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タイトル:特許公報(B2)_薬物含有ワックスマトリックス粒子の製造方法、該方法に使用されるエクストルーダー、及びシロスタゾールを含有する徐放性製剤
出願番号:2007551147
年次:2013
IPC分類:A61K 31/4709,A61K 47/44,A61K 9/16,A61K 47/06,A61K 47/10,A61K 47/12,A61K 47/14,A61K 47/34,A61K 47/38,A61K 47/02,A61K 47/04,A61K 31/522


特許情報キャッシュ

友平 裕三 山口 恭生 JP 5252926 特許公報(B2) 20130426 2007551147 20061221 薬物含有ワックスマトリックス粒子の製造方法、該方法に使用されるエクストルーダー、及びシロスタゾールを含有する徐放性製剤 大塚製薬株式会社 000206956 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 友平 裕三 山口 恭生 JP 2005370927 20051222 JP 2006156578 20060605 20130731 A61K 31/4709 20060101AFI20130711BHJP A61K 47/44 20060101ALI20130711BHJP A61K 9/16 20060101ALI20130711BHJP A61K 47/06 20060101ALI20130711BHJP A61K 47/10 20060101ALI20130711BHJP A61K 47/12 20060101ALI20130711BHJP A61K 47/14 20060101ALI20130711BHJP A61K 47/34 20060101ALI20130711BHJP A61K 47/38 20060101ALI20130711BHJP A61K 47/02 20060101ALI20130711BHJP A61K 47/04 20060101ALI20130711BHJP A61K 31/522 20060101ALN20130711BHJP JPA61K31/4709A61K47/44A61K9/16A61K47/06A61K47/10A61K47/12A61K47/14A61K47/34A61K47/38A61K47/02A61K47/04A61K31/522 A61K 31/4709 国際公開第2005/000312(WO,A1) 特開2005−162733(JP,A) 特開平08−245389(JP,A) 17 JP2006325501 20061221 WO2007072908 20070628 30 20091127 深草 亜子 本発明は、薬物含有ワックスマトリックス粒子の製造方法に関する。また、本発明は、薬物含有ワックスマトリックス粒子を製造するためのエクストルーダーに関する。 更に、本発明は、シロスタゾールを含有する徐放性製剤に関する。より詳細には、シロスタゾールを含むワックスマトリックス粒子を含む製剤であり、空腹時投与と食後投与の場合にシロスタゾール放出や血中濃度推移の差が少なく、優れた徐放性を備えている徐放性製剤に関する。 経口徐放性製剤として、錠剤のようなシングルユニット型と、顆粒のようなマルチプルユニット型が知られており、体内での薬物放出及び血中濃度プロファイルの点では、個体間のバラツキの小さいマルチプルユニット型製剤が望ましいとされている。また、徐放化製剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリオキシエチレン(PEO)等の水溶性高分子を用いた親水性ハイドロゲル製剤が適しているが、このような親水性ハイドロゲル製剤では、薬物の放出速度が食事の影響を受け易い傾向にある。また、pH依存型又はpH非依存型の高分子によるフィルムコーティングは、製剤の溶解性を調節する上で、錠剤、顆粒のいずれにも適しているが、このようなフィルムコーティングでは、胃内酸性度のバラツキの影響が無視できないうえに、粒子径の小さい顆粒、特に粒子径が100μm以下の微小粒子には製造適性(コーティング時間、収率、ロット間バラツキ)の面で問題が多い。また、エチルセルロース(EC)のような水不溶性高分子のフィルムコーティング製剤では、微小粒子への適用が困難であるだけでなく、難溶性薬物の徐放化にも適さないという欠点がある。 また、水不溶性の油脂性物質をマトリックス基剤として使用することによっても、徐放性を備えさせ得ることが知られており、このようなマトリックス基剤を含む粒子(以下、ワックスマトリックス粒子と表記することもある)は、徐放性の製剤として有用であることが分かっている。 従来、ワックスマトリックスを有する製剤としては、1mm以下の粒子状のものから数mm以上のペレット又は錠剤状のものが知られており、その製造方法として、溶融法、スプレー法、加熱溶融スプレー法、混練押出法等が採用されている。こら従来法の内、平均粒子径1mm以下のワックスマトリックス粒子を製造する方法として、低融点物質を融点以上の温度で加熱溶融し、薬物及び他の添加剤を添加して混合した後に、大型のスプレークーラーを用いて噴霧冷却する方法(加熱溶融スプレー法)が知られている(特許文献1参照)。この加熱溶融スプレー法は、球状のマトリックス粒子を形成させる上では適しているが、(1)噴霧冷却のための大型の装置を必要とする、(2)加熱溶融するためのタンク内で原料を均一に混合するための装置が必要である、(3)タンクと噴霧冷却装置との接続に必要な配管、ポンプ等に対しても温度制御が必要である、等の欠点がある。更に、加熱溶融スプレー法では、大量生産する場合には、多量の原料を加熱処理する必要があり、原料は不可避的に長時間高温に曝されるため、熱によって薬物や添加剤の安定性が損なわれることが懸念される。そして更に、加熱溶融スプレー法では、溶融混合物に溶解している薬物が析出し易い場合には、タンク内の溶融混合液の表面或いはタンク壁面との接液面;送液ライン;回転ディスク、スプレーノズル等の噴霧部分等にて薬物の析出固化によるトラブルが生じるという欠点がある。 また、特許文献2には、多軸型エクストルーダーを用いて、ワックスマトリックス粒子を製造する方法が報告されている。この特許文献2の方法では、ダイからの吐出物はワックスの融点以下(好ましくは融点より10〜20℃低い温度)に温度制御し、吐出物を冷却固化しながら高速カッターでペレット状に切断し、次いでロールグラニュレーター等で粉砕することにより平均粒子径1mm以下のワックスマトリックス粒子を得ている。しかしながら、この方法では、多軸型エクストルーダーによって一段階で原料をマトリックス状に形成させることができても、1mm以下の粒子にするには、別途、粉砕処理を行うことが必要であると共に、粉砕処理では球状の粒子を得ることができないという不都合がある。 更に、エクストルーダーを用いたワックスマトリックス製剤の製造方法としては、エクストルーダーからの吐出物を高速カッターで切断し、丸みをつけるように成形する方法(例えば、特許文献3参照)、エクストルーダーからの吐出物をレンズ状錠剤に成形する方法(例えば、特許文献4参照)、エクストルーダーからの吐出物をミルで粉砕し、水、空気で冷却しながら更に高速カッターで切断する方法(例えば、非特許文献1参照)が知られている。しかしながら、これらのエクストルーダーを用いた方法では、上記特許文献1の方法と同様に、平均粒子径が1mm以下のワックスマトリックス粒子を得るには、別途、粉砕処理を要するという欠点に加え、形状が不均一であり球状の粒子を得ることができないという問題点もある。また、従来、二軸エクストルーダーで原料を溶融混合し,ポンプでアトマイザーに送液し、噴霧する方法も報告されている(特許文献5参照)。しかしながら、この方法では、ポンプによる送液を介することが必須となっており、配管接続部にて溶融している薬物の結晶化による液詰まり等のトラブルを生じさせるため、装置のメンテナンスの負担の増大、製造効率の低下等の欠点を有している。 このような従来技術を背景として、薬物含有ワックスマトリックス粒子、特に平均粒子径1mm以下の薬物含有ワックスマトリックス粒子を、溶融から噴霧までの工程で溶融した薬物の再結晶化による液詰まりなく、簡便な方法で製造する方法の確立が切望されている。 また、従来、薬物含有ワックスマトリックス粒子は、上記のような製造上の問題点だけでなく、配合される薬物が制限されるという欠点もあるため、臨床上の応用範囲が限定されていた。具体的には、ワックスマトリックス粒子は、限られた消化管内移動時間内において完全に放出して吸収されることが重要であるため、水への溶解度が約0.6w/v%程度の比較的溶解度の高いテオフィリンのような薬物に限定されているのが現状であった。また、一般に、ワックスマトリックス粒子は、消化管内での消化作用により、ワックスマトリックス基剤の崩壊が速まるため、空腹時投与と食後投与の場合に薬物放出や血中濃度推移の差が大きくなる傾向が広く認められている。このような欠点は、製剤の投与時間を厳密に定めることにより解消できるが、製剤の投与時間の遵守は患者の自己管理に委ねられており、製剤の特性の観点からも上記欠点を解消することが望まれている。 一方、難溶性薬物であるシロスタゾールは、末梢血管拡張作用を有する抗血小板剤として、慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍の治療や、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善に使用されている。これまでに、シロスタゾールを徐放性製剤として製剤化する技術は特許文献6に提案されているが、ワックスマトリックス粒子として製剤化する技術については報告されていない。また、シロスタゾールを含む徐放性製剤では、所望の薬効を効果的に発現するには、シロスタゾールの消化管下部での放出が重要であり、そのためには、粒子径が数μmのシロスタゾールを徐放性製剤に含有させることが有効であると考えられている。 そこで、シロスタゾールを含み、腹時投与と食後投与の場合にシロスタゾール放出や血中濃度推移の差が少なく、優れた徐放性を備えたワックスマトリックス粒子の開発も切望されている。特許第2973751号明細書特許第2616252号明細書特開平10−57450号公報特表平10−511289号公報特開2005−162733号公報特開2001−163769号公報Pharmaceutical Extrusion Technology、 edited by Isaac Ghebre-Sellassie、 Charles Martin、 DRUGS AND THE PHARMACEUTICAL SCIENCE VOL.133、 MARCEL DEKKER、 INC、 2003、 Chapter 9 pages 171〜181 本発明の目的は、薬物含有ワックスマトリックス粒子、特に平均粒子径1mm以下の薬物含有ワックスマトリックス粒子を,溶融から噴霧までの工程で溶融した薬物の再結晶化による液詰まりなく、簡便な方法で製造する方法を提供することである。また、本発明の目的は、薬物含有ワックスマトリックス粒子を簡便に製造することができる装置を提供することである。更に、本発明の目的は、シロスタゾールを含むワックスマトリックス粒子を含有する製剤であって、空腹時投与と食後投与の場合にシロスタゾール放出や血中濃度推移の差が少なく、優れた徐放性を備えている徐放性製剤を提供することである。 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、原料を噴霧吐出可能なスプレーノズルを直接装着したエクストルーダーを用いて、粒子状の薬物含有ワックスマトリックスを製造できることを見出した。即ち、薬物及びワックスをエクストルーダーに供給し、バレル及びダイの温度をワックスの融点以上の温度に設定して、薬物及びワックスを溶融混練しながら、前記エクストルーダーのバレルの先端に設けられたダイ部に装着したスプレーノズルから空気中に噴霧吐出し、空中にて冷却固化することにより、粒子状の薬物含有ワックスマトリックスを製造できることを見出した。更に、本発明者等は、(A)シロスタゾール結晶と共に、(B)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせて含み、更に平均粒子径を40〜200μmとしたワックスマトリックス粒子を含む製剤は、シロスタゾールの徐放性に優れ、しかも空腹時投与と食後投与の場合にシロスタゾール放出や血中濃度推移の差が少なくなることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に改良を重ねることにより完成したものである。 即ち、本発明は、下記に掲げる発明を提供する:項1. 少なくとも1種の薬物及び少なくとも1種のワックスを含有する薬物含有ワックスマトリックス粒子の製造方法であって、(i)前記少なくとも1種の薬物及び少なくとも1種のワックスを、バレル及びダイの温度を前記ワックスの融点以上の温度に設定したエクストルーダーに供給する工程、及び(ii)前記エクストルーダー内で前記薬物及びワックスを溶融混練しながら、前記エクストルーダーのバレルの先端に設けられたダイ部に直接装着したスプレーノズルから、溶融混練された前記薬物及びワックスの混合物を前記ワックスの融点未満の温度雰囲気中に噴霧吐出することにより、粒子状に成形する工程、を含む、製造方法。項2. 前記スプレーノズルが一流体ノズル、加圧ノズル、二流体ノズル又は多流体ノズルである、項1に記載の製造方法。項3. 前記エクストルーダーが単軸エクストルーダー、二軸エクストルーダー又は三軸以上の多軸エクストルーダーである、項1に記載の製造方法。項4. 薬物含有ワックスマトリックス粒子が球形である、項1に記載の製造方法。項5. 薬物含有ワックスマトリックス粒子の平均粒子径が1mm以下である、項4に記載の製造方法。項6. 薬物が、テオフィリン、シロスタゾール、ケトプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナック、イトラコナゾール、ピロキシカム、フェニトイン、ベラパミル、プロブコール、及びトルバプタンよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1に記載の製造方法。項7. ワックスが、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、木ロウ,カカオ脂,カルナバロウ、ミツロウ、セタノール、ステリルアルコール、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び硬化油よりなる群から選択される少なくとも1種である、項1に記載の製造方法。項8. 薬物含有ワックスマトリックス粒子が、該粒子の総量当たり、薬物を0.001〜90重量%、ワックスを0.1〜99.99重量%含有するものである、項1に記載の製造方法。項9. 薬物が(A)シロスタゾールであり、ワックスが(B)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルであり、製造される薬物含有ワックスマトリックス粒子の平均粒子径が40〜200μmである、項1に記載の製造方法。項10. 更に、(iii)前記工程(ii)で得られた粒子に対して40〜55℃の温度条件下で加熱処理する工程を含む、項9に記載の製造方法。項11. 前記工程(iii)が、前記工程(ii)で得られた粒子の表面に不活性粉末を付着させた後に、40〜55℃の温度条件下で加熱処理する工程である、項10に記載の製造方法。項12. 温度制御手段を備えているバレルと、少なくとも1種の薬物と少なくとも1種のワックスを前記バレル内に供給する供給口と、前記バレルに設けられた出口ダイ部と、前記バレル内に配置されてなり、溶融混錬された前記薬物とワックスの混合物を調製し、該混合物を前記出口ダイ部に搬送するための押し出しスクリューと、前記出口ダイ部に直接装着され、溶融混錬された薬物とワックスの混合物を噴霧吐出可能なスプレーノズルとを備えていることを特徴とする、薬物含有ワックスマトリックス粒子製造用エクストルーダー。項13. 更に、前記スプレーノズルから噴霧された溶融混錬された薬物とワックスの混合物を固化させて粒子を形成させるための粒子形成用チャンバーを備えていることを特徴とする、項12に記載の薬物含有ワックスマトリックス粒子製造用エクストルーダー。項14. (A)シロスタゾール結晶、及び(B)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する粒子を含み、該粒子の平均粒子径が40〜200μmであることを特徴とする、徐放性製剤。項15. 上記(A)シロスタゾール結晶の平均粒子径が10μm以下である、項14に記載の徐放性製剤。項16. 徐放性製剤中の前記粒子の総量に対して、(A)シロスタゾール結晶を5〜60重量%、及び(B)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを30〜95重量%含む、項14に記載の徐放性製剤。項17. 更に、水溶性セルロース誘導体を含む、項14に記載の徐放性製剤。項18. 水溶性セルロース誘導体がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、項17に記載の徐放性製剤。項19. 徐放性製剤の総量に対して、水溶性セルロース誘導体を総量で1〜15重量%含む、項17に記載の徐放性製剤。項20. 徐放性製剤の総量に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを1〜15重量%含む、項18に記載の徐放性製剤。項21. 上記(A)及び(B)成分を含む粒子が、上記(A)及び(B)成分の溶融混合物を固化させることにより調製された粒子である、項14に記載の徐放性製剤。項22. 前記粒子の表面に不活性粉末が付着している、項14に記載の徐放性製剤。項23. 前記不活性粉末が、タルク、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、及びセルロース系ポリマーよりなる群から選択される少なくとも1種である、項22に記載の徐放性製剤。項24. 前記(B)成分が、グリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、グリセリンベヘン酸エステル、及びポリグリセリンベヘン酸エステルよりなる群から選択される少なくとも1種である、項14に記載の徐放性製剤。項25. 前記(B)成分が、グリセリンベヘン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、及びトリグリセリンハーフベヘン酸エステルよりなる群から選択される少なくとも1種である、項14に記載の徐放性製剤。項26. 以下の工程(i)及び(ii)を経て製造される、請求項14に記載の徐放性製剤:(i)(A)シロスタゾール、及び(B)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを、バレル及びダイの温度を前記(B)成分の融点以上の温度に設定したエクストルーダーに供給する工程、及び(ii)前記エクストルーダー内で前記(A)及び(B)成分を溶融混練しながら、前記エクストルーダーのバレルの先端に設けられたダイ部に直接装着したスプレーノズルから、溶融混練された前記(A)及び(B)成分の混合物を前記(B)成分の融点未満の温度雰囲気中に噴霧吐出することにより、粒子状に成形する工程。項27. 前記工程(i)において、更に、前記(A)及び(B)成分に加えて、(C)水溶性セルロース誘導体を供給する、項26に記載の徐放性製剤。項28. 更に、(iii)前記工程(ii)で得られた粒子に対して40〜55℃の温度条件下で加熱処理する工程を経て製造される、項26に記載の徐放性製剤。項29 更に、前記工程(iii)において、加熱処理に先だって、前記工程(ii)で得られた粒子の表面に不活性粉末を付着させる工程を含む、項26に記載の徐放性製剤。 本発明の製造方法及びエクストルーダーによれば、溶融した薬物の再結晶による送液ライン(配管)詰まりなどなく、薬物含有ワックスマトリックス粒子、特に平均粒子径1mm以下の薬物含有ワックスマトリックス粒子を製造することが可能である。また、本発明の製造方法及びエクストルーダーによれば、粉砕処理等の工程を経ることなく、薬物含有ワックスマトリックス粒子を一工程で簡便に製造できるので、その工業的な応用の点でも有用性が高い。 更に、本発明の徐放性製剤に含まれる粒子(ワックスマトリックス粒子)は、(1)シロスタゾール結晶(好ましくは平均結晶粒子径が10μm以下)が含まれていること、(2)ワックスマトリックス基剤としてグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを採用していること、並びに(3)ワックスマトリックス粒子の平均粒子径が40〜200μmである粒子状に成形されていること、を必須構成とするものである。本発明の徐放性製剤は、かかる構成を採用することによって、難溶性であるシロスタゾールが優れた徐放性を備え、空腹時投与と食後投与の場合にシロスタゾール放出や血中濃度推移の差を少なくすることができる。従って、本発明の徐放性製剤によれば、シロスタゾールの薬理効果を一層効果的に発現させることが可能であり、医薬製剤として有用である。 また、本発明の徐放性製剤は、更に水溶性セルロース誘導体、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むことによって、徐放性を確保しつつ、高い生物学的利用能を備えることができるので、臨床上の有用性が極めて高いといえる。 本発明において、薬物含有ワックスマトリックスとは、連続相であるワックス内に薬物が溶解又は分散して包埋されているものを意味する。また、本発明において、「徐放性製剤」とは、経口投与により、含有されている薬物が徐放性を示す製剤である。以下、本発明について、詳述する。 1.薬物含有ワックスマトリックス粒子の製造方法 エクストルーダー 本発明の製造方法は、バレルの先端に設けられた出口ダイ部にスプレーノズルが装着されているエクストルーダーを使用して実施される。 本発明の製造方法において、好適に使用されるエクストルーダー(薬物含有ワックスマトリックス粒子製造用エクストルーダー)の態様について、具体的に説明する。 前記エクストルーダーは、バレル(シリンダー)に温度制御手段を備えている。この温度制御手段は、バレル内に供給されたワックスを融点以上の温度に加熱可能であればよい。また、当該温度制御手段は、更に冷却機能をも備えていることが望ましい。このように冷却機能をも備えることにより、バレル内の原料温度をより適切に制御することが可能になる。このよう温度制御手段の具体例として、加熱及び/又は冷却可能なバレルジャケットが挙げられる。 前記エクストルーダーのバレル内には、その上流側に原料を供給するための供給口と、その下流側に溶融混練された原料(溶融混練原料)を排出するための出口ダイ部が設けられている。 前記エクストルーダーのバレル内には、供給口から投入された原料から溶融混練原料を調製し、該溶融混練原料を前記出口ダイ部に搬送するための押し出しスクリューが配置されている。押し出しスクリューの数については、特に制限されず、単軸式、二軸式、又は三軸以上の多軸式のいずれであってもよいが、好ましくは二軸式である。 また、スクリューは、供給口から投入された原料から溶融混練原料を調製し、更に溶融混練原料を搬送可能である限り、その形状については特に制限されない。例えば、コンベアースクリュー、ニーディングスクリュー、ミキシングスクリュー、又はこれらの組み合わせが例示される。 前記エクストルーダーには、出口ダイ部にスプレーノズルが装着されており、このスプレーノズルは、スクリューで出口ダイ部まで搬送されてきた溶融混練原料を外部に噴霧吐出可能なように構成されている。 前記スプレーノズルの噴霧吐出の形式については特に制限されるものではなく、加圧ノズル、二流体ノズル、又は二流体以上の多流体スプレーノズルのいずれであってもよい。また、スプレーノズルの吐出孔の形状については、溶融混練原料を噴霧吐出可能である限り制限されるものではないが、好適な一例として丸形が例示される。吐出孔が丸形の場合、その内径としては、例えば、0.1〜20mm、好ましくは0.2〜15mm、更に好ましくは0.2〜10mmが挙げられる。 また、前記エクストルーダーには、スプレーノズルに供給するスプレーエアー(噴霧のために使用する空気)を加熱するための加熱手段を備えていることが望ましい。 更に、前記エクストルーダーは、スプレーノズルから噴霧された溶融混練原料を固化させて粒子を形成させるための粒子形成用チャンバーを備えていることが望ましい。当該粒子形成用チャンバーを備えさせる場合、スプレーノズルの吐出孔部分から当該粒子形成用チャンバー内に溶融混練原料が吐出されるように構成されている限り、特に制限されないが、例えば、スプレーノズルの吐出孔部分が当該粒子形成用チャンバー内に組み込まれるように配置される。また、当該粒子形成用チャンバーは、チャンバー内で、溶融混練原料を固化させて粒子を形成できる限り、その形態については特に制限されない。例えば、当該粒子形成用チャンバーは、チャンバー内の気体雰囲気にスプレーノズルから溶融混練原料が噴霧されるように構成されていればよい。またチャンバー内で液体窒素等の液体を保持して、当該液体によりチャンバー内温度を制御しても良い。更に、当該粒子形成用チャンバーには、チャンバー内で形成したワックスマトリックス粒子を回収するためのワックスマトリックス粒子回収部が備えられている。また、当該粒子形成用チャンバーは、チャンバー内に噴霧される溶融混練原料の雰囲気温度を制御するための温度制御手段を備えていることが好ましく、更に、チャンバー内に導入されたスプレーエアーを排出するための排気手段を備えていることが望ましい。なお、当該排気手段には、排気するエアー中に残存するワックスマトリックス粒子を回収するために、排気中ワックスマトリックス粒子の回収部が付与されていてもよい。 以下、前記エクストルーダーの好適な一態様例を図面を挙げて説明する。 図1に示すエクストルーダーには、バレル1には、温度制御手段として温度制御が可能なバレルジャケット1aが4つ備えられている(上流側から、1a-1、1a-2、1a-3、及び1a-4として符号を付す)。また、バレル1には、上流側に原料を供給するための供給口2が、また下流側に出口ダイ部3が設けられている。そして、バレル1内には、供給口2から投入された原料を溶融混練しながら出口ダイ部3に搬送するためのスクリュー4が配置されている。当該スクリュー4は、モーター4a駆動されるように構成されている。更に、出口ダイ部3にスプレーノズル5が装着されており、このスプレーノズル5には、スプレーエアーを加熱するための加熱手段5a及び溶融混練原料を吐出するための吐出孔5bが備えられている。 更に、図2には、気体雰囲気にスプレーノズルから溶融混練原料が噴霧されるように構成されている粒子形成用チャンバー6を備えたエクストルーダーの一例を示す。なお、図2において、便宜上、エクストルーダーと粒子形成用チャンバー6の大きさについては、現実のものとは異なる比率で示している。図2のエクストルーダーにおいて、粒子形成用チャンバー6はスプレーノズル5の吐出孔5b部分が内部に組み込まれるように設置されている。粒子形成用チャンバー6の底部に、重力落下により底部に集まるワックスマトリックス粒子を回収するためのワックスマトリックス粒子回収部6aが備えられている。また、粒子形成用チャンバー6には、スプレーノズル5の吐出孔5b部分の反対側に、排気手段7が設けられて、チャンバー内に導入されるスプレーエアーを排気可能になっている。そして、排気手段7には、排気ファン7aと排気中ワックスマトリックス粒子を回収するための回収部7bを備えており、粒子形成用チャンバー6内のエアーを排気すると共に、排気するエアー中に残存するワックスマトリックス粒子を回収できるようになっている。 原料の供給及び溶融混練 本発明の方法では、所定量の原料がエクストルーダーに供給され、これらの原料を溶融混練する。エクストルーダーに供給される原料は、製造される薬物含有ワックスマトリックス粒子に配合される成分であり、具体的には、少なくとも1種の薬物、及び少なくとも1種のワックスが挙げられる。また、本発明で製造される薬物含有ワックスマトリックス粒子には、薬物及びワックス以外に他の添加剤を含有してもよく、このように添加剤を含む場合には、原料として、薬物及びワックスと共に、添加剤がエクストルーダーに供給される。 エクストルーダーによる溶融混練時のバレル及びダイの温度は、配合するワックスの融点以上の温度、好ましくは、配合するワックスの融点よりも5〜200℃高い温度、更に好ましくは配合するワックスの融点よりも10〜200℃高い温度に設定する。なお、この設定温度は、添加する薬物、ワックス、その他の添加剤の安定性に問題のない範囲内とする。また、バレルの上記設定温度は、上流側(原料供給口側)から下流側(出口ダイ部側)に、段階的に温度が高くなるように設定し、下流側で最終的に上記温度となるようにすることが望ましい。 供給された原料のバレル内滞留時間、スクリューの回転速度、原料の供給速度等については、エクストルーダーの出口ダイ部で溶融混練原料が形成されるように適宜設定される。 溶融混練物の噴霧吐出及び粒子の形成 上記の条件で原料(薬物、ワックス、及び必要に応じて添加剤)を溶融混練しながら、溶融混練原料をエクストルーダーのダイ部に装着したスプレーノズルから、前記ワックスの融点未満の温度雰囲気中に噴霧吐出させる。溶融混練原料をスプレーノズルから前記温度雰囲気中に噴霧吐出させる際の吐出速度としては、最終的に得られる薬物含有ワックスマトリックス粒子の粒子径、溶融混練原料の粘度等を考慮し、更に、スプレーノズルの形状、スプレーノズルの吐出孔の孔径、二流体以上の多流体ノズルの場合にはスプレーエアーの空気量等に応じて適宜決定される。 具体的には、前記エクストルーダーからの前記溶融混練原料の吐出速度として、通常ダイの吐出孔1個あたり0.1〜1000kg/時間、好ましくは0.5〜700kg/時間、更に好ましくは1〜400kg/時間が挙げられる。このような吐出速度を採用することにより、後述する粒子径範囲を具備する薬物含有ワックスマトリックス粒子を製造することが可能になる。スプレーエアー量、ノズル孔径が同一であれば、当該吐出速度が速い程、粒子径が大きくなる傾向があり、また、当該吐出速度が遅い程、粒子径が小さくなる傾向が認められる。また、スプレーエアーを用いない場合には、当該吐出速度が速い程、粒子径が小さくなる傾向があり、当該吐出速度が遅い程、粒子径が大きくなる傾向が認められる。 溶融混練原料を吐出噴霧させる際に使用されるスプレーエアー温度については、特に制限されない。例えば、スプレーノズルが二流体以上の多流体ノズルである場合には、該スプレーエアー温度としては、配合するワックスの融点付近以上、好ましくは配合するワックスの融点の−10〜+300℃程度、より好ましくは配合するワックスの融点の−10〜+250℃程度、更に好ましくはワックスの融点の±0〜+200℃程度が例示される。 前記の条件で前記ワックスの融点未満の温度雰囲気中に吐出された溶融混練原料は、該雰囲気中で冷却されて球状の粒子を形成する。前記溶融混練原料を吐出させる雰囲気の温度としては、前記ワックスの融点未満であって、前記溶融混練原料が固化する温度であればよく、例えば−196〜50℃、好ましくは−196〜40℃が例示される。このような温度雰囲気は、通常の温度制御手段により調製されるが、液体窒素を用いて作製した気体雰囲気であってもよい。好ましい実施形態としては、前記ワックスの融点未満の気体雰囲気に、前記溶融混練原料を噴霧吐出する方法が例示される。 このような条件で、溶融混練原料を前記ワックスの融点未満の温度雰囲気中に吐出して冷却することにより、所定の粒子径の薬物含有ワックスマトリックス粒子が製造される。本発明の製造方法によれば、平均粒子径が1.5mm以下、好ましくは0.01〜1.5mm、より好ましくは0.02〜1.0mm、更に好ましくは0.03〜0.9mmの薬物含有ワックスマトリックス粒子を製造することができる。本発明の製造方法において、薬物含有ワックスマトリックス粒子の平均粒子径は、使用する原料の種類や配合量、溶融混練原料の吐出速度、噴霧空気量等を適宜コントロールすることによって適宜調整可能である。なお、ここでいう平均粒子径とは、50%累積径、即ち、粒度分布図において0μmから積分した体積が50%となったときの粒子径のことであり、レーザー回折・散乱法を利用した粒度分布測定機により測定される値をいう。 従来の技術により、上記範囲の平均粒子径を有する球状の薬物含有ワックスマトリックス粒子を製造する場合、溶融した薬物が配管内或いは配管接続部やアトマイザー部において再結晶化し、配管詰まり等のトラブルが発生するという問題点があった。これに対して、本発明の製造方法によれば、かかる従来技術の問題点を解消できているので、上記範囲の平均粒子径を有する球状の薬物含有ワックスマトリックス粒子の製造方法として有用である。 ワックスマトリックス粒子中での薬物の結晶の生成 ワックスマトリックス粒子内で薬物が完全に結晶化されていない場合において、薬物の結晶を生成させることにより、薬物に安定した放出制御特性を備えさせることができる。 そこで、上記で得られた薬物含有ワックスマトリックス粒子に対して、常温保存又は加熱処理を行うことにより、ワックスマトリックス粒子中において、所望の結晶粒子径の薬物結晶を析出させることができる。短時間で所望の薬物結晶を析出させるという観点からは、加熱処理を行うことが好ましい。 上記加熱処理に先立て、後述する不活性粉末の所定量を薬物含有ワックスマトリックス粒子の表面に付着させておくことが望ましい。このように不活性粉末を付着させておくことによって、ワックスマトリックス粒子同士の凝集を防止でき、製造効率を向上せしめることが可能になる。不活性粉末を上記ワックスマトリックス粒子に付着させるには、両者を混合する方法が簡便である。 上記の加熱処理条件としては、特に限定されるものではないが、通常、室温以上且つワックスの融点以下の温度、好ましくは40〜55℃、更に好ましくは45〜54℃で行われる。また、加熱時間としては、加熱温度等によって変動するが、通常1分〜24時間、好ましくは5分〜20時間、更に好ましくは10分〜15時間にすればよい。 このようなワックスマトリックス粒子内での薬物の結晶の生成は、薬物がシロスタゾールの場合に特に有効である。 薬物 本発明の製造方法で使用される薬物としては、薬学的に許容されるものであって、薬理活性作用を示す限り、特に制限されず、水溶性、脂溶性又は難水溶性のいずれであってもよい。当該薬物の一例として、アンジオテンシン2受容体拮抗剤(ARB)、胃腸薬、栄養剤、栄養性油、オピオイド系鎮痛薬、カルシウム(Ca)拮抗剤、過活動膀胱治療薬、角質溶解薬、強心薬、筋弛緩剤、抗悪性腫瘍薬、抗ウイルス薬、抗炎症薬、抗菌薬、抗狭心症薬、駆虫薬、抗欝薬、統合失調症治療薬、抗癲癇薬、抗不整脈薬、鎮痛薬、抗真菌薬、抗凝固薬、抗糖尿病薬、抗痛風薬、抗高血圧薬、抗尿失禁薬、抗マラリア薬、抗片頭痛薬、抗ムスカリン様薬、抗パーキンソン薬、抗ヒスタミン薬、抗肥満薬、抗不安薬、抗不整脈薬、抗良性前立腺肥大薬、興奮薬、骨粗鬆症治療薬、コルチコステロイド、CCR5受容体拮抗剤(HIVエントリー阻害剤)、脂質調節薬、鎮痙薬、勃起性機能不全改善薬、免疫抑制薬、抗原虫薬、抗甲状腺薬、Cox−2阻害剤、催眠薬、筋弛緩薬、性ホルモン、鎮静薬、認識エンハンサー、排尿障害改善薬、β遮断薬、必須脂肪酸、非必須脂肪酸、プロテアーゼ阻害剤、マクロライド系抗生物質、利尿薬、ロイコトリエン拮抗薬、等の各種製剤に配合される通常の薬物を挙げることができる。本発明において、薬物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 本発明で使用される薬物の具体例としては、アセトレチン、アルベンダゾール、アルブテロール、アミノグルテチミド、アミオダロン、アムロジピン、アンフェタミン、アンホテリシンB、アトルバスタイン、アトバクウォン、アジスロマイシン、バクロフェン、ベクロメタゾン、ベネゼプリル、ベンゾナテート、ベータメタゾン、ビカルタニド、ブデソニド、ブプロピオン、ブスルファン、ブテナフィン、カルシフェジオール、カルシポトリエン、カルシトリオール、カンプトセシン、カンデサルタン、カプサイシン、カルバメゼピン、カロチン、セレコキシブ、セリバスタチン、セチリジン、クロルフェニラミン、コレカルシフェロール、シロスタゾール、シメチジン、シンナリジン、シプロフロキサシン、シサプリド、クラリスロマイシン、クレマスチン、クロミフェン、クロミプラミン、クロピドグレル、コデイン、補酵素Q10、シクロベンザプリン、サイクロスポリン、ダナゾール、ダントロレン、デキシクロルフェニラミン、ジクロフェナク、ジクマロール、ジゴキシン、デヒドロエピアンドロステロン、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロタキステロール、ジリスロマイシン、ドネゼピル、エファビレンズ、エポサルタン、エルゴカルシフェロール、エルゴタミン、必須脂肪酸供給源、エトドラック、エトポシド、ファモチジン、フェノフィブレート、フェンタニール、フェキソフェナジン、フィナステリド、フルコナゾール、フルルビプロフェン、フルバスタチン、フォスフェニトイン、フロバトリプタン、フラゾリドン、ギャバペンチン、ゲムフィブロジル、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリセオフルビン、ハロファントリン、イブプロフェン、イルベサルタン、イリノテカン、二硝酸イソソルビド、イトトレチノイン、イトラコナゾール、イベルメクチン、ケトコナゾール、ケトロラク、ラモトリジン、ラノソプラゾール、レフルノミド、リシノプリル、ロペラミド、ロラタジン、ロバスタチン、L−スリロキシン、ルテイン、リコピン、メドロキシプロゲステロン、ミフェプリストン、メフロキン、酢酸メゲストロール、メタドン、メトキサレン、メトロニダゾル、ミコナゾール、ミダゾラム、ミグリトール、ミノキシジル、ミトザントロン、モンテルカスト、ナブメトン、ナルブフィン、ネルフィナビル、ニフェジピン、ニルソルジピン、ニルタニド、ニトロフラントイン、ニザチジン、オメプラゾール、オプレベルキン、エストラジオール、オキサプロジン、パクリタキセル、パラカルシトール、パロキセチン、ペンタゾシン、ピオグリタゾン、ピゾフェチン、プラバスタチン、プレドニゾロン、プロブコール、プロゲステロン、プソイドエフェドリン、ピリドスチグミン、ラベプラゾール、ラロキシフェン、ロフェコキシブ、レパグリニド、リファブチン、リファペンチン、リメキソロン、リタノビル、リザトリプタン、ロシグリタゾン、サキナビル、セルトラリン、シブトラミン、クエン酸シルデナフィル、シンバスタチン、シロリムス、スピロノラクトン、スマトリプトファン、タクリン、タクロリムス、タモキシフェン、タムスロジン、ターグレチン、タザロテン、テルミサータン、テニポシド、テルビナフェン、テラゾシン、テトラヒドロカナビノール、チアガビン、チクロビジン、チロフィブラン、チザニジン、トピラメート、トポテカン、トレミフェン、トラマドール、トレチノイン、トログリタゾン、トロバフロキサシン、ユビデカルノン、バルサータン、ベンラファキシン、ベルテポルフィン、ビガバトリン、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ザフィルルカスト、ジルートン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、アカルボース、アシクロビル、アセチルシステイン、塩化アセチルコリン、アラトロフロキサシン、アレンドロネート、アルグルセラーゼ、塩酸アマンタジン、アンベノニウム、アミホスチン、塩酸アミロライド、アミノカプロン酸、アンホテリシンB、アプロチニン、アスパラギナーゼ、アテノロール、ベシル酸アトラクリウム、アトロピン、アジスロマイシン、アズトレオナム、BCGワクチン、バシトラシン、ベカレルミン、ベラドーナ、塩酸ベプリジル、硫酸ブレオマイシン、ヒトカルシトニン、サケカルシトニン、カルボプラチン、カペシタビン、硫酸カプレオマイシン、セファマンドールナファート、セファゾリンナトリウム、塩酸セフェピム、セフィキシム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾン、セフォテタン二ナトリウム、セフォタキシム、セフォキシチンナトリウム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシムアキセチル、セファレキシン、セファピリンナトリウム、コレラワクチン、シドフォビル、シスプラチン、クラドリビン、臭化クリジニウム、クリンダマイシンおよびクリンダマイシン誘導体、シプロフロキサシン、クロドロネート、コリスチンメタナトリウム、硫酸コリスチン、コルチコトロピン、コシントロピン、クロモリンナトリウム、シタラビン、ダルテパリンナトリウム、ダナパロイド、デフェロキサミン、デニロイキンジフチトクス、デスモプレシン、ジアトリゾアートメグルミンおよびジアトリゾアートナトリウム、ジサイクロミン、ジダノシン、ジリスロマイシン、塩酸ドパミン、デオキシリボヌクレアーゼα、塩化ドキサクリウム、ドキソルビシン、エチドロン酸二ナトリウム、エナラプリラート、エンケファリン、エノキサシン、エノキサパリンナトリウム、エフェドリン、エピネフリン、エリスロマイシン、塩酸エスモロール、ファムシクロビル、フルダラビン、フルオキセチン、ホスカネットナトリウム、ガンシクロビル、ゲンタマイシン、グルカゴン、グリコピロレート、ゴナドレリン、硫酸インジナビル、インフルエンザウイルスワクチン、イプラトロピウムブロミド、イホスファミド、ラミブジン、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レボフロキサシン、リンコマイシンおよびリンコマイシン誘導体、ロブカビル、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、臭化メペンゾレート、メサラミン、メテナミン、メトトレキサート、メトスコポラミン、塩酸メトホルミン、メトプロロール、メゾシリンナトリウム、ミバクリウムクロライド、ネドクロミルナトリウム、ネオスチグミン臭化物、ネオスチグミンメチル硫酸塩、ニューロンチン、ノルフロキサシン、酢酸オクトレオチド、オフロキサシン、オルパドロネート、オキシトシン、パミドロン酸二ナトリウム、臭化パンクロニウム、パロキセチン、ペルフロキサシン、イセチオン酸ペンタミジン、ペントスタチン、ペントキシフィリン、ペリシクロビル、ペンタガストリン、フェントラミンメシレート、フェニルアラニン、サリチル酸フィゾスチグミン、ペストワクチン、ピペラシリンナトリウム、硫酸ポリミキシンB、塩化プラリドキシム、プラムリンチド、プレガバリン、プロパフェノン、臭化プロパンテリン、臭化ピリドスチグミン、狂犬病ワクチン、レシドロネート、リババリン、塩酸リマンタジン、サルメテロールキシナホエート、シンカリド、ソラトール、ソマトスタチン、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スタブジン、ストレプトキナーゼ、ストレプトゾシン、スキサメトニウムクロライド、塩酸タクリン、硫酸テルブタリン、チオペタ、チカルシリン、チルドロネート、チモロール、トランドラプリル、グルコン酸トリメトレキサート、トロスペクチノマイシン、トロバフロキサシン、塩化ツボクラリン、尿素、ウロキナーゼ、バンコマイシン、バラシクロビル、バルサルタン、バソプレシンおよびバソプレシン誘導体、臭化ベクロニウム、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビタミンB12、ワルファリンナトリウム、ザルシタビン、ザナミビル、ゾランドロネート、ジドブジン、テオフィリン、グレパフロキサシン、カルテオロール、プロカテロール、レバミピド、アリピプラゾール、トルバプタン、アセトアミノフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニトイン、ベラパミル、これらのの薬学的に許容される塩、これらの異性体、誘導体等が例示される。本発明において、これらの薬物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 薬物含有ワックスマトリクス粒子は、徐放性を備えることができるので、本発明に使用される薬物としては、徐放性を備えていることが必要とされるものが好ましい。このような観点から、本発明に使用される薬物として、好ましくはテオフィリン、シロスタゾール、ケトプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナック、イトラコナゾール、ピロキシカム、フェニトイン、ベラパミル、プロブコール、トルバプタン;更に好ましくはテオフィリン、シロスタゾール、プロブコール、トルバプタンが例示される。 本発明では、基剤成分(ワックス)が溶融している状態で、結晶が析出され易い薬物に対しても、薬物の結晶を析出させることなく、薬物含有ワックスマトリックス粒子を製造することができる。このような本発明の効果に鑑みれば、本発明に使用される薬物の1つの好適な例として、基剤成分(ワックス)が溶融している状態で結晶が析出され易い薬物(例えば、融点が100〜200℃程度の薬物)が挙げられる。このような薬物の具体例としては、シロスタゾールが例示される。 製造される薬物含有ワックスマトリックス粒子における薬物の濃度については、使用する薬物の種類や薬効、投与対象者の性別や年齢等に応じて異なるが、例えば、該ワックスマトリックス粒子の総量に対して0.001〜90重量%、好ましくは0.05〜95重量%、更に好ましくは0.1〜90重量%が例示される。 ワックス 本発明の製造方法で使用されるワックス(ワックスマトリックス基材)としては、薬学的に許容されるものであって、常温(30℃)で固形状を示すものであれば特に制限されず、融点として40〜120℃、好ましくは40〜90℃の動物由来、植物由来、合成、又は半合成のいずれであってもよい。当該融点については、「第14改正日本薬局方 一般試験法 14.凝固点測定法」に従って測定される。 ワックスの具体例としては、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、木ロウ、カカオ脂、カルナバロウ、ミツロウ、セタノール、ステリルアルコール、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、硬化油等が挙げられる。 グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンと各種脂肪酸のモノエステル、ジエステル、トリエステルである。当該グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、C6〜C22脂肪酸が例示される。かかる脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、リシノール酸、カプリル酸、カプリン酸等が挙げられる。グリセリン脂肪酸エステルの具体例として、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンジステアリン酸エステル、グリセリントリステアリン酸エステル、グリセリンモノベヘン酸エステル、グリセリンジベヘン酸エステル、グリセリントリベヘン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸モノベヘン酸エステル等が例示される。 ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンが2個以重合したポリグリセリンに1個以上の脂肪酸が結合したエステルである。当該ポリグリセリン脂肪酸エステルには、ポリグリセリンの水酸基の全てに脂肪酸がエステル結合したポリグリセリンフル脂肪酸エステル、及びポリグリセリンの水酸基の約半分に脂肪酸がエステル結合したポリグリセリンハーフ脂肪酸エステル等が包含される。ポリグリセリン脂肪酸ハーフエステルとは、具体的には、ポリグリセリンのエステル化された水酸基数の平均値(NE)が、エステル化されていないポリグリセリンそのものが有する全水酸基数(N)の約半分である化合物又はその混合物を意味し、例えば、0.3≦NE/N≦0.7、好ましくは0.35≦NE/N≦0.65の範囲のものが挙げられる。例えば、トリグリセリンベヘン酸ハーフエステルは、グリセリン3分子が脱水縮合した水酸基を5個有するトリグリセリンに、ベヘン酸が2個又は3個エステル結合したもの或いはそれらの混合物、すなわち、トリグリセリンベヘン酸(ジ又はトリ)エステルを意味する。 ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、C6〜C22脂肪酸が例示され、その具体例については前記グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸と同様である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例として、ジグリセリン-モノ又はジステアリン酸エステル;ジグリセリン-モノ又はジパルミチン酸エステル;ジグリセリン-モノ又はジラウリン酸エステル;ジグリセリン-モノ又はジオレイン酸エステル;ジグリセリン-モノ又はジリノール酸エステル;ジグリセリン-モノ又はジカプリル酸エステル;ジグリセリン-モノ又はジベヘン酸エステル;トリグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ又はペンタステアリン酸エステル;トリグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ又はペンタパルミチン酸エステル;トリグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ又はペンタラウリン酸エステル;トリグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ又はペンタオレイン酸エステル;トリグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ又はペンタ-リノール酸エステル;トリグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ又はペンタカプリル酸エステル;トリグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ又はペンタベヘン酸エステル;テトラグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサステアリン酸エステル;テトラグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサパルミチン酸エステル;テトラグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサラウリン酸エステル;テトラグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサオレイン酸エステル;テトラグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサリノール酸エステル;テトラグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサカプリル酸エステル;テトラグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサベヘン酸エステル;ペンタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ又はペンタステアリン酸エステル;ペンタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサステアリン酸エステル;ペンタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサパルミチン酸エステル;ペンタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサラウリル酸エステル;ペンタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサオレイン酸エステル;ペンタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサリノール酸エステル;ペンタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサカプリル酸エステル;ペンタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサベヘン酸エステル;ヘキサグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ又はヘプタステアリン酸エステル;ヘキサグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ又はヘプタパルミチン酸エステル;ヘキサグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ又はヘプタラウリン酸エステル;ヘキサグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ又はヘプタオレイン酸エステル;ヘキサグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ又はヘプタリノール酸エステル;ヘキサグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ又はヘプタカプリル酸エステル;ヘキサグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ又はヘプタベヘン酸エステル;ヘプタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ又はオクタステアリン酸エステル;ヘプタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ又はオクタパルミチン酸エステル;ヘプタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ又はオクタラウリン酸エステル;ヘプタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ又はオクタオレイン酸エステル;ヘプタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ又はオクタリノール酸エステル;ヘプタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ又はオクタカプリル酸エステル;ヘプタグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ又はオクタベヘン酸エステル;デカグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、デカ又はウンデカステアリン酸エステル;デカグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、デカ又はウンデカパルミチン酸エステル;デカグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、デカ又はウンデカラウリン酸エステル;デカグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、デカ又はウンデカオレイン酸エステル;デカグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、デカ又はウンデカリノール酸エステル;デカグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、デカ又はウンデカカプリル酸エステル;デカグリセリン-モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、デカ又はウンデカベヘン酸エステル等が例示される。また、上記の他に、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、リシノール酸、カプリル酸、カプリン酸の内2種類以上の脂肪酸とポリグリセリンとのエステルからなるポリグリセリン脂肪酸エステルが例示される。 グリセリン有機酸脂肪酸エステルとしては、グリセリンに有機酸及び脂肪酸が結合したエステルである。当該グリセリン有機酸脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、C6〜C22脂肪酸が例示され、その具体例については前記グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸と同様である。グリセリン有機酸脂肪酸エステルの具体例としては、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンフマル酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ポリグリセリンクエン酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン酢酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン乳酸脂肪酸エステル、ポリグリセリンコハク酸脂肪酸エステル、ポリグリセリンフマル酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン酒石酸脂肪酸エステル及びポリグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル等が例示される。 ソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、C6〜C22脂肪酸が挙げられ、その具体例については前記グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸と同様である。ソルビタン脂肪酸エステルの具体例としては、ソルビタンラウリン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンオレイン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステル等が例示される。 プロピレングリコール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、C6〜C22脂肪酸が挙げられ、その具体例については前記グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸と同様である。プロピレングリコール脂肪酸エステルの具体例としては、プロピレングリコールミリスチン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル、プロピレングリコールラウリン酸エステル、プロピレングリコールオレイン酸エステル、プロピレングリコールカプリン酸エステル等が例示される。また、これらの他に、2種以上の脂肪酸が組み合わされて結合しているプロピレングリコール脂肪酸エステルが挙げられる。 硬化油としては、具体的には、ヒマシ油、綿実油、大豆油、菜種油、牛脂等が例示される。 これらのワックスの中で、好ましくはグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。 上記のワックスは、1種のものを単独で使用してもよく、また2種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。 製造される薬物含有ワックスマトリックス粒子におけるワックスの濃度については、例えば、該ワックスマトリックス粒子の総量に対して0.1〜99.99重量%、好ましくは0.5〜99重量%、更に好ましくは1〜90重量%が例示される。 任意配合成分(添加剤) また、本発明の製造方法において、原料として、上記薬物及びワックスに加えて、更に界面活性剤を適当量配合することもできる。このような界面活性剤としては、アルキルグルコシド、アルキルマルトシド、アルキルチオグルコシド、ラウリルマクロゴールグリセリド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレングリセリド、ポリオキシエチレンステロール、その誘導体、ポリオキシエチレン植物油、ポリオキシエチレン硬化植物油、トコフェロールポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、糖エステル、糖エーテル、スクログリセリド、低級アルコール(C2〜C4)と脂肪酸(C8〜C18)とのエステル等が挙げられる。 上記界面活性剤として、より具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ラウリン酸ポリエチレングリコール、ステアリン酸ポリエチレングリコール、オレイン酸ポリエチレングリコール、パルミチン酸ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−脂肪酸モノ及びジエステル混合物等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセリルラウリン酸エステル、ポリエチレングリコールグリセリルステアリン酸エステル、ポリエチレングリコールグリセリルオレイン酸エステル等のポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンコレステロールエステル、ポリオキシエチレンコレスタノールエステル等のポリオキシエチレンステロール及びその誘導体;ポリエチレングリコールソルビタンラウリン酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタンオレイン酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタンパルミチン酸エステル等のポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポロキサマー105、108、122、123、124、181、182、183、184、185、188、212、215、217、231、234、235、237、238、282、284、288、331、334、335、338、401、402、403、407等、Pluronic(登録商標)シリーズ(BASF)、Emkalyx、Lutrol(BASE)、Supronic、Monolan、Pluracare、およびPlurodac等のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;スクロース‐モノ又はジ‐ステアリン酸エステル、スクロース‐モノ又はジパルミチン酸エステル、スクロース‐モノ又はジラウリン酸エステル等の糖エステル;エチルオレエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、エチルリノエート、イソプロピルリノエート等の低級アルコール(C2〜C4)と脂肪酸(C8〜C18)とのエステル、等が挙げられる。 更に、本発明の製造方法において、溶融混練されたワックスに溶融又は分散可能な水溶性高分子、水不溶性高分子、腸溶性高分子、胃溶性高分子等の高分子物質を原料中に適当量配合することもできる。このような高分子物質として、具体的には、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートフタレート、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルメロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリレートコポリマーL、メタクリレートコポリマーS、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミニアセテート、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ゼラチン、セラック等が挙げられる。 また、上記の他、原料として配合可能な添加剤としては、不活性粉末、イオン交換樹脂、可溶化剤、可塑剤、希釈剤、甘味料、滑沢剤、賦形剤又は充填剤、酵素阻害剤、抗接着剤、抗凝固剤、消泡剤、結合剤、pH調整剤または緩衝剤、キレート剤、凝析剤、吸収促進剤、結合剤、香料減感剤、矯味剤、保存剤抗酸化剤、凍結防止剤、着色剤、不透明化剤、冷却剤、溶媒、濃厚剤、崩壊剤等が例示される。このような添加剤の具体例としては、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG−ホスファチジルエタノールアミン、PVP−ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチルエステル、ステアイル−2−ラクチレート、ステアイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コール酸、タウロコール酸、グリココール酸、デオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、グリコデオキシコール酸、グリコケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸(ursodeoxycholate)、タウロウルソデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、コール酸サルコシン、N−メチルタウロコール酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリル硫酸、テラセシル(teracecyl)硫酸、ドキュセート、ラウロリルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、カプロン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリストレイン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミトイン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、リノール酸ナトリウム、リノレン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシネートナトリウム、ジオクチル硫酸スクシネートナトリウム(DOSS)、胆汁酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、カルジオリピン、マクロゴール400、マクロゴール4000、マクロゴール600、マクロゴール10000、マクロゴール6000、乳糖、白糖、マンニトール、塩化ナトリウム、ブドウ糖、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、セルロース系ポリマー、軽質無水ケイ酸、ケイ酸塩、水、エタノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、デキストリン、プルラン、クエン酸、無水クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、無水リン酸一水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ポリソルベート80、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム、精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール、コロイド状ケイ酸、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、βカロテン、酸化チタン、食用色素(例えば、食用青色1号等)、銅クロロフィル、リボフラビン、アスコルビン酸、アスパルテーム、アマチャ、塩化ナトリウム、果糖、サッカリン、粉糖等が例示できる。 なお、上記の任意配合成分については、上記薬物及びワックスと共に、エクストルーダー内に原料として供給することによって配合しても良いが、形成されたワックスマトリックス粒子と混合することにより配合しても良い。 薬物含有ワックスマトリックス粒子 本発明の製造方法で製される薬物含有ワックスマトリックス粒子は、医薬製剤として使用される。当該製剤は、薬物含有ワックスマトリックス粒子自体の散剤や顆粒剤の形態であってもよいが、マイクロカプセル、ソフトカプセル、ハードカプセル等に充填されてカプセル剤の形態をとることもできる。 2.シロスタゾール含有徐放性製剤 更に、本発明は、シロスタゾールを含むワックスマトリックス粒子を含む徐放性製剤を提供する。当該徐放性製剤に含まれるシロスタゾール含有ワックスマトリックス粒子は、前述する製造方法によって簡便に調製することができるが、他の製法により製造されたものであってもよく、その製法については特に限定されない。 本発明の徐放性製剤は、薬物として、シロスタゾール結晶(以下、単に(A)成分と表記することもある)を含有する。当該シロスタゾールの結晶の平均粒子径については、特に制限されるものではないが、10μm以下、好ましくは0.1〜10μm、更に好ましくは0.5〜8μmが例示される。シロスタゾールが上記平均粒子径を満たす結晶である場合、水分が少ない消化管下部において、シロスタゾールの徐放的な放出及び吸収をより一層安定的に行うことが可能になる。 上記平均粒子径のシロスタゾールの結晶については、シロスタゾールが完全に溶解したワックスマトリックス粒子を常温で放置することにより生成させることができるが、シロスタゾールが完全に溶解したワックスマトリックス粒子を所定の加熱処理に供することによって、常温で放置するよりも一層速やかに生成させることができる。具体的には、後述する(B)成分とシロスタゾールを所定量混合し、加熱して得られた溶融混合物を粒子状に固化させ、次いで、室温以上且つ該(B)成分の融点以下の温度、好ましくは40〜55℃、更に好ましくは45〜54℃で加熱することにより、ワックスマトリックス粒子中に上記平均粒子径のシロスタゾール結晶を生成させることができる。なお、上記の加熱処理時間としては、特に限定されるものではないが、通常、1分〜24時間、好ましくは5分〜20時間、更に好ましくは10分〜15時間が例示される。 シロスタゾール結晶の平均粒子径は、偏光顕微鏡により観察し測定される。具体的には、偏光顕微鏡にて、視野内に所定の大きさを示すルーラーを表示して、結晶の大きさを観察することにより測定される。 本発明の徐放性製剤において、上記(A)成分の濃度については、該製剤の用途、与対象者の性別や年齢等に応じて異なるが、例えば、該製剤に含まれるワックスマトリックス粒子の総量に対して5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは20〜45重量%が例示される。 更に、本発明の徐放性製剤は、上記(A)成分に加えて、ワックス(ワックスマトリックス基材)として、グリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、単に(B)成分と表記することもある)を含有する。 グリセリン脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、前記と同様のものが使用される。 上記の(B)成分は1種のものを単独で使用してもよく、また2種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。 上記(B)成分の内、徐放性をより良好にし、更に食事によるシロスタゾールの放出速度への影響を一層低減させるという観点から、好ましくはグリセリンベヘン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、トリグリセリンハーフベヘン酸エステル、トリグリセリンハーフステアリン酸エステル、及びデカグリセリンモノステアリン酸エステルであり、更に好ましくはグリセリンベヘン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、及びトリグリセリンハーフベヘン酸エステルである。 本発明の徐放性製剤において、上記(A)及び(B)成分の配合比率としては、特に制限されるものではないが、通常、上記(A)成分100重量部に対して、上記(B)成分が50〜2000重量部、好ましくは70〜1000重量部、更に好ましくは100〜500重量部となる比率を挙げることができる。上記比率を満たすことによって、一層効果的に、シロスタゾールの徐放性を向上させ、食事による放出特性の影響を受け難くすることができる。 本発明の徐放性製剤において、上記(B)成分の濃度については、上記(A)及び(B)成分の配合比率と、上記(A)成分の配合量に基づいて適宜設定すればよいが、例えば、該製剤に含まれるワックスマトリックス粒子の総量に対して30〜95重量%、好ましくは40〜90重量%、更に好ましくは50〜80重量%が例示される。 更に、本発明の徐放性製剤に含まれるワックスマトリックス粒子は、上記(A)及び(B)成分に加えて、(C)ヒドロキシプピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートフタレート、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の水溶性セルロース誘導体(水溶性セルロースエーテル)を含んでいてもよい。これらの中で好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、更に好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。これらの水溶性セルロース誘導体は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。このように水溶性セルロース誘導体を更に配合することによって、徐放性を確保しつつ、高い生物学的利用能を備えさせることができる。本発明の徐放性製剤において、水溶性セルロース誘導体を配合する場合、その配合量としては、例えば、該製剤に含まれるワックスマトリックス粒子の総量に対して水溶性セルロース誘導体が1〜15重量%、好ましくは2〜12重量%、更に好ましくは2〜10重量%が例示される。 また、本発明の徐放性製剤には、更に界面活性剤を適当量配合することもできる。配合可能な界面活性剤については、前記「1.薬物含有ワックスマトリックス粒子の製造方法」の項の内容と同様である。 更に、本発明の徐放性製剤には、その他の水溶性高分子、水不溶性高分子、腸溶性高分子、胃溶性高分子等の高分子物質を適当量配合することもできる。これらの高分子物質の具体例についても、前記「1.薬物含有ワックスマトリックス粒子の製造方法」の項の内容と同様である。 また、上記の他、本発明の徐放性製剤には、不活性粉末、イオン交換樹脂、可溶化剤、可塑剤、希釈剤、甘味料、滑沢剤、賦形剤又は充填剤、酵素阻害剤、抗接着剤、抗凝固剤、消泡剤、結合剤、pH調整剤又は緩衝剤、キレート剤、凝析剤、吸収促進剤、香料減感剤、矯味剤、保存剤、抗酸化剤、凍結防止剤、着色剤、不透明化剤、冷却剤、溶媒、濃厚剤、崩壊剤等を適当量配合することもできる。これらの添加剤の具体例についても、前記「1.薬物含有ワックスマトリックス粒子の製造方法」の項の内容と同様である。 なお、上記の(A)及び(B)成分以外の配合成分については、上記(A)及び(B)成分と共に、ワックスマトリックス粒子中に含まれていても良いが、(A)及び(B)成分を含むワックスマトリックス粒子と混合することにより配合しても良い。 例えば、上記した添加剤の内、化学的又は生物学的活性を示さない不活性粉末については、上記(A)及び(B)成分を含むワックスマトリックス粒子の表面を被覆するように付着されている形態で含有していても良い。このような不活性粉末によるワックスマトリックス粒子の表面被覆は、シロスタゾールの結晶生成のための加熱処理時に、粒子同士の凝集を抑制するのに役立つ。 具体的には、上記不活性粉末として、タルク;軽質無水ケイ酸;酸化チタン;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース系ポリマー;果糖、サッカリン、粉糖等の糖類等が例示される。これらの不活性粉末は、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。上記不活性粉末の平均粒子径については、特に制限されないが、例えば10μm以下、好ましくは7〜10であることが望ましい。かかる不活性粉末の平均粒子径については、粉末の粒子径の測定において一般的に使用されている方法に従って測定できる。 不活性粉末の付着量としては、特に制限されるものではないが、例えば、(A)及び(B)成分を含むワックスマトリックス粒子100重量部に対して、該不活性粉末が総量で0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部、更に好ましくは2〜10重量部となる量が例示される。 本発明の徐放性製剤に含まれる粒子は、上記(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて他の成分を所定量混合して加熱し、溶融混合物を得て、これを所定の大きさの粒子径に調節して固化させて製造された粒子であることが望ましい。より好適には、本発明の徐放性製剤に含まれる粒子として、上記(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて他の成分を用いて、前記「1.薬物含有ワックスマトリックス粒子の製造方法」の項に記載の方法で調製したものが挙げられる。 本発明の徐放性製剤に含まれるワックスマトリックス粒子は、その平均粒子径は40〜200μmである。好ましくは50〜150μm、更に好ましくは60〜130μmである。このような平均粒子径を備え、且つ上記(A)及び(B)成分を組み合わせて含有することにより、シロスタゾールの所望の徐放性、食事によるシロスタゾールの放出特性の影響の軽減を実現することが可能になる。なお、ここでいう平均粒子径とは、50%累積径、即ち、粒度分布図において0μmから積分した体積が50%となったときの粒子径のことであり、レーザー回折・散乱法を利用した粒度分布測定機により測定される値をいう。 本発明の徐放性製剤に含まれるワックスマトリックス粒子は、上記(A)及び(B)成分を有し、上記平均粒子径を備えることによって、優れた徐放性を備えることができる。本発明の徐放性製剤に含まれる粒子の徐放性自体については、特に限定されるものではないが、例えば、第14改正日本薬局方の溶出試験第2法(パドル法)において、シロスタゾールとして15mg相当量の粒子を投入して試験した場合、好ましくは2時間後の溶出率が20%〜35%、6時間後の溶出率が40〜60%、12時間後の溶出率が60〜80%、及び18時間後の溶出率が60〜90%であること;更に好ましくは2時間後の溶出率が25%〜35%、6時間後の溶出率が45〜60%、及び12時間後の溶出率が60〜80%、及び18時間後の溶出率が65〜90%であること望ましい。 本発明の徐放性製剤は、上記(A)及び(B)成分を含むワックスマトリックス粒子自体の散剤や顆粒剤の形態であってもよいが、マイクロカプセル、ソフトカプセル、ハードカプセル等に充填されて、カプセル剤の形態をとることもできる。 本発明の徐放性製剤の投与量は、目的とする医薬用途、患者の年齢や性別等に応じて適宜設定される。 以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。実施例1 図2に示す構成のエクストルーダーを使用して、ワックスマトリックス粒子の製造を行った。エクストルーダーとしては、以下の構成及びその操作条件は以下の通りである。エクストルーダーのタイプ:二軸エクストルーダー(KEX-25、栗本鉄工所製)スクリュー形状:下流から上流側にコンベアー、ニーディング、ミキシング部が直列に連なっている形状スプレーノズル:二流体ノズルスクリュー部の長さ:約50cmスクリューの回転速度:125rpmスプレーノズルの吐出孔の形状、孔径:丸型、φ0.5mm原料のバレル内滞留時間:約2分バレル温度の設定温度:バレルジャケット1a-1は140℃、バレルジャケット1a-2は150℃、バレルジャケット1a-3及び1a-4は160℃スプレーエアーの温度及び導入速度:約200℃、25L/min溶融混練物の吐出孔1個当たりの吐出速度:50g/分粒子形成用チャンバー内の雰囲気:空気、約30℃。 具体的には、テオフィリン300g及びグリセリン脂肪酸エステル(グリセリンモノベヘン酸エステル;融点約75℃)700gを混合した。得られた混合原料を、上記エクストルーダーの供給口に約50g/minで投入しながら、上記構成及び条件のエクストルーダーで、ワックスマトリックス粒子の製造を行い、粒子形成用チャンバーのワックスマトリックス粒子回収部からワックスマトリックス粒子を回収した。 得られたワックスマトリックス粒子の顕微鏡で観察した結果を図3に示す。得られたワックスマトリックス粒子は真球状であり、粒度分布をレーザー回折式粒度分布計(東日コンピューター)で測定したところ、10%累積径が37μm、50%累積径(平均粒子径)が84μm、90%累積径が165μm、99%累積径が219μmであった。 なお、本製造において、エクストルーダー内でのテオフィリンの析出、液詰まり等の不具合は認められなかった。また、得られたワックスマトリックス粒子中のテオフィリン含量は理論値に対して約100%であった。 実施例2 原料として、テオフィリン300g、エチルセルロース10g、及びグリセリン脂肪酸エステル(グリセリンモノベヘン酸エステル;融点約75℃)690gを混合し、得られた混合原料を用いて、上記実施例1と同条件でワックスマトリックス粒子の製造を行った。 得られたワックスマトリックス粒子は真球状であり、粒度分布をレーザー回折式粒度分布計(東日コンピューター)で測定したところ、10%累積径が43μm、50%累積径(平均粒子径)が88μm、90%累積径が160μm、99%累積径が204μmであった。 なお、本製造において、エクストルーダー内でのテオフィリンの析出、液詰まり等の不具合は認められなかった。また、得られたワックスマトリックス粒子中のテオフィリン含量は理論値に対して約100%であった。 実施例3 原料として、テオフィリン300g、及び硬化油(融点:約86℃)700gを混合し、得られた混合原料を用いて、上記実施例1と同条件でワックスマトリックス粒子の製造を行った。 得られたワックスマトリックス粒子は真球状であり、粒度分布をレーザー回折式粒度分布計(東日コンピューター)で測定したところ、10%累積径が48μm、50%累積径(平均粒子径)が96μm、90%累積径が169μm、99%累積径が221μmであった。 なお、本製造において、エクストルーダー内でのテオフィリンの析出、液詰まり等の不具合は認められなかった。また、得られたワックスマトリックス粒子中のシロスタゾール含量は理論値に対して約100%であった。 実施例4 原料として、シロスタゾール1350g、ジグリセリンモノステアリン酸エステル(ポエムJ-2081、理研ビタミン社製)1710g、ペンタグリセリンモノステアリン酸エステル(サンソフトA-181E、太陽化学社製)990g、及びポリビニルピロリドン、(Kollidon25、 ポビドン、 BASF社製)450gを混合し、得られた混合原料を用いて、上記実施例1と同条件でワックスマトリックス粒子の製造を行った。 得られたワックスマトリックス粒子は真球状であり、粒度分布をレーザー回折式粒度分布計(東日コンピューター)で測定したところ、50%累積径(平均粒子径)は約90μmであった。なお、本製造において、エクストルーダー内でのシロスタゾールの析出、液詰まり等の不具合は認められなかった。また、得られたワックスマトリックス粒子中のシロスタゾール含量は100%であった。 実施例5 図2に示す構成のエクストルーダーを使用して、ワックスマトリックス粒子の製造を行った。エクストルーダーとしては、以下の構成及びその操作条件は以下の通りである:エクストルーダーのタイプ: 二軸エクストルーダー(KEX-25、栗本鉄工所製)スクリュー形状: 下流から上流側にコンベアー、ニーディング、ミキシング部が直列に連なっている形状スプレーノズル: 二流体ノズルスクリュー部の長さ: 約50cmスクリューの回転速度: 130rpmスプレーノズルの吐出孔の形状、孔径: 丸型、φ0.5mm原料のバレル内滞留時間: 約2分バレル温度の設定温度: バレルジャケット1a-1は140℃、バレルジャケット1a-2は160℃、バレルジャケット1a-3は165℃、及び1a-4は160℃スプレーエアーの温度及び導入速度: 約200℃、25L/min溶融混練物の吐出孔1個当たりの吐出速度: 50g/分粒子形成用チャンバー内の雰囲気: 空気、約30℃。 具体的には、平均粒子径約20μmのシロスタゾール240g、ジグリセリンモノステアリン酸エステル(ポエムJ-2081、理研ビタミン)348g及びトリグリセリンハーフベヘン酸エステル(TR-HB、理研ビタミン)12gを混合した。得られた混合原料を、上記エクストルーダーの供給口に約50g/minで投入しながら、上記構成及び条件のエクストルーダーで、ワックスマトリックス粒子の製造を行い、粒子形成用チャンバーのワックスマトリックス粒子回収部からワックスマトリックス粒子を回収した。 得られたマトリックス粒子は付着性が強いが、タルク14.8gを添加・混合することにより、流動性が改善され、目開き355μmの篩を通過した。次いで、整粒したマトリックス粒子を50℃で16時間加熱処理した。 得られたワックスマトリックス粒子の光学顕微鏡で観察したところ、10μm以下のシロスタゾールの結晶が生成していることが確認された。また、得られたワックスマトリックス粒子は真球状であり、平均粒子径(50%累積径)をレーザー回折式粒度分布計(東日コンピューター)により測定したところ、92μmであった。なお、本製造において、エクストルーダー内でのシロスタゾールの析出、液詰まり等の不具合は認められなかった。 実施例6 原料として、平均粒子径約20μmのシロスタゾール240g、ジグリセリンモノステアリン酸エステル(ポエムJ-2081、理研ビタミン)336g及びトリグリセリンハーフベヘン酸エステル(TR-HB、理研ビタミン)24gを混合し、得られた混合原料を用いて、上記実施例1と同条件でワックスマトリックス粒子の製造を行った。 得られたワックスマトリックス粒子の光学顕微鏡で観察したところ、10μm以下のシロスタゾールの結晶が生成しており、また該ワックスマトリックス粒子は真球状であり、その平均粒子径(50%累積径)をレーザー回折式粒度分布計(東日コンピューター)により測定したところ、93μmであった。なお、本製造において、エクストルーダー内でのシロスタゾールの析出、液詰まり等の不具合は認められなかった。 実施例7 原料として、平均粒子径約20μmのシロスタゾール240g、ジグリセリンモノステアリン酸エステル(ポエムJ-2081、理研ビタミン)324g及びトリグリセリンハーフベヘン酸エステル(TR-HB、理研ビタミン)36gを混合し、得られた混合原料を用いて、上記実施例5と同条件でワックスマトリックス粒子の製造を行った。 得られたワックスマトリックス粒子の光学顕微鏡で観察したところ、10μm以下のシロスタゾールの結晶が生成しており、また該ワックスマトリックス粒子は真球状であり、その平均粒子径(50%累積径)をレーザー回折式粒度分布計(東日コンピューター)により測定したところ、91μmであった。なお、本製造において、エクストルーダー内でのシロスタゾールの析出、液詰まり等の不具合は認められなかった。 実施例8 原料として、平均粒子径約20μmのシロスタゾール240g、ジグリセリンモノステアリン酸エステル(ポエムJ-2081、理研ビタミン)234g、トリグリセリンハーフベヘン酸エステル(TR-HB、理研ビタミン)24g及びグリセリンベヘン酸エステル(ポエムB-100、理研ビタミン)102gを混合し、得られた混合原料を用いて、上記実施例5と同条件でワックスマトリックス粒子の製造を行った。 得られたワックスマトリックス粒子の光学顕微鏡で観察したところ、10μm以下のシロスタゾールの結晶が生成しており、また該ワックスマトリックス粒子は真球状であり、その平均粒子径(50%累積径)をレーザー回折式粒度分布計(東日コンピューター)により測定したところ、79μmであった。なお、本製造において、エクストルーダー内でのシロスタゾールの析出、液詰まり等の不具合は認められなかった。 実施例9 平均粒子径約20μmのシロスタゾール240g、ジグリセリンモノステアリン酸エステル(ポエムJ-2081V、理研ビタミン)222g、トリグリセリンハーフベヘン酸エステル(TR-HB、理研ビタミン)24g、グリセリンベヘン酸エステル(ポエムB-100、理研ビタミン)96g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5E、信越化学)18gを混合した。得られた混合原料を用いて、上記実施例5と同条件でワックスマトリックス粒子の製造を行なった。但し、バレル温度は1a-1が120℃、1a-2が185℃、1a-3が185℃、1a-4が185℃;スプレーエアーは約200℃、50L/min;溶融混合物の吐出孔1個当たりの吐出速度は118g/分とした。得られた粒子314gにタルク12.6gを添加して混合し,50℃で16時間加熱処理した。次いで,目開き350μmの篩で整粒した。 得られたワックスマトリックス粒子の光学顕微鏡で観察したところ、10μmより大きい粒子径のシロスタゾール結晶がないことが確認できた。また、得られたワックスマトリックス粒子は真球状であり、平均粒子径(50%累積径)をレーザー回折式粒度分布計(東日コンピューター)により測定したところ、約77μmであった。なお、本製造において、エクストルーダー内でのシロスタゾールの析出、液詰まり等の不具合は認められなかった。 実施例10 平均粒子径約20μmのシロスタゾール240g、ジグリセリンモノステアリン酸エステル(ポエムJ-2081V、理研ビタミン)210g、トリグリセリンハーフベヘン酸エステル(TR-HB、理研ビタミン)24g、グリセリンベヘン酸エステル(ポエムB-100、理研ビタミン)90g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5E、信越化学)36gを混合した。得られた混合原料を用いて、上記実施例5と同条件でワックスマトリックス粒子の製造を行なった。但し、バレル温度は1a-1が120℃、1a-2が185℃、1a-3が185℃、1a-4が185℃;スプレーエアーは約200℃、40L/min;溶融混合物の吐出孔1個当たりの吐出速度は175g/minとした。得られた粒子353gにタルク14.1gを添加して混合し、50℃で16時間加熱処理した。次いで,目開き350μmの篩で整粒した。 得られたワックスマトリックス粒子の光学顕微鏡で観察したところ、10μmより大きい粒子径のシロスタゾール結晶がないことが確認できた。また、得られたワックスマトリックス粒子は真球状であり、平均粒子径(50%累積径)をレーザー回折式粒度分布計(東日コンピューター)により測定したところ、約104μmであった。なお、本製造において、エクストルーダー内でのシロスタゾールの析出、液詰まり等の不具合は認められなかった。 実施例11 平均粒子径約20μmのシロスタゾール240g、ジグリセリンモノステアリン酸エステル(ポエムJ-2081V、理研ビタミン)198g、トリグリセリンハーフベヘン酸エステル(TR-HB、理研ビタミン)24g、グリセリンベヘン酸エステル(ポエムB-100、理研ビタミン)84g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5E、信越化学)54gを混合した。得られた混合原料を用いて、上記実施例5と同条件でワックスマトリックス粒子の製造を行なった。但し、バレル温度は1a-1が120℃、1a-2が185℃、1a-3が185℃、1a-4が185℃;スプレーエアーは約200℃、50L/min;溶融混合物の吐出孔1個当たりの吐出速度は120g/minとした。得られた粒子267gにタルク10.7gを添加して混合し,50℃で16時間加熱処理した。次いで,目開き350μmの篩で整粒した。 得られたワックスマトリックス粒子の光学顕微鏡で観察したところ、10μmより大きい粒子径のシロスタゾール結晶がないことが確認できた。また、得られたワックスマトリックス粒子は真球状であり、平均粒子径(50%累積径)をレーザー回折式粒度分布計(東日コンピューター)により測定したところ、約93μmであった。なお、本製造において、エクストルーダー内でのシロスタゾールの析出、液詰まり等の不具合は認められなかった。 実施例12 平均粒子径約20μmのシロスタゾール240g、ジグリセリンモノステアリン酸エステル(ポエムJ-2081V、理研ビタミン)222g、トリグリセリンハーフベヘン酸エステル(TR-HB、理研ビタミン)24g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5E、信越化学)60gを混合した。得られた混合原料を用いて、上記実施例5と同条件でワックスマトリックス粒子の製造を行なった。但し、バレル温度は1a-1が130℃、1a-2が165℃、1a-3が175℃、1a-4が170℃;スプレーエアーは約200℃、50L/min;溶融混合物の吐出孔1個当たりの吐出速度は140g/minとした。得られた粒子320gにタルク12.8gを添加して混合し,50℃で16時間加熱処理した。次いで,目開き350μmの篩で整粒した。 得られたワックスマトリックス粒子の光学顕微鏡で観察したところ、10μmより大きい粒子径のシロスタゾール結晶がないことが確認できた。また、得られたワックスマトリックス粒子は真球状であり、平均粒子径(50%累積径)をレーザー回折式粒度分布計(東日コンピューター)により測定したところ、約98μmであった。なお、本製造において、エクストルーダー内でのシロスタゾールの析出、液詰まり等の不具合は認められなかった。 実施例13 平均粒子径約20μmのシロスタゾール240g、ジグリセリンモノステアリン酸エステル(ポエムJ-2081V、理研ビタミン)228g、トリグリセリンハーフベヘン酸エステル(TR-HB、理研ビタミン)48g、グリセリンベヘン酸エステル(ポエムB-100、理研ビタミン)60g及びカルボキビニルポリマー(Carbopol974P)24gを混合した。得られた混合原料を用いて、上記実施例5と同条件でワックスマトリックス粒子の製造を行なった。但し、バレル温度は1a-1が120℃、1a-2が185℃、1a-3が185℃、1a-4が185℃;スプレーエアーは約200℃、45L/min;溶融混合物の吐出孔1個当たりの吐出速度は128g/minとした。得られた粒子384gにタルク15.4gを添加して混合し,50℃で16時間加熱処理した。次いで、目開き350μmの篩で整粒した。 得られたワックスマトリックス粒子の光学顕微鏡で観察したところ、10μmより大きい粒子径のシロスタゾール結晶がないことが確認できた。また、得られたワックスマトリックス粒子は真球状であり、平均粒子径(50%累積径)をレーザー回折式粒度分布計(東日コンピューター)により測定したところ、約135μmであった。なお、本製造において、エクストルーダー内でのシロスタゾールの析出、液詰まり等の不具合は認められなかった。 実施例14 実施例13で得られたワックスマトリックス粒子260gに、更に軽質無水ケイ酸(アドソリダー101/YKF)1.0gを混合し、得られた混合物261mgを硬カプセルに充填して、カプセル剤を製造した。 比較例1 シロスタゾール1350g、ポエムJ-2081(ジグリセリンモノステアリン酸エステル、理研ビタミン社製)1710g、サンソフトA-181E(ペンタグリセリンモノステアリン酸エステル、太陽化学社製)990g、及びポビドン(Kollidon25、 ポリビニルピロリドン、 BASF社製)450gを密閉式ジャケット付攪拌タンク内に添加し、150℃に加熱しながら混練して、透明な溶融液を調製した。この溶融混練液をタンク内から回転ディスク式のスプレークーラー(直径2.5m)に加圧により送液した。タンクからディスクまでの配管約60cmはリボンヒーターで約150℃に加熱していたが、配管途中でシロスタゾールが析出して配管詰まりを生じ、噴霧不可能であった。この結果から、本比較例1の方法では、実施例4と同一の原料成分を使用しても、ワックスマトリックス粒子を製造できないことが確認された。 比較例2 シロスタゾール1000g、ポエムJ-2081(ジグリセリンモノステアリン酸エステル、理研ビタミン社製)1800g、ポビドン(Kollidon25、 ポリビニルピロリドン、 BASF社製)400g及びサンソフトNo.621G(グリセリンクエン酸モノステアリン酸エステル、太陽化学社製)800gを使用して、上記比較例と同様の条件で、溶融液の調製、スプレークーラーへの送液を行い、回転ディスクにて噴霧冷却造粒した、その結果、僅かにワックスマトリックス粒子が得られた。しかしながら、タンク内の接液面、シャフト部及び配管内にシロスタゾールの結晶が析出していた。また、得られたワックスマトリックス粒子中のシロスタゾール含量は理論値に対して45%であった。 試験例1 溶出試験 実施例5−8のワックスマトリックス粒子を用いて、シロスタゾール放出特性について評価した。具体的には、シロスタゾール15mg相当量のワックスマトリックス粒子(実施例5−8)を用い、溶出液として1重量%ポリソルベート80水溶液900mLを用いて、日本薬局方第14改正 溶出試験法第2法パドル法にて、パドル回転数75rpmとして溶出試験を行い、溶出液中に溶出したシロスタゾール量を経時的に測定(257nm及び325nmの二波長の測定)して、ワックスマトリックス粒子から溶出したシロスタゾールの割合(溶出率)(%)を求めた。 得られた結果を図4に示す。この結果から、実施例5−8のワックスマトリックス粒子は、いずれも、徐放性製剤として理想的な溶出挙動を示すことが確認された。 試験例2 薬物動態評価 実施例6又は8のワックスマトリックス粒子のシロスタゾール100mg相当量をゼラチンカプセルに充填し、このゼラチンカプセル1個を3頭のビーグル犬に空腹下又は食後に経口投与し、経時的に採血を行い血中シロスタゾール濃度を測定した。また、同様に市販プレタール錠(シロスタゾールとして100mgに相当量、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びステアリン酸マグネシウム含有)(速放錠)を経口投与し、経時的に採血を行い血中シロスタゾール濃度を測定した。得られた血中濃度推移の比較を図5に、また算出した薬物動態パラメータを表1に示す。 速放錠の場合、空腹下投与と食後投与ではCmax及びAUCが大きく異なり、食餌の影響を大きく受けていた。一方、実施例6又は8のワックスマトリックス粒子の場合、空腹下投与と食後投与においてCmax及びAUCの差が小さく、食餌の影響を受け難いことが確認された。 試験例3 薬物動態評価 実施例10又は13のワックスマトリックス粒子のシロスタゾール100mg相当量をゼラチンカプセルに充填し、このゼラチンカプセル1個を3頭のビーグル犬に食後に経口投与し、経時的に採血を行い血中シロスタゾール濃度を測定した。得られた血中シロスタゾール濃度から算出した薬物動態パラメータを表2に示す。 この結果から、実施例10及び13のワックスマトリックス粒子は、いずれも、徐放性製剤として特に良好な溶出挙動を示すことが確認された。この結果から、シロスタゾール結晶、及びグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルに加えて、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合することによって、徐放性製剤に求められる溶出挙動を一層効果的に実現できることが明らかになった。薬物含有ワックスマトリックス粒子製造用エクストルーダーの一例について、一部を切り抜いて示す側面図である。粒子形成用チャンバーを有する形態の薬物含有ワックスマトリックス粒子製造用エクストルーダーの一例の側面図である。実施例1で得られたワックスマトリックス粒子を顕微鏡観察した結果(顕微鏡写真)である。図中に示すバーは200μmである。試験例1において測定したワックスマトリックス粒子(実施例5−8)の溶出特性を示す図である。試験例2において測定したワックスマトリックス粒子(実施例6及び8)、及び速放錠の平均血中シロスタゾール濃度の経時的変化を示す図である。符号の説明1 バレル2 供給口3 出口ダイ部4 スクリュー5 スプレーノズル6 粒子形成用チャンバー7 排気手段10 スプレーノズルの吐出孔5bから吐出されたワックスマトリックス粒子(A)シロスタゾール結晶、及び(B)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する粒子を含み、該粒子は、粒子径が10μm以下であるシロスタゾール結晶を含有しており、該粒子の平均粒子径が40〜200μmであり、該粒子が、シロスタゾール並びにグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルの溶融混合物を噴霧して固化させることにより調製された粒子である、徐放性製剤。前記(A)シロスタゾール結晶の平均粒子径が10μm以下である、請求項1に記載の徐放性製剤。徐放性製剤中の前記粒子の総量に対して、(A)シロスタゾール結晶を5〜60重量%、及び(B)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを30〜95重量%含む、請求項1又は2に記載の徐放性製剤。更に、水溶性セルロース誘導体を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の徐放性製剤。水溶性セルロース誘導体がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項4に記載の徐放性製剤。徐放性製剤の総量に対して、水溶性セルロース誘導体を総量で1〜15重量%含む、請求項4又は5に記載の徐放性製剤。前記粒子の表面に不活性粉末が付着している、請求項1〜6のいずれかに記載の徐放性製剤。前記不活性粉末が、タルク、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、及びセルロース系ポリマーよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の徐放性製剤。前記(B)成分が、グリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、グリセリンベヘン酸エステル、及びポリグリセリンベヘン酸エステルよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれかに記載の徐放性製剤。前記(B)成分が、グリセリンベヘン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、及びトリグリセリンハーフベヘン酸エステルよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれかに記載の徐放性製剤。以下の工程(i)及び(ii)を経て製造される、請求項1〜10のいずれかに記載の徐放性製剤:(i)(a)シロスタゾール、及び(b)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを、バレル及びダイの温度を前記(b)成分の融点以上の温度に設定したエクストルーダーに供給する工程、及び(ii)前記エクストルーダー内で前記(a)及び(b)成分を溶融混練しながら、前記エクストルーダーのバレルの先端に設けられたダイ部に直接装着したスプレーノズルから、溶融混練された前記(a)及び(b)成分の混合物を前記(b)成分の融点未満の温度雰囲気中に噴霧吐出することにより、粒子状に成形する工程。前記工程(i)において、更に、前記(a)及び(b)成分に加えて、(c)水溶性セルロース誘導体を供給する、請求項11に記載の徐放性製剤。更に、(iii)前記工程(ii)で得られた粒子に対して40〜55℃の温度条件下で加熱処理する工程を経て製造される、請求項11又は12に記載の徐放性製剤。更に、前記工程(iii)において、加熱処理に先だって、前記工程(ii)で得られた粒子の表面に不活性粉末を付着させる工程を含む、請求項13に記載の徐放性製剤。(i)(a)シロスタゾール、及び(b)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを、バレル及びダイの温度を前記(b)成分の融点以上の温度に設定したエクストルーダーに供給する工程、及び(ii)前記エクストルーダー内で前記(a)及び(b)成分を溶融混練しながら、前記エクストルーダーのバレルの先端に設けられたダイ部に直接装着したスプレーノズルから、溶融混練された前記(a)及び(b)成分の混合物を前記(b)成分の融点未満の温度雰囲気中に噴霧吐出することにより、粒子状に成形する工程を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の徐放性製剤の製造方法。更に、(iii)前記工程(ii)で得られた粒子に対して40〜55℃の温度条件下で加熱処理する工程を含む、請求項15に記載の製造方法。前記工程(iii)が、前記工程(ii)で得られた粒子の表面に不活性粉末を付着させた後に、40〜55℃の温度条件下で加熱処理する工程である、請求項16に記載の製造方法。


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