンプ等のポンプ類を好ましく使用でき、これらポンプ類は1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。 本発明で使用する管状反応器は、その反応条件に合わせて、例えば冷却装置、加熱装置、電気的な制御装置、分析装置等、適宜選択された付帯装置を取り付けて使用することができる。 上記した管状反応器を複数を並列又は積層して使用することにより、工業的に大量生産することが可能となる。 図1は本発明の製造方法において使用する管状反応器の一例を示す図である。 図2は本発明の実施例で用いた管状反応器の1例を示す図である。符号の説明 1:基板、2:導入口a、3:導入口b、4:導入口c、5:流路、5a:流路の一部、6:排出口 以下に参考例、実施例、試験例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、何らこれに限定されるものではない。 以下、本発明を参考例、実施例、及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。参考例1(管状反応器の製造) 30mm×70mm×2mmのソーダ石灰ガラス板に切削加工機(小型マシニングセンタEGX−300、Roland社製)を用いて、下記条件で管状反応器を調製した。切削ドリル: 径0.5mm及び0.2mmの電着ダイアモンドバー(A2505、A2502、MINIMO社製)切削条件: XY軸方向速度0.5mm/sec、Z軸方向速度 0.5mm/sec、切削ピッチ0.01mm、主軸回転数15000rpm流入出口: 径1.00mmの超硬ドリル(A2501)を使用して加工 得られた加工ソーダ石灰ガラス板と未加工硝子板を積層し、660℃で5時間以上融着して幅100〜500μm、深さ100〜200μm、及び長さ150mm(a−b:50mm、b−Outlet:100mm)の流路を有する反応器(図2)を作成した。 なお、当該反応器には、恒温装置を備え、各導入口(Inlet A−C)にシリンジポンプ(KD Scientific Inc.社製)を装着した。 カコジル酸33重量%、メチルアルソン酸7重量%、酢酸20重量%、水7重量%、アンモニア6重量%、エチレングリコール27重量%を混合して作動液100gを調製した。 参考例1で作成した管状反応器の恒温装置を50℃に設定した後、Inlet Aから作動液、Inlet Bから23%アンモニア水24gとメチルエチルケトン46gの水溶液、Inlet Cから60%過酸化水素水溶液17gを、シリンジポンプを用いて導入した。その導入は、各溶液の混合比率が10:7:2の割合となるように設定し、反応液の流量(図2のbからOutletにおける流量)は4.5ml/minとした。この時のレイノルズ数は約2であった。 Outletから排出された反応液に、過剰のメチルエチルケトンを加えた後、下記条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定し、標準品との比較により、メチルエチルケタジンの生成量を求めた。(HPLC条件)カラム:Inertsil ODS−3(φ4.6×250mm、GLサイエンス社製)カラム温度:40℃移動相:アセトニトリル/20mmolリン酸緩衝液(pH7)=2/8流速:1.0ml/min検出器:UV(λ235nm)注入量:3μl その結果、目的のメチルエチルケタジンが添加した過酸化水素に対して94%の収率で生成したことを確認した。 参考例1で作成した管状反応器のInlet Aから23%アンモニア水溶液813g、Inlet Bからアセトン174g、Inlet Cから有効塩素量17%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液253gを、シリンジポンプを用いて導入した。その導入は、各溶液の混合比率が81:17:25の割合となるように設定し、反応液の流量(図2のbからOutletにおける流量)を1.5ml/minとした。この時のレイノルズ数は約1.5であった。 Outletから排出された反応液を、下記ガスクロマトグラフィーで分析し、標準品を用いた検量線からジメチルケタジンの生成量を求めた。(ガスクロマトグラフィー分析条件)カラム:PEG20M+KOH(10+10%) on ChromosorbW NAW 80/100mesh 2.1mカラム温度:170℃インジェクション温度:230℃キャリアガス:N2 40ml/minDetecter:FID注入量:0.5μl 結果、目的のジメチルケタジンが、添加した次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素量に対して96%の収率で生成したことを確認した。参考例2 実施例1で得られたメチルエチルケタジンを含有する反応液を加圧蒸留(内温:〜150℃、2229hPa)し、留分中のエチルメチルケトンが検出限界以下となった時点を終点とした(ガスクロマトグラフィー分析)。 更に得られた残分を160hPaで減圧蒸留し、残分が80%水加ヒドラジン水溶液となるよう調節した。この80%水加ヒドラジン水溶液を室温まで冷却したのち、不溶物及び析出物を濾別し、目的とする80%水加ヒドラジン水溶液を得た(収率:96% from ケタジン)。 水加ヒドラジンは、下記滴定方法にてその含量を算出した。<水加ヒドラジン含量> ホールピペットを用いて試料10mLを精秤し、100mLメスフラスコに加えて脱イオン水でメスアップする。さらにホールピペットを用いて、この液を10mL精秤して三角フラスコに移す。次に脱イオン水約90mL、硫酸(1+1)(濃硫酸を同容量の水で希釈)約5mL添加したのち、液量が半分になるまで煮沸蒸発する。冷却した溶液に炭酸水素ナトリウムを若干過剰に添加し(若干結晶が残る程度)、1/10規定ヨウ素で滴定する。指示薬としては、デンプンを使用する。水加ヒドラジン含量(w/v%)は、下記式に従って算出する。水加ヒドラジン含量(w/v%)=100×(0.00125×100×F×A/10×10)=0.125×F×AA:1/10Nヨウ素滴定量(mL)F:1/10Nヨウ素力価=精秤したヨウ素の値/25.3809(g)1000mLの脱イオン水に溶解参考例3 実施例2で得られたジメチルケタジンを含有する反応液を、参考例2の方法と同様の方法で80%水加ヒドラジン水溶液を得た(収率:95% from ケタジン)。比較例1 カコジル酸33重量%、メチルアルソン酸7重量%、酢酸20重量%、水7重量%、アンモニア6重量%、エチレングリコール27重量%からなる作動液100gを200ccの攪拌機付き反応器(4つ口フラスコ)に仕込み、60℃に保持して、23%アンモニア水溶液24g、メチルエチルケトン46gと60%過酸化水素水溶液8.5gを同時に30分間かけて添加し、80分間反応させた。得られた反応混合物を、実施例1に記載のHPLC条件で分析した結果、メチルエチルケタジンが添加した過酸化水素に対して67%の収率で生成したことを確認した。 また、参考例2の方法と同様にして80%水加ヒドラジン水溶液を得た(収率:89% from ケタジン)。副生成物A及びBがそれぞれ205ppm及び101ppm含まれていた。比較例2 23%アンモニア水溶液813g及びアセトン174gを反応器に入れ、更にこれに1020gの水を添加し、アンモニア及びアセトンの濃度が18重量%になるように調製した後、攪拌しながら60℃に昇温した。次に有効塩素量14%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液253gを80分間かけて添加し、反応を行った。 更に得られた反応混合物を、実施例1と同様の方法で分析した結果、添加した次亜塩素酸ナトリウムに対してジメチルケタジンが52%の収率で生成したことを確認した。また、参考例2の方法と同様の方法で80%水加ヒドラジン水溶液を得た(収率:90% from ケタジン)。副生成物A及びBがそれぞれ101ppm及び98ppm含まれていた。比較例3 23%アンモニア水溶液81.3g及びアセトン17.4gを反応器に仕込み、さらにこれに1706gの水を添加し、反応試剤の濃度が2%になるように調製したのち、攪拌しながら60℃に昇温した。次に有効塩素量14%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液25.3gを80分間かけて添加して反応を行った。 更に得られた反応混合物を、実施例1と同様の方法で分析した結果、添加した次亜塩素酸ナトリウムに対してジメチルケタジンが86%の収率で生成ことを確認した。 また、参考例2の方法と同様の方法で80%水加ヒドラジン水溶液を得た(収率:92% from ケタジン)。副生成物A及びBがそれぞれ41ppm及び35ppm含まれていた。 上記実施例1〜2、参考例2〜3、比較例1〜3の結果を表1にまとめた。a)反応に使用した酸化剤の反応液中の濃度。 実施例2、比較例2及び3の( )内数値は、次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素の濃度を表す。b)収率100%とした場合の反応液中のケタジン化合物の濃度。c)水加ヒドラジンのケタジン化合物からの生成収率。( )内数値はケタジン化合物製造反応の酸化剤からの生成収率を表す。d)生成した水加ヒドラジン中に存在する副生成物Aの含量。e)生成した水加ヒドラジン中に存在する副生成物Bの含量。 本発明のケタジン化合物の製造方法によれば、生成するケタジンの反応液中濃度を低くすることなく、反応過程で生成するヒドラジンの酸化剤による分解を抑制でき、副生成物の生成を抑制することができる。更に本発明の製造方法によって製造されたケタジン化合物を含有する反応液を用いることで、水加ヒドラジンの製造におけるエネルギーを抑えることが可能となり、不純物の少ない水加ヒドラジンを高収率で製造することができる。式(2)で表されるケトン化合物、アンモニア及び酸化剤から式(1)で表されるケタジン化合物を製造する方法であって、流路幅が2〜10000μmの管状反応器中で式(2)で表されるケトン化合物及びアンモニアを含む溶液と、酸化剤を含む水溶液とを接触させる式(1)で表されるケタジン化合物の製造方法。[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、C1−6アルキル基を表すか、或いはR1及びR2が互いに結合して直鎖状のC2−7アルキレン基を表す。][式中、R1及びR2は前記に同じ。]酸化剤が過酸化水素水又は次亜塩素酸ナトリウムである請求の範囲1に記載の製造方法。過酸化水素1モルに対して、式(2)で表されるケトン化合物2〜5モル及びアンモニア2〜10モルを使用する請求の範囲2に記載の製造方法。次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素1モルに対して、式(2)で表されるケトン化合物2〜50モル及びアンモニア2〜400モルを使用する請求の範囲2に記載の製造方法。式(2)で表されるケトン化合物及びアンモニアを含む溶液と、酸化剤を含む水溶液とからなる反応液中の酸化剤が1.6〜20重量%である請求の範囲1に記載の製造方法。 式(2)で表されるケトン化合物、アンモニア及び酸化剤から式(1)で表されるケタジン化合物を製造する方法であって、流路幅が2〜10000μmの管状反応器中で式(2)で表されるケトン化合物及びアンモニアを含む溶液と、酸化剤を含む水溶液とを接触させる式(1)で表されるケタジン化合物の製造方法。[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、C1−6アルキル基を表すか、或いはR1及びR2が互いに結合して直鎖状のC2−7アルキレン基を表す。][式中、R1及びR2は前記に同じ。]


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る