生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_線維筋痛症候群の治療のためのアセチルL−カルニチンの使用
出願番号:2007544754
年次:2008
IPC分類:A61K 31/221,A61P 21/00,A61P 29/00


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アレアルド・コヴェレッチ JP 2008534433 公表特許公報(A) 20080828 2007544754 20051110 線維筋痛症候群の治療のためのアセチルL−カルニチンの使用 シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ 591043248 SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI 田中 光雄 100081422 山崎 宏 100084146 松谷 道子 100106518 志賀 美苗 100127638 アレアルド・コヴェレッチ IT RM2004A000606 20041213 A61K 31/221 20060101AFI20080801BHJP A61P 21/00 20060101ALI20080801BHJP A61P 29/00 20060101ALI20080801BHJP JPA61K31/221A61P21/00A61P29/00 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW EP2005012054 20051110 WO2006063639 20060622 9 20070810 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA59 4C206KA14 4C206KA15 4C206MA01 4C206MA04 4C206MA72 4C206NA14 4C206ZA94 4C206ZB11 本発明は、線維筋痛症候群の治療用医薬の調製のためのアセチル L-カルニチンの使用に関する。 線維筋痛症候群または線維筋痛症は、睡眠障害、筋緊張性頭痛、過敏性腸症候群、および無力症を様々な程度で伴う瀰漫性関節筋肉痛(arthromyalgias)を特徴とする慢性痛症候群である。 症状は個別に存在することもあるが、その他のリウマチ性疾患または内分泌疾患および代謝疾患、特に甲状腺機能低下症(dysthyroidism)とともに存在することもある(Arthritis Rheum 1983; 26: 817-824; Seminar Arthritis Rheum 1981;11:151-71)。 この病気は女性対象に明らかにより多く蔓延しており、25〜55歳の患者においてはさらに高頻度である。 線維筋痛症の原因は未だに知られておらず、様々な病原機構が現在推測されており、かかる機構としては、例えば以下が挙げられる:精神障害、正常な睡眠活性および疼痛知覚閾値の変化、および、筋繊維細胞の形態変化の存在を伴う骨格筋に影響を及ぼす機能障害(Scand. J. Rheumatol. 1986; 15: 1-6)または様々な代謝欠損(Bull Rheum Dis 1978; 26: 928-931; J. Rheumatol 1992; 19:90-94)。 線維筋痛症の診断は純粋に臨床的基礎(病歴および理学的検査)に基づいて得られる。というのは、実験室での試験(血液学および血液化学) および機器検査(放射線学、電気生理学)では、この臨床像における診断的に有用な指標は得られないからである。 病歴および理学的検査はそれゆえこの症候群の同定の目的に決定的である。「全体」に経験されると説明される疼痛の位置、それを説明するのに患者が用いる用語の豊富さおよび多彩性、非常に多くの関連症状、例えば、頭痛、過敏性腸症候群、および睡眠障害、ならびに専門家および機器検査による多大な調査の履歴は「線維性状況」を示す臨床像の診断を示唆しうる。症状は一般に主に朝に経験され、疲労、身体活動性、ストレスおよび気候の変動により悪化するが、マッサージおよび休息と娯楽時間により改善する。理学的検査において過剰な筋肉の緊張が示され、それは、圧痛点を探す必要がある胸鎖乳突筋、僧帽筋および脊椎傍筋等の典型的な筋肉領域に悪影響を及ぼす痙縮が実際起こる程度に及ぶ (Br Med J 1994; 309: 696-9)。 線維筋痛症の診断に必須なのは、軟部組織の堅さが増している領域を伴う深部圧痛点を示すことである(Arthritis Rheum 1990; 33(2): 160-172)。圧痛点は、関連痛および照射(irradiated)疼痛を引き起こさず、刺激された部位においてのみ圧痛を感じるという点で発痛点とは異なる。圧痛点を検出するもっとも簡便な技術は、単純な指圧 (指圧(digital pulp)によりおよそ4 kg)または 特定の関節および腱挿入(insertion)に対応する地点で皮膚をつねることによる。かかる地点への圧力の付加により、検査者から引っ込めるという誇張した反応、飛び上がり、および自律神経系(neurovegetative) 現象、例えば、 皮膚描記症、鳥肌、および冷汗が起こる。診断目的に用いられるもっとも一般的な圧痛点の数は(両方で)9つであり、診断および分類 アプローチを例示するために、患者に存在する圧痛点の位置決定および評価のための基準が決められている (Arthritis Rheum 1990; 33(2): 160-172)。 アセチル L-カルニチンの以前の治療での使用は既に知られている。 US 4,751,242 には、末梢神経障害の治療のためのアセチル L-カルニチンの使用が記載されている。 US 4,362.719 には、若年発症糖尿病の治療のためのL-カルニチンおよびアシル L-カルニチンの使用が記載されている。 US 5192805 は、昏睡の治療的処置におけるアセチル L-カルニチンの使用に関する。 US 6,037,3721128は、筋萎縮性側索硬化症、視神経および嗅神経の神経障害、三叉神経痛およびその他の病状の治療のためにIGF-1 レベルを上昇させるためのアセチル L-カルニチン、イソバレリル L-カルニチンおよびプロピオニル L-カルニチンの使用に関する。 US 6,037,372は、グルタミン酸により媒介される病状、例えば、癲癇、統合失調症、慢性疲労症候群、筋萎縮性側索硬化症およびその他の治療のためのアルカノイルL-カルニチン、例えばアセチル L-カルニチンの使用に関する。 市販の化合物であるアセチル L-カルニチンは、R. Krinmberg、and W. Wittandt、in Biochem. Z. 251、229 (1932)に記載の方法により調製することができる。 線維筋痛症は良性経過の臨床症状であるにもかかわらず、治療が困難である(Rheum Dis Clin N Am 1989; 15:61-71)。 患者はしばしば抗炎症薬を使用するが、これにはこの症状における薬理的論拠はないうえに、有効ではない。 筋弛緩薬および抗うつ薬もこの疾患の治療のために用いられているが、睡眠の質を改善するにすぎない (Arthritis Rheum 1986; 29: 1371-7; Arthritis Rheum 1994、37: 3240)。 圧痛点の麻酔薬での局所浸潤によっては、短期しか有効ではないが、良好な結果も得られている。 したがって、上記公知の薬剤よりも有効であってそれらの欠点を示さない、線維筋痛症の治療のために有用な新規薬剤の入手の必要性が強く認識されている。 このたび、アセチル L-カルニチンまたはその医薬上許容される塩のいずれかが線維筋痛症の治療のための有用な化合物であることが判明した。 アセチル L-カルニチンの医薬上許容される塩の意味するところは、アセチル L-カルニチン分子内塩に酸を付加することにより調製される塩であって、望ましくない毒性または副作用をもたらさない塩である。酸の付加によるかかる塩の形成は薬学技術において周知である。 かかる塩の非限定的な例は、塩化物、臭化物、オロチン酸塩、アスパラギン酸塩、酸アスパラギン酸塩、クエン酸塩、酸クエン酸塩、マグネシウムクエン酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、フマル酸塩、酸フマル酸塩、マグネシウムフマル酸塩、グリセロリン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩および酸マレイン酸塩、ムケート(mucate)、シュウ酸塩、酸シュウ酸塩、パモ酸塩、酸パモ酸塩、硫酸塩、酸硫酸塩、グルコースリン酸塩、酒石酸塩、酸酒石酸塩、マグネシウム酒石酸塩、2-アミノエタンスルホン酸塩、マグネシウム 2-アミノエタンスルホン酸塩、メタン-スルホン酸塩、コリン酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩である。 本発明の対象はそれゆえ線維筋痛症の治療のための医薬および/または栄養製品の調製のためのアセチル L-カルニチンまたはその医薬上許容される塩のいずれかの使用である。 アセチル L-カルニチンは経口または非経口投与に好適ないずれの形態であってもよい。それは40 mg〜4 g/日の範囲の量で単位用量形態または分割用量形態で投与することが出来る。 本発明による好ましい用量は、治療の開始時には1.5 g /日投与し、最初の2週間の用量は500 mg 筋肉内 (i.m.) および500 mg (1日2回) 経口 (os)であり、その後治療は経口用量500 mgを1日3回継続する。 1日用量は患者の体重、年齢および状態に応じてかかりつけの医者の判断に従って変動する。より大きい用量のアセチル L-カルニチンが、該活性成分の毒性が非常に低いために投与することが出来る。 以下の実施例により本発明を説明する。 線維筋痛症候群患者におけるアセチル L-カルニチンの有効性を評価する目的で多施設、無作為、プラセボ対照、二重盲検臨床試験を行った。 本発明による化合物の有効性を評価するために、「The American College of Rheumatology」(ACR) によって、線維筋痛症症候群の特徴である「圧痛点」であると示された骨関節領域において誘発した疼痛をモニターした(「Pressure Threshold Meter」痛覚計を用いて測定した) [WOLFE F、SMYTHE HA、YUNUS MB、et al. The American College of Rheumatology Criteria for the classification of fibromyalgia: report of the multicenter criteria committee; Arthritis Rheum 1990; 33(2): 160-172]。 後述するさらなる二次的パラメーターもモニターした。 治療の耐用性の評価は、常套の血液学および血液化学試験および有害事象の記録によって行った。 試験に含めた患者は女性または男性の25〜65歳の患者であって、上記「American College of Rheumatology」の線維筋痛症症候群の診断基準を満たすものとした。 線維筋痛症候群の診断基準は以下の4つの条件のすべての存在により確認しなければならないとした:-軸骨格における両側瀰漫性疼痛;-上肢における両側瀰漫性疼痛; -下肢における両側瀰漫性疼痛;-標準化圧力手法(pressure manoeuvre)によって誘発した圧痛点(ACR 圧痛点)の地図において列挙した18の解剖学的領域のうち11以上に位置する疼痛。 以下の状態のいずれかを有する患者は試験に含めなかった:-骨関節または被蓋野(tegumental apparatus)に影響を及ぼす感染症または炎症工程の存在;-試験処置の評価を混乱させうる臨床的に重要な骨関節疾患の病歴または存在(例えば、外傷の病歴);-以前の整形外科手術、脊椎関節症(spondyloarthrosis)、結合組織炎(connectivitis)等;-臨床または検査室での甲状腺機能低下症の証拠;-全身性疾患(糖尿病、腎疾患、心血管疾患および呼吸器疾患、精神病)または試験処置の評価に干渉しうる主な病的状態の存在;-試験前の3ヶ月の間の抗炎症性ステロイド薬の継続使用;-エストロゲン-プロゲストーゲンホルモン補充療法の最近の開始(1年未満);-試験前の6ヶ月の間の抗うつ薬による治療;-試験前の3日の間の非ステロイド性抗炎症薬による治療;-試験前の7日の間の鎮痛薬による治療;-以前6ヶ月の間の臨床試験への参加;-妊婦、授乳中の女性、または適切な避妊法を行っていない出産可能年齢の女性。 アセチル L-カルニチンは10 週間連続して用量 1,500 mg/日にて投与した。 最初の2週間、アセチル L-カルニチンは用量500 mgを筋肉内経路 (i.m.) および500 mg (1日2回)を経口経路 (os)で投与した。 次の8週間、アセチル L-カルニチンは経口で用量500 mgで1日3回投与した。 得られた結果を以下の表 1に示す。 表 1に示す得られた結果は、治療の最後において本発明による化合物で治療された患者は、対照群と比較して、線維筋痛症候群により特徴づけられる圧痛点として示される骨関節領域(上記ACR 領域)において誘発した疼痛において統計的に有意な改善を示したことを示す。 さらに、治療期間の最後において、本発明による化合物で治療された患者は、全体的健康、精神的健康および身体的健康に関する二次的臨床パラメーターにおいて、一般に統計的に有意な改善を示した(視覚アナログ尺度による評価) (P<0.05)。 線維筋痛症の治療のための医薬および/または栄養製品の調製のためのアセチル L-カルニチンまたはその医薬上許容される塩のいずれかの使用。 アセチル L-カルニチンの医薬上許容される塩が、塩化物、臭化物、オロチン酸塩、アスパラギン酸塩、酸アスパラギン酸塩、クエン酸塩、酸クエン酸塩、マグネシウムクエン酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、フマル酸塩、酸フマル酸塩、 マグネシウムフマル酸塩、グリセロリン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩および酸マレイン酸塩、ムケート、シュウ酸塩、酸シュウ酸塩、パモ酸塩、酸パモ酸塩、硫酸塩、酸硫酸塩、グルコースリン酸塩、酒石酸塩、酸酒石酸塩、マグネシウム酒石酸塩、2-アミノエタンスルホン酸塩、マグネシウム 2-アミノエタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、コリン酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩からなる群から選択される、請求項 1の使用。 線維筋痛症候群の治療のための医薬および/または栄養製品の調製のためのアセチル L-カルニチンまたはその医薬上許容される塩のいずれかの使用が記載される。


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特許公報(B2)_線維筋痛症候群の治療のためのアセチルL−カルニチンの使用

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タイトル:特許公報(B2)_線維筋痛症候群の治療のためのアセチルL−カルニチンの使用
出願番号:2007544754
年次:2012
IPC分類:A61K 31/221,A61P 21/00,A61P 29/02


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アレアルド・コヴェレッチ JP 5057990 特許公報(B2) 20120810 2007544754 20051110 線維筋痛症候群の治療のためのアセチルL−カルニチンの使用 シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ 591043248 SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI 田中 光雄 100081422 山崎 宏 100084146 松谷 道子 100106518 志賀 美苗 100127638 アレアルド・コヴェレッチ IT RM2004A000606 20041213 20121024 A61K 31/221 20060101AFI20121004BHJP A61P 21/00 20060101ALI20121004BHJP A61P 29/02 20060101ALI20121004BHJP JPA61K31/221A61P21/00A61P29/02 A61K 31/00 - 31/327 A61K 31/33 - 31/80 A61K 33/00 - 33/44 A61K 38/00 - 38/58 A61K 41/00 - 45/08 A61K 48/00 A61P 1/00 - 43/00 A23L 1/27 - 1/308 特表2002−505681(JP,A) 米国特許出願公開第2004/0198837(US,A1) メルクマニュアル日本語版,日経BP社,1999年12月10日,第17版,pp.485-486 ONOFRJ M,INTERNATIONAL JOURNAL OF CLINICAL PHARMACOLOGY RESEARCH,スイス,BIOSCIENCE EDIPRINT,,1995年,V.XV N1,P9-15 2 EP2005012054 20051110 WO2006063639 20060622 2008534433 20080828 6 20081106 川嵜 洋祐 本発明は、線維筋痛症候群の治療用医薬の調製のためのアセチル L-カルニチンの使用に関する。 線維筋痛症候群または線維筋痛症は、睡眠障害、筋緊張性頭痛、過敏性腸症候群、および無力症を様々な程度で伴う瀰漫性関節筋肉痛(arthromyalgias)を特徴とする慢性痛症候群である。 症状は個別に存在することもあるが、その他のリウマチ性疾患または内分泌疾患および代謝疾患、特に甲状腺機能低下症(dysthyroidism)とともに存在することもある(Arthritis Rheum 1983; 26: 817-824; Seminar Arthritis Rheum 1981;11:151-71)。 この病気は女性対象に明らかにより多く蔓延しており、25〜55歳の患者においてはさらに高頻度である。 線維筋痛症の原因は未だに知られておらず、様々な病原機構が現在推測されており、かかる機構としては、例えば以下が挙げられる:精神障害、正常な睡眠活性および疼痛知覚閾値の変化、および、筋繊維細胞の形態変化の存在を伴う骨格筋に影響を及ぼす機能障害(Scand. J. Rheumatol. 1986; 15: 1-6)または様々な代謝欠損(Bull Rheum Dis 1978; 26: 928-931; J. Rheumatol 1992; 19:90-94)。 線維筋痛症の診断は純粋に臨床的基礎(病歴および理学的検査)に基づいて得られる。というのは、実験室での試験(血液学および血液化学) および機器検査(放射線学、電気生理学)では、この臨床像における診断的に有用な指標は得られないからである。 病歴および理学的検査はそれゆえこの症候群の同定の目的に決定的である。「全体」に経験されると説明される疼痛の位置、それを説明するのに患者が用いる用語の豊富さおよび多彩性、非常に多くの関連症状、例えば、頭痛、過敏性腸症候群、および睡眠障害、ならびに専門家および機器検査による多大な調査の履歴は「線維性状況」を示す臨床像の診断を示唆しうる。症状は一般に主に朝に経験され、疲労、身体活動性、ストレスおよび気候の変動により悪化するが、マッサージおよび休息と娯楽時間により改善する。理学的検査において過剰な筋肉の緊張が示され、それは、圧痛点を探す必要がある胸鎖乳突筋、僧帽筋および脊椎傍筋等の典型的な筋肉領域に悪影響を及ぼす痙縮が実際起こる程度に及ぶ (Br Med J 1994; 309: 696-9)。 線維筋痛症の診断に必須なのは、軟部組織の堅さが増している領域を伴う深部圧痛点を示すことである(Arthritis Rheum 1990; 33(2): 160-172)。圧痛点は、関連痛および照射(irradiated)疼痛を引き起こさず、刺激された部位においてのみ圧痛を感じるという点で発痛点とは異なる。圧痛点を検出するもっとも簡便な技術は、単純な指圧 (指圧(digital pulp)によりおよそ4 kg)または 特定の関節および腱挿入(insertion)に対応する地点で皮膚をつねることによる。かかる地点への圧力の付加により、検査者から引っ込めるという誇張した反応、飛び上がり、および自律神経系(neurovegetative) 現象、例えば、 皮膚描記症、鳥肌、および冷汗が起こる。診断目的に用いられるもっとも一般的な圧痛点の数は(両方で)9つであり、診断および分類 アプローチを例示するために、患者に存在する圧痛点の位置決定および評価のための基準が決められている (Arthritis Rheum 1990; 33(2): 160-172)。 アセチル L-カルニチンの以前の治療での使用は既に知られている。 US 4,751,242 には、末梢神経障害の治療のためのアセチル L-カルニチンの使用が記載されている。 US 4,362.719 には、若年発症糖尿病の治療のためのL-カルニチンおよびアシル L-カルニチンの使用が記載されている。 US 5192805 は、昏睡の治療的処置におけるアセチル L-カルニチンの使用に関する。 US 6,037,3721128は、筋萎縮性側索硬化症、視神経および嗅神経の神経障害、三叉神経痛およびその他の病状の治療のためにIGF-1 レベルを上昇させるためのアセチル L-カルニチン、イソバレリル L-カルニチンおよびプロピオニル L-カルニチンの使用に関する。 US 6,037,372は、グルタミン酸により媒介される病状、例えば、癲癇、統合失調症、慢性疲労症候群、筋萎縮性側索硬化症およびその他の治療のためのアルカノイルL-カルニチン、例えばアセチル L-カルニチンの使用に関する。 市販の化合物であるアセチル L-カルニチンは、R. Krinmberg、and W. Wittandt、in Biochem. Z. 251、229 (1932)に記載の方法により調製することができる。 線維筋痛症は良性経過の臨床症状であるにもかかわらず、治療が困難である(Rheum Dis Clin N Am 1989; 15:61-71)。 患者はしばしば抗炎症薬を使用するが、これにはこの症状における薬理的論拠はないうえに、有効ではない。 筋弛緩薬および抗うつ薬もこの疾患の治療のために用いられているが、睡眠の質を改善するにすぎない (Arthritis Rheum 1986; 29: 1371-7; Arthritis Rheum 1994、37: 3240)。 圧痛点の麻酔薬での局所浸潤によっては、短期しか有効ではないが、良好な結果も得られている。 したがって、上記公知の薬剤よりも有効であってそれらの欠点を示さない、線維筋痛症の治療のために有用な新規薬剤の入手の必要性が強く認識されている。 このたび、アセチル L-カルニチンまたはその医薬上許容される塩のいずれかが線維筋痛症の治療のための有用な化合物であることが判明した。 アセチル L-カルニチンの医薬上許容される塩の意味するところは、アセチル L-カルニチン分子内塩に酸を付加することにより調製される塩であって、望ましくない毒性または副作用をもたらさない塩である。酸の付加によるかかる塩の形成は薬学技術において周知である。 かかる塩の非限定的な例は、塩化物、臭化物、オロチン酸塩、アスパラギン酸塩、酸アスパラギン酸塩、クエン酸塩、酸クエン酸塩、マグネシウムクエン酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、フマル酸塩、酸フマル酸塩、マグネシウムフマル酸塩、グリセロリン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩および酸マレイン酸塩、ムケート(mucate)、シュウ酸塩、酸シュウ酸塩、パモ酸塩、酸パモ酸塩、硫酸塩、酸硫酸塩、グルコースリン酸塩、酒石酸塩、酸酒石酸塩、マグネシウム酒石酸塩、2-アミノエタンスルホン酸塩、マグネシウム 2-アミノエタンスルホン酸塩、メタン-スルホン酸塩、コリン酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩である。 本発明の対象はそれゆえ線維筋痛症の治療のための医薬および/または栄養製品の調製のためのアセチル L-カルニチンまたはその医薬上許容される塩のいずれかの使用である。 アセチル L-カルニチンは経口または非経口投与に好適ないずれの形態であってもよい。それは40 mg〜4 g/日の範囲の量で単位用量形態または分割用量形態で投与することが出来る。 本発明による好ましい用量は、治療の開始時には1.5 g /日投与し、最初の2週間の用量は500 mg 筋肉内 (i.m.) および500 mg (1日2回) 経口 (os)であり、その後治療は経口用量500 mgを1日3回継続する。 1日用量は患者の体重、年齢および状態に応じてかかりつけの医者の判断に従って変動する。より大きい用量のアセチル L-カルニチンが、該活性成分の毒性が非常に低いために投与することが出来る。 以下の実施例により本発明を説明する。 線維筋痛症候群患者におけるアセチル L-カルニチンの有効性を評価する目的で多施設、無作為、プラセボ対照、二重盲検臨床試験を行った。 本発明による化合物の有効性を評価するために、「The American College of Rheumatology」(ACR) によって、線維筋痛症症候群の特徴である「圧痛点」であると示された骨関節領域において誘発した疼痛をモニターした(「Pressure Threshold Meter」痛覚計を用いて測定した) [WOLFE F、SMYTHE HA、YUNUS MB、et al. The American College of Rheumatology Criteria for the classification of fibromyalgia: report of the multicenter criteria committee; Arthritis Rheum 1990; 33(2): 160-172]。 後述するさらなる二次的パラメーターもモニターした。 治療の耐用性の評価は、常套の血液学および血液化学試験および有害事象の記録によって行った。 試験に含めた患者は女性または男性の25〜65歳の患者であって、上記「American College of Rheumatology」の線維筋痛症症候群の診断基準を満たすものとした。 線維筋痛症候群の診断基準は以下の4つの条件のすべての存在により確認しなければならないとした:-軸骨格における両側瀰漫性疼痛;-上肢における両側瀰漫性疼痛; -下肢における両側瀰漫性疼痛;-標準化圧力手法(pressure manoeuvre)によって誘発した圧痛点(ACR 圧痛点)の地図において列挙した18の解剖学的領域のうち11以上に位置する疼痛。 以下の状態のいずれかを有する患者は試験に含めなかった:-骨関節または被蓋野(tegumental apparatus)に影響を及ぼす感染症または炎症工程の存在;-試験処置の評価を混乱させうる臨床的に重要な骨関節疾患の病歴または存在(例えば、外傷の病歴);-以前の整形外科手術、脊椎関節症(spondyloarthrosis)、結合組織炎(connectivitis)等;-臨床または検査室での甲状腺機能低下症の証拠;-全身性疾患(糖尿病、腎疾患、心血管疾患および呼吸器疾患、精神病)または試験処置の評価に干渉しうる主な病的状態の存在;-試験前の3ヶ月の間の抗炎症性ステロイド薬の継続使用;-エストロゲン-プロゲストーゲンホルモン補充療法の最近の開始(1年未満);-試験前の6ヶ月の間の抗うつ薬による治療;-試験前の3日の間の非ステロイド性抗炎症薬による治療;-試験前の7日の間の鎮痛薬による治療;-以前6ヶ月の間の臨床試験への参加;-妊婦、授乳中の女性、または適切な避妊法を行っていない出産可能年齢の女性。 アセチル L-カルニチンは10 週間連続して用量 1,500 mg/日にて投与した。 最初の2週間、アセチル L-カルニチンは用量500 mgを筋肉内経路 (i.m.) および500 mg (1日2回)を経口経路 (os)で投与した。 次の8週間、アセチル L-カルニチンは経口で用量500 mgで1日3回投与した。 得られた結果を以下の表 1に示す。 表 1に示す得られた結果は、治療の最後において本発明による化合物で治療された患者は、対照群と比較して、線維筋痛症候群により特徴づけられる圧痛点として示される骨関節領域(上記ACR 領域)において誘発した疼痛において統計的に有意な改善を示したことを示す。 さらに、治療期間の最後において、本発明による化合物で治療された患者は、全体的健康、精神的健康および身体的健康に関する二次的臨床パラメーターにおいて、一般に統計的に有意な改善を示した(視覚アナログ尺度による評価) (P<0.05)。 アセチル L-カルニチンまたはその医薬上許容される塩のいずれかを含む、線維筋痛症の治療のための医薬。 アセチル L-カルニチンの医薬上許容される塩が、塩化物、臭化物、オロチン酸塩、アスパラギン酸塩、酸アスパラギン酸塩、クエン酸塩、酸クエン酸塩、マグネシウムクエン酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、フマル酸塩、酸フマル酸塩、 マグネシウムフマル酸塩、グリセロリン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩および酸マレイン酸塩、ムケート、シュウ酸塩、酸シュウ酸塩、パモ酸塩、酸パモ酸塩、硫酸塩、酸硫酸塩、グルコースリン酸塩、酒石酸塩、酸酒石酸塩、マグネシウム酒石酸塩、2-アミノエタンスルホン酸塩、マグネシウム 2-アミノエタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、コリン酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩からなる群から選択される、請求項 1の医薬。


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