生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_結晶形態のメラミンシアヌレート
出願番号:2007536152
年次:2013
IPC分類:C07D 251/54,C07D 251/32,C08K 5/3492


特許情報キャッシュ

キールケルス,レニアー ヘンリクス マリア ブレイマン,フィリップ ウォルフガング ポール バレール ブレウゲルス,レオポルド フランシスカス ウィナンダス JP 5122289 特許公報(B2) 20121102 2007536152 20051006 結晶形態のメラミンシアヌレート チバ ホールディング インコーポレーテッド 396023948 Ciba Holding Inc. 萼 経夫 100068618 宮崎 嘉夫 100104145 加藤 勉 100104385 小野塚 薫 100109690 キールケルス,レニアー ヘンリクス マリア ブレイマン,フィリップ ウォルフガング ポール バレール ブレウゲルス,レオポルド フランシスカス ウィナンダス EP 04105066.7 20041015 20130116 C07D 251/54 20060101AFI20121220BHJP C07D 251/32 20060101ALI20121220BHJP C08K 5/3492 20060101ALI20121220BHJP JPC07D251/54C07D251/32 AC08K5/3492 C07D 251/54 C07D 251/32 C08K 5/3492 CAPLUS/REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平03−122143(JP,A) 特開平08−157595(JP,A) 国際公開第2003/035736(WO,A1) 特開平06−157820(JP,A) 特開平05−310716(JP,A) 2 EP2005055036 20051006 WO2006040289 20060420 2008516924 20080522 13 20081006 清水 紀子 本発明は、基本的に結晶形態のメラミンシアヌレートを含む固体小粒子の新規製造方法、難燃性組成物、メラミンシアヌレートの新規結晶形態(α−形態)、該新規結晶形態の製造方法及びメラミンシアヌレートの結晶形態(α−形態及びβ−形態)混合物の製造方法に関する。 メラミンシアヌレート(MC)は、メラミン及びシアヌル酸から形成される塩であり、難燃剤としてのポリマー中における使用が知られている。難燃剤は、ポリマーの難燃性を強化するために、ポリマー状材料(合成又は天然)に添加される。それらの組成に依存して、難燃剤は、固相、液相及び気相に化学的に、例えば窒素原子の遊離によって泡立つように、及び/又は物理的に、例えば発泡被覆を形成することによって作用し得る。難燃剤は、燃焼プロセスの特定段階において、例えば加熱、分解、発火又は火炎拡散中に干渉する。MCは、単独で又は他の難燃剤と組み合わせて使用され、ヒートシンク及び難燃性材料の滴下をもたらし得る。 欧州特許出願公開第439719号明細書は、ポリマー中における難燃剤としての、メラミンシアヌレート等の窒素原子遊離剤の使用を開示している。難燃剤は、小さな粉末粒子がポリマーマトリックス中に均一に分散される場合、特に効果的である。最近、MC粉末は、メラミン及びシアヌル酸の濃縮水性懸濁液からの分離によって製造されている。水相中に溶解される化合物及び水中にほとんど溶解しないMC[メラミン:0.3g/100mL(20℃)、4.6g/100mL(95℃)及びシアヌル酸:0.3g/100mL(20℃)、2.5g/100mL(95℃)と比較してMC:0.008g/100mL(20℃)]を加熱することによって、結晶化が始まる。結晶形成の完了後、固体粒子を単離し、乾燥させ、所望の粒径、例えば15、25又は50μまで微粉砕する。 小さな粉末粒子の使用は、粉塵の形成、及び、粉塵爆発、静電ポテンシャルに起因する火花点火の危険性に関する安全性の問題、分別及び分離プロセス、不十分な流動性に起因する投与量に関する問題又は凝集体の形成等の他の危険性を有する。 これらの欠点を解消する工業用の投与形態が必要とされている。欧州特許出願公開第0666259号明細書によると、酸化金属粒子と共に、100μ未満の平均粒径を有するより大きなMC−凝集物が形成される。これらの凝集物は、ポリマーマトリックス中に配合された場合、高温で容易に分解する。 国際公開第03/035736号パンフレットによると、粉塵形成は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)又はポリビニルカプロラクタム等の補助物質の助けをかりて互いに結合された0.1ないし50μの平均粒径を有するより小さなMC−粒子を含む自由流動性MC−凝集物を製造することによって減少する。欧州特許出願公開第439719号明細書欧州特許出願公開第0666259号明細書国際公開第03/035736号パンフレット 本発明は、望ましくない粉塵形成の危険性並びに補助物質との凝集物を形成する分離工程を回避するメラミンシアヌレートを含む固体小粒子の製造問題に関する。 驚くべきことに、付加的な凝集物なしの、基本的に結晶形態のメラミンシアヌレートを含む固体小粒子が、等モル量のシアヌル酸二水和物と5質量%未満の遊離(非結合の)水を含むメラミンの混合物から、または、シアヌル酸及びメラミンの固体混合物に適当な界面活性剤を添加することによって得られることが発見された。 本発明は、基本的に結晶形態のメラミンシアヌレートを含む固体小粒子の製造方法に関する。該方法は、以下の製造態様を特徴とする: a)等モル量のシアヌル酸二水和物と5質量%未満の遊離水を含むメラミンの混合物を、シアヌル酸を二水和物に転換し、シアヌル酸二水和物とメラミンの混合物を形成し、該混合物を80℃以上の温度で加熱することによって調製するか;又は、 b)濃縮水性分散液であって、該分散液の総質量に基づきシアヌル酸及びメラミンの混合物を少なくとも25質量%含む分散液を調製し、該混合物に b’)ジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、又は、そのホモポリマー若しくはコポリマー;及び b’’)低分子量スチレン/無水マレイン酸コポリマー、又は、その部分エステル誘導体若しくは加水分解物からなる群から選択された添加剤を添加し; 該水性分散液から得られる粒子を単離する。本発明の記載において使用される一般用語は、特に定義がない限りは、以下のように定義される。 用語‘‘固体粒子’’は、粉末、結晶、粉砕結晶又は結晶等から製造される粒質物等の、固体粒状物質のあらゆる凝集体又は凝集物を定義する。 用語‘‘小粒子’’は、少なくとも90%、好ましくは95%の画分が1μ未満の粒径を有し、残りの粒子が5μより大きくないところの本発明の方法によって得られる粒子分布を定義する。 用語‘‘結晶形態’’は、分子が非晶形とは異なり、幾何学的な規則正しいパターンで配列されるところのあらゆる固形物を定義する。 用語‘‘基本的に結晶形態’’は、結晶粒子のあらゆる組成物又は凝集物からの相当量の非晶質粒子の除外を定義する。 顕微分析、レーザー光散乱又は電子顕微鏡写真などの分析測定によって、本願請求項に係る方法によって得られる固体粒子の粒径及び均一性が決定される。 本発明の好ましい態様に従って、<5μの99%(D99)以上の母集団において、0.8μ未満の平均粒径(D50)が観察される。 変形プロセスa) シアヌル酸二水和物とメラミンの混合物の調製において、高速ミキサー(ディオスナ(Diosna))を使用する。反応器中での混合は高速で、例えば、最低500rpmで行う。4つのブレードが付いたステンレス鋼混合ローターが好ましい。少なくとも500rpmで混合しながら、二水和物を形成するための正確な量の水を予熱した(30ないし60℃の)無水シアヌル酸に少なくとも30分の時間をかけて添加する。混合物の総質量に基づいて5%までの過剰な遊離水を添加することができる。二水和物を形成した後、メラミンを同温にて添加し、混合物を数時間攪拌する。 用語‘‘遊離水’’は、水和物、例えば二水和物の形成において、無水シアヌル酸によって消費されない混合物中に存在する水の量を定義する。遊離水又は非結合水は、一般の分析方法、例えば、いわゆるカールフィッシャー法によって又は120℃で少なくとも2時間乾燥させることによって決定され得る。 シアヌル酸二水和物とメラミンを混合する際の温度範囲は、約80℃ないし200℃、好ましくは80℃ないし120℃、特には90℃ないし100℃である。 この変形プロセスの利点は、乾燥による水の除去を必要としないことにある。微粉砕しなくてもよい粉末状の生成物が得られる。粉末状の生成物は、直接、粒質物等の圧縮物品に更に加工され得る。 本発明の他の態様に従って、メラミンシアヌレートの新規結晶変性物(β−形態)は、混合物の総質量に基づき5%までの遊離水の存在下において、変形プロセスa)によって形成される。新規結晶形態は、DSC(示差走査熱量測定)によって決定された424℃の昇華温度を有し、他の方法、例えば特開平07−149739号公報(ニッサン)に記載される方法によって得られるα−結晶形態等の他の結晶形態から明らかに区別され得る。 メラミンシアヌレートの新規結晶変性物(β−形態)は、選択されたメラミンシアヌレートの製造方法に依存して、α−形態とβ−形態の両方の結晶形態が様々な量で存在するところの混合物とも区別される。 DSC及び動的熱重量分析に基づき、以下の物理−化学データがα−結晶形態及びβ−結晶形態及びそれらの混合物に関して確立されている。表1 メラミンシアヌレートのβ−形態は、X線粉末回析パターンにおいて、格子面間隔[d−値]及び中線(medium line)及び弱線(weaker line)を含む以下の主線強度の相対線強度を特徴とする(CuKα照射:40KV,50mA,回折ビームの単色光分光器,受光スリット:0.2mm,散乱スリット:1°)。表2:β−形態 本発明の他の態様は、メラミンシアヌレートの結晶形態(β−形態)の製造方法に関する。この方法は、等モル量のシアヌル酸二水和物と5質量%未満の遊離水を含むメラミンの混合物を、シアヌル酸をその二水和物に転換し、シアヌル酸二水和物とメラミンの混合物を形成し、該混合物を80℃以上の温度まで加熱することによって調製することを特徴とする。 新規結晶形態(β−形態)は、他の結晶形態と比べて利点を有する。それは、急速かつ完全な結晶化プロセスを確実にし、かつ結晶それ自体又は粒質物等の更に加工された固体投与形態の良好な貯蔵安定性又は流動性等の優れた機械的性質を確実にするため、上記の基本的に結晶形態のメラミンシアヌレートを含む固体小粒子の製造方法において特に有用である。 本発明の他の態様に従って、メラミンシアヌレートの新規結晶変性物(β−形態)は、混合物の総質量に基づき5%までの遊離水の存在下において、変形プロセスa)によって形成される。新規結晶形態は、DSC(示差走査熱量測定)によって決定された424℃の昇華温度を有し、他の方法、例えば特開平07−149739号公報に記載される方法によって得られるα−結晶形態等の他の結晶形態から明らかに区別され得る。 メラミンシアヌレートの新規結晶変性物(β−形態)は、選択されたメラミンシアヌレートの製造方法に依存して、α−形態とβ−形態の両方の結晶形態が様々な量で存在するところの混合物とも区別される。 変形プロセスb) 用語‘‘水性分散液’’は、分散される粒子が、簡単な場合では水であるところの分散させる相(分散剤)中に、均一に分布されるところのあらゆる2相混合物を含む。水相は、分散安定性を補助し得る溶質(溶解性の塩)、酸又は塩基、金属イオン封鎖剤又は分散剤及び/又は界面活性化合物等の他の物質も含み得る。 用語‘‘水性分散液’’は、固体/気体、例えばフューム、又は気体/液体、例えば発泡体、分散液等の他の分散系とは異なる、いわゆる固体/液体又は液体/液体分散系、例えばエマルジョン、分散液の範囲内で定義される。ここで適用される固体/液体分散液は、液体内に不溶性固体粒子又は低溶解性の固体粒子を含む2相系からなる。液体/液体分散液は、一般に、エマルジョンとして定義され、異なる極性の二分離相からなる。簡単な場合において、非極性相が、極性相である水中に分散される。 用語‘‘分散される粒子’’は、液相、例えば水中に均一に分布される固体粒子、特には液体粒子、簡単な場合においては式(I)で表される化合物を含む。均一な分布は、液体分散剤中の固体粒子又は液体粒子の濃度が液相のあらゆる体積分率と同一であるか、又はほぼ同一であることを意味する(液体粒子又は固体粒子の分布でさえ)。 分散されるシアヌル酸及びメラミンの量は、約10.0ないし90.0質量%、特に10ないし72質量%、好ましくは40.0ないし72質量%、最も好ましくは50.0ないし72.0質量%の濃度となるような広い範囲内で変化し得る。 水は、100.0質量%となるまでの残量として分散液中に存在する。精製水、例えば脱イオン水又は蒸留水の添加が好ましい。 ジアルキルジアリルアンモニウムクロリドは、カチオン性界面活性剤の群に分類される既知の化合物であり、市販で入手可能である。本発明の方法の好ましい態様に従って、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド[CAS登録番号:7398−69−8]又はそのホモポリマー若しくはコポリマーが懸濁液に添加される。該カチオン性界面活性剤はチバ スペシャルティ ケミカルズ社から入手可能である(チバ エイジフレックス(登録商標:Ageflex)mDADMAC)。 変形プロセスb’)に従ったジアルキルジアリルアンモニウムクロリドのカチオン性ホモポリマー又はコポリマーは、既知の化合物であり、フロエルガーエス.エー.から市販で入手可能である(ポシフロク(登録商標:Posifloc)、例えばポシフロク CL45VHM(高分子量ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド)又はポシフロク CL45(低分子量ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド))。 ジアルキルジアリルアンモニウムクロリドのカチオン性ホモポリマー又はコポリマーは、フリーラジカル重合によって製造され得る(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Wiley−VCH Verlag(2002オンライン版)中のH.バルカート及びJ.ハートマンによるUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Wiley−VCH Verlag(2002オンライン版)における凝集剤(Flocculants)の項目参照。)。 b’’)の低分子量スチレン/無水マレイン酸コポリマー、又は、その部分エステル誘導体若しくは加水分解物は、既知のポリマーである(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Wiley−VCH Verlag(2002オンライン版)中のB.G.フラッシュアワー及びJ.R.コントフによるポリスチレン及びスチレンコポリマー(Polystyrene and Styrene Copolymers)の項目参照。)。コポリマーは、スチレンと無水マレイン酸の重合によって得られ得る。部分エステルは、コポリマーとアルコールのエステル化によって製造され得る。加水分解物は、低分子量スチレン/無水マレイン酸コポリマー又はその部分エステル誘導体と塩基水溶液の反応によって得られ得る。 低分子量スチレン/無水マレイン酸コポリマー、又は、その部分エステル誘導体若しくは加水分解物は、エルフ アトケム社(Elf Atochem)から市販で入手可能である:SMA(登録商標),製品SMA1000、2000、3000EF30,EF40(低分子量スチレン/無水マレイン酸コポリマー)、SMA1440,17352,2625,3840(低分子量スチレン/無水マレイン酸コポリマー部分エステル誘導体)、SMA1000H/HNa,2000H/HNa,3000H/HNa,4000H/Na(低分子量スチレン/無水マレイン酸コポリマーの加水分解物),SMA1440H,1440HDN,2625H,17352HD(低分子量スチレン/無水マレイン酸コポリマー部分エステル誘導体の加水分解物)参照。 上記添加剤は、分散相の総質量に基づき0.1ないし10.0質量%、好ましくは0.1ないし5.0質量%、最も好ましくは0.5ないし1.0質量%の量で水性分散液中に存在する。 本発明の好ましい態様は、 b’)ジメチルジアリルアンモニウムクロリド又はそのホモポリマー;及び b’’)低分子量スチレン/無水マレイン酸からなる群から選択された添加剤を、シアヌル酸及びメラミンの混合物を含む濃縮水性分散液に添加するところの、変形プロセスb)に関する。 本発明の好ましい態様において、水性分散液は、希釈水酸化ナトリウム又はカリウム、アンモニア又はジメチルエチルアミン等のアミン等の適当な塩基の添加によって塩基性にされる。塩基は、分散液の質量に基づき約0.5ないし2.0%、好ましくは約0.5ないし2.0%の量で存在する。 分散液は、慣用の混合法、例えばエマルジョン又は懸濁液の製造において既知の混合法によって均一にされる。混合は、分散機、例えばボルテックスミキサーを使用して、又はポリトロン(登録商標:POLYTRON)型の分散機(スイス国,リッタウ,キネマティカAG社製)又はIKA社(ドイツ国,スタウフェン)製の分散機、静的ミキサー及びプロペラ、アンカー又はパドルブレードを有する慣用の攪拌器を使用して、又は相ミキサーを使用して強く振盪することによって、分散液全体に完全にもたらされる。 特に均一な混合物を得るために、例えばY−ビーム攪拌器(Y−ストラハル(登録商標:Y−Strahl)、ウルトラツラックス(登録商標:Ultraturrax))又はポリトロン社製攪拌器、例えばポリトロンPT3000又はDH30/30を使用して、又は高圧ローター/ステーターミキサー、例えばBUSS混合タービンを使用して、高速で攪拌が行われる。 本発明の方法の最適な態様に従って、その後の固体粒子の結晶化は、所望により、適当な結晶種、例えばメラミン又は無水シアヌル酸をエマルジョンに接種することによって行われる。 固体小粒子の形成のために必要とされる時間は、広い範囲内で変化し得、バッチ法又は連続法の手順に依存する。バッチ法において、適当な時間は、1ないし30分間である。 該方法によって形成される固体粒子は、ほぼ100%結晶であり、実質的に非晶質粒子はない。粒質物等の結晶分離物は、光安定性に関して要求される厳しい品質を満たす。 本発明の更なる態様は、水性分散液であって、該分散液の総質量に基づき少なくとも25質量%のシアヌル酸及びメラミンの混合物と、 b’)ジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、又は、そのホモポリマー若しくはコポリマー;及び b’’)低分子量スチレン/無水マレイン酸コポリマー、又は、その部分エステル誘導体若しくは加水分解物からなる群から選択された添加剤を含む水性分散液に関する。 その後、水性分散液中に存在する固体粒子は、該水性分散液から分離され、その後、乾燥され、所望により、ボールミルを用いた湿式粉砕等の慣用の粉砕法によってより小さな粒径に転換され得る。これは、空気又は他の不要な粒子の包含を防止する。 水性分散液からの分離は、固体/液体の二成分混合物を分離するために既知のいかなる最新の方法、例えば濾過、遠心分離又はデカンテーションの適用も含む。あらゆる不純物を除去するために、結晶残渣は、水を添加し、その後、既知の乾燥技術を使用することによって、特に100℃までの高温における減圧又は真空乾燥を使用して乾燥させることより精製され得る。 本発明の更なる態様は、基本的に変形プロセスa)及びb)の組み合わせからなる方法に関する。等モル量のシアヌル酸二水和物と5質量%未満の遊離水を含むメラミンの混合物は、シアヌル酸をその二水和物に転換し、シアヌル酸二水和物とメラミンの混合物を形成し、該混合物を80℃以上の温度まで加熱することによって調製される。ジアリルジアルキルアンモニウムクロリド又はそのホモポリマー若しくはコポリマー、及び低分子量スチレン/無水マレイン酸コポリマー、又は、その部分エステル誘導体若しくは加水分解物からなる群から選択された添加剤を含む水性分散液が添加され、該混合物は高剪断混合を受けさせられる。 本発明の更なる態様は、変形プロセスa)又はb)の一つを行うことによって得られた固体小粒子を、他の固体粒子形態に更に加工するその後の加工工程に関する。 本発明の方法の好ましい態様に従って、得られた結晶は分散液から分離され、粒質物に転換される。 用語‘‘固体粒子’’は、固体凝集体又は凝集物から粒子を形成する場合に圧力が適用されるところの、更に加工された圧縮粒子形態も定義する。 上記で定義した方法によって得られる基本的に結晶形態のメラミンシアヌレートを含む固体小粒子からなる粒質物等の圧縮粒子はまた、本発明の対象である。 圧縮粒子形態は、内部ミキサー、押出機、例えば一軸又は二軸スクリュー押出機、又は遊星形ローラー押出機、又はニーダー等の慣用の機械を使用することによって得られる。内部ミキサー又は押出機が使用される場合、該プロセスは、好ましくは連続法で行われ、一方、ニーダーにおいては、該プロセスは、好ましくはバッチ法で行われる。その後、得られた乾燥構成物(comprimate)、例えば押出物は、慣用の粉砕又はミル技術を使用することによって所望の粒径まで小さくされ得る。 用語‘‘圧縮粒子形態’’は、特に、湿式造粒又は圧縮等の慣用の造粒法を使用することによって、粉末又はあらゆる他の微細な粒子から形成される更に加工された粒質物に関する。 粒状物及び関連した凝集物の製造において、多くの方法が知られている。粒状物は、水等の適当な結合液の存在下において適当に攪拌することによって、粉末及び他の微細な粒子から形成され得る。粒状物はまた、圧力を使用した加圧圧縮法及び押出法によって、粉末から形成され得る。粉末の加熱は、焼結及び適当な粒径の凝集物の形成をもたらし得る。表面の乾燥及び凝固もまた、粒状物を生じさせ得る。溶液、懸濁液又は溶融液が加熱された又は冷却された表面に適用され、固体がこすり落とされる。噴霧乾燥において、ポンピング可能でかつ分散性の供給液であり得る溶液、ゲル、ペースト、エマルジョン、スラリー又は溶融液がチャンバー中に噴霧され、そしてそこで凝固が起こる。該チャンバーは、溶解液又は乳化液が蒸発するまで加熱されるか、又は溶融液の凝固が起こるまで冷却される。 固体粒子形態、さもなくば固体粒子形態が調製されるところの水性分散液、又は上記で定義した圧縮粒子形態は、所望により更なる添加剤、いわゆるポリマーにおける使用において適当なブレンド、好ましくはこれらの添加剤を含むポリマーの化学的及び物理的性質を改善するために慣用的に使用される添加剤を含む。助剤は、様々な比率で、組成物の総質量に基づき、例えば40.0質量%までの量で、好ましくは0.05質量%ないし40.0質量%の量で、より好ましくは0.05質量%ないし25.0質量%の量で、特に好ましくは0.05質量%ないし10.0質量%の量で存在し得る。 本発明の更なる態様は、変形プロセスb)によって得られるメラミンシアヌレートの異なる結晶変性物(α−形態及びβ−形態)の混合物に関する。該混合物の成分は、X線粉末回析パターンにおいて、混合物中に存在する各結晶形態の特徴である以下の格子面間隔[d−値]及び主線、中線及び弱線を含む相対線強度を特徴とする(CuKα照射:40KV,50mA,回折ビームの単色光分光器,受光スリット:0.2mm,散乱スリット:1°)。 表3:α−形態 格子面間隔[d−値]及び主線、中線及び弱線を含む相対線強度は、上記表2に列挙されるα−形態の特徴を有する。 本発明の更なる態様は、メラミンシアヌレートの結晶形態(α−形態及びβ−形態)の混合物の製造方法に関する。該方法は、濃縮水性分散液であって、該分散液の総質量に基づきシアヌル酸及びメラミンの混合物を少なくとも50質量%含む分散液を調製し、 該混合物に b’)ジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、又は、そのホモポリマー若しくはコポリマー;及び b’’)低分子量スチレン/無水マレイン酸コポリマー、又は、その部分エステル誘導体若しくは加水分解物からなる群から選択された添加剤を添加し、 該水性分散液から得られる固体粒子を単離することを特徴とする。 上記した方法によって得られるメラミンシアヌレートの結晶形態(α−形態及びβ−形態)の混合物もまた本発明の対象である。 基本的に結晶形態のメラミンシアヌレートを含む固体小粒子は、良好な貯蔵安定性又は流動性等の優れた適用性を特徴とする。これは、結晶それ自体又は粒質物等の更に加工された固体投与形態にあてはまる。これらの更に加工された固体投与形態の特別な利点は、取扱い中及び貯蔵中にも自由流動性を保持することにある。結果として、固体投与形態は、極めて一定の用量でポリマーマトリックス内に配合され得る。それ故、ポリマー中にMCの特に均一な分布が達成される。 メラミンシアヌレートの低用量での適用は、ポリマー中に濃度の変動をもたらし得る。この影響により、製造によって得られる組成物には、均一性の欠如が引き起こされる。メラミンシアヌレートの低用量での適用は、製造プロセス、例えば配合プロセスの再現性に影響を及ぼす。 本発明に従った方法によりポリマー中に得られる一定濃度のメラミンシアヌレート固体小粒子は、1個のポリマーバッチの一定組成にだけではなく、様々な製造バッチ間の組成において実質的に変動なくもたらされる。結果として、最終処理機、例えば射出成形機は、1つのバッチ又はその後のバッチ内の機器を調整する必要なく、これらのポリマーを加工し得る。 流動性は、Klein;Seifen,Ole,Fette,Wachse,94,849(1968)に記載されたクレインの容器法を使用して決定される。これは、各自が底に異なる開口部を有するところの一連の流出容器を使用する方法である。試験される材料が容器に添加され、該容器の底の開口部からの流出が決定される。流動性の能力は、粉末が長く流れ得るところの最小の開口部によって決定される。最良の流動性を有する材料が、最も小さな資格付与、即ち1を有する(表1参照。)。1ないし4に分類された材料が、通常、自由流動性と呼ばれる。 本発明に従った凝集物は、以下に定義するクレイン試験に従って、4より低い、好ましくは3以下の流動値を有する。最も好ましいのは、2以下の流動値を有する凝集物である。これは、良好な投与性が、実質的に全ての関連プロセス条件下において達成されることを確実にする。自由流動性凝集物は、クレインスケールにおいて4より低い流動挙動を有する凝集物であると理解される。基本的に結晶形態のメラミンシアヌレートを含む固体小粒子のポリマー材料中への配合は、例えば、既知の方法に従って、該粒子及び所望による更なる添加剤を混合することによって行われ得る。ポリマー状材料中への配合は、成形操作の前又は成形操作中に、又はポリマーに該粒子を適用することによって行われ得る。 それ故、本発明は、特に、基本的に結晶形態のメラミンシアヌレートを含む固体小粒子分散液が、エラストマー/ポリマー中に配合される及び/又はエラストマー/ポリマーと化学結合するところの組成物に関する。 本発明の更なる態様は、 A)上記方法によって得られた固体小粒子;及び B)成形用ポリマーを含む難燃性組成物に関する。 上記で定義された固体小粒子分散液は、以下の方法によってポリマー中に配合され得る。・エマルジョン又は分散液として(例えば、格子ポリマー又はエマルジョンポリマーへ)。・混合中に、更なる成分又はポリマー混合物の乾燥混合物として。・加工装置(例えば、押出機、内部ミキサー等)に直接添加することによって。・溶液又は溶融液として。 ポリマー組成物は、様々な形態で使用され、様々な製品を得るために、例えば、フィルム、繊維、テープ、成形化合物又は異形材に、又はコーティング材料のためのバインダー、接着剤又はパテとして加工され得る。 以下の実施例で本発明を説明する: 実施例1 110μの平均粒径に粉砕したメラミン63.0kg及びシアヌル酸64.5kgを等モル量においてDRAIS反応器に添加した。混合物を攪拌しながら75℃まで加熱した。KOH 1%を添加することによって塩基性にした、SMA1000(エルフ アトフィナ) 1%を含む添加剤分散液を、固体含有量が55質量%のスラリーを生じるような量で添加した。反応混合物を120分間攪拌し、得られたスラリーを140℃における噴霧乾燥によって乾燥させた。 得られた小粒子は、95%が1μ未満の粒径を有し、残りの粒子は5μより大きくないという粒径分布を特徴とした(光散乱コールターLS−230粒径測定器)。 実施例2 実施例1と同様の方法で、ポリDADMAC(=ポリジアリルメチルアンモニウムクロリド)又はポシフロク CL45(登録商標:POSIFLOC)(低分子量、フロエルガーエス.エー.製)を1%含む添加剤分散液を添加した。同様の粒径分布を有するMC小粒子を得た。 実施例3 100μの平均粒径に粉砕したシアヌル酸64.5kgを、等モル量においてディオスナ高速ミキサーに添加した。シアヌル酸の二水和物を形成するために、水18.0kgを添加した。混合物を、室温において15ないし30分間攪拌した。二水和物が形成し、そしてそれは乾燥粉末の形態で得られた。110μの平均粒径に粉砕した等モル量のメラミン63.0kgを添加した。混合物を約100℃まで加熱し、ウルトラツラックス(IKA社製)ミキサー(登録商標:Ultraturrax)を用いて強攪拌した。4時間後、温度を、得られたメラミンシアヌレートが十分に乾燥するまで更に上げた。その後、生成物を反応器から取り出した。得られた小粒子は、95%が1μ未満の粒径を有し、残りの粒子は5μより大きくないという粒径分布を特徴とした(光散乱コールターLS−230粒径測定器)。 実施例4 実施例3と同様の方法において、等モル量のシアヌル酸二水和物とメラミンを水5.1kgと混合した。該成分を、二軸スクリュー押出器中で10ないし60秒間混合した。同様の粒径分布を有するMC小粒子が、押出しによって得られた。 実施例5 マグネットスターラー及び電熱器を備えた250mLガラスビーカー中に、SMA1000P(クレーバレー社製)83.6gを、水酸化カリウム溶液(85%)(メルク社製)54.7gに撹拌しながら添加し、水334.5gで希釈した。溶液を50ないし60℃まで加熱し、透明になるまで撹拌した。発熱反応をもたらす加熱の発生が観察された。大きな塊のシアヌル酸(1−1440)620g(ニッサン社製)を、還流冷却器及び加熱器を備えた1.5L一軸ニーダー(LIST DTB 1.5)中に置いた。塊をニーダー中で10分間粉砕した。DSM社製のメラミン605.8gを撹拌しながら添加した。反応塊を95℃ないし最大ジャケット温度の120℃まで加熱した。95℃の温度に達してすぐに、水138.1gで希釈した上記K−SMA溶液の混合物47.3gを1時間以内に添加した。これは、メラミンシアヌレートに関して、K−SMA 1%の濃度になる。供給後、反応塊を、120℃のジャケット温度を用いた還流下に4時間維持した。その後、還流冷却器を、下降冷却器(descending cooler)と交換し、レシーバーを吸引ポンプに接続した。ジャケット温度を150℃まで上げ、20ないし30mbrまでゆっくりと減圧した。ニーダー内の温度が120℃に達してすぐに、乾燥プロセスを終了した。反応塊を取り出し、分析した。生成物1231.6gが得られた(収率99.5%)。生成物は白色であり、ほこりっぽくなく、自由流動性であった。クラスト(crust)は、ニーダー、攪拌器及び又は検査窓に観察されなかった。 転換を、遊離メラミン及びシアヌル酸が200℃ないし245℃における質量損失によって検出され得るところの熱重量分析(TGA)によって分析した。TGA装置の加熱速度は、1分当たり3℃であった。メラミン及びシアヌル酸の含有量は0%であった。メラミンシアヌレートの純度は、98.8%であった。粒径は、水中に1%の懸濁液を用いて、シンパテックス へロス(Sympatex Helos)(H0017)装置によって決定した。測定前に、超音波放射を3分間行った。90%の粒子が5.9ミクロン未満の粒径を有し、99%の粒子が32.2ミクロン以下の粒径を有した。メラミンシアヌレートの微細粒子は、添加剤としてK−SMAを使用することにより、穏やかな温度及び高濃度において、未粉砕の出発材料を使用しても、製造され得た。生成物のカリウム含有量は0.32%であった。 実施例6 実施例3と同様に、シアヌル酸620gをニーダー中で粉砕し、メラミン605.8gと混合した。95℃まで加熱した後、実施例5に記載したK−SMA溶液23.6gを水138.1gで希釈し、撹拌下において、1時間以内に反応塊に供給した。供給物を添加した後の反応塊の固体含有量は87.0%に達し、反応塊の固体含有量に関するK−SMAの含有量は0.5%であった。反応塊を、撹拌しながら98ないし100℃において更に5時間維持した。反応塊を120℃、30mbrにおいて乾燥させ、80℃まで冷却し、取り出し、そして分析した。取り出した生成物は、99.8%の収率に対応する1229.3gの質量を有した。生成物の純度は99.4%であり、遊離シアヌル酸及びメラミンはTGAによって検出されなかった。実施例5と同様の方法で測定した粒径分布の分析は、90%の粒子が18.1ミクロンより小さな粒径を有し、99%の粒子が37.3ミクロン未満の粒径を有することを示した。 結晶形態のメラミンシアヌレートを含む固体小粒子の製造方法であって、該方法は、 濃縮水性分散液であって、該分散液の総質量に基づきシアヌル酸及びメラミンの混合物を少なくとも25質量%含む分散液を調製し、 該混合物に b')ジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、又は、そのホモポリマー若しくはコポリマーである添加剤を添加し、 該水性分散液から得られる粒子を単離することを特徴とする方法。 得られた前記固体小粒子を、更に、粒質物に加工することを特徴とする請求項1に記載の方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る