生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アミン塩の除去方法
出願番号:2008039694
年次:2009
IPC分類:C07C 7/04,C07C 15/085,F28G 13/00


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藤井 敦史 宇高 太郎 JP 2009196926 公開特許公報(A) 20090903 2008039694 20080221 アミン塩の除去方法 住友化学株式会社 000002093 中山 亨 100113000 坂元 徹 100151909 藤井 敦史 宇高 太郎 C07C 7/04 20060101AFI20090807BHJP C07C 15/085 20060101ALI20090807BHJP F28G 13/00 20060101ALI20090807BHJP JPC07C7/04C07C15/085F28G13/00 B 3 1 OL 6 4H006 4H006AA02 4H006AD11 4H006BB11 4H006BB31 4H006BD41 4H006BD53 本発明は、アミン塩の除去方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、不純物を含むメタジイソプロピルベンゼンを蒸留により精製する工程から抜き出されたプロセス流体を冷却水を用いて冷却する熱交換器の内壁に析出して付着したアミン塩を該内壁から分離して除去する方法であって、蒸留塔の運転を停止することなく運転を継続したままで実施することができ、よって生産効率を低下させることなく、また運転停止に伴う原材料の損失を発生しないという、産業的実施の観点から極めて優れた特徴を有するアミン塩の除去方法に関するものである。 液体塩化アルミニウム錯体触媒を用いて、ベンゼンとプロピレンを原料とし、アルキル化反応及びトランスアルキル化反応によりメタジイソプロピルベンゼンを製造する方法は公知である(たとえば特許文献1参照)。この方法において、ベンゼンとプロピレンを反応させてメタジイソプロピルベンゼンとする反応により得られる反応混合物には、メタジイソプロピルベンゼンの他、ベンゼン、クメン、パラジイソプロピルベンゼン及びトリイソプロピルベンゼン等が含まれているため、蒸留により精製する工程が必要である。ところが、前記の反応混合物中には前段の反応工程で用いられた液体塩化アルミニウム錯体触媒が微量含まれており、該錯体触媒が蒸留塔内で熱分解することで発生する塩化水素ガスが、蒸留塔塔頂部の初期凝縮部で水分中に溶解し塩酸を生成し、塔頂配管及びコンデンサーの腐食が進行するため、蒸留塔の塔頂部に塩基性であるアルキルアミン水溶液を添加することで塩酸を中和する防食法が一般的に知られている。通常、中和反応で生成するアミン塩は還流ドラムで油水分離され水とともに系外へ排出されるが、一部は還流油とともに蒸留塔へ持ち込まれる。蒸留塔に持ち込まれた該アミン塩は、その融点以下の温度領域において析出する。特に蒸留塔から抜き出したプロセス流体を冷却する熱交換器の壁面において顕著であり、該熱交換器の熱交換能力を著しく低下させるため、該熱交換器を含む蒸留系の運転を停止し、熱交換器の側壁を洗浄してアミン塩を除去することになる。このような操作は、プロセスの生産効率を低下させ、また運転停止に伴う原材料の損失を発生するという不都合を招く。特開平8−325175号公報 かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、不純物を含むメタジイソプロピルベンゼンを蒸留により精製する工程から抜き出されたプロセス流体を冷却水を用いて冷却する熱交換器の内壁に析出して付着したアミン塩を該内壁から分離して除去する方法であって、蒸留塔の運転を停止することなく運転を継続したままで実施することができ、よって生産効率を低下させることなく、また運転停止に伴う原材料の損失を発生しないという、産業的実施の観点から極めて優れた特徴を有するアミン塩の除去方法を提供する点にある。 すなわち、本発明は、不純物を含むメタジイソプロピルベンゼンを蒸留により精製する工程から抜き出されたプロセス流体を冷却水を用いて冷却する熱交換器の内壁に析出して付着したアミン塩を該内壁から分離して除去する方法であって、該熱交換器の冷却水の流量を減少又は遮断することによりアミン塩の付着個所の温度をアミン塩の融点以上に昇温してアミン塩を融解させてプロセス流体中に移動させ、プロセス流体と共にアミン塩を装置の外部に排出するアミン塩の除去方法に係るものである。 本発明により、不純物を含むメタジイソプロピルベンゼンを蒸留により精製する工程から抜き出されたプロセス流体を冷却水を用いて冷却する熱交換器の内壁に析出して付着したアミン塩を該内壁から分離して除去する方法であって、蒸留塔の運転を停止することなく運転を継続したままで実施することができ、よって生産効率を低下させることなく、また運転停止に伴う原材料の損失を発生しないという、産業的実施の観点から極めて優れた特徴を有するアミン塩の除去方法を提供することができる。 本発明は、不純物を含むメタジイソプロピルベンゼンを蒸留により精製する工程から抜き出されたプロセス流体を冷却水を用いて冷却する熱交換器の内壁に析出して付着したアミン塩を該内壁から分離して除去する方法を前提とする。 上記の方法の具体例として、蒸留により精製する工程が、液体塩化アルミニウム触媒を用いてベンゼンとプロピレンとを反応させることによりメタジイソプロピルベンゼンを生成させるアルキル化反応で得た反応混合物を蒸留し、蒸留塔の塔頂からベンゼンを主とする留分を得、蒸留塔のサイドカットからクメンを主とする留分を得、蒸留塔の塔底からメタジイソプロピルベンゼン、パラジイソプロピルベンゼン及びトリイソプロピルベンゼンを主とする成分を得、蒸留塔の塔頂留分の出口ラインにアミン類を添加する工程であって、熱交換器がサイドカット留分を冷却する熱交換器である場合をあげることができる。 蒸留塔へ供給される蒸留原料の主たる成分として、ベンゼン2〜5重量%、クメン15〜20重量%、メタジイソプロピルベンゼン30〜35重量%、パラジイソプロピルベンゼン15〜20重量%、トリイソプロピルベンゼン15〜25重量%を例示することができる。蒸留塔の塔頂からはベンゼンを主とする留分が得られ、蒸留塔のサイドカットからはクメンを主とする留分を得られ、蒸留塔の塔底からはメタジイソプロピルベンゼン、パラジイソプロピルベンゼン及びトリイソプロピルベンゼンを主とする成分が得られる。 蒸留原料中には前段のアルキル化反応工程の触媒として用いられた液体塩化アルミニウム錯体触媒が微量含まれており、該錯体触媒が蒸留塔内で熱分解することで発生する塩化水素ガスが、蒸留塔塔頂部の初期凝縮部で水分中に溶解し塩酸を生成し、塔頂配管及びコンデンサーの腐食が進行する。この腐食を防止するために、塩基性であるアミン類を蒸留塔の塔頂付近に添加し、中和する。アミン類としては、アンモニア、アルキルアミン水溶液等を例示することができる。 蒸留塔塔頂の水の初期凝縮部においては高濃度の塩酸が生成するため、用いる中和剤の凝縮温度が水と極めて近いアルキルアミン水溶液を用いることが好ましい。また、初期凝縮部における塩酸濃度の低減及び洗浄効果の向上を目的として水を注入してもよい。また、アミン類の添加量は、還流ドラム分離水のpHが8.0〜12.0、好ましくは9.5〜10.5となるように調整する。中和反応で生成するアミン塩は還流ドラムで油水分離され水とともに系外へ排出されるが、一部は還流油とともに蒸留塔へ持ち込まれる。蒸留塔に持ち込まれた該アミン塩は、その融点以下の温度領域において析出する。特に、サイドカット留分を冷却する熱交換器の壁面において析出が顕著である。 熱交換器としては、通常の多管式のものが例示でき、胴側にプロセス流体(蒸留塔のサイドカットとして取り出された流体)が流通され、管側に冷却水が流通されるのが一般的である。通常運転中のプロセス流体温度としては、熱交換器の入口で140〜155℃、熱交換器の出口で30〜60℃をあげることができる。また、通常運転中の冷却水温度としては、熱交換器の入口で15〜40℃、熱交換器の出口で20〜60℃をあげることができる。通常運転を継続するうちに熱交換器のプロセス流体側の内壁にアミン塩が析出して付着し、熱交換器の熱交換能力を低下させる。このことは、プロセス流体の出口温度及び熱交換器の総括伝熱係数を監視することで検知することができる。 本発明の最大の特徴は、熱交換器の冷却水の流量を減少又は遮断することによりアミン塩の付着個所の温度をアミン塩の融点以上に昇温してアミン塩を融解させてプロセス流体中に移動させ、プロセス流体と共にアミン塩を装置の外部に排出する点にある。冷却水の流量の調整又は遮断は、適宜実施すればよいが、アミン塩の除去の程度は排出するプロセス流体中のアミン濃度又は塩化物イオン濃度を測定することにより知ることができる。すなわち、冷却水流量の減少又は遮断により、熱交換器の壁面に付着したアミン塩が融解することで、プロセス流体中のアミン及び塩化物イオン濃度が上昇するが、アミン塩が完全に除去されると該濃度は熱交換器入口濃度まで低下する。この操作により、アミン塩の付着個所の温度をアミン塩の融点以上に昇温してアミン塩が融解してプロセス流体中に移動し、プロセス流体と共にアミン塩を装置の外部に排出できる。 アミン塩の除去作業中は、排出されたアミン塩を含有するプロセス流体を別途の油水分離槽に回収しアミン塩を分離した後、プロセス流体として再利用することが原材料の損失の防止の観点から好ましい。 次に本発明を実施例により説明する。 実施例1 図1のフローを用いた。 蒸留塔(1)に、ベンゼン、クメン、メタジイソプロピルベンゼン、パラジイソプロピルベンゼン、トリイソプロピルベンゼン等を含む蒸留原料(2)を供給し、蒸留塔の塔頂からはベンゼンを主とする留分(4)が得られ、蒸留塔のサイドカットからはクメンを主とする留分(12)を得られ、蒸留塔の塔底からはメタジイソプロピルベンゼン、パラジイソプロピルベンゼン及びトリイソプロピルベンゼンを主とする留分(14)が得られた。蒸留塔の塔頂配管(3)に200kg/hの水及びアミン濃度が40重量%であるアルキルアミン水溶液(15)79.5ml/hを注入し、還流ドラム(7)の排水(8)のpHを10.0に調整した。蒸留塔のサイドカットのプロセス流体(9)温度は、熱交換器(10)の入口で151.2℃、熱交換器の出口で32.1℃であった。また、冷却水温度は、熱交換器の入口で21.4℃、熱交換器の出口で31.5℃であり、総括伝熱係数は282.1kcal/hr・m2・℃であった。この通常運転を540日間継続するうちに熱交換器出口のプロセス流体の温度が77.6℃まで上昇し、総括伝熱係数は93.1kcal/hr・m2・℃まで低下した。そこで、蒸留塔のサイドカットのプロセス流体の送り先を別途油水分離槽(13)に切り替え、熱交換器の冷却水の流通を停止した。この状態を1時間継続した後、再度冷却水の流通を行った。その結果、プロセス流体の熱交換器出口温度は39.8℃となり、総括伝熱係数が225.8kcal/hr・m2・℃まで回復した。なお、アミン塩の除去操作中も蒸留塔は停止させることなく、運転を継続した。実施例1のフローの概略図である。符号の説明(1)蒸留塔(2)蒸留原料(3)塔頂配管(4)留出液(5)還流(6)コンデンサー(7)還流ドラム(8)排水(9)サイドカット抜き出しライン(10)サイドカット冷却熱交換器(11)冷却水(12)サイドカット留分(13)油水分離槽行き回収ライン(14)塔底液(15)アミン水溶液及び水不純物を含むメタジイソプロピルベンゼンを蒸留により精製する工程から抜き出されたプロセス流体を冷却水を用いて冷却する熱交換器の内壁に析出して付着したアミン塩を該内壁から分離して除去する方法であって、該熱交換器の冷却水の流量を減少又は遮断することによりアミン塩の付着個所の温度をアミン塩の融点以上に昇温してアミン塩を融解させてプロセス流体中に移動させ、プロセス流体と共にアミン塩を装置の外部に排出するアミン塩の除去方法。蒸留により精製する工程が、液体塩化アルミニウム錯体触媒を用いてベンゼンとプロピレンとを反応させることによりメタジイソプロピルベンゼンを生成させる反応で得た反応混合物を蒸留し、蒸留塔の塔頂からベンゼンを主とする留分を得、蒸留塔のサイドカットからクメンを主とする留分を得、蒸留塔の塔底からメタジイソプロピルベンゼン、パラジイソプロピルベンゼン及びトリイソプロピルベンゼンを主とする成分を得、蒸留塔の塔頂留分の出口ラインにアミン類を添加する工程であって、熱交換器がサイドカット留分を冷却する熱交換器である請求項1記載の方法。排出されたアミン塩を含有するプロセス流体を回収し、精製処理をした後、プロセス流体として再利用する請求項1又は請求項2記載の方法。 【課題】不純物を含むメタジイソプロピルベンゼンを蒸留により精製する工程から抜き出されたプロセス流体を冷却水を用いて冷却する熱交換器の内壁に析出して付着したアミン塩を該内壁から分離して除去する方法であって、蒸留塔の運転を停止することなく運転を継続したままで実施することができ、よって生産効率を低下させることなく、また運転停止に伴う原材料の損失を発生しないという、産業的実施の観点から極めて優れた特徴を有するアミン塩の除去方法を提供する。【解決手段】熱交換器の冷却水の流量を減少又は遮断することによりアミン塩の付着個所の温度をアミン塩の融点以上に昇温してアミン塩を融解させてプロセス流体中に移動させ、プロセス流体と共にアミン塩を装置の外部に排出するアミン塩の除去方法。【選択図】図1


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