タイトル: | 特許公報(B2)_第3級アミンの製造方法 |
出願番号: | 2007555017 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C07D 295/02 |
岡 昭範 鍋島 亮浩 阿部 吉伸 徳田 弘晃 JP 4994246 特許公報(B2) 20120518 2007555017 20070118 第3級アミンの製造方法 大塚化学株式会社 000206901 岩谷 龍 100077012 田村 巌 100081536 岡 昭範 鍋島 亮浩 阿部 吉伸 徳田 弘晃 JP 2006010366 20060118 20120808 C07D 295/02 20060101AFI20120719BHJP JPC07D295/02 Z C07D CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN) Chelucci G et al,Synthesis,1990年,No.12,p.1121-2 Liu T et al,Jingxi Yu Zhuanyong Huaxuepin,2004年,Vol.12, No.10,p.24-5 5 JP2007051124 20070118 WO2007083839 20070726 7 20080516 春日 淳一 本発明は、第3級アミンの製造方法に関する。 第3級アミンの製造方法として、原料にアルコールまたは環状エーテル等を用い、第1又は2級アミンと触媒存在下、高温高圧下脱水する、いわゆる気相反応が知られている(例えば、特許文献1)。またアミド化合物を高温高圧下、接触水素化して第3級アミンを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。特開平04−342578号公報特許第2553049号 この特許文献1および2の方法は、高温反応や高圧反応といった特殊な反応容器が必要であり、穏和な条件下では実施出来ない。 穏和な条件下での反応として、第2級アミンへハロゲン化アルキルを反応させる方法がある。確かに、常圧下での反応ではあるが、反応後生成するハロゲン化水素を中和する必要があり、使用するアルカリとハロゲン化アルキルが反応してしまい収率を低下させる。また生成する第3級アミンの方が一般的に第2級アミンよりハロゲン化アルキルへの反応性がよく、第4級塩まで反応が進行してしまい、反応系に第2級アミン、第3級アミン、第4級アミンが混在することになる。反応収率が悪いだけでなく、取り出し収率も大幅に低下し好ましくない。また第3級アミンと第2級アミンとの分離は通常蒸留による精製となるが、特にメチル化反応では第3級アミンと原料の第2級アミンとの沸点差があまりない化合物が多く、取り出しでの収率低下や工数の増加につながることが多い。 本発明の課題は、一般的な反応装置で穏和な条件下、原料を残存させることなく定量的に反応を終了する第3級アミンの製造方法を提供することにある。 本発明は以下の発明に係る。1.式(1)の化合物もしくはその重合物と、蟻酸の混合物に、式(2)の化合物を添加することを特徴とする式(3)の第3級アミンの製造方法。(式中、R3は、水素原子、C1〜C3のアルキル基を示す。)(式中、R1およびR2は、C1〜C3のアルキル基を示す。これらR1、R2および窒素原子により、環を形成してもよい。)(式中、R1〜R3は上記に同じ。)2.式(2)の化合物が、ピロリジン環を有する化合物である製造方法。3.第3級アミンが、N−メチルピロリジンである製造方法。 本発明は、式(1)の化合物もしくはその重合物と、蟻酸の混合物に、式(2)の化合物を添加する式(3)の第3級アミンの製造方法である。 R3で示される基は、具体的には次の通りである。水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基等が挙げられ、好まくは水素原子、メチル基が良い。 R1〜R2で示される基は、具体的には次の通りである。 C1〜C3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基等の炭素数1〜3の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基を挙げることができる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が良い。R1、R2および窒素原子により、5〜7の環を形成してもよい。具体的にはピロリジン、ホモピペリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等の環を例示することができる。 式(1)の化合物としては、具体的には次の通りである。ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、パラホルムアルデヒド、パラアセトアルデヒド等が挙げられる。また、その重合物としては、パラホルムアルデヒド、パラアセトアルデヒド等が挙げられる。 式(2)の化合物としては、具体的には次の通りである。ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、エチルイソプロピルアミン、ピロリジン、ホモピペリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等が挙げられる。 式(3)の第3級アミンとして例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、メチルジプロピルアミン、メチルジイソプロピルアミン、エチルジメチルアミン、ジメチルプロピルアミン、エチルメチルプロピルアミン、エチルメチルイソプロピルアミン、メチルピロリジン、エチルピロリジン、プロピルピロリジン、イソプロピルピロリジン、ブチルピロリジン、tert−ブチルピロリジン、メチルホモピペリジン、エチルホモピペリジン、メチルピペリジン、エチルピペリジン、ジメチルピペラジン、ジエチルピペラジン、メチルエチルピペラジン、メチルモルホリン、エチルモルホリン等が挙げられる。 本発明の製造方法としては、具体的には次の通りである。 還流冷却器を備えた反応容器内に、式(1)の化合物および蟻酸を混合する。式(1)の化合物および蟻酸は、水溶液で使用することも出来る。特に低沸点のホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを使用する時は、水溶液で使用するか、重合物で使用することが好ましい。ホルムアルデヒドの水溶液の濃度としては、20〜50%、好ましくは、30〜40%が良い。アセトアルデヒドの水溶液濃度としては50〜95%、好ましくは、70〜90%が良い。蟻酸水溶液の濃度としては、60〜100%、好ましくは、80%以上が良い。 式(1)の化合物と蟻酸の混合割合は、式(1)の化合物1モルに対して蟻酸を1.0〜5.0モル、好ましくは、2.0〜4.0モルが良い。1.0モル未満の場合は、原料の式(2)の化合物が残存してしまう虞があり、また式(2)の化合物をアルキルメチレンで繋いだ副生成物が多量に生成してしまう。例えば式(2)の化合物がピロリジンの場合、副生成物としてジピロリジノメタンが、ジメチルアミンの場合、テトラメチルジアミノメタンが多く生成してしまう。5.0モルを超える場合は、取り出しの際に使用するアルカリが多量に必要となり、不経済であるばかりか、水層量が増えてしまい目的物の回収率も低下させてしまう虞がある。 式(2)の化合物と式(1)の化合物のモル比は式(2)の化合物1モルに対して式(1)の化合物を1.0〜3.0モル、好ましくは、1.0〜2.5モルが良い。1.0モル未満の場合は、原料の式(2)の化合物が残存してしまう虞がある。3.0モルを超える場合は、未反応の式(1)の化合物が多量に残存してしまい取り出し時、精製が困難になる虞がある。 次に、上記混合物を加熱する。加熱温度は、式(1)の化合物の種類により適宜調節すればよいが、通常、40〜120℃の範囲が好ましく、特に還流温度まで加熱するのが好ましい。使用する原料の沸点に左右されるが、添加されたアミンが瞬時に反応するように、出来るだけ高温下で行うことが望ましい。低温で3成分を混合し昇温する反応様式は急激に反応が進行してしまい、反応熱と脱CO2のバランスによっては突沸の可能性があり非常に危険である。 その後、還流しながら、式(2)の化合物を上記混合溶液に添加する。添加する第2級アミンも特に低沸点のものに限っては水溶液で使用することが好ましい。濃度としては、30〜90%、好ましくは、40〜80%が良い。添加方法は反応が発熱反応のため、急激な反応が起こらないように、例えば滴下方法、細流添加方法などを挙げることができる。添加時間は、混合溶液の量により適宜調節すればよいが、通常、添加する第2級アミンの全量(100%)に対して5〜50%/h、好ましくは10〜30%/h程度が良い。添加速度が50%/hを超える場合、反応熱と脱CO2のバランスによっては突沸する可能性があり、非常に危険である。 添加終了後、完全に反応を進行させるため加熱還流を続ける。反応温度は、反応混合物の種類により適宜調節すればよいが、通常、40〜120℃の範囲が好ましく、特に還流温度が良い。反応時間は、混合物の量により適宜調節すればよいが、通常、1〜24時間、好ましくは、1〜12時間、より好ましくは、2〜8時間が良い。 反応終了後、反応溶液を10〜50℃まで冷却する。冷却方法としては、水冷で良い。 冷却後、アルカリを添加し、有機層と水層を分離する。添加するアルカリ剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム又はそれらの水溶液を使用できる。特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はそれらの水溶液が好ましい。添加するアルカリ量としては、固体アルカリ濃度/全量=10〜50%が好ましい。添加温度としては室温〜60℃程度が良い。第3級アミンは有機層に分離される。添加量が少ないと2層分離が不十分となるばかりか、2層分離しても目的とするアミンの有機層への分配率が下がるので好ましくない。必要により有機溶媒で抽出することができる。有機溶媒としては種々のものを使用できる。一般的に炭化水素、ハロゲン化溶媒、エーテル類を挙げることが出来る。抽出後、蒸留により目的物を得る。蒸留の際、精製が容易なように抽出されるアミンの沸点と抽出溶媒の沸点差が大きなものを選択する。低沸点のアミンを抽出する場合は高沸点の炭化水素溶媒等が適する。また高沸点のアミンを抽出する場合は低沸点のエーテル系やハロゲン化溶媒を選択するのが好ましい。 以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが何らこれらに限定されるものではない。また、実施例及び比較例において、各種物性の測定は以下の方法で行った。第3級アミンの同定 第3級アミンは、1H−NMRの測定結果から同定した。原料の残存量及び第3級アミンの収率はガスクロマトグラフィー(GC)にて決定した。1H−NMR: BRUKER 300MHzGC: SHIMADZU GC14B使用カラム: Amipack 141(ジーエルサイエンス社製)実施例1 N−メチルピロリジンの製造 還流冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコへ37%ホルムアルデヒド水溶液(和光純薬工業株式会社製)339.65g(2.95mol)と90%蟻酸水溶液377.65g(7.38mol)を仕込んだ。還流温度(85℃)まで昇温した。滴下ロートよりピロリジン(Py)175.00g(2.46mol)を約5時間かけて滴下した。滴下は常に還流下にて行った。滴下終了後、還流下(104℃)6時間反応させた(反応収率99%、ピロリジン残存率0.3%)。室温まで冷却し、48%NaOH水溶液625gを内温が55℃を超えないように、冷却しながら添加した。2層分離した有機層(上層)を抽出した。上層214.46g〔回収率98%、有機層組成 N−メチルピロリジン94.7%、Py0.3%、MeOH(ホルムアルデヒドの安定剤)0.6%、H2O 4.4%〕を蒸留し、メタノール50ppm以下、ピロリジン50ppm以下、H2O 50ppm以下のN−メチルピロリジンを201.23g(96%)得た。1H−NMRにより目的物であることを確認した。1H−NMR(D2O)δ 1.61(m 4H),2.14(s 3H),2.34(m 4H)実施例2〜12 ピロリジン(Py)、ホルムアルデヒド(HCHO)及び蟻酸(HCOOH)を表1に記載の割合、滴下時間、反応時間で還流下で反応させ、目的とするN−メチルピロリジン(NMP)を得た。蒸留後の収率を表1に示す。尚、いずれの実施例でも原料Pyの残存量は50ppm以下であった。また実施例2ではパラホルムアルデヒド(和光純薬工業株式会社製)を使用し、実施例3ではPyの添加速度を遅くした。実施例13 ホルムアルデヒド(2.95mol)をアセトアルデヒド(和光純薬工業株式会社製、90%品)(2.95mol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、N−エチルピロリジン(蒸留後収率95%、ピロリジン50ppm以下)を得た。比較例1 ピロリジンおよびホルムアルデヒドの混合溶液に、蟻酸を添加する以外は実施例1と同様にしてN−メチルピロリジンを製造した。反応収率56%、取り出し収率20%(ピロリジンとの分離性が悪く、取り出し収率が大幅に低下、また20%超える量で副生成物のジピロリジノメタンの生成が確認された。)比較例2 ピロリジンおよび蟻酸の混合溶液に、ホルムアルデヒドを添加する以外は実施例1と同様にしてN−メチルピロリジンを製造した。反応収率75%、取り出し収率55%(ピロリジンとの分離性が悪く、取り出し収率が大幅に低下した。)比較例3 還流冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコへピロリジン100.00g(1.41mol)と炭酸カリウム97.17g(0.70mol)、メタノール100mlを仕込み、0℃まで冷却した。沃化メチル209.56g(1.48mol)を反応温度が5℃を超えないようにゆっくり滴下した。滴下終了後、徐々に昇温し、25℃にて10時間、還流下で10時間反応させた(反応収率40%、ピロリジン残存率27%)。蒸留による精製を行ったが、原料との完全な分離は困難であった。 本発明によれば、温和な条件下で、ほぼ定量的に第3級アミンを製造することができる。 また本発明によれば、目的の第3級アミンに含まれる原料の式(2)の化合物の残存量を微量にすることができ、例えば100ppm以下、好ましくは50ppm以下にすることができる。 式(1)の化合物もしくはその重合物と、蟻酸の混合物を40〜120℃の範囲まで加熱し、次いで当該混合物に、式(2)の化合物を添加することを特徴とする式(3)の第3級アミンの製造方法。(式中、R3 は、水素原子、C1〜C3のアルキル基を示す。)(式中、R1およびR2は、C1〜C3のアルキル基を示す。これらR1 、R2 および窒素原子により、環を形成してもよい。)(式中、R1〜R3は上記に同じ。) 式(2)の化合物が、ピロリジン環を有する化合物である請求の範囲1に記載の製造方法。 第3級アミンが、N−メチルピロリジンである請求の範囲1に記載の製造方法。 目的の第3級アミンに含まれる原料の式(2)の化合物の残存量が100ppm以下である請求の範囲1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。 目的の第3級アミンに含まれる原料の式(2)の化合物の残存量が50ppm以下である請求の範囲1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。