タイトル: | 特許公報(B2)_免疫グロブリンの精製方法 |
出願番号: | 2007546603 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | B01J 20/24,C07K 1/18,C07K 1/20,C07K 1/22,C07K 16/00 |
ベルグ,ハンス ヨハンソン,ハンス・ジェイ マルムキスト,ガンナー オバーグ,パー・ミカエル JP 5787461 特許公報(B2) 20150807 2007546603 20051212 免疫グロブリンの精製方法 ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグ 597064713 荒川 聡志 100137545 小倉 博 100105588 黒川 俊久 100129779 ベルグ,ハンス ヨハンソン,ハンス・ジェイ マルムキスト,ガンナー オバーグ,パー・ミカエル SE 0403057-3 20041214 US 60/638,316 20041222 20150930 B01J 20/24 20060101AFI20150910BHJP C07K 1/18 20060101ALI20150910BHJP C07K 1/20 20060101ALI20150910BHJP C07K 1/22 20060101ALI20150910BHJP C07K 16/00 20060101ALI20150910BHJP JPB01J20/24 CC07K1/18C07K1/20C07K1/22C07K16/00 B01J 20/00 - 20/34 特表2000−508361(JP,A) 特表2000−500649(JP,A) 特表平9−506067(JP,A) Design of a New Chromatography Base Matrix for Future Purification Scenarios,Amersham社技術文献,2001年,18−1155−90 Edition AA AffinityChromatography, Principles & Methods,Pharmacia株式会社,1988年,pp.16−19 MabSelect Xtra,2007年,pp.1−8,URL,http://www.gelifesciences.co.jp/catalog/pdf/11001157.pdf 8 SE2005001900 20051212 WO2006065208 20060622 2008523140 20080703 17 20081021 2013013371 20130712 大橋 賢一 河原 英雄 真々田 忠博 本発明は抗体の単離に関するものであり、具体的には抗体の単離及び/又は分離用の分離マトリックスの分野に関する。本発明は、本発明の分離マトリックスを含むクロマトグラフィーカラム、該分離マトリックスを用いて抗体を分離する方法、及び粗供給原料から抗体を大規模精製するための多段階法も含む。 免疫系は、細菌、寄生虫、真菌、ウイルスの感染及び腫瘍細胞の増殖から身体を共同で保護する多数の相互依存的な細胞型からなる。免疫系の護衛は、宿主の血流を絶えず巡回するマクロファージである。感染又は免疫化に脅かされると、マクロファージは抗原として知られる異分子で標識された侵入者を飲み込むことによって応答する。ヘルパーT細胞で媒介されるこの事象は、一連の複雑な応答を起こしてB細胞を刺激する。すると、これらのB細胞は抗体と呼ばれるタンパク質を産生し、抗体が外来侵入者に結合する。抗体と抗原との結合事象で外来侵入者が標識され、食作用又は補体系の活性化によって破壊される。IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つの異なるクラスの抗体又は免疫グロブリンが存在する。これらは生理学的役割だけでなく構造においても異なる。構造の面では、IgG抗体が、成体の免疫応答において主要な役割を果たすことから、免疫グロブリンの中では最も広範に研究されてきたクラスである。 免疫グロブリンのもつ生物活性は、現在では、ヒト及び動物の診断、健康管理及び治療分野の様々な用途に利用されている。実際この数年において、モノクローナル抗体及び組換え抗体構築物は、現在治療薬及び診断薬として臨床試験で検査され米国医薬品食品局(FDA)の認可を受けたタンパク質として最大のクラスとなっている。発現系及び産生計画を補足するものとして、高純度抗体を簡単かつ経済的に得るための精製プロトコルが設計されている。 免疫グロブリンの従来の単離法は、他のタンパク質群を溶解したまま、免疫グロブリンを含むタンパク質画分を選択的に可逆沈殿させることに基づく。典型的な沈殿剤は、エタノール、ポリエチレングリコール、硫酸アンモニウムやリン酸カリウムのようなリオトロピック塩(すなわち反カオトロピック塩)、及びカプリル酸である。通例、これらの沈殿法は極めて不純な生成物を生じるだけでなく、多大な時間と労力を要する。さらに、原料に沈殿剤を添加すると、上清を他の目的に使用するのが難しくなるだけでなく、廃棄処理の問題を生じる。廃棄処理の問題は、免疫グロブリンの大規模精製では特に重要となる。 イオン交換クロマトグラフィーは、免疫グロブリンの単離に多用される周知のタンパク分画法である。しかし、荷電イオン交換リガンドは、反対の電荷をもつ化合物すべてと反応するので、イオン交換クロマトグラフィーの選択性は他のクロマトグラフィー分離よりも幾分低くなることがある。 免疫グロブリンの単離に関して記載されている別の方法として、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)がある。しかし、疎水性マトリックスは、免疫グロブリンを効率的に結合させるために原料へのリオトロピック塩の添加を必要とする。結合した抗体は、リオトロピック塩の濃度を連続的又は段階的勾配で下げることによって、マトリックスから遊離する。高純度製品が目的とされる場合、疎水性クロマトグラフィーを追加の段階と組合せることが推奨される。そのため、この方法の短所は原料にリオトロピック塩を添加する必要があることである。これは、大規模ユーザーでは問題となり、コスト増加を招く。細胞培養上清以外の原料(例えば、ホエー、血漿及び卵黄)に関しては、原料へのリオトロピック塩の添加は、多くの場合大規模用途では用いることができない。塩を用いると、免疫グロブリン除去後の原料を経済的に使用できなくなるおそれがあるからである。大規模用途での追加の問題は、数千リットルの廃液の処理である。 チオフィリック吸着クロマトグラフィーは、免疫グロブリンの単離のための新規クロマトグラフィー吸着原理として1985年にJ.Porath(J.Porath et al; FEBS Letters, vol.185, p.306, 1985)によって導入された。この報文には、遊離メルカプト基を有する様々なリガンドをカップリングしたジビニルスルホン活性化アガロースが、0.5M硫酸カリウム(リオトロピック塩)の存在下で、どのように免疫グロブリンと特異的に結合するか記載されている。チオフィリッククロマトグラフィー用として記載されたマトリックスは概して良好な性能を示すが、免疫グロブリンを効率的に結合させるため原料にリオトロピック塩を添加するので、上述の短所を生じる。 アフィニティークロマトグラフィーは、生物学的機能又は個々の化学構造に基づいて生体分子を精製できる唯一の技術として、分離技術において比類のない強固な地位を占めている。高い選択性及び高い容量のため、この技術は複雑な生物混合物から特定の物質を単離するのに理想的である。アフィニティークロマトグラフィーでは、精製すべき分子を、不溶性担体に共有結合した相補結合物質を含むリガンドに特異的かつ可逆的に吸着させる。サンプルは、固定化リガンドへの特異的な結合が優勢となる条件下で流される。非結合物質を洗浄除去し、さらにその実験条件をその脱着に優勢な条件に変えることによって目的物質を回収する。アフィニティークロマトグラフィーは濃縮効果を有しているので、大量の試料を簡便に処理できる。プロテインA及びプロテインGアフィニティークロマトグラフィーは、主にその使い易さ及び得られる純度の高さのため、免疫グロブリン(特にモノクローナル抗体)の単離及び精製に広く用いられている方法である。 1982年にColbert他によって、プロテインA様物質をコードする遺伝子が報告されている。米国特許第5151350号に、かかる遺伝子のクローニング及び発現の成功例が初めて記載された。この遺伝子のクローニング及びそのヌクレオチド配列の同定によって、当業者は様々な宿主−ベクター系でのクローニングのための多数のプロテインA様物質のヌクレオチド配列を得ることができるようになった。かかる組換えプロテインA様材料及びそのサブフラグメントは、Fc領域でのIgGとの結合並びにポリクローナル抗体合成の活性化に関してプロテインAとしての特性を有する。従って、これらの物質はプロテインAと同様にクロマトグラフィーに有用である。医薬産業において、組換えプロテインAクロマトグラフィーの明らかな利点は、分離マトリックスが哺乳類由来残渣で汚染される危険性が解消され、医薬品が哺乳類由来痕跡物で汚染される危険性が解消されたことである。 米国特許第6399750号には、IgG結合媒体、具体的にはシステインを含有する組換えプロテインA(rプロテインA)を提示するベースマトリックス及びマトリックス結合基を有するIgG分離用媒体が開示されている。この基は式−B−X−rプロテインAのものであり、式中、Bはベースマトリックスと結合する橋かけ基であり、Xは組換えタンパク質由来のヘテロ原子N又はSを含む。好ましい実施形態では、Xはチオエーテルの硫黄に由来するもので、rプロテインAのシステインであるC末端残基も構成する。 多種多様なプロテインAクロマトグラフィー製品が市販されている。例えば、Millipore社(米国マサチューセッツ州ビラーカ)からは、Prosep−A High Capacity(黄色ブドウ球菌由来の天然型プロテインA)及びPROSEP−rPA High Capacity(大腸菌で発現させた組換えプロテインAを用いて製造)が市販されている。PROSEPマトリックスは、相互に連絡した細孔で透過性としたガラス粒子からなる。 McCue他(Journal of Chromatography A,989(2003)139−153:“Evaluation of protein A chromatography media”)では、細孔径の異なる2種類のプロテインA媒体が検討されている。細孔径の小さい材料で静電容量が大きいという知見が得られたが、これは比表面積が大きく、それに伴ってリガンド濃度が高いことに起因すると示唆されている。細孔径の小さい材料の方が動的結合容量が大きいという知見も得られている。 MabSelect(商標)はAmersham Biosciences社(スウェーデン国ウプサラ)から市販のプロテインAクロマトグラフィー製品であり、大量の原料からモノクローナル抗体を捕捉するのに特に適している。リガンドは、組換えプロテインAがC末端システインを介して架橋アガロース担体にカップリングしたものからなる。MabSelect(商標)のメジアン径は85μmである。 国際公開第2004/074211号(Amersham Biosciences AB)は、階層的多孔質構造を有する無機粒子の製造方法に関する。この方法では炭水化物粒子のような有機粒子は製造されない。 米国特許第5672276号(BioSepra Inc)は、修飾多孔質固体担体、並びにその製造方法及び使用方法に関する。具体的には、不動態化多孔質高分子担体が開示されており、生体分子との非特異的吸着又は相互作用を実質的に伴わない高い可逆的吸着容量を有することを特徴とする。多種多様な非不動態化多孔性固体マトリックスで、米国特許第5672276号に記載の不動態化を行うことができる。こうした多孔性マトリックスとしては、(i)無機酸化物担体、(ii)表面への疎水性ポリマーの薄膜保護皮膜の施工によって化学的に耐浸出性とした「安定化」無機酸化物担体、及び(iii)有機/ポリマー材料(特に疎水性ポリマー)のみからなる多孔性マトリックスが挙げられている。米国特許第5672276号には、多糖類誘導体(例えばアガロース、デキストラン、セルロースなどの誘導体)から作られた有機イオン交換体は数多くの短所をもつと記載されている。例えば、多糖類由来のイオン交換体は、機械的安定性がさほど高くなく、強酸に耐性でもない。そこで、この米国特許に記載の不動態化多孔性マトリックスは炭水化物材料のような多糖類とは異なると記載されている。 最後に、Meyer他の“Templating of porous polymeric beads to form porous silica and titania spheres”(Adv.Mater 2002(14)No23 pp.1768−72)には、無機粒子が記載されている。この報文には、抗体結合性タンパク質リガンドを結合した炭水化物粒子は開示されていない。米国特許第5151350号明細書米国特許第6399750号明細書米国特許第5672276号明細書国際公開第03/080655号パンフレットJ.Porath et al; FEBS Letters, vol.185, p.306, 1985J.McCue et al, Journal of Chromatography A,989(2003)139−153:“Evaluation of protein A chromatography media”Meyer et al,“Templating of porous polymeric beads to form porous silica and titania spheres” Adv. Mater 2002(14)No23 pp.1768−72 しかし、最先端の構造体であっても、純度、安全性、有効性及び経済性に関する要望を満足できる、抗体又は抗体構築物の精製のための代替分離マトリックスに対するニーズが依然として存在している。 発明の要旨 本発明の一態様は、ポリクローナル又はモノクローナル抗体の精製に適した新規分離マトリックスである。これは特許請求の範囲に定義した通り達成できる。 本発明の別の態様は、従来技術よりも抗体を迅速かつ経済的に精製できる分離マトリックスである。これは特許請求の範囲に記載の新規分離マトリックスで達成でき、クロマトグラフィーに用いると結合容量を実質的に増大させることができる。 本発明の別の態様は、上述の分離マトリックスであって大規模操作に適している。具体的な態様は、粗原料からの結合容量を実質的に増大させることのできる分離マトリックスである。 本発明のその他の態様は、本発明の分離マトリックスが充填されたクロマトグラフィーカラムである。 さらに別の態様は、本発明のクロマトグラフィーカラム、抗体精製に適した緩衝液及び使用説明書を備えるキットである。 さらに別の態様は、本発明の分離マトリックスを用いて液体から抗体を単離する方法である。分離マトリックスは、本発明の分離カラム内に準備してもよい。本発明の方法は、実質的に純粋な形態の特定の抗体種を得るのにも、或いは1種以上の不要な抗体が除去された液体を得るのにも有用である。 本発明のその他の態様及び利点は以下の詳細な説明から明らかとなろう。 定義 「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語は、本明細書では同義に用いられる。 「リガンド」という用語は、本明細書では、抗体のような目標化合物と相互作用し得る分子又は化合物を意味する。 「スペーサーアーム」又は「橋かけ基」という用語は、本明細書では、分離マトリックスの担体からリガンドを離隔する要素を意味する。分離マトリックスの担体は「ベースマトリックス」としても知られており、本明細書で用いる「分離マトリックス」という用語は分離媒体としても知られる。 「抗体結合性タンパク質」という用語は、本明細書では、結合機序とは無関係に、抗体と結合できるタンパク質を意味する。 「Fc結合性タンパク質」という用語は、抗体の結晶化可能部分(Fc)と結合できるタンパク質を意味し、例えばプロテインA及びプロテインG、或いはそれらの結合性能が高度に保持された断片、遺伝的誘導体若しくは融合タンパク質が挙げられる。 「溶出液」という用語は、当技術分野における通常の意味で用いられ、分離マトリックスから1種以上の化合物を遊離させるための適当なpH及び/又はイオン強度を有する緩衝液をいう。 Kavという用語はゲル相分配係数をいい、所定の大きさの分子に対する溶出又は保持容量VR(Veとも表される。)、空隙容量Vo及びカラムの幾何容量Vcから次式で算出される、カラムとは独立した変数である。 Kav=(VR−Vo)/(Vc−Vo)(例えば”Handbook of Process Chromatography,A Guide to Optimization,Scale−Up and validation”(1997) Academic Press, San Diego.Gail Sofer & Lars Hagel eds.ISBN0−12−654266−X,p.368参照)。 第一の態様では、本発明は、多孔質粒子に抗体結合性タンパク質リガンドを固定化してなる分離マトリックスであって、分子量110kDaのデキストランに対するKavで表されるベースマトリックスのゲル相分配係数が0.65超であり、メジアン粒径が65〜84μmである分離マトリックスに関する。一実施形態では、本発明は、多孔質粒子に抗体結合性タンパク質リガンドを固定化してなる分離マトリックスであって、リガンド密度が5.0〜10mg/mlであり、メジアン粒径が65〜84μmである分離マトリックスに関する。別の実施形態では、本発明は、多孔質粒子に抗体結合性タンパク質リガンドを固定してなる分離マトリックスであって、リガンド密度が5.0〜10mg/mlの範囲であり、分子量110kDaのデキストランに対するKavで表されるベースマトリックスのゲル相分配係数が0.65超であり、メジアン粒径が65〜84μmである分離マトリックスに関する。 一実施形態では、本発明の分離マトリックスのリガンドは抗体結合性タンパク質(例えばプロテインA、G及び/又はL)を含む。一実施形態では、リガンドはFc結合性タンパク質を含む。最も好適な実施形態では、Fc結合性タンパク質はプロテインAである。最良の実施形態では、上記リガンドは非哺乳類源で産生される組換えプロテインAを含む。本明細書では、プロテインAを「含む」という表現は、プロテインAのIgG結合性を保持したプロテインA又はその機能的等価物を包含するものと解すべきである。組換えプロテインAリガンドは、1又は複数の連結部(好ましくはシステイン)を介して粒子に結合し得る。別の実施形態では、リガンドはプロテインLのようなκ結合性タンパク質を含む。 具体的な実施形態では、本発明の分離マトリックスのリガンドはプロテインAドメインのモノマー、ダイマー又は多量体を含む。例えば、リガンドはドメインA、B、C、D及びE(好ましくはドメインB及び/又はドメインC)の1以上を含んでいてもよい。具体的な実施形態では、かかるダイマー又は多量体はプロテインZ(ドメインBの変異型)(例えば米国特許第5143844号(Abrahamsen et al)参照)を含む。本発明で得られる優れた結合容量を保持しつつ、定置洗浄(CIP)を図る好適な実施形態では、リガンドは1以上のアルカリ安定性プロテインA領域を含む。そこで、この実施形態では、リガンドは変異タンパク質を含んでおり、該プロテインA領域の1以上が変異している。例えば国際公開第03/080655号(Amersham Biosciences)参照、その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。別の実施形態では、リガンドはプロテインA由来のドメインCを1以上含む。アルカリ安定性モノマー又は多量体リガンドを含む分離マトリックスは、例えば国際公開第03/080655号(Amersham Biosciences)に記載の通り、当業者が容易に調製し得る。 別の実施形態では、本発明のリガンドは抗体結合性ペプチドである。そこで、この実施形態に係る分離マトリックスは多孔質粒子に抗体結合性タンパク質リガンドを固定化してなるもので、分子量110kDaのデキストランに対するKavで表されるベースマトリックスのゲル相分配係数が0.65超であり、メジアン粒径が65〜84μmである。 本発明のベースマトリックスは、ゲル相分配係数が上記の範囲内にある材料から作られた多孔質粒子からなるものであればよく、本明細書に記載した動的結合容量(DBC)が大幅に向上する。本発明の好適な実施形態では、粒子(すなわち分離マトリックスの担体)は、アガロース、寒天、セルロース、デキストラン、キトサン、コンニャク、カラギーナン、ジェラン及びアルギン酸塩のような架橋炭水化物材料から、逆相懸濁ゲル化(S Hjerten:Biochim Biophys Acta 79(2), 393−398(1964))のような常法で容易に製造できる。一実施形態では、炭水化物材料はSepharose(登録商標)(Amersham Biosciences社(スウェーデン国ウプサラ))のような高度架橋アガロースである。 本発明の最良の実施形態では、担体は機械的性質に優れ、圧力を過度に高めることなく流速を高めることのできる多孔性架橋アガロース材料である。この実施形態では、アガロースポリマーはゲル化前にアリル化される。かかるアガロース粒子は、米国特許第6602990号(Amersham Biosciences社(スウェーデン国ウプサラ))、スウェーデン国特許第0402322号(PCS/SE2005/001408)(Amersham Biosciences社(スウェーデン国ウプサラ))、又はスウェーデン国特許第0501610号(Amersham Biosciences AB、Uppsala Sweden)に記載された方法で調製できる。ある好適な実施形態では、粒子は米国特許第6602990号に記載の方法で調製される(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。)。簡潔に述べると、1つの活性部位と1つの不活性部位を有する二官能性架橋剤を、ゲル形成前にアガロース溶液に添加し、アガロースの水酸基と反応させて、アガロースと化学的に結合させる。この方法の第一段階では、多糖類の溶液又は分散液を形成する。水溶液を有機溶媒中で乳化して多糖類ゲルを形成した後、架橋剤の不活性部位を活性化して多糖類の水酸基と反応させる。この最初の架橋後に、追加の架橋を従来法で実施すればよい。 本発明の分離マトリックスの粒子は多分散系であり、30〜140μm、好ましくは43〜128μm、さらに好ましくは70〜84μmの範囲の粒径で規定し得る。当技術分野で常用される粒径の別の測定法は、累積体積分布のメジアン粒径(d50v)であり、本発明の分離マトリックスのd50vは65〜84μm(例えば約75μm)である。別の実施形態では、本発明の粒子は単分散系であり、74〜76μm(例えば75μm)の粒径で規定される。当技術分野で周知の通り、粒径は、エマルジョンのサンプルを取り出して顕微鏡観察で粒径を推計し、粒径が減少するように攪拌を調整することによって容易に制御できる。 リガンドは任意の周知の方法(例えばエポキシカップリング)を用いて本発明の粒子に固定化できる。具体的な実施形態では、リガンド密度は5〜10mg/mlである。密度(すなわち固定化リガンドの濃度)は当業者が容易に制御し得る。例えば、Hermanson,Greg T.,Mallia,A.Krishna,Smith,Paul K.Immobilized Affinity Ligand Techniques,p.118.Academic Press.ISBN0−12−342330−9参照。組換えプロテインAのようなプロテインAの具体的固定化法も、上記文献に記載されている。 そこで、本発明の分離マトリックスの一実施形態では、分子量110kDaのデキストランに対するKavで表される粒子のゲル相分配係数は、0.60超、好ましくは0.65超である。例えば、一実施形態では、分子量110kDaのデキストランに対するKavで表される粒子のゲル相分配係数は、0.60〜0.90、好ましくは0.65〜0.85、さらに好ましくは0.65〜0.75である。かかる担体のゲル相分配係数は、固形分の調整によって当業者が容易に制御し得る。細孔径の正確な値などではなく、Kav値を用いる理由は、アガロースのようなヒドロゲルでは、湿潤状態での細孔径を正確に測定するのが困難であり、ヒドロゲル乾燥後の推定細孔径が湿潤状態を正確には反映しないためである。 分離マトリックスの動的結合容量は、大規模処理に対する分離マトリックスの適性の良い指標であり、その値が向上すると経済性が大幅に改善される。一実施形態では、本発明は2.4分の滞留時間で40mg抗体/ml分離マトリックス超の動的結合容量を与える分離マトリックスである。具体的な実施形態では、分離マトリックスは35mg/ml超の動的結合容量、例えば35〜50mg/ml分離マトリックス(約39〜40mg/ml分離マトリックスなど)を与える。 そこで、本発明の分離マトリックスを上述のMabSelect(商標)のような従来技術の製品と比較すると、本発明ではゲル相分配係数が増加し、粒径が減少している。直接相関していなくても、ゲル相分配係数の増加(すなわち利用可能な粒子体積の増加)は細孔径の増加を伴うのが通常である。ただし、上述の通り、McCue他はJournal of Chromatography A,989(2003)139−153:“Evaluation of protein A chromatography media”の報文で、細孔径の減少によって動的結合容量が増加すると示唆している。このように、本発明の分離マトリックスの動的結合容量が大幅な増加することは、従来技術の教示に反するものであり、全く予想し得ないことであった。 本発明の分離マトリックスの最も好適な形態は粒子であるが、モノリス、フィルター又はメンブラン、チップ、表面、キャピラリーなどのその他の形態も本発明に包含される。 第二の態様では、本発明は上記の分離マトリックスを備えるクロマトグラフィーカラムに関する。カラムは従来の充填法でマトリックスを充填すればよく、流動床(expanded bed)で操作するためにマトリックスを充填してもよい。流動床操作の場合は、粒子は好ましくは当技術分野で周知の通り高密度充填材と共に充填される。好適な実施形態では、カラムは、生体適合性プラスチック(例えばポリプロピレン)、ステンレス鋼又はガラスのような慣用材料から作製される。カラムのサイズは、実験室規模又は大規模精製及び/又は抗体検出に適したものであればよい。具体的な実施形態では、本発明によるカラムは、ルアーアダプタ、チューブコネクタ及びドームナットを備える。 本発明は、抗体精製用キットであって、上述の分離マトリックスが充填されたクロマトグラフィーカラムと、1種以上の緩衝液と、原料からの抗体の大量捕捉に関する使用説明書とを、別々の区画に備えたキットも包含する。特定の実施形態では、本キットは、ルアーアダプタ、チューブコネクタ及びドームナットも備える。 第三の態様では、本発明はアフィニティークロマトグラフィーによる抗体の精製法であって、本発明の分離マトリックスに供給原料を接触させて抗体を吸着させ、分離マトリックスに吸着した抗体を適宜洗浄する段階、分離マトリックスから抗体を遊離させる溶出液を添加し、その溶出液から抗体を回収することを含む方法に関する。本発明の方法を用いると、35mg抗体/ml分離マトリックスを超える(例えば40mg抗体/ml分離マトリックスを超える)動的結合容量を得ることができる。例えば、本方法を実施したときの動的結合容量は35〜50mg抗体/ml分離マトリックス、例えば39〜40mg抗体/ml分離マトリックスとなる。 本発明の方法は、発酵ブロス及び上清からの抗体の単離にも用いてることができる。好適な実施形態では、供給原料は発酵ブロスを含む。この実施形態では、抗体は、宿主細胞タンパク質、DNA、ウイルス、エンドトキシン、栄養分、細胞培養培地の成分(例えば消泡剤及び抗生物質)、並びに生成物付随不純物(例えばミスフォールド種及び凝集物)から精製される。具体的な実施形態では、供給原料を分離マトリックスと接触させる前に機械的濾過に付し、従って移動相は清澄化発酵ブロスとなる。適切な吸着条件は当業者に周知である。 本発明の方法は、あらゆる種類のモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体の精製に有用であり、例えば哺乳類宿主(例えばマウス、齧歯動物、霊長類及びヒト)由来の抗体、或いはハイブリドーマのような培養細胞から得られる抗体の精製に有用である。一実施形態では、回収される抗体はヒト又はヒト化抗体である。別の実施形態では、抗体は、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ及びニワトリからなる群に由来する抗体から選択される。抗体はどのようなクラスのものでもよく、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMからなる群から選択される。一実施形態では、回収される抗体は、免疫グロブリンG(IgG)である。具体的な実施形態では、IgGはヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG4、ヒトIgGA、ヒトIgGD、ヒトIgGE、ヒトIgGM、マウスIgG1、マウスIgG2a、マウスIgG2b、マウスIgG3、ウサギIg、ハムスターIg、モルモットIg、ウシIg及びブタIgからなる群から選択され、好ましくはヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG4、マウスIgG2a、ウサギIg及びモルモットIgである。一実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。周知の通り、モノクローナル抗体技術では、抗体を産生する哺乳動物細胞と連続的複製能力をもつ不死化細胞とを融合させる。得られる融合細胞つまり「ハイブリドーマ」は、細胞培養でモノクローナル抗体を産生する。ここで「抗体」という用語は、抗体フラグメント及び抗体又は抗体フラグメントを含む融合タンパク質も包含する。本発明の方法は、プロテインA及び/又はプロテインG及び/又はプロテインLとの結合性を示すあらゆる免疫グロブリン様分子の単離に有用である。 本発明の方法は、重力及び/又はポンプによって移動相を分離マトリックスに流す従来の液体クロマトグラフィー方法として実施できる。一実施形態では、分離マトリックスはクロマトグラフィーカラムに充填され、このカラムに供給原料及び溶出液を流す。 本発明の別の態様は、アフィニティークロマトグラフィーによって液体を1種以上の抗体から精製する方法であって、本発明の分離マトリックスに液体を接触させ、抗体を吸着させ、精製された液体を回収することを含む方法に関する。この実施形態は、例えば、液体が血液又は血漿であって、そこから1種以上の抗体を除去して安全な血液製剤を得ることが望ましれる場合に有用である。一実施形態では、分離マトリックスを再使用するために、溶出液を添加して分離マトリックスから抗体を遊離させる。 本発明による抗体の吸着及び溶出は、同様の市販品で推奨されているような標準的条件下で容易に行われる。例えば、MabSelect(商標)製品説明書(Amersham Biosciences(スウェーデン国ウプサラ))を参照されたい。例えば、溶出は、pHが変化する溶出液を分離マトリックスに添加することによってグラジエント溶出で実施できる。 最後の態様では、本発明は抗体の多段階精製法であって、上述の捕捉段階、並びにその後の抗体の1以上の中間精製及び/又は最終精製段階を含む方法に関する。一実施形態では、捕捉段階後に、疎水性相互作用及び/又はイオン交換クロマトグラフィーを行う。別の段階として、捕捉段階後に、マルチモーダル陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィーを行う。本発明の方法の最良の実施形態では、捕捉段階は、MabSelect(商標)Xtra(Amersham Biosciences社(スウェーデン国ウプサラ)製)で実施する。 図面の詳細な説明 図1は、本発明の分離マトリックス(上の実線)及び従来品(下の点線)について、動的結合容量(DBC)(mg抗体/ml分離マトリックス)をY軸、滞留時間(分)をX軸としグラフである。この図は、本発明の分離マトリックスの動的結合容量が格段に高い、実際は約30%高いことを明らかに示している。 以下の実施例は例示を目的としたものにすぎず、特許請求の範囲の範囲で規定される本発明の技術的範囲を限定するものではない。本明細書で引用した文献の開示内容はすべて援用によって本明細書の内容の一部をなす。 実施例1:分離マトリックス アガロース粒子は、米国特許第6602990号(Amersham Biosciences)に記載の懸濁ゲル化法で調製した。具体的には、Kavが0.69の粒子を、当技術分野の周知の原理に従って固形分を調整することによって調製した。さらに、撹拌速度及び時間を調整することによって、メジアン粒径を80μmに調節した。 上記の粒子を、周知の方法でエポキシ活性化し、組換えプロテインA(rプロテインA)をそのC末端を介して粒子に結合させた(例えばHermanson,Greg T.,Mallia,A.Krishna,Smith,Paul K.Immobilized Affinity Ligand Techniques,p.118.Academic Press.ISBN0−12−342330−9)。rプロテインAリガンドは、7.3mg/mlのリガンド密度で結合させた。 比較用の分離マトリックスとして、MabSelect(商標)をAmersham Biosciences社から入手したが、これは製品説明書によれば85μmの累積体積分布のメジアン粒子径を呈する。 実施例2:動的結合容量 実施例1に記載の通り調製した分離マトリックスの動的結合容量(DBC)を、以下の通り試験した。各製品を充填した2つのカラムにヒトポリクローナルIgGを中性pHで1.0mg/mlでローディングした。容量は10%ブレークスルーで測定し、結果を図1に示す。 IgGサンプル溶液 Gammanorm(登録商標)を吸着緩衝液で希釈し、1.00±0.01mg/mlのサンプル溶液を調製した。サンプル溶液(1+1希釈後)の濃度は280nmでの吸光度測定で確認した。正確な濃度は、吸光係数として1.38ml/mg*cmを用いて算出した。 カラムの充填 ゲルの前処理 ガラスフィルター濾過器上の50mlのゲルを充填溶液1で5分間洗浄した。吸引装置で5分間吸引して乾燥させた。注意深く混合して14.3gずつ秤量して2つのビーカーに分注した。充填溶液1を約25ml添加した。 充填 コネクタで充填リザーバーをカラムに装着した。所望のベッド高を計量し、マークした。一定量のゲルを移し、充填溶液1で満たした。最大圧力0.3MPaで、充填溶液2を25ml/分で5分間下方へ流して充填した。流している間にベッド高をマークした。充填リザーバーを取り外し、トップアダプターをゲルに装着し、さらに5分間10ml/分で流した。10.0±0.3cmのベッド高に調節し、必要に応じて再度充填した。 手順 カラム充填の制御 カラムの充填は、カラムにアセトン溶液を注入して得られたピークの左右対称性の算出によって確認した。100mgアセトン/mlの吸着緩衝液を調製した。カラムにアセトン溶液50μlを流速5ml/分で注入した。ピークの非対称因子をAKTAシステムを用いて評価するか、或いは以下の通り算出した。 ピーク非対称因子はB/Aの絶対値として算出した。ここで、A及びBは(最大ピーク高の保持容量)−(10%ピーク高の保持容量)として算出した。左右対称性が0.80〜1.60にであればカラムは合格とした。 ブレークスルー容量の測定 分析は、室温(23±1℃)に制御した2本のカラムで行うべきである。ブレークスルー容量は、250cm/時間の移動相速度として測定した。6.3節に従って流速をチェックした。安定なベースラインに達するまで、吸着緩衝液をバイパス位置から流した。自動ゼロ点調整し、35mlのIgG溶液をバイパスから添加して、安定な100%シグナルを得る。分析の際と同様に、流量が同一であることが重要である。バイパス位置から吸着緩衝液で安定なベースラインに達した後、カラムをカラムベッド体積の5倍量の吸着緩衝液で平衡化した。自動ゼロ点調整し、250cm/時間(8.38ml/分)の移動相速度でカラムベッド体積の100倍量のIgG溶液をカラムに添加した。 検量 クロマトグラフィー系を体積輸送に関して完全に検量することが重要である。装置のマニュアルに従って定期的に検量し、試料の添加に用いるポンプの流速を各分析前に点検する。 解析 動的結合容量は、10%ブレークスルー(q10%)で評価した。UV吸光度は、280nmで検出した。100%UVシグナル(A100%)を測定し、記録した。同様に、未結合IgGサブクラスに対応するUVシグナル(Asub)(サンプル添加開始から60mlで測定)でも行った。また、カラムベッド体積(VC)及び供給サンプルの濃度(C0)(小数点以下第2位)を算出に用いた。動的結合容量は、カラム流出液中のIgGの濃度が、供給サンプルのIgG濃度の10%となるまでに、カラムに添加されたIgGの量として算出される。添加量は、10%ブレークスルーに達するまでにカラムから漏れたIgG量について補正した。式中、Coは供給濃度であり、Vcはカラムベッド体積であり、Vappは10%ブレークスルーまでの添加体積であり、Vsysはシステムのデッドボリューム(空カラムのデッドボリューム)であり、積分によって、10%ブレークスルーの瞬間までのカラムからの流出液に存在する、IgGの総量が算出され、A(V)が一定の添加された体積における吸光度であり、Asubが非結合のIgGサブクラス分の吸光度である。同じカラムでの動的容量の差が1.2mg/mlの充填ゲルを超えるべきではない。 実験精度 容量の相対標準偏差は、2%である。 参照 「Handbook of Process Chromatography,A Guide to Optimization, Scale−Up and validation」(1997) Academic Press, San Diego.Gail Sofer&Lars Hagel eds.ISBN0−12−654266−X,pp308−310を参照した 実施例3:ゲル相分配係数の算出 原理 実施例1の粒子のゲル相分配係数をゲル濾過で測定した。分子量の異なる2種類のデキストランを、充填HR16/30カラムに流した。各デキストランの保持容量を検出して、Kav(特定の分子量について得られる粒子ボリュームのフラクションを表す値)を算出した。Kav値から、Mp 110000のKav値を報告した。 化合物 充填時の移動相を蒸留水とし、選択性試験時には0.20M NaClの蒸留水溶液とした。 カラムの充填は、蒸留水移動相への2%アセトン注入によって試験した。 選択性試験に用いたデキストランは以下の通りである。 Mp=196300の場合に0.25M NaClで希釈した以外は、デキストランはすべて0.20M NaCl溶液で希釈し、カラムの総体積の標識として用いた。 安全予防措置 安全予防措置は特に必要ない。 サンプルの前処理 ガラスフィルター上にて0.20M NaClでゲルを洗浄し、ゲルにひびが入り始めるまで乾燥させた。60mlの乾燥ゲルをその後60mlの0.20M NaClに懸濁し、ゲルスラリーを形成させた。 検量 個々のマニュアルに従い、使用する機器を制御し、検量した。 方法 1回の分析は、1本のカラムを充填して、2回試験する(すなわちデキストランを2回注入)ことからなる。 カラムの充填 HR16/30カラム(Amersham Biosciences)を、以下の方法で充填した。充填コネクターを用いて、カラムを底部アダプターによって充填チューブに接続した。底に充填チューブを有するカラムスタンドにカラムを設置した。充填チューブのアダプターをポンプに接続し、ポンプで水を少量注入し、約0.5cmの水で満たした。ゲルスラリーを移し、0.2M NaClで満たし、フィルター及び底部アダプターをカラムに配設した。 約22ml/分の流速で流し、カラムを直立させ、10分間送液を続けた。パスツールピペットで余分なゲルを除去した。フィルターを上部に配置し、上部アダプターのネジを閉め、ベット表面に合わせた。ベッドが安定するまで10ml/分の流量で添加し、再度アダプターを調整し、再度添加しベッドの安定性を確認した。ゲル層の更なる圧縮が観察されない場合、安定であるとした。 充填の質を、2% アセトン溶液(蒸留水中)を注入して試験した。移動相に変化はないので、注入前の平衡化は必要ない。150cm/時間(5ml/分)で、1.2CVの間、アセトンを溶出させた。得られたピークから、プレート番号及び非対称因子を算出した。判定基準:プレート番号 2400N/m、非対称因子 0.7〜1.3。プレート番号の算出:N/LN=5.54*(tR/Wh)2tR=滞留時間Wh=半分の高さにおけるピーク幅L=カラム高(m)10%ピーク高さで非対称因子を測定した。 選択性試験 充填基準に合格した後、次の段階で選択性試験を行った。1.カラムを、少なくとも1.5CVの0.20M NaClで平衡化した。2.A−900自動サンプラーによって200μlのデキストランを注入した。3.移動相の1.3CVによって溶出した。工程2及び3はその後、デキストラン又はデキストランミックス*ごとに繰り返した。*デキストランは、以下のプロトコルで混合してもよく、また1度に注入してもよい。混合物1:天然デキストラン+Mp66700混合物2:0.25M NaCl中のMp196300 誤差の原因 ポンプ中に混入した空気が流速に悪影響を与えるため、圧力が操作の間中安定に制御されることが重要である。 解析 各デキストランの保持容量は、得られたクロマトグラムのRIカーブから導出する。ここで、ピークは目的のデキストランの最大RIとして定義する。デキストランに対するKavは、以下の式によって算出される:Kav=(VR−Vo)/(Vc−Vo)式中、VR=(余分のカラムベッド体積(ml)のために調整された、溶出デキストランの保持容量)Vo=(余分のカラムベッド体積(ml)のために調整された、間隙容量(天然デキストランのための保持容量))Vc=(カラムの幾何学的体積(ベッド高(cm)、カラム表面積(cm2))。 Kav値をその後デキストランのlogMp上にプロットした。各デキストランにおける2つの結果(4つの数値)を、1つのダイヤグラムにプロットした。2つのデキストラン間の一次補間は、レポートされた110000(Mp値)の分子量に対応するKav値として算出した。本発明の分離マトリックスについて、動的結合容量(DBC)を滞留時間の関数として示した図。比較のため、従来製品の動的結合容量についても示す。 架橋アガロース粒子に抗体結合性タンパク質リガンドを固定してなる分離マトリックスであって、リガンド密度が5.0〜10mg/mlであり、メジアン粒径が74〜76μmであり、分子量110kDaのデキストランに対するKavで表されるベースマトリックスのゲル相分配係数が0.65超である、分離マトリックス。 分子量110kDaのデキストランに対するKavで表される粒子のゲル相分配係数が、0.65超0.85以下である請求項1記載の分離マトリックス。 前記リガンド密度が5.5〜9.0mg/mlである、請求項1又は請求項2記載の分離マトリックス。 前記粒子のメジアン粒径が75μmである、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の分離マトリックス。 2.4分の滞留時間で40mg抗体/ml分離マトリックス超の動的結合容量を与える、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の分離マトリックス。 前記リガンドがFc結合性タンパク質を含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の分離マトリックス。 前記Fc結合性タンパク質がプロテインAである、請求項6記載の分離マトリックス。 当該分離マトリックスが抗体の精製に用いられる、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の分離マトリックス。