タイトル: | 特許公報(B2)_キャピラリー式イオンクロマトグラフィー |
出願番号: | 2007532580 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | G01N 30/26,G01N 30/02,G01N 30/88 |
リウ ヤン バレット ヴィクター マニュエル バーバー ポール クリストファー エイ アヴダロヴィック ネボイサ JP 5055121 特許公報(B2) 20120803 2007532580 20050915 キャピラリー式イオンクロマトグラフィー ダイオネックス コーポレイション 591025358 熊倉 禎男 100082005 大塚 文昭 100067013 宍戸 嘉一 100065189 弟子丸 健 100088694 井野 砂里 100103609 リウ ヤン バレット ヴィクター マニュエル バーバー ポール クリストファー エイ アヴダロヴィック ネボイサ US 10/944,442 20040916 20121024 G01N 30/26 20060101AFI20121004BHJP G01N 30/02 20060101ALI20121004BHJP G01N 30/88 20060101ALI20121004BHJP JPG01N30/26 EG01N30/02 EG01N30/26 HG01N30/88 H G01N 30/26 G01N 30/02 G01N 30/88 特表2004−508540(JP,A) 特開昭60−076665(JP,A) 特開2002−214212(JP,A) 特開2005−515055(JP,A) 特開2005−538382(JP,A) 特開平05−281215(JP,A) Souji Rokushika, Zong Yin Qiu, and Hiroyuki Hatano,Micro Column Ion Chromatography with a Hollow Fibre Suppressor,Journal of Chromatography,1983年,Vol.260,P.81-87 Anna Sjogren, C.Bradley Boring, and Purnendu K.Dasgupta,Capillary Ion Chromatography with On-Line High-Pressure Electrodialytic NaOH Eluent Production and Gradient Generation,Analytical Chemistry,,1997年 4月 1日,Vol.69, No.7,P.1385-1391 V.S.Gurskii, N.V.Voronina, and S.V.Timofeev,Capillary Suppressor for Use in Two-Column Anion-Exchange Chromatography,Industrial Laboratory,1996年11月,Vol.62, No.5,P.284-285 L.A.Godon, V.S.Gursukii, and S.V.Timofeev,A Hydroxide Eluent Generator for Ion-Chromatographic Determination of Anions,Industrial Laboratory,1998年 6月,Vol.63, No.12,P.716-717 25 US2005033459 20050915 WO2006034182 20060330 2008513790 20080501 21 20080528 河野 隆一朗 イオンクロマトグラフィーは、1975年に導入されて以来、種々のサンプルマトリックスにおける陰イオンおよび陽イオンのアナライト測定のために、広範に使用される分析技術になってきている。今日、イオンクロマトグラフィーは多くの分離モードおよび検出モードで実行されている。導電率が抑制されたイオンクロマトグラフィーは、最も広範に行われる形態の技術である。抑制された導電率検出においては、サプレッサと称する溶離剤抑制装置が溶離剤を導電性の弱い形態に変換し、標的アナライトのコンダクタンスを高める。当初のサプレッサは、適切なイオン形態のイオン交換樹脂を充填したカラムであった。これら充填されたベッドのサプレッサは、比較的大きなデッド容積を有しており、オフラインでの化学的再生を必要とした。この問題を克服するために、イオン交換繊維および他の膜に基づくサプレッサが開発された。これらのサプレッサは、酸または塩基の再生溶液を使用して連続的に再生することができる。 当初の膜サプレッサに伴う一つの欠点は、サプレッサを連続的に再生するために、典型的には、酸または塩基の再生溶液の外部供給源が使用されることであった。化学的に再生される膜サプレッサに伴う制限を克服するために、長年に亘って、米国特許第4,999,098号、同第5,248,426号、同第5,352,360号、および同第6,325,976号に記載のような、電気分解的に再生される種々の設計の膜サプレッサが開発されてきた。この電気分解的サプレッサは、イオンクロマトグラフィーにおける幾つかの利点を提供する。それらは、溶離剤の連続的且つ同時の抑制、抑制媒体の再生、および通常のIC適用のための充分な抑制能力を提供する。それらは、抑制された溶離剤または水を使用して電気分解的に再生イオンを形成できるので、操作が容易である。従って、オフラインで再生溶液を調製する必要がない。また、該サプレッサは勾配分離に適合する。それらは非常に低い抑制ゾーン容積を有し、これは高いクロマトグラフィー効率での分離を達成することを可能にする。 イオンクロマトグラフィーにおいては、クロマトグラフィー溶離剤として、通常は酸、塩基または塩の希釈溶液が用いられる。従来、これらの溶離剤は、試薬等級の化学薬品を用いた希釈によって、オフラインで調製されている。クロマトグラフィー溶離剤のオフライン調製は単調で、オペレータのエラーを生じる傾向があり、汚染物を導入する可能性がある。例えば、陰イオンのクロマトグラフィー分離における溶離剤として広く使用される希釈NaOH溶液は、炭酸塩によって容易に汚染される。炭酸塩は、試薬由来の不純物として、または空気からの二酸化炭素の吸収によって導入されるので、炭酸塩を含まないNaOH溶離剤を調製することは困難である。NaOH溶離剤における炭酸塩の存在は、イオンクロマトグラフィー法の特性を損なう可能性があり、また水酸化物勾配を通じて望ましくないクロマトグラフィー基底ラインドリフトを生じ、更に、標的アナライトの再現性のない保持時間を生じる可能性がある。近年、高純度のイオンクロマトグラフィー溶離剤を精製または発生させるために、水の電気分解、およびイオン交換媒体による電荷選択的なイオンのエレクトロマイグレーションを利用する幾つかのアプローチが、研究者によって開発されてきた。米国特許第6,036,921号、同第6,225,129号、同第6,316,271号、同第6,316,270号、同第6,315,954号、および同第6,682,701号は、キャリアとして水を使用することにより、高純度の酸および塩基溶液を発生させるために使用できる電気分解装置を記載している。これらの装置を使用して、クロマトグラフィー分離における溶離剤として使用するための汚染物を含まない高純度の酸もしくは塩基溶液が、自動的にオンラインで発生される。これらの装置は勾配分離を単純化し、現在では、従来の機械的勾配ポンプを使用する代りに電流勾配を使用して、最小の遅延で勾配分離を行うことができる。 電気分解溶離剤発生器およびサプレッサを組み合せた使用により、イオンクロマトグラフィー法のルーチン操作は顕著に変化してきており、移動相として脱イオン水のみを使用した種々のイオンクロマトグラフィー分離の実施が可能になっている。これら電気分解装置の使用は、勾配を通じての最小の基底ラインシフト、保持時間のより大きな再現性、より低い検出バックグラウンド、および標的アナライトについてのより低い検出限界を可能にすることによって、イオンクロマトグラフィー法の性能に顕著な改善をもたらす。 最近、内径1mm以下の分離カラムを使用するキャピラリー式高性能液体クロマトグラフィーが、分離プロセスの小型化に伴う利点の故に、分析的な分離ツールとして次第に増大する人気を獲得してきている。イオンクロマトグラフィーにおける典型的な分離カラムは、2mm〜4mmのカラム内径を有しており、0.2〜3mL/minの流速で動作される。キャピラリー方式(即ち、約1mm以下の内径を持った小さい空洞カラムを使用するもの)でのイオンクロマトグラフィーの実施は、潜在的に、イオンアナライトの分析について多くの利点を有している。キャピラリー分離カラムを使用することは、分離効率および/または速度を改善することができる。キャピラリー方式での分離プロセスは遥かに小量のサンプルしか必要とせず、従って、サンプル量が制限される応用との適合性を改善する。キャピラリー式イオンクロマトグラフィーシステムは、典型的には1〜20μL/minで動作し、従って、消費される溶離剤の量は非常に少ない。キャピラリー式イオンクロマトグラフィーは、最小介入での連続運転の能力が改善されてきており、従って、システムの始動および停止に付随する問題が最小化されている。キャピラリー式イオンクロマトグラフィーの低流速での動作により、質量分光計との適合性が改善される。加えて、キャピラリー方式でのイオンクロマトグラフィーの実施は、より発熱的で且つ作製が困難な静止相を充填した新たなカラムを使用する困難な応用のための、新たな選択性を提供する可能性の扉を開くものである。 高性能液体クロマトグラフィーに比較すると、イオンクロマトグラフィーの場合、分離プロセス規模の小型化の領域での進歩は遅々としたものであった。抑制された導電率検出を使用したキャピラリー式イオンクロマトグラフィーの領域における限り、限られた数の研究しか報告されていない。1983年に、Rokushikaおよび彼の共同研究者は、抑制された導電率検出を使用したキャピラリー式イオンクロマトグラフィーシステムの開発を報告した(J. Chromatography, 260 (1983) 81-88)。彼等の研究では、190μmの内径を備えた溶融シリカキャピラリーの中に表面凝集された陰イオン交換樹脂を充填することによって、陰イオン交換キャピラリーカラムが調製された。サプレッサは、Nafion(登録商標)中空繊維の配管を使用して製造され、0.05Mのドデシルベンゼンスルホン酸の外部溶液を使用して化学的に再生された。無機陰イオンおよびカルボン酸の分離が開示された。1997年に、Dasguptaおよび彼の共同研究者は、オンラインでの高圧電気分解型の水酸化ナトリウム溶離剤発生器を使用したキャピラリー式イオンクロマトグラフィーシステムの実施を報告した(Anal. Chem., 29 (1997) 1385-1391)。彼等のシステムでは、水酸化ナトリウム溶離剤の電気分解的発生のためのキャリアとして、典型的には2μL/minの脱イオン水が使用され、陰イオン交換体を充填したキャピラリーカラムが分離カラムとして使用され、またNafion(登録商標)配管を使用して調製され且つ硫酸溶液を使用して化学的に再生されるサプレッサが使用された。有機および無機の陰イオンの、均一濃度および濃度勾配での両方の分離が開示された。2001年に、PyoおよびKimは、開放管状カラムおよび抑制された導電率検出を使用したキャピラリー式イオンクロマトグラフィーの開発に関する彼等の研究を報告した(J. Korean Chem. Soc, 2001 , Vol. 45, No. 3)。分離カラムとして、DMEOHAラテックス粒子でコートされた開放管状キャピラリーカラムが使用された。前記サプレッサは、Nafion(登録商標)中空繊維配管を使用して作製され、外部の酸溶液を使用して化学的に再生された。 上記で述べた刊行物において、抑制された導電率検出を用いたキャピラリー式イオンクロマトグラフィーは、イオン交換キャピラリー配管製のサプレッサを使用して行われたものである。これらの刊行物は、外部の希釈酸溶液を使用した化学的再生を開示している。この型のサプレッサのデッド容積は、それらがキャピラリー分離カラムと適合するように最小化することができる。しかし、これら刊行物に開示された化学的再生剤の使用は、化学的再生剤を分注および配置するコストを追加し、化学的再生剤がイオン交換膜を横切って溶離剤中に侵入する潜在的な漏出をもたらし、これが導電率検出のバックグラウンドを上昇させて、幾つかのアナライトの感度に対して負の影響を与える可能性がある。使用が容易で、堅牢で、信頼性のあるキャピラリーサプレッサを備えた、キャピラリー式イオンクロマトグラフィーシステムが必要とされている。[発明の概要] 本発明の一つの実施形態は、充填剤入口および充填剤出口含んだハウジング内のフロースルー型イオン交換充填剤、および入口および出口を有し且つ選択透過性のイオン交換膜で形成されたキャピラリー配管を備えたサプレッサを具備してなり、前記配管は少なくとも部分的に前記イオン交換充填剤の中に配置されている、キャピラリー式イオンクロマトグラフィーのための装置である。 本発明のもう一つの実施形態は、(a)入口および出口を有し且つ選択透過性のイオン交換膜で形成され、少なくとも部分的に前記イオン交換充填物の中に配置されたサプレッサと、(b)前記キャピラリー管と流体流通したフロースルー型検出器と、(c)前記検出器からリサイクルされた水性サンプルを、前記フロースルー型ハウジングを通して前記配管の外側へ向けるためのリサイクル導管とを具備した、キャピラリー型イオンクロマトグラフィーのための装置である。 本発明のもう一つの実施形態は、入口および出口を有し且つ選択透過性のイオン交換膜で形成されたキャピラリー管を具備し、該配管は、少なくとも部分的にフロースルーハウジング内に配置され、前記キャピラリー管の外壁は、弱酸性または弱塩基性の官能基を備えた交換可能なイオンを含んでなるサプレッサである。 本発明の更なる実施形態は、(a)正または負の一つの電荷の分離されたサンプルイオン種を溶離剤中に含む水性サンプル流を、選択透過性のイオン交換膜で形成されたキャピラリー配管を通して流し、該配管はフロースルー型イオン交換充填剤の中に埋められており、また前記サンプルイオン種に対して反対の電荷の前記溶離剤中の対イオンを、前記配管を横切ってその内壁から外壁へと輸送する工程と、(b)再生剤水溶液を、前記イオン交換充填剤を通して前記配管の外側を通過するように流し、前記配管外壁へと輸送された輸送された対イオンを運び去る工程とを含む、キャピラリー式イオンクロマトグラフィーのための方法である。 本発明の更なる実施形態は、(a)正または負の一つの電荷の分離されたサンプルイオン種を溶離剤中に含む水性サンプル流を、選択透過性のイオン交換膜で形成されたキャピラリー配管を通して流し、また前記サンプルイオン種に対して反対の電荷の前記溶離剤中の対イオンを、前記配管を横切ってその内壁から外壁へと輸送する工程と、(b)前記液体サンプル流を検出器を通して流すことによって、前記キャピラリー配管を出る前記分離されたイオン種を検出する工程と、(c)前記水性サンプル流を前記検出器から前記外側配管壁へとリサイクルさせて、前記外側配管壁へと輸送された前記対イオンを運び去る工程とを含む、キャピラリー式イオンクロマトグラフィーのための方法である。[好ましい実施形態の詳細な説明] 本発明のシステムは、膨大な数のイオン種を決定するために有用である。決定されるべき種は、陰イオンのみまたは陽イオンのみである。適切なサンプルには、表面水、並びに産業化学排液、体液、飲料および飲用水のような他の液体が含まれる。「イオン種」の用語が使用されるとき、それにはイオン形態の種および本発明の条件下でイオン化される分子の成分が含まれる。 一般に、本発明は、クロマトグラフィーがキャピラリースケールで実施される、イオンクロマトグラフィー装置および方法に関する。本発明のイオンクロマトグラフィーシステムは、(a)典型的にはクロマトグラフィーカラムの形態のキャピラリー分離カラムと、(b)該クロマトグラフィーカラムからの溶出液が、キャピラリーサイズの配管を通ってその中を流れるサプレッサ(キャピラリーサプレッサ)と、(c)該サプレッサの下流の検出器、典型的には導電率検出器とを含んでいる。 「キャピラリー配管」の用語は、化学分析に一般に使用される狭い空洞キャピラリー配管を包含するように定義されるが、このようなキャピラリー配管に限定されない。その代りに、「キャピラリー配管」の用語は、概ね先行技術キャピラリー配管の内部サイズ規模の寸法を有する配管を広く含むものである。このようなキャピラリーは、典型的には約5〜1,000ミクロン、より好ましくは約10〜500ミクロンの空洞直径を有する。このような寸法は、典型的には、本発明の分離カラムおよびサプレッサキャピラリー配管の両方に適用される。キャピラリー配管の1以上の区画は、連続的なキャピラリー配管を形成するように接合されてもよい。該キャピラリー配管は、例えば、0.1〜50μL/minのキャピラリー流速を導く。 一般に、例えば米国特許第3,897,213号、同第3,920,397号、同第3,925,019号および同第3,956,559号に示されたような、如何なる周知のイオンクロマトグラフィーシステムが用いられてもよいが、本発明のキャピラリーサプレッサを使用する。 図1に示した本発明の一つの実施形態には、本発明のキャピラリーサプレッサが概略的に示されている。この実施形態では、米国特許第6,682,701号の図1に示されたタイプの溶離剤発生器が使用されているが、当該特許またはそれ以外に示された他の溶離剤発生器を、本発明のキャピラリーイオンクロマトグラフィーシステムと組み合せて使用することができる。溶離剤発生器の動作原理は、この特許に充分に示されている。図1のシステムは、以下で更に充分に説明するように、検出器からキャピラリー配管の外側への溶液のリサイクルを図示している。異なる形態のサプレッサのためのこのようなリサイクルが、米国特許第5,248,426号に示されている。 図1の実施形態を詳細に参照すると、図示しない供給源からの脱イオン水が、塩基発生器15の高圧塩基発生器チャンバ14を通して、ポンプ12により送給される。チャンバ14は、溶離剤イオン源を含む低圧イオン源リザーバ16から分離されている。図示のように、該システムは陰イオン分析のためのものであり、ここでアナライトのために供給されるイオンは陽イオン、即ち、図示のカリウムイオン、またはナトリウム、リチウムもしくは他の陽イオンである。イオン源リザーバは、‘701号特許に示されているようにして補充できる塩基溶液もしくは塩溶液の形態であってよい。帯電された選択透過膜バリアまたはコネクタ18は、バルク液体流を実質的に妨げる一方、イオン輸送ブリッジを提供して、カリウムイオンを塩基発生チャンバ14の中へと輸送する。適切な膜、例えばNafion(登録商標)で形成されたものが、‘701号特許に示されている。アノード20(例えば白金)はリザーバ16と電気的に導通しており、またカソード22(例えば白金)が塩基発生チャンバ14の出口に配置されている。‘701号特許に図示されているように、樹脂ベッドのような陽イオン交換充填剤が、塩基発生チャンバ12の中に配置されてよい。塩基発生チャンバ14の中で塩基、即ちKOHが発生されるように、‘701号特許に示された反応を与えるための電気分解が行われる。印加された電界の下で、カリウムイオンがイオン交換コネクタまたは膜を横切って移動し、水酸化物イオンと結合してKOH溶出剤が形成される。形成されるKOH溶液の濃度は、印加される電流に比例し、脱イオン水キャリア流の流速に反比例する。カソードでは水素が発生し、これが分析を妨害する可能性がある。従って、典型的には、これも‘701号特許に示されている多孔質膜を用いた脱ガス配管装置26を使用して、発生した水素ガスを除去するのが好ましい。 サンプルは、インジェクタ28において注入され、塩基発生器15からの溶離剤によって、イオン交換カラムクロマトグラフィー分離カラム30へと運ばれる。陰イオン分析については、陰イオン分離媒体、典型的には、上記で述べたようにキャピラリー寸法のカラム30の中の充填されたイオン交換樹脂を使用して分離が行われる。 図示のように、キャピラリー陰イオン分離カラム30からの溶出液は、キャピラリー配管32の入口32aへと流れ、次いで、該配管を通って出口32aから流出し、検出器34(適切には導電率検出器)を通過する。配管32はサプレッサハウジング36内に収容され、該ハウジングは管状または矩形を含む如何なる形状であってもよい。検出器34からの溶出液は、ライン38の中をハウジング36の入口ポート36aへとリサイクルされ、配管32の外側を、好ましくは該配管32の中の流れに対して並流で流れ、出口ポート36bから出て行く。 キャピラリー配管32は、バルク液流を阻止し且つ選択されたイオン(陰イオン分析の場合には陽イオン)の透過を可能にするために、適切には、Nafion(登録商標)製のような先行技術に記載されたタイプの選択透過性イオン交換膜で形成される。従って、この配管の壁は、これもまたNafion(登録商標)で形成できる先行技術の膜サプレッサまたは膜バリア18と同じ目的で作用する。サプレッサの詳細については以下で説明する。 他の溶離剤発生器は、PCT出願WO/2004/024302に示された炭酸カリウム等の炭酸塩発生器のような、イオン化水供給源と共に使用されてよい。この場合、溶離剤発生器の下流のイオンクロマトグラフィーシステムもまた、図1に示された通りである。例えば、米国特許第5,045,204号または米国特許第6,562,628号に示されているような、他の溶離剤発生器を使用することができる。 この溶離剤発生器は、陰イオン分析およびカリウムイオンのような陽イオン発生器について例示されるが、陽イオン分析については、米国特許第6,682,701号に示されたような膜イオン交換樹脂および電極の極性の適切な反転によって、溶離剤用のMSAまたは他の陰イオンを発生させるために、同じシステムを使用してよい。 上記で例示された溶離剤発生器を含む図1のシステムが、1以上の脱イオン水の流れを使用して、アナライトの分離、溶離剤抑制、およびアナライト検出を含む全体のイオンクロマトグラフィー分離プロセスを実施できることは明らかである。 図2は、本発明に従うキャピラリーサプレッサの実施形態を概略的に図示している。以下では、図1および図2について、同じ部分は同じ番号で示される。図示のように、例えば非導電性プラスチックのカラムで形成された、フロースルーポートを備えたサプレッサハウジング36は、入口32aおよび出口32bを備えたキャピラリー配管32を含んでいる。該配管は、典型的には液密の治具を通してハウジング36の中へおよび外へと突出し、また分離カラム30の出口と直接的または間接的に流体流通して突出する。配管32の出口32bは、前記ハウジングを通過して突出し、フロースルー検出器34の入口との流体流通のための配管に結合される。 陰イオン分析の場合は、陽イオン交換キャピラリー配管が、好ましくは陽イオン交換充填剤40(適切には陽イオン交換樹脂ベッド)の中に、これと直接接触して緊密に埋設される。充填剤40は、ハウジング36の中に収容される。図示のように、キャピラリー配管を通って流れる流れのために別々の流体接続が使用される。水性再生液流源は、導管の入口42から充填剤40を通って流れ、また出口44を通り、適切な治具を通して流れる。次いで、溶液は導管を通して検出器34へと流れる。図1の実施形態において、入口42のための水供給源は、図1に示すように、検出の後に導電率検出器から流出するサンプル流であり、これは図1に示すようにリサイクル導管38の中を流れる。 一つの実施形態において、陽イオン交換キャピラリー配管32は、Nafion(登録商標)膜材料、または幾つかの他の形態の強酸性陽イオン交換膜製である。サプレッサ内のキャピラリー配管の典型的な長さは、約0.1〜50cm、好ましくは1〜20cmである。好ましい内径は、約0.001インチ〜0.010インチである。一つの実施形態において、イオン分離用の陽イオン交換樹脂は、好ましくはヒドロニウムイオン(H+)形態のスルホネート樹脂のような、強酸性の陽イオン交換樹脂である。 ここで用いられる「強酸性陽イオン」交換樹脂または官能基の用語は、クロマトグラフィーの分野で使用されている通りである。従って、例えばDowex 5OW X8およびAmberlite IR 122が通常使用される強酸性陽イオン交換樹脂である。このタイプの樹脂において、官能基は、典型的にはpKaが1未満の強酸である。典型的な強酸性官能基にはスルホン酸基が含まれる。 ここで用いられる「弱酸性」交換樹脂または官能基の用語は、クロマトグラフィーの分野で使用されている通りである。従って、例えば、Chelex−100およびBio−Rex 70、並びにAmberlite IRC−76が、通常使用される弱酸性陽イオン交換樹脂である。このタイプの樹脂において、官能基は、典型的にはpKaが1よりも大きい弱酸である。典型的な弱酸性官能基には、カルボン酸基、クロロカルボン酸基およびホスホン酸基が含まれる。 ヒドロニウム形態の周知の陽イオン交換充填剤40もまた、この実施形態において使用されてよい。充填剤40はイオン交換樹脂ベッドの好ましい形態で説明されるが、過度の圧力降下を伴わず且つ充分なイオン交換能力で溶液を流して、電極間に陽イオンまたは陰イオンの導電性ブリッジを形成することを可能にする、十分な多孔性度をもった多孔質連続構造のような他の形態の充填剤が使用されてもよい。一つの構造形態は、過剰な圧力低下を伴わずに約0.1〜3mL/minの流速を可能にする約10〜15%の多孔性度をもった、スルホン化された架橋ポリスチレンで形成された多孔質マトリックスまたはスポンジ様材料である。 例示しない実施形態では、リサイクル導管38中のサンプル液流の流速が、配管32の壁を横切って移動するイオンを運び去るその望ましい作用にとって、および/または電気分解適用のためのサプレッサの冷却にとって不充分であるときには、水性液体を流す図示しない追加の供給源が、充填剤40を通るように向けられてもよい。この場合、水性液体の追加の供給源は、サプレッサにポンプで供給される水流(例えば脱イオン水)を含んでよく、これはリサイクル導管の中の水と共に単一の流れに合体され、または充填材40を通る別の導管の中に向けられることができる。先行技術のリサイクルを含むサプレッサの場合、配管の中の流れに対して向流で、配管の外側の充填剤を通して水性の水を流すのが好ましい。 導電率検出器からの水性流出液がリサイクルされ、充填剤40を通して流されるとき、カリウム形態の弱酸性樹脂の加水分解で生じるKOHを除去するための連続的な水の流れが存在する限り、サプレッサは連続的に再生されることができる。樹脂上の官能基の化学的性質に依存して、加水分解の速度は、サプレッサの中へのKOH溶離剤の流入に関して、装置の抑制能力を決定する制限因子になる可能性がある。サプレッサの樹脂ベッドを通って流れる脱イオン水の第二の流れは、それによって抑制能力が改善されることが期待されるので好ましく、この第二の流れは分離プロセスで使用される流速よりも高い流速であってよい。 陰イオン分析のためには、スルホン化された膜キャピラリー配管が使用され、塩基溶離剤(KOH)がキャピラリー配管に導入されたときに、カリウムイオン(K+)は、次式に従ってキャピラリー壁の中のヒドロニウムイオン(H+)と交換する。 R−SO3H + KOH(溶離剤) → RSO3K + H2O(抑制された溶離剤) (1) R−SO3H + KX(アナライト) → RSO3K + HX(抑制されたアナライト) (2) 上記式において、Rは、キャピラリー上のイオン交換表面を表す。陽イオン交換キャピラリーは、陽イオン交換樹脂のベッドと物理的に直接接触しているので、陽イオン交換キャピラリーの壁上の最初に交換されたK+イオンは、該壁に直接隣接した樹脂ビーズ上のH+イオンと交換し続ける。その後、この交換プロセスは、陽イオンキャピラリーと物理的に直接接触せず、且つキャピラリー配管から更に遠くに位置する樹脂ビーズとの間で生じ続ける。このプロセスにおいて、陽イオン交換樹脂ビーズは、陽イオン交換キャピラリー配管を再生させるための再生イオン(即ち、H+イオン)の供給源になる。この抑制プロセスは、陽イオン交換キャピラリーを取囲む陽イオン交換ビーズにおいてカリウム形態の方が優性になり、また陽イオン交換キャピラリーの中へのヒドロニウムイオンの流入が、入ってくるKOH溶離剤を中和するためには不充分なレベルに低下する時点まで継続される。 所定の溶離剤濃度および流速における当該装置の効果的な抑制能力は、キャピラリーの長さ、キャピラリー内部における溶離剤の流れプロファイル、樹脂のイオン交換能力、樹脂の粒子サイズ、キャピラリーを取囲む樹脂の量、樹脂ベッドの形状寸法等を含む多くの因子に依存する。当該装置の抑制能力を増大させるために、陽イオン交換キャピラリー配管は、溶離剤とキャピラリー壁との接触を増大させるように、該キャピラリーを通過する溶離剤のための曲がりくねった流路を形成するような外形寸法パターンに編むことができる。当該装置の抑制能力を増大させるために、キャピラリーサプレッサのデッド容積を減少させ、また溶離剤とキャピラリー壁との接触が増大するように、陽イオン交換キャピラリーの内部間隙にも、不活性なまたは陽イオン交換モノフィラメントを充填してよい。サプレッサの有効な抑制能が使い尽くされたら、全体の樹脂ベッドをヒドロニウム形態に再度変換するために、酸の外部供給源を使用して当該装置の樹脂ベッドをオフラインで再生することができる。一定の水流は、イオン交換部位の間でのカリウム/ヒドロニウムの交換を促進して、当該装置の有効抑制能を増大させる。図1に示したキャピラリーイオンクロマトグラフィーシステムにおいて、導電率検出器からの水性流出液をリサイクルさせて、キャピラリーサプレッサの樹脂ベッドに通すことができる。或いは、同じ機能を提供するために、別の脱イオン水の流れをサプレッサの樹脂ベッドに通してもよい。 図2に示すように、キャピラリー配管32は、曲りくねった経路の中を流すためにコイル状に形成される。抑制を達成するためのサプレッサキャピラリー配管の望ましい長さに応じて、該配管は直線状であってもよく、またはコイル状もしくは如何なる望ましい形状であってもよい。典型的には、流れに対する抵抗の故に、直角に曲げられた図示の形態ではないであろう。 もう一つの実施形態では、キャピラリー配管32を取囲む陽イオン交換樹脂充填剤40が強酸官能基に加えて弱酸官能基を含むことを除き、図2のサプレッサが用いられてよい。キャピラリー32を取囲む陽イオン交換樹脂充填剤に結合したH+イオンは、再生イオン(例えばH+イオン)の供給源として作用し、抑制プロセスをサポートする。当初キャピラリーの壁上に交換されたK+イオンは、当該壁に直接隣接したイオン交換樹脂ビーズ上のH+イオンと交換し続ける。この交換プロセスが継続して、配管32の壁と直接に物理的接触していない当該壁から離れて位置する樹脂ビーズにおいても交換が生じることになる。同時に、カリウム形態の弱酸性樹脂は、次式に従って加水分解を受けることができる。 R−CO3K + H2O → RCO3H + KOH (3) 樹脂ベッドを通過する一定の水流が存在するとき、この樹脂の加水分解反応で形成されたKOHは、該樹脂ベッドから流出すことができる。次いで、再生された樹脂は、次式に従う抑制プロセスのために再度利用可能になる。 R−CO3H + KOH → RCO3K + H2O (4) 所定の溶離剤濃度および流速での当該装置の有効な抑制能力は、キャピラリーの長さ、キャピラリー内部の溶離剤の流れプロファイル、樹脂のイオン交換能力、樹脂の粒子サイズ、キャピラリーを取囲む樹脂の量、樹脂ベッドの形状などを含む多くの因子に依存する。この実施形態において、樹脂ベッドは、強酸性陽イオン交換樹脂および弱酸性陽イオン交換樹脂の両者の混合物からなってもよい。これは、二つの異なるタイプの樹脂の均一または不均一な混合において行うことができる。この樹脂混合物において、弱酸性イオン交換樹脂は、上記で述べた加水分解により連続的に再生されることができる。これは、外部の酸溶液を用いたオフラインでの再生を必要としない連続運転の利点を与える。 本発明のサプレッサに使用するためのキャピラリー配管32のもう一つの実施形態が、図3に概略的に描かれている。この実施形態において、陽イオン交換キャピラリーは、強酸性官能基および弱酸性官能基の両方を含んでいる。図3は、この実施形態に使用される陽イオン交換キャピラリーの断面を模式的に示している。陽イオン交換キャピラリーの内壁は、殆ど強酸性官能基を含むイオン交換材料でできている。該キャピラリーの外壁は、弱酸性官能基を含んでいる(例えば、このような基を含む線型ポリマーを用いて強酸性キャピラリー配管にグラフトすることにより、該キャピラリーに結合される)。固体ポリマー表面上に発生させた活性部位からモノマーをグラフト重合することによって、キャピラリーのポリマー表面を修飾するのに適した技術が周知である(例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Supplement VoI, 2nd edition, John Wiley & Sons (1989) 678, Macromolecules, Vol. 9, (1976), 754, and Macromolecules, Vol. 12, (1979), 1222参照)。最も普通の技術は、60Co源のような放射線源を使用するγ放射線であり、これは表面にラジカルを発生させるが、熱的方法、光化学的方法、プラズマ法および湿式化学法もまた、開始のための遊離ラジカル部位を導入するために使用することができる。モノマーは、気相もしくは溶液で存在することができ、またはニートの液体として存在することができる。イオン交換キャピラリーを修飾して弱酸性官能基を該キャピラリーの外壁に含めるために、表面グラフト重合技術を使用することができる。 KOH溶離剤がキャピラリー配管の中に侵入するに伴って、カリウムイオン(K+)は、キャピラリーの内壁のヒドロニウムイオン(H+)と交換する。その後、陽イオン交換キャピラリーの内壁上で最初に交換されたK+イオンは、該キャピラリーの外壁に結合された弱酸性官能基上のH+イオンとの交換を続ける。先に述べた通り、カリウム形態での弱酸性官能基は、次式に従って加水分解反応を受けることができる。 R−CO3K + H2O → RCO3K + KOH (4) 加水分解反応で形成されたKOHは、陽イオン交換キャピラリー32の外側を流れる一定の水流が存在するときは、プラスチックハウジング36から外へと引出すことができる。この動作モードでは、発生したKOHを除去するための連続的な水流が存在する限り、サプレッサは連続的に再生されることができる。導電率検出器34からの水性流出液は、陽イオン交換キャピラリーの外側を流れるようにリサイクルさせることができる。それによって抑制能力の改善が期待されるので、適切には分離プロセスで使用される流速よりも高い流速をもった、第二の脱イオン水の流れを使用してもよい。この実施形態において、キャピラリー配管の外壁に結合された弱酸性官能基は、上記で述べた電気分解によって連続的に再生されることができる。これは、外部の酸溶液を用いたオフラインでの再生を必要としない、連続運転の利点を提供する。 図4は、陰イオン分析のための、連続運転可能な電気分解キャピラリー式サプレッサの実施形態を図示している。図2および図4の同様の部分は同様の番号で示されている。この実施形態では、図2の実施形態におけるように、キャピラリー式イオンサプレッサは陽イオン交換キャピラリー配管32を含んでおり、該配管は、二つのフロースルーポートを備えたプラスチック製カラムハウジングの中に収容された陽イオン交換樹脂40のベッドの内部に緊密に埋設されている。樹脂ベッドの入口には、フロースルー型アノード50(例えば穿孔されたPtアノード)が設けられ、また樹脂ベッドの出口には、フロースルー型カノード50(例えば穿孔されたPtカノード)が設けられている。両方の電極とも、好ましくは上記タイプの充填剤40と直接接触している。陽イオン交換キャピラリー配管は、上記寸法の上記材料で作成されてよい。このタイプの電気分解キャピラリー式サプレッサの動作において、樹脂ベッドは、装置のアノードでの水の電気分解により発生したヒドロニウムイオンによって連続的に再生される。一つの形態の連続電気分解による抑制の原理および詳細が、米国特許第6,468,804号に図示されている。図1に示すように、電気分解に使用される水としては、導電率検出器からリサイクルされる水性流出液を供給することができる。また、上記で述べたように、リサイクル流の代りに、またはその補充として、別の脱イオン水の流れを樹脂ベッドに流してもよい。 電気分解キャピラリー式サプレッサのもう一つの実施形態(図示せず)において、このサプレッサの動作は、電気分解反応のために使用される水が、充填剤40の中心付近(例えば図4の中央底)に位置する流体接続ポートを通して樹脂ベッドの中に通されることを除き、図4に示した実施形態と同じである。この構成において、水は、当該装置を出る前に二つの流れに分割される(一つの流れは装置のアノード50を流れ、他の流れは装置のカソード52を通って流れる)。この実施形態の一つの利点は、電気分解反応の際に形成されたガス(即ち、アノードにおける酸素およびカソードにおける水素)が、樹脂ベッドを通って流れる代りに装置から一掃されることであり、これはサプレッサ特性の改善を導き得るものである。 図5は、陰イオン分析のための、電気分解キャピラリー式サプレッサのもう一つの実施形態を示している。この実施形態において、サプレッサ60は三つのチャンバを含んでおり、中央のチャンバはイオン交換充填剤40を含んでいて、ここにキャピラリー配管32が上記で示したように埋設される。該システムのこの部分について、同様の部材は図1〜4について同様の番号が付されている。図1の装置と同様に、クロマトグラフィーカラムからのサンプルを含有する溶離剤がキャピラリー配管の入口32aの中に流れ、キャピラリー配管32bを出た液体は検出器へと流れる。水供給源62は、検出器および/または幾つかの他の水性液体供給源からリサイクルされてよい。図4と図5の実施形態の間の主な相違は、フロースルー充填剤40と接触していない一つまたは二つの電極チャンバの存在である。この例では、充填剤40を出る溶液が、アノード52が配置される電極チャンバ64の中に流入する。図示のように、任意の選択透過性バリア66が、充填材40を電極チャンバ62から分離している。電極チャンバ64を出た溶液は、カソード50のための電極チャンバ68(これも、任意のバリア70によって充填剤40から分離されてよい)を通る導管60の中をリサイクルされてよい。充填された樹脂ベッドを抑制するための、バリア68および70を備えたまたは備えない別個の電極チャンバの使用は、米国特許第6,027,643号の図2の実施形態に示されている。これら実施形態の間の主要な相違は、’643号特許では、溶離剤を含むサンプルの流れが、本発明のように樹脂ベッド内のキャピラリー配管を通るのではなくて、それと接触している点である。電気分解動作の一般的な原理は、フロースルー樹脂ベッドから電極が隔離されている点を除き、図4および図5の実施形態の場合と同じである。水の流れは、アノードチャンバおよびカソードチャンバに送られて電気分解反応に使用されるように、充填剤を通して流されるのが好ましい。充填剤40を通る水の流れは、電気分解キャピラリー式サプレッサの動作において発生した熱を除去するのに役立つ。 電気分解キャピラリー式イオン抑制の実施形態において、サプレッサは、連続的または間欠的に動作させることができる。間欠的動作の場合、有効な抑制能力が使い尽くされたときには、次のサイクルのために樹脂ベッドを電気分解により再生させ、カリウムイオンを除去して充填剤をヒドロニウム形態へと逆に変換することができる。このような間欠的な動作の頻度は、装置のサイズおよび溶離剤の流入に依存するであろう。 充填剤40のオフラインでの再生を必要とすることなく、連続的な運転を可能にするために、充填剤の合計イオン交換能力は、特定の溶離剤の流れについて必要な能力の量に対応するように選択されてよい。例えば、図4のような電気分解動作について、充填剤の合計イオン交換能力は、キャピラリー配管のイオン交換能力より少なくとも10倍、ないし10,000〜100,000倍高い。 パッキング電極および膜の極性の適切な反転によって、先行技術のキャピラリー式サプレッサは、陽イオン分析のための酸溶離剤を抑制するために使用することができる。 本発明を更に説明するために、以下の非制限的実施例が提供される。 実施例1: キャピラリークロマトグラフィー流速でのKOH溶離剤の電気分解的生成 この実施例は、キャピラリークロマトグラフィー流速での、KOH溶液の電気分解的生成を立証するものである。改良型Dionex P680ポンプ(Dionex Corporation, Sunnyvale, CA)を使用して、10μL/minで脱イオン水の流れを送給した。脱イオン水は、先ずATC−HCカラムおよびCTC−1カラムを通されてイオン性汚染物を除去され、次いで、KOH溶液の発生のためにKOH溶離剤発生器に通された。このKOH溶離剤発生器は、Dionex EGC−KOHカートリッジ(P/N058900)を改変することにより調製された。Keithleyモデル220プログラム可能な電流供給源(Keithely Instruments, Inc., Cleveland, OH)を使用して、KOH溶離剤発生器のアノードおよびカソードにDC電流を供給した。改良されたフロースルー型導電率セルを装備したDionex ED50A導電率検出器を使用して、形成されたKOH溶液のコンダクタンスをモニターした。機器制御、データの収集および処理のために、Dionex Chromeleon 6.5コンピュータワークステーションを使用した。 図6は、電気分解的に発生されたKOH溶離剤の、10μL/minでの8つのコンダクタンスプロファイルの重なりを示している。この実施例において、溶離剤発生器に印加されたDC電流は、20mMのステップで0mM〜200mMの濃度範囲でのKOH溶離剤の発生を達成するために、0.321mAのステップで、0mAから3.21まで変化された。図6に示した結果は、キャピラリー流速において、広範な濃度範囲に亘って再現可能なKOH溶液を発生させることが可能であることを示している。 実施例2: 共通の陰イオンのキャピラリーIC分離における、樹脂相再生キャピラリー陰イオンサプレッサの使用 この実施例は、共通の陰イオンのキャピラリーIC分離における、図2に示したタイプの樹脂相再生キャピラリー式アニオンサプレッサの使用を示すものである。該実験に使用されるキャPラリーICシステムは、図1に示したスキームに従って構築された。改良型Dionex P680ポンプ(Dionex Corporation, Sunnyvale, CA)を使用して、脱イオン水を12μL/minで送給した。KOH溶離剤を発生させるために、脱イオン水を、最初はDionex ATC−HCカラムおよびCTC−1カラムを通過させてイオン性汚染物を除去し、次いで、Dionex EGC−KOHカートリッジ(P/N058900)を改変することにより調製されたKOH溶離剤発生器の中に通した。Keithleyモデル220プログラム可能な電流源(Keithely Instruments, Inc., Cleveland, OH)を使用して、KOH溶離剤発生器のアノードおよびカソードにDC電流を供給した。KOH溶離剤発生器の出口は、電気分解溶離剤発生プロセスの間に発生した水素ガスを除去するために、高圧脱ガスユニットに連結された。サンプルの注入のために、Rheodyne・6ポートピーク高圧注入弁(Cotati, CA)を使用した。キャピラリー式陰イオン分離カラムは、長さ250mmおよび内径380μmの1/16インチOD PEEK配管の中に、独占権に係るDionex表面官能化陰イオン交換樹脂を充填することによって調製された。改良されたフロースルー導電率セルを装備したDionex ED50A導電率検出器を使用した。機器制御、データの収集および処理のために、Dionex Chromeleon 6.5コンピュータワークステーションを使用した。 この実施例において、キャピラリー式サプレッサは、図2に示した基本スキームに従って調製された。二つのフロースルー型液体連結ポートを備えたPEEKカラム(9mmID × 長さ150mm)の内部に収容された、8%架橋および20μmのスルホン化スチレンジビニルベンゼン樹脂ビーズ(Dionex Corporation)ベッドの内部に、長さ15cmのNafion(登録商標)陽イオン交換キャピラリー配管(0.004インチID × 0.010インチOD)を埋設した。また、Nafion(登録商標)陽イオン交換キャピラリー配管への別の流体接続を提供するための措置もなされた。導電率セルからの抑制された流出液が、12μL/minでサプレッサの樹脂ベッドに通された。 図7は、上記で述べたシステムを使用して得られた、7種の共通の陰イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンおよびリン酸イオン)の分離を示している。KOH溶離剤の濃度は、38mM〜200mMで変化させた。KOH溶離剤の濃度が38mMのときに、7種の全ての陰イオンの完全な分解能が得られた。更に高いKOH濃度では、予測された通り、陰イオンの同時溶出が観察された。図7に示した結果は、共通の陰イオンのキャピラリーIC分離において異なる濃度のKOH溶離剤を抑制するために、図2に記載したタイプの樹脂相再生キャピラリー式陰イオンサプレッサを首尾よく使用できることを示している。更に重要なこととして、図7に示した結果は、一つの脱イオン水の流れを使用して陰イオンの分離を行うために、図1に記載したキャピラリーICシステムが使用できることを立証している。 実施例3: 陰イオン分析のためのKOH溶離剤の抑制における、樹脂相再生キャピラリー式サプレッサの動作 この実施例は、図2に記載したタイプの樹脂相再生キャピラリー式陰イオンサプレッサの、共通の陰イオンのキャピラリーIC分離における使用を示すものである。この実施例に使用されるキャピラリー式イオンクロマトグラフィーシステムは、異なる樹脂相再生キャピラリー式陰イオンサプレッサを使用した点を除き、実施例2において使用されたものと同じであった。この実施例において、キャピラリー式サプレッサは、図2に示した基本スキームに従って調製された。長さ15cmのNafion(登録商標)陽イオン交換キャピラリー配管(0.004インチID × 0.010インチOD)を、二つのフロースルー型液体連結ポートを備えたPEEKカラム(9mmID × 長さ150mm)の内部に収容された樹脂ベッドの内部に埋設した。また、Nafion(登録商標)陽イオン交換キャピラリー配管への別の流体接続を提供するための措置もなされた。このサプレッサ樹脂ベッドは、95%(w/w)架橋された20μmのスルホン化スチレンジビニルベンゼン樹脂(Dionex Corporation)、および5%(w/w)の200〜400メッシュのChelex−100樹脂(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)で作製された。Chelex−100樹脂は、弱酸性のイミノニ酢酸官能基を備えた陽イオン交換体である。導電率セルからの抑制された流出液は、12mL/minでサプレッサの樹脂ベッドに通された。 この実施例において、実施例2に記載したの同じキャピラリー式陰イオン分離カラム上で、7種の陰イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンおよびリン酸イオン)の分離を400回以上(各運転=20min)連続的に実施し、キャピラリー式サプレッサの更に長期の特性をモニターした。100mMのKOHを溶離剤として使用した。図8に示すように、該サプレッサは、少なくとも380回の運転については安定な抑制されたバックグラウンドを提供した。運転#390については、僅かに不安定な抑制されたバックグラウンドが観察された。運転#400については、顕著に不安定な抑制されたバックグラウンドが観察された。図8に示した結果は、図2に示したタイプの樹脂相再生キャピラリー式陰イオンサプレッサが、共通の陰イオンのキャピラリーIC分離において、長期間に亘り充分に機能できることを示唆している。加えて、図8に示した結果は、脱イオン水の一つの流れを使用して陰イオンの分離を実施するために、図1に示したキャピラリーICシステムを使用できることを再度立証している。 実施例4: ヒドロニウム形態のスルホン化樹脂ビーズと、カリウム形態のスルホン化樹脂ビーズとの間での陽イオンの交換 この実施例は、ヒドロニウム形態のスルホン化樹脂ビーズと、カリウム形態のスルホン化樹脂ビーズとの間での、陽イオンの交換を視覚的に示すものである。この実施例において、キャピラリー式サプレッサは、図2に示した基本スキームに従って調製された。0.004インチID × 0.010インチOD(Dionex Corporation)の独占権に係るグラフトされ且つスルホン化された長さ15cmのTFEキャピラリー配管を、200〜400メッシュのAG500WX16樹脂、即ち、Bio−Rad Laboratories(Hercules, CA)から入手可能なスルホン化陽イオン交換体のベッドの内部に埋設した。樹脂ベッドは、Bio−Chemバルブ社(Boonton, New Jersey, USA)から入手可能な透明なガラスカラム(6mmID × 長さ250mm)の内部に収容された。該ガラスカラムの中に配置する前に、200〜400メッシュのAG50WX16樹脂は、少量のキナルジン赤陽イオン性色素で均一にコートされた。該コートされた樹脂は、水素形態であるときには金色を有している。このコートされた樹脂の色は、それがカリウム形態であるときにはマゼンタ色に変化する。従って、該樹脂の色変化は、ヒドロニウム形態のスルホン化樹脂ビーズとカリウム形態のスルホン化樹脂ビーズとの間での、陽イオンの交換を視覚化するために使用することができる。このキャピラリー式サプレッサは、実施例2に記載したシステムを使用して評価された。該サプレッサは、10μL/minで20mMのKOHを抑制するために連続的に使用された。この実施例において、導電率セルからの抑制された溶離剤は廃棄に回された。第二の脱イオン水の流れは、樹脂ベッドを通して0.25mL/minでポンプ輸送された。 6時間の運転の後に、スルホン化TFEキャピラリーの入口端を取囲む樹脂について、僅かな色変化が観察された。72時間の運転の後には、サプレッサの入口端における樹脂ベッドについて、樹脂の色の遥かに顕著な変化が観察された。144時間の運転の後には、サプレッサの入り口端における樹脂ベッドについて、マゼンタ色の明瞭な樹脂帯が観察された。これらの結果は、陽イオン交換キャピラリーの壁上で最初に交換されたK+イオンが、該壁に直接隣接した樹脂ビーズ上のH+イオンとの交換を継続し、またこの交換プロセスはその後も継続して、陽イオン交換キャピラリーと物理的に直接接触せずに該キャピラリー配管から離間して位置する樹脂ビーズとの間でも生じることを視覚的に立証している。 もう一つの実験において、キナルジン赤でコートされたカリウム形態(マゼンタ色)の1ドロップのAG500WX16樹脂が、ビーカーの中で、キナルジン赤でコートされたヒドロニウム形態(金色)のAG500WX16樹脂のベッド上に配置された。2時間後に、マゼンタ色の強さの顕著な減少が観察された。約72時間後には、添加された樹脂ドロップは更に色あせた。192時間後、添加された樹脂ドロップは樹脂ベッドの残部から殆ど識別できず、添加された樹脂ドロップがヒドロニウム形態に変換されたことが示された。 実施例5: 電気分解的に再生されたKOH溶離剤、および図5に示したタイプの電気分解キャピラリー式サプレッサを備えた抑制された導電率検出器を使用した、陰イオンアナライトのキャピラリーIC分離 この実施例は、共通の陰イオンのキャピラリーIC分離における、図5に示したタイプの電気分解キャピラリー式陰イオンサプレッサの使用を示している。この実施例に使用されたキャピラリー式クロマトグラフィーシステムは、電気分解キャピラリー式アニオンサプレッサを使用した点を除き、実施例2で使用したものとほぼ同じである。この実施例では、電気分解キャピラリー式サプレッサが調製された。該キャピラリー式陰イオンサプレッサは、三つのPEEKチャンバからなっていた。溶離剤チャンバは、陽イオン交換樹脂のベッド(6〜8mmID × 10〜25mmの長さ)の内部に緊密に埋設された陽イオン交換キャピラリー配管を含んでいた。該樹脂ベッドの中の陽イオン交換キャピラリー配管への流体接続を提供するための措置も施された。電気分解キャピラリーサプレッサの構築において、0.004インチID × 0.010インチOD(Dionex Corporation)で長さ15cmの独占権に係るグラフトされ且つスルホン化されたTFEキャピラリー配管、または長さ15cmのNafion(登録商標)陽イオン交換キャピラリー配管(0.004インチID × 0.010インチOD)の何れかを使用した。該溶離剤チャンバは、独占権に係るグラフト化およびスルホン化されたTFE陽イオン交換イオン交換膜(Dionex Corporation)を使用して、カソード再生チャンバおよびアノード再生チャンバから物理的に分離された。カソードチャンバは穿孔Ptカソードを含み、またアノードチャンバは穿孔Ptアノードを含んでいた。両方の電極チャンバは、二つの流体接続ポート(入口および出口)を有していた。この実施例において、伝導率セルからの抑制された溶出液は廃棄に回された。第二の脱イオン水の流れが、0.1〜0.25mL/minの流速で、最初に溶離剤チャンバ内の樹脂ベッドを通してポンプ輸送され、次いでアノード再生チャンバおよびカソード再生チャンバへと輸送された。Deonex ED50Aモジュールを使用して、電気分解キャピラリー式サプレッサに20mAのDC電流を供給した。陰イオンのイオンクロマトグラフィー分離に使用されるKOH溶離剤を発生させるために、Dionex EG40溶離剤発生器制御モジュールを使用して、KOH溶離剤発生カートリッジにDC電流を供給した。 図9は、10μL/minにおいてKOH溶離剤の濃度が20〜200mMで変化されたときの、当該システムを使用して得られた抑制された伝導率バックグラウンドを示している。この結果は、該電気分解キャピラリー式サプレッサが、種々の濃度でのKOHを効果的に抑制できたことを示している。 図10は、適切にラテックス凝集された陰イオン交換体(Dionex Corporation)を充填したキャピラリーカラム上での、7種類の共通の陰イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンおよびリン酸イオン)の20回の連続的な分離運転の重なりを示している。この分離は、38mMのKOHを10μL/minで使用して行われた。これらの結果は、標的陰イオンの高度に再現可能な分離を示しており、アナライト保持パーセントの相対的標準偏差(RDS)は、硫酸イオンについての0.028%〜リン酸イオンについての0.10%に亘り、またアナライトピーク面積パーセントのRSDは、亜硝酸イオンについての0.033%〜リン酸イオンについての0.58%に亘る。 図11は、11種の共通の陰イオン(フッ化物イオン、亜塩素酸イオン、臭素酸イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、塩素酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオンおよびリン酸イオン)について、10回の連続的分離運転の重なりを示している。この分離は、45mMのKOHを10μL/minで使用して行われた。これらの結果もまた、標的陰イオンの高度に再現可能な分離を示しており、アナライト保持パーセントの相対的標準偏差(RDS)は、リン酸イオンについての0.072%〜亜硝酸イオンについての0.19%に亘った。 上記の結果は、脱イオン水だけをキャリア流として使用して、標的とする陰イオンアナライトの信頼性ある測定を提供するために、本発明で説明したキャピラリー式ICシステムを使用できることを示している。 実施例6: 電気分改定に発生されたMSA溶離剤を使用した陽イオンアナライトのキャピラリー式IC分離、および図5に示したタイプの電気分解キャピラリー式サプレッサを備えた抑制された伝導率検出 この実施例は、共通の陽イオンのキャピラリー式IC分離における、図5に示したタイプの電気分解キャピラリー式陽イオンサプレッサの使用を立証するものである。この実施例で使用したキャピラリー式イオンクロマトグラフィーシステムの基本的なシステム部品は、陽イオン分析について図1に示したものとほぼ同じであった。メタンスルホン酸(MSA)溶離剤発生器は、Dionex EGC−MSAカートリッジ(P/N058902)を改良することにより作製された。陽イオンのイオンクロマトグラフィー分離に使用するMSA溶離剤を発生させるために、Keithleyモデル220プログラム可能な電流供給源(Keithely Instruments, Inc., Cleveland, OH)を使用して、MSA溶離剤発生カートリッジにDC電流を供給した。 電気分解キャピラリー式サプレッサは、図5に示した基本スキームに従って調製された。該キャピラリー式陰イオンサプレッサは、三つのPEEKチャンバからなっていた。溶離剤チャンバは、強塩基性陰イオン交換樹脂のベッド(6mmID × 20mmの長さ)の内部に密に埋設された、0.004インチID × 0.010インチODで長さ15cmの独占権に係るグラフトされ且つアミノ化されたTFEキャピラリー配管(Dionex Corporation)を含んでいた。該樹脂ベッドの中の陽イオン交換キャピラリー配管への流体接続を提供するための措置が施された。該溶離剤チャンバは、独占権に係るグラフト化およびアミノ化されたTFE陽イオン交換イオン交換膜(Dionex Corporation)を使用して、カソード再生チャンバおよびアノード再生チャンバから物理的に分離された。カソードチャンバは、穿孔Ptカソードを含み、またアノードチャンバは穿孔Ptアノードを含んでいた。両方の電極チャンバは、二つの流体接続ポート(入口および出口)を有していた。この実施例において、伝導率セルからの抑制さえれた溶出液は廃棄に回された。第二の脱イオン水の流れが、0.2mL/minの流速で、最初に溶離剤チャンバ内の樹脂ベッドを通してポンプ輸送され、次いでカソード再生チャンバおよびアノード再生チャンバへと輸送された。Deonex SC20サプレッサ制御モジュールを使用して、電気分解キャピラリー式サプレッサに15〜20mAのDC電流を供給した。 図12は、独占権に係る表面官能化陽イオン交換体(Dionex Corporation)を充填したキャピラリーカラム上での、6種類の共通の陽イオン(リチウム、ナトリウム、アンモニウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウム)の分離を示している。8mMのMSAを10μL/minで使用して分離が行われた。全ての陽イオンアナライトの優れた分解能が得られた。これらの結果は、脱イオン水だけをキャリア流として使用して、目的とする陽イオンアナライトの分離を提供するために、本発明で説明したキャピラリー式ICシステムを使用できることを示している。図1は、本発明の一つの実施形態を示す概略図である。図2は、本発明の一つの実施形態を示す概略図である。図3は、本発明の一つの実施形態を示す概略図である。図4は、本発明の一つの実施形態を示す概略図である。図5は、本発明の一つの実施形態を示す概略図である。図6は、本発明の方法および装置を例証する実験結果のチャートである。図7は、本発明の方法および装置を例証する実験結果のチャートである。図8は、本発明の方法および装置を例証する実験結果のチャートである。図9は、本発明の方法および装置を例証する実験結果のチャートである。図10は、本発明の方法および装置を例証する実験結果のチャートである。図11は、本発明の方法および装置を例証する実験結果のチャートである。図12は、本発明の方法および装置を例証する実験結果のチャートである。 キャピラリー式イオンクロマトグラフィー用の装置であって、(a)充填剤入口および充填剤出口含んだハウジング内のフロースルー型イオン交換充填剤と、入口および出口を有し且つ選択透過性のイオン交換膜で形成されたキャピラリー配管とを備え、前記キャピラリー配管が少なくとも部分的に前記イオン交換充填剤の中に配置される電気分解的に再生されるサプレッサ;(b)前記イオン交換充填剤の両側の間隔を隔てた第1及び第2の電極、(c)前記充填剤入口と流体流通して流れる水性再生液源、を備えていることを特徴とする、装置。 更に、(d)前記キャピラリー配管入口と流体流通した、キャピラリークロマトグラフィーカラムを有する請求項1に記載の装置。 更に、(e)前記キャピラリー配管の出口と流体流通したフロースルー型検出器を有する請求項2に記載の装置。 更に、(f)前記検出器からリサイクルされた水性液体を前記イオン交換充填剤へと向わせるためのリサイクル導管を有し、前記水性再生液源が前記リサイクルされた水性液体を含む請求項3に記載の装置。 前記水性再生液源が更に、前記リサイクルされた水性液体に加えて、水生液体を流す追加の供給源を有する請求項4に記載の装置。 前記キャピラリー配管の少なくとも一部が、前記充填剤と直接接触している請求項1に記載の装置。 前記充填剤が、イオン交換粒子の充填されたベッドを含む請求項1に記載の装置。 前記イオン交換充填剤が、弱酸性または弱塩基性の官能基を含んだ交換可能なイオンを備えた基体を含む請求項1に記載の装置。 前記イオン交換充填剤が更に、強酸性または強塩基性官能基を含んた交換可能なイオンを備えた基体を含む請求項8に記載の装置。 前記キャピラリー配管の外壁が、弱酸性または弱塩基性の官能基を備えた交換可能なイオンを含む請求項1に記載の装置。 前記キャピラリー配管の内壁が、強酸性または強塩基性の官能基を備えた交換可能なイオンを含む請求項10に記載の装置。 前記弱酸性または弱塩基性の官能基が、前記配管の外壁にグラフト化されたポリマー上の部分を含む請求項10に記載の装置。 前記充填剤の入口が、前記第一および第二の電極の中間に配置される請求項1に記載の装置。 前記第一の電極が、電極チャンバ内に配置される請求項1に記載の装置。 前記第二の電極が、電極チャンバ内に配置される請求項14に記載の装置。 更に、(c)前記第一の電極と前記充填剤の間の、選択透過性イオン交換バリアを有する請求項14に記載の装置。 キャピラリーイオンクロマトグラフィーのための方法であって、(a)正または負の一つの電荷の分離されたサンプルイオン種を溶離剤中に含む水性サンプル流を、選択透過性のイオン交換膜で形成されたキャピラリー配管を通して流し、該配管はフロースルー型イオン交換充填剤の中に埋められており、また前記サンプルイオン種に対して反対電荷の前記溶離剤中の対イオンを、前記配管を横切ってその内壁から外壁へと輸送する工程と、(b)再生剤水溶液を、前記イオン交換充填剤を通して前記配管の外側を通過するように流し、前記配管外壁へと輸送された輸送された対イオンを運び去る工程と、(c)工程(a)及び(b)中前記イオン交換充填剤間に電位を供給する工程と、(d)前記水性サンプル流を前記イオン交換充填剤へとリサイクルさせる工程を有し、前記再生液は前記リサイクルされたサンプル流を含む方法。 更に、(e)工程(a)に先立って、キャピラリークロマトグラフィーカラムの中で前記イオン種をクロマトグラフィーにより分離する工程を有する請求項17に記載の方法。 更に、(f)前記液体サンプル流を検出器を通して流すことにより、前記分離されたイオン種を検出する工程を有する請求項17に記載の方法。 更に、(g)前記リサイクルされる液体流に加えて、前記第二の水性液体を、前記配管の外側と通過させて流す工程を有する請求項19に記載の方法。 前記充填剤が、イオン交換粒子の充填されたベッドを含む請求項17に記載の方法。 前記イオン交換充填剤が、弱酸性または弱塩基性の官能基を含んだ交換可能なイオンを備えた基体を含む請求項17に記載の方法。 前記イオン交換充填剤が、更に、強酸性または強塩基性の官能基を含んだ交換可能なイオンを備えた基体を含む請求項17に記載の方法。 前記キャピラリー配管の外壁が、弱酸性または弱塩基性の官能基を備えた交換可能なイオンを含む請求項17に記載の方法。 前記キャピラリー配管の内壁が、強酸性または強塩基性の官能基を備えた交換可能なイオンを含む請求項17に記載の方法。