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タイトル:特許公報(B2)_機能性腸障害の治療または予防剤
出願番号:2007544130
年次:2013
IPC分類:A61K 31/485,C07D 489/06,A61P 1/12


特許情報キャッシュ

河合 孝治 藤村 森広 蟹江 小葉子 野呂 陽平 JP 5119925 特許公報(B2) 20121102 2007544130 20061107 機能性腸障害の治療または予防剤 東レ株式会社 000003159 谷川 英次郎 100088546 河合 孝治 藤村 森広 蟹江 小葉子 野呂 陽平 JP 2005324365 20051109 20130116 A61K 31/485 20060101AFI20121220BHJP C07D 489/06 20060101ALN20121220BHJP A61P 1/12 20060101ALN20121220BHJP JPA61K31/485C07D489/06A61P1/12 A61K 31/485 C07D 489/06 CA/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 特開2005−516937(JP,A) 国際公開第98/23290(WO,A1) 国際公開第2005/94826(WO,A1) 2 JP2006322134 20061107 WO2007055184 20070518 37 20091013 關 政立 本発明は、機能性腸障害、中でも、過敏性腸症候群の治療または予防に有用な含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含んでなる機能性腸障害の治療または予防剤に関する。 機能性消化管障害全体の診断基準であるRomeII では、「下部消化管症状はあるが器質的疾患が見出されない状態」を機能性腸障害と診断し、そのうえで特徴的な症候群をもつものを過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome: IBS)、機能性下痢、機能性便秘、または機能性腹部膨満に細分している。機能性下痢は腹痛のない慢性の下痢、機能性便秘は腹痛のない慢性の便秘、機能性腹部膨満は腹痛が優勢でない腹部膨満とガスを主徴とする疾患群である。過敏性腸症候群は、機能性下痢、機能性便秘、機能性腹部膨満のいずれにも該当しない疾患であり、腹痛を伴う下痢疾患(下痢型IBS)、腹痛を伴う便秘疾患(便秘型IBS)および腹痛を伴い下痢と便秘を交互に発症する疾患(交替型IBS)の総称と考えることができる。 下痢型IBSでは長期間にわたり少量頻回の下痢が持続するが、この症状に対しては、平滑筋の収縮を抑制する目的で、鎮痙作用を有する抗コリン薬がよく用いられており、また、整腸薬が併用されることも多い。便秘型IBSは腸管の運動が亢進しているために起こる痙攣性便秘であり、この症状に対しては、塩類下剤を用いて便の硬さを調節する方法がよく用いられている。交替型IBSは時期により下痢と便秘が交替するタイプであり、一定の薬剤で治療することは困難であるが、基本的には消化管運動機能改善薬が症状緩和のために用いられている。しかしながら現在までのところ、過敏性腸症候群の根治薬は存在せず、各タイプの症状軽減を目的にした対症療法が行われているにすぎない。 ところで、モルヒナン骨格を有する化合物の機能性腸障害、特に過敏性腸症候群に対する治療効果を示す知見として、オピオイド受容体アンタゴニストであるナルトレキソンの低用量処方が開示されている(特許文献1)。また、直接的な薬効データは示されてはいないものの、特定の6位アミノ置換モルヒナン誘導体を含む化合物群が腸疾患へ適用可能であることが示唆されている(特許文献2および3)。さらに、本願で含有される化合物とは構造的な連関はないものの、オピオイドアゴニストであるロペラミド(非特許文献1)、および末梢性オピオイドκアゴニストであるフェドトジン(非特許文献2)などが過敏性腸症候群に有効であることも報告されている。 一方、本願になる6位に含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体が、頻尿もしくは尿失禁の治療または予防剤、止痒剤、鎮痛剤として有用であることはすでに開示されている(特許文献4、5、および6。ただし鎮痛用途については本願優先日より後の公開である)。また、6位に含窒素環状置換基を有するものを含むモルヒナン誘導体が鎮痛剤、利尿剤、鎮咳剤、脳細胞保護剤として有用であるとの報告もある(特許文献7)。さらに、いくつかの文献(特許文献8および9、非特許文献3、4、および5)には、本願に包含される含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体の報告があるが、いずれの文献にも機能性腸障害に対する効果は何ら示唆されていない。 上記公知文献に含まれる化合物の構造およびオピオイド受容体を介する薬理活性と、本願になる機能性腸障害に対する効果との間に一定の連関はなく、モルヒナン構造の6位に含窒素環状置換基を有することを特徴とする本願化合物の顕著で有用な機能性腸障害、中でも過敏性腸症候群の治療または予防作用を、これら文献はなんら類推させるものではない。国際公開 WO 00/051592国際公開 WO 03/051888国際公開 WO 02/036573国際公開 WO 04/033457国際公開 WO 05/094826国際公開 WO 06/049248国際公開 WO 95/03308特公昭 41-18824特公昭 41-18826Talley N.J., Am. J. Gastroenterol, 98(4), 750-8, 2003.Dapoigny M. et.al., Dig. Dis. Sci., 40(10), 2244-9, 1995.Simon C. et.al., Tetrahedron, 50, 9757, 1994.Sayre L.M. et.al., J.Med.Chem., 27, 1325, 1984.Simon C. et.al., Synth.Commun., 22, 913, 1992. 本発明は、機能性腸障害、中でも過敏性腸症候群の治療または予防に有用な含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有する機能性腸障害の治療または予防剤を提供することを目的とする。 上記目的を達成するため鋭意検討した結果、モルヒナン構造の特定の位置に含窒素環状置換基を有する化合物が、優れた機能性腸障害の治療効果を有し、かつ副作用が少ないことを見出し、本発明を完成した。 すなわち本発明は、一般式(I)[式中R1は、水素、炭素数1から5のアルキル、炭素数4から7のシクロアルキルアルキル、炭素数5から8のシクロアルケニルアルキル、炭素数6から12のアリール、炭素数7から13のアラルキル、炭素数3から7のアルケニル、フラニルアルキル(アルキル部の炭素数は1から5)、チエニルアルキル(アルキル部の炭素数は1から5)、またはピリジルアルキル(アルキル部の炭素数は1から5)を表し;R2、R3は、それぞれ別個に水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数3から7のアルケニロキシ、炭素数7から13のアラルキロキシ、または炭素数1から5のアルカノイロキシを表し;Y、Zは、独立して原子価結合、または-C(=O)-を表し;-X-は、環状構造の一部になる炭素数2から7のアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン(ただしそのうち1以上の炭素原子が窒素、酸素、または硫黄原子で置き換わっていてもよい)を表し;kは、0から8の整数を表し;R4は、含窒素環状構造上のk個の置換基であり、それぞれ別個にフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルキリデン、炭素数7から13のシクロアルキルアルキル、炭素数6から12のアリール、炭素数7から13のアラルキル、炭素数7から13のアラルキリデン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、イソチオシアナト、(CH2)pSR6、(CH2)pS(O)R6、(CH2)pS(O2)R6、(CH2)pOR6、(CH2)pC(=O)R6、(CH2)pOC(=O)R6、(CH2)pCO2R6、(CH2)pS(O2)NR7R8、(CH2)pC(=O)NR7R8、(CH2)pNR7R8、(CH2)pN(R7)C(=O)R8、(CH2)pN(R7)S(O2)R8を表すか、k個のR4のうち、同一の炭素原子または硫黄原子に結合した2個のR4が一つの酸素原子となってカルボニル基またはスルホキシド基を、同一の炭素原子に結合した2個のR4が一つの硫黄原子となってチオカルボニル基を、同一の硫黄原子に結合した4個のR4が2個の酸素原子となりスルホン基を表すか、またはk個のR4のうち隣接する炭素にそれぞれ置換する2個のR4が一緒になって無置換または1以上の置換基R5で置換されたベンゾ、ピリド、ナフト、シクロプロパノ、シクロブタノ、シクロペンタノ、シクロペンテノ、シクロヘキサノ、シクロヘキセノ、シクロヘプタノ、またはシクロヘプテノを表し;R5はそれぞれ別個に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、炭素数1から5のアルキル、炭素数7から13のアラルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、炭素数6から12のアリール、イソチオシアナト、(CH2)p SR6、(CH2)p S(O)R6、(CH2)p S(O2)R6、(CH2)pOR6、(CH2)pOC(=O)R6、(CH2)pC(=O)R6、(CH2)pCO2R6、(CH2)pS(O2)NR7R8、(CH2)p C(=O)NR7R8、(CH2)pNR7R8、(CH2)pN(R7)C(=O)R8 、(CH2)pN(R7)S(O2)R8を表し;pは0から5の整数を表し;R6、R7、R8は、それぞれ別個に水素、炭素数1から5のアルキル、炭素数3から7のアルケニル、炭素数6から12のアリール、または炭素数7から13のアラルキルを表し;R9は、水素、炭素数1から5のアルキル、炭素数2から5のアルケニル、炭素数7から13のアラルキル、(CH2)pOR6、または(CH2)pCO2R6(p、R6は前記定義に同じ)を表し;R10、R11は、結合して-O-、-S-、もしくは-CH2-を表すか、または、R10が水素でR11が水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、もしくは炭素数1から5のアルカノイロキシを表し;R12、R13は、一緒になってオキソを表すか、または、R12が水素で、R13が水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、もしくは炭素数1から5のアルカノイロキシを表し;一般式(I)は(+)体、(-)体、(±)体を含む。]で示される含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有する機能性腸障害、中でも過敏性腸症候群の治療または予防剤を提供する。 また、本発明は、上記一般式(I)で示される含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩の、機能性腸障害の治療または予防剤の製造のための使用を提供する。 さらに、本発明は、上記一般式(I)で示される含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩の有効量を患者に投与することを含む機能性腸障害の治療または予防のための方法を提供する。 本発明の機能性腸障害の治療または予防剤は、優れた機能性腸障害の治療または予防効果を有し、かつ、副作用が少ない。 上記の通り、本発明の機能性腸障害の治療または予防剤は、前記一般式(I)で表される含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有する。 一般式(I)で表される化合物の中でもYが-C(=O)-のものが好ましく、特にY、Zが共に-C(=O)-のものが好ましい。 R1は、水素、炭素数4から7のシクロアルキルアルキル、炭素数6から8のシクロアルケニルアルキル、炭素数6から12のアリール、炭素数3から7のアルケニルが好ましく、中でも水素、シクロプロピルメチル、2-シクロプロピルエチル、3-シクロプロピルプロピル、4-シクロプロピルブチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロブテニルメチル、2-シクロブテニルエチル、3-シクロブテニルプロピル、フェニル、ナフチル、アリル、プレニルが好ましい。これらの中でも、水素、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、アリル、プレニル、特に水素、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、アリルが好ましい。 R2、R3は、水素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、アリルオキシ、ベンジルオキシ、アセトキシまたはプロピオノキシが好ましく、中でも、水素、ヒドロキシ、メトキシ、アセトキシが好ましい。 -X-は環構造の一部になる炭素数2から4のアルキレンまたはアルケニレン(ただしそのうち1の炭素原子が硫黄原子で置き換わっていてもよい)であることが好ましく、中でもエチレン(-CH2-CH2-)、ビニレン(-CH=CH-)、プロペニレン(-CH2-CH=CH-)、-S-CH=CH-であることが好ましい。 kは2から8の整数、中でも2から6、特に2あるいは6であることが好ましい。 R4としては、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルキリデン、炭素数7から13のシクロアルキルアルキル、炭素数7から13のアラルキル、炭素数7から13のアラルキリデン、または、隣接する炭素にそれぞれ置換する2個のR4が一緒になって無置換または1以上の置換基R5で置換されたベンゾ、ピリド、ナフト、シクロプロパノ、シクロブタノ、シクロペンタノ、シクロペンテノ、シクロヘキサノ、シクロヘキセノ、シクロヘプタノ、またはシクロヘプテノを形成すること、加えて、Xが-S-CH=CH-の場合、k個のR4のうち、硫黄原子に結合した4個のR4が2個の酸素原子となりスルホン基となることが好ましい。中でもメチル、エチル、エチリデン、プロピル、プロピリデン、ブチル、ブチリデン、ベンジル、ベンジリデン、フェネチル、フェネチリデン、シクロヘキシルメチル、または、隣接する炭素にそれぞれ置換する2個のR4が一緒になって無置換または1以上の置換基R5で置換されたベンゾ、シクロヘキセノを形成することが好ましく、特に隣接する炭素にそれぞれ置換する2個のR4が一緒になって無置換または1以上、特に1から4個の置換基R5で置換されたベンゾ、シクロヘキセノを形成することが好ましい。加えて、Xが-S-CH=CH-の場合、k個のR4のうち、硫黄原子に結合した4個のR4が2個の酸素原子となりスルホン基となることも特に好ましいもののひとつである。ベンゾ、シクロヘキセノは無置換のものも好ましいが、置換基R5としてはそれぞれ別個に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、フェニル、イソチオシアナト、メルカプト、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、フェノキシ、アセトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、スルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジメチルカルバモイル、ジメチルアミノ、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、アミノ、アセトアミノ、アセトアミノメチル、メタンスルホンアミドが好ましい。 R9としては、水素、炭素数1から5のアルキル、アリル、ベンジルが好ましく、特に水素、メチルが好ましい。 R10、R11としては、結合して-O-であるもの、またはR10が水素で、R11が水素、ヒドロキシ、メトキシのものが好ましく、特に、両者が結合して-O-であるものが好ましい。 R12、R13としては、一緒になってオキソまたは、R12が水素でR13が水素、ヒドロキシであるものが好ましく、特にR12、R13共に水素、すなわち無置換であるものが好ましい。 特に、(A) 一般式(I)において、Yが-C(=O)-であり、R1が水素、炭素数4から7のシクロアルキルアルキル、炭素数5から8のシクロアルケニルアルキル、炭素数6から12のアリール、または炭素数3から7のアルケニルであり、Zが原子価結合であり、(1) Xがプロペニレン(-CH2-CH=CH-)、kが2、または(2) Xが-S-CH=CH-、kが6、硫黄原子に結合した4個のR4が2個の酸素原子となってスルホン基であり、隣接する炭素にそれぞれ置換する2個のR4が一緒になって、無置換または1以上の置換基R5で置換されたベンゾまたはシクロヘキセノを形成するものが好ましい。 また、一般式(I)において、Y、Zがともに-C(=O)-であり、R1が水素、炭素数4から7のシクロアルキルアルキル、炭素数5から8のシクロアルケニルアルキル、炭素数6から12のアリール、または炭素数3から7のアルケニルであり、kが2から8の整数であり、隣接する炭素にそれぞれ置換する2個のR4が一緒になって、無置換または1以上の置換基R5で置換されたベンゾ、ピリド、ナフト、シクロプロパノ、シクロブタノ、シクロペンタノ、シクロペンテノ、シクロヘキサノ、シクロヘキセノ、シクロヘプタノ、もしくはシクロヘプテノを形成するものが好ましい。 さらにまた、一般式(I)において、Y、Zがともに-C(=O)-であり、R1が、水素、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、またはアリルであり、R2 、R3が、水素、ヒドロキシ、メトキシ、またはアセトキシであり、-X-がビニレンであり、kが2であり、2個のR4が、一緒になって無置換または1から4個の置換基R5で置換されたベンゾまたはシクロヘキセノを形成し、R5が、それぞれ別個に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトロ、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、フェニル、イソチオシアナト、メルカプト、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、フェノキシ、アセトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、スルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジメチルカルバモイル、ジメチルアミノ、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、アミノ、アセトアミノ、アセトアミノメチル、またはメタンスルホンアミドであり、R9が水素、またはメチルであり、R10、R11が、結合して-O-であり、R12、R13が共に水素であるものが好ましい。 薬理学的に好ましい酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩等の有機カルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、カンファ−スルホン酸塩等の有機スルホン酸塩等があげられ、中でも、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩等が好ましく用いられるが、これらに限られるものではない。 本発明になる一般式(I)の化合物のうち、-X-がビニレン(-CH=CH-)、Y、Zが-C(=O)-、隣接する炭素にそれぞれ置換する2個のR4が一緒になって無置換またはひとつ以上の置換基R5で置換されたベンゾ、またはシクロヘキセノを形成し、R9 、R12、R13が水素、R10、R11が結合して-O-である、それぞれ一般式(Ia)、(Ia')、さらに、-X-が-S-CH=CH-、Yが-C(=O)-、Zが原子価結合、硫黄原子に結合した4個のR4が2個の酸素原子となりスルホン基であり、また隣接する炭素にそれぞれ置換する2個のR4が一緒になって無置換またはひとつ以上の置換基R5で置換されたベンゾを形成し、R9 、R12、R13が水素、R10、R11が結合して-O-である一般式(Ia") で表される化合物の具体例を表1に示す。なお、以下の表中においてCPMはシクロプロピルメチル(Cyclopropylmethyl)を意味し、R5の置換基に付した番号は、下式に示したフタルイミド構造のベンゼン環上、テトラヒドロフタルイミド構造のシクロヘキセン環上、あるいはO-スルホン安息香酸イミド構造のベンゼン環上の置換位置番号を示し、モルヒナン骨格6位結合はαまたはβである。 (Ia) (Ia') (Ia") また一般式(Ia)の化合物のうち、R1がシクロプロピルメチル、R2、R3がヒドロキシ、R5が4-フルオロであり、6位の立体がβである下記の化合物を、 N-[17-(シクロプロピルメチル)-4,5α-エポキシ-3,14-ジヒドロキシモルヒナン-6β-イル]-4-フルオロフタルイミドと命名する。 本発明になる一般式(I)の化合物の内、-X-がプロペニレン(-CH2-CH=CH-)、Yが-C(=O)-、Zが原子価結合、隣接する炭素にそれぞれ置換する2個のR4が一緒になって無置換またはひとつ以上の置換基R5で置換されたベンゾを形成し、R9、R12、R13が水素、R10、R11が結合して-O-である下記一般式(Ib)で表される化合物の具体例を表2に示す。なお、表2中のハイフンは、その置換基が化学式中に表記されない(すなわち水素原子である)ことを示し(他の表中のハイフンも同じ)、R5の置換基に付した番号は、下式に示したジヒドロイソインドール環上の置換位置番号を示し、モルヒナン骨格6位結合はαまたはβである。 (Ib) また一般式(Ib)の化合物のうち、R1がシクロプロピルメチル、R2、R3がヒドロキシ、R5が6-フルオロであり、6位の立体がβである下記の化合物を、2-[17-(シクロプロピルメチル)-4,5α-エポキシ-3,14-ジヒドロキシモルヒナン-6β-イル]-6-フルオロ-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オンと命名する。 一般式(I)で示される、本発明の機能性腸障害の治療または予防剤の有効成分として用いられる含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩の内、R12とR13が共に水素である一般式(Ic)(R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、k、X、Y、Zは前記定義に同じ)で示される化合物、またはその薬理学的に許容される酸付加塩は、具体的には国際公開特許WO 04/033457に記載された方法によって製造することができる。 また、一般式(I)で示される、本発明の機能性腸障害の治療または予防剤の有効成分として用いられる含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩の内、R12とR13がそれぞれR12'とR13' (R12'とR13'は一緒になってオキソ、またはR12'が水素でR13'がヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイロキシを表す)である一般式(Id)(R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、k、X、Y、Zは前記定義に同じ)で示される化合物は、スキーム1に示すように、国際公開 WO 04/033457に示された方法で得られる一般式(Ic)(R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、k、X、Y、Zは前記定義に同じ)で示される含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体のベンジル位を直接酸化するか、一般式(IIa)(R1、R2、R3、R9、R10、R11は前記定義に同じ、…Qはオキソ、またはジベンジルアミノを表す)で表されるモルヒナン誘導体のベンジル位を酸化して得られる、一般式(IIb)(R1、R2、R3、R9、R10、R11、R12'、R13'、…Qは前記定義に同じ)で表される中間体に、国際公開 WO 04/033457に示された方法を適用することにより製造することができる。ベンジル位の酸化では直接ヒドロキシ基、もしくはオキソ基を導入することもできるが、オキソ基を導入した後、ヒドロキシ基に還元する工程、ヒドロキシ基を導入した後、オキソ基に酸化する工程を経ることもできる。また置換基の種類により、必要に応じて、保護、脱保護工程を加えてもよい。 スキーム1 酸化工程では、通常ベンジル位の酸化に用いうる酸化剤はすべて適用可能であるが、ヒドロキシ基を導入する場合、例えば、酢酸マンガン(III)などのマンガン(III)塩、四酢酸鉛などの鉛化合物、t-ブチルヒドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどの有機過酸化物、硝酸セリウム(IV)アンモニウム(CAN)などのセリウム化合物、酸素などを酸化剤として用いることができる。中でも、硝酸セリウム(IV)アンモニウムを用いると、α-ヒドロキシ体を選択的に得ることができる場合があり、有用である。化合物構造中に酢酸などの有機酸を含む酸化剤を用いると、場合によってはアセトキシなどのアルカノイロキシ基を効率的に導入できることもある。 オキソ基を導入する場合、例えば、過マンガン酸カリウムなどの過マンガン酸塩、二酸化マンガンなどのマンガン化合物、酸化クロム、クロム酸ナトリウムなどのクロム化合物、二酸化セレンなどのセレン化合物、過ヨウ素酸ナトリウムなどの過ヨウ素酸塩、DDQなどのキノン類、酸化銀などの銀化合物、硝酸セリウム(IV)アンモニウム(CAN)などのセリウム化合物、ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)、酸素、過酸化水素などを用いることができる。 反応溶媒、反応温度、反応時間、基質濃度、反応剤の当量比などの反応条件は用いる酸化剤によって適宜選択されるが、例えば硝酸セリウム(IV)アンモニウム(CAN)などのセリウム化合物を用いる場合、アセトニトリル/水の混合溶媒系において、基質に対して4当量の酸化剤を室温で反応させることで、目的とする化合物を収率よく得ることができる。 オキソ基を還元してヒドロキシ基とする場合、カルボニル化合物を還元する場合に通常用いられる還元剤はすべて適用可能であるが、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウムなどのハイドライド還元剤が好ましく用いられる。 反応溶媒、反応温度、反応時間、基質濃度、反応剤の当量比などの反応条件は用いる還元剤によって適宜選択されるが、例えば水素化ホウ素ナトリウムを用いる場合、メタノールなどのアルコール系溶媒において室温で反応させることで目的とする化合物を収率よく得ることができる。なお、オキソ基の還元工程を経てヒドロキシ基を合成した場合には、直接ヒドロキシ化の場合とは逆にβ-体が選択的に得られる場合がある。 ヒドロキシ基を酸化してオキソ基とする場合、ヒドロキシ化合物を酸化する場合に通常用いられる酸化剤はすべて適用可能であるが、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、二酸化マンガン、DMSO/オキザリルクロリド、過ヨウ素酸酸化物類などが好ましく用いられる。 反応溶媒、反応温度、反応時間、基質濃度、反応剤の当量比などの反応条件は用いる酸化剤によって適宜選択されるが、例えばDMSO/オキザリルクロリドを用いる場合、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒において-78 ℃から0 ℃で反応させることで目的とする化合物を収率よく得ることができる。 ヒドロキシ体のアルコキシ体、アルカノイロキシ体への変換は通常のエーテル化、アシル化条件で行うことができ、塩化は、水または種々の有機溶媒中で薬理学的に許容される酸と混合し、濃縮乾固、再沈殿、再結晶などをすることで得ることができる。 一般式(I)で示される含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩が機能性腸障害に有効であることは、拘束ストレスの負荷によって亢進した大腸輸送能に対して抑制作用を示すことで確認することができる。亢進した大腸輸送能に対する抑制作用は、すでに報告されている文献[Miyata K et.al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 261, 297-303, 1992. または Kobayashi S et.al., Jpn. J. Pharmacol., 86, 281-8, 2001.]に記載の方法で確認しうるが、必ずしもこの方法に限定されるものではない。 本発明の機能性腸障害の治療または予防剤は、動物での試験において拘束ストレスの負荷によって亢進した大腸輸送能に対して抑制作用を示すので、機能性腸障害、特に、過敏性腸症候群における排便異常、腹痛、腹部膨満感、腹部不快感、食欲不振、腹鳴、嘔吐、おくび、胸やけなどの諸症状の改善に用いることができる。また本発明の機能性腸障害の治療または予防剤は哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト)に用いることができる。 本発明の機能性腸障害の治療または予防剤では、本発明で用いる化合物を、単独で、または、疾患の治療もしくは予防のために、または、症状の減少もしくは抑制のために用いられる1種類またはそれ以上の物質と組み合わせて投与することができる。このような物質の例には、ビフィズス菌、カゼイ菌、酪酸菌、ラクトミン、耐性乳酸菌、乾燥酵母などの整腸剤、ポリカルボフィルカルシウムなどの高分子重合体、硫酸アトロピン、臭化水素酸スコポラミン、臭化ブチルスコポラミン、メチル硫酸N-メチルスコポラミン、臭化メチルアニソトロピン(臭化メチルオクタトロピン)、塩酸パパベリン、ヨウ化オキサピウム、臭化バレタメート、塩酸ピペリドレート、ロートエキス、臭化ブトロピウム、トレプビトン、塩化トロスピウム、エトミドリン、臭化チメピジウム、臭化チキジウム、臭化プリフィニウム、臭化エチルピペタナート、ヨウ化チエモニウム、臭化メチルベナクチジウム、臭化プロパンテリン、塩酸ジシクロベリン(塩酸ジサイクロミン)、フロプロピオン、塩酸トリヘキシフェニジル、ビペリデン、プロフェナミン、塩酸ピロヘプチン、塩酸メチキセン、塩酸マザチコール、塩酸プロピベリン、塩酸オキシブチニン、塩酸トルテロジン、コハク酸ソリフェナシン、臭化水素酸ダリフェナシン、KRP-197などの抗コリン剤(副交感神経遮断薬)、マレイン酸トリメブチン、メトクロプラミド、ドンペリドン、塩酸イトプリド、クエン酸モサプリドなどの消化管運動調整剤、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、人工カルルス塩、カルメロースナトリウム、ヒマシ油、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム、フェノバリン、センナエキス、センノシドなどの下剤、塩酸ロペラミド、次硝酸ビスマス、タンニン酸アルブミン、塩化ベルベリン、硫化ベルベリン、タンニン酸ベルベリン、天然ケイ酸アルミニウムなどの止寫剤、ポリカルボフィルカルシウム、臭化メペンゾラート、アカメガシワなどの過敏性腸症候群治療剤、ジメチルポリシロキサンなどの腸内ガス除去剤、塩酸ノルトリプチリン、アモキサピン、塩酸マプロチリン、塩酸イミプラミン、マレイン酸トリミプラミン、塩酸クロミプラミン、塩酸ロフェプラミン、塩酸ドスレピン、塩酸トラゾドン、マレイン酸プルボキサミン、塩酸パロキセチン水和物、塩酸ミルナシプラン、塩酸ミアンセリン、マレイン酸セチプチリン、スルピリドなどの抗うつ剤、エチゾラム、クロチアゼパム、フルタゾラム、プロマゼパム、メキサゾラム、ジアゼパム、クロキサゾラム、クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸ニカリウム、メダゼパム、オキサゾラム、フルトプラゼパム、ロフラゼプ酸エチル、プラゼパム、クエン酸タンドスピロンヒドロキシジンなどの抗不安剤、トフィソパムなどの自律神経調整剤などが含まれるが、これらは例として与えるものであり、制限するものと解釈されるべきではない。 本発明の機能性腸障害の治療または予防剤を臨床で使用する際には、薬剤はフリーの塩基またはその塩自体でもよく、また賦形剤、安定化剤、保存剤、緩衝剤、溶解補助剤、乳化剤、希釈剤、等張化剤などの添加剤が適宜混合されていてもよい。また、当該薬剤は、これらの薬剤用担体を適宜用いて通常の方法によって製造することができる。投与形態としては、錠剤・カプセル剤・顆粒剤・散剤・シロップ剤などによる経口剤、注射剤・座剤・液剤などによる非経口剤、あるいは軟膏剤・クリーム剤・貼付剤などによる局所投与等を挙げることができる。これらの組成物は通常使用される方法にしたがって製造することができる。 本発明の機能性腸障害の治療または予防剤は上記有効成分を0.00001〜90重量%、より好ましくは0.0001〜70重量%含有することが望ましい。その使用量は症状、年齢、体重、投与方法等に応じて適宜選択されるが、成人に対して、注射剤の場合、有効成分量として1日0.1μg〜1g、経口剤の場合1μg〜10gであり、それぞれ1回または数回に分けて投与することができる。 一般式(I)で示される含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩は、機能性腸障害の治療または予防剤のための使用に用いることができる。また一般式(I)で示される含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩の有効量を患者に投与することを含む機能性腸障害の治療または予防のための方法にも用いることができる。 以下、参考例、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。参考例1 N-(17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-3,14-ジヒドロキシ-モルヒナン-6β-イル)-フタルイミド(化合物1)の合成 化合物1 6β-ナルトレキサミン 150 mg (0.44 mmol)をDMF 7mL に溶解させ、フタル酸無水物71 mg (0.48 mmol)、トリエチルアミン 0.92 mL (0.66 mmol)を加えて、140 ℃にて4時間撹拌した。 反応溶液を室温に放冷し、反応混合液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルにて抽出した。有機層を合わせて、水、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物1(120 mg、収率58%)を得た。1H-NMR (ppm) (300 MHz, CDCl3) 7.8-7.9 (2H, m), 7.7-7.8 (2H, m), 6.76 (1H, d, J = 7.9 Hz), 6.63 (1H, d, J = 8.2 Hz), 5.18 (1H, d, J = 8.5 Hz), 4.0-4.1 (1H, m), 3.11 (1H, d, J = 5.6 Hz), 3.05 (1H, d, J = 18.8 Hz), 2.6-2.9 (3H, m), 2.3-2.4 (3H, m), 2.15 (1H, dt, J = 12.0, 3.5 Hz), 1.4-1.7 (4H, m), 0.8-0.9 (1H, m), 0.5-0.6 (2H, m), 0.1-0.2 (2H, m)IR (cm-1) (KBr) 3320, 1769, 1708, 1626, 1504, 1466, 1428, 1379, 1323, 1271, 1240, 1190, 1173, 1075Mass (EI) : 472(M+)参考例2 N-(17-シクロプロピルメチル-4, 5α-エポキシ-3, 10α, 14-トリヒドロキシモルヒナン-6β-イル)フタルイミド(化合物2)の合成 化合物2<ステップ1> 化合物3 参考例1の方法で得られる N-(17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-3,14-ジヒドロキシ-モルヒナン-6β-イル)-フタルイミド(化合物1)8.00 g (16.93 mmol)をDMF 135 mLに溶解させ、炭酸カリウム5.15 g (37.26 mmol)を加えて攪拌、懸濁した。ベンジルブロミド 3.19 g (18.65 mmol)を加えて、40 ℃で19時間攪拌し、さらにベンジルブロミド1.15 g (6.72 mmol)を追加して6時間攪拌した。 反応溶液を室温まで放冷し、蒸留水を加えて酢酸エチルにて抽出した。有機層にテトラヒドロフランと0.1 N塩酸を加えて抽出を行い、得られた水層に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて水層のpHを8とし、再度酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮して粗生成物を得た。 得られた粗生成物をメタノールにてスラリー洗浄を行うことでN-(3-ベンジルオキシ-17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-14-ヒドロキシ-モルヒナン-6β-イル)-フタルイミド(化合物3)8.11 g (収率85%)を得た。1H-NMR (ppm) (400 MHz, CDCl3) 0.13 (2H, m), 0.54 (2H, m), 0.86 (1H, m), 1.46-1.59 (3H, m), 1.71 (1H, m), 2.12 (1H, dt, J =4.0, 12.0 Hz), 2.33-2.39 (3H, m), 2.61-2.69 (2H, m), 2.79 (1H, dq, J = 2.4, 13.2 Hz), 3.06 (1H, d, J = 18.4 Hz), 3.11 (1H, d, J = 5.2 Hz), 4.16 (1H, ddd, J = 4.8, 8.4, 13.2 Hz), 5.09 (1H, d, J = 12.0 Hz), 5.19 (1H, d, J = 12.0 Hz), 5.27 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.61 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.76 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.26 (1H, t, J = 7.6 Hz), 7.33 (2H, t, J = 7.6 Hz), 7.43 (2H, d, J = 7.6 Hz), 7.70-7.73 (2H, m), 7.82-7.85 (2H, m).IR (cm-1) (KBr) 3434, 2928, 1773, 1712, 1612, 1500, 1453, 1377, 1333, 1281, 1241, 1190, 1172, 1148, 1108, 1089, 1059, 1042, 1017 Mass (ESI) : 563(M+1)+<ステップ2> 化合物4 ステップ1で得られたN-(3-ベンジルオキシ-17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-14-ヒドロキシ-モルヒナン-6β-イル)-フタルイミド(化合物3)6.50 g(11.55 mmol)をアセトニトリル600 mLおよび蒸留水32.5 mLに懸濁し、硝酸セリウム(IV)アンモニウム 25.01 g(45.62 mmol)を加えて室温にて24時間攪拌を行った。 反応液に固体の炭酸水素ナトリウムとセライトを加え15分間攪拌した後、濾過した。濾液に酢酸エチル、セライトおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて振騰した後、セライトと共に固体成分を濾別した。得られた濾液を分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、濃縮して粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N-(3-ベンジルオキシ-17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-10α,14-ジヒドロキシ-モルヒナン-6β-イル)-フタルイミド(化合物4) 2.72 g(4.71 mmol, 収率41%)を得た。1H-NMR (ppm) (400 MHz, CDCl3) 0.13 (1H, m), 0.20 (1H, m), 0.58 (2H, m), 0.92 (1H, m), 1.47-1.52 (2H, m), 1.83-1.89 (2H, m), 2.02 (1H, dt, J = 4.0, 12.4 Hz), 2.36 (1H, dt, J = 5.2, 12.4 Hz), 2.52 (2H, dq, J = 6.4, 12.8 Hz), 2.66 (1H, dd, J = 5.2, 12.0 Hz), 2.78 (1H, dq, J = 4.8, 12.8 Hz), 3.16 (1H, s), 4.17 (1H, ddd, 4.8, 8.4, 13.2 Hz), 4.99-5.00 (2H, m), 5.14 (1H, d, J = 12.0 Hz), 5.22 (1H, d, J = 12.0 Hz), 5.30 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.88 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.92 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.28 (1H, t, J = 7.2 Hz), 7.35 (2H, t, J = 7.2 Hz), 7.44 (2H, d, J = 7.2 Hz), 7.70-7.73 (2H, m), 7.83-7.86 (2H, m).IR (cm-1) (KBr)3402, 2928, 1770, 1710, 1632, 1611, 1499, 1377, 1335, 1279, 1192, 1170, 1095, 1060, 1043, 1027Mass (ESI) : 579(M+1)+<ステップ3> ステップ2で得られたN-(3-ベンジルオキシ-17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-10α,14-ジヒドロキシ-モルヒナン-6β-イル)-フタルイミド(化合物4)2.72 g(4.71 mmol)をテトラヒドロフラン 90 mLに溶解し、10% Pd-C(50% wet)1.36 gを加えて攪拌、懸濁した後、ギ酸(88%水溶液)18 mLを滴下し、22〜26℃にて15時間攪拌した。 反応液を濾過してPd-Cを除去した後、濃縮して得られた残渣にテトラヒドロフラン、メタノール、クロロホルムおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和および抽出を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮乾固することで粗生成物を得た。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物2、 1.31 g(2.68 mmol, 収率57%)を得た。1H-NMR (ppm) (500 MHz, CDCl3/CD3OD=7/3) 0.16 (1H, m), 0.23 (1H, m), 0.58 (2H, m), 0.95 (1H, m), 1.48-1.52 (2H, m), 1.76 (1H, m), 1.96 (1H, dt, J = 3.0, 14.0 Hz), 2.07 (1H, dt, J = 4.0, 12.5 Hz), 2.32 (1H, dt, J = 5.5, 12.5 Hz), 2.44 (1H, dd, J = 6.5, 12.5 Hz), 2.62-2.74 (3H, m), 3.10 (1H, s), 4.12 (1H, ddd, J = 4.5, 8.0, 13.0 Hz), 4.98 (1H, s), 5.23 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.82 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.93 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.76-7.78 (2H, m), 7.84-7.87 (2H, m).IR (cm-1) (KBr)3392, 2945, 1768, 1697, 1624, 1503, 1465, 1397, 1375, 1306, 1244, 1189, 1165, 1090, 1061, 1025Mass (ESI) : 489(M+1)+参考例3 N-(17-シクロプロピルメチル-4, 5α-エポキシ-3, 14-ジヒドロキシ-10-オキソ-モルヒナン-6β-イル)フタルイミド(化合物5)の合成 化合物5<ステップ1> 化合物6 参考例2、ステップ1で得られたN-(3-ベンジルオキシ-17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-14-ヒドロキシ-モルヒナン-6β-イル)-フタルイミド(化合物3)1.51 g (2.67 mmol) をアセトン50 mLに溶解し、1N塩酸5 mLを加えて氷冷した。別の容器に酸化クロム (VI) 274 mg (2.74 mmol)を9N塩酸15 mLに溶解し、この溶液を前記の反応溶液に加えて3 ℃にて48時間攪拌した。 反応液にイソプロピルアルコールを加えて30分攪拌を行った後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて水層のpHを8とし、クロロホルムにて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N-(3-ベンジルオキシ-17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-14-ヒドロキシ-10-オキソ-モルヒナン-6β-イル)-フタルイミド(化合物6)435 mg (0.74 mmol, 収率28%)を得た。1H-NMR (ppm) (400 MHz, CDCl3) 0.09 (1H, m), 0.33 (1H, m), 0.55 (2H, m), 0.93 (1H, m), 1.50-1.66 (2H, m), 1.79 (1H, m), 2.12-2.26 (2H, m), 2.54 (1H, dt, J = 6.0, 13.2 Hz), 2.63-2.67 (2H, m), 2.80-2.89 (2H, m), 3.28 (1H, s), 4.16 (1H, ddd, J = 4.8, 8.4, 12.8 Hz), 5.24 (1H, d, J = 12.0 Hz), 5.30 (1H, d, J = 12.0 Hz), 5.34 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.93 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.29-7.44 (6H, m), 7.72-7.74 (2H, m), 7.85-7.87 (2H, m).Mass (ESI) : 587(M+1)+<ステップ2> ステップ1で得られたN-(3-ベンジルオキシ-17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-14-ヒドロキシ-10-オキソ-モルヒナン-6β-イル)-フタルイミド(化合物6)400 mg(0.68 mmol)をテトラヒドロフラン20 mLに溶解し、これに10% Pd-C(50 % wet)398 mgを加えて攪拌、懸濁した後、ギ酸(88%水溶液)427 mgを加えて40 ℃にて9.5時間攪拌した。 反応液を濾過してPd-Cを除去後、クロロホルムおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて水層のpHを8とし、抽出を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、濃縮乾固する事で粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、得られた濃縮残渣を酢酸エチルにてスラリー洗浄を行うことで表題化合物5、130 mg(0.27 mmol, 単離収率39 %)を得た。1H-NMR (ppm) (400 MHz, CDCl3) 0.12 (1H, m), 0.33 (1H, m), 0.54 (2H, m), 0.93 (1H, m), 1.45-1.53 (2H, m), 1.63 (1H, m), 1.80 (1H, m), 2.17 (1H, dt, J = 4.4, 12.4 Hz), 2.24 (1H, dd, J = 7.2, 13.2 Hz), 2.54 (1H, dt, J = 5.6, 12.8 Hz), 2.66 (1H, dd, J = 7.2, 13.2 Hz), 2.75-2.90 (2H, m), 3.28 (1H, s), 4.07 (1H, m), 5.28 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.94 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.43 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.71-7.75 (2H, m), 7.83-7.87 (2H, m).IR (cm-1) (KBr)3278, 2928, 2831, 1769, 1712, 1616, 1467, 1378, 1331, 1285, 1234, 1192, 1168, 1092, 1016Mass (ESI) : 486(M+1)+参考例4 N-(17-シクロプロピルメチル-4, 5α-エポキシ-3, 10β, 14-トリヒドロキシモルヒナン-6β-イル)フタルイミド(化合物7)の合成 化合物7<ステップ1> 化合物8 参考例3の方法で得られるN-(17-シクロプロピルメチル-4, 5α-エポキシ-3, 14-ジヒドロキシ-10-オキソ-モルヒナン-6β-イル)フタルイミド(化合物5)210 mg(0.43 mmol)をクロロホルム10 mLに溶解し、ジ-t-ブチルジカルボナート100 mg (0.46 mmol)および4-ジメチルアミノピリジン5 mg (0.04 mmol)を加え、室温にて4時間攪拌した。 反応液を濃縮乾固し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N-(3-t-ブトキシカルボニロキシ-17-シクロプロピルメチル-4, 5α-エポキシ-14-ヒドロキシ-10-オキソ-モルヒナン-6β-イル)フタルイミド(化合物8)152 mg(0.26 mmol, 収率60%)を得た。1H-NMR (ppm) (400 MHz, CDCl3) 0.11 (1H, m), 0.35 (1H, m), 0.55 (2H, m), 0.92 (1H, m), 1.46-1.57 (11H, m), 1.66 (1H, dd, J = 3.2, 12.8 Hz), 1.80 (1H, m), 2.15 (1H, dt, J = 4.4, 12.4 Hz), 2.25 (1H, dd, J = 7.2, 12.8 Hz), 2.57 (1H, dt, J = 5.6, 12.8 Hz), 2.63 (1H, dd, J = 6.4, 12.8 Hz), 2.74(1H, dq, J = 2.4, 13.6 Hz), 2.87 (1H, dd, J = 4.8, 12.4 Hz), 3.31 (1H, s), 4.07 (1H, m), 5.48 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.19 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.44 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.71-7.75 (2H, m), 7.82-7.88 (2H, m).IR (cm-1) (KBr)3375, 2974, 1777, 1712, 1681, 1620, 1383 Mass (ESI) : 587(M+1)+<ステップ2> 化合物9 ステップ1で得られたN-(3-t-ブトキシカルボニロキシ-17-シクロプロピルメチル-4, 5α-エポキシ-14-ヒドロキシ-10-オキソ-モルヒナン-6β-イル)フタルイミド(化合物8)113 mg(0.19 mmol)をテトラヒドロフラン10 mLに溶解し、氷浴にて反応容器を冷却した。0 ℃にて水素化ホウ素ナトリウム4.0 mg(0.10 mmol)を加え、添加終了後、氷浴を外して反応液を室温に戻し、室温にて26時間攪拌した。 反応液に酢酸エチル、蒸留水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて抽出し、有機層を蒸留水にて洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮乾固を行うことで粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N-(3-t-ブトキシカルボニロキシ-17-シクロプロピルメチル-4, 5α-エポキシ-10β,14-ジヒドロキシモルヒナン-6β-イル)フタルイミド(化合物9)53 mg(0.09, 収率47%)を得た。1H-NMR (ppm) (400 MHz, CDCl3) 0.16 (2H, m), 0.53 (2H, m), 0.90 (1H, m), 1.41-1.51 (12H, m), 1.74 (1H, m), 2.38 (1H, dt, J=5.2, 12.4 Hz), 2.55 (1H, m), 2.67 (1H, m), 2.78-2.89 (2H, m), 3.00 (1H, dd, J = 6.4, 13.2 Hz), 3.21 (1H, d, J = 5.2 Hz), 4.09 (1H, m), 5.06 (1H, d, J = 5.2 Hz), 5.35 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.03 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.08 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.70-7.72 (2H, ,m), 7.81-7.84 (2H, m).Mass (ESI) : 589(M+1)+<ステップ3> ステップ2で得られたN-(3-t-ブトキシカルボニロキシ-17-シクロプロピルメチル-4, 5α-エポキシ-10β,14-ジヒドロキシモルヒナン-6β-イル)フタルイミド(化合物9)50 mg(0.07 mmol)をクロロホルム4 mLに溶解し、これにトリフルオロ酢酸1 mLを加えて室温にて3.5時間攪拌した。 反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて水層のpHを8とした後、クロロホルムで抽出を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮乾固することで粗生成物を得た。得られた粗生成物を、分取シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物7、13 mg(0.03 mmol, 収率32%)を得た。1H-NMR (ppm) (400 MHz, CDCl3) 0.16 (2H, m), 0.52 (2H, m), 0.91 (1H, m), 1.41-1.48 (3H, m), 1.74 (1H, m), 2.37 (1H, m), 2.60 (1H, m), 2.76-2.90 (3H, m), 3.00 (1H, dd, J = 6.0, 13.2 Hz), 3.19 (1H, d, J = 5.2 Hz), 4.07 (1H, m), 5.05 (1H, d, J = 5.2 Hz), 5.16 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.86 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.96 (1H, d, J = 8.4 Hz),7.71-7.73 (2H, m), 7.83-7.86 (2H, m).Mass (ESI) : 489(M+1)+参考例5 N-(17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-3,14-ジヒドロキシ-モルヒナン-6β-イル)-3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド・酒石酸塩(化合物 10)の合成10 国際公開 WO 04/033457、実施例77に記載の方法で表題化合物10を得た。1H-NMR (ppm) (300 MHz, CDCl3) 0.12 (2H, m), 0.52 (2H, m), 0.84 (1H, m), 1.43 (3H, m), 1.65 (1H, m), 1.76 (4H, br), 2.12 (3H, td, J = 12.0, 3.6 Hz), 2.26-2.38 (7H, m), 2.63 (3H,m), 3.03 (1H, d, J = 18.4 Hz), 3.08 (1H, d, J = 5.6 Hz), 3.83 (1H, ddd, J = 13.2, 8.4, 3.6 Hz), 5.05(1H, d, J = 8.4 Hz), 6.60 (1H, d, J = 8.4 Hz) (フリー体)Mass (ESI) : 477(M++1)参考例6 2-(17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-3,14-ジヒドロキシ-モルヒナン-6β-イル)-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン・メタンスルホン酸塩(化合物 11)の合成11 国際公開 WO 04/033457、実施例81に記載の方法で表題化合物11を得た。1H-NMR (ppm) (300 MHz, CDCl3) 0.14 (2H, m), 0.54 (2H, m), 0.85 (1H, m), 1.47-1.73 (4H, m), 2.13-2.29 (4H, m), 2.38 (2H, d, J = 6.3 Hz), 2.59-2.67 (2H, m), 3.05 (1H, d, J = 18.9 Hz), 3.10 (1H, d, J = 5.4 Hz), 4.25 (1H, ddd, J = 13.5, 8.1, 4.8 Hz), 4.53 (3H, m), 4.68 (1H, d, J = 7.8 Hz), 6.62 (1H, d, J = 8.1 Hz), 6.76 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.22 (1H, t, J = 8.7 Hz), 7.42-7.49 (1H, m), 7.64 (1H, d, J = 7.8 Hz)(フリー体)Mass (ESI) : 477(M++1)参考例7 N-(17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-3,14-ジヒドロキシ-モルヒナン-6β-イル)-O-スルホン安息香酸イミド・酒石酸塩(化合物 12)の合成12 国際公開 WO 04/033457、実施例108に記載の方法で表題化合物12を得た。1H-NMR (ppm) (300 MHz, CDCl3) 8.06-8.08 (m, 1H), 7.82-7.97 (m, 3H), 6.80 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 6.65 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 5.28 (d, 1H, J = 8.3 Hz), 3.92 (ddd, 1H, J = 3.9, 8.3, 13.1 Hz), 3.11 (d, 1H, J = 5.6 Hz), 3.06 (d, 1H, J = 18.3 Hz), 2.78-2.87 (m, 1H), 2.60-2.70 (m, 2H), 2.32-2.39 (m, 3H), 2.13-2.20 (m, 1H), 1.46-1.76 (m, 4H), 0.82-0.88 (m, 1H), 0.52-0.57 (m, 2H), 0.12-0.15 (m, 2H)(フリー体)Mass (ESI) : 509(M++1)参考例8 N-(17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-3,14-ジヒドロキシ-モルヒナン-6β-イル)-マレイン酸イミド・酒石酸塩(化合物13)の合成13 6β-ナルトレキサミン 800 mg (2.34 mmol)をDMF(30 mL)に溶解させ、マレイン酸無水物252 mg (2.57 mmol)、トリエチルアミン 0.48 mL (3.50 mmol)を加えて、室温にて1時間半撹拌した。その後、メタンスルホン酸0.53 mL (8.18 mmol)を加えて120 ℃にて8時間攪拌した。 反応溶液を室温に放冷し、反応混合液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルにて抽出した。有機層を合わせて、水、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物13のフリー体 141 mg (収率14%)を得た。これを酒石酸塩として表題化合物13を得た。1H-NMR (ppm) (400 MHz, CDCl3) 6.70-6.75 (3H, m), 6.61 (1H, d, J = 8.0 Hz), 5.02 (1H, d, J = 8.3 Hz), 3.8-3.9 (1H, m), 3.08 (1H, d, J = 5.6 Hz), 3.04 (1H, d, J = 18.3 Hz), 2.6-2.7 (3H, m), 2.3-2.4 (3H, m), 2.12 (1H, dt, J = 12.0, 3.6 Hz), 1.4-1.7 (4H, m), 0.8-0.9 (1H, m), 0.5-0.6 (2H, m), 0.1-0.2 (2H, m)(フリー体)Mass (ESI) : 423(M+1)実施例1ラット拘束ストレス負荷誘発脱糞モデルに対する効果 溶媒または化合物1を皮下投与し、15分後に拘束ストレス負荷を開始した。その後、60分間の脱糞数を計測し効果を判定した(1群は6匹とした)。拘束ストレスを負荷しない対照群は新しいプラスチックケージに移すのみとした。 溶媒として用いた0.1 w/v %クエン酸含有5 w/v %キシリトール溶液のみの投与群では、拘束ストレスを負荷しない動物が60分間に平均1.0個の糞をしたのに対して拘束ストレス負荷群は平均6.5個の糞をし、ストレスによる脱糞数の増加が認められた。 これに対し、化合物1(0.15 mg/kg)を投与した拘束ストレス負荷群の脱糞数は平均1.0個であり、溶媒投与群との比較において、統計学的に有意の脱糞数抑制作用が認められ、機能性腸障害に有効であることが示された。実施例2 実施例1と同様にして化合物10、11、12、13を評価した。溶媒として用いた0.1 w/v %クエン酸含有5 w/v %キシリトール溶液投与群は、拘束ストレス負荷60分間で平均7.5個の糞をした。化合物10を0.3 mg/kg投与すると平均0.3個、化合物11を1mg/kg投与すると平均4.2個、化合物12を0.3 mg/kg投与すると平均3.7個、化合物13を10 mg/kg投与すると平均4.1個の糞数に減少した。これらの被験物質はいずれも溶媒投与群との比較において、有意な脱糞数抑制作用が認められ、機能性腸障害に有効であることが示された。 一般式(I)[式中R1は、炭素数4から7のシクロアルキルアルキルを表し;R2、R3は、ヒドロキシを表し;Y、Zは、独立して原子価結合、または-C(=O)-を表し;-X-は、環状構造の一部になる炭素数2または3のアルケニレン(ただしそのうちひとつの炭素原子が硫黄原子で置き換わっていてもよい)を表し;kは、0から6の整数を表し;R4は、含窒素環状構造上のk個の置換基であり、それぞれ別個に、k個のR4のうち、同一の硫黄原子に結合した4個のR4が2個の酸素原子となりスルホン基を表すか、またはk個のR4のうち隣接する炭素にそれぞれ置換する2個のR4が一緒になって無置換または置換基R5で置換されたベンゾ、またはシクロヘキセノを表し;R5は、フッ素を表し;R9は、水素を表し;R10、R11は、結合して-O-を表し;R12、R13は、水素を表し;一般式(I)は(+)体、(-)体、(±)体を含む。]で示される含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有する機能性下痢または下痢型過敏性腸症候群の治療もしくは予防剤。 一般式(I)において、R1が、シクロプロピルメチルであり、Y、Zが共に-C(=O)-であり、-X-がビニレンであり、kが2であり、2個のR4が、一緒になってベンゾまたはシクロヘキセノを形成する請求項1に記載の含窒素環状置換基を有するモルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩有効成分として含有する機能性下痢または下痢型過敏性腸症候群の治療もしくは予防剤。


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