タイトル: | 公開特許公報(A)_リパーゼ阻害剤及び飲食品 |
出願番号: | 2008038127 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 36/18,A61P 43/00,A61K 31/7028,A61P 9/12,A61P 9/10,A61P 9/00,A61P 3/04,A61P 3/06,A61P 3/10,C12N 9/99,A23L 1/30 |
松見 繁 JP 2009196908 公開特許公報(A) 20090903 2008038127 20080220 リパーゼ阻害剤及び飲食品 養命酒製造株式会社 391019728 綿貫 隆夫 100077621 堀米 和春 100092819 堀内 剛 100141450 松見 繁 A61K 36/18 20060101AFI20090807BHJP A61P 43/00 20060101ALI20090807BHJP A61K 31/7028 20060101ALI20090807BHJP A61P 9/12 20060101ALI20090807BHJP A61P 9/10 20060101ALI20090807BHJP A61P 9/00 20060101ALI20090807BHJP A61P 3/04 20060101ALI20090807BHJP A61P 3/06 20060101ALI20090807BHJP A61P 3/10 20060101ALI20090807BHJP C12N 9/99 20060101ALI20090807BHJP A23L 1/30 20060101ALI20090807BHJP JPA61K35/78 CA61P43/00 111A61K31/7028A61P9/12A61P9/10A61P9/00A61P3/04A61P3/06A61P3/10C12N9/99A23L1/30 Z 4 1 OL 11 4B018 4C086 4C088 4B018MD48 4B018ME01 4B018MF01 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA01 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA36 4C086ZA42 4C086ZA45 4C086ZA70 4C086ZC20 4C086ZC33 4C086ZC35 4C088AB12 4C088BA08 4C088BA13 4C088NA14 4C088ZA36 4C088ZA42 4C088ZA45 4C088ZA70 4C088ZC20 4C088ZC33 4C088ZC35 本発明はリパーゼ阻害剤及び飲食品に関し、更に詳細にはカンカニクジュヨウ(Cistanche tubulosa)からの抽出物を含有するリパーゼ阻害剤及び飲食品に関する。 先進国においては、過食、糖分や脂肪の過剰摂取、更には運動不足等によって、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)に悩まされている人が急増している。かかるメタボリックシンドロームを放置すると、高脂血症・高血圧・高血糖等の成人病の原因となり易いことは勿論のこと、心筋梗塞等の心疾患、脳卒中等の脳血管障害といった生命に関わる疾患に繋がるリスクが高くなる。このため、メタボリックシンドロームは、増加する国民医療費の原因の一つともなっている。 従って、メタボリックシンドロームの抑制は、国民の健康維持の推進のみならず、国民医療費の抑制にも繋がる。 一般的に、肥満治療の原則は食事と運動であるが、米国内では抗肥満剤として、脂肪分解の酵素である膵リパーゼの脂肪分解を阻害するリパーゼ阻害剤が臨床的に使用されている(例えば、下記非特許文献1参照)。ゼニカル(オルリスタット)[XENICAL(orlistat)]、[online]、[平成20年1月7日検索]、インターネット<http://www.drugmania.net/orlistat.htm> 臨床的に使用されている上記リパーゼ阻害剤によれば、膵臓から分泌されるリパーゼの脂肪分解を阻害し、摂取した脂肪を体内に吸収し難くできる。このため、体重の減少効果が認められる。 しかしながら、上記リパーゼ阻害剤は合成物であって、服用後に突然の便意、放屁、脂肪便等の副作用が認められ、日常生活に支障をきたすこともある。 そこで、本発明は、一般的に摂取したときの副作用が少ない天然物からの抽出物を用いたリパーゼ阻害剤及び飲食品を提供することを目的とする。 本発明者等は、前記課題を解決すべく検討した結果、カンカニクジュヨウ(Cistanche tubulosa)から抽出した抽出物は、リパーゼの脂肪分解を阻害することを見出し、本発明に到達した。 すなわち、本発明は、カンカニクジュヨウ(Cistanche tubulosa)からの抽出物を含有することを特徴とするリパーゼ阻害剤にある。また、本発明は、上記リパーゼ阻害剤を含有することを特徴とする飲食品でもある。 かかる本発明において、抽出物中には、フェニルエタノイド配糖体、特に下記化2に示す成分の少なくとも1種が含有されている。 本発明に係るリパーゼ阻害剤には、一般的に副作用の少ない天然物であって、リパーゼの脂肪分解を阻害する活性を呈するカンカニクジュヨウから抽出した抽出物を含有する。 かかるカンカニクジュヨウから抽出した抽出物を含有するリパーゼ阻害剤を添加した飲食品は、健康食品として提供できる。 本発明において用いるカンカニクジュヨウ(Cistanche tubulosa)は、ハマウツボ科ニクジュウ属に属し、タマリスク(日本名:ベニヤナギ)の根部に寄生する寄生植物である。かかるカンカニクジュヨウは、中国の新彊ウイグル自治区のタクラマン砂漠に分布しており、不老長寿の強壮剤として用いられる生薬である。日本には、カンカニクジュヨウを乾燥した乾燥物として輸入される。 かかるカンカニクジュヨウを水又は低級脂肪族アルコールによって抽出することができる。この低級脂肪族アルコールとしては、メタノールやエチルアルコールを好適に用いることができる。 この抽出では、乾燥したカンカニクジュヨウに所定量の水又は低級脂肪族アルコールを加えて加熱抽出することによって得ることができる。得られた抽出液は、必要に応じて減圧下で乾固して粉末状にしてもよい。 得られた抽出液又は粉末中には、下記化3に示す6種類のフェニルエタノイド配糖体が含有されている。具体的には、acteoside[化3の(b)III]、acteoside isomer[化3の(c)IV]、2’-acetyl acteoside[化3の(b)V]、echinacoside[化3の(a)I]、tubuloside A[化3の(a)II]、及びtubuloside B[化3の(c)VI]が含有されている。 ここで、乾燥したカンカニクジュヨウ100gに1Lの水又はメタノールを加えて2時間加熱抽出した後、濾過して得られた抽出液を減圧下で乾固して抽出物を得た。得られた抽出物について、リパーゼの脂肪分解を阻害する活性(以下、リパーゼ阻害活性と称することがある)を調査した。 このリパーゼ阻害活性は、ブタ膵臓由来リパーゼ(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)及びリパーゼキットS(大日本住友製薬株式会社製)を用いて測定した。リパーゼ阻害活性の測定1点に対し、試験管A(抽出物用)と試験管B(ブランク用)とを用意した。 先ず、遮光した試験管A,Bの各々に、リパーゼの濃度が6μg/mLとなるように調製した発色液1mLを添加した後、抽出物が0.0〜10.0mg/mLの所望濃度となるように緩衝液で調整した試料100μLを加えて混和した。この試験管A,Bは30℃の恒温槽に浸漬して5分間予熱した。 予熱後に、試験管Aのみに、キットに準備されていた基質液100μLを添加し、30℃で30分間インキュベートした。 次いで、試験管A,Bの各々に反応停止液2mLを添加した後、試験管Bのみにキットに準備されていた基質液100μLを添加して混和した。 その後、試験管A,Bついて412nmにおける吸光度を測定し、下記数1で示す計算式でリパーゼ活性値を算出した。 得られた抽出物について測定したリパーゼ活性の結果を図1に示す。図1では、横軸に試験管Aに添加した抽出物濃度を示し、縦軸にリパーゼ活性の程度を示す。抽出物が緩衝液のみの水準のリパーゼ活性を100%として、各水準のリパーゼ活性を示す。図1では、リパーゼ活性の値が低い程、リパーゼ阻害活性が高いことを示す。 図1から明らかな様に、カンカニクジュヨウの水抽出物及びメタノール抽出物は、共にリパーゼ阻害活性を呈する。特に、メタノール抽出物のリパーゼ阻害活性が水抽出物よりも優れている。 尚、図1では、カンカニクジュヨウの水又はメタノール抽出物のリパーゼ阻害活性について示したが、カンカニクジュヨウのエタノール抽出物についても、同様にリパーゼ阻害活性を呈する。 次に、カンカニクジュヨウの水又はメタノール抽出物中に含有されているフェニルエタノイド配糖体を単離した。この単離は、”New Phenylethanoid Giycosides from Cistanche tubulosa”[Chem.Pharm.,35(8),3309-3314(1987)]や特公平6−4537号公報に記載されている単離方法に準拠して行った。 単離した各成分について、カンカニクジュヨウの水又はメタノール抽出物の場合と同様にしてリパーゼ阻害活性を測定した。その結果を図2(a)(b)に示す。 図2(a)に、acteoside[化3の(b)III]、acteoside isomer[化3の(c)IV]、及び2’-acetyl acteoside[化3の(b)V]についてのリパーゼ阻害活性を示す。また、図2(b)に、echinacoside[化3の(a)I]、tubuloside A[化3の(a)II]、及びtubuloside B[化3の(c)VI]についてのリパーゼ阻害活性を示す。 かかる図2(a)(b)からリパーゼ活性を50%阻害する50%阻害濃度(IC50)を読み取り、各成分のIC50について、下記表1に示した。表1には、各成分のIC50をmM(ミリモル)でも併記した。 図2(a)(b)及び表1から明らかな様に、単離したフェニルエタノイド配糖体の6成分の各々は、高いリパーゼ阻害活性を呈する。 尚、図1に示すカンカニクジュヨウの水又はメタノール抽出物は、フェニルエタノイド配糖体以外の成分も多く含有されており、フェニルエタノイド配糖体の濃度が図2(a)(b)に示す単離したフェニルエタノイド配糖体によりも低く、その呈するリパーゼ活性が図2(a)(b)よりも低くなったものと考えられる。 この様に、カンカニクジュヨウの水又はメタノール抽出物及び含有されているフェニルエタノイド配糖体の6成分のいずれも、高いリパーゼ阻害活性を呈する。また、カンカニクジュヨウは、古くから中国で生薬としても使用されている。このため、カンカニクジュヨウの抽出物は、抗肥満を目的とした健康補助食品(サプリメント)として用いることができる。 更に、カンカニクジュヨウの抽出物を飲食品に添加して、抗肥満の健康食品としても提供できる。カンカニクジュヨウの水又はメタノール抽出物のリパーゼ阻害活性を示すグラフである。カンカニクジュヨウの水又はメタノール抽出物中から単離したフェニルエタノイド配糖体の6成分の各々についてのリパーゼ阻害活性を示すグラフである。 カンカニクジュヨウ(Cistanche tubulosa)からの抽出物を含有することを特徴とするリパーゼ阻害剤。 抽出物中には、フェニルエタノイド配糖体が含有されている請求項1記載のリパーゼ阻害剤。 抽出物中には、下記化1に示す成分の少なくとも1種が含有されている請求項1又は請求項2記載のリパーゼ阻害剤。 請求項1〜3のいずれか一項記載のリパーゼ阻害剤を含有することを特徴とする飲食品。 【課題】一般的に摂取したときの副作用が少ない天然物からの抽出物を用いたリパーゼ阻害剤を提供することを目的とする。【解決手段】カンカニクジュヨウ(Cistanche tubulosa)からの抽出物であって、リパーゼの脂肪分解を阻害する活性を呈する抽出物を含有することを特徴とする。【選択図】図1