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タイトル:再公表特許(A1)_ヘアジェル用ポリビニルピロリドン水溶液およびヘアジェル
出願番号:2008050197
年次:2010
IPC分類:A61K 8/81,A61Q 5/06,C08F 2/44,A61K 8/41,A61K 8/19,C08L 39/06


特許情報キャッシュ

泉 啓子 宮井 孝 JP WO2008096567 20080814 JP2008050197 20080110 ヘアジェル用ポリビニルピロリドン水溶液およびヘアジェル 株式会社日本触媒 000004628 植木 久一 100075409 菅河 忠志 100115082 二口 治 100125184 伊藤 浩彰 100125243 植木 久彦 100129757 柴田 有佳理 100149021 泉 啓子 宮井 孝 JP 2007025612 20070205 A61K 8/81 20060101AFI20100423BHJP A61Q 5/06 20060101ALI20100423BHJP C08F 2/44 20060101ALI20100423BHJP A61K 8/41 20060101ALN20100423BHJP A61K 8/19 20060101ALN20100423BHJP C08L 39/06 20060101ALN20100423BHJP JPA61K8/81A61Q5/06C08F2/44 BA61K8/41A61K8/19C08L39/06 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20100520 2008557039 14 4C083 4J002 4J011 4C083AB081 4C083AB082 4C083AC102 4C083AC521 4C083AC522 4C083AC541 4C083AC542 4C083AD071 4C083AD072 4C083AD092 4C083BB32 4C083BB36 4C083BB53 4C083CC31 4C083CC32 4C083DD01 4C083DD27 4C083DD38 4C083DD41 4C083EE01 4C083EE21 4C083FF01 4J002BJ001 4J002DE026 4J002DF008 4J002EN047 4J002EN107 4J002FD207 4J002FD208 4J002GB00 4J002HA04 4J011PA36 4J011PB40 4J011PC02 4J011PC04 4J011PC08 本発明は、頭髪をセットするために用いられるヘアジェル用のポリビニルピロリドン水溶液に関し、特に、ヘアジェル製造時に白濁や黄色への着色現象が起こらないヘアジェル用ポリビニルピロリドン水溶液および該水溶液を用いて得られるヘアジェルに関するものである。 ポリビニルピロリドンは、安全な機能性ポリマーとして、化粧品、医農薬中間体、食品添加物、感光性電子材料、粘着付与剤等の用途に、あるいは、種々の特殊工業用途に、幅広い分野で用いられている。ポリビニルピロリドン(以下、PVPと省略する)の製造方法の一つとして、水媒体中、金属触媒の存在下で、過酸化水素を重合開始剤として、N−ビニル−2−ピロリドンを重合する方法が知られている(例えば、特許文献1、2、3を参照)。この場合、重合時に助触媒として第1〜3級アミンを用いると重合が遅くなり、得られたポリマー溶液が着色するが(例えば、特許文献1の第1頁右下欄を参照)、アンモニアを用いると重合が速やかに進行し、着色が抑えられることも知られている。 上記のような方法で製造すると、PVPは水溶液の形態で得られるが、水溶液を加熱乾燥して固形物を得る場合、水溶液にアンモニアが含まれていると、加熱乾燥時にPVPの架橋反応やグラフト反応等が進行し、水に不溶な高分子量のPVPを生じるという問題があった。本発明者等は、第2級アミンの併用によって上記問題を解決し、既に出願した(特許文献4)。 ところで、頭髪を思い通りの形にセットするために用いられるヘアジェルは、PVPの用途の一つである。ヘアジェルは、通常、カルボキシビニルポリマー等のアルカリ増粘性ポリマー水溶液にアルカリを添加して増粘させた(以下、増粘後のものをアルカリ増粘型ポリマー水溶液という)後、別途、上記乾燥工程により製造されたPVPの粉体を、再度水に溶解させて得たPVP水溶液を混合することによって製造される。もちろん、必要に応じて、他の成分も適宜混合される。特開昭62−62804号公報特開平11−71414号公報特開2002−155108号公報特開2006−273937号公報 重合時には水溶液状態で得られるPVPを、加熱して粉体とし、再び水溶液にするのはエネルギー的に無駄である。また、粉体は飛散し易いため、環境上問題がある。こういった観点から、重合により得られたPVP水溶液をそのまま(あるいは希釈または濃縮して)ヘアジェルの製造に用いる検討を、本発明者等が行った。 その結果、PVP水溶液とアルカリ増粘型ポリマー水溶液とを混合する際に白濁が生じるという問題が発生した。ヘアジェルには透明性が要求されるため、白濁した製品は商品価値がない。また、上記混合時に、黄色く着色することがあった。ヘアジェルが着色してしまうと、所望の色や無色透明のヘアジェルを製造することができないため、着色防止が望まれていた。 上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、上記白濁および着色現象の原因を突き止めて、白濁・着色のない透明なヘアジェルを製造することのできるポリビニルピロリドン水溶液を提供することと、高品質の無色透明なヘアジェルを提供することにある。 本発明者らは、種々検討の結果、PVP水溶液中に第3級アミンを共存させれば、上記白濁と黄色への着色が起こらなくなることを見出して、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、ヘアジェルを製造するためのポリビニルピロリドン水溶液であって、第3級アミンとアンモニアを含有するヘアジェル用ポリビニルピロリドン水溶液であるところに要旨を有する。 第3級アミンは、ポリビニルピロリドンに対して0.05〜1質量%であることが好ましい。また、ヘアジェル用ポリビニルピロリドン水溶液は、水媒体中、金属触媒、アンモニアおよび第3級アミンの存在下で、過酸化水素を重合開始剤として、N−ビニル−2−ピロリドンを重合して得られたものであることが好ましい。このポリビニルピロリドンのK値は15〜60であることが好ましい。アンモニアは第3級アミンに対して1〜100質量%であることが好ましい。 本発明には、上記ヘアジェル用ポリビニルピロリドン水溶液とアルカリ増粘型ポリマー水溶液とを混合することにより得られたヘアジェルも含まれる。 本発明によれば、アルカリ増粘型ポリマー水溶液と混合しても、白濁の生じない高品質のPVP水溶液を提供することができた。また、本発明のPVP水溶液から得られるヘアジェルは、黄色に着色しないこともわかった。よって、商品価値の高い無色透明なヘアジェルを提供することができた。 上記したとおり、第1〜第3級アミンはPVPの重合に際し助触媒として用いることは知られており、また、アルカリ増粘性ポリマー水溶液の増粘用アルカリとしても公知である。しかしながら、アルカリ増粘性ポリマー水溶液の増粘用アルカリとして第3級アミンを用いていても、PVP水溶液が第3級アミンを含有していない場合、両者の混合によって白濁や着色が生じてしまうことから、混合時に第3級アミンが共存しているだけでは、この白濁・着色現象が防止できないことは本発明者等によって確認されている。そして、本発明者等が検討を続けた結果、過酸化水素を重合開始剤として用いて得られたPVP水溶液の場合にのみ、このような白濁・着色が生じることがわかった。このような白濁・着色問題は本発明者等によって初めて認識されたものであり、PVP水溶液に含まれている第3級アミンのみがこの白濁・着色現象の抑制に有用であるとの知見も本発明者等によって初めてもたらされたものである。以下、本発明を詳細に説明する。 本発明は、第3級アミンおよびアンモニアを含有するPVP水溶液に関するものである。PVPはN−ビニル−2−ピロリドンのホモポリマーであるが、本発明の効果を損なわない限り、他の共重合成分が一部共重合されていてもよい。PVPのフィケンチャー法によるK値は、15〜60が好ましい。より好ましい上限は50、さらに好ましい上限は40である。より好ましい下限は25である。ここで、フィケンチャー法によるK値は、後述する実施例で説明する方法により測定される値である。PVP水溶液中の固形分濃度は30〜60質量%が好ましく、40〜55質量%がより好ましい。 PVPは、N−ビニル−2−ピロリドンを重合させて得られるものである。その方法は従来公知のいかなる方法であってもよいが、低分子量のPVPを調製するという観点から、水媒体中、金属触媒の存在下で、アンモニアを助触媒とし、過酸化水素を重合開始剤としてラジカル重合する方法が好ましい。 金属触媒としては、例えば、硫酸銅(II)、塩化銅(II)、酢酸銅(II)等の重金属塩等が挙げられる。金属触媒の添加量は、N−ビニル−2−ピロリドンの仕込み量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、N−ビニル−2−ピロリドンに対して、質量比で、1ppb〜200ppb程度が好ましい。また、アンモニアの含有量は、50ppm〜500ppmが好ましい。過酸化水素の添加量は、N−ビニル−2−ピロリドンの仕込み量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、N−ビニル−2−ピロリドンに対して、0.1〜6質量%程度が好ましい。 ラジカル重合の具体的方法は、特に限定されるものではないが、例えば、金属触媒を含む水媒体中に、N−ビニル−2−ピロリドン、助触媒および重合開始剤を順次添加して重合する方法が挙げられることができる。あるいは、N−ビニル−2−ピロリドンを含む水媒体中に、金属触媒、助触媒および重合開始剤を順次添加して重合することもできる。重合温度は、通常、50〜100℃程度が好適であり、重合時間は、反応溶液中に残存するN−ビニル−2−ピロリドン量が10ppm以下となるまで適宜調節すればよく、特に限定されるものではない。 本発明のPVP水溶液は必須成分としてPVP以外に第3級アミンを含有していなければならない。「第3級アミン」とは、アンモニアの水素原子3個を置換もしくは無置換の炭化水素基(この炭化水素基が後述の通り結合して含窒素複素環を形成する場合を含む。)で置換した化合物を意味する。ここで、3個の炭化水素基は、同一であっても互いに異なっていてもよく、その各々が脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基から独立して選択されるか、あるいは、互いに結合して、隣接する窒素原子と共に、場合によっては、さらに窒素、酸素および硫黄から選択される他の異種原子と共に、含窒素複素環を形成していてもよい。 脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1以上、4以下のアルキル基、炭素数2または3のアルケニル基等が例示され、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等が挙げられる。 脂環式炭化水素基としては、例えば、炭素数5または6のシクロアルキル基等が例示され、具体的には、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。 芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6以上、8以下のアリール基、炭素数7または8のアラルキル基等が例示され、具体的には、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。 含窒素複素環としては、例えば、1個または2個の窒素原子を含む複素環が例示され、具体的には、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環等が挙げられる。 前記炭化水素基が置換基を有する場合、この置換基としては、例えば、炭化水素基(例えば、CH3−、CH3CH2−、C6H5−)、ハロゲン基(例えば、F−、Cl−、Br−、I−)、ヒドロキシ基(HO−)、カルボニル基(−CO−)、エーテル基(例えば、CH3O−、C2H5O−、C6H5O−)、カルボキシ基(−COOH)、エステル基(例えば、−COOCH3、−COOC2H5、CH3COO−、C6H5COO−)、アシル基(例えば、−CHO、CH3CO−、C6H5CO−)、スルファニル基(HS−)、スルホ基(−SO3H)、スルファモイル基(H2N−SO2−)、アミノ基(H2N−)、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO2)等が挙げられる。前記炭化水素基は、これらの置換基を単独で有していても2種以上を組み合わせて有していてもよい。 第3級アミンとしては、具体的には、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミン等のトリアルカノールアミンが挙げられる。これらの第3級アミンは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの第3級アミンのうちではトリアルカノールアミンが好ましく、中でもトリエタノールアミンが特に好適である。 第3級アミンは、N−ビニル−2−ピロリドンの重合時に添加することでPVP水溶液に含有させてもよいし、重合により得られたPVP水溶液に別途添加してもよいが、重合時に第3級アミンを添加しておく方が好ましい。第3級アミンは助触媒として作用するからである。また、重合開始剤として過酸化水素を用いた場合には、この過酸化水素から発生する活性化された酸素によってN−ビニル−2−ピロリドンが分解されて蟻酸が生じることが知られているが、重合時に第3級アミンを添加しておくと、この蟻酸の悪影響を可及的に抑制することができる。すなわち、蟻酸は、助触媒であるアンモニアと塩を作り、この蟻酸アンモニウムがアルカリ増粘性ポリマーに悪影響を及ぼして、白濁・着色の原因となっているが、第3級アミンの添加によってアンモニアの使用量を低減することができるため、蟻酸アンモニウム量も低減する結果、ヘアジェルの白濁や黄色への着色を防ぐ効果が大きい。また、第3級アミンがフリーの蟻酸のカウンターカチオン(対カチオン)となるため、フリーの蟻酸量も低減するので、酸に弱いアルカリ増粘性ポリマーに対する悪影響が低減し、ヘアジェルの白濁・着色を防止できる。なお、「重合時」とは、重合初期、重合途中、熟成中のいずれも含む意味であり、重合終了後は含まない。 PVP水溶液中の第3級アミン含有量は、PVPに対して0.05〜1質量%であることが好ましい。0.05質量%より少ないと、白濁や着色を抑制する効果が小さいためである。また、助触媒として重合時に添加する場合は、重合が進行しにくくなって、残存モノマー量が増えてPVPが着色するおそれがある。さらに、副生成物の蟻酸を充分に中和することができず、アルカリ増粘型ポリマー水溶液の粘度増大効果を充分発現させることができなくなるおそれがある。ただし、1質量%を超えると、アミンが酸化されてヘアジェルが黄変するおそれがある。より好ましい第3級アミン量は0.1〜0.7質量%である。 一方、アンモニアは、PVP水溶液中、第3級アミンに対して1〜100質量%であることが好ましい。アンモニアが1質量%より少ないと、重合が進行しにくくなって、残存モノマー量が増えてPVPが着色するおそれがある。アンモニアが100質量%(すなわち、第3級アミンと同量)を超えると、アンモニアが酸化されてヘアジェルが黄変するおそれがある。さらに、アンモニアが、副生成物である蟻酸の第3級アミンによる中和作用を阻害し、アルカリ増粘型ポリマー水溶液の粘度増大効果を充分に発現させることができなくなるおそれがある。より好ましいアンモニア量は、第3級アミンに対し2〜70質量%、より好ましくは3〜50質量%である。 重合時に第3級アミンとアンモニアを存在させた状態でN−ビニル−2−ピロリドンを重合すれば、第3級アミンとアンモニアを含有するPVP水溶液が得られる。このPVP水溶液は、そのままで、あるいは、希釈または濃縮して、アルカリ増粘型ポリマー水溶液(アルカリ増粘性ポリマー水溶液をアルカリで増粘したもの)と混合し、必要に応じて他の成分を添加して、ヘアジェルとなる。 アルカリ増粘性ポリマーとしては、ヘアジェルに用いられるものであれば特に限定されないが、中性領域(pH=6.5〜7.5)において、0.5質量%水溶液の粘度が1〜100Pa・sであるカルボキシビニルポリマーまたはそのアルキル変性物が使用可能である。具体的には、「カルボポール(登録商標)940」等のカルボポールシリーズや「ペムレン(登録商標)」シリーズ(いずれもノベオン(Noveon)社製)等のカルボキシル基含有水溶性ポリマーが利用可能である。 アルカリ増粘性ポリマーの量は、ヘアジェル(ウエット)100質量%中0.1〜1質量%となるよう、適当な濃度の水溶液とすることが好ましい。 アルカリ増粘性ポリマー水溶液は、アルカリを用いて増粘させてから、PVP水溶液と混合する。使用可能なアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレンイミン等の水溶性有機アミン類等である。 PVP水溶液とアルカリ増粘型ポリマー水溶液の混合比率は特に限定されないが、混合後に、アルカリ増粘性ポリマーとPVPとの質量比が、1:5〜1:100程度になるように、水溶液の混合比率を適宜調整すればよい。 ヘアジェルを製造する際には、エタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類等の有機溶媒や、薬剤、保湿剤、油剤、香料、酸化防止剤、防腐剤等を添加してもよい。 以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、実施例において、特に断らない限り、「部」は質量部を表す。 まず、実施例で得られたPVP水溶液の評価方法について説明する。 <K値> 得られたPVP水溶液を濃度が1質量%になるように水で希釈し、この希釈液の粘度を25℃で毛細管粘度計によって測定し、フィケンチャー式を用いて、K値を求めた。数値が小さいほど、分子量が低いことを表す。 <色相(5%APHA)> 得られたPVP水溶液を濃度が5質量%になるように水で希釈し、この希釈液の色相(5%APHA;ハーゼン色数ともいう。)をJIS−K3331に従って測定した。数値が小さいほど、色相が低いことを表す。 <N−ビニル−2−ピロリドン:NVPの残存量> 重合後の水溶液を用いて、液体クロマトグラフィー(資生堂社製;NANOSPACESI2)により測定した。 <ヘアジェルの製造> カルボキシビニルポリマー(ノベオン社製「カーボポール(登録商標)940」)0.5質量部に、水73質量部およびトリエタノールアミン0.6質量部を添加して、撹拌混合し、増粘させたものに、さらにエタノール5質量部と、各例で得られたPVP水溶液20質量部(ウエット)を添加混合し、ヘアジェルを得た。下記方法で白濁の有無と着色の有無を評価し、その結果を表1に示した。なお、比較例3のみ、後述した方法でヘアジェルを製造した。 <白濁の有無> 得られたヘアジェルの外観を目視にて確認し、白濁があれば×、なければ○とした。 <着色の有無> 得られたヘアジェルの外観を目視にて確認し、黄色い着色があれば×、なければ○とした。 実施例1 硫酸銅(II)・5水和物0.00057質量部と水623.0質量部とを反応容器に仕込み、80℃まで昇温した。次いで、80℃を維持しながら、NVP855.0質量部、25%アンモニア水1.7質量部および水94.0質量部の混合物と、35%過酸化水素水12.7質量部と水120.3質量部との混合物を、それぞれ180分かけて滴下した。滴下終了後、35%過酸化水素水0.5質量部とトリエタノールアミン1.0質量部を添加し、80℃で1時間保持した。その後、35%過酸化水素水2.4質量部を5回に均等に分けて1時間間隔で添加し、さらに80℃で1時間保持して、PVP水溶液を得た。得られたPVP水溶液の物性を測定したところ、固形分が50.0質量%、K値が36.9、色相(5%APHA)が5、NVP残存量がPVPに対して10ppm以下であった。 実施例2 硫酸銅(II)・5水和物0.00114質量部と水674.0質量部とを反応容器に仕込み、60℃まで昇温した。次いで、60℃を維持しながら、NVP855.0質量部、25%アンモニア水1.01質量部、トリエタノールアミン2.38質量部および水95.0質量部の混合物と、35%過酸化水素水21.5質量部と水63.7質量部との混合物を、それぞれ180分かけて滴下した。滴下終了後、80℃に昇温して、35%過酸化水素水10.2質量部を6回に均等に分けて1時間間隔で添加し、さらに80℃で1時間保持して、PVP水溶液を得た。得られたPVP水溶液の物性を測定したところ、固形分が50.4質量%、K値が25.4、色相(5%APHA)が5、NVP残存量がPVPに対して10ppm以下であった。 実施例3 硫酸銅(II)・5水和物0.00114質量部と水674.0質量部とを反応容器に仕込み、60℃まで昇温した。次いで、60℃を維持しながら、NVP855.0質量部、25%アンモニア水1.0質量部、トリエタノールアミン3.3質量部および水95.0質量部の混合物と、35%過酸化水素水21.5質量部と水63.7質量部との混合物を、それぞれ180分かけて滴下した。滴下終了後、80℃に昇温して、35%過酸化水素水10.2質量部を6回に均等に分けて1時間間隔で添加し、さらに80℃で1時間保持して、PVP水溶液を得た。得られたPVP水溶液の物性を測定したところ、固形分が50.4質量%、K値が25.5、色相(5%APHA)が5、NVP残存量がPVPに対して10ppm以下であった。 比較例1 硫酸銅(II)・5水和物0.00023質量部と水358.8質量部とを反応容器に仕込み、80℃まで昇温した。次いで、80℃を維持しながら、NVP450.0質量部、25%アンモニア水0.54質量部および水45.0質量部の混合物と、35%過酸化水素水9.6質量部と水30.0質量部との混合物を、それぞれ180分かけて滴下した。滴下終了後、35%過酸化水素水0.87質量部とジエタノールアミン0.45質量部を添加し、80℃で1時間保持した。その後、35%過酸化水素水4.3質量部を5回に均等に分けて1時間間隔で添加し、さらに80℃で1時間保持した後、ジエタノールアミン0.45質量部を加えて、PVP水溶液を得た。得られたPVP水溶液の物性を測定したところ固形分が50.9質量%、K値が27.9、色相(5%APHA)が10、NVP残存量がPVPに対して10ppm以下であった。 比較例2 硫酸銅(II)・5水和物0.00020質量部と水302.0質量部とを反応容器に仕込み、60℃まで昇温した。次いで、60℃を維持しながら、NVP500.0質量部、25%アンモニア水2.4質量部および水121.1質量部の混合物と、35%過酸化水素水15.9質量部と水32.0質量部との混合物を、それぞれ180分かけて滴下した。滴下終了後、80℃に昇温して、25%アンモニア水1.0質量部を添加した。80℃で1時間保持後、35%過酸化水素水5.0質量部を2回に均等に分けて1時間間隔で添加し、さらに80℃で1時間保持した後、PVP水溶液を得た。得られたPVP水溶液の物性を測定したところ、固形分が50.6質量%、K値が27.1、色相(5%APHA)が5、NVP残存量がPVPに対して10ppm以下であった。 比較例3 前記カルボキシビニルポリマー(ノベオン社製「カーボポール(登録商標)940」)0.5質量部に、水83質量部およびトリエタノールアミン0.6質量部を添加して、撹拌混合し、増粘させたものに、さらにエタノール5質量部と、PVP粉体(日本触媒社製「ポリビニルピロリドンK−30」:K値28)10質量部を加えて、よく混合し、ヘアジェルを製造した。評価結果を表1に示した。 表から明らかなように、実施例ではヘアジェルを製造する際に白濁が起こらず、着色も認められなかった。これは、PVP水溶液がトリエタノールアミン(第3級アミン)を含有しているからである。ジエタノールアミン共存下で重合したPVP水溶液を用いた比較例1では、白濁が発生した。アミンを加えることなく重合したPVP水溶液を用いた比較例2でも同様に白濁が発生した。PVPの粉体を用いた比較例3では、重合で発生した蟻酸等の不純物が揮発しているため、白濁は認められなかったが、着色を起こしてしまうことがわかった。 本発明のPVP水溶液は、アルカリ増粘型ポリマー水溶液と混合しても白濁や着色を起こさないので、ヘアジェル用途に特に好適である。 ヘアジェルを製造するためのポリビニルピロリドン水溶液であって、第3級アミンとアンモニアとを含有することを特徴とするヘアジェル用ポリビニルピロリドン水溶液。 第3級アミンがポリビニルピロリドンに対して0.05〜1質量%含まれている請求項1に記載のヘアジェル用ポリビニルピロリドン水溶液。 水媒体中、金属触媒、アンモニアおよび第3級アミンの存在下で、過酸化水素を重合開始剤として、N−ビニル−2−ピロリドンを重合して得られたものである請求項1または2に記載のヘアジェル用ポリビニルピロリドン水溶液。 ポリビニルピロリドンのK値が15〜60である請求項1〜3のいずれか1項に記載のヘアジェル用ポリビニルピロリドン水溶液。 アンモニアが第3級アミンに対して1〜100質量%含まれている請求項2〜4のいずれか1項に記載のヘアジェル用ポリビニルピロリドン水溶液。 請求項1〜5のいずれか1項に記載のヘアジェル用ポリビニルピロリドン水溶液とアルカリ増粘型ポリマー水溶液とを混合することにより得られたものであることを特徴とするヘアジェル。 白濁および着色のない透明なヘアジェルを製造することのできるポリビニルピロリドン水溶液を提供する。 アルカリ増粘型ポリマー水溶液と混合して透明なヘアジェルを製造するためのポリビニルピロリドン水溶液であって、第3級アミンとアンモニアを含有することを特徴とするヘアジェル用ポリビニルピロリドン水溶液である。


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