生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_糖尿病、メタボリック症候群、および他の状態を治療するための方法および組成物
出願番号:2007549979
年次:2013
IPC分類:A61K 31/496,A61P 1/18,A61P 3/00,A61P 3/04,A61P 3/06,A61P 3/10,A61P 5/06,A61P 5/50,A61P 9/08,A61P 9/10,A61P 9/12,A61P 13/12,A61P 25/00,A61P 25/24,A61P 25/28,A61P 27/02,A61P 27/06,C07D 405/06


特許情報キャッシュ

マーリン パー JP 5358095 特許公報(B2) 20130906 2007549979 20060110 糖尿病、メタボリック症候群、および他の状態を治療するための方法および組成物 コーテンド アーベー (ピーユービーエル) 507210476 清水 初志 100102978 新見 浩一 100128048 マーリン パー US 60/643,055 20050110 20131204 A61K 31/496 20060101AFI20131114BHJP A61P 1/18 20060101ALI20131114BHJP A61P 3/00 20060101ALI20131114BHJP A61P 3/04 20060101ALI20131114BHJP A61P 3/06 20060101ALI20131114BHJP A61P 3/10 20060101ALI20131114BHJP A61P 5/06 20060101ALI20131114BHJP A61P 5/50 20060101ALI20131114BHJP A61P 9/08 20060101ALI20131114BHJP A61P 9/10 20060101ALI20131114BHJP A61P 9/12 20060101ALI20131114BHJP A61P 13/12 20060101ALI20131114BHJP A61P 25/00 20060101ALI20131114BHJP A61P 25/24 20060101ALI20131114BHJP A61P 25/28 20060101ALI20131114BHJP A61P 27/02 20060101ALI20131114BHJP A61P 27/06 20060101ALI20131114BHJP C07D 405/06 20060101ALN20131114BHJP JPA61K31/496A61P1/18A61P3/00A61P3/04A61P3/06A61P3/10A61P5/06A61P5/50A61P9/08A61P9/10A61P9/10 101A61P9/12A61P13/12A61P25/00A61P25/24A61P25/28A61P27/02A61P27/06C07D405/06 C07D 405/ A61K 31/ REGISTRY/CAPLUS(STN) MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN) J Dream III 特表2003−520788(JP,A) 米国特許第06040307(US,A) 特表2003−503448(JP,A) 特表2001−513082(JP,A) 国際公開第1989/007442(WO,A1) ROTSTEIN,D.M. et al,Stereoisomers of ketoconazole: preparation and biological activity,Journal of Medicinal Chemistry,1992年,Vol.35, No.15,p.2818-2825 ABEL,S.M. et al,Cortisol metabolism in vitro-III. Inhibition of microsomal 6β-hydroxylase and cytosolic 4-ene-reductase,Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology,1993年,Vol.46, No.6,p.827-832 41 IB2006000026 20060110 WO2006072881 20060713 2008526830 20080724 56 20090108 深谷 良範発明の分野 本発明は、2型糖尿病、メタボリック症候群、インスリン抵抗性、肥満、脂肪障害、代謝疾患、ならびに、クッシング症候群、骨粗鬆症、緑内障、およびうつ病を含むがこれらに限定されない、コルチゾール合成を減少させることによって治療することができる他の状態を含む、糖尿病および他の疾患を治療するための薬学的組成物および方法に関する。それゆえに、本発明は、化学、生物学、薬理学、および医学の分野に関する。関連出願の相互参照 本願は、2005年1月10日に出願された米国仮出願第60/643,055号の恩典を請求し、その全体の内容は参照により組み入れられる。発明の背景 ケトコナゾール、1-アセチル-4-[4-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-[(1H-イミダゾール-1-イル)-メチル]-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ]フェニル]ピペラジンは、抗真菌剤として市販されている、シスエナンチオマー(-)-(2S,4R)および(+)-(2R,4S)のラセミ混合物である。ケトコナゾールは、エルゴステロール合成の阻害を通して真菌増殖を阻害する。エルゴステロールは、真菌細胞壁の鍵となる成分である。 より最近では、ケトコナゾールは、血漿コルチゾールを減少すること、ならびに、2型糖尿病、メタボリック症候群(インスリン抵抗性症候群、代謝異常症候群、またはX症候群としても知られる)、およびコルチゾールレベルの上昇と関連する他の医学的状態を含む、種々の疾患および状態の治療において、単独でおよび他の薬剤と組み合わせて有用であることが見い出された。米国特許第5,584,790号;同第6,166,017号;および同第6,642,236号を参照されたい。これらの各々は、参照により本明細書に組み入れられる。コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるストレス関連ホルモンである。ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)がコルチゾール分泌を増加する。ACTHは脳下垂体によって分泌され、視床下部からの副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)の分泌によって活性化されるプロセスである。 コルチゾールは血流内を循環し、糖質コルチコイド受容体(GR)などの特定の細胞内受容体を活性化する。コルチゾールのレベル、合成速度、または活性の撹乱は、インスリン抵抗性、肥満、糖尿病、およびメタボリック症候群を含む多数の代謝的合併症と関連することが示されてきた。加えて、これらの代謝異常は、先進国の中で主な死因である循環器病のリスクの実質的な増加と関連する。Marin P et al,「Cortisol secretion in relation to body fat distribution in obese premenopausal women」Metabolism 1992; 41:882-886, Bjorntorp,「Neuroendocrine perturbations as a cause of insulin resistance」Diabetes Metab Res Rev 1999; 15(6): 427-41、および Rosmond,「Role of stress in the pathogenesis of the metabolic syndrome」Psychoneuroendocrinology 2005; 30(1): 1-10を参照されたい。これらの各々は、参照により本明細書に組み入れられる。 ケトコナゾールは、例えば、17α水酸化酵素(Wachall et al,「Imidazole substituted biphenyls: a new class of highly potent and in vivo active inhibitors of P450 17 as potential therapeutics for treatment of prostate cancer」Bioorg Med Chem 1999; 7(9): 1913-24、参照により本明細書に組み入れられる)、および11b-水酸化酵素(Rotstein et al.,「Stereoisomers of ketoconazole: preparation and biological activity」J Med Chem 1992; 35(15): 2818-25)、および11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD)(Diederich et al.,「In the search for specific inhibitors of human 11β-hydroxysteroid-dehydrogenases (11β-HSDs): chenodeoxycholic acid selectively inhibits 11β-HSD-I」Eur J Endocrinol 2000; 142(2): 200-7、参照により本明細書に組み入れられる)などのコルチゾール合成における酵素的段階のあるものを阻害することが知られている。血漿中でケトコナゾールがコルチゾールレベルを減少するメカニズムは報告されていない。例えば、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD)酵素に対するケトコナゾールの効果に関する不確定性が存在している。2種類の11β-HSD酵素が存在している。これらの1つである11β-HSD-Iは、主として、肝臓において高度に発現される還元酵素であり、不活性な11-ケト糖質コルチコイドを活性な糖質コルチコイド(ヒトにおいてはコルチゾール、ラットにおいてはコルチコステロン)に転換することができる。対照的に、他方の11β-HSD-IIは、主として腎臓において発現され、活性な糖質コルチコイド(ヒトにおいてはコルチゾール、ラットにおいてはコルチコステロン)を不活性な11-ケト糖質コルチコイドに転換するオキシダーゼとして主として作用する。従って、活性な糖質コルチコイドの血漿濃度は、合成の速度によって影響され、副腎の11β-ヒドロキシラーゼの活性によって、および相互変換の速度によって部分的に制御され、2種の11β-HSD酵素の相対活性によって部分的に制御される。ケトコナゾールはこれらの3種の酵素を阻害することが知られており(Diederich et al.、前出)、そして2S,4Rエナンチオマーは、2R,4Sエナンチオマーよりも、副腎11β-ヒドロキシラーゼ酵素に対してより活性である(Rotstein et al.、前出)。しかし、11β-HSD-Iまたは11β-HSD-IIのいずれかに対する2種のケトコナゾールエナンチオマーの効果を記載している報告は存在しないので、もしあれば、2種の異なるケトコナゾールエナンチオマーが各々、哺乳動物において活性な血清レベルの糖質コルチコイドレベルに対してどのような効果を有するかを予測することは不可能である。 ケトコナゾールはまた、ヒトにおけるコレステロールレベルを低下させることが報告されてきた(Sonino et al. (1991)「Ketoconazole treatment in Cushing's syndrome: experience in 34 patients」Clin Endocrinol (Oxf). 35(4): 347-52; Gylling et al. (1993)「Effects of ketoconazole on cholesterol precursors and low density lipoprotein kinetics in hypercholesterolemia」J Lipid Res. 34(1): 59-67)これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる)。2S,4Rエナンチオマーは、他方の(2R,4S)エナンチオマーよりも、コレステロール合成酵素14αラノステロールデメチラーゼに対してより活性である(Rotstein et al.、下記)。しかし、ヒト患者におけるコレステロールレベルは、代謝および排出の速度によって制御され、ならびに合成の速度によって制御されるので、このことから、ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーがコレステロールレベルを低下させる際により有効であるか否かを予測することは不可能である。 治療剤としてのケトコナゾールの使用は、薬物代謝の原因であるP450酵素に対するケトコナゾールの効果によって複雑化されている。これらのP450酵素のいくつかはケトコナゾールによって阻害される(Rotstein et al.、前出)。この阻害は、ケトコナゾール自体(Brass et al.,「Disposition of ketoconazole, an oral antifungal, in humans」Antimicrob Agents Chemother 1982; 21(1): 151-8、参照により本明細書に組み入れられる)ならびにグリベック(Dutreix et al.,「Pharmacokinetic interaction between ketoconazole and imatinib mesylate (Glivec) in healthy subjects」Cancer Chemother Pharmacol 2004; 54(4): 290-4)およびメチルプレドニゾロン(Glynn et al.,「Effects of ketoconazole on methylprednisolone pharmacokinetics and Cortisol secretion」Clin Pharmacol Ther 1986; 39(6): 654-9)などの他の重要な薬物のクリアランスの変化に導く。結果として、患者に投与される薬物の量の増加がないにも関わらず、ケトコナゾールへの患者の曝露は反復投薬に伴って増加する。この曝露および曝露の増加は、「曲線下面積(Area under the Curve)」(AUC)、または血漿中に見い出された薬物の濃度、および測定が行われる時間の期間の積を使用して、測定および実証することができる。最初の曝露後のケトコナゾールについてのAUCは、反復曝露後のケトコナゾールについてのAUCよりも有意に低い。薬物曝露の増加は、患者への薬物の正確かつ一貫した用量を供給することが難しいことを意味する。さらに、薬物曝露の増加は、ケトコナゾール使用に関連した有害な副作用の可能性を増加する。 Rotstein et al.(Rotstein et al.、前出)は、薬物代謝の原因である主要なP450酵素に対する2種のケトコナゾール シスエナンチオマーの効果を試験し、「選択性はケトコナゾール異性体についてはほとんど存在しなかった」と報告し、薬物代謝P450酵素に言及している:「シスエナンチオマーについてのIC50値はラセミケトコナゾールについて以前に報告されたものと同様であった」。この報告は、シスエナンチオマーの両方が、ケトコナゾールのラセミ化合物を用いて観察されたAUCの問題に有意に寄与し得ることを示す。 このAUCの問題によって悪化されるケトコナゾール投与の有害な副作用の1つは、肝臓反応である。無症候性の肝臓反応は、血清中に見い出される肝臓特異的酵素のレベルの増加によって測定することができ、これらの酵素の増加は、ケトコナゾールによって治療される患者において注目されてきた(Sohn,「Evaluation of ketoconazole」Clin Pharm 1982; 1(3): 217-24、およびJanssen and Symoens,「Hepatic reactions during ketoconazole treatment」Am J Med 1983; 74(1B): 80-5、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる)。加えて、1:12,000患者がより深刻な肝不全を有する(Smith and Henry,「Ketoconazole: an orally effective antifungal agent. Mechanism of action, pharmacology, clinical efficacy and adverse effects」Pharmacotherapy 1984; 4(4): 199-204、参照により本明細書に組み入れられる)。上記に述べられるように、患者が曝露されるケトコナゾールの量は、たとえ1日あたりに摂取される薬物の量が増加しない場合でも、反復用量に伴って増加する(「AUC問題」)。AUCは、ウサギにおける肝損傷と相関し(Ma et al.,「Hepatotoxicity and toxicokinetics of ketoconazole in rabbits」Acta Pharmacol Sin 2003; 24(8):778-782、参照により本明細書に組み入れられる)、薬物に対する曝露の増加は、ケトコナゾールによって治療される患者において報告される肝損傷の頻度を増加すると考えられている。 加えて、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,040,307号は、2S,4Rエナンチオマーが真菌感染を治療する際に有効であることを報告している。この同じ特許出願はまた、ラセミケトコナゾールの投与が心不整脈のリスクの増加と関連する可能性があるが、この主張を支持するデータを提供していないことを示す、単離したモルモットブタ心臓に関する研究を報告している。しかし、この特許において開示されているように、不整脈は、全身性ラセミケトコナゾールの副作用として以前には報告されていなかったが、不整脈の特定のサブタイプ、多形性心室頻拍(torsades de pointes)が、ラセミケトコナゾールがテルフェナジンと同時に投与されたときに報告されていた。さらに、いくつかの公開された報告(例えば、Morganroth et al. (1997)「Lack of effect of azelastine and ketoconazole coadministration on electrocardiographic parameters in healthy volunteers」J Clin Pharmacol. 37(11): 1065-72)は、ケトコナゾールがQTc間隔を増加しないこと実証している。この間隔は、薬物が不整脈を誘導するための潜在能力を有するか否かを決定するための代理的なマーカーとして使用される。米国特許第6,040,307号もまた、2S,4Rエナンチオマーと関連する肝毒性の減少についての参考文献となるが、しかし、その主張を支持するデータを提供していない。米国特許第6,040,307号において提供される方法は、この方法が凍結組織から単離されたミクロソームを使用するので、肝毒性の評価を可能にしない。 従って、コルチゾールのレベルもしくは活性の上昇と関連し、またはコルチゾールのレベルもしくは活性を低下させることによって治療される可能性がある疾患および状態を治療するための、ケトコナゾールと同程度に有効であるがケトコナゾールの薬物相互作用および有害な副作用の問題を提示しない、またはそれをより少ない程度で提示する、新規な治療剤および方法についての必要性が残っている。本発明はこれらおよび他の必要性に合致する。発明の概要 本願発明の一部は、2S,4Rエナンチオマーが、血漿中の活性な糖質コルチコイドの濃度を減少させる際に、ラセミケトコナゾールまたは2R,4Sエナンチオマー(ラセミ体中の他のエナンチオマー)よりも、単位重量あたりでより有効であるという知見、および2S,4Rエナンチオマーは、ラセミケトコナゾールがもたらすような薬物蓄積をもたらさない(または、有意に低い程度にしか蓄積させない)という知見から生じる。 第1の局面において、本発明は、2R,4Sケトコナゾールエナンチオマーを実質的にまたは完全に含まない治療的有効量の2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物を投与することによって、コルチゾールのレベル、生成速度、もしくは活性の上昇と関連する疾患および状態、ならびにコルチゾールを減少することによって治療することができる他の疾患および状態、またはコレステロールのレベル、生成速度、もしくは活性を減少させることによって治療することができる疾患もしくは状態を治療するための方法を提供する。 第2の局面において、本発明は、本発明の方法における使用のために製剤化された、薬学的に許容される担体、および2R,4Sケトコナゾールエナンチオマーを実質的にまたは完全に含まない治療的有効量の2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物を提供する。発明の詳細な説明 本発明は、2R,4Sエナンチオマーを実質的にまたは完全に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物、およびそのような組成物を使用する方法を提供する。2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まないとは、1つの態様において、薬学的組成物のケトコナゾール含量が、2%未満の2R,4Sエナンチオマーおよび98%より多くの2S,4Rエナンチオマーであることを意味する。別の態様において、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まないとは、薬学的組成物のケトコナゾール含量が、10%未満の2R,4Sエナンチオマーおよび90%より多くの2S,4Rエナンチオマーであることを意味する。別の態様において、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まないとは、薬学的組成物のケトコナゾール含量が、20%未満の2R,4Sエナンチオマーおよび80%より多くの2S,4Rエナンチオマーであることを意味する。本発明はまた、これらの薬学的組成物を用いて、コルチゾールレベルまたはコルチゾール活性の上昇と関連する疾患および状態、ならびにコルチゾールレベルおよびコルチゾール活性を減少させることによって医学的に治療され得る疾患および状態を治療するための方法を提供する。本発明の理解を助けるために、この詳細な説明は以下のように組織化されている。I節は、2S,4Rエナンチオマー、その溶媒和物および塩、ならびにそれを含む薬学的組成物を調製するための方法を記載する。II節は、本発明の薬学的組成物の単位剤形およびそれらを投与するための方法を記載する。III節は、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマー、および2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物の投与による、疾患および状態を治療するための方法を記載する。I. 2S,4Rケトコナゾールエナンチオマー、ならびに2R,4Sエナンチオマーを実質的にまたは完全に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物の調製 本発明で使用される場合、「2R,4Sケトコナゾールエナンチオマーを実質的にまたは完全に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマー」を含む組成物には、2R,4Sケトコナゾールエナンチオマーを含まない組成物、ならびに治療的使用のために現在認可されているラセミケトコナゾール組成物よりも、2S,4Rエナンチオマーの量と比較して2R,4Sケトコナゾールエナンチオマーの実質的により少ない量を含む組成物が含まれる。本発明の方法において有用である組成物には、例えば、非限定的に、全体のケトコナゾール含量が、少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%以上の2S,4Rエナンチオマーから構成される組成物が含まれる。 ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーは、ラセミケトコナゾールの光学分割によって得られてもよい。このような分割は、参照により本明細書に組み入れられる、Jacques et al.,「Enantiomers, Racemates and Resolutions,」Wiley, New York (1981)に記載されるものが含まれるがこれに限定されない、当業者に周知である任意の多くの分割方法によって達成することができる。例えば、この分割は、キラルカラム上の調製用クロマトグラフィーによって実行されてもよい。適切な分割方法の別の例は、酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸などのキラル酸、またはN-アセチルロイシンなどのアミノ酸のN-アセチル誘導体とのジアステレオマー塩の形成、続いて所望のエナンチオマーのジアステレオマー塩を単離するための再結晶化である。2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rエナンチオマーの組成物を得るためのなお別の方法は、(+)-カンファー-10-スルホン酸とのケトコナゾールのジアステレオマー塩の分画的結晶化である。 ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーはまた、当業者に公知である種々の方法によって直接的に調製することができる。例えば、2S,4Rエナンチオマーは、Rotstein et al.(Rotstein et al.、前出、参照により本明細書に組み入れられる)によって記載されるように、2-ブロモ-2',4'-ジクロロアセトフェノンと光学的に純粋なソルケタール(solketal)トシラートとの間のケトール基転移によって直接的に調製することができる。 本発明はまた、本発明の薬学的組成物中での使用のためのケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーの種々の薬学的に許容される塩を提供する。「薬学的に許容される塩」という用語は、無機塩基または有機塩基、および無機酸および有機酸を含む、薬学的に許容される塩基または酸から調製された塩をいう。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、および亜鉛塩などが含まれる。特に、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、およびナトリウム塩が、ある薬学的製剤のために好ましくあり得る。固体型の塩は、1つより多くの結晶構造で存在することができ、また水和物およびポリ水和物の型でもあり得る。2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの溶媒和物、特に、水和物が、本発明の薬学的組成物の調製の際に有用である。 薬学的に許容される有機塩基から誘導される塩には、一級、二級、および三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えば、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチル-モルフィン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、およびトロメタミンなどの塩が含まれる。 製剤化される化合物が塩基性である場合、塩は、無機酸および有機酸を含む薬学的に許容される酸から調製することができる。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、およびp-トルエンスルホン酸などが含まれる。例示的な薬学的に許容される酸には、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、および酒石酸が含まれる。ケトコナゾール化合物はしばしば塩基性である。なぜなら、トリアゾール環が塩基性であるからである。2S,4Rケトコナゾール化合物は、合成の間に薬学的に許容されない塩(例えば、トリフルオロ酢酸塩)として作製および取り扱いすることができ、次いで、本明細書に記載されるように薬学的に許容される塩に転換することができる。 2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの適切な薬学的に許容される塩には、メシル酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、エシラート(esylate)、p-トルエンスルホン酸塩、安息香酸塩、酢酸塩、リン酸塩、および硫酸塩が含まれるがこれらに限定されない。2S,4Rケトコナゾールの化合物の薬学的に許容される酸付加塩の調製のために、遊離の塩基は、従来的な方法によって適切な溶媒の存在下で所望の酸と反応させることができる。同様に、酸付加塩は、当業者に公知の方法によって、遊離の塩基型に転換することができる。 本発明の薬学的組成物は、治療的に活性である2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの代謝物、またはこのエナンチオマーのプロドラッグを含むことができる。プロドラッグは、それらが患者に投与されているときに、またはそれらが患者に投与された後で治療的に活性な化合物に転換される化合物である。 従って、本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体と組み合わせ、かつ実質的にまたは完全に2R,4Sエナンチオマーを含まない、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマー、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物、またはそのプロドラッグもしくは活性な代謝物を含む。1つの態様において、この薬学的組成物は、治療的有効量のケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む。上記に述べられるように、このような組成物中で有用な2S,4Rエナンチオマーの薬学的に許容される塩には、塩酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、エシラート、および硫酸塩が含まれるがこれらに限定されない。 ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーまたはその薬学的に許容される塩の「治療的有効量」は、治療される状態、投与の経路および期間、体重および同時に行われる他の投薬を含む、患者の身体的特性に依存し、本開示(以下のII節を参照されたい)に鑑みて、当業者に周知の方法に従って決定されてもよい。本発明の薬学的組成物は、経口的、非経口的(皮下、筋肉内、および静脈内の投与を含む)、眼(眼科的投与)、直腸、肺(鼻または経口吸入)、局所的、経皮的、または頬側移入経由で投与される医薬として、薬学の当技術分野において周知である方法によって単位剤形で便利に調製することができる。 本発明の薬学的組成物は、従来的な薬学的化合物作製技術に従って、選択された薬学的担体と、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを合わせることによって調製することができる。担体は、広範な種々の型を取る。例えば、経口液体組成物のための担体には、例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、香料、保存料、着色料、ならびに経口液体懸濁液、エリキシル、および溶液の製造において使用される他の成分が含まれる。デンプン、糖、および微結晶セルロースなどの担体、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが、経口固形剤形、例えば、散剤、ハードおよびソフトカプセル、ならびに錠剤を調製するために使用される。固形経口調製物は、典型的には、経口液体調製物よりも好ましい。 従って、1つの態様において、薬学的に許容される担体は固形であり、薬学的組成物は経口投与のための錠剤である。経口投与のための本発明の薬学的組成物の他の適切な型には、圧縮または被覆丸薬、糖衣錠、サシェ剤、ハードまたはソフトゼラチンカプセル、舌下錠剤、シロップ、および懸濁液が含まれる。経口固形剤形はまた、トラガカントガム、アカシア、コーンスターチ、もしくはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カリウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ポテトスターチ、もしくはアルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;および/またはスクロース、ラクトース、もしくはサッカリンなどの甘味料を含んでもよい。カプセルもまた、脂肪油などの液体担体を含んでもよい。種々の他の材料が、コーティングとして働くため、または物理的な剤形の単位を修飾するために存在してもよい。例えば、錠剤は、シェラック、糖、または両方でコートされてもよい。錠剤は、標準的な水系または非水系の技術によってコートされてもよい。これらの組成物中の活性化合物の典型的なパーセンテージは、当然、例えば、非限定的に、w/wベースで約2パーセントから約60パーセントまで変化されてもよい。 別の態様において、薬学的に許容される担体は液体であり、薬学的組成物は経口投与のために意図される。このような組成物中での使用のために適切な経口液体にはシロップおよびエリキシルが含まれ、活性成分に加えて、甘味料としてのスクロース、保存料としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素、ならびに/またはチェリー香料もしくはオレンジ香料などの香料を含めることができる。 別の態様において、本発明は、非経口投与のために適切な2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物を提供する。非経口投与のために、薬学的組成物は、典型的には、アンプルまたはバイアルに含まれ、そして水系または非水系の溶液またはエマルジョンから本質的になる。これらの組成物は、典型的には、溶液または懸濁液の形態であり、典型的には、水を用いて調製され、任意に、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤を含む。懸濁液は、オイル中のグリセロール、液体プロピレングリコール、およびその混合物中で調製することができる。典型的には、希釈型である調製物はまた保存剤を含む。 別の態様において、薬学的に許容される担体は液体であり、薬学的組成物は注射用溶液である。水溶液および水性懸濁液、ならびに注射用溶液または懸濁液の即席調製のための粉末はまた、滅菌されており、そして投与の時点において容易な注入能力のために十分に流動性であり、かつ典型的には貯蔵されている。従って、担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、適切なその混合物、および植物油を含む。 別の態様において、薬学的に許容される担体はゲルであり、薬学的組成物は坐剤の型で提供される。直腸投与のために、薬学的組成物は坐剤の型で提供され、薬学的に許容される担体は、親水性または疎水性媒体である。別の態様において、本発明の方法において有用である薬学的組成物は、局所的適用のために調製され、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーは軟膏として製剤化される。2S,4Rエナンチオマーはまた、経皮的に投与することができ;適切な経皮送達系は当技術分野において公知である。 本発明の薬学的組成物はまた、持続放出組成物を含む。適切な持続放出組成物には、米国特許出願公開第20050013834号;同第20030190357号;および同第2002055512号ならびにPCT特許出願公開第WO 03011258号および同第0152833号が含まれ、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる。II. 単位剤形;投与の頻度および期間 任意の適切な投与の経路は、哺乳動物、典型的には、ヒトに提供するために利用することができるが、しかし、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、イヌ、およびネコなどの獣医学的に重要な哺乳動物もまた、2S,4Rエナンチオマーの治療有効用量を用いて、本明細書に記載の方法からの恩典を得ることができる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、眼、肺、または鼻の投与を利用することができる。剤形には、錠剤、トローチ、分散剤、懸濁剤、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどが含まれる。本発明の治療方法の多くの態様において、薬学的組成物は経口的に投与される。活性成分の治療有効投薬量は、利用される特定の化合物(塩、溶媒和物、プロドラッグ、または代謝物)、投与の様式、治療される状態、および状態の重篤度に依存して変化する。このような投薬量は、本明細書における開示に鑑みて、当業者によって容易に確認されてもよい。 本明細書に開示されるような疾患および状態を治療または予防する際に、満足のゆく結果は、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーが体重のキログラムあたり約0.1〜約25ミリグラム(mg)(mpk)の一日投与量で投与され、好ましくは単回の1日用量で、または1日に約2〜6回の分割用量で与えられた場合に得ることができる。ヒト成人患者への経口投与のために、治療的有効量は、一般的に、用量あたり100mg、用量あたり200mg、および用量あたり400mgを含むがこれらに限定されない、用量あたり50mg〜800mgの範囲で投与され、複数の、通常は連続する1日用量が、治療の経過において投与される。2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物は、その日の異なる時点で投与することができる。1つの態様において、最適な治療用量は夕方に投与することができる。別の態様において、最適な治療用量は朝に投与することができる。従って、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの全体の1日の投薬量は、1つの態様において、約10mg〜約2gの範囲、頻繁には約10mg〜約1g、および最も頻繁には約100mg〜約500mgの範囲であり得る。典型的な70kgの成人の場合、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの全体の1日の投薬量は、約10mg〜約1000mgの範囲であり得、頻繁には、上記に述べられたように、約50mg〜約800mgの範囲である。この投薬量は、最適な治療的応答を提供するために調整されてもよい。 1つの態様において、単位剤形は経口投与のために適切であり、1種以上の賦形剤を含む。本発明の目的のために2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの経口的に利用可能な製剤中に含めることができる薬学的に不活性な賦形剤の例、およびそれらの機能は以下の表において提供される。 (表) 先の表において列挙された賦形剤は、特定の薬物錠剤および製造特性を得るために、2S,4Rエナンチオマーと様々な比率で合わせることができる。薬物錠剤のサイズは、1mg全体重量から1000mg全体重量まで;例えば、非限定的に、100mg全体重量から800mg全体重量まで変化させることができる。薬物錠剤中に存在する2S,4Rエナンチオマーの比率は、1%から100%まで;例えば、非限定的に、10%〜90%まで変化させることができる。50%の錠剤重量を含む2S,4Rエナンチオマーを有する400mg錠剤の例は以下の表に提供される。この例において、乾燥ブレンドが、(-)シス2S,4Rケトコナゾール、および列挙された不活性賦形剤を用いて作製され、そして乾燥ブレンドとして錠剤に圧縮される。 (表) 2S,4Rケトコナゾールのための薬物錠剤製剤は、米国特許第6,040,307号に記載されている。この製剤は、活性薬物物質、(-)ケトコナゾール、ラクトース、コーンスターチ、水、およびステアリン酸マグネシウムを含んだ。ウェット顆粒は、ケトコナゾール、ラクトース、水、およびコーンスターチを用いて生成することができ、これらの顆粒はオーブン中で乾燥させ、その後、ステアリン酸マグネシウムおよびより多くのコーンスターチを用いて錠剤に圧縮された。これは、過剰の水および温度の上昇が導入されないような、ドライブレンドプロセスを使用する上記の本発明の方法よりも最適ではない。ケトコナゾールは分解(酸化)を受ける可能性があり(Farhadi and Maleki (2001)「A new spectrophotometric method for the determination of ketoconazole based on the oxidation reactions」Analytical Sciences 17 Supplement, i867-i869. The Japan Society for Analytical Chemistry)、酸化反応は、水および温度の上昇の存在下で加速される。 本発明の薬学的組成物の固形単位剤形は、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーまたはその塩もしくは水和物を、約1mg〜約2g、頻繁には約1.0mg〜約1.0g、およびより頻繁には約10mg〜約500mgの範囲の量で含む。経口投与のために適切な本発明の液体薬学的組成物中で、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの量は、約1mg/ml〜約200mg/mlの範囲であり得る。治療的有効量はまた、約10mg/ml〜約100mg/mlの範囲の量であり得る。1つの態様において、投与される液体薬学的組成物の用量は、0.5mlから5.0mlの間の量である。別の態様において、この用量は約1mlから3mlの間である。静脈内投与または皮下投与のために設計される本発明の液体薬学的組成物において、2S,4Rエナンチオマーの2S,4Rケトコナゾールの量は、約0.01〜1mg/mlの範囲であり得、皮下投与または静脈内投与のいずれかによって、0.01から1ml/分の速度で投与することができる。または、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの量は、約0.1mg/ml〜10mg/mlの範囲であり得、皮下投与または静脈内投与のいずれかによって、0.001ml/分から0.1ml/分の速度で投与することができる。 上記に述べられたように、本発明の薬学的組成物は、典型的には、1週間または複数週間から、1ヶ月、数ヶ月、または多くの月数まで(例えば、少なくとも7日間、14日間、28日間、60日間、または120日間)の範囲の期間の間、複数の連続する日数投与される。1つの態様において、本発明の薬学的組成物は、1ヶ月から12ヶ月の範囲の治療期間の間、慢性の疾患、状態、または徴候の治療のために投与される。別の態様において、2S,4Rエナンチオマーは1年間〜5年間投与される。別の態様において、2S,4Rエナンチオマーは5年間〜20年間投与される。別の態様において、2S,4Rエナンチオマーは、疾患からの寛解が存在するまで、または患者の寿命の間投与される。 本発明の方法に従う投与の期間は、治療される疾患または状態、薬学的組成物の投与が疾患の徴候および状態を改善した程度、ならびに治療に対する個々の患者の反応に依存する。III. 本発明の薬学的組成物を用いて疾患および状態を治療するための方法コルチゾール合成の阻害 ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーは、生理学的に活性な糖質コルチコイドの血漿濃度を低下させる際に、ラセミケトコナゾールまたはラセミケトコナゾール中の他のエナンチオマーである、2R,4Sエナンチオマーよりも、体重単位あたりで有意により有効である。加えて、以下の図面および実施例において実証されるように、およびラセミケトコナゾールから区別できるように、2S,4Rエナンチオマーは、2S,4Rへの曝露の時間依存的な増加を引き起こさない。従って、本発明の方法は、コルチゾールのレベルの上昇もしくは異常な活性と関連する疾患および状態の治療において、または正常なコルチゾールのレベルもしくは活性を低下させることによって恩典を得ることができる疾患の治療において、ラセミケトコナゾールの投与を含む方法を超える有意な治療的利点を提供する。 コルチゾールは、脂肪組織の蓄積と脂肪組織からの脂肪酸の放出の両方を促進する。酸化される場合、遊離の脂肪酸は、拮抗的な様式で肝臓中のインスリンに対して作用し、肝臓中でのインスリン感受性を減少させる(すなわち、肝インスリン抵抗性を増加させる)。コルチゾールはまた、肝臓におけるインスリンの作用に対するアンタゴニストとして直接的に作用し、その結果、インスリン感受性がさらに減少される。コルチゾールはまた、肝臓によるグルコース産生を制御する律速酵素の量を直接的に増加させる。これらの作用は、糖新生の増加および肝臓によるグルコース産生のレベルの上昇を生じる。肝インスリン抵抗性はまた、肝臓によるリポタンパク質の減損を生じ、それゆえに、2型糖尿病を有する患者およびメタボリック症候群を有する患者において公知である異常脂質血症に対する主要な要因である。すでにグルコース耐性の減損を有する患者は、異常に高レベルのコルチゾールの存在下で、2型糖尿病を発症するより大きな可能性を有する。高レベルのコルチゾールはまた、部分的に、鉱質コルチコイド受容体の活性化を通して高血圧を導き得る。11β-HSD-I酵素の阻害は、特定の組織において、コルチゾールおよびコルチゾンの比率を、コルチゾンが多いようにシフトさせる。2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーは、11βヒドロキシラーゼ酵素に作用するコルチゾール合成阻害剤であり、これはまた、少なくとも部分的に、11β-HSD-I酵素の阻害によってその治療効果を発揮する可能性がある。 本発明は、哺乳動物患者、特にヒトにおいて、少なくとも部分的に、コルチゾールおよび/または他の副腎皮質ステロイドに起因する疾患および状態の治療、制御、改善、予防、発症の遅延、またはその疾患および状態の発症のリスクの減少のために、コルチゾール合成阻害剤である、ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーを使用するための方法を提供する。1つの態様において、この方法は、この疾患または状態に苦しんでいる患者への、他のケトコナゾールエナンチオマーを実質的にまたは完全に含まない、有効量の2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の投与を含む。 コルチゾール活性は、2型糖尿病、メタボリック症候群、肥満、異常脂質血症、インスリン抵抗性、および高血圧を含むがこれらに限定されない、多数の疾患および状態に寄与している可能性がある。本発明の方法に従って、本発明の組成物を用いる治療に感受性であるこれらおよび他の疾患および状態は以下に記載される。糖尿病、メタボリック症候群、ならびに関連する疾患および状態 糖尿病は複数の要因によって引き起こされ、絶食状態における血漿グルコースのレベルの上昇(高血糖)によって、最も単純に特徴付けられる。2種の一般的に認識されている糖尿病の型が存在している:患者がグルコースの産生および利用を調節するホルモンであるインスリンをほとんど産生しないかまたは全く産生しない、1型糖尿病、および患者はインスリンを産生し、高インスリン血症(血漿インスリンレベルが非糖尿病患者と比較して同様または上昇さえしている可能性がある)すら示すのに対して、同時に高血糖を示す、2型糖尿病。2型糖尿病を有する患者は、典型的には、インスリンのグルコース低下作用に対してある程度の抵抗性を有する。1型糖尿病は、典型的には、注射を介して投与される外因性インスリンを用いて治療される。 しかし、2型糖尿病を有する患者は、典型的には、「インスリン抵抗性」を発症し、主要なインスリン感受性組織、すなわち、筋肉、肝臓、および脂肪組織におけるグルコースおよび脂肪の代謝を刺激する際に、インスリンの効果は減少される。インスリン抵抗性であるが、しかし糖尿病を有さない患者は、彼らのインスリン抵抗性を補償するインスリンレベルの上昇を有し、その結果、血清グルコースレベルは上昇しない。2型糖尿病を有する患者において、血漿インスリンレベルは、たとえそれらが上昇したときでも、顕著なインスリン抵抗性を克服するためには不十分であり、高血糖を生じる。2型糖尿病を有する患者はまた、循環コルチゾールレベルおよび/または産生速度の上昇を有する可能性がある(以下を参照されたい:Lee et al.,「Plasma insulin, growth hormone, cortisol, and central obesity among young Chinese type 2 diabetic patients」Diabetes Care 1999; 22(9): 1450-7; Homma et al,「Assessing systemic 11β-hydroxysteroid dehydrogenase with serum cortisone/cortisol ratios in healthy subjects and patients with diabetes mellitus and chronic renal failure」Metabolism 2001; 50(7): 801-4;およびRichardson and Tayek,「Type 2 diabetic patients may have a mild form of an injury response: a clinical research center study」Am J Physiol Endocrinol Metab 2002; 282(6): E1286-90; Chiodini et al.「Association of subclinical hypercortisolism with type 2 diabetes mellitus: a case-control study in hospitalized patients」Eur J Endocrinol 2005; 153(6): 837-844; Liu et al.「Elevated late-night salivary Cortisol levels in elderly male type 2 diabetic veterans」Clin Endocrinol (Oxf) 2005; 63(6): 642-9;およびCatargi et al.「Occult Cushing's syndrome in type-2 diabetes」J Clin Endocrinol Metab 2003; 88(12): 5808-13、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる)。過剰なコルチゾールは、インスリン抵抗性および2型糖尿病の2つの主要な特徴:末梢グルコース取り込みの減少および肝グルコース出力の増加を誘導することが現在知られている(参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,849,740号を参照されたい)。以下もまた参照されたい:Rizza et al.,「Cortisol-induced insulin resistance in man: impaired suppression of glucose production and stimulation of glucose utilization due to a postreceptor defect of insulin action」J Clin Endocrinol Metab 1982; 54(1): 131-8; Holmang and Bjorntorp,「The effects of Cortisol on insulin sensitivity in muscle」Acta Physiol Scand 1992; 144(4): 425-31; Lecavalier et al.,「Glucagon-cortisol interactions on glucose turnover and lactate gluconeogenesis in normal humans」Am J Physiol 1990; 258(4 Pt 1): E569-75; およびKhani and-Tayek,「Cortisol increases gluconeogenesis in humans: its role in the metabolic syndrome」Clin Sci (Lond) 2001; 101(6): 739-47; これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる。 糖尿病において起こる永続性または制御されない高血糖は、罹患率および早まった死亡と関連する。異常なグルコース恒常性もまた、肥満、高血圧、ならびに脂質の変化、リポタンパク質、およびアポリポタンパク質の代謝と、直接的および間接的に関連する。2型糖尿病を有する患者は、心臓血管性合併症、例えば、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈性心臓疾患、脳卒中、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経障害、および網膜症のリスクが増加している。それゆえに、グルコース恒常性、脂質代謝、肥満、および高血圧の治療的制御は、糖尿病の臨床的管理および治療において決定的に重要である。本発明は、2R,4Sエナンチオマーを実質的にまたは完全に含まない、ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーの有効量の投与によるこのような治療的制御のための方法を提供する。 インスリン抵抗性を有するが、2型糖尿病を(まだ)発症していない多くの患者もまた、以前には「インスリン抵抗性症候群、代謝異常症候群、またはX症候群」と呼ばれており、現在では「メタボリック症候群」としてより広範に知られている徴候および症状の一群を発症するリスクがある。メタボリック症候群は、腹部肥満、高インスリン血症、高血圧、低HDLレベル、高いVLDLトリグリセリドおよび低密度LDL粒子、ならびにグルコースレベルの上昇とともに、インスリン抵抗性によって特徴付けられる。これらの患者は、彼らが顕在的な糖尿病を発症するか否かに関わらず、上記に列挙した心臓血管性合併症を発症するリスクが増加している。メタボリック症候群を有する患者は、コルチゾールのレベル、産生、または異化において異常があることが報告されてきた(Berceanu-Gabrielescu et al.,「Hypercorticism-a risk factor in arterial hypertension and atherosclerosis」Endocrinologie 1981; 19(2): 123-7; Phillips et al.,「Elevated plasma cortisol concentrations: a link between low birth weight and the insulin resistance syndrome?」J Clin Endocrinol Metab 1998; 83(3): 757-60;およびWard et al.,「Cortisol and the metabolic syndrome in South Asians」Clin Endocrinol (Oxf) 2003; 58(4): 500-5;これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる)。 2型糖尿病の治療は、典型的には、単独で、または薬理学的治療と組み合わせてのいずれかで、食事療法および身体運動の増加を含む。より多くのインスリンを分泌するように膵臓ベータ細胞を刺激する、スルホニル尿素(例えば、トルブタミドおよびグリピジド(glipizide))またはメグリチニド(meglitinide)の投与による、および/またはスルホニル尿素もしくはメグリチニドがより有効でなくなったときに、インスリンの注射による血漿レベルのインスリンの増加は、インスリン抵抗性組織を刺激するために十分なインスリン濃度を生じることができる。しかし、危険なまでに低いレベルの血漿グルコースが生じる可能性があり、インスリン抵抗性のレベルの増加が最終的には起こる可能性がある。 ビグアニドは、肝臓によるグルコースの過剰な産生を減少し、かつインスリン感受性を増加し、高血糖のある程度の矯正を生じる。しかし、多くのビグアニド、例えば、フェンホルミンおよびメトホルミンは、乳酸アシドーシス、悪心、および下痢を引き起こす可能性がある。 チアゾリジンジオンまたはグリタゾン(glitazone)(すなわち、5-ベンジルチアゾリジン-2,4-ジオン)は、高血糖および2型糖尿病の他の徴候を改善するための潜在能力を有すると特徴付けられている、より新規なクラスの化合物である。これらの薬剤は、筋肉、肝臓、および脂肪組織におけるインスリン感受性を増加させ、高血糖を実質的に引き起こすことなく、血漿レベルのグルコースの上昇の部分的または完全な矯正を生じる。現在市販されているグリタゾンは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)γサブタイプのアゴニストである。PPARγは、一般的に、グリタゾンを用いて観察される、改善されたインスリン感受性の原因であると考えられている。2型糖尿病および/または異常脂質血症の治療のために開発されているより新規なPPARアゴニストは、1種または複数のPPARα、γ、およびδサブタイプのアゴニストである。すべての公知のグリタゾンの1つの欠点は、脂肪組織の重量の増加を介して媒介される、それらの重量増加効果である。別の欠点は、グリタゾンが、体液の保持を介して媒介される、心不全のリスクの増加と関連してきたことである。 糖尿病および関連する状態、例えば、個々にまたは集合的にメタボリック症候群に寄与する種々の状態を治療する新規な方法についての必要性が残っている。本発明はこの必要性に合致する。本発明は、このような治療の必要がある哺乳動物患者において、糖尿病、ならびに高血糖およびインスリン抵抗性の関連する状態を治療する方法を提供し、この方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まないケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーを含む薬学的組成物の有効量を該患者に投与する工程を含む。1つの態様において、この方法は、2型糖尿病を治療するために使用される。2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーなどの11β-ヒドロキシラーゼ阻害剤の有効量の投与は、糖尿病、特に2型糖尿病の徴候を治療、制御、および改善する際に有効であり、そして2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーなどの11β-ヒドロキシラーゼ阻害剤の有効量の規則的な毎日の基準の投与は、2型糖尿病の発症を遅延または予防することができる。 インスリン抵抗性を減少すること、および血清グルコースを正常濃度に維持することによって、本発明の薬学的組成物はまた、肥満(典型的には腹部肥満)、メタボリック症候群(「X症候群」)を含み、症候群、糖尿病性網膜症、神経障害、および早発性心臓血管疾患に寄与する徴候および症状の各々を含む、2型糖尿病およびインスリン抵抗性に付随する状態の治療および予防における有用性を有する。 過度のレベルのコルチゾールは肥満と関連付けられており、これは、一般的な肥満および内臓肥満(腹部肥満としてもまた知られる)を特に刺激するコルチゾールの能力と関連する可能性がある。内臓/腹部肥満は、耐糖能異常、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、およびメタボリック症候群の他の要因(状態および徴候)、例えば、高血圧、VLDLの上昇、およびHDLの減少、ならびに糖尿病と密接に関連する。従って、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーなどの11β-ヒドロキシラーゼ阻害剤の有効量の投与は、肥満(例えば、腹部肥満)およびメタボリック症候群の治療および制御において有用である。本発明の方法に従う、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーなどの11β-ヒドロキシラーゼ阻害剤を用いる長期的治療もまた、とりわけ、患者が、食餌の制御および運動と組み合わせて、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーなどの11β-ヒドロキシラーゼ阻害剤を使用する場合に、肥満の発症を遅延または予防する際に有用である。 従って、別の態様において、本発明は、そのような治療の必要がある哺乳動物患者において肥満(例えば、腹部肥満)を治療する方法を提供し、この方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。同様に、別の態様において、本発明は、そのような治療の必要がある哺乳動物患者においてメタボリック症候群を治療する方法を提供し、この方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物の治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。アテローム性動脈硬化症、脂質障害、高血圧 14αラノステロールデメチラーゼの阻害、およびコレステロールの減少、および11β-ヒドロキシラーゼ活性の阻害、およびコルチゾールの量の減少は、高血圧および異常脂質血症を治療または制御する際に有益である。高血圧および異常脂質血症はアテローム性動脈硬化症の発生に寄与するので、14α-ラノステロールデメチラーゼ阻害剤、および11β-ヒドロキシラーゼ阻害剤、例えば、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの治療的有効量の投与は、高血圧、異常脂質血症、およびアテローム性動脈硬化症を治療し、制御し、その発症を遅延し、または予防する際に有益であり得る。1つの態様において、本発明は、そのような治療の必要がある哺乳動物患者においてアテローム性動脈硬化症を治療する方法を提供し、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物の治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。 別の態様において、本発明は、そのような治療の必要がある哺乳動物患者において、異常脂質血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL、および高LDLからなる群より選択される脂質障害を治療する方法を提供し、このような方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物の治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。脳卒中 14αラノステロールデメチラーゼの阻害、およびコレステロールの減少、および11β-ヒドロキシラーゼ活性の阻害、およびコルチゾールの量の減少は、虚血性脳卒中を治療する際に有益である。コルチゾール、高血圧、および異常脂質血症は虚血性脳卒中の重篤度および死亡率に寄与するので、14α-ラノステロールデメチラーゼ阻害剤、および11β-ヒドロキシラーゼ阻害剤、例えば、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの治療的有効量の投与は、虚血性脳卒中を治療し、またはその重篤度を減少する際に有益であり得る。1つの態様において、本発明は、そのような治療の必要がある哺乳動物患者において虚血性脳卒中の事象を治療する方法を提供し、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物の治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。アルツハイマー病 14αラノステロールデメチラーゼの阻害、およびコレステロールの減少、および11β-ヒドロキシラーゼ活性の阻害、およびコルチゾールの量の減少は、アルツハイマー病を治療する際に有益である。コルチゾールの上昇は、アルツハイマー病の発症と関連付けられており、スタチンの使用を通してのコレステロールの減少はアルツハイマー病の重篤度を減少する可能性があるので、14α-ラノステロールデメチラーゼ阻害剤、および11β-ヒドロキシラーゼ阻害剤、例えば、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの治療的有効量の投与は、アルツハイマー病を治療し、またはその重篤度を減少する際に有益であり得る。1つの態様において、本発明は、そのような治療の必要がある哺乳動物患者においてアルツハイマー病を治療する方法を提供し、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物の治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。認知障害、痴呆、およびうつ病 脳における過度のレベルのコルチゾールもまた、神経毒の増強作用を通して、神経細胞の欠損または機能不全を生じることができる。認知障害は、加齢および脳におけるコルチゾールの過度のレベルと関連付けられてきた(参照により本明細書に組み入れられる、Seckl Walker,「Minireview: 11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 1- a tissue-specific amplifier of glucocorticoid action」Endocrinology 2001; 142(4): 1371-6を参照されたい)。2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーなどの11β-ヒドロキシラーゼ阻害剤の治療的有効量の投与は、加齢と関連する認知障害、および神経細胞の機能不全の減少、改善、制御、または予防を生じる。1つの態様において、本発明は、そのような治療の必要がある哺乳動物患者において認知障害、神経細胞の機能不全、および/または痴呆を治療する方法を提供し、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物の治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。 高コルチゾールレベルが原因として重要であると報告されている別の状態はうつ病である。Muck-Seler et al.(Muck-Seler et al.,「Platelet serotonin and plasma prolactin and Cortisol in healthy, depressed and schizophrenic women」Psychiatry Res 2004; 127(3): 217-26、参照により本明細書に組み入れられる)は、血漿コルチゾールレベルが、健常対照における値と比較して、統合失調症患者とうつ病患者の両方において有意に増加されたことを報告した。1つの態様において、本発明は、このような治療の必要がある哺乳動物患者においてうつ病を治療する方法を提供し、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物の治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。クッシング症候群 クッシング症候群は、患者が彼らの血流中に高いコルチゾールレベルを有する代謝性疾患または状態である。これらの高いレベルは、両方ともコルチゾール分泌促進物質ACTHを過度に産生する下垂体腫瘍もしくは二次腫瘍に起因して、または直接的にコルチゾールを過剰産生する副腎の腫瘍もしくは障害それ自体に起因して、副腎の機能不全を生じる可能性がある。クッシング症候群を有する患者は、しばしば、2型糖尿病を発症する。クッシング症候群の治療は、原因の腫瘍の除去および/またはコルチゾール合成阻害剤、例えば、メチラポン、ケトコナゾール、またはアミノグルテチミドを用いる治療を含むことができる(参照により本明細書に組み入れられる、Murphy,「Steroids and depression」J Steroid Biochem MoI Biol 1991; 38(5): 537-59を参照されたい)。1つの態様において、本発明は、このような治療の必要がある患者においてクッシング症候群を治療する方法を提供し、この方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物の治療的有効量を、単独でまたはメチラポンもしくはアミノグルテチミドなどの別のコルチゾール合成阻害剤と組み合わせて、該患者に投与する工程を含む。インスリン分泌の減少 糖質コルチコイドは、インビボでインスリン分泌を減少することが示されてきた(参照により本明細書に組み入れられる、Billaudel and Sutter,「Direct effect of corticosterone upon insulin secretion studied by three different techniques」Horm Metab Res 1979; 11(10): 555-60を参照されたい)。それゆえに、本発明の方法において使用される薬学的組成物によって提供されるようなコルチゾール合成の阻害は、インスリン分泌の減少の治療において有益であり得る。加えて、11ベータ-HSD-I活性の減少が、単離されたマウス膵臓ベータ細胞中で、グルコースによって刺激されたインスリン分泌を改善することが観察された(参照により本明細書に組み入れられる、Davani et al., "Type 1 1lbeta-hydroxysteroid dehydrogenase mediates glucocorticoid activation and insulin release in pancreatic islets." J Biol Chem 2000; 275(45): 34841-4を参照されたい)。1つの態様において、本発明は、このような治療の必要がある哺乳動物患者においてインスリン分泌の減少を治療する方法を提供し、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物の治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。緑内障および眼圧 糖質コルチコイド標的受容体および11□-HSD-I酵素のレベルと、緑内障の罹病性との間に関連が存在する(参照により本明細書に組み入れられる、Stokes et al.,「Altered peripheral sensitivity to glucocorticoids in primary open-angle glaucoma」Invest Ophthalmol Vis Sd 2003; 44(12): 5163-7を参照されたい)。高いコルチゾールレベルは、緑内障において原因として重要であると報告されている。メジアン総血漿コルチゾールレベル、血漿遊離コルチゾールレベル、および遊離コルチゾールレベルパーセントは、高眼圧症および緑内障を有する患者においてより高い。最も有意な違いは、正常被験体と緑内障被験体の間の遊離コルチゾールレベルパーセントに存在する(参照により本明細書に組み入れられる、Schwartz et al.,「Increased plasma free Cortisol in ocular hypertension and open angle glaucoma」Arch Ophthalmol 1987; 105(8): 1060-5を参照されたい)。 本発明の方法に従って、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物の投与による11β-ヒドロキシラーゼ活性の阻害は、眼圧を減少する際に、および緑内障の治療の際に有用である。1つの態様において、本発明は、このような治療の必要がある哺乳動物患者において緑内障を治療し、眼圧を減少させる方法を提供し、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物の治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。免疫調節 特定の疾患状態、例えば、結核、乾癬、および過度のストレスの条件下でさえ、高い糖質コルチコイド活性は、免疫応答を体液性応答にシフトし、このとき、実際には、細胞ベースの応答が患者にとってはより有益であり得る。11β-HSD-I活性の阻害および付随する糖質コルチコイドレベルの減少は、免疫応答を細胞ベースの応答にシフトする(各々が参照により本明細書に組み入れられる、Mason,「Genetic variation in the stress response: susceptibility to experimental allergic encephalomyelitis and implications for human inflammatory disease」Immunol Today 1991; 12(2): 57-60;およびRook,「Glucocorticoids and immune function」Baillieres Best Pract Res Clin Endocrinol Metab 1999; 13(4): 567-81を参照されたい)。1つの態様において、本発明は、このような治療の必要がある哺乳動物患者において免疫応答を細胞ベースの応答に調節する方法を提供し、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物の治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。腎機能の損傷 腎臓内の血圧の増加は腎損傷を導き得る。コルチゾールは、アルドステロン受容体への接近のために真の鉱質コルチコイドと競合し得、かつ血圧を増加させ得る。ケトコナゾールは、腎不全を有する患者において試験されており、糸球体ろ過速度を増加することが示されてきた。ケトコナゾールはまた、腎不全を伴わない2型糖尿病を有する患者の腎臓からのアルブミンの漏出を減少することが示されてきた。従って、1つの態様において、本発明は、このような治療の必要がある哺乳動物患者において、腎機能の損傷を治療し、またはアルブミンの漏出を減少する方法を提供し、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物の治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの治療的使用 前述の観点から、当業者は、(1)高血糖、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異常脂質血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症およびその続発症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)メタボリック症候群、ならびに(21)インスリン抵抗性が1つの要素である他の状態および障害からなる群より選択される状態を、このような治療の必要がある哺乳動物患者において治療する方法を提供し、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物の治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。 別の局面において、本発明は、(1)高血糖、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異常脂質血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症およびその続発症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)メタボリック症候群、ならびに(21)インスリン抵抗性が1つの要素である他の状態および障害からなる群より選択される状態の発症を、このような治療の必要がある哺乳動物患者において遅延させる方法を提供し、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物の治療的有効量を患者に投与する工程を含む。 別の局面において、本発明は、(1)高血糖、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異常脂質血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症およびその続発症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)メタボリック症候群、ならびに(21)インスリン抵抗性が1つの要素である他の状態および障害からなる群より選択される状態の発症リスクを、このような治療の必要がある哺乳動物患者において減少する方法を提供し、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物の治療的有効量を患者に投与する工程を含む。他の状態 本発明は、薬学的に許容される担体、および2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない治療的有効量の2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物を被験体に投与することによって、真菌感染について診断されていないか、またはそのための治療下にはない被験体において血漿コルチゾールレベルを減少するための方法を提供する。例えば、本発明の方法はまた、コルチゾールレベルが上昇していないが(例えば、正常レベルまたは標準レベルより下)、しかし治療的恩典がコルチゾールレベルを減少することによって得ることができる疾患および状態の治療のために使用されてもよい。さらなる任意選択の対象の特徴 本発明の特定の局面において、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物を用いて治療される患者は、真菌感染について診断されていないか、またはそのための治療下にはない。本発明の特定の局面において、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む薬学的組成物を用いて治療される患者は、高コレステロール血症について診断されていないか、またはそのための治療下にはない。本発明の特定の局面において、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物を用いて治療される患者は、以下から独立して選択される1つまたは複数の疾患、障害、または状態について診断されていないか、またはそのための治療下にはない:(1)高血糖、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異常脂質血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症およびその続発症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)メタボリック症候群、(21)前立腺癌、(22)良性の前立腺肥大、ならびに(23)インスリン抵抗性が1つの要素である他の状態および障害。1-アセチル-4-[4-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-[(1H-イミダゾール-1-イル)-メチル]-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ]フェニル]ピペラジンへの定常的な曝露を供給することによって被験体におけるコルチゾールレベルを減少すること 1つの局面において、本発明は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rエナンチオマーの用量を患者に投与することによって、1-アセチル-4-[4-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-[(1H-イミダゾール-1-イル)-メチル]-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ]フェニル]ピペラジンへの定常的な曝露を供給することによって、被験体におけるコルチゾールレベルを減少する方法を提供する。この状況において、1-アセチル-4-[4-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-[(1H-イミダゾール-1-イル)-メチル]-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ]フェニル]ピペラジンへの定常的な曝露を供給するとは、薬物が、薬物が投与される被験体に蓄積しないことを意味する。 1つの態様において、2S,4Rは、少なくとも14日間(例えば、14日間)、好ましくは少なくとも28日間(例えば、28日間)の期間にわたって投与される。1つの態様において、2S,4Rエナンチオマーの用量は毎日投与される(単回または複数回の1日の投与として)。1つの態様において、2S,4Rエナンチオマーの用量は1日おきに投与される。1つの態様において、2S,4Rエナンチオマーの用量は、治療の過程の一部として他のスケジュールに従って投与され、ここで、治療の過程は少なくとも28日間続き、ラセミケトコナゾールの等量の重量(または代替的には、重量の2倍)の投与が、被験体における薬物の蓄積を生じる。 薬物の蓄積、または蓄積の非存在は、最初の日に薬物の血漿レベルを決定することによって、および1日または複数の続く日に薬物の血漿レベルを測定する際に測定することができる。例えば、血漿レベルが1日目で示される最初の日に測定される場合、引き続く測定は、7日目および/もしくは14日目および/もしくは28日目、または1、2、もしくは4週間の間毎日行うことができる。1つの態様において、血漿レベルを決定することは、12時間または24時間のAUCを測定することを含む。1つの態様において、1日目における血漿コルチゾールレベルと、7日目、14日目、および28日目から選択される少なくとも1日の引き続く日における血漿コルチゾールレベルは、約50%未満、好ましくは約25%未満、および時折15%未満異なる。本開示によって導かれて、特定の被験体への1-アセチル-4-[4-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-[(1H-イミダゾール-1-イル)-メチル]-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ]フェニル]ピペラジンの定常的な曝露はまた、薬物動態学的研究において、統計学的に有意な数の同様の被験体において定常的な曝露を生じることが示された用量の投与から推定することができる。 好ましい態様において、定常的な曝露は、2S,4Rエナンチオマーの定常的な全体の定期用量、例えば、定常的な全体の毎日の用量を投与することによって(1日あたり1回または複数回の投与で)提供される。1つの態様において、被験体は、ラセミケトコナゾールまたはエナンチオマー ケトコナゾールを用いて事前に治療されていない。1つの態様において、被験体は、1日目の前に、少なくとも14日間、少なくとも28日間、または少なくとも6ヶ月間の間、薬物を投与されていない。1つの態様において、被験体はヒト被験体である。別の態様において、被験体はイヌまたはSprague-Dawleyラットである。1つの態様において、被験体は、コルチゾールレベルの上昇によって特徴付けられる状態を有すると診断されている。組み合わせ治療 従って、種々の疾患、障害、および状態を、本発明の薬学的組成物および方法を用いて、治療、制御、予防、または遅延させることができ、この疾患、障害、および状態には以下が含まれるがこれらに限定されない:(1)高血糖、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異常脂質血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症およびその続発症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)メタボリック症候群、ならびに(21)インスリン抵抗性が1つの要素である他の障害。1つの態様において、本発明の方法は、これらの状態の1つまたは複数のための別の治療を同時に受容している患者に対して実施される。 本明細書に提供される図面および実施例から明らかであるように、ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーは、2S,4Rエナンチオマーの薬物動態学を変化させず、拡大解釈すると、ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーは、2S,4Rエナンチオマーによって利用されるのと同じ経路によって代謝および排出される他の薬物の薬物動態学を変化させない。従って、本明細書は、ラセミケトコナゾールの投与に付随する、同時投与される薬物およびラセミケトコナゾールの異常な薬物動態学のリスクを伴うことがない、一般的にラセミケトコナゾールと同時投与されている薬物を同時投与する方法を提供する。 本発明の薬学的組成物は、本発明の方法に従う治療的介入に感受性であると本明細書に記載される疾患、障害、および状態の治療、予防、抑制、または改善において、1種または複数の他の薬物と同時投与するか、またはさもなくば組み合わせて使用することができる。典型的には、本発明の方法によって提供される薬物の組み合わせは、薬物単独、またはラセミケトコナゾールと組み合わせた非2S,4Rケトコナゾールエナンチオマー薬物のいずれかよりも、より安全またはより効果的であり、あるいは、この組み合わせは、個々の薬物の付加的な特性に基づいて予測されるものよりもより安全またはより効果的である。このような他の薬物は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rエナンチオマーの薬学的組成物を用いて、同時発生的または連続的に一般的に使用される経路および量で投与されてもよい。2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物が1種または複数の他の薬物とともに同時発生的に使用されるとき、2種の活性薬物を同時製剤化することが可能ならば、このような他の薬物および2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーを含む組み合わせ生成物を利用することができる。本発明の方法に従う組み合わせ治療はまた、本発明の方法において有用である薬学的組成物が異なる重複スケジュールで投与される治療を含む。他の活性成分と組み合わせて使用される場合、本発明の方法において有用である薬学的組成物、または他の活性成分、または両方が、各々が単独で使用されるときよりも低い用量で有効に使用されてもよいことが意図される。従って、本発明の方法において有用である薬学的組成物は、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーに加えて、1種または複数の活性成分を含む組成物を含む。 別々に、またはある例において、同じ薬学的組成物中でのいずれかで、本発明の薬学的組成物と組み合わせて投与されてもよい他の薬物の例には、以下が含まれるがこれらに限定されない:(a)ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)阻害剤;(b)(i)グリタゾン(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンなど)のようなPPARアゴニスト、およびKRP-297などのPPARα/γ二重アゴニスト、およびゲムフィブロジル、クロフィブレート、およびベザフィブラートなどのPPARαアゴニストを含む他のPPARリガンド、ならびに(ii)メトホルミンおよびフェノホルミンなどのビグアニドを含むインスリン増感剤;(c)インスリンおよびインスリンアナログおよび模倣物;(d)トルブタミド、グリピジド、グリブリド、メグリチニド、および関連物質などのスルホニル尿素および他のインスリン分泌促進物質;(e)α-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース);(f)その各々が参照により本明細書に組み入れられる、PCT特許出願公開第WO 98/04528号、同第WO 99/01423号、同第WO 00/39088号、および同第WO 00/69810号に開示されるものなどのグルカゴン受容体アンタゴニスト;(g)その各々が参照により本明細書に組み入れられる、PCT特許出願公開第WO 00/42026号および同第WO 00/59887号に開示されるものなどのGLP-1、GLP-1アナログおよび模倣物、ならびにGLP-1受容体アゴニスト;(h)参照により本明細書に組み入れられる、PCT特許出願公開第WO 00/58360号に開示されるものを含むがこれに限定されないGIP、GIPアナログおよび模倣物、ならびにGIP受容体アゴニスト;(i)参照により本明細書に組み入れられる、PCT特許出願公開第WO 01/23420号に開示されるものなどのPACAP、PACAPアナログおよび模倣物、ならびにPACAP受容体3アゴニスト;(j)(i)HMG-CoA還元酵素阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン(rivastatin)、イタバスタチン(itavastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)、および他のスタチン)、(ii)金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール、および架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸およびその塩、(iv)例えば、エゼチミブ(ezetimibe)およびβ-シトステロールなどのコレステロール吸収の阻害剤、(v)例えば、アバシミベ(avasimibe)などのアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、および(vi)プロブコールなどの抗酸化剤;(k)参照により本明細書に組み入れられる、PCT特許出願公開第WO 97/28149号に開示されるものなどのPPARδアゴニスト;(l)フェンフルラミン、デクスフェンフルアミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、ニューロペプチドY5阻害剤、CB1受容体逆アゴニストおよびアンタゴニスト、およびβ3アドレナリン作動性受容体アゴニストなどの抗肥満化合物;(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;(n)糖質コルチコイドを除外した、炎症状態においての使用のために意図される薬剤、例えば、アスピリン、非ステロイド系抗炎症剤、アズルフィジン、およびシクロオキシゲナーゼ2選択的阻害剤;ならびに(o)タンパク質チロシンホスファターゼ-1B(PTP-1B)阻害剤。 従って、1つの態様において、本発明は、以下を含む薬学的組成物を提供する:(1)2R,4Sケトコナゾールエナンチオマーを実質的に含まない治療的有効量の2S,4Rケトコナゾールエナンチオマー;(2)以下からなる群より選択される治療的有効量の化合物:(a)DPP-IV阻害剤;(b)(i)PPARアゴニストおよび(ii)ビグアニドからなる群より選択されるインスリン増感剤;(c)インスリンおよびインスリンのアナログおよび模倣物;(d)スルホニル尿素および他のインスリン分泌促進物質;(e)α-グルコシダーゼ阻害剤;(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト;(g)GLP-1、GLP-1アナログおよび模倣物、ならびにGLP-1受容体アゴニスト;(h)GIP、GIPアナログおよび模倣物、ならびにGIP受容体アゴニスト;(i)PACAP、PACAPアナログおよび模倣物、ならびにPACAP受容体3アゴニスト;(j)(i)HMG-CoA還元酵素阻害剤、(ii)金属イオン封鎖剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸およびその塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)PPARα/γ二重アゴニスト、(vi)コレステロール吸収の阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、ならびに(viii)抗酸化剤からなる群より選択されるコレステロール低下剤;(k)PPARδアゴニスト;(l)抗肥満化合物;(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;(n)糖質コルチコイド以外の抗炎症剤;ならびに(o)タンパク質チロシンホスファターゼ-1B(PTP-1B)阻害剤、ならびに(3)薬学的に許容される担体。 上記の薬学的組成物および組み合わせ治療には、2R,4Sエナンチオマーを実質的にまたは完全に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマー、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは水和物が、1種または複数の活性化合物と同時製剤化されるか、または同時投与されるものが含まれる。非限定的な例には、ビグアニド、スルホニル尿素、HMG-CoA還元酵素阻害剤、PPARアゴニスト、PTP-1B阻害剤、DPP-IV阻害剤、および抗肥満化合物から選択される2種以上の活性化合物との2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの組み合わせが含まれる。 従って、1つの態様において、本発明は、(1)高血糖、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異常脂質血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症およびその続発症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)メタボリック症候群、ならびに(21)インスリン抵抗性が1つの要素である他の状態および障害からなる群より選択される疾患および状態を、そのような治療の必要がある患者において治療する方法を提供し、該方法は、2R,4Sケトコナゾールエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの治療的有効量、ならびに(a)DPP-IV阻害剤;(b)(i)PPARアゴニストおよび(ii)ビグアニドからなる群より選択されるインスリン増感剤;(c)インスリンおよびインスリンアナログおよび模倣物;(d)スルホニル尿素および他のインスリン分泌促進物質;(e)α-グルコシダーゼ阻害剤;(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト;(g)GLP-1、GLP-1アナログおよび模倣物、ならびにGLP-1受容体アゴニスト;(h)GIP、GIPアナログおよび模倣物、ならびにGIP受容体アゴニスト;(i)PACAP、PACAPアナログおよび模倣物、ならびにPACAP受容体3アゴニスト;(j)(i)HMG-CoA還元酵素阻害剤、(ii)金属イオン封鎖剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸およびその塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)PPARα/γ二重アゴニスト、(vi)コレステロール吸収の阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、ならびに(viii)抗酸化剤からなる群より選択されるコレステロール低下剤;(k)PPARδアゴニスト;(l)抗肥満化合物;(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;(n)糖質コルチコイドを除外した抗炎症剤;ならびに(o)タンパク質チロシンホスファターゼ-1B(PTP-1B)阻害剤からなる群より選択される化合物を含む化合物または薬学的組成物の治療的有効量を患者に投与する工程を含む。 別の態様において、本発明は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症、および異常脂質血症からなる群より選択される状態を、そのような治療の必要がある哺乳動物患者において治療する方法を提供し、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマー、およびHMG-CoA還元酵素阻害剤の薬学的組成物の治療的有効量を患者に投与する工程を含む。1つの態様において、HMG-CoA還元酵素阻害剤はスタチンである。1つの態様において、スタチンは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD-4522、ロスバスタチン、およびリバスタチンからなる群より選択される。 別の態様において、本発明は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症、および異常脂質血症からなる群より選択される状態、ならびにこのような状態の続発症を発症するリスクを減少する方法を提供し、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマー、およびHMG-CoA還元酵素阻害剤の薬学的組成物の治療的有効量を、このような治療の必要がある哺乳動物患者に投与する工程を含むことが開示される。別の態様において、このような治療の必要があるヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるか、またはそのリスクを減少させるための方法は、スタチンHMG-CoA還元酵素阻害剤および2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの薬学的組成物と組み合わせた、コレステロール吸収の阻害剤の投与をさらに含む。1つの態様において、コレステロール吸収の阻害剤は、コレステロール輸送エステルタンパク質阻害剤である。別の態様において、CTEP阻害剤はエゼチミブである。 別の態様において、本発明は、そのような治療の必要があるヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるか、またはそのリスクを減少させるための方法が提供され、該方法は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rケトコナゾールエナンチオマー、およびHMG-CoA還元酵素阻害剤の薬学的組成物の治療的有効量を該患者に投与する工程を含む。1つの態様において、HMG-CoA還元酵素阻害剤はスタチンである。1つの態様において、スタチンは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD-4522、ロスバスタチン、およびリバスタチンからなる群より選択される。1つの態様において、スタチンはシンバスタチンである。 その多数の態様が上記に説明されてきた本発明は、以下の実施例によってさらに認識および理解されてもよく、この実施例は、血漿中の活性な糖質コルチコイドの濃度を減少する際に、2S,4Rエナンチオマーが、ラセミケトコナゾールまたはラセミ化合物中の2R,4Sエナンチオマーよりもより有効であること、およびラセミケトコナゾールのように薬物代謝を損なわない(または有意に少ない程度で損なう)ことを実証する。実施例実施例1 ラセミケトコナゾールおよびケトコナゾールのエナンチオマーの投薬後のコルチコステロンおよびコレステロールの測定 Sprague Dawleyラットの血漿中でのコルチコステロンに対するケトコナゾールおよびケトコナゾールエナンチオマーの効果を決定した。図1に示される実験のために、4種のエナンチオマーおよびラセミケトコナゾールをオリーブ油に懸濁した。図1に示される結果を生じるために、5つの群(群あたり8匹)のラットを使用した。ラットは、14/10時間の明/暗サイクルで維持し、自由に食餌および水に接近できるようにした。各ラットに、胃管を経由して投薬した(200mg薬物/kg体重)。群1のラットに媒体(オリーブ油)を投薬したのに対して、他の4つの群のラットは示されるような4種のケトコナゾールのうちの1種を投薬した。すべてのラットは2.00から3.00pmの間に投薬し、4時間後に屠殺した(6.00から7.00pmの間)。血漿を調製し、コルチコステロンの濃度を酵素結合免疫アッセイ(ELISA)によって決定した。ラットにおいては、優勢である活性な糖質コルチコイドはコルチコステロンであり;ヒトにおいては、優勢である活性な糖質コルチコイドは密接に関連する分子であるコルチゾールである。図1に示される結果は、媒体対照と比較して、2種のトランスエナンチオマー(2S,4Sおよび2R,4R)は、200mg/kgでラットに与えられたときに、血液のコルチコステロンレベルにほとんど効果を有さない。対照的に、両方のシスエナンチオマーはコルチコステロンを減少し、2S,4Rが2R,4Sよりも有意により有効である。 図2において要約される実験については、9匹のラットの1つの媒体(オリーブ油)群、およびケトコナゾールまたはケトコナゾールの2種の(2S,4Rおよび2R,4S)シスエナンチオマーのうちの1種の特定の用量で処理した10匹ラット/群の15群が存在した。ラットは上記のように維持し、そして投薬した。血漿を調製し、血漿中のコルチコステロンの濃度をELISAによって決定した。図2に示す結果は、ケトコナゾールとエナンチオマーの両方のコルチコステロンレベルに対する用量依存性の効果が存在すること、および2S,4Rエナンチオマーは、ケトコナゾールラセミ化合物と他のシスエナンチオマー(2R,4S)の両方によりも有意に有効であることを実証する。 図3および図8において要約される実験については、媒体(オリーブ油)で処理した10匹ラット/群の6群、およびケトコナゾールまたはケトコナゾールの2種の(2S,4Rおよび2R,4S)シスエナンチオマーのうちの1種のいずれかで処理した10匹ラット/群の18群が存在した。ラットは上記のように維持し;薬物はオリーブ油中に懸濁し、各ラットは、200mg/kgの用量を達成するように、胃管を経由して1回投薬した。すべてのラットは、すべての終了が6から7pmの間になるように特定の時間に投薬した。例えば、24時間処理するラットは、屠殺の前日の6から7pmに投薬し、12時間処理するラットは、屠殺の日の6から7amに投薬した。屠殺後、血漿を調製し、血漿中のコルチコステロンの濃度をELISAによって決定した。同じ血漿試料において、総コレステロールレベルもまた決定した。図3に示す結果は、2S,4Rが、コルチコステロンを低下させる際に、2R,4Sエナンチオマーよりも有意に有効であること、およびこの増加した効力は少なくとも24時間持続することを実証する。ラセミ化合物の効力は、2つのエナンチオマーの間の中間である。同様に、以下の表に示す結果は、2S,4Rが、コレステロールを低下させる際に、2R,4Sエナンチオマーよりも有意に有効であることを実証する。これらの結果は、ラセミ化合物の効力が2つのエナンチオマーの間の中間であることを示す。 (表)示された薬物(または媒体)200mgを経口投与した後の示された時点でのラットにおけるコレステロールレベルに対するラセミケトコナゾールならびに2S,4Rおよび2R,4Sエナンチオマーの効果実施例2 ラセミケトコナゾールおよびケトコナゾールのシスエナンチオマーの投薬後に薬物曝露の測定 本実施例において、イヌはケトコナゾール、または2S,4Rエナンチオマーのみで処理し、対応する薬物の血漿レベルを決定した。ラセミケトコナゾールの薬物動態学 群あたり3匹の雄および3匹の雌のイヌの2つの群を研究した。各イヌにラセミケトコナゾールを投薬し、イヌの血漿中のラセミケトコナゾールの濃度を、投薬の最初の日に決定し、毎日の投薬の4週間後に再度決定した。1つの群においてラセミケトコナゾールはゼラチンカプセル中の乾燥白色粉末として提供され、他方の群においてはラセミケトコナゾールはオリーブ油中の懸濁液として提供されたという点で、2つの群は異なっていた。 イヌは、Covance Research Products, Inc., Cumberland, VA USAから入手した、目的を持って育種したビーグル犬であった。イヌは、投薬の開始時において、4.5〜5ヶ月齢であった。イヌは、つるされたステンレス鋼ケージの中に収容した。空調は、最小限10回の空気の交換/時間を供給した。温度および相対湿度は、それぞれ、18〜29℃および30%〜70%であった。いくつかの例外があるが、手動制御装置を研究関連の活動のために使用するとき、蛍光灯は12時間明(0700-1900)および12時間暗のサイクルを与えるように自動制御した。認定されているイヌ用食餌(#8727C, Harlan Teklad)は自由に利用可能であった。水は自動給水システムを介して自由に供給された。実験室への到着後、イヌは、19日間順化させ、次いで、必要に応じて、体重バランスを達成するために設計されたコンピュータ制御されたブロッキング手順を使用して処理群にランダム化した。割り当て後、平均体重を計算し、群間で受け入れがたい差異が存在しないことを保証するために検査した。動物は、電子的移植物によって個別に同定した。 第1の群において、イヌは、ゼラチンカプセル(サイズ13、Torpac, New Jersey, USA)の経口送達によって毎日投薬した。カプセルは、40mg薬物/kg体重/日の用量を提供するために十分なラセミケトコナゾールを含んだ。カプセルは、個々の体重に基づいて、各動物について毎週調製した。カプセルおよびバルク薬物は、密封容器中で室温にて保存した。第2の群については、ゼラチンカプセルが、40mg薬物/kg体重/日の用量を提供するために、オリーブ油に懸濁した十分なラセミケトコナゾールを含んだ。動物は、投薬の約1〜2時間後、実験全体を通して毎日観察した。血液試料(ヘパリンリチウム中に1ml)を、各動物からの頸静脈から、投薬の1日目に、そして4週目(28日の毎日の投薬後)に再度、投薬の0(投薬前)、1、2、4、8、12、および24時間後に採取した。4週目において、投薬前試料は、前の日の投薬の24時間後として時間設定した。血漿試料を、分析まで-70℃で凍結保存した。血漿試料を、標準としてラセミケトコナゾールを使用して、以下に記載するようにラセミケトコナゾールについて分析した。 図4に示すように、1回のみ投薬したイヌの血漿(および投薬後の最初の24時間にわたってアッセイした血漿)中のラセミケトコナゾールの薬物動態学的プロフィール(時間の関数としての濃度)は、28日間毎日投薬したイヌの血漿(および28回の投薬の最後の後で24時間にわたってアッセイした血漿)中でのラセミケトコナゾールの薬物動態学的プロフィールと比較して有意に減少した。この効果は、両方の群(乾燥粉末として投与されたラセミケトコナゾールおよびオリーブ油中の懸濁液として投与されたラセミケトコナゾール)において得られた。曲線下面積(AUC)は、直線台形公式を使用して計算した。単回投薬後に決定されたAUCは、28日の毎日の投薬後に決定されたAUCと比較して、有意に減少した(図5を参照されたい)。再度、この効果は、両方の群において見られた(乾燥粉末として投与されたラセミケトコナゾールおよびオリーブ油中の懸濁液として投与されたラセミケトコナゾール)。2S,4Rエナンチオマーの薬物動態学 3匹の雌および3匹の雄のイヌの別の群に、ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーを投薬し、イヌの血漿中のエナンチオマーの濃度を、投薬の最初の日に、そして再度毎日の投薬の4週間後に決定した。 イヌは、Harlan, Bicester, Kent, Englandから入手した、目的を持って育種したビーグル犬であった。イヌは、実験室への到着時において、4.5〜5ヶ月齢であり、6.7から8.85kg体重であった。これらのイヌは、投薬の開始時には約6〜6.5ヶ月齢であった。これらのイヌは、単独の個室に収容し、最小限10回の空気の交換/時間を供給するように空調を調整した。温度および相対湿度は、それぞれ、16〜24℃および30%〜80%であった。いくつかの例外があるが、手動制御装置を研究関連の活動のために使用するとき、蛍光灯は12時間明(0700-1900)および12時間暗のサイクルを与えるように自動制御した。動物は、日中は1匹ずつ2.25m2の檻の中に収容し、同じ実験群および性別の動物は、一晩少なくとも4.5m2の檻の中に収容した。 ケトコナゾールまたは2S,4Rエナンチオマーを投薬した後のそれぞれの朝に、各動物に、400gのHarlan Teklad Dog Maintenance Diet (Harlan, Teklad, Bicester, England)および1枚のWinalot Shapesビスケット(Friskies Pet Care, Suffolk, England)を与えた。水は自動給水システムを介して自由に供給された。寝床は、木のフレーク/削りくず(Datesand Ltd. Manchester, England)の使用により、各々の動物に対して毎日を基礎として提供した。実験室への到着後、イヌは、7週間順化させ、次いで、必要に応じて、同腹仔データおよび最も最近の体重データを使用して、階層化したランダム化手順に基づいて処理群にランダム化した。割り当て後、平均体重を計算し、群間で受け入れがたい差異が存在しないことを保証するために検査した。動物は、電子的移植物によって個別に同定した。 3匹の雄および3匹の雌のイヌに、ゼラチンカプセル(サイズ13、Torpac, New Jersey, USA)の経口送達によって毎日投薬した。カプセルは、20mg薬物/kg体重/日の用量を提供するために十分な2S,4Rエナンチオマーを含んだ。カプセルは、個々の体重に基づいて、各動物について毎週調製した。カプセルおよびバルク薬物は、密封容器中で室温にて保存した。動物は、投薬の約1〜2時間後、実験全体を通して毎日観察した。血液試料(ヘパリンリチウム中に1ml)を、各動物からの頸静脈から、投薬の1日目に、そして4週目(28日の毎日の投薬後)に再度、投薬の0(投薬前)、1、2、4、8、および24時間後に採取した。4週目において、投薬前試料は、前の日の投薬の24時間後として時間設定した。血漿試料を、分析まで-70℃で凍結保存した。血漿試料を、標準としてラセミケトコナゾールを使用して、以下に記載するように2S,4Rエナンチオマーについて分析した。 図6に示すように、1回のみ投薬したイヌの血漿(および投薬後の最初の24時間にわたってアッセイした血漿)中の2S,4Rエナンチオマーの薬物動態学的プロフィール(時間の関数としての濃度)は、28日間毎日投薬したイヌの血漿(および28回の投薬の最後の後で24時間にわたってアッセイした血漿)中での2S,4Rエナンチオマーの薬物動態学的プロフィールと区別できなかった。曲線下面積(AUC)は、直線台形公式を使用して計算した。単回投薬後に決定されたAUCは、28日の毎日の投薬後に決定されたAUCと区別できなかった(図7を参照されたい)。ケトコナゾールアッセイ手順 アッセイを、ラセミケトコナゾールを使用して確立および確証した。ラセミケトコナゾール、2S,4Rエナンチオマー、または媒体対照で処理したイヌからの血漿は標準的な方法によって調製し、アッセイするまで-70℃にて凍結した。ラセミケトコナゾール(または2S,4Rエナンチオマー)の濃度をアッセイするために、血漿試料は融解し、手短にボルテックスし、そして100マイクロリットルのアリコートを取った。内部標準(クロトリマゾール25マイクロリットル、100マイクログラム/mL、Sigma Aldrich)を試料に加えて、手短に混合した。試料を、OASIS HLB (Waters Ltd. 730-740 Centennial Court, Centennial Park, Elstree, Hertsfordshire WD6 3SZ England)を使用する固相抽出に供した。溶出液を、名目40℃で窒素流下で乾燥するまで蒸発させ、残渣を移動相に再溶解し、その後、紫外光検出を用いる液体クロマトグラフィーによる分析に供する。 較正標準および研究試料中のラセミケトコナゾールおよびケトコナゾール2S,4Rエナンチオマーの濃度は、低レベルにおける正確さを改善するために重み付けをした場合に、濃度の逆数(1/x)を用いる最小二乗回帰を使用して決定した。イヌ血漿中のケトコナゾールについての定量の下限(LLOQ)は0.25マイクログラム/ミリリットルであり、25マイクログラム/ミリリットルまで実証可能な直線性を有した。決定係数(r2)は0.99226以上であった。実施例3 ケトコナゾールの2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rエナンチオマーの2型糖尿病における処方および臨床試験A. 略語 本実施例では以下の略語を使用する。B. 概観 2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まないケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーの例示的な製剤(本明細書以後、DIO-902と呼ばれる)は、2型糖尿病と関連する高血糖の治療のためのヒト臨床実験において、治験薬としてのその試験を支持する前臨床的データとともに本実施例に記載される。ここに引用されるすべての参考文献は、参照により本明細書に組み入れられる。この薬物候補の第2の恩典は、総コレステロールおよびLDLコレステロールの減少、血圧の減少、および内臓肥満症の減少を含むことが予想される。ラセミケトコナゾール(2種のエナンチオマー2S,4Rおよび2R,4Sの混合物)は、種々の真菌感染の治療のために認可された薬物である(ニゾラール(NIZORAL(登録商標)))。ラセミケトコナゾールはまた、コルチゾール合成を阻害するので、この薬物は、クッシング症候群を有する患者のための非認可治療として使用される。これらの患者において、ラセミケトコナゾールは、グルコース、コレステロール、および血圧を減少する。コルチゾールは2型糖尿病の発症において寄与している原因因子であり得るので、ラセミケトコナゾールを用いる臨床試験は、これらの患者において実行されてきた。これらの臨床試験の結果は、血漿コルチゾールの低下を通して2型糖尿病を治療することを支持する。しかし、ラセミケトコナゾールは、肝毒性と関連付けられてきた。前臨床的結果は、DIO-902がラセミ混合物よりもより安全かつより効果的であり得ることを支持する。 DIO-902は、ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマー(2S,4Rシス-1-アセチル-4-[4-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-[(1H-イミダゾール-1-イル)-メチル]-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ]フェニル]ピペラジン)である。認可薬物であるケトコナゾールは、2S,4Rエナンチオマーと2R,4Sエナンチオマーの両方のラセミ混合物である。DIO-902はラセミ混合物から精製されており、2R,4Sエナンチオマーを大部分(99%より多く)含まない。DIO-902の主要な薬理学的効果は、コルチゾール合成の抑制を通してであり、第2の恩典はコレステロール合成の減少を通して発揮されることが予想される。DIO-902は、即時放出錠剤に製剤化されている。DIO-902の毒性は、イヌにおいて試験されてきた。28日間の20mg/kg/日までの経口用量において、唯一の注目される効果は、食物摂取の減少、および体重の減少、およびコレステロールの減少に向けた傾向である。測定された他の血清化学または血液学的パラメーターのいずれにおいても注目される変化は存在しなかった。より高い単回用量がラットにおいて使用された。200mg薬物/kg体重DIO-902は、基底レベルの10%までテストステロンを抑制する。この抑制は投薬の4時間以内に起こり、テストステロンレベルは、8時間以内に正常に戻る。DIO-902は経口的に利用可能であり、イヌにおいては2から8時間の間に最大血漿濃度に達する。200mg薬物/kg体重のDIO-902は、経口投与の4時間以内に、基底レベルの25%まで、齧歯類における活性な糖質コルチコイド(コルチコステロン)の血清レベルを減少する。この用量の薬物はまた、血漿コレステロールを抑制する。従って、DIO-902(2S,4R)は、他のエナンチオマー(2R,4R)よりも、ラットにおいてコルチコステロンを減少することに関して有意により強力であり、他のエナンチオマーよりも、ラットにおいてコレステロールを減少することに関して有意により強力である。 DIO-902は、ヒト患者に対して単一の化学的実体として以前には投与されてはいなかった。しかし、この分子は、認可されたラセミ混合物の一部として広範に投与されてきた。正常ボランティアがこのラセミ混合物を与えられるとき、両方のエナンチオマーが経口的に利用可能であり、200mg用量後、最大血漿濃度のDIO-902(約3.6μg/mL)に2時間で達する。このラセミ混合物についての認可された用途は真菌感染の治療のためであり、認可された用量は200mg BIDである。加えて、より高い用量のラセミ混合物(2000mg/日まで)が使用されてきた。このラセミ混合物はまた、クッシング症候群および前立腺癌を含む、認可されていない徴候のために使用されてきた。このラセミ混合物は肝毒性を引き起こす可能性があり、テストステロンおよび1,25ジヒドロキシビタミンDを減少する。 2型糖尿病についての診断的な判断基準は高血糖である。詳細には、米国糖尿病学会(the American Diabetes Association)は糖尿病の診断を認定しており、ここでは、患者が以下の3つの特徴の1つを示す:a)糖尿病の徴候(多尿、多飲、または説明のつかない体重減少)の存在下または非存在下で、2回の別々の場合に対して、不定期の(昼または夜の任意の時間)200mg/dL(11.1mmol/L)より高い血漿グルコース値、またはb)126mg/dl(7mmol/L)よりも高い絶食(8時間)血漿グルコース値、またはc)75グラムのグルコースの経口負荷の2時間後に200mg/dl(11.1mmol/L)より高い血漿グルコース値。将来に向けた研究は、高血糖が、腎症および網膜症を含む長期的な微小血管合併症と、原因として関連していることを確信を持って実証している。診断的な高血糖に加えて、2型糖尿病を有する患者は、高血圧、高トリグリセリド血症、および高コレステロール血症の発生の増加を有する。これらは、大血管および微小血管の疾患のリスクを増加させる。 2型糖尿病の発症のために最も重要である後天的な危険因子は、肥満症、より詳細には、内臓の肥満症である。遺伝的な罹病性もまた存在する。若年者の成人発症型糖尿病(MODY、主としてグルコキナーゼをコードする遺伝子における変異によって引き起こされる)などの少数の明確に定義された症候群を除いて、2型糖尿病の発症に寄与する遺伝子の大部分は同定されていない。生理学的には、2型糖尿病を有する患者における高血糖は、インスリン抵抗性-グルコースの取り込みを刺激し、かつグルコース産生を抑制するインスリンの相対的な不全によって主として引き起こされる。このインスリン抵抗性は、初期には、インスリン合成の増加によって部分的に補償される。多くの患者において、インスリン産生が高血糖の有意な悪化に伴って低下するより後期の段階が存在する。細胞内脂質についての鍵となる役割およびインスリンシグナル伝達分子の活性の直接的変化を支持する証拠とともに、インスリン抵抗性の原因を取り巻くなおある程度の不確実性が存在する。糖質コルチコイドの生物活性の増加もまた、インスリン抵抗性およびベータ細胞不全の直接的または間接的な原因であり得る。 2型糖尿病を有する患者における重要な治療オプションは、食事の改善、運動の増加、および体重の減少である。不運にも、有効であるがこのオプションは、実践することが困難であることが判明している。薬理学的治療には、メトホルミン、スルホニル尿素(ならびに、スルホニル尿素と同様にインスリン分泌を増加させるメグリチニドおよびナテグリニド(Nateglinide))、グリチジド(glitizide)(ピオグリチゾン(Pioglitizone)およびロシグリチゾン(Rosiglitizone))およびインスリンを含む。有効であるが、グルコース制御は最適よりも下のままである。2005年に、彼らの年次総会において、米国臨床内分泌学会(the American Association of Clinical Endocrinologists (AACE))は、2型糖尿病を有する患者について、6.5%またはそれ以下のグリコシル化ヘモグロビン標準を公表した。この新たな標準は、糖尿病の合併症を予防するために試みの一部である。現在は米国内分泌学会(the American College of Endocrinology (ACE))の会長であるPaul Jellinger博士は、2型糖尿病を有する米国人の3分の2がこの疾患を適切に治療していないことを示した研究の後で、AACEはこの試みに着手していると言及した。さらに、グルコース制御のために認可された薬物は、どれもインスリン抵抗性の根底にある原因を標的としていないようであり、あるものは(インスリンおよびグリチゾンなど)は体重の増加を引き起こし得、このことはインスリン抵抗性を悪化させ得る。現在利用可能である治療剤を超えたDIO-902の1つの利点は、この薬物が、2型糖尿病の原因の1つを標的とすると考えられていることである。 DIO-902のさらなる潜在的な利点は、この薬物が、高コレステロール血症および高血圧を含む他の心臓血管の危険因子を有意に改善することができると考えられていることである。2型糖尿病を有する患者の大多数は、高血圧、異常脂質血症、およびミクロアルブミン尿症を含む、共存する心臓血管の危険因子を有する(Alexander et al. (2003)「NCEP-defined metabolic syndrome, diabetes, and prevalence of coronary heart disease among NHANES III participants age 50 years and older」Diabetes 52(5): 1210-4)。血糖コントロールとは独立して、高血圧およびミクロアルブミン尿症のコントロールは、糖尿病の微小血管と大血管の両方の合併症を予防することが示されてきた。さらに、異常脂質血症のコントロールは、心臓血管のリスクの減少に寄与し、糖尿病性腎症を発症するリスクを減少する可能性がある(Bell (2002)「Chronic complications of diabetes」South Med J 95(1): 30-4)。ラセミケトコナゾールは、クッシング症候群を有する患者において血圧およびコレステロールを減少し(Sonino et al. (1991)「Ketoconazole treatment in Cushing's syndrome: experience in 34 patients」Clin Endocrinol (Oxf) 35(4): 347-52)、そして高コレステロール血症を有する患者(Gylling et al. (1993)「Effects of ketoconazole on cholesterol precursors and low density lipoprotein kinetics in hypercholesterolemia」J Lipid Res 34(1): 59-67)および前立腺癌を有する患者(Miettinen (1988)「Cholesterol metabolism during ketoconazole treatment in man」J Lipid Res 29(1): 43-51)においてコレステロールを減少する。IND 60,874によって記載されたフェーズ2臨床試験において得られたデータもまた、ラセミケトコナゾールが、2型糖尿病を有する患者において総コレステロールおよびLDLコレステロールならびに血圧を低減させることを支持する。ここでまたは実施例1に記載される前臨床的結果は、DIO-902が血圧およびコレステロールに関して増強された活性を有することを示す。 上述したように、2型糖尿病を有する患者のために利用可能である行動的および治療的なオプションは不十分である。ライフスタイルの変化は、実践することが非常に難しいことが判明した。治療オプションは、疾患の根底にある原因を標的としておらず、ある治療、例えば、インスリンおよびグリチゾンは、根底にあるインスリン抵抗性に寄与する体重などの要因を悪化させる可能性がある。さらに、大部分の治療オプションは、微小血管および大血管の合併症に寄与する要因の1つ(高血糖)または最大でも2つ(高血糖、および高血圧または異常脂質血症のいずれか)を減少する。DIO-902は、2型糖尿病の重要な原因成分(コルチゾール生物活性)を標的とし、これらの患者における高血糖、高血圧、および異常脂質血症を治療することが可能であると考えられている。 糖質コルチコイドは、ヒトにおいて(ならびに実験動物において)、肝臓、脂肪、筋肉、および膵臓ベータ細胞に対する効果を通して、インスリン感受性を減少し、かつ血漿グルコースレベルを増加するすることができることは十分に確立されている(McMahon et al. (1988)「Effects of glucocorticoids on carbohydrate metabolism」Diabetes Metab Rev 4(1): 17-30)。齧歯類モデルにおいては、糖質コルチコイドは、肥満、耐糖能異常、および糖尿病の発症のために必要であり、ある場合において、糖質コルチコイド活性の増加は、糖尿病を引き起こすために十分である。ヒトにおいて、糖質コルチコイドレベルの病理学的な増加もまた(クッシング症候群において見られるように)、糖尿病を引き起こし得る。より最近では、偶発的な副腎腫瘍(偶発腫)およびよりかすかなコルチゾール活性の増加を有する患者は、糖尿病、耐糖能異常、高血圧、広汎性肥満、および異常脂質血症を発症するリスクが有意に上昇しているという認識が増大しつつある(Terzolo et al. (1998)「Subclinical Cushing's syndrome in adrenal incidentaloma」Clin Endocrinol (Oxf) 48(1): 89-97; Rossi et al. (2000)「Subclinical Cushing's syndrome in patients with adrenal incidentaloma: clinical and biochemical features」J Clin Endocrinol Metab 85(4): 1440-8)。 2型糖尿病を有する患者は、血漿コルチゾールレベル上昇を有し、特に、真夜中頃に起こる日周リズムの最下点と早朝の間の期間にコルチゾールが上昇することを示唆する複数の報告が存在する。Cameron (Cameron et al. (1987)「Hypercortisolism in diabetes mellitus」Diabetes Care 10(5): 662-4)は、24時間のコルチゾールレベルが、糖尿病を有する患者におけるすべての時点において、非糖尿病患者よりも高かったが、最大の違いは8amであったことを報告した。この研究はまた、デキサメタゾン抑制試験後に糖尿病患者におけるコルチゾールレベルを試験した。1mgのデキサメタゾンの摂取後、残りのコルチゾールレベルは、糖尿病患者においては早朝に有意に上昇したが、対照では上昇しなかった。同様に、夜間(Lentle and Thomas (1964)「Adrenal Function And The Complications Of Diabetes Mellitus」Lancet 14: 544-9; Vakov (1984)「English translation of Circadian rhythm of cortisol secretion in diabetes mellitus patients」)および早朝(Lee et al. (1999)「Plasma insulin, growth hormone, Cortisol, and central obesity among young Chinese type 2 diabetic patients」Diabetes Care 22(9): 1450-7)のコルチゾールレベルは、2型糖尿病を有する患者において、対照よりも高かった。 コルチゾールは血圧および血漿グルコースを増加させるので、2型糖尿病を有する患者におけるこれらのパラメーターとコルチゾールの間の関連性が研究された。1つの研究は、2型糖尿病を有する患者において、正常血圧の糖尿病患者と比較して高血圧を有する糖尿病患者において、コルチゾール日周リズムのより大きな撹乱が存在することを報告した(Kostic and Secen (1997)「Circadian rhythm of blood pressure and daily hormonal variations" Med Pregl 50(1-2): 37-40)。1つの研究は、成人発症型のわずかに過体重のインスリン非要求性糖尿病患者が、非糖尿病患者よりも高いコルチゾールレベルを有すること、および糖尿病患者は、明確な日周グルコースリズム、およびピークコルチゾールと一致する彼らのピークグルコースを有することを報告した(Faiman and Moorhouse (1967)「Diurnal variation in the levels of glucose and related substances in healthy and diabetic subjects during starvation」Clin Sci 32(1): 111-26)。同様に、別の研究は、2型糖尿病を有する患者において、8:00amにおけるコルチゾールとグルコースの濃度の間の強力な相関(r=0.82;p<0.01)を報告した(Atiea et al. (1992)「The dawn phenomenon and diabetes control in treated NIDDM and IDDM patients」Diabetes Res Clin Pract 16(3): 183-90)。1つの研究は、比較的やせた2型糖尿病患者における6amコルチゾールレベルの増加、および血漿コルチゾールとトレーサー希釈によって測定されるようなグルコース産生の速度の間の相関(r= 0.55; p<0.05)を見い出した(Richardson and Tayek (2002)「Type 2 diabetic patients may have a mild form of an injury response: a clinical research center study」Am J Physiol Endocrinol Metab 282(6): E1286-90)。 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH、副腎皮質ステロイド産生を調節する下垂体ホルモン)もまた、より少数の研究において測定されてきた。1つの研究は、正常ボランティア、ならびに自律性ニューロパシー(AN)を有する糖尿病患者およびこれを有さない患者において、コルチゾールおよびACTHを調べた。ANを有する糖尿病患者は、ANを有さない糖尿病患者より高いHbA1cレベルを有し、またANを有さない患者と対照の両方よりも高いACTHおよびコルチゾールのレベルを有した(Tsigos et al. (1993)「Diabetic neuropathy is associated with increased activity of the hypothalamic-pituitary-adrenal axis」J Clin Endocrinol Metab 76(3): 554-8)。対照と比較して、糖尿病およびANを有する患者におけるACTHの増加は、統計学的な有意さに達さなかった。1つの研究は、ACTHが2型(1型ではない)糖尿病を有する患者において上昇したことを示した(Vermes et al. (1985)「Increased plasma levels of immunoreactive beta-endorphin and corticotropin in non-insulin-dependent diabetes」Lancet 2(8457): 725-6)。 これらの大部分の正の相関があるデータとは対照的に、別の研究(Serio et al. (1968)「Plasma Cortisol response to insulin and circadian rhythm in diabetic subjects」Diabetes 17(3): 124-6)は、糖尿病患者における正常な血漿コルチゾールレベルを報告した。これらの患者は、彼らのグルコースが食事のみによって制御されたときに、全く軽度の糖尿病を有した。同様に、別の研究は(少数の個体を用いる)、2型糖尿病を有する患者において循環コルチゾールのレベルの増加を見い出さなかった(Kerstens et al. (2000)「Lack of relationship between 11beta-hydroxysteroid dehydrogenase setpoint and insulin sensitivity in the basal state and after 24h of insulin infusion in healthy subjects and type 2 diabetic patients." Clin Endocrinol (Oxf) 52(4): 403-11)。 血漿コルチゾールを減少するための薬理学的介入は、クッシング症候群を有する患者において、糖尿病、高血圧、および異常脂質血症を治療する際に有効であることが判明した。Soninoは、400から800mg/日の間の用量のケトコナゾールによって彼らの高コルチゾール症を減少した、クッシング症候群を有する34例の患者に関して報告した(Sonino et al. 1991前出)。高血糖であったがいかなる糖尿病医薬も受けていない3例の患者は正常血糖になった;糖尿病医薬を受けていた他の3例の高血糖患者のうち、1例が薬物を中断し、他の2例が彼らの低血糖医薬の使用を減少することができた。同様の結果は、Winquist (Winquist et al. 1995,「Ketoconazole in the management of paraneoplastic Cushing's syndrome secondary to ectopic adrenocorticotropin production」J Clin Oncol 13(1): 157-64)によって報告された。ケトコナゾールはまた、クッシング症候群を有する患者の大多数において血圧を低下させる(Sonino et al. 1991,前出; Fallo et al. (1993)「Response of hypertension to conventional antihypertensive treatment and/or steroidogenesis inhibitors in Cushing's syndrome」J Intern Med 234(6): 595-8)。 コルチゾール合成の薬理学的減少もまた、2型糖尿病を有する患者において評価されてきた。メチラポンもまた、コルチゾールの合成における最終段階である11βヒドロキシラーゼを阻害し、コルチゾールの急性抑制がグルコース恒常性に対する有益な効果を有し得るか否かを決定するために短期間の研究において使用されてきた。1つの研究(Atiea et al. (1990)「Early morning hyperglycaemia "dawn phenomenon" in non-insulin dependent diabetes mellitus (NIDDM): effects of Cortisol suppression by metyrapone」Diabetes Res 14(4): 181- 5)は、正常な早朝のコルチゾールの上昇を抑制するためにメチラポンを使用し、この介入がこの時間の期間にわたって起こるグルコースの正常な上昇を妨害したことを報告した。1つの研究は、メチラポンを使用して1型糖尿病を有する患者における内因性コルチゾール合成を抑制し、次いで、コルチゾールの正常な夜間の上昇を模倣するため、またはコルチゾールのより低い基底レベルを生じるためのいずれかのためにコルチゾールを注入した。「抑制された」コルチゾールプロフィールを有する患者において、有意により低い速度のグルコース産生が存在した(Dinneen et al. (1995)「Effects of the normal nocturnal rise in cortisol on carbohydrate and fat metabolism in IDDM」Am J Physiol 268(4 Pt 1): E595-603)。カルベノキソロンは、HSD1とHSD2の両方の活性を阻害し、従って、コルチゾールへの肝臓および脂肪の曝露を低下させる。別の研究は、正常ボランティアと2型糖尿病を有する患者の両方を、7日間、カルベノキソロンで処置した(Andrews et al. (2003)「Effects of the 11 beta-hydroxysteroid dehydrogenase inhibitor carbenoxolone on insulin sensitivity in men with type 2 diabetes」J Clin Endocrinol Metab 88(1): 285-91)。2型糖尿病を有する患者は、正常血糖性、高インスリン性、高グルカゴン性の制限の間に、グルコース産生の減少を実証した(しかし正常ボランティアはそうではない)。ラセミケトコナゾールもまた、2型糖尿病を有する患者において試験した。これらの試験は、コルチゾール合成を抑制するためのこの薬物の治療的使用が、2型糖尿病を有する患者において、グルコース、血圧、およびコレステロールに対して有益な効果を有し得るという結論と一致している。2型糖尿病を有する患者におけるコルチゾールレベルまたは活性の増加が存在するかもしれないが、治療的恩典は、正常なコルチゾールのレベルまたは活性を有する患者においてさえ、コルチゾールのレベルまたは活性のさらなる減少によって得ることができる。 2型糖尿病を有する患者におけるラセミケトコナゾールの治療的使用は有望な結果を生じたが、DIO-902はより効率的かつ安全の両方である。DIO-902は、2R,4Sエナンチオマーよりも、コルチゾール合成における鍵となる酵素(11β-ヒドロキシラーゼ)に対して有意により低いIC50を有し、コレステロール合成における鍵となる酵素(14α-ラノステロールデメチラーゼ)に対してより低いIC50を有し(Rotstein et al. (1992)「Stereoisomers of ketoconazole: preparation and biological activity」J Med Chem 35(15): 2818-25)、従って、同じ効力を達成するためにより低い薬物の用量を潜在的に可能にする。実施例1において実証されるように、ラットにおいては、DIO-902は、コルチコステロンおよびコレステロールを減少することに関して、2R,2Sエナンチオマーよりもより強力である。 さらに、DIO-902は、2R,4Sエナンチオマー(IC50=0.195μM)よりも、CYP7Aに対して12倍高いIC50を有する(IC50=2.4μM)(Rotstein et al. 1992、前出)。特定のメカニズムによって束縛されることを意図することなく、CYP7A抑制は、機能的胆汁うっ滞をもたらし得、結果として、オキシステロールおよびビリルビンなどの潜在的に毒性の代謝物、ならびにケトコナゾールそれ自体などの生体異物の肝臓および血漿への蓄積が存在し得る。DIO-902(ラセミケトコナゾールと比較して)に付随するCYP7A阻害の減少は、少なくとも部分的に、反復投薬後に観察されるDIO-902の変化しない毒物動態学の主な原因となり得る。 前臨床研究は、糖質コルチコイド活性をインスリン抵抗性、高血糖、および肥満症と関連付けており、そして臨床研究は、2型糖尿病を有する患者における治療オプションとして、ケトコナゾールなどのコレステロール合成阻害剤を使用するための理論的根拠を支持する。前臨床研究は、DIO-902がラセミケトコナゾールよりも安全かつ有効であることを示す。C. 本発明の例示的な薬学的製剤-DIO902の物理的、化学的、および薬学的な特性 DIO-902は単一の2S,4Rエナンチオマーであり、ラセミケトコナゾールから誘導される。これは、即時放出の200mg効力の錠剤として、セルロース、ラクトース、コーンスターチ、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムを使用して製剤化される。その化学名は、2S,4Rシス-1-アセチル-4-[4-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ]フェニル]ピペラジンであり、化学式はC26H28C12N4O4であり、分子量は531.44である。CAS番号は65277-42-1であり、構造式は以下に提供される。キラル中心は、印が付けられているような、2位および4位の炭素原子にある。 ケトコナゾールは、イミダゾール含有静真菌化合物である。DIO-902は、経口的に摂取され、かつ以下の表において示されるように製剤化される即時放出錠剤である。 (表) この薬剤生成物は室温で保存されてもよく、25℃および50% RHで少なくとも2年間安定であることが予想される。この薬物はブリスターパックにパッケージされる。D. 非臨床研究1. 非臨床研究の概観 この節は、DIO-902とラセミケトコナゾールの両方についての薬理学および毒物学の情報を含む。薬理学研究は、ラットにおけるコルチコステロン合成、血清コレステロール、およびテストステロンレベルに対するDIO-902の抑制効果を実証するために実施した研究を含んでいた。DIO-902の抗真菌活性もまた、インビトロ研究において調べた。イヌにおけるDIO-902を用いる毒物学研究は、MID研究、7日間研究、および28日間研究(毒物動態学を伴う)を含んだ。遺伝毒性研究もまた、DIO-902を用いて実施した。DIO-902はラセミケトコナゾールから精製されるので、混合物の安全性はDIO-902のそれと関連する。従って、この節は、経口ケトコナゾールについてのNDA18-533についての新医薬品承認審査概要から主として取られた薬理学および毒物学のデータの要約、ならびに科学文献およびイヌにおける28日間毒性からのデータを含む。2. 非臨床薬理学 DIO-902の主要な薬理学的効果はコルチゾール合成の抑制を通してである。血漿コルチゾールを減少するための薬理学的介入は、クッシング症候群を有する患者における糖尿病、高血圧、および異常脂質血症を治療する際に有効であることが判明した(Sonino et al. 1991、前出; Winquist et al. 1995、前出)。前臨床研究は、糖質コルチコイド活性を、インスリン抵抗性、高血糖、および肥満症の増加を関連付けてきた(概説としては、McMahon et al. 1988を参照されたい)。DIO-902投与の第2の利点は、コレステロールレベルの減少、内臓肥満の減少、および血圧の減少を含む。 DIO-902の治療的利点に関連する鍵となる酵素活性は11βヒドロキシラーゼであり、この酵素は、副腎でのコルチゾールの合成において最終的な段階を触媒する。DIO-902は、0.15μMのIC50でこの酵素を阻害することが示されている(以下の表を参照されたい)。ラットにおける主要な糖質コルチコイドはコルチコステロンであるので(ヒトにおいては主要な糖質コルチコイドはコルチゾールである)、コルチコステロン合成に対するDIO-902の抑制効果をラットにおいて調べた。1つの研究において、雄性Sprague Dawleyラット(10匹/群)は、0、50、100、200、400、および600mg/kgの2S,4Rケトコナゾール(DIO-902)、2R,4S-ケトコナゾール、またはラセミケトコナゾールの単回の経口(胃管経由)用量を受容し、4時間後に屠殺した。別の研究において、雄性Sprague Dawleyラット(10匹/群)は、0または200mg/kgの2S,4Rケトコナゾール(DIO-902)、2R,4S-ケトコナゾール、またはラセミケトコナゾールの単回の経口(胃管経由)用量を受容し、投薬の4、8、12、16、20および24時間後に屠殺した。結果は、以下の表に示されるように、DIO-902(2S,4Rエナンチオマー)ば血漿コルチコステロンを減少し、2R,4Sエナンチオマーよりも強力に減少することを示した。より詳細には実施例1を参照されたい。 (表)糖質コルチコイド合成を触媒する酵素のDIO-902による阻害上記の表におけるすべてのIC50値はμMで与えられる。17βヒドロキシラーゼ活性と17,20リアーゼ活性の両方の原因である単一の酵素または複合体が存在し得、異なるIC50値がいくつかの阻害剤について報告されている。NAVは該当データがないことを意味する。*Ideyama et al. (1999)「YM116,2-(lH-imidazol-4-ylmethyl)-9H-carbazole, decreases adrenal androgen synthesis by inhibiting C17-20 lyase activity in NCI-H295 human adrenocortical carcinoma cells」Jpn J Pharmacol 79(2): 213-20。 以下の表において、ラットにおける副腎皮質ステロイドレベルに対するケトコナゾールエナンチオマーの効果を報告する。表において、コルチコステロンレベル(平均±SEM;ng/mL)は、示した薬物の経口胃管栄養法の4時間後に決定した(N=10匹/群)。単一の対照群(媒体を投薬した)が存在した。 (表)ラットにおける副腎皮質ステロイドレベルに対するケトコナゾールエナンチオマーの効果 以下の表は、単回経口200mg/kg用量のケトコナゾールエナンチオマーの後でのラットにおけるコルチコステロン阻害の時間経過の研究からのデータを提示する。コルチコステロンレベル(平均±SEM;ng/mL)は、200mg/kgの示した薬物の経口胃管栄養法の後、示した時間において決定した。日周コルチコステロンリズムの混同効果を最小化するために、すべてのラットを同じ時刻(1800時間)に屠殺し、薬物投与の時間は、このことを可能にするように決定した(N=10匹/群)。媒体処理群の平均を、時間0の対照点として使用する。 (表)ケトコナゾールエナンチオマーの単回経口200mg/kg用量後のラットにおけるコルチコステロン阻害の時間経過 DIO-902投与の第2の利点には、LDLコレステロールおよび総コレステロールの減少、内臓肥満の減少、血圧の減少、および抗真菌活性が含まれる。DIO-902誘導性コレステロール抑制についての作用のメカニズム、ならびにラットにおいて血清のコレステロールおよびテストステロンのレベルに対するDIO-902の効果を実証する薬理学的研究は以下に議論される。 ラセミケトコナゾールは、ラノステロール14αデメチラーゼ活性の阻害を通してコレステロールを直接的に低下させる可能性があり、2S,4Rエナンチオマーは、他のエナンチオマーよりもこの酵素について2倍低いIC50を有する(Rotstein et al. 1992、前出)。2S,4Rエナンチオマーのコレステロール低下活性は、コレステロール異化を制御する主要な酵素であるCYP7Aの阻害の減少を通してさらに増加されることが予想される。CYP7A活性の減少は(ヒト(Pullinger et al. (2002)「Human cholesterol 7alpha-hydroxylase (CYP7A1) deficiency has a hypercholesterolemic phenotype」J Clin Invest 110(1): 109-17)およびマウス(Erickson et al. (2003)「Hypercholesterolemia and changes in lipid and bile acid metabolism in male and female cyp7Al -deficient mice」J Lipid Res 44(5): 1001-9)の両方において)、高コレステロール血症を導くことができ、それゆえに、ヒトにおけるケトコナゾールによるCYP7Aの抑制(Pullinger et al. 2002、前出)はこの薬物のコレステロール低下効果を減弱することが予想される。単一のエナンチオマー2S,4R-ケトコナゾールは、ラセミケトコナゾールと同程度まで、CYP7A活性を減少しないことが予想される。1つの研究は、CYP7Aに対する2S,4R-ケトコナゾール(DIO-902)のIC50(コレステロール7α-ヒドロキシラーゼ活性によって測定される)が2.4μMであり、2R,4S-ケトコナゾールのIC50が0.195μMであることを実証し、DIO-902が、2R,4S-ケトコナゾールよりも、CYP7Aに対して12倍高いIC50を有することの支持を提供する(Rotstein et al. 1992、前出)。 1つの研究を、ラットにおけるコレステロールレベルに対するDIO-902の効果を実証するために実施した。この研究において、雄性Sprague Dawleyラット(10匹/群)は、0または200mg/kgの2S,4Rケトコナゾール(DIO-902)、2R,4S-ケトコナゾール、またはラセミ化合物の単回の経口(胃管経由)用量を受容し、投薬の4、8、12、16、20、および24時間後に屠殺した。以下の表に報告される結果は、2S,4Rエナンチオマーを用いる処置の16、20、および24時間後のコレステロールレベルの小さな減少を示したが、しかしラセミ化合物および他のエナンチオマーを用いては示さなかった。コレステロールレベル(平均±SEM;mg/dL)は、200mg/kgの示される薬物の経口胃管栄養法後の示した時間に決定した。すべてのラットを同じ時刻(1800時間)に屠殺し、薬物投与の時間は適切に決定した(N=10匹/群)。 (表)ラットにおける血清コレステロールに対するケトコナゾールエナンチオマーの効果 2つの研究を、ラットにおけるテストステロンレベルに対するDIO-902の効果を調べるために実施した。1つの研究において、雄性Sprague Dawleyラット(10匹/群)は、0、50、100、200、400、および600mg/kgの2S,4Rケトコナゾール(DIO-902)、2R,4S-ケトコナゾール、またはラセミ化合物の単回の経口(胃管経由)用量を受容し、投薬の4時間後に屠殺した。別の研究において、雄性Sprague Dawleyラット(10匹/群)は、0または200mg/kgの2S,4Rケトコナゾール(DIO-902)、2R,4S-ケトコナゾール、またはラセミ化合物の単回の経口(胃管経由)用量を受容し、投薬の4、8、12、16、20、および24時間後に屠殺した。以下の表に示される結果は、2S,4Rエナンチオマー(DIO-902)が、テストステロンを抑制する際に他のエナンチオマー(2R,4S)よりも強力であることを実証する。すぐ下の表に示される結果については、テストステロンレベル(平均±SEM;nmol/L)は、示される薬物の経口胃管栄養法の4時間後に決定した(N=10匹/群)。単一の対照群が存在した(媒体を投薬した)。 (表)ラットにおけるテストステロンに対するケトコナゾールエナンチオマーの効果 以下の表に示される結果については、テストステロンレベル(平均±SEM;nmol/L)は、200mg/kgの示した薬物の経口胃管栄養法後の示された時間に決定した。すべてのラットを同じ時刻(1800時間)に屠殺し、薬物投与の時間は適切に決定した(N=10匹/群)。媒体処理群の平均は、ゼロ時間の対照点として使用する。2S,4Rは、テストステロンの急性抑制に関しては2R,4Sよりも強力であるが、全体の生理学的な結果は、2R,4Sとは対照的に、2S,4Rを用いて減少されるかもしれない。実施例2において述べられたように、2S,4Rエナンチオマーの濃度は、反復用量に伴って増加しない。これは、反復用量に伴って増加するラセミ混合物の濃度とは対照的である。従って、ラセミ混合物の反復用量を用いると、テストステロン抑制は、時間とともにより顕著になる。実施例3において述べられたように、ラセミ混合物の濃度は、薬物の取り込みの24時間後に、初回用量と次の用量の間で顕著に増加する。従って、テストステロン抑制は、薬物の間隔の間で、1日の間により長く進行的に続く。2S,4Rエナンチオマーはそれ自体のクリアランスを阻害しないので、テストステロン産生が抑制される期間は、進行的により長くはならない。 (表)ラットにおけるケトコナゾールエナンチオマーの単回用量(200mg/kg)後のテストステロン抑制の時間経過3. 抗真菌活性 インビトロ研究において、DIO-902と2R,4S-ケトコナゾールは、以下の表において報告されるように抗真菌活性を示す。本研究において、酵母単離物を、ラセミケトコナゾール、DIO-902(2S,4R-ケトコナゾール)、2R,4S-ケトコナゾール、または溶媒(DMSO)とともに、48時間、36±1℃にてインキュベートし、最小阻害濃度(MIC)を決定した。MICは、生物の増殖を実質的に阻害した最低の濃度としてていぎされる(すなわち、対照と比較して、80%以上の顕著な濁度の減少を引き起こす濃度)。 (表)DIO-902の抗真菌活性 2S,4Rエナンチオマーの抗真菌活性は証拠なしで主張されてきたが、これらの結果は、驚くべきことに、このエナンチオマーが、イッサチェンキア オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)、イッサチェンキア オリエンタリス、クリプトコッカス ネオフォーマンス( Cryptococcus neoformans)、カンジダ トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ パラプシロシス( Candida parapsilosis)、カンジダ ギリエルモンディー(Candida guilliermondii)、およびカンジダ アルビカンス(Candida albicans)を含む種々の真菌、またはその特定の株に対して、ラセミ化合物および/または2R,4Sエナンチオマーよりも抗真菌剤としてより有効であることを初めて実証する。1つの態様において、本発明は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まないケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーの薬学的組成物の治療的有効量を投与することによって、これらの真菌または真菌の株の1つの真菌感染を治療するための方法を提供する。4. 安全性薬理学 CYP3A阻害活性に対するDIO-902の阻害の潜在能力が研究された。この研究において、DIO-902および2R,4Sケトコナゾールエナンチオマーは、互いに対しておよびラセミ混合物に対して比較可能であったIC50値を有することが示されたが、CYP3A5に対する2S,4R-エナンチオマーのIC50の小さな(2倍)増加が存在した。DIO-902(CYP3A4のためには0.005〜50μMおよびCYP3A5のためには0.01〜100μM)は、ヒト肝臓から調製したミクロソーム、または組換え3A4および3A5に加えた。陽性対照として、および比較として、他のエナンチオマー(2R,4S)およびラセミ混合物の活性もまた決定した。これらの実験において使用した基質は、CYP3A4およびCYP3A5のための確立された基質であるキノンであった(Mirghani et al. (2002)「Enzyme kinetics for the formation of 3-hydroxyquinine and three new metabolites of quinine in vitro; 3-hydroxylation by CYP3A4 is indeed the major metabolic pathway」Drug Metab Dispos 30(12): 1368-71)。 (表)キニーネの水酸化に対するDIO-902の活性HLM:ヒト肝臓ミクロソーム 科学文献は、シトクロムP450阻害に対する2S,4Rエナンチオマーの阻害活性を報告している。1つの研究(Rotstein et al. 1992、前出)は、種々のP450酵素についてのマーカーである、プロゲステロン、ラウリン酸、およびコレステロールの水酸化に対する2種のケトコナゾールエナンチオマー(2S,4Rケトコナゾールおよび2R,4Sケトコナゾール)の阻害活性を評価した。2S,4RエナンチオマーのIC50は、2R,4Sのそれよりもわずかに高かった。CYP3A4の阻害(6β-ヒドロキシラーゼ経由)についてのIC50は、Swinney, 1990によって報告されたラセミケトコナゾールのそれと同様であった。詳細には、ラット肝臓ミクロソーム中のプロゲステロン6β-ヒドロキシラーゼの阻害についてのIC50は1.4μMであった。2S,4RエナンチオマーおよびラセミケトコナゾールについてのCYP450 3A4阻害についての同様のIC50に起因して、これらの2つの化合物についての薬物代謝相互作用のための潜在能力は、同様であることが予測される。しかし、以下および実施例2に述べられるように、薬物排出の阻害を通して投与された薬物のPKプロフィールの変化を引き起こすDIO-902の潜在能力は、他のエナンチオマーのそれと比較して、有意に減少される。 P450酵素、CYP7A(コレステロール7αヒドロキシラーゼ)の活性に関して、以下の表に示される結果は、2S,4RエナンチオマーのIC50が、2R,4SエナンチオマーのIC50よりも約12倍高いことを実証する。CYP7Aは、薬物相互作用の問題と関係がある。なぜなら、この酵素は胆汁形成を制御し、従って、胆汁を介して通常除去される薬物への曝露が、胆汁の形成および流れの減少の条件下では変化する可能性があるからである。ラセミケトコナゾールはCYP7Aの阻害を通して胆汁形成を阻害することが示されてきた。ラセミケトコナゾールは、胆汁流ならびに内因性代謝物(コレステロール)および生体異物(ブロモスルホフタレイン)の胆汁へのクリアランスを減少することが示されてきた(Princen et al. (1986)「Ketoconazole blocks bile acid synthesis in hepatocyte monolayer cultures and in vivo in rat by inhibiting cholesterol 7 alpha-hydroxylase」J Clin Invest 78(4): 1064-71; Gaeta and Tripodi (1987)「Ketoconazole impairs biliary excretory function in the isolated perfused rat liver」Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 335(6): 697-700)。2S,4Rエナンチオマーが、胆汁を介して通常除去される薬物(ケトコナゾール)の薬物動態学に対する影響が減少していることは、CYP7Aに対する2R,4SエナンチオマーのIC50よりも、2S,4RエナンチオマーのIC50が約12倍高いという観察に起因し得る。薬物クリアランスの阻害のこの減少の結果として、2S,4Rエナンチオマーは、他のエナンチオマーまたはケトコナゾールを構成する2つのエナンチオマーのラセミ混合物と比較して、肝損傷のリスクを有意に減少する。 (表)ケトコナゾールエナンチオマーのP450阻害活性(Rotstein et al. 1992、前出)5. 非臨床薬物動態学 DIO-902(2S,4Rエナンチオマー)の吸収は、28日間のイヌ毒物学研究の間に研究した。本研究において、イヌは、2、6.5、および20mg/kgのDIO-902用量で経口的に処置した。血清試料は、2S,4Rエナンチオマーの1日目および28日目の投薬後に採取した。比較のために、1群のイヌに、28日間、40mg/kg/日の用量でラセミケトコナゾールを受容させた。この用量は、研究の最初の9日間に計画したように投与した;しかし、40mg/kg用量は9日目に中断し、この群の動物は次の5日間(10日目〜14日目)処置されないままであった。研究の15日目に開始し、かつ研究の28日目まで継続して、動物を20mg/kgのケトコナゾールで処置した。毒物動態学的パラメーターは以下の表に要約する。 2mg/kg/日でDIO-902を投薬したイヌにおける血漿レベルは、24時間プロフィールの大部分について検出下にあった。従って、正確なAUCは、この用量については計算することができなかった。AUCを計算する場合、これは、投薬後の0〜12時間にわたる検出の限界より上である値に基づいた(下記の表参照)。そのようなものとして、2mg/kg用量からのAUCは、他の投薬レベルのそれとは高い信頼性で比較することはできない。2、6.5、および20mg/kgにおけるAUCおよびCmax値は、各DIO-902レベルについて、1日目と28日目の間で比較可能であり、反復用量に伴う蓄積が最小限から全くないまでであることを示す。DIO-902処置動物において、性別による違いは見られなかった。2mg/kgまたは6.5mg/kg DIO-902で処置した動物におけるCmaxおよびAUCレベルは用量に対してほぼ比例した。6.5mg/kgまたは20mg/kg用量レベルにおいて、AUCおよびCmaxレベルの増加は、用量の増加のレベルより多く増加した。Tmax値は、1日目における1〜8時間および28日目における1〜12時間の範囲であった(以下の2つの表の2番目を参照されたい)。 ラセミケトコナゾールについては、28日目におけるAUCおよび血漿薬物のレベルは、投薬の中断および投与された用量レベルの減少に起因して、1日目に見られたものよりも顕著に低かった。しかし、AUCおよびCmaxの値は、1日目から28日目までの用量の減少を超えて減少する。従って、ラセミケトコナゾールについての1日目および28日目のデータは高い信頼性で比較することはできない。40mg/kg用量のケトコナゾールについての1日目のデータを、DIO-902についての20mg/kgのそれと比較するときに、ラセミケトコナゾールで処置した動物におけるAUCおよびCmaxの値は、20mg/kgのDIO-902で処置した動物のそれの約2倍である。28日目において、20mg/kgのラセミケトコナゾールで処置した動物からのAUCおよびCmaxの値は、20mg/kgのDIO-902で処置した動物のそれよりも実質的に低かった。 ラセミケトコナゾールの用量を用いて上記に議論した問題に起因して、比較目的のために、イヌにおける別の28日間の毒性研究からのラセミケトコナゾールについてのさらなるデータを得た。本研究において、イヌ(3匹/性別/群)を、粉末懸濁液中の2.5、10、もしくは40mg/kgのラセミケトコナゾールまたは油懸濁液中の2.5、10、もしくは40mg/kgのラセミケトコナゾールを1日1回、28日間の経口用量で処置した。毒物動態学的試料を、1日目ならびに2週目および4週目の間に収集した。現在のデータとの比較のために、1日目および28日目のデータを、投与されたケトコナゾール粉末懸濁液(10および40mg/kg)から提示する。油懸濁液からのデータは、粉末懸濁液と同様であった。20mg/kg/日で投与したイヌについての28日目におけるDIO-902についてのCmax値は、9.94マイクログラム/mlから9.95マイクログラム/mlの間であった(以下の2つの表の2番目を参照されたい)。比較のために、ラセミケトコナゾールの10mg/kgの用量は、7.52〜9.20μg/mlのCmax(28日目)を生じ、40mg/kgの用量は、42.78〜46.75μg/mlのCmax(28日目)に導いた。ラセミケトコナゾールで見られるものとは対照的に、2S,4Rケトコナゾール(DIO-902)についてのAUCおよびCmaxは、1日目と比較した場合に、28日目では有意に異なってはいなかったことが明白である。1日目から28日目の間の有意な増加はラセミケトコナゾールについて注目された(以下の2つの表の2番目を参照されたい)。以下の表について:*処置の日数。検出限界は0.25μg/mlであった。a:ラセミケトコナゾールについてのデータ。b:ラセミケトコナゾールについてのデータ。値は3匹の動物の平均を表す。 (表)単回および反復経口投薬後のイヌにおけるDIO-902およびラセミケトコナゾールの血漿薬物レベル (表)単回および反復経口投薬後のイヌにおけるDIO-902の毒物動態先の表について、2つの先の表のうちの1番目において提供されるデータは、投薬の最初の日、および再度、28日間の毎日投薬の後でのAUCおよびCmax値を誘導するために使用した。値は3匹の動物の平均を表す。*n=1、**n=2。a:ラセミケトコナゾールについてのデータ。b:ラセミケトコナゾールについてのデータ。AUCデータは0-24時間についてである。6. DIO-902の反復用量毒性 DIO-902の毒性は、イヌにおける最大耐量研究、7日間研究、および28日間研究において、イヌにおいて調べた。MTD調査および7日間研究は、単一の研究の別々のフェーズとして実施した。 GLP最大耐量研究において、ビーグル犬(2匹/性別)は、2S,4Rエナンチオマーの上昇用量(20、40、60、および80mg/kg)を用いて経口的に(カプセル)処置した。対照として、2匹の雄および2匹の雌のイヌの別々のセットを媒体で処置した。動物は3日間各用量で処置し、その後より高い用量まで上昇させた。上昇フェーズの間に死亡はなかった。臨床徴候は40mg/kgにおいて認められた(嘔吐)。より高い用量においては、頭部反転動作、振戦、流涎、尿の着色、および液状の糞便が認められた。80mg/kg用量は、福祉的な根拠により断念した。食餌摂取および体重増加はすべての用量で減少した。 MTD研究の最後の後で、媒体で処置した4匹の動物を、7日間40mg/kgのエナンチオマーで経口的に(カプセル)処置した。対照群は含めなかった。すべての動物は予定した屠殺まで生存した。固定用量の間(40mg/kg/日で7日間)、1匹のイヌはやせていることが認められ、1匹のイヌは涙を流していることが認められた。用量後の観察はなかった。7日間の研究期間にわたって、4匹すべての動物による食餌消費は減少し、4匹すべてが体重を減少した。血液学的分析は、1匹のイヌにおいて網状赤血球の減少(絶対的および相対的)および白血球総数の20%の減少を示唆した。処置したイヌにおける平均ALTレベルは、投薬前に決定した平均と比較して2倍未満で増加した。他の肝臓酵素の測定のいずれにおいても有意な変化は存在しなかった。剖検における肉眼的な知見が、GI炎症の領域に限定された。肝臓および腎臓の重量の増加が存在する可能性があったが、しかし、同時的な対照の非存在下では、このことを確信を持って結論付けることはできなかった。 28日間のGLP研究において、ビーグル犬(3匹/性別/群)は0(プラセボ)、2、6.5、または20mg/kgの用量の経口2S,4Rエナンチオマー用量を毎日受容した。別々の対照群(3匹/性別)を含め、40mg/kg/日の初期用量のラセミケトコナゾールで経口的に処置した。40mg/kgのラセミケトコナゾールにおいて、顕著な体重の損失(17.3%まで)は9日後の投薬の停止に導いた。この群におけるイヌ(3匹/性別)は、6日間薬物を取りやめ、次いで20mg/kg/日で再開した。28日間取った毒物動態学プロフィールは、28日目のラセミケトコナゾールのCmaxが1日目に決定したものの5%未満であったことを示した。従って、データ比較のために、この群は、比較群として確信を持って使用することができない。以下で他に注記されない限り、本研究における薬物および用量に対するすべてのさらなる言及は、単一のエナンチオマー2S,4Rをいう。 毒物動態学データは、DIO-902が全身的に吸収されたことを示した。2mg/kg DIO-902用量レベルにおいて、血漿薬物レベルは、投薬後1から12時間の間の時点の多くにおいて検出の限界以下であった。従って、AUCは、血漿薬物レベルが検出の限界より上であった時点からのデータを使用して計算した。各用量について、性別による違いは観察されず、投薬の28日間にわたって蓄積は起こらなかった。 20mg/kg/日でDIO-902を投与したイヌは、プラセボ対照群よりも約25〜35%少ない食餌を食した。20mg/kg/日で投与したイヌは、1.1kg(雄)および0.9kg(雌)体重が増加したプラセボ処置イヌと比較して、0.25kg(雄)および0.14kg(雌)体重が増加した。この傾向は、体重に対する効果の大部分は研究の最初の2週間においてであること、および研究の最後には20mg/kg/日で投与したイヌは、プラセボ対照群と同様の割合で体重を増加していたことを示す。食餌の取り込みはまた、20mg/kg/日群では増加したが、プラセボ対照群よりもなお下であった。中間の用量では、食餌摂取または体重増加に対する明白な効果は存在しなかった。 測定された眼科学的または心電図的なパラメーターのいずれに対しても、これらの用量におけるDIO-902の測定可能な効果は存在しなかった。詳細には、20mg/kg/日でDIO-902で処置したイヌにおいて、明白なQTc延長は存在しなかった。認められる血液学的変化は存在しなかった。尿検査における変化は存在しなかった。任意の血清化学測定における唯一の変化はコレステロールの減少であった。雌のイヌにおいて腎臓の重量の減少の傾向、および雄および雌において肝臓および副腎の相対的な(しかし絶対的ではない)重量の増加の傾向が存在した。いずれの用量においても顕著な顕微鏡的な知見は存在しなかった。7. 他の毒性試験 生殖毒性研究はDIO-902を用いて実施しなかった;しかし、ラセミケトコナゾールの生殖毒性は広範に調べ研究した。 DIO-902は、エームスアッセイ法およびマウスリンパ腫アッセイ法において、遺伝毒性について陰性であることが見い出された。エームスアッセイ法において、DIO-902は、サルモネラ菌(Salmonella typhimurium)の5つの異なるヒスチジン要求株において変異誘発に関してアッセイした。DIO-902への曝露は、用量には関係なくかつ反復可能である、復帰突然変異体の数の増加を生じた。リンパ腫アッセイ法において、DIO-902(S-9活性化ありまたはなし)を、マウスL5178Yリンパ腫におけるチミジンキナーゼ遺伝子座における変異の誘導に関して研究した。DIO-902は、S-9の非存在下での3回の独立した実験、およびS-9の存在下での2回の独立した実験において、毒性用量まで試験したときに、TK遺伝子座における変異を再現可能にまたは有意に誘導しなかった。 発癌性研究は、DIO-902を用いて実施されなかった。ラセミケトコナゾールは、発癌性でないことが見出された(NDA 18-533についてのSBA)。 2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない2S,4Rエナンチオマーの投与は、時折ラセミケトコナゾールの投与後に見られる肝臓反応のリスクを減少することが予測される(Stricker et al. (1986)「Ketoconazole-associated hepatic injury. A clinicopathological study of 55 cases」J Hepatol 3(3): 399-406; Lake-Bakaar et al. (1987)「Hepatic reactions associated with ketoconazole in the United Kingdom」Br Med J (Clin Res Ed) 294(6569): 419-22; Van Cauteren et al. (1990)「Safety aspects of oral antifungal agents」Br J Clin Pract Suppl 71: 47-9;およびRodriguez and Acosta (1997)「Metabolism of ketoconazole and deacetylated ketoconazole by rat hepatic microsomes and flavin-containing monooxygenases」DrugMetab Dispos 25(6): 772-7)。ケトコナゾール誘導性肝臓反応は、通常、特異体質として説明され(Stricker et al. 1986、前出)、根底にあるメカニズムが知られていないことを暗示する。ラセミケトコナゾールは、ラットにおいて、CYP7Aの阻害を通して胆汁形成を阻害することが実証されてきた(Princen et al. 1986、前出)。ラセミケトコナゾールは、処置したヒトにおいて、ヒトCYP7Aを阻害し(Rotstein et al. 1992、前出)、ヒト肝細胞による胆汁酸合成を減少し(Princen et al. 1986、前出)、および胆汁酸産生を阻害する(Miettinen 1988、前出)ことが示されてきた。本発明者らは、ケトコナゾール誘導性肝毒性の鍵となる要素がCYP7Aの阻害であると考えている。DIO-902は他のエナンチオマー2R,4S(IC50=0.195μM)よりも12倍高いCYP7Aに対するIC50(IC50=2.4μM)を有し、ラセミ化合物について見られる薬物濃度の時間依存的な増加を受けないので、DIO-902は肝臓反応の有意により低い発生と関連する。2つの効果は相互作用的である;すなわち、ラセミ化合物はDIO-902よりも多く蓄積し、ラセミ化合物のより高い薬物蓄積は、無細胞アッセイから暗示されるものよりもさらにより多くの、CYP7Aに対する相対的な阻害効果をもたらす。関連する薬物濃度は、ヒトにおいて、2つのエナンチオマーの血漿中で相対的水準に達し、相対的IC50値はこの予測と一致している。E. ヒトにおけるDIO-902の薬物動態学 DIO-902を用いて臨床実験はまだ行われていない。しかし、初回および5回目の200mgのラセミケトコナゾールの用量(12時間毎に与えた用量)後の個々のエナンチオマーの薬物動態学的プロフィールはポスター形式で発表されている(Gerber (2003)「Stereoselective pharmacokinetics (PK) of oral ketoconazole (K) in healthy subjects」ACAAFポスター)。薬物動態学的データは以下の表に要約する。2S,4RエナンチオマーであるDIO-902への曝露は、2R,4Sエナンチオマーのそれの約2.5倍である。この結果は、生物学的利用能の違いから生じるのか、またはクリアランスから生じるのかは明らかではない。5回用量後、AUCおよびCmaxは両方のエナンチオマーについて増加した。2R,4Sエナンチオマーへの曝露は2S,4Rと2R,4Sの両方のエナンチオマーのクリアランスを変化させることができたので、この結果は、単一のエナンチオマーであるDIO-902を投薬したイヌにおいて得られた前臨床的結果から得られた薬物動態学的データと、必ずしも不一致である必要はない(Gerber 2003、前出)。 (表)F. ヒトにおける特異体質的な肝臓反応 ラセミケトコナゾールに対する特異体質的な肝臓反応が記載されている(Stricker et al. 1986、前出)。これらの応答の特異体質としての記載は、メカニズムの明確な理解が存在していないことを暗示する。首尾一貫したメカニズムについての説明は、初回曝露後に処置した患者の1〜10%で短時間内に起こる肝臓酵素の無症候性の増加、ならびにより重篤な応答の比較的頻繁でない発生を含むべきである。免疫媒介性メカニズムにケトコナゾールを結び付ける一貫した証拠は存在しない。 用量とヒトにおける肝毒性の間の関連性は説明されていないが、AUCとウサギにおける肝損傷の間には明確な相関が存在する(Ma et al. (2003)「Hepatotoxicity and toxicokinetics of ketoconazole in rabbits」Acta Pharmacol Sin 24(8): 778-82)。これらの著者は、ウサギにおいて、40mg/kgケトコナゾールが肝細胞において形態学的変化および血清中で肝臓酵素の増加を誘導することを報告した。この用量は、1年間のイヌ研究において試験した最高用量と比較し得る。急性インビトロ肝毒性は他の研究者によって研究された(Rodriguez and Acosta 1997、前出およびRodriguez and Acosta (1997)「N-deacetyl ketoconazole-induced hepatotoxicity in a primary culture system of rat hepatocytes」Toxicology 117(2-3): 123-31)。これらの研究において、ラット肝細胞は、0.5時間〜4時間の範囲の間、増加用量のケトコナゾール(200マイクロMまで)の存在下で培養された。これらの著者らは、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の放出に対する用量と時間の両方の要素が存在したことを見い出した。研究した最長時間(4時間)の曝露において、75マイクロM(39μg/mL)よりも下の濃度ではケトコナゾールの検出可能な効果は存在しなかった。ケトコナゾールの代謝物(詳細には、脱アセチル化ケトコナゾール(DAK))が、ケトコナゾールよりも強力なミトコンドリア阻害剤であることの前臨床動物モデルからの示唆もまた存在する(Rodriquez and Acosta (1996)「Inhibition of mitochondrial function in isolated rat liver mitochondria by azole antifungals」J Biochem Toxicol 11(3): 127-31)。コハク酸デヒドロゲナーゼのDAK阻害についてのインビトロIC50は、ヒトにおける400mg用量後の12.3マイクロMの代謝されないケトコナゾールのCmaxと比較して、350マイクロMである(Huang et al. (1986)「Pharmacokinetics and dose proportionality of ketoconazole in normal volunteers」Antimicrob Agents Chemother 30(2): 206-10)。これらのおよび関連するケトコナゾール(および代謝物)の直接的な効果は、一般的な集団よりも有意に感受性である患者が存在した場合に、特異体質反応をもたらすことができた。 ここでおよび実施例2において提供される材料は、ケトコナゾール誘導性の肝毒性の鍵となる要素がCYP7Aの阻害であることを示す。DIO-902は、他のエナンチオマー2R,4S(IC50=0.195マイクロM)よりもCYP7Aに関して12倍高いIC50を有し(IC50=2.4マイクロM)(Rotstein et al., 1992、前出)、そしてラセミ化合物について見られる薬物濃度の時間依存性の増加を受けないので、DIO-902は肝臓反応の有意により低い発生と関係がある。上記に述べられるように、2つの効果は相互作用的である;すなわち、ラセミ化合物はDIO-902よりも多く蓄積し、ラセミ化合物のより高い薬物蓄積は、無細胞アッセイから暗示されるものよりもさらにより多くの、CYP7Aに対する相対的な阻害効果をもたらす。ラセミケトコナゾールによるCYP7Aの阻害は、胆汁酸合成の減少および結果としての胆汁流の減少、ならびに潜在的に毒性の代謝物の増加を通して、間接的に肝臓反応を引き起こし得る。ケトコナゾールは、潜在的に肝毒性のオキシステロールのレベルを直接的に増加させることによって、このプロセスをさらに悪化させ得る。 ラセミケトコナゾールは、CYP7Aの阻害を通してラットにおいて胆汁形成を阻害する(Princen et al., 1986、前出)(胆汁合成は、コレステロールが基質として使用されるときにはブロックされるが、7α-コレステロールが基質として使用されるときにはブロックされない)。ケトコナゾールによる胆汁酸合成の阻害は、肝細胞に対する直接的な効果である(Whiting et al (1989)「Bile acid synthesis and secretion by rabbit hepatocytes in primary monolayer culture: comparison with rat hepatocytes」Biochim Biophys Acta 1001(2): 176-84)。胆汁流もまたケトコナゾールによって減少され、内因性代謝物(コレステロール)(Princen et al. 1986、前出)および生体異物(ブロモスルホフタレイン(Gaeta and Tripodi 1987、前出))の胆汁へのクリアランスが減少される。ケトコナゾールが胆汁に排出されるので、ケトコナゾールがそれ自体のクリアランスを阻害し、そして血漿濃度の増加をもたらす可能性があることが予想される。この薬物濃度の増加は、ヒトおよびイヌにおいて述べられてきた。CYP7A阻害が機能的胆汁うっ滞(胆汁酸合成および胆汁流の減少)を引き起こすことは、CYP7Aが胆汁酸合成の律速段階であり、胆汁酸合成が胆汁流についての律速であるらしいという認識と一致している。ヒトにおいては、機能的CYP7Aの遺伝的非存在は、糞便の胆汁酸の深刻な減少を引き起こし(Pullinger et al. 2002、前出)、そしてマウスにおいては、CYP7Aの遺伝的非存在は、胆汁うっ滞を引き起こし得る(Arnon et al. (1998)「Cholesterol 7-hydroxylase knockout mouse: a model for monohydroxy bile acid-related neonatal cholestasis」 Gastroenterology 115(5): 1223-8)。 CYP7A阻害、胆汁うっ滞、および肝損傷の間の関係もまた、実験ツールとしてケトコナゾールを使用しない他の齧歯類モデルと一貫している。従って、ラットにおけるエチニルエストラジオール誘導性の胆汁うっ滞は、胆汁流、肝臓胆汁酸含量、および肝臓コレステロール含量の抑制と相関する。エポメジオールは、エチニルエストラジオール誘導性の胆汁うっ滞を妨害し、有意な(少しではあるが)逆転をこれらの3つの尺度において生じる。CYP7A活性は、エチニルエストラジオールによって抑制され、エポメジオールによって正常に戻った(Cuevas et al. (2001)「Effect of epomediol on ethinyloestradiol-induced changes in bile acid and cholesterol metabolism in rats」Clin Exp Pharmacol Physiol 28(8): 637-42)。ケトコナゾールは処置した患者においてヒトミクロソームCYP7Aを阻害し、ヒト肝細胞による胆汁酸合成を減少し(Princen et al. 1986、前出)、そして胆汁酸産生を阻害する(Miettinen 1988、前出)。機能的胆汁うっ滞は、オキシステロール(下記)およびビリルビンなどの内因性代謝物のクリアランスの減少を通して、およびケトコナゾールなどの外因性代謝物のクリアランスの減少によって、引き続く肝損傷を引き起こし得る。 上記に述べられたCYP7Aのケトコナゾール媒介阻害の広範な影響に加えて、オキシステロールのクリアランスの減少を通したより特異的な効果が存在し得る。オキシステロール(ヒドロキシル化ステロール)は、コレステロールへの前駆体として、またはコレステロールの引き続く水酸化を経由して形成される。これらは、胆汁酸への転換を経由して、または胆汁に溶解されて、肝臓から除去される。胆汁酸へのオキシステロールの転換を開始することができる最も豊富なヒト酵素はCYP7Aであり(Norlin et al. (2000)「Oxysterol 7 alpha-hydroxylase activity by cholesterol 7 alpha-hydroxylase (CYP7A)」J Biol Chem 275(44): 34046-53)、そして上記に述べられるように、ケトコナゾールはこの酵素を阻害することができ、ならびにあるオキシステロールのレベルを増加することができる(Miettinen 1988、前出)。転換が失敗するか、または胆汁流が低下するならば、オキシステロールは蓄積することができ、肝損傷が起こる可能性がある。オキシステロールは、肝臓癌細胞株を含む種々の細胞型に対して細胞毒性である(Hietter et al. (1984)「Antagonist action of cholesterol towards the toxicity of hydroxysterols on cultured hepatoma cells」Biochem Biophys Res Commun 120(2): 657-64; Leighton et al. (1991)「Activation of the silent endogenous cholesterol-7-alpha-hydroxylase gene in rat hepatoma cells: a new complementation group having resistance to 25-hydroxycholesterol」Mol Cell Biol 11(4): 2049-56; O'Callaghan et al. 1999)「Oxysterol-induced cell death in U937 and HepG2 cells at reduced and normal serum concentrations」Eur J Nutr 38(6): 255-62)。より詳細には、1つの研究は、H35ラット肝臓癌細胞が25-ヒドロキシコレステロールの存在下で死滅すること、および25-ヒドロキシコレステロールに対する抵抗性をヒトCYP7の発現によって引き起こすことができることを報告している。ケトコナゾールは、このCYP7媒介性抵抗性を無効にする(Leighton et al. 1991、前出)。 ケトコナゾール媒介CYP7A阻害後の胆汁酸合成の減少およびオキシステロールの増加の規模は、CYP7B(オキシステロール7αヒドロキシラーゼ)のレベルに依存する。CYP7Bは遺伝的および生理学的制御下にあるので(Ren et al. (2003)「Regulation of oxysterol 7alpha-hydroxylase (CYP7B1) in the rat」Metabolism 52(5): 636-42; Jakobsson et al. (2004)「A functional C-G polymorphism in the CYP7B1 promoter region and its different distribution in Orientals and Caucasians」Pharmacogenomics J 4(4): 245-50)、ヒト集団において活性のスペクトルが存在する可能性があり、ケトコナゾール処置された患者のある割合において、CYP7Bのレベルは、CYP7Aのケトコナゾール媒介抑制を補償するために不十分であることが予測され得る。CYP7A活性が有意に減少されるならば、不十分なCYP7Bが肝損傷を引き起こすことが知られている。この不十分さの極端な末路としては、CYP7Bの完全な欠如が致命的であり得る。従って、1つの研究は、CYP7Bの機能的コピーを欠く幼児において発生した致命的な肝損傷において報告された。肝損傷は、直接的な毒性効果として、ならびに胆汁酸の形成の阻害から、およびおそらく、酸化剤ストレスの誘導から起こることが示唆された。蓄積しているオキシステロールは、CYP7Aが幼児においては発現されないため、この酵素によってさらに代謝できない(Setchell et al. (1998)「Identification of a new inborn error in bile acid synthesis: mutation of the oxysterol 7alpha-hydroxylase gene causes severe neonatal liver disease」J Clin Invest 102(9): 1690-703)。 ケトコナゾールを用いて処置したヒト患者においてなされた観察は、なぜ患者の1つのサブセットのみが一過性の軽度の血清肝臓酵素増加を発生し、およびさらにより小さなサブセットがより重篤な反応を発症するかについての説明を必要とする。ケトコナゾールへの最初の曝露の際に、CYP7Aが阻害され、胆汁形成が減少され、そしてオキシステロールおよび他の潜在的に毒性の代謝物が蓄積し始めるという可能性がある。患者の大多数において、CYP7Bは十分なレベルで発現され、または十分に迅速に誘導され、肝損傷は検出できない。CYP7Aの完全な非存在下で、胆汁酸合成の代替的な経路は上方制御されることが実証されてきた(Pullinger et al. 2002、前出)。このモデルにおいて、約1%〜10%の個体において、CYP7Bはより低いレベルで発現され、および/またはCYP7Bの誘導は遅延され、結果として、わずかな肝損傷が起こる。しかし、次いでCYP7Bが上方制御され、ケトコナゾールの連続した曝露においてでさえ、損傷は限定され、消失する。より少数の患者においては、CYP7Bの誘導は、CYP7Aの阻害を補償するためには不十分であり得、より深刻な肝損傷が起こる。特定の感受性のある患者においては、ケトコナゾール媒介性CYP7A阻害は、ケトコナゾールの蓄積および直接的な毒性を開始するために十分に高い薬物濃度に導くことができた。 ケトコナゾールが重要な市販されている抗真菌薬物であり、ケトコナゾールによって引き起こされる肝臓反応が生命を脅かす可能性があるにも関わらず、ケトコナゾールをCYP7Aの阻害を通しての肝臓反応に直接的に結び付けるいかなる証拠の文献も存在しないこと、および2S,4RエナンチオマーがCYP7Aに対するこのエナンチオマーのより低いIC50に基づいてより安全な薬物であることを示唆する、文献における報告が存在しないことに注目することは重要である。米国特許第6,040,307号は、凍結組織に由来する肝ミクロソームを利用する、薬物が肝毒性を誘導することができるか否かを決定するための方法を記載する。しかし、肝毒性は、無傷の生の肝細胞を使用してのみ、好ましくは生きている動物中で測定することができる。 ここでおよび実施例3において提供される材料は、ラセミケトコナゾールによって引き起こされる肝臓反応についての内部的に一貫しているメカニズムを提供する。DIO-902は、CYP7Aに対して2R,4Sエナンチオマーよりも12倍低いIC50を有するので、DIO-902で処置された患者は、有意により低い肝臓反応の発生を有する。ヒトにおいて到達される関連薬物の濃度、2つのエナンチオマーの血漿中での相対レベル、および関連するIC50レベルはこの可能性と一致している。200mgのラセミ化合物の5回のBID用量後の2つのエナンチオマーについての薬物動態学的プロフィールが得られた。2R,4Sエナンチオマーについては、CYP7AについてのIC50は0.195マイクロMであり、薬物の肝臓内濃度が総血漿薬物濃度の約20%であるならば(Venkatakrishnan et al. (2000)「Effects of the antifungal agents on oxidative drug metabolism: clinical relevance」Clin Pharmacokinet 38(2): 111-80)、エナンチオマーは、肝臓内CYP7Aを効果的に阻害するために、約1マイクロM(約0.5マイクロg/mL)の総血漿濃度に到達しなければならない。これは、200mgのラセミ化合物を用いる投薬後のこのエナンチオマーの濃度の中にある。対照的に、DIO-902は2.4マイクロMのIC50を有する。従って、同様の薬物利用能を仮定すると、CYP7Aを阻害するためのDIO-902のために必要である総血漿濃度は、有意には12マイクロM(約6.3マイクロg/mL)である。DIO-902について有意により多くの曝露を用いた場合でさえ、このエナンチオマーのCmaxはこのレベルの65%に過ぎず、従って、CYP7Aは、これらの用量においてはDIO-902によって阻害される可能性は低い。G. DIO-902の臨床研究 2型糖尿病を有する患者におけるフェーズ1試験を、DIO-902の安全性および耐容性を調べるために行うことができる。このような試験の概要を以下に提供する。このような試験は、2R,4Sエナンチオマーを実質的に含まない、投与されたケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーの最初のヒト臨床研究である。第1の目的は、2型糖尿病を有する被験体において14日間用量の2S,4Rエナンチオマーの安全性および耐容性を評価することである。第2の目的は、単回投薬後および14日間の毎日の投薬の後での2S,4Rエナンチオマーの血漿中での薬物動態学的(PK)プロフィールを決定することである。加えて、血圧、コレステロール、血漿および唾液コルチゾール、コルチゾール結合グロブリン、血糖コントロールの尺度(フルクトサミン、連続グルコースモニタリング、インスリンレベル、および絶食血液グルコース)、ならびに血漿遊離脂肪酸の変化によって反映されるような、2S,4Rエナンチオマーの14日間の毎日の用量の薬力学的活性を測定する。 七つの(7)用量群を研究する。6例の被験体を各用量群に含める。用量群は以下の通りである: ケトコナゾール 400 mg po(経口) QD(毎日) 2S,4Rエナンチオマー200 mg po QD 2S,4Rエナンチオマー400 mg po QD 2S,4Rエナンチオマー600 mg po QD 2S,4Rエナンチオマー800 mg po QD 2S,4Rエナンチオマー400 mg po BID プラセボ po QD ケトコナゾールの用量は、真菌感染における使用のための製品ラベルにおける推奨される最大用量に基づく。研究される2S,4Rエナンチオマーの用量レベルは、50%のラセミケトコナゾールがエナンチオマー2S,4Rであるという知見、製品ラベルにおいて推奨されるものよりも有意に高い用量のラセミケトコナゾールを用いた広範な臨床的経験、イヌにおけるラセミケトコナゾールおよび2S,4Rエナンチオマーの毒物動態学プロフィール、ならびにイヌにおける28日間の2S,4Rエナンチオマーの毒物動態学研究に基づく。2S,4Rエナンチオマーおよびラセミケトコナゾールは、経口投与のための200mg錠剤として供給する。2S,4Rエナンチオマー錠剤とラセミケトコナゾール錠剤の両方に一致するプラセボ錠剤もまた供給する。 本発明は、上記に詳細にかつ例示して記載されてきたが、広範な種々の態様を有する:結果として、本発明の特定の態様が本明細書で詳細に記載されてきたが、多数の代替的な態様が、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。 本明細書で引用されるすべての刊行物および特許文書(特許、公開特許出願、および非公開の特許出願)は、各々のこのような刊行物または文書が、具体的にかつ個別に参照により本明細書に組み入れられることが示されるように、参照により本明細書に組み入れられる。刊行物および特許文書の引用は、任意のこのような文書が適切な先行技術であることの認可として意図するものではなく、またこれらの内容もしくは日付に関するいかなる認可を構成するものでもない。血漿コルチコステロンに対する、4種のケトコナゾールエナンチオマー、2S,4S、2R,4R、2R,4S、および2S,4Rの効果を示す。この図は、2S,4Rエナンチオマーが、コルチコステロンを低下させる際に、他の3種のエナンチオマーのどれよりも有効であることを示す。Sprague-Dawleyラットの血漿中のコルチコステロンの濃度は、示されたエナンチオマーの200mg/kgの経口胃管栄養法による送達の4時間後に決定した。血漿コルチコステロンに対する、ラセミケトコナゾールならびに2種のシスエナンチオマー、2R,4Sおよび2S,4Rの効果を示す。2S,4Rエナンチオマーは、ラセミケトコナゾールまたはラセミケトコナゾール中に存在する他のエナンチオマー(2R,4S)のいずれかよりも、コルチコステロンを低下させる際により有効である。Sprague-Dawleyラットの血漿中のコルチコステロンの濃度は、ラセミケトコナゾールまたはラセミケトコナゾール中に存在する2種のエナンチオマー(2S,4Rおよび2R,4S)のいずれかの示された量の経口胃管栄養法による送達の4時間後に決定した。血漿コルチコステロンの低下の時間経過に対する、ラセミケトコナゾールならびに2種のエナンチオマー、2R,4Sおよび2S,4Rの効果を示す。2S,4Rエナンチオマーは、ラセミケトコナゾールまたはラセミケトコナゾール中に存在する他のシスエナンチオマー(2R,4S)のいずれかよりも、コルチコステロンを低下させる際により有効である。Sprague-Dawleyラットの血漿中のコルチコステロンの濃度は、ラセミケトコナゾールまたはラセミケトコナゾール中に存在する2種のエナンチオマー(2S,4Rおよび2R,4S)のいずれかの200mg/kgの経口胃管栄養法による送達後の示された時間に決定した。イヌにおけるラセミケトコナゾールの薬物動態学的プロフィールに対するケトコナゾールへの事前の曝露の効果を示す。ラセミケトコナゾールの薬物動態学的プロフィールは、ラセミケトコナゾールへの事前の曝露によって明確に変化される。28日間毎日ラセミケトコナゾール(2つの異なる型:オリーブ油中の懸濁液および固形錠剤型で)を投薬したイヌの血漿中のラセミケトコナゾールの濃度は、1回のみ処置したイヌの血漿中のラセミケトコナゾールの濃度よりも有意に高い。イヌにおけるラセミケトコナゾールの薬物動態学的プロフィールに対するラセミケトコナゾールへの事前の曝露の効果を示す。ラセミケトコナゾールの曲線下面積(AUC)は、ラセミケトコナゾールへの事前の曝露によって増加される。図4に示される薬物動態学的プロフィールのAUCは台形公式に従って計算した。ラセミケトコナゾールのAUCは、1回のみ処置したイヌと比較した場合に、28日間毎日処置したイヌにおいて有意に高い。AUCの増加は、ラセミケトコナゾールが投与された型に依存しない。イヌにおけるケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーの薬物動態学的プロフィールに対する、ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーへの事前の曝露の効果を示す。ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーの薬物動態学的プロフィールは、ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーへの事前の曝露によって変化されない。2S,4Rエナンチオマーを1回のみ投薬したか、または28日間毎日投薬したかのいずれかのイヌの血漿中のケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーの濃度は、1回のみ処置したイヌと比較して、28日間処置したイヌにおいて増加しなかった。イヌにおけるケトコナゾールの2S,4RエナンチオマーのAUCに対する、ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーへの事前の曝露の効果を示す。ケトコナゾールの2S,4RエナンチオマーのAUCは、ケトコナゾールの2S,4Rエナンチオマーへの事前の曝露によって増加されない。ケトコナゾールの2S,4RエナンチオマーのAUCは、1回のみ処置したイヌと比較して、28日間毎日処置したイヌにおいて同一である。 上昇したコルチゾールのレベルまたは活性と関連する疾患または状態の治療、発症の遅延または進行のリスクの低減のための医薬であって、該医薬を投与された対象において有意な薬剤の蓄積を伴わない医薬の製造における、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの使用であって、該医薬のケトコナゾールの総含量の少なくとも80%が2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーからなる、使用。 疾患または状態が高脂血症、糖尿病、高インスリン血症、高血圧およびインスリン抵抗性からなる群より選択される、請求項1記載の使用。 疾患または状態が2型糖尿病である、請求項2記載の使用。 疾患または状態がメタボリック症候群である、請求項1記載の使用。 疾患または状態が肥満である、請求項1記載の使用。 疾患または状態が内臓性または救心性の肥満である、請求項5記載の使用。 疾患または状態が、異常脂質血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、および高LDLレベルからなる群より選択される脂質障害である、請求項1記載の使用。 疾患または状態がアテローム性動脈硬化症である、請求項1記載の使用。 疾患または状態が、(1)低血糖、(2)脂質障害、(3)血管再狭窄、(4)膵炎、(5)腹部肥満、(6)神経変性疾患、(7)網膜症、(8)腎症、および(9)神経障害からなる群より選択される、請求項1記載の使用。 該医薬が、さらに、(a)DPP-IV阻害剤;(b)(i)PPARアゴニストおよび(ii)ビグアニドからなる群から選択されるインスリン増感剤;(c)インスリンおよびインスリンアナログおよび模倣物;(d)スルホニル尿素および他のインスリン分泌促進物質;(e)α-グルコシダーゼ阻害剤;(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト;(g)GLP-1、GLP-1アナログおよび模倣物、ならびにGLP-1受容体アゴニスト;(h)GIP、GIPアナログおよび模倣物、ならびにGIP受容体アゴニスト;(i)PACAP、PACAPアナログおよび模倣物、ならびにPACAP受容体3アゴニスト;(j)(i)HMG-CoA還元酵素阻害剤;(ii)金属イオン封鎖剤;(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸およびその塩;(iv)PPARαアゴニスト;(v)PPARα/γ二重アゴニスト;(vi)コレステロール吸収の阻害剤;(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤;および(viii)抗酸化剤からなる群から選択されるコレステロール低下剤;(k)PPARδアゴニスト;(l)抗肥満化合物;(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;(n)糖質コルチコイドを排除した抗炎症剤;および(o)タンパク質チロシンホスファターゼ-1B(PTP-1B)阻害剤からなる群から選択される1または複数の化合物を含む、請求項1乃至9のいずれか一項記載の使用。 該医薬が、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および異常脂質血症からなる群から選択される疾患または状態の治療のためのものであり、且つ該化合物が、HMG-CoA還元酵素阻害剤である、請求項10記載の使用。 該医薬が、患者においてアテローム性動脈硬化症の発症の遅延または進行のリスクの低減のためのものであり、且つ該化合物が、HMG-CoA還元酵素阻害剤である、請求項10記載の使用。 HMG-CoA還元酵素阻害剤がスタチンである、請求項11または12記載の使用。 スタチンが、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン(rosuvastatin)、イタバスタチン(itavastatin)、ZD-4522、およびリバスタチン(rivastatin)からなる群より選択される、請求項13記載の使用。 該医薬が、患者においてアテローム性動脈硬化症の発症の遅延または進行のリスクの低減のためのものであり、且つ該医薬が、コレステロール吸収阻害剤をさらに含む、請求項13または14記載の使用。 コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、請求項15記載の使用。 該医薬が、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症、および異常脂質血症、またはこのような状態の続発症から選択される疾患または状態の治療のためのものであり、且つ該化合物が、HMG-CoA還元酵素阻害剤である、請求項10記載の使用。 上昇したコルチゾールのレベルまたは活性と関連する疾患または状態の治療、発症の遅延または進行のリスクの低減のための医薬であって、該医薬を投与された対象において有意な薬剤の蓄積を伴わない医薬の製造における、(I)2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーおよび(II)1若しくは複数の化合物の使用であって、 該医薬のケトコナゾールの総含量の少なくとも80%が2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーからなり、 該1若しくは複数の化合物が、(a)DPP-IV阻害剤;(b)(i)PPARアゴニストおよび(ii)ビグアニドからなる群から選択されるインスリン増感剤;(c)インスリンおよびインスリンアナログおよび模倣物;(d)スルホニル尿素および他のインスリン分泌促進物質;(e)α-グルコシダーゼ阻害剤;(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト;(g)GLP-1、GLP-1アナログおよび模倣物、ならびにGLP-1受容体アゴニスト;(h)GIP、GIPアナログおよび模倣物、ならびにGIP受容体アゴニスト;(i)PACAP、PACAPアナログおよび模倣物、ならびにPACAP受容体3アゴニスト;(j)(i)HMG-CoA還元酵素阻害剤;(ii)金属イオン封鎖剤;(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸およびその塩;(iv)PPARαアゴニスト;(v)PPARα/γ二重アゴニスト;(vi)コレステロール吸収の阻害剤;(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤;および(viii)抗酸化剤からなる群から選択されるコレステロール低下剤;(k)PPARδアゴニスト;(l)抗肥満化合物;(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;(n)糖質コルチコイドを排除した抗炎症剤;および(o)タンパク質チロシンホスファターゼ-1B(PTP-1B)阻害剤からなる群から選択される化合物であり、ならびに 該医薬は、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーおよび該化合物が、同時または連続的に対象に投与されるように組み合わせて用いられることを特徴とする医薬である、使用。 疾患または状態が、高脂血症、糖尿病、高インスリン血症、高血圧およびインスリン抵抗性からなる群より選択される、請求項18記載の使用。 疾患または状態が、2型糖尿病である、請求項19記載の使用。 疾患または状態が、メタボリック症候群である、請求項18記載の使用。 疾患または状態が、肥満である、請求項18記載の使用。 疾患または状態が、内臓性または救心性の肥満である、請求項22記載の使用。 疾患または状態が、異常脂質血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、および高LDLレベルからなる群より選択される脂質障害である、請求項18記載の使用。 疾患または状態が、アテローム性動脈硬化症である、請求項18記載の使用。 疾患または状態が、(1)低血糖、(2)脂質障害、(3)血管再狭窄、(4)膵炎、(5)腹部肥満、(6)神経変性疾患、(7)網膜症、(8)腎症、および(9)神経障害からなる群より選択される、請求項18記載の使用。 該医薬が、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および異常脂質血症からなる群から選択される疾患または状態の治療のためのものであり、且つ該化合物が、HMG-CoA還元酵素阻害剤である、請求項18記載の使用。 該医薬が、患者においてアテローム性動脈硬化症の発症の遅延または進行のリスクの低減のためのものであり、且つ該化合物が、HMG-CoA還元酵素阻害剤である、請求項18記載の使用。 HMG-CoA還元酵素阻害剤がスタチンである、請求項27または28記載の使用。 スタチンが、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン(rosuvastatin)、イタバスタチン(itavastatin)、ZD-4522、およびリバスタチン(rivastatin)からなる群より選択される、請求項29記載の使用。 該医薬が、患者においてアテローム性動脈硬化症の発症の遅延または進行のリスクの低減のためのものであり、且つ該医薬が、さらにコレステロール吸収阻害剤と組み合わせて用いられることを特徴とする、請求項29または30記載の使用。 コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、請求項31記載の使用。 該医薬が、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症、および異常脂質血症、またはこのような状態の続発症から選択される疾患または状態の治療のためのものであり、且つ該化合物が、HMG-CoA還元酵素阻害剤である、請求項18の使用。 疾患または状態が、うつ病、クッシング症候群、緑内障、脳卒中、アルツハイマー病、認知障害、神経障害、痴呆、インスリン分泌の減少、眼圧の上昇、腎機能の損傷、腎不全、アルブミンの漏出、早発性心臓血管疾患、結核または乾癬である、請求項1記載の使用。 コルチゾールレベルの上昇によって特徴付けられる状態を有すると診断された患者においてコルチゾールレベルを減少させる医薬であって、該医薬を投与された患者において有意な薬剤の蓄積を伴わない医薬の製造における2R,4Sケトコナゾールエナンチオマーの使用であって、該医薬が、2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーの一定の日用量の投与により、少なくとも14日間または少なくとも28日間の期間にわたり、1-アセチル-4-[4-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-[(1H-イミダゾール-1-イル)-メチル]-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ]フェニル]ピペラジンが患者に定常的に曝露されるように用いられることを特徴とし、該医薬のケトコナゾールの総含量の少なくとも80%が2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーからなる、使用。 少なくとも14日間または少なくとも28日間の期間が1日目に開始し、該患者は、1-アセチル-4-[4-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-[(1H-イミダゾール-1-イル)-メチル]-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ]フェニル]ピペラジンを、該1日目より前の少なくとも28日間または少なくとも6か月間、投与されていない、請求項35記載の使用。 疾患または状態が、高血糖、糖尿病、またはインスリン抵抗性であり、患者が真菌感染の治療中でない、請求項35または36記載の使用。 該医薬のケトコナゾールの総含量の少なくとも90%が2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーからなる、請求項1乃至37のいずれか一項記載の使用。 該医薬のケトコナゾールの総含量の少なくとも99%が2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーからなる、請求項38記載の使用。 該医薬のケトコナゾールの総含量の少なくとも99.5%が2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーからなる、請求項39記載の使用。 該医薬のケトコナゾールの総含量の少なくとも99.9%が2S,4Rケトコナゾールエナンチオマーからなる、請求項40記載の使用。


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