生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_血糖値測定装置及び方法
出願番号:2007534393
年次:2011
IPC分類:G01N 21/19


特許情報キャッシュ

伊藤 文武 桜井 浩 古沢 伸一 高野 勝昌 JP 4706028 特許公報(B2) 20110325 2007534393 20060904 血糖値測定装置及び方法 国立大学法人群馬大学 504145364 中島 淳 100079049 加藤 和詳 100084995 西元 勝一 100085279 福田 浩志 100099025 伊藤 文武 桜井 浩 古沢 伸一 高野 勝昌 JP 2005257649 20050906 20110622 G01N 21/19 20060101AFI20110602BHJP JPG01N21/19 G01N 21/00-21/61 A61B 5/14 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特表平07−506039(JP,A) 特開2005−017094(JP,A) Matsuo K, Gekko K,Vacuum-ultraviolet circular dichroism study of saccharides by synchrotron radiation spectrophotometry,Carbohydrate Research,2004年 2月25日,Vol.339, No.3,P591-597 4 JP2006317470 20060904 WO2007029652 20070315 8 20080611 横尾 雅一 本発明は、血糖値測定装置及び方法にかかり、特に、円二色性スペクトルを用いて無侵襲で血糖値を測定することができる血糖値測定装置及び方法に関する。 無侵襲血糖値測定装置は、これまで多くの研究機関や企業から様々提案されている。提案されている装置は、主として光学的計測法を用いた装置であり、近赤外分光法(透過法、反射法、及び多重散乱法を含む)、可視光を用いたラマン分光法、旋光度分光法、屈折率を用いた方法(干渉法、散乱強度法)、または蛍光法等が知られている。 近赤外光を用いた装置としては、光源から互いに波長が異なる3つの近赤外光を生体被測定部位に照射し、生体を透過した3つの光の透過強度を同時に検出し、これらの透過強度から生体被測定部位による近赤外光の吸光度二次微分値を算出し、吸光度二次微分値の変動幅から検量線データに基づいて生体中の血糖値を求める装置が知られている(特許文献1)特開2000−189404号 しかしながら、従来の血糖値測定装置では、可視光または近赤外光を用いているため、可視光または近赤外光に対してグルコースと同様の透過性を示す他の物質と、グルコースとを区別するのが困難であることから、充分な測定精度が得られない、という問題があった。 本発明は、上記問題点を解消すべく、グルコース濃度の特性波長が紫外領域に存在し、その特性波長の酢ペクトラムは他の物質には見られないグルコース固有のものであり、特性波長のピーク位置及びピーク強度がグルコース濃度と相関を持つ点に着目してなされたもので、精度良く血糖値を測定することができる血糖値測定装置及びを提供することを目的とする。 上記目的を達成するために本発明の血糖値測定装置は、紫外波長域の光を照射する光源と、前記光源から照射された光を相互に逆向きの回転方向を有する2種類の円偏光に変換する円偏光変換手段と、前記円偏光変換手段で変換され、かつ被検体を透過した2種類の透過円偏光の吸収スペクトルを検出する検出手段と、前記検出手段で検出された吸収スペクトルから得られる差分スペクトルの強度であって、血糖値が正常な被検体を透過した透過円偏光の吸収スペクトルから得られる差分スペクトルに対応する強度に基づいて、血糖値を算出する算出手段と、を含んで構成したものである。 また、本発明の血糖値測定方法は、紫外波長域の光を照射する光源から照射された光を相互に逆向きの回転方向を有する2種類の円偏光に変換して被検体に照射し、前記被検体を透過した2種類の透過円偏光の吸収スペクトルから得られる差分スペクトルの強度であって、血糖値が正常な被検体を透過した透過円偏光の吸収スペクトルから得られる差分スペクトルの複数のピークに対応する強度に基づいて、血糖値を算出することを特徴とする。 本発明では、紫外領域の特性波長スペクトラムにおけるピーク位置及びピーク相対強度を用いるため、被検体における減衰効果からあまり影響されずに血糖値に対応するグルコース濃度を直接検出することができる。紫外域の光は、グルコース濃度の測定に関して可視光または近赤外光と比較して高感度であり、グルコース固有の特性波長における強度測定であるので、グルコースに類似する他の脂肪、たんぱく質、または電解質と識別して測定することができるので、高精度の測定を行うことができる。 本発明では、差分スペクトルの特性波長ピークの強度自体を用いて血糖値を測定することもできるが、差分スペクトルの特性波長のピーク位置がグルコース濃度と相関性を持つことから、この関係から血糖値を算出することが効果的である。 また、差分スペクトルにおけるグルコースに対応する特性波長ピークは180nmから185nm近傍の波長であるのが好ましい。 以上説明したように本発明によれば、グルコース濃度の特性波長が紫外領域に存在する点に着目して血糖値を測定するようにしたので、精度良く血糖値を測定することができる、という効果が得られる。本発明の実施の形態を示すブロック図である。グルコース濃度が異なる水溶液の円二色性のスペクトルの波長と分子楕円率との関係を示す線図である。実施例1における、CDスペクトルのピーク位置とその強度のグルコース濃度依存性を示す線図である。実施例1における、血糖値を演算するルーチンを示す流れ図である。実施例2における、グルコース以外の光学活性分子のCDスペクトルのピーク位置とその強度を示す線図である。実施例2における、血糖値を演算するルーチンを示す流れ図であ。 以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態には、図1に示すように、紫外波長域の光として、例えば、160〜200nmの波長域の光を出射する紫外光源10が設けられている。紫外光源10の光出射側には、入射された紫外波長域の光を、印加された大きさが異なる2つの電圧に応じて、相互に逆向きの回転方向を有する2種類の円偏光に変換する円偏光変換光学装置であるポッケルスセル12が配置されている。 また、ポッケルスセル12には、ポッケルスセルに電圧を印加するための駆動回路14が接続されている。 なお、ポッケルスセルに代えて、ピエゾ効果の原理に基づいて石英に歪みを加え、その歪みで円偏光を作り出す素子を用いても良い。 ポッケルスセル12の円偏光出射側には、被検体16が配置されている。被検体としては、人間の手の指間または耳たぶ等生体の薄い皮膚層の部位が想定される。また、被検体は、人体から無侵襲で抽出した細胞間液、歯肉溝液または尿等であっても良い。 被検体16の光透過側には、透過光の吸収スペクトルを検出する分光器18が配置されている。分光器18には、コンピュータ20が接続れており、該コンピュータ20には、グリコース濃度と特性波長のピーク位置及びピーク強度割合との関係を示す検量線(検量線データ)が予め記憶されると共に、分光器18で検出された吸収スペクトル及び記憶された検量線から血糖値を算出するプログラムが記憶されている。 次に、コンピュータ20に記憶されている検量線について説明する。本願発明では、コンピュータ20に記憶されている検量線の内容毎に異なるいくつかの実施例が考えられることに留意されたい。以下では実施例1として、図2に示した検量線を用いる場合を説明する。 図2にグルコース濃度が異なる4種類の水溶液に対して、波長175〜500nmの光を左右円偏光に変換して被検体に照射し、被検体を透過した2種類の透過円偏光の吸収スペクトルを検出した場合における吸収スペクトルの差分スペクトル(円二色性:Circular Dichroism)の分子楕円率を演算した実験結果を示す。実験は、グルコース濃度が121mg/dl、242mg/dl、485mg/dl、970mg/dlの水溶液に対して行った。 図2から理解されるように、差分スペクトル、すなわち円二色性のスペクトルのピーク値は、グルコース濃度が121mg/dlから970mg/dlへ増加するにつれて長波長側へシフトしている。また、ピーク近傍におけるスペクトル高度もグルコース濃度が増加するにつれて増大している。 図3は、グルコース濃度におけるCDスペクトルのピーク位置とその強度のグルコース濃度依存性を示す図である。図3から分かるように、ピーク波長の位置、及びCD強度はグルコース濃度に対して単調関数である。従って、血液中のCDスペクトルの測定によるピーク波長の位置及び強度から血液中のグルコース濃度を定量的に算出することができる。 次に、図4に示したフローチャートを参照し、コンピュータに記憶されたプログラムに従って実行される血糖値測定ルーチンについて説明する。 紫外光源10から紫外波長域の光を出射させた状態で、ステップ100においてポッケルスセルから右偏光及び左偏光が交互に出射されるように駆動回路14を制御し、ポッケルスセルに電圧を印加する。これによって、被検体には右偏光及び左偏光が交互に照射され、被検体を透過した透過右偏光及び透過左偏光が交互に分光器18に入射され、分光器18によって透過右偏光及び透過左偏光の各吸収スペクトルが交互に検出される。 ステップ102では、分光器18によって検出された吸収スペクトルをA/D変換(アナログ/デジタル変換)して取り込む。ステップ104において透過右偏光の吸収スペクトルと透過左偏光の吸収スペクトルとの差分を表す差分スペクトルを演算する。ステップ106では、差分スペクトルに基づいて各波長における分子楕円率を演算する。 ステップ108では、CDスペクトルの実測値から、波長200nm以下の波長領域でのグルコース起因のスペクトルのピーク位置を求める。そして、ステップ112で、ピーク位置と図3の検量線から血糖値を演算する。 次に、実施例2について述べる。実施例2では、血液中に存在するグルコース以外の主要な光学活性分子であるアルブミン、グロブリン及びアスコルビン酸による成分を総スペクトにからフィッティング分離し、これらの各主要な光学活性分子のCD強度とグルコースのCD強度との相対強度からグルコース濃度を定量的に求めることを特徴とする。 具体的には、図5から分かるように、グルコース以外の上記光学活性分子のCDスペクトルのピーク位置はグルコースのピーク位置とは異なる位置に存在する。 また、一般に、アルブミン、グロブリン及びアスコルビン酸は、時間的に一定の数値を示すことが知られている。 従って、アルブミン、グロブリン及びアスコルビン酸のCD強度とグルコースのCD強度との相対強度を計測することで、グルコース濃度を定量的に随時求めることが可能である。 次に、図6に示したフローチャートを参照し、実施例2において、コンピュータに記憶されたプログラムに従って実行される血糖値測定ルーチンについて説明する。 図6のフローチャートのステップ200、202、204、206での処理は、図4のフローチャートのステップ100、102、104、106での処理と同様であるので説明を省略する。 図4の実施例1と異なり、ステップ208では、CDスペクトルをグルコース、アルブミン、グロブリン及びアスコルビン酸の各スペクトルにフィッティング分離し、各々の成分によるCD強度を求め、ステップ212では、グルコース成分によるCD強度と、アルブミン、グロブリン及びアスコルビン酸の各々のCD強度の比と図5の検量線から血糖値を演算する。符号の説明10 紫外光源12 ポッケルスセル14 駆動回路16 被検体18 分光器20 コンピュータ 紫外波長域の光を出射する光源と、 前記光源から出射された光を相互に逆向きの回転方向を有する2種類の円偏光に変換する円偏光変換手段と、 前記円偏光変換手段で変換され、かつ被験体を透過した2種類の透過円偏光の吸収スペクトルを検出する検出手段と、 前記検出手段で検出された吸収スペクトルから得られる差分スペクトルのピークの強度および前記ピークの波長とグルコース濃度との関係にもとづいて、血糖値を算出する算出手段と、 を含む血糖値測定装置。 前記ピークの波長に対応する波長は180nm〜190nmの波長である請求項1に記載の血糖値測定装置。 紫外波長域の光を出射し、 出射された前記光を相互に逆向きの回転方向を有する2種類の円偏光に変換し、 前記変換され、かつ被験体を透過した2種類の透過円偏光の吸収スペクトルを検出し、 検出された前記吸収スペクトルから得られる差分スペクトルのピークの強度および前記ピークの波長とグルコース濃度との関係にもとづいて、血糖値を算出する、 血糖値測定方法。 前記ピークの波長に対応する波長は180nm〜190nmの波長である請求項3に記載の血糖値測定方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る