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タイトル:特許公報(B2)_膣健康改善のためのプロバイオティックラクトバチルス株
出願番号:2007534546
年次:2013
IPC分類:C12N 1/20,A61K 35/74,A61P 31/04,A61P 31/12,A61P 15/02,A61P 13/02,A23L 1/30,C12N 15/09,C12R 1/225


特許情報キャッシュ

モーリン ゴーラン アールネ シヴ ジェップソン ベント ヴァスケス アレハンドラ ベルググレン アンナ JP 5147402 特許公報(B2) 20121207 2007534546 20051005 膣健康改善のためのプロバイオティックラクトバチルス株 プロビ エービー 500045257 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 斎藤 健治 100099988 モーリン ゴーラン アールネ シヴ ジェップソン ベント ヴァスケス アレハンドラ ベルググレン アンナ SE 0402406-3 20041005 20130220 C12N 1/20 20060101AFI20130131BHJP A61K 35/74 20060101ALI20130131BHJP A61P 31/04 20060101ALI20130131BHJP A61P 31/12 20060101ALI20130131BHJP A61P 15/02 20060101ALI20130131BHJP A61P 13/02 20060101ALI20130131BHJP A23L 1/30 20060101ALI20130131BHJP C12N 15/09 20060101ALN20130131BHJP C12R 1/225 20060101ALN20130131BHJP JPC12N1/20 AA61K35/74 AA61P31/04A61P31/12A61P15/02A61P13/02A23L1/30 ZC12N15/00 AC12N1/20 AC12R1:225 C12N 1/00-1/38 PubMed 米国特許出願公開第2002/0090365(US,A1) J.Clin.Microbiol.,2004,42(2),p.713-7 J.Infect.Dis.,2001,184(11),p.1431-6 J.Infect.Dis.,2001,183(3),p.485-91 J.Appl.Microbiol.,2002,93(5),p.884-93 18 DSMZ DSM 16735 DSMZ DSM 16736 DSMZ DSM 16738 DSMZ DSM 16739 DSMZ DSM 16740 DSMZ DSM 16741 DSMZ DSM 16742 DSMZ DSM 16743 DSMZ DSM 16737 DSMZ DSM 15312 DSMZ DSM 15313 DSMZ DSM 15316 DSMZ DSM 6595 DSMZ DSM 9843 SE2005001467 20051005 WO2006038869 20060413 2008518588 20080605 24 20080929 名和 大輔発明の分野 本発明は、ヒト膣にコロニーを形成する能力を有するラクトバチルス属又はその突然変異株に属するプロバイオティック細菌株に関する。より詳細には、該プロバイオティック細菌株は、Lactobacillus plantarum、 Lactobacillus crispatus 及び Lactobacillus gasseriからなる群より選択された種に属する。さらに、本発明は薬剤、前記株を含む組成物(例えば食品もしくは薬学的組成物)、衛生製品、前記株の生物学的に純粋な培養物、並びに新規食品としての使用に関する。発明の背景 健康な膣は、膣上皮と微生物叢との相互作用によって維持されており、ここでラクトバチルスは非常に重要な役割を演じている。ラクトバチルス種はグルコース代謝により膣内のpH酸度を維持しており、さらには、過酸化水素及びバクテリオシン様生産物とともに、病原体やその他好ましくない微生物の増殖を抑制する。このことは、細菌性膣炎やCandida albicansによる酵母性膣炎といった尿路感染症の原因となる尿路病原体(Uropathogens)に対する、非常に効果的な保護に寄与する(Reid G, Bruce AW. Urogenital infections in women: can probiotics help? Postgrad Med J 2003; 79: 428−432.)。 長い間、膣内で優勢なラクトバチルス種はLactobacillus acidophilusだと受け入れられてきたが、遺伝子型特定法(genotypic identification methods)により、健康な膣で最も一般的なラクトバチルスは、実際はLactobacillus crispatus、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus iners及びLactobacillus jenseniiであることが明らかとなった。しかし、別の研究は、優勢なラクトバチルスとしてLactobacillus rhamnosus、Lactobacillus pentosus、Lactobacillus fermentum、Lactobacillus plantarum及びLactobacillus acidophilusといった種を示し、膣から回収されるラクトバチルス間の差異を実証している。これは、おそらく、サンプル、膣の状態又は分離に好ましい手法の相違のためである(Vasquez A, Jakobsson T, Ahrne S, Forsum U, Molin G. Vaginal Lactobacillus flora of healthy Swedish women. J. Clin. Mirobiol. 2002; 40: 2746−9)。 世界保健機関は、プロバイオティックス(probiotics)を“適切な量が投与されたとき宿主に健康利益をもたらす、生きた微生物(複数)”と定義した。抗生物質耐性の発達及び膣感染治療の失敗は、代替ツールとしてプロバイオティックスへの興味を高じさせてきた。膣プロバイオティック(probiotic)の必要性は、膣感染の高い再発率の点から明らかである(Reid G, Bruce AW, Fraser N, Heinemann C, Owen J, Henning B. Oral probiotics can resolve urogenital infections. FEMS Immunol Med Microbiol 2001; 30: 49−52; Famularo G, Pieluigi M, Coccia R, Mastroiacovo P, De Simone C. Microecology, bacterial vaginosis and probiotics: perspectives for bacteriotherapy. Med Hypotheses 2001; 56: 421−30.)。ラクトバチルスの減少を特徴とする膣フローラの変化は、細菌性膣炎症候群(the syndrome bacterial vaginosis)の主な原因のようである。膣にコロニーを形成する能力を有するラクトバチルス株の定期的な投与は、この問題の代替解決策となり得る。 家庭療法としてのヨーグルト処置は、長年、膣疾患の予防又は軽減のために用いられてきた。しかし、ヨーグルト内に見つかるラクトバチルス、Lactobacillus delbreukii var. bulgaricusは、プロバイオティックスによる膣修復のために最適の候補ではない。なぜなら、このラクトバチルスは通常そういった環境に見つかるものではなく、そして膣上皮細胞にあまり接着せず、高効率なコロニー形成をしないからである(Famularo G, Pieluigi M, Coccia R, Mastroiacovo P, De Simone C. Microecology, bacterial vaginosis and probiotics: perspectives for bacteriotherapy. Med Hypotheses 2001; 56: 421− 430)。膣プロバイオティックに最適な候補は、膣内に通常見つかり、病原体を抑制する特性を有する種である。 通常の膣フローラは直腸粘膜からあがってきたものであり(Reid G, Bruce AW. Urogenital infections in women: can probiotics help? Postgrad Med J 2003; 79: 428−432)、このことは、経口投与した、胃腸の通過を生き延びた微生物は、ある一定期間後に膣内に現れるであろうことを意味する。この事実は、膣プロバイオティックが宿主に口から与えられ、膣問題の予防を意図した長期間投与を簡単にする可能性を高める。 6ヶ月間L. acidophilusを与えられた女性は、その結果カンジダのコロニー形成及び感染がともに減少した(Hilton E, Isenberg HD, Alperstein P, France K, Borenstein MT. Ingestion of yogurt containing Lactobacillus acidophilus as prophylaxis for candidal vaginitis. Ann Internal Med 1992; 116: 353−357)。発明の要旨 ラクトバチルス属に属する特定のプロバイオティック細菌株、より詳細にはLactobacillus plantarum、Lactobacillus crispatus及びLactobacillus gasseriからなる群より選択される種がヒト膣にコロニーを形成する能力を有し、例えば経口、経膣又は経直腸投与されたとき膣の健康を保存又は改善するということが、今驚くべきことに見出された。 1つの局面において、本発明は、ヒト膣にコロニーを形成する能力を有するラクトバチルス属に属するプロバイオティック細菌又はその突然変異株(但し、Lactobacillus plantarum HEAL 9(寄託番号 DSM 15312)、Lactobacillus plantarum HEAL 19(寄託番号 DSM 15313)、Lactobacillus plantarum HEAL 99(寄託番号 DSM 15316)、Lactobacillus plantarum 299(寄託番号 DSM 6595)又はLactobacillus plantarum 299v(寄託番号 DSM 9843)は除外)に関する。 1つの実施形態において、前記細菌株は、Lactobacillus plantarum、 Lactobacillus crispatus 及び Lactobacillus gasseriからなる群より選択される種又はその突然変異株に属し、別の実施形態においては、前記株は、マンノース特異的な付着素(adhesion)又は膣内部表面、胃腸管、尿道を含む膀胱への結合を可能とする他の接着メカニズムを有する。 本発明の1つの実施形態において、プロバイオティック細菌株はLactobacillus crispatus VPC5(寄託番号 DSM 16735)又はその突然変異株である。 本発明の別の実施形態において、プロバイオティック細菌株はLactobacillus crispatus VPC40(寄託番号 DSM 16736)又はその突然変異株である。 本発明のさらに別の実施形態において、プロバイオティック細菌株はLactobacillus crispatus VPC70(寄託番号 DSM 16738)又はその突然変異株である。 なおさらなる実施形態において、プロバイオティック細菌株はLactobacillus crispatus VPC71(寄託番号 DSM 16739)又はその突然変異株である。 なおさらなる実施形態において、プロバイオティック細菌株はLactobacillus crispatus VPC77(寄託番号 DSM 16740)又はその突然変異株である。 別の実施形態において、プロバイオティック細菌株はLactobacillus crispatus VPC111(寄託番号 DSM 16741)又はその突然変異株である。 なお別の実施形態において、プロバイオティック細菌株はLactobacillus crispatus VPC130(寄託番号 DSM 16742)又はその突然変異株である。 なお別の実施形態において、プロバイオティック細菌株はLactobacillus crispatus VPC177(寄託番号 DSM 16743)又はその突然変異株である。 さらなる実施形態において、プロバイオティック細菌株はLactobacillus gasseri VPG44(寄託番号 DSM 16737)又はその突然変異株である。 なお別の実施形態において、上記細菌株は薬剤として使用される。 第2の局面において、本発明は、細菌性膣炎、ウイルス性膣炎、酵母性膣炎、膣内感染症、HIVやクラミジア感染といった性的感染症、妊娠した女性内の胎児を危険にする感染症、早産、及び尿路感染症の、治療並びに/あるいは予防のための薬剤の製造のための上記細菌株の使用に関する。 第3の局面において、本発明は、細菌性膣炎、ウイルス性膣炎、酵母性膣炎、膣内感染症、HIVやクラミジア感染といった性的感染症、妊娠した女性内の胎児を危険にする感染症、早産、及び尿路感染症の、治療並びに/あるいは予防のための薬剤の製造のための、Lactobacillus plantarum HEAL 9(寄託番号 DSM 15312)、 Lactobacillus plantarum HEAL 19(寄託番号 DSM 15313)、 Lactobacillus plantarum HEAL 99(寄託番号 DSM 15316)、 Lactobacillus plantarum 299(寄託番号 DSM 6595)、 Lactobacillus plantarum 299v(寄託番号 DSM 9843)、又はその突然変異株からなる群より選択される(但し、尿路感染症のためのLactobacillus plantarum 299v(寄託番号 DSM 9843)を除く)細菌株の使用に関する。 第4の局面において、本発明は、少なくとも1つの上記プロバイオティック細菌株、及び/又はLactobacillus plantarum HEAL 9(寄託番号 DSM 15312)、 Lactobacillus plantarum HEAL 19(寄託番号 DSM 15313)、 Lactobacillus plantarum HEAL 99(寄託番号 DSM 15316)、 Lactobacillus plantarum 299(寄託番号 DSM 6595)、 又はLactobacillus plantarum 299v(寄託番号 DSM 9843)、もしくはその突然変異株、及び/又はその断片もしくは分画を含む組成物に関する。1つの実施形態において、該組成物はキャリア物質を含む。 別の実施形態において、該組成物は食品であり、好ましくは、オートミール粥、乳酸発酵食品、レジスタントスターチ、食物繊維、炭水化物、タンパク質及び糖タンパク質からなる群より選択されるキャリア物質を含む食品である。さらに別の実施形態においては、前記食品はパン、チーズ、ヨーグルト、ジュース、ヘルスバー、(health bars)、スプレッド(spreads)、ビスケット及びシリアルからなる群より選択され、なおさらに別の実施形態においては、前記少なくとも1つのプロバイオティック細菌株は封入(encapsulated)又はコーティング(coating)され、好ましくは消費時において107から1012CFU、さらに好ましくは109から1010CFUの有効日用量を与える量で存在する。 さらに別の実施形態において、該組成物はフードサプリメントであり、好ましくはオートミール粥、乳酸発酵食品、レジスタントスターチ、食物繊維、イヌリン、炭水化物、タンパク質及び糖タンパク質からなる群より選択されるキャリア物質を含むフードサプリメントである。 さらに別の実施形態において、該組成物は、細菌性膣炎、ウイルス性膣炎、酵母性膣炎、膣内感染症、HIVやクラミジア感染といった性的感染症、妊娠した女性内の胎児を危険にする感染症、早産、及び尿路感染症の、治療並びに/あるいは予防のための薬学的組成物(但し、尿路感染症のためのLactobacillus plantarum 299v(寄託番号 DSM 9843)を除く)である。 1つの実施形態において、前記薬学的組成物は、経口、経膣又は経直腸投与され、あるいは膀胱に点滴注入される。そして好ましくは、前記キャリア物質は少なくとも1つの薬学的に許容されたキャリアである。 さらなる実施形態において、前記薬学的組成物は、経口及び経膣、経口及び経直腸、あるいは経口、経膣及び経直腸に組み合わせて投与される。 別の実施形態において、前記薬学的組成物は、タブレット、吸引タブレット(sucking tablets)、スイーツ、チューインガム、カプセル、腸溶タブレット及びカプセル、座薬、マイクロ浣腸(micro−enemas)、膣タブレット、膣ゼラチンカプセル、膣トローチ、クリーム、ゲル、軟膏、ローション、タンポン、ナプキン、パッド、融解ストリップ、コンドーム、ペッサリー、スプレー及び医療用栄養製品という形で投与される。該組成物のさらに別の実施形態において、経口投与されるとき、前記少なくとも1つのプロバイオティック細菌株が、107から1012CFU、好ましくは109から1010CFUの有効日用量を与える量で存在し、膣又は直腸に投与されるとき、前記少なくとも1つのプロバイオティック細菌株が、103から1012CFU、好ましくは105から109CFUの有効日用量を与える量で存在する。 該薬学的組成物の1つの実施形態において、前記少なくとも1つのプロバイオティック細菌株は封入又はコーティングされ、別の実施形態においては、該組成物は、ビタミン、ミネラル及びプレバイオティックス(prebiotics)からなる群より選択される添加物を含む。 第5の局面において、本発明は上記組成物を含む衛生製品に関する。1つの実施形態において、前記衛生製品は、タンポン、生理用ナプキン、生理用パッド、ダイヤパー、石けん、シャンプー、ゲル、軟膏、クリーム、スプレー及びローションからなる群より選択される。 第6の局面において、本発明は、少なくとも1つの上記プロバイオティック細菌株、及び/又はLactobacillus plantarum HEAL 9(寄託番号 DSM 15312)、 Lactobacillus plantarum HEAL 19(寄託番号 DSM 15313)、 Lactobacillus plantarum HEAL 99(寄託番号 DSM 15316)、 Lactobacillus plantarum 299(寄託番号 DSM 6595)、 Lactobacillus plantarum 299v(寄託番号 DSM 9843)、もしくはその突然変異株、及び/又はその断片もしくは分画の生物学的培養物に関する。 第7の局面において、本発明は、少なくとも1つの上記プロバイオティック細菌株、及び/又はLactobacillus plantarum HEAL 9(寄託番号 DSM 15312)、 Lactobacillus plantarum HEAL 19(寄託番号 DSM 15313)、 Lactobacillus plantarum HEAL 99(寄託番号 DSM 15316)、 Lactobacillus plantarum 299(寄託番号 DSM 6595)、 Lactobacillus plantarum 299v(寄託番号 DSM 9843)、もしくはその突然変異株、及び/又はその断片もしくは分画を含む、新規食品に関する。 第8の局面において、本発明は、少なくとも1つの上記プロバイオティック細菌株、及び/又はLactobacillus plantarum HEAL 9(寄託番号 DSM 15312)、 Lactobacillus plantarum HEAL 19(寄託番号 DSM 15313)、 Lactobacillus plantarum HEAL 99(寄託番号 DSM 15316)、 Lactobacillus plantarum 299(寄託番号 DSM 6595)、 Lactobacillus plantarum 299v(寄託番号 DSM 9843)、もしくはその突然変異株、及び/又はその断片もしくは分画を含む、フードサプリメントに関する。 1つの実施形態において、前記プロバイオティック細菌株は増殖可能である。別の実施形態においては、不活化又は抑制される。さらに別の実施形態においては、遺伝的に改変され、また別の実施形態においては、殺菌される。 第8の局面において、本発明は上記プロバイオティック細菌株の断片又は分画に関する。発明の説明 本発明は特に、経口投与及び腸での馴化を経由して膣にコロニーを形成できる1又はそれ以上のLactobacillus plantarum株もしくは近縁のラクトバチルス種を含む組成物に関する。前記組成物は、例えば膣の健康を保存し、膣疾患、酵母性膣炎、尿路感染症、性的感染症、妊娠した女性内の胎児を危険にする感染症を軽減させる。 健康な尿生殖器の(uro−genial)微生物叢は、50種以上の微生物を含む。健康な尿生殖器の細胞は、ラクトバチルスが優勢な細菌バイオフィルム(bacterial bio films)によって覆われている。この健康な膣は、膣上皮と微生物叢の相互作用によって維持されている。糞便のフローラ内の病原体は、尿路感染症及び細菌性膣炎の起源である。病原(pathogenesis)の要因の1つは、病原体の上皮への接着能力である。付着素及び受容体部位が、この接着プロセスに関与する。例えば、病原性大腸菌(E.coli)は上皮表面上でマンノース特異的付着素を有する。いくつかのラクトバチルスは、同様にマンノース特異的付着素を有することが、以前から示されてきた。このメカニズムの利用により、いくつかのプロバイオティックラクトバチルスは、また、病原体の膣及び尿道粘膜といった粘膜表面への接着を防ぎ得、このようにして感染を防いでいる。他の要因は、病原体やその他好ましくない微生物の増殖を抑制するグルコース代謝による膣内の低pHの維持、過酸化水素及びバクテリオシン様生産物の産生である。 本発明は特に、Lactobacillus crispatus VPC5(寄託番号 DSM 16735)、 Lactobacillus crispatus VPC40(寄託番号 DSM 16736)、 Lactobacillus crispatus VPC70(寄託番号 DSM 16738)、 Lactobacillus crispatus VPC71(寄託番号 DSM 16739)、 Lactobacillus crispatus VPC77(寄託番号 DSM 16740)、 Lactobacillus crispatus VPC111(寄託番号 DSM 16741)、 Lactobacillus crispatus VPC130(寄託番号 DSM 16742)、 Lactobacillus crispatus VPC177(寄託番号 DSM 16743)及びLactobacillus gasseri VPG44(寄託番号 DSM 16737)(これらは2004年9月17日にDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbHに寄託され、前述のようにアクセッションナンバーが付与された。)、又はその突然変異株に関する。前記株は膣にコロニーを形成する能力を有する。 本発明はまた、Lactobacillus plantarum HEAL 9(寄託番号DSM 15312)、 Lactobacillus plantarum HEAL 19(寄託番号DSM 15313)、 Lactobacillus plantarum HEAL 99(寄託番号 DSM 15316)(これらは2002年11月27日にDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbHに寄託され、前述のようにアクセッションナンバーが付与された)、又はその突然変異株の細菌株の使用に関する。 本発明はまた、Lactobacillus plantarum 299(寄託番号 DSM 6595)及び Lactobacillus plantarum 299v(寄託番号 DSM 9843)(前者は1991年7月2日に、後者は1995年3月16日にそれぞれDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbHに寄託され、前述のようにアクセッションナンバーが付与された)、又はその突然変異株の細菌株の使用に関する。 本発明の細菌株、特に寄託された株に関してここで使用する“その突然変異株”とは、次のように定義される細菌である。 −前記プロバイオティック細菌株と少なくとも80%のRAPD類似性(ピアソンの積率相関係数及び非加重結合法(UPGMA; BioNumerics 2.5, Applied Maths, Kortrijk, Belgium)の使用による)を持つクラスターに属し、及び/又は −前記プロバイオティック細菌株に好ましくは少なくとも75%の制限エンドヌクレアーゼ解析類似性(ピアソンの積率相関係数及び非加重結合法(UPGMA; BioNumerics 2.5, Applied Maths, Kortrijk, Belgium)の使用による)を持つクラスターに属し、及び/又は −ヒト膣にコロニーを形成する能力を有し、及び/又は −マンノース特異的な付着素、もしくは、膣内部表面、胃腸管、及び尿道を含む膀胱への細菌の結合を可能とする他の接着メカニズムを有する細菌。 本発明に関してここで使用する用語“プロバイオティック細菌株(単数及び複数)”とは、適切な量が投与されたとき宿主に健康利益をもたらす、生きた微生物の意味である。加えて、その細菌株は、経口摂取されたときは胃腸管の通過を生き延びなければならず、細菌株は膣と直腸に摂取されたときは膣及び直腸それぞれでコロニーを形成しなければならない。 本発明の細菌株に関してここで使用する用語“ヒト膣にコロニーを形成する”とは、膣液及び/又は糞便中のラクトバチルスの生菌数(log cfu/スワブ)が、最初、すなわちどの細菌株も摂取される前のラクトバチルス数と比べて、本細菌株が経口、経直腸または経膣に摂取された後に少なくとも増加するという意味である。本発明の実施形態の詳細な説明REAによるジェノタイプの同定 株(Lactobacillus crispatus VPC5(寄託番号 DSM 16735)、 Lactobacillus crispatus VPC40(寄託番号 DSM 16736)、 Lactobacillus crispatus VPC71(寄託番号 DSM 16739)、 Lactobacillus crispatus VPC111(寄託番号 DSM 16741)、 Lactobacillus crispatus VPC130(寄託番号 DSM 16742)、 Lactobacillus crispatus VPC177(寄託番号 DSM 16743)及びLactobacillus gasseri VPG44(寄託番号 DSM 16737))は、制限エンドヌクレアーゼ解析−REA−法(Stahl M, Molin G, Persson A, Ahrne S & Stahl S, International Journal of Systematic Bacteriology, 40:189−193, 1990、 そしてJohansson, M−L, et al . , International Journal of Systematic Bacteriology 45:670− 675, 1995によってさらに発展)を通じて、染色体DNAの切断パターンについて調べられた。概略的にREA法は次のように記載され得る:染色体DNAを、研究している株から調製し、そして、制限エンドヌクレアーゼによって切断した。0.75μgの各DNAを、別々に、37℃にて、4hの間、10ユニットのHind III、Cla I及びEco RIで消化した;各エンドヌクレアーゼを別々に使用した。切断されたDNAフラグメントを、サブマージ水平アガローススラブゲル(submerged horizontal agarose slab gels)を用いたゲル電気泳動によって、サイズに応じて分離した。ゲルは、150mlの0.9%アガロース(ultrapure DNA grade; low electro−endo osmosis; BioRad Laboratories, Richmond, USA)からなり、スラブゲル(150×235mm)としてキャストした。0.2 μgの高分子量DNAマーカー(Bethesda Research Laboratories, MD, USA)とともに0.5μgのDNA分子量マーカーVI(Roche, Germany)をスタンダードとして使用した。最小のバンドゆがみ及び最大のシャープさは、フィコールローディングバッファー(2gのフィコール、8mlの水、0.25%のブロモフェノール)中のサンプルDNAをアプライすることによって達成された。 約6から8℃にて、18時間、40Vの定電圧でゲルを泳動した。緩衝液(89mM Tris、23mM H3PO4、2mM EDTAナトリウム、pH8.3)は泳動中、再循環した。その後、ゲルを20分間エチジウムブロマイド(2μg/ml)中で染色し、蒸留水中で脱色し、UVトランスイルミネーター(UVP Inc., San Gabriel, USA)を用いて302nmにて視覚化し、写真を撮影した。ゲル電気泳動を行うこの手法は、十分に広く分布し且つ1.2×106の分子量まで比較的十分に分離されたバンドを与えた。 本解析の結果は、図4から10に示した。実施例1ボランティア及び株(Volunteers and strains) 膣感染又はどんな腸の疾患にも罹患していない、異なった年齢の10人の健康な女性が本研究に参加した。本研究被験者は、アンケート調査で、彼女たちの年齢、月経周期及び保健行動についての情報を提供した。ボランティアが最初のサンプルを摂取する前一週間を洗浄期間とし、彼女たちは処方物を含む全ての種類のプロバイオティックを避けた。 本研究の使用した細菌株を表1に示す。これらは、実験室内での培養後の生菌数(Viable Count numbers)、オートミール粥の発酵並びに凍結及び解凍への耐性能力といった質によって23のラクトバチルス群の中から選択された。 最も耐性であった12株がボランティアへの投与のために選択された;細菌濃度及び培養のためのインキュベーション時間を表1に示した。投与は10日間行われた。細菌株は、新鮮なLCM(Lactobacillus carrying medium)(Efthymiou C, Hansen CA. An antigenic analysis of Lactobacillus acidophilus. J Infect Dis 1962; 110: 258−267)培地から調製した。全量100ml内に約109の細菌の濃度となるようにした、それぞれの培地の細胞を、遠心分離によって回収し、そしてMillipore−水で1回洗浄した。それからペレットを、被験者へ投与される飲料である、20mlのオートミルク(oat milk)(Beneviva, Finland)及び80mlのブルーベリースープ(Ekstroms, Sweden)に溶かした。 第1表.投与のため選択した細菌ラクトバチルス(L.)株サンプル収集 ボランティアは糞便及び膣液サンプルを集め、それらは研究室に届けられた後3時間以内に寒天プレート上で培養された。サンプリングは、処置の開始時(T0)、10日投与した後(T1)及び投与の終了から7日後(T2)に行った。 膣サンプルを、細菌の汚染を防止するためにキャップ(cap)を通じて膣スワブ(Copan amies agar gel swabs; Copan innovation, Italy)を挿入することで採取した。膣スワブを9mlの滅菌リン酸緩衝食塩水(PBS)pH7.2中でかきまぜ、そして連続的に希釈した。糞便1gを9mlのPBS中でかきまぜ、そして連続的に希釈した。膣サンプルのそれぞれの希釈のアリコート、及び、糞便サンプルの最後の3段階希釈のアリコートをRogosa寒天培地(Oxoid AB, Sollentuna, Sweden)に播き、そしてBBLガスパックシステムの中で37℃で3日間嫌気的にインキュベートした。 インキュベーション後、糞便及び膣サンプル両方から6コロニーを無作為に採取した。さらに、典型的な形態学的外見のコロニーを探して、見つかったときは追加として採取した。株タイピング(Strain typing) 全部で338分離株をRandomly Amplified Polymorphic DNA (RAPD)を用いて投与した株と一緒に分類した。これらが、汚染を含まないこと実証するため、Rogosa寒天培地(Oxoid)で再び培養した。 PCR増幅に用いたプライマーは、配列3’− ACG CGC CCT − 5’を持つ9塩基長(Scandinavian Gene Synthesis AB, Koping, Sweden)であった。次に、Quednau M, Ahrne S, Pettersson AC, Molin G. Identification of clinically important species of Enterococcus with in 1 day with Random Amplified Polymorphic DNA (RAPD) Curr. Microbiol. 1998; 36: 332−6に以前記述されたように、PCR増幅及びアガロースゲル電気泳動を行った。1.5 mM MgCl2 (Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)、 0.2 mMの各ヌクレオチド(Roche)及び2.5ユニットのTaq DNA ポリメラーゼ (Roche)とともにPCR緩衝液を含む50μlの全反応量内で、1μlのPCR鋳型(PCR−templates)を使用した。PCR増幅は次の温度プロファイルに従った:94℃で45秒、30℃で120秒、72℃で60秒、を4サイクル行い、次に94℃で5秒、36℃で30秒(各サイクルごとに1秒延長)、72℃で30秒、を26サイクル行った。PCRセッション(session)は72℃で10分で終了し、次に4℃で冷却した。生成物はアガロース電気泳動で可視化し、そしてRAPD−ゲルのフォトネガティブ(photo−negatives)をHewlett Packard ScanJet 5300Cによってスキャンし300dpiの解像度でコンピューターへ取り込んだ。そしてゲルイメージを、ピアソンの積率相関係数(r)及び非加重結合法(UPGMA)を用いたGelCompar 4.2 (Applied Maths, Kortrijk, Belgium)により解析し、分類した。株同定(Strain identification)REA−制限エンドヌクレアーゼ解析 投与された株とともに、36分離株をRAPD分類(RAPD−grouping)から選択し、そしてさらに、被験者の糞便及び膣サンプル内の内在性株であることを保証するためにREA(制限エンドヌクレアーゼ解析)により同定した。 染色体DNAの調製は、以前に述べられた手順(Ulrich RL, Hughes TA. A rapid procedure for isolating chromosomal DNA from Lacto− bacillus species and other gram−positive bacteria. Lett Appl Microbiol 2001; 32: 52−56)のように行った。ゲル電気泳動は、Johanssonら (Johansson ML, Quednau M, Ahrne S, Molin, G. Classification of Lactobacillus plantarum by restriction endonuclease analysis of total chromosomal DNA using conventional agarose gel electrophoresis. Int J Syst Bacteriol 1995; 45: 670−5)による、公知のプロトコールに従った。 DNA(0.75μg)を、別々に、37℃にて4時間、10ユニットのHind III及びEcoRI(Roche)で消化した。サブマージ水平0.9%アガロース(High Strength Analytical Grade Agarose: low electro−endo osmosis, Bio−Rad Laboratories, CA, USA)スラブゲル(150×235mmサイズ)を用いた。0.2μg量の高分子DNAマーカー(Gibco, Invitrogene Corporation, Sweden)とともに0.5μgのDNA分子量マーカーVI(Roche)をスタンダードとして使用した。ゲルを、5℃にて、18時間、40Vの定電圧で泳動した。その後、バンドはUVトランスイルミネーター(UVP Inc., San Gabriel,CA, USA)を用いて302nmにて視覚化し、写真を撮影した。結果 10日処置した後(T1)及び投与の終了から1週間後(T2)のどちらにおいても、10被験者のうち8人から、投与された5株が回収された。T1において再分離された株は、L.crispatus VPC177、L.gasseri VPG44及びL.plantarum HEAL 19であり、一方、L.plantarum HEAL 99及びL.plantarum HEAL 9はT1及びT2両方で回収された(表2)。 第2表.被験者(S)の膣及び糞便サンプル内に見つかった再分離株。括弧内の“d”はその株が無作為に採取したコロニーから再分離されたことを示す(すなわち、その株は全ラクトバチルスフローラの優勢部であることを表す)。RAPD−Randomly Amplified Polymorphic DNA (RAPD) 最も興味深い細菌株をまた、Johansson et al 1995 Randomly Amplified Polymorphic DNA (RAPD) for rapid typing of Lactobacillus plantarum strains. Lett. Appl. Microbiol.21 : 155−159に記載の、PCRに基づく手法であるRandomly Amplified Polymorphic DNA (RAPD)に次のような修正を加えたものにより、解析した。粗製の細胞抽出物を、MRS寒天プレートで純粋培養した3から5コロニーから調製した。純粋培養の細胞を2回、1mlの滅菌Milli−Q水で洗い、そしてガラスビーズ(直径2mm)を入れたエッペンドルフチューブ内でエッペンドルフミキサー(5432; Eppendorf, Hamburg Germany)を用いて10分間破壊した。使用したプライマーは、配列5’− CCGCAGCCAA − 3’と15μMの濃度を有した。QiagenのTaqマスターミックス(mastermix)をPCR反応に使用した。ゲルのバンドパターンをピアソンの積率相関係数(r)及び非加重結合法(UPGMA)を用いたBioNumerics 2.5 (App− lied Maths, Kortrijk, Belgium)により、解析した。RAPDパターンのコンピュータークラスター解析(The computerized cluster analysis)を、視覚的な比較と併用した。 上述のRAPD手法の使用により、表1のL.crispatus8株及びL.gasseri1株において、80%の類似性を有する株を含む2クラスターが同定できた(図1の樹形図参照)。このクラスターに含まれる株はお互いの突然変異株と見なされ、そして類似の性質を有すると予測される。1つのクラスターはVPC70、VPC71及びVPC5株を含み、もう1つのクラスターはVPC177、VPC40及びVPC111株を含む。例えばVPC177株は、膣内に経口投与後に見つけることができ、ゆえに、おそらく同一のRAPDクラスター内の他株もまた、そういった能力を有する。結論 本実験は、選択したL.plantarum株の、経口投与を経て、膣にコロニーを形成及び腸で馴化するという、予期できない能力を示している。本結果は、短期間投与された比較的低い用量(low doses)のプロバイオティックスで達成されたこと、及びL.plantarum株は、膣でより典型的な株(すなわち、より頻繁に膣から分離される種及び株)と比較されたことが指摘されるべきである。実施例2マンノース接着の測定としての酵母の凝集 この実験において、細菌の酵母細胞を凝集する能力を、酵母細胞及び細菌の可視の沈殿として目視で決定した。洗浄した細菌を2×1010細胞/mlのPBS(pH7.2)の濃度に懸濁した。2.5%(wt/vol)パン酵母(Saccharomyces cerevisiae)をPBS又は0.125%(wt/vol)D−マンノースを含むPBSに懸濁した溶液を、顕微鏡スライド(microscope slide)上の等量の細菌溶液へ加えた。この細菌及び酵母溶液をスライドを穏やかに振動させて混合し、そして凝集した酵母及び細菌細胞の沈殿が現れるまで回数(the number of turns)を計算した。この回数を、マンノースを含む溶液と含まない溶液間で比較した。可視の沈殿が現れるまで、回数がマンノースを含む溶液と含まない溶液間で10倍以上異なるかどうかで、酵母の凝集をマンノース感受性によって分類した。 実験の間、Lactobacillus crispatus VPC177及びVPC70はマンノース感受性様式で酵母を凝集する能力を有することが示された。マンノース感受性酵母凝集は、ヒト大腸ガン細胞株であるHT−29細胞へ接着する能力と相関することが、以前に示され(Adlerberth, I., Ahrne, S., Johansson, M−L., Molin, G., Hanson, L−A., and Wold, A.E. (1996) . A mannose−specific adherence mechanism in Lactobacillus plantarum conferring binding to the human colonic cell line HT−29, Appl. Environ. Microbiol. , 62, 2244−2251.)、従って、このことは、腸内での本細菌のコロニー形成及び残留性を促進する要因である。ゆえに、この本細菌の特徴はまた、膣及び泌尿器内でのコロニー形成のために重要であり、その結果、尿路疾患性のEscherichia coli菌株と競合する機構となるというのが、真実である可能性は非常に高い。このマンノース特異的接着メカニズムという特徴は、以前にもまたLactobacillus plantarum 299(寄託番号 DSM 6595)及び Lactobacillus plantarum 299v(寄託番号 DSM 9843)においても示されている。実施例3 本実験の以下の目的は4ラクトバチルス株の腸及び膣内での馴化を、凍結乾燥形の乳酸菌製剤を経口摂取した後に糞便及び膣液内のその存在を研究することで、調査することである。 実験はin vivoのヒトにおいて実行され、in vitro試験でも動物試験でもなく、ヒトに投与されたときの生存の程度を反映していることを強調することが重要である。これらの細菌の、培養後に直接投与したとき腸内で馴化に至る能力は、より早期の研究で記述されている(Moreno, Alejandra Vasquez 2004 PhD thesis : Systematics of Lactobacillus spp. of probiotic potential Food Technology; Lund University.)。前記研究では、終夜培養された新鮮な細菌細胞が用いられた。しかし、実際の製品では凍結乾燥された製品を使用するのがより便利であろう。ゆえに、本実験においては凍結乾燥製剤を選択した。 第一の目標は、オープン試験(open study)において、膣起源である4ラクトバチルス株の経口摂取後の、糞便及び膣液内のそれらの株の存在の調査である。 尿路感染症といった多くの膣内の疾患は直腸粘膜からあがってくるので、糞便及び膣液内の健康的な(healthy)ラクトバチルスの生菌数の増加を見られれば有益である。もし本発明の健康的な細菌株が、膣に加えて直腸に影響するならば、本発明の健康的なラクトバチルス細菌は直腸内の望ましくない細菌を抑制するであろうし、それによって直腸よりあがってくる膣内の疾患を回避するであろう。材料と方法実験計画本実験はオープン試験であり、そして被験者の一群において実施された。本実験は8の期間に分けられる: 1.14日間の洗浄期間(1日目から14日目) 2.14日間の経口によるLactobacillus crispatus VPC111の摂取期間(15日目から28日目) 3.14日間の洗浄期間(29日目から42日目) 4.14日間の経口によるLactobacillus gasseri VPG44の摂取期間(43日目から56日目) 5.14日間の洗浄期間(57日目から70日目) 6.14日間の経口によるLactobacillus crispatus VPC177の摂取期間(71日目から84日目) 7.14日間の洗浄期間(85日目から98日目) 8.14日間の経口によるLactobacillus plantarum HEAL 9の摂取期間(99日目から112日目)被験者及び募集(Subjects and recruitment)36人の、18歳から65歳の健康な女性は、ルンドにあるIdeon and Chemical Centre (Lund University) の従業員へ送付された情報により集められた。重度の胃腸疾患のための現行処置及び重度の膣疾患のための現行処置の製剤に含まれるどんな成分にも不耐性又はアレルギーとして知られたプロビ エービー(Probi AB)の従業員は除外された。 実験製品は、凍結乾燥したLactobacillus crispatus VPC177、Lactobacillus crispatus VPC111、Lactobacillus plantarum HEAL 9及びLactobacillus gasseri VPG44をそれぞれ含んでいた。スクロース、マルトデキストリン(maltodextrine)及び加水分解されたゼラチンは、凍結保護物質として加えられた。 毎日の摂取は2×1gの凍結乾燥したラクトバチルス(およそ1×109 cfu/日)の経口であった。本用量は朝及び夕に処置され、そして食事に付随して摂取された。本製品はサシェ(sachets)で供給された。食事の調節(Dietary regulations) 1日目から113日目まで、本被験者はプロバイオティック細菌を含む製品を摂取することが許されなかった。各被験者には、研究期間中に消費が許されないプロバイオティック製品のリストが与えられた。これは、他のプロバイオティック細菌が本実験を干渉できないことを確実にするために行われた。併用療法(Concomitant medication)全ての併用療法(Concomitant medication)は、ケースリポートフォーム(Case Report Form;CRF)及び日記で注目された。 研究中の除外判断基準は、連続して>4用量(2日)の摂取をしなかった、又は研究のそれぞれの摂取期間内に>8用量(4日)の摂取をしなかった被験者、食事規制に従わなかった被験者、1日目から112日目の間に重度の胃腸疾患のための一連の医療処置が始まった被験者(主要な研究員の慎重さのため)、及び本研究を中止することを望んだ被験者であった。 糞便及び膣サンプルは15、29、43、57、71、85、99及び113日目に提出された。15、43、71及び99日目のサンプルは、その期間の実験製品の最初の服用の前に集められた。前記サンプルは、解析のために提出される前の18時間以内に集められ、そしてこの期間中冷蔵庫内で保管された。このサンプルはラクトバチルスの解析がなされた。 膣サンプルは、細菌の汚染を防止するためにキャップ(cap)を通じて膣スワブ(vaginal swab)(Copan amies agar gel swabs; Copan innovation, Brescia, Italy)を挿入することにより集められた。前記サンプルは、解析のために提出される前の3時間以内に集められ、そしてこの期間中冷蔵庫内で保管された。 前記サンプルはラクトバチルスフローラに関して(Johansson et al., 1998に従って)微生物学的に解析された(Rogosa寒天培地、嫌気的条件、37℃で3日間)。異なるラクトバチルスは、Johansson et al., Lett. Appl. Microbiol. 1995; 21: 155−159に従ったRandomly Amplified Polymorphic DNA (RAPD)により同定された。 統計学的な値はウィルコクソン サインド ランクテスト(Wilcoxon signed ranks test)に従って計算された。第3表及び4表を参照。結果 前記36人の女性は、期間1及び2(WO + VPC111)に参加した31人、期間3及び4(WO + VPG44)に参加した34人、期間5及び6(WO + VPC177)に参加した28人並びに期間7及び8(HEAL9)に参加した31人を含む。25人の女性がすべての研究期間に参加した。第3表.実験製品を2週間摂取する前及び後の糞便サンプル中のラクトバチルス(平均(最小−最大))。計算可能にするため、検出レベルの下限値は3.0に、上限値は9.0に設定した。第4表.実験製品を2週間摂取する前及び後の膣サンプル中のラクトバチルス(平均(最小−最大))。計算可能にするため、膣サンプルの検出レベルの下限値は2.0に設定した。 Lactobacillus crispatus VPC111及びVPC177の2株は、糞便フローラ内のトータルのラクトバチルスの有意な増加を起こした。加えて、膣液中のトータルのラクトバチルスの有意な増加は、VPC177を経口摂取した後に観察された。このように、プロバイオティック細菌Lactobacillus crispatus VPC111及びVPC177を経口摂取した後に糞便中のラクトバチルスのトータルの増加が観察されることに注目するのは、非常に興味深い。トータルのラクトバチルスの有意な増加はまた、Lactobacillus crispatus VPC177を経口摂取した後に膣液内に観察される。従って、健康的なラクトバチルスによって、膣又は直腸内での有益な効果を達成するために、前記株の座薬又は膣挿入による摂取は必要でない。あるラクトバチルス;(crispatus VPC111及びVPC177といったラクトバチルス)の経口摂取は、糞便内と同様に膣液内でのラクトバチルスのトータルの増加がもたらされることが、今示された。 糞便及び膣の両フローラにおけるL plantarum HEAL 9による効果の不足は、トータルのラクトバチルスの最初の高濃度が原因であり得る。VPC177の摂取後の洗浄期間は十分に長くなかったと推測され得る。しかし、31人中27人の女性から、Johansson et al., Lett. Appl. Microbiol. 1995; 21: 155−159に従ったRandomly Amplified Polymorphic DNA (RAPD)により、L plantarum HEAL 9が回収され得たことは、注目に値する。他の実験株もまた、摂取後に(RAPD)で検査された女性から回収された。 結論として、糞便及び膣液内のトータルのラクトバチルス濃度の有意な増加は、前記ラクトバチルスが活動的であり、そして馴化していることを示す。各摂取期間中に供給されたプロバイオティック材料(material)は他に無いため、摂取されたプロバイオティック細菌株が本効果を達成したに違いない。 このように、膣ラクトバチルス株、すなわち膣起源として分離された株は、凍結乾燥された製品として経口摂取されることで、胃腸管の通過を生き延びることができ、そして膣で再びコロニーを形成できる。特にLactobacillus crispatus VPC177は、膣内のラクトバチルスのトータルの濃度を増加させる。これは非常に驚くべきことである。なぜなら、分離された膣のラクトバチルス株の安定性は、非常に高感受性であるため、非常に低いことが知られているからである。膣の健康における、本発明の細菌株の有益な効果を増加させるための、経口及び経膣両方の細菌株の投与は、膣を健康(あるいはそれ以上)に保つために役立つであろう。図1は、いくつかの最も好ましいプロバイオティック細菌株のRAPD解析に基づいた樹形図を示す。図2AからIは、図1の樹形図の基となったいくつかの最も好ましいプロバイオティック細菌株のRAPDパターンを示す。図3Aは、実施例3の、4つの異なる実験製品の摂取後のlog cfu/g糞便 を示す。図3Bは、実施例3の、4つの異なる実験製品の摂取後のlog cfu/スワブ(膣液中) を示す。図4は、L. crispatus VPC177株の染色体DNAを制限酵素Hind III(レーン2)、Cla I(レーン3)、Eco RI(レーン4)で切断して得られた分離DNA断片を示す。分子量DNAマーカーをスタンダードとして用いた(レーン1及び5)。図5は、L. crispatus VPC5株の染色体DNAを制限酵素Hind III(レーン2)、Cla I(レーン3)、Eco RI(レーン4)で切断して得られた分離DNA断片を示す。分子量DNAマーカーをスタンダードとして用いた(レーン1及び5)。図6は、L. crispatus VPC40株の染色体DNAを制限酵素Hind III(レーン2)、Cla I(レーン3)、Eco RI(レーン4)で切断して得られた分離DNA断片を示す。分子量DNAマーカーをスタンダードとして用いた(レーン1及び5)。図7は、L. crispatus VPC71株の染色体DNAを制限酵素Hind III(レーン2)、Cla I(レーン3)、Eco RI(レーン4)で切断して得られた分離DNA断片を示す。分子量DNAマーカーをスタンダードとして用いた(レーン1及び5)。図8は、L. crispatus VPC111株の染色体DNAを制限酵素Hind III(レーン2)、Cla I(レーン3)、Eco RI(レーン4)で切断して得られた分離DNA断片を示す。分子量DNAマーカーをスタンダードとして用いた(レーン1及び5)。図9は、L. crispatus VPC130株の染色体DNAを制限酵素Hind III(レーン2)、Cla I(レーン3)、Eco RI(レーン4)で切断して得られた分離DNA断片を示す。分子量DNAマーカーをスタンダードとして用いた(レーン1及び5)。図10は、L. gasseri VPG44株の染色体DNAを制限酵素Hind III(レーン2)、Cla I(レーン3)、Eco RI(レーン4)で切断して得られた分離DNA断片を示す。分子量DNAマーカーをスタンダードとして用いた(レーン1及び5)。 Lactobacillus crispatus VPC111(寄託番号 DSM 16741)、Lactobacillus crispatus VPC177(寄託番号 DSM 16743)、Lactobacillus gasseri VPG44(寄託番号 DSM 16737)、及びヒト膣にコロニーを形成する能力を有するその突然変異株からなる群から選択されるプロバイオティック細菌株を含む経口組成物。 キャリア物質を含む、請求項1に記載の組成物。 食品である、請求項1又は2に記載の組成物。 フードサプリメントである、請求項1又は2に記載の組成物。 前記キャリア物質が、オートミール粥、乳酸発酵食品、レジスタントスターチ、食物繊維、イヌリン、炭水化物、タンパク質及び糖タンパク質からなる群より選択される、請求項2から4のいずれか1項に記載の組成物。 前記食品が、パン、チーズ、ヨーグルト、ジュース、ヘルスバー(health bars)、スプレッド(spreads)、ビスケット及びシリアルからなる群より選択される、請求項3又は5に記載の組成物。 少なくとも1つの前記プロバイオティック細菌株が封入又はコーティングされている、請求項2から6のいずれか1項に記載の組成物。 少なくとも1つの前記プロバイオティック細菌株が、消費されるときに有効日用量である107から1012CFU、好ましくは109から1010CFUを与える量で存在する、請求項2から6のいずれか1項に記載の組成物。 薬学的組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。 前記キャリア物質が、少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリアである、請求項9に記載の組成物。 タブレット、吸引タブレット(sucking tablets)、スイーツ、チューインガム、カプセル、腸溶タブレット、及びカプセル並びに医療用栄養製品の形態で投与される、請求項9又は10に記載の組成物。 経口投与される、少なくとも1つの前記プロバイオティック細菌株が有効日用量である107から1012CFU、好ましくは109から1010CFUを与える量で存在する、請求項9から11のいずれか1項に記載の組成物。 少なくとも1つの前記プロバイオティック細菌株が封入又はコーティングされている、請求項9から12のいずれか1項に記載の組成物。 ビタミン、ミネラル及びプレバイオティックス(prebiotics)からなる群より選択される添加物を含む、請求項1から12に記載の組成物。 Lactobacillus crispatus VPC111(寄託番号 DSM 16741)、Lactobacillus crispatus VPC177(寄託番号 DSM 16743)、Lactobacillus gasseri VPG44(寄託番号 DSM 16737)、及びヒト膣にコロニーを形成する能力を有するその突然変異株からなる群から選択されるプロバイオティック細菌株の生物学的培養物。 Lactobacillus crispatus VPC111(寄託番号 DSM 16741)、Lactobacillus crispatus VPC177(寄託番号 DSM 16743)、Lactobacillus gasseri VPG44(寄託番号 DSM 16737)、及びヒト膣にコロニーを形成する能力を有するその突然変異株からなる群から選択されるプロバイオティック細菌株を含む食品。 Lactobacillus crispatus VPC111(寄託番号 DSM 16741)、Lactobacillus crispatus VPC177(寄託番号 DSM 16743)、Lactobacillus gasseri VPG44(寄託番号 DSM 16737)、及びヒト膣にコロニーを形成する能力を有するその突然変異株からなる群から選択されるプロバイオティック細菌株を含むフードサプリメント。 細菌性膣炎、ウイルス性膣炎、酵母性膣炎、膣内感染症及び尿路感染症の、治療及び/又は予防のための経口薬剤の製造のための、Lactobacillus crispatus VPC111(寄託番号 DSM 16741)、Lactobacillus crispatus VPC177(寄託番号 DSM 16743)、Lactobacillus gasseri VPG44(寄託番号 DSM 16737)、Lactobacillus plantarum HEAL 9(寄託番号 DSM 15312)、Lactobacillus plantarum HEAL 19(寄託番号 DSM 15313)、Lactobacillus plantarum HEAL 99(寄託番号 DSM 15316)、及びヒト膣にコロニーを形成する能力を有するその突然変異株からなる群から選択されるプロバイオティック細菌株の使用。


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