タイトル: | 特許公報(B2)_ビフェニル誘導体の製造方法 |
出願番号: | 2007555416 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C07C 1/26,C07C 15/14,C07C 7/04,C07B 49/00,C07B 61/00 |
林 民生 中谷 仁郎 JP 5210639 特許公報(B2) 20130301 2007555416 20071012 ビフェニル誘導体の製造方法 林 民生 503276274 東レ・ファインケミカル株式会社 000187046 小川 信一 100066865 野口 賢照 100066854 斎下 和彦 100068685 林 民生 中谷 仁郎 JP 2006281677 20061016 20130612 C07C 1/26 20060101AFI20130527BHJP C07C 15/14 20060101ALI20130527BHJP C07C 7/04 20060101ALI20130527BHJP C07B 49/00 20060101ALN20130527BHJP C07B 61/00 20060101ALN20130527BHJP JPC07C1/26C07C15/14C07C7/04C07B49/00C07B61/00 300 C07C 1/26 C07C 7/04 C07C 15/14 C07B 49/00 CA/REGISTRY(STN) 特開2004−256500(JP,A) 特開昭63−295520(JP,A) 特開2005−126330(JP,A) 国際公開第2007/052516(WO,A1) NAGANO,T. et al,Iron-catalyzed oxidative homo-coupling of aryl Grignard reagents,Organic Letters,2005年 2月 3日,Vol.7, No.3,p.491-493 CAHIEZ,G. et al,Iron-Catalyzed Homo-Coupling of Simple and Functionalized Arylmagnesium Reagents,Organic Letters,2005年 5月12日,Vol.7, No.10,p.1943-1946 5 JP2007069957 20071012 WO2008047707 20080424 9 20100514 宮田 和彦 本発明は、ビフェニル誘導体の製造方法に関し、さらに詳しくは、工業的に優れたビフェニル誘導体の製造方法に関する。 ビフェニル誘導体は、有機化学・高分子化学分野で広く用いられる化合物であり、ファインケミカル、医農薬原料、樹脂・プラスチック原料、電子情報材料、光学材料など、工業用途として多岐にわたる分野で有用な化合物である。 ビフェニル誘導体の製造方法としては、芳香族ハロゲン化物を出発基質とすることが知られている。特許文献1はニッケル触媒存在下で、芳香族塩素化物のグリニャール試薬と芳香族臭素化物とを反応させることを提案している。一方、非特許文献1および2は、芳香族ヨウ素化物または芳香族臭素化物をマグネシウムと反応させ、グリニャール試薬に転化した後、塩化鉄(III)触媒を用い、酸化剤の共存下、グリニャール試薬同士をカップリングさせる製造方法を提案している。 しかし、特許文献1に記載された方法では、グリニャール試薬と反応させる基質が芳香族塩素化物になった場合、ビフェニル誘導体の収率は低く、工業的に適用できるものではなかった。また、非特許文献1および2に記載された製造方法は、出発基質として、反応性が高いものの、高価な芳香族ヨウ素化物または芳香族臭素化物を使用するため、製造されたビフェニル誘導体も高価なものとなってしまっていた。さらに、非特許文献1および2に記載された酸化剤は、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジクロロエタンであり、これらは、国際がん研究機関(IARC)による発がん性評価で、それぞれグループ2A(人に対して恐らく発がん性が有る物質)、グループ2B(人に対して発がん性が有るかもしれない物質)とされている。特に1,2−ジクロロエタンは、欧州では使用禁止物質に指定されている。 これらの工業的使用には問題があり、毒性の低い代替物質が望まれていた。日本国特開昭63−295520号公報(実施例1,2,3,4)オーガニック・レターズ(ORGANIC LETTERS) Vol.7, No.3 (2005), 491−493オーガニック・レターズ(ORGANIC LETTERS) Vol.7, No.10 (2005), 1943−1946 本発明の目的は、安価で毒性が低い原料を使用することにより、工業的に高い収率で生産性に優れたビフェニル誘導体の製造方法を提供することである。 本発明のビフェニル誘導体の製造方法は、下記一般式(1)で示されるビフェニル誘導体の製造方法において、下記一般式(2)で示されるベンゼン誘導体の塩素原子をマグネシウム金属と反応させ、グリニャール試薬に転化し、該グリニヤール試薬同士を触媒およびジクロロプロパンの存在下でカップリング反応させることを特徴とする。(ただし、Aは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシメチル基、ビニル基、フェニル基、塩素から選ばれる少なくとも1つを表し、nは、1〜4の整数とする。)(ただし、Aは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシメチル基、ビニル基、フェニル基、塩素から選ばれる少なくとも1つを表し、nは、1〜4の整数とする。) 本発明のビフェニル誘導体の製造方法は、出発基質として安価な芳香族塩素化物を使用することにより、低コストでグリニャール試薬を中間体として生成することができ、このグリニャール試薬同士を、毒性が低いジクロロプロパンを酸化剤として用いて、カップリング反応させることにより、効果的に高収率でビフェニル誘導体を製造することができる。 以下に本発明の詳細を記載する。 本発明のビフェニル誘導体の製造方法は、下記一般式(2)で示されるベンゼン誘導体を出発基質とする。(ただし、Aは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシメチル基、ビニル基、フェニル基、塩素から選ばれる少なくとも1つを表し、nは、1〜4の整数とする。) 前記式(2)において、nは、1〜4の整数であり、好ましくは1または2である。nが1または2のときに、より安価な出発基質が使用でき、さらに本反応において置換基による立体的な反応阻害効果が少ないためより効率的に反応が進行するからである。 置換基Aは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシメチル基、ビニル基、フェニル基、塩素から選ばれる少なくとも1つである。アルキル基の具体的例としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基が挙げられる。アルコキシ基の具体例は、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、ターシャリーブトキシ基が挙げられる。アルコキシメチル基の具体例は、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシノルマルプロピル基、メトキシイソプロピル基が挙げられる。フェニル基は、無置換のフェニル基でも置換フェニル基でも構わない。 出発基質の具体例としては、o−クロロトルエン、m−クロロトルエン、p−クロロトルエン、o−クロロエチルベンゼン、m−クロロエチルベンゼン、p−クロロエチルベンゼン、o−クロロノルマルプロピルベンゼン、m−クロロノルマルプロピルベンゼン、p−クロロノルマルプロピルベンゼン、o−クロロイソプロピルベンゼン、m−クロロイソプロピルベンゼン、p−クロロイソプロピルベンゼン、3−クロロ−o−キシレン、4−クロロ−o−キシレン、2−クロロ−m−キシレン、4−クロロ−m−キシレン、2−クロロ−p−キシレン、2−クロロメシチレン、o−クロロアニソール、m−クロロアニソール、p−クロロアニソール、o−クロロ−メトキシメチルベンゼン、m−クロロ−メトキシメチルベンゼン、p−クロロ−メトキシメチルベンゼン、o−クロロ−メトキシエチルベンゼン、m−クロロ−メトキシエチルベンゼン、p−クロロ−メトキシエチルベンゼン、2−クロロビフェニル、3−クロロビフェニル、4−クロロビフェニル、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンなどが挙げられ、中でも好ましいのは、o−クロロトルエン、m−クロロトルエン、p−クロロトルエン、4−クロロ−o−キシレン、p−クロロアニソール、p−ジクロロベンゼン、p−クロロ−メトキシメチルベンゼンである。 本発明において、前記(2)のベンゼン誘導体の塩素原子をマグネシウム金属と反応させて、グリニャール試薬に転化する。グリニャール試薬への転化反応は、特に制限されることなく、公知の転化反応を利用することができる。 マグネシウム金属は、特に限定されないが、粉末状のものを用いることが好ましい。グリニャール試薬に転化する反応は、脱水された系で行われる。脱水した溶媒を用いることあるいは安価なグリニャール試薬を添加し、水を除去することが好ましい。 また、マグネシウム金属の表面酸化皮膜をとり、反応性を高めるため、ヨウ素、臭素あるいは、これらを含む安価な化合物を添加するとよい。このような化合物の例としては、ヨウ化メチル、臭化メチル、ヨウ化エチル、臭化エチル等が好ましく挙げられる。 本発明の製造方法において、グリニャール試薬同士のカップリング反応に用いられる触媒は、Fe,Ag,Cu,Co,Zn,Ni,Pd金属またはその化合物が好ましく挙げられ、化合物としては、これら金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、酢酸塩、アセチルアセトナート塩、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩が好ましく用いられる。中でも塩化第一鉄(II)、塩化第二鉄(III)、臭化第一鉄、臭化第二鉄が好ましい。 また、触媒の使用量は、出発基質1モルに対し、0.01モル%〜20モル%を用いるのが好ましく、0.05%〜10モル%がさらに好ましい。触媒使用量を上記の範囲とすることにより、カップリング反応を効率良くかつ経済的に行うことができる。 本発明の製造方法は、酸化剤として、ジクロロプロパンを用いる。酸化剤はカップリング反応で還元された触媒を酸化し、再生する。これにより、触媒サイクルが回り、反応収率が向上する。 酸化剤の具体例としては、1,1−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパンが挙げられる。中でも1,2−ジクロロプロパンは、国際がん研究機関(IARC)による発がん性評価で、グループ3(ヒトに対する発がん性については分類できない物質)とされており、従来提案されている酸化剤よりも毒性が低いことから、これが好ましく用いられる。また、ジクロロプロパンの使用量は、出発基質1モルに対し、0.1モル倍量〜5モル倍量用いるのが好ましく、0.2モル倍量〜3モル倍量がより好ましい。0.1モル倍量より少ないと酸化剤による触媒再生の効果が少なく、5モル倍量よりも多いと、未反応の酸化剤が残存し、目的物の単離精製で負荷がかかり、非効率的である。 本発明の製造方法に用いる溶媒は、反応を効率よく進行させることができるものであれば、いずれの溶媒でも任意に選択できるが、好ましくは、グリニャール試薬が生成しやすいエーテル系溶媒が好ましい。溶媒の具体例としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、シクロプロピルメチルエーテル、メチル−ターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。中でも好ましいのは、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、シクロプロピルメチルエーテル、メチル−ターシャリーブチルエーテルである。 また、溶媒の使用量については、前記式(2)で示されるベンゼン誘導体、グリニャール試薬および生成物の溶解性やスラリー濃度または反応液の性状に応じ、任意の量で構わないが、好ましくは、前記式(2)で示されるベンゼン誘導体に対し、0.5〜100モル倍量である。0.5モル倍量未満だと、グリニャール試薬の収率が低くなり、100モル倍量を超えると生産性が悪く、非経済的なプロセスとなる。 本発明の製造方法において、カップリング反応の反応温度は、30〜100℃が好ましく、45〜70℃がさらに好ましい。反応温度が30℃より低いと、反応がほとんど進行せず、例え反応が進行したとしても、途中で停止することがあり、また100℃を超えると、グリニャール試薬が反応する前に分解することがあり好ましくない。 本発明の製造方法において、カップリング反応の際に、目的とする下記一般式(1)で示されるビフェニル誘導体と共に、下記一般式(3)で示されるハロゲン化ビフェニル誘導体が副生することから、ビフェニル誘導体を含む組成物が得られる。(ただし、Aは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシメチル基、ビニル基、フェニル基、塩素から選ばれる少なくとも1つを表し、nは、1〜4の整数とする。) (ただし、Aは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシメチル基、フェニル基、塩素から選ばれる少なくとも1つを表し、Xは、ハロゲン原子を表し、nは、1〜4の整数、aおよびbは、整数でありaとbの合計が1〜8とする。) 本発明の製造方法によって得られたビフェニル誘導体を含む組成物は、前記式(3)で示されるハロゲン化ビフェニル誘導体の含量が20重量%以下であることが好ましく、0.01重量%〜20重量%がより好ましい。ハロゲン化ビフェニル誘導体が20重量%を超えると、ファインケミカル、医農薬原料、樹脂・プラスチック原料、電子情報材料、光学材料などの原料として用いると、最終製品の品質低下を引き起こすからである。すなわち、最終製品の純度低下、着色、強度低下、光学特性低下などの品質上の問題が発生する。 従って、本発明のカップリング反応液から目的のビフェニル誘導体を単離する際は、副生したハロゲン化ビフェニル誘導体をできる限り少なくすることが必要である。単離方法は、蒸留法、晶析法、抽出法、シリカ等によるカラム分離、擬似移動床吸着分離法などが挙げられ、いずれの方法でも構わないし、複数の方法を組み合わせても構わない。反応液中に、活性なマグネシウム等が残存している可能性があることから、反応液に水あるいは、酸性水を加え、反応で生成したマグネシウム塩を水相に除去した後、得られた油相から単離する方法が好ましい。例えば蒸留法では、単蒸留、精留、減圧蒸留、常圧蒸留のいずれでも構わないが、好ましくは、減圧蒸留が用いられる。目的のビフェニル誘導体よりハロゲン化ビフェニル誘導体の方が高沸点であるため、目的のビフェニル誘導体を留出させ、ハロゲン化ビフェニル誘導体をできる限り留出させずに、缶残等に残すなどの蒸留操作が必要である。 本発明の製造方法は、いずれかの単離方法で、得られたビフェニル誘導体中のハロゲン化ビフェニル誘導体含量を0.01重量%〜20重量%にすることが好ましく、さらに好ましくは、0.01重量%〜5重量%とするとよい。ハロゲン化ビフェニル誘導体含量を上記の範囲内とすることにより、ビフェニル誘導体を原料とする最終製品の純度、着色、強度、光学特性などの品質を維持できる。 本発明の製造方法により得られたビフェニル誘導体は、多岐にわたる分野で種々の化合物へ変化することが可能であり、安価な原料・毒性の低い酸化剤を使用し、かつ効率よく工業的に得られることの意義は大きい。 実施例 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、ここで用いている試薬類のメーカーグレードは、いずれも1級レベル以上に相当するものである。 テトラヒドロフラン136.8g(1.90mol;nacalai tesque社製)、マグネシウム粉末11.5g(0.47mol;中央工産社製)、o−クロロトルエン5g(0.008mol;和光純薬社製)を温度計付き反応器に投入し、系内を窒素置換しながら、撹拌した。ターシャリーブチルマグネシウムクロライド1g(0.008mol;東京化成製)を添加し、系内の水分を除去した。続いて、臭化エチル4.3g(0.04mol;和光純薬社製)を加えた。暫く撹拌し、発熱が起こることを確認した。次に反応液温度35〜50℃に保ちながら、o−クロロトルエン45g(0.35mol)を滴下した。滴下終了後、60℃で3時間撹拌しながら、熟成した(グリニャール試薬収率83%)。 次に、塩化鉄(III)1.9g(0.012mol;和光純薬社製)にテトラヒドロフラン7.1g(0.10mol)を加えた液に、1,2−ジクロロプロパン53.6g(0.74mol;和光純薬社製)を加え、触媒含有溶液を調製した。これを上記グリニャール試薬溶液に、反応液温度30〜50℃に保ちながら滴下し、カップリング反応を行った。滴下終了後、50℃で3時間反応を行った。反応終了後、冷却し、反応液を水に展開し、ジエチルエーテル(nacalai tesque社製特級)で油層を抽出し、これに内部標準物質であるアセトフェノン(nacalai tesque社製特級)を加えて、ガスクロマトグラフィー法(カラム:GLサイエンス社製:イナートキャップ1 長さ60m×径0.25mm、膜厚0.40μm)で分析した。o−クロロトルエンに対する2,2′−ジメチルビフェニルの収率は84.4%であった。また、副生したクロロ2,2′−ジメチルビフェニルは、2,2′−ジメチルビフェニルに対して、0.54重量%であった。 実施例1において、o−クロロトルエンからm−クロロトルエンに変更した以外は、実施例1と同様に反応を行った。m−クロロトルエンに対する3,3′−ジメチルビフェニルの収率は79.4%であった。また、副生したクロロ3,3′−ジメチルビフェニルは、3,3′−ジメチルビフェニルに対して、1.4重量%であった。 実施例1において、o−クロロトルエンからp−クロロトルエンに変更した以外は、実施例1と同様に反応を行った。p−クロロトルエンに対する4,4′−ジメチルビフェニルの収率は82.0%であった。また、副生したクロロ4,4′−ジメチルビフェニルは、4,4′−ジメチルビフェニルに対して、0.80重量%であった。 テトラヒドロフラン123.1g(1.71mol;nacalai tesque社製)、マグネシウム粉末10.4g(0.43mol;中央工産社製)、4−クロロ−o−キシレン5g(0.036mol;和光純薬社製)を温度計付き反応器に投入し、系内を窒素置換しながら、撹拌した。ターシャリーブチルマグネシウムクロライド1g(0.008mol;東京化成製)を添加し、系内の水分を除去した。続いて、臭化エチル3.9g(0.04mol;和光純薬社製)を加えた。暫く撹拌し、発熱が起こることを確認した。次に反応液温度35〜50℃に保ちながら、4−クロロ−o−キシレン45g(0.32mol)を滴下した。滴下終了後、60℃で3時間撹拌しながら、熟成した(グリニャール試薬収率90%)。 次に、塩化鉄(III)1.7g(0.011mol;和光純薬社製)にテトラヒドロフラン6.4g(0.09mol)を加えた液に、1,2−ジクロロプロパン48.2g(0.67mol;和光純薬社製)を加え、触媒含有溶液を調製した。これを上記グリニャール試薬溶液に、反応液温度30〜50℃に保ちながら滴下し、カップリング反応を行った。滴下終了後、50℃で3時間反応を行った。反応終了後、冷却し、反応液を水に展開し、ジエチルエーテル(nacalai tesque社製特級)で油層を抽出し、これに内部標準物質であるアセトフェノン(nacalai tesque社製特級)を加えて、ガスクロマトグラフィー法(カラム:GLサイエンス社製:イナートキャップ1 長さ60m×径0.25mm、膜厚0.40μm)で分析した。4−クロロ−o−キシレンに対する3,4,3′,4′−テトラメチルビフェニルの収率は72.5%であった。また、副生したクロロ3,4,3′,4′−テトラメチルビフェニルは、3,4,3′,4′−テトラメチルビフェニルに対して、1.8重量%であった。 実施例4において、4−クロロ−o−キシレンから3−クロロ−o−キシレンに変更した以外は、実施例4と同様に反応を行った。3−クロロ−o−キシレンに対する2,3,2′,3′−テトラメチルビフェニルの収率は74.3%であった。また、副生したクロロ2,3,2′,3′−テトラメチルビフェニルは、2,3,2′,3′−テトラメチルビフェニルに対して、1.6重量%であった。 比較例1 実施例1において、酸化剤を1,2−ジクロロプロパン53.6g(0.74mol;和光純薬社製)から1,2−ジクロロエタンに変更した以外は、実施例1と同様に反応を行った。o−クロロトルエンに対する2,2′−ジメチルビフェニルの収率は65.9%であった。また、副生したクロロ2,2′−ジメチルビフェニルは、2,2′−ジメチルビフェニルに対して、4.5重量%であった。 下記一般式(1)で示されるビフェニル誘導体の製造方法において、下記一般式(2)で示されるベンゼン誘導体の塩素原子をマグネシウム金属と反応させ、グリニャール試薬に転化し、該グリニヤール試薬同士を触媒およびジクロロプロパンの存在下でカップリング反応させるビフェニル誘導体の製造方法。(ただし、Aは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシメチル基、ビニル基、フェニル基、塩素から選ばれる少なくとも1つを表し、nは、1〜4の整数とする。)(ただし、Aは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシメチル基、ビニル基、フェニル基、塩素から選ばれる少なくとも1つを表し、nは、1〜4の整数とする。) 前記式(2)において、前記置換基Aの数nが1または2である請求項1に記載のビフェニル誘導体の製造方法。 前記触媒がFe、Ag、Cu、Co、Zn、Ni、Pdから選ばれる少なくとも1つの金属またはその化合物である請求項1又は2に記載のビフェニル誘導体の製造方法。 前記ジクロロプロパンが、1,2−ジクロロプロパンである請求項1〜3のいずれかに記載のビフェニル誘導体の製造方法。 前記ビフェニル誘導体を精製し、下記一般式(3)で示されるハロゲン化ビフェニル誘導体の含有量を0.01重量%〜20重量%とする請求項1〜4のいずれかに記載のビフェニル誘導体の製造方法。(ただし、Aは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシメチル基、ビニル基、フェニル基、塩素から選ばれる少なくとも1つを表し、Xは、ハロゲン原子を表し、nは、1〜4の整数、aおよびbは、整数でありaとbの合計が1〜8とする。)