生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_(メタ)アクリル酸フェニルエステル類の製造方法
出願番号:2008011749
年次:2009
IPC分類:C07C 67/54,C07C 69/54,C07C 67/03,C07C 67/08,C07B 61/00


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坂下 啓一 伊藤 芳 JP 2009173557 公開特許公報(A) 20090806 2008011749 20080122 (メタ)アクリル酸フェニルエステル類の製造方法 三菱レイヨン株式会社 000006035 宮崎 昭夫 100123788 石橋 政幸 100106138 緒方 雅昭 100127454 坂下 啓一 伊藤 芳 C07C 67/54 20060101AFI20090710BHJP C07C 69/54 20060101ALI20090710BHJP C07C 67/03 20060101ALI20090710BHJP C07C 67/08 20060101ALI20090710BHJP C07B 61/00 20060101ALN20090710BHJP JPC07C67/54C07C69/54 BC07C67/03C07C67/08C07B61/00 300 3 OL 7 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC48 4H006AD11 4H006AD41 4H006BA10 4H006BA11 4H006BA30 4H006BA32 4H006BA66 4H006BA67 4H006BJ50 4H006KA03 4H006KA06 4H039CA66 4H039CD10 4H039CD30 4H039CD90 本発明は、フェニル基含有モノマーとして、単独重合或いは他のモノマー類と共重合して、ガラス転移温度や屈折率が高いなどの特徴を有するポリマーの原料として利用されている(メタ)アクリル酸フェニルエステル類の製造方法に関する。 フェニルエステル類を酸とフェノール類の直接脱水エステル化法で得る方法としては、特許文献1に示されるように、酸触媒の存在下に、110℃以上の高温で(メタ)アクリル酸をフェノール類と反応させる方法が知られている。この場合、反応液から(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を単離する方法としては、反応液をアルカリ水溶液により洗浄し、酸触媒及び混在する酸性分を除去したのち、溶媒と(メタ)アクリル酸フェニルエステル類とを蒸留によって分離する方法が用いられる。しかし、フェノール類はアルコ−ル類に比べて反応性が低いため、脱水エステル化法では原料の(メタ)アクリル酸及びフェノール類が未反応のまま反応混合物中に残る。また組成は明らかではないが、反応中に副生成物としてアルカリ水溶液に可溶な高沸点成分が生成する。 一般に、ホウ酸等の酸触媒を用いた場合は、反応終了後に中和処理を行うが、このとき未反応の(メタ)アクリル酸、フェノール類及び副反応物が水層に移行し、この水層より未反応の(メタ)アクリル酸及びフェノール類のみを回収することは困難である。(メタ)アクリル酸とフェノール類との脱水エステル化反応は、原料コストの観点から(メタ)アクリル酸フェニルエステル類の安価な製造方法といえるが、前述したように、反応後、中和処理を直ちに行うと未反応成分の回収が難しいため、高い収率が得られず、経済性の高い方法とは言えなかった。 この課題を解決するために、特許文献2では、反応液から(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を単離する方法として、蒸留により反応液から溶媒と未反応原料を留去した後、アルカリ水溶液により中和洗浄する。これにより、酸触媒及び混在する酸性分を除去したのち、再度、単蒸留により(メタ)アクリル酸フェニルエステルを精製している。しかし、未反応原料を留去しても蒸留残渣中にはフェノール類が残存しており、フェノール類を除去するために中和・洗浄作業を何度も繰り返すため、結局経済性の高い方法とはいえない。また、中和・洗浄作業を数回繰り返し行うため、廃液が大量となり、その処理も問題である。特開昭60−258144号公報特開昭63−77841号公報 (メタ)アクリル酸フェニルエステル類の製造方法である(メタ)アクリル酸とフェノール類との脱水エステル化反応は収率が低いために、反応液中には原料の(メタ)アクリル酸、フェノール類が未反応のまま存在する。特にフェノール類と(メタ)アクリル酸フェニルエステル類はその沸点が近接しているために、蒸留によって分離するためにはある程度の段を有する蒸留塔を用いた精密蒸留が必要であり、分離が困難である。 本発明は前述した従来技術の課題を解決するものであり、その目的は精製工程において(メタ)アクリル酸フェニルエステル類とフェノール類とを分離し、高純度の(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を得ることである。 本発明では、触媒の存在下、エステル化反応又はエステル交換反応により製造する(メタ)アクリル酸フェニルエステル類の製造方法において、反応混合物より未反応物及び(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を効率よく分離する方法について検討を行った。検討の結果、まず反応終了液から蒸留により(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を主とする留分を分取する。さらに分取した留分にホウ酸を添加した後に、さらに蒸留を行うことによって、高純度の(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を分離することが可能となることを見出した。 本発明の(メタ)アクリル酸フェニルエステル類の製造方法により、反応後の精製工程において(メタ)アクリル酸フェニルエステル類とフェノール類とを効率よく分離することができるため、高純度の(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を得ることができる。 本発明は、まず、触媒の存在下に、フェノール類と(メタ)アクリル酸、又はフェノール類と無水(メタ)アクリル酸とのエステル化反応、或いはフェノール類と(メタ)アクリル酸アルキルとのエステル交換反応を行う。これにより得られた反応液から、蒸留により(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を主とする留分を分取する。この留分にホウ酸を添加して蒸留を行うことを特徴とする(メタ)アクリル酸フェニルエステル類の製造方法である。 本発明を実施するに際しては、まず、触媒の存在下に、(メタ)アクリル酸又は無水(メタ)アクリル酸と、フェノール類とのエステル化反応、或いは(メタ)アクリル酸低級アルキルとフェノール類とのエステル交換反応を行う。 本発明に用いられるフェノール類としては、例えばフェノール、p−クロロフェノール、2,3,5−トリクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタブロモフェノール、p−ブロモフェノール、9−メトキシフェノール、o−メトキシフェノール、p−ベンジルフェノール、p−フェニルフェノール、o−フェニルフェノール、p−フェノキシフェノール、p−エトキシフェノ−ル、o−ブトキシフェノール、p−ニトロフェノール、p−シアンフェノール、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、p−ヒドロキシスチレン、o−クレゾ−ル、2−ヒドロキシ−p−キシレン、p−メトキシメチルフェノール、o−メトキシメチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−トルイルフェノール、p−テトラヒドロフルフリルフェノール、6−ヒドロキシキノリン、2−ヒドロキシテトラリン等が挙げられる。 フェノール類の使用量は特に限定されないが、該化合物の(メタ)アクリル酸に対する仕込当量として0.2〜4.0の範囲が好ましい。 エステル化反応に用いられる触媒としては、通常、エステル化反応に使用される触媒であればよく、具体的には硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素エーテラート、酸性イオン交換樹脂等が挙げられる。これらの触媒にはさらにホウ酸を加えることもできる。好ましくは硫酸又は硫酸とホウ酸の混合物である。触媒量は通常エステル化反応に使用される量であればよく、通常(メタ)アクリル酸に対し0.01〜30質量%が用いられる。 エステル化反応は溶媒を用いて行うことが好ましい。溶媒としては水と混和しないもので不活性であればよく、例えばトルエン、キシレン、クメン、n−オクタン、n−ノナン等が用いられる。溶媒量は脱水エステル化反応が良好に行いうる量であればよく、反応液全体の10〜90質量%が用いられる。反応温度は110℃以上150℃以下が好ましい。反応時間は反応温度、触媒、原料、溶媒等によって異なるが、通常は5〜40時間である。 本発明に用いられる(メタ)アクリル酸低級アルキルの低級アルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチルなどが挙げられる。 エステル交換反応に用いられる触媒としては、通常、エステル交換触媒を使用する。エステル交換触媒は、エステル交換反応を進行させるものであれば、特に限定されない。例えば、テトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラメトキシチタンなどのテトラアルコキシチタン類、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシドなどのジアルキル錫オキシド類、アルミニウムアルコキシレート及びアルカリ金属アルコキシレート類が挙げられる。反応性の面からテトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラメトキシチタンが好ましい。また、副生成物が少ない点から、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシド、テトラメトキシチタンが好ましい。反応性が優れ、副反応が少ない点から、テトラメトキシチタンがより好ましい。また、テトライソプロポキシチタンを含む2種以上のエステル交換触媒を併用すると、反応性の面だけでなく副生成物が減少するためより好ましい。併用するエステル交換触媒としては、テトラメトキシチタン、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシドが、副生成物が少なく、好ましく用いることができる。 エステル交換触媒の使用量は、少ないと反応が進行しにくく、多いと副生成物が増加し、反応後のエステル交換触媒の溶解が困難である。触媒の好ましい使用量は、(メタ)アクリル酸低級アルキル1モルに対して、0.0001モル以上が好ましく、0.2モル以下が好ましい。更に好ましくは、0.01モル以上であり、0.15モル以下である。エステル交換触媒は、全量を一度に仕込んでもよいし、数回に分けて加える方法を採ってもよい。エステル交換触媒を二種以上用いる場合には、全量を一度に仕込んでもよいし、いずれかのエステル交換触媒を任意のタイミングで加えてもよい。 エステル化反応、及びエステル交換反応時に好ましくない重合反応を抑制する目的で、空気を吹き込み、必要に応じハイドロキノン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(HO−TEMPO)等の重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤の添加量としては、10ppm〜10000ppmが好ましい。 エステル化反応の反応温度としては、110〜150℃で行うことが、反応速度や重合防止の観点から好ましい。また、エステル交換反応の反応温度は適宜選定すればよいが、常圧で反応を行う場合は通常110〜150℃が好ましい。 反応終了後、蒸留によって溶媒及び未反応物を主とする留分(留分1)と(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を主とする留分(留分2)に分離する。留分1は回収して反応に再利用することができる。留分1は溶媒を主とする留分1aと未反応物を主とする留分1bに分けて回収してもよい。留分1bは未反応物の他に少量の目的物を含有しており、回収して反応に再利用することができる。蒸留する際の圧力及び蒸留温度は、溶媒及び未反応物と(メタ)アクリル酸フェニルエステル類との分離が良好な範囲であればよく、好ましくは0.13〜9.3kPa(1〜70mmHg)の圧力及び160℃以下の温度である。(メタ)アクリル酸フェニルエステル類は重合性に富んでいるため、この蒸留操作においては重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(HO−TEMPO)等が挙げられる。 留分2の組成は反応液の組成にもよるが、(メタ)アクリル酸、無水(メタ)アクリル酸、又は(メタ)アクリル酸低級アルキルの転化率が50%以上であれば、未反応物が1〜30質量%、(メタ)アクリル酸フェニルエステル類が70〜99質量%である。また、溶媒及び水はほとんど含まれていない。 次いで留分2を再蒸留する。その際にホウ酸を添加する。ホウ酸の添加量は留分2中のフェノール類のモル数の10分の1倍量〜2倍量を添加するのが好ましく、より好ましくは5分の1倍量〜1倍量である。また、フェノールの留出を抑制できるので、ホウ酸に加えてさらに、留分2に硫酸を添加するのが好ましい。この理由としては、硫酸を添加することでフェノールとホウ酸から高沸物であるエステルを形成する反応が促進されるためと考えられる。その時の硫酸量はフェノール類に対し0.01〜30モル%が用いられることが好ましい。 前記蒸留する際の圧力は、0.13〜9.3kPaが好ましい。また、蒸留温度としては、160℃以下が好ましい。 留分2中のフェノール類の物質量は、ガスクロマトグラフ分析などを用いて求めることができる。ホウ酸の存在下で蒸留することによって蒸留でも高純度の目的物が効率良く得られる。 以下に実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらの例は本発明の範囲を何ら制限するものではない。 [実施例1] 下記化合物を反応器に入れ、130℃で空気を吹き込みつつ、20時間脱水エステル化反応を行った。 メタクリル酸 517g(6.0モル) フェノール 471g(5.0モル) ホウ酸 15.5g 硫酸 24.5g トルエン 441g HO−TEMPO(重合禁止剤) 1000ppm。 反応終了後、ガスクロマトグラフ分析の結果、反応収率は74.7%であった。反応液500gを蒸留によって溶媒(留分1a)及び未反応物を主とする留分1bとフェニルメタクリレ−トを主とする留分2を分離した。蒸留の条件としては、圧力0.7kPa、温度40〜80℃であった。留分1aは150g得られ、ガスクロマトグラフ分析によると、トルエンが98%、メタクリル酸が1.5%であった。留分1bは70g得られ、ガスクロマトグラフ分析によると、トルエン4.5%、メタクリル酸47.9%、フェノール23.1%、フェニルメタクリレ−ト24.3%であった。留分2は220g得られ、ガスクロマトグラフ分析によると、メタクリル酸0.04%、フェノール8.8%、フェニルメタクリレート87.7%であった。なお、留分1aと1bは、いずれも反応に再利用可能なものである。 このように分取して得られた留分2にホウ酸5.8gを添加し、再度蒸留を行った。蒸留の条件としては、圧力0.7kPa、温度58〜93℃であった。得られた留分から初留分を分離し、フェニルメタクリレ−トを主成分とする主留分が63g得られた。なお、初留から主留へは蒸留塔の塔頂温度が88℃になった時点で切り替えた。こうして得られたフェニルメタクリレ−トは純度99.7%、残留フェノールは0.2%であった。 [比較例1] 実施例1において、留分2にホウ酸を添加しないこと以外は実施例1と同様に蒸留した。得られた留分から初留を分離し、フェニルメタクリレ−トを主成分とする主留分が42g得られた。こうして得られたフェニルメタクリレ−トは純度95.2%、残留フェノールは4.7%であった。 触媒の存在下で(メタ)アクリル酸、無水(メタ)アクリル酸、又は(メタ)アクリル酸低級アルキルから選ばれる1種の化合物と、フェノール類とを反応させて得られる反応終了液から蒸留により(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を主とする留分を分取し、 得られた当該留分にホウ酸を添加して蒸留を行い(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を精製することを特徴とする(メタ)アクリル酸フェニルエステル類の製造方法。 前記(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を(メタ)アクリル酸とフェノール類との脱水エステル化反応によって得る、請求項1に記載の(メタ)アクリル酸フェニルエステル類の製造方法。 前記(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を主とする留分にさらに硫酸を添加して蒸留する、請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル酸フェニルエステル類の製造方法。 【課題】(メタ)アクリル酸フェニルエステル類の製造方法において、精製工程において(メタ)アクリル酸フェニルエステル類とフェノール類とを分離し、高純度の(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を得ることである。【解決手段】触媒の存在下で(メタ)アクリル酸、無水(メタ)アクリル酸、又は(メタ)アクリル酸低級アルキルから選ばれる1種の化合物と、フェノール類とを反応させて得られる反応終了液から蒸留により(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を主とする留分を分取し、当該留分にホウ酸を添加して蒸留を行い(メタ)アクリル酸フェニルエステル類を精製することを特徴とする(メタ)アクリル酸フェニルエステル類の製造方法。【選択図】なし


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