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タイトル:特許公報(B2)_重質オレフィン再循環ストリームの選択的水素化処理によるオキシジェネートのプロピレンへの転化方法
出願番号:2007532347
年次:2014
IPC分類:C07C 1/20,C07B 61/00,C07C 11/06


特許情報キャッシュ

カルネス,トム,エヌ. ウェイ,ダニエル,エイチ. グローバー,ブライアン,ケイ. JP 5501564 特許公報(B2) 20140320 2007532347 20050825 重質オレフィン再循環ストリームの選択的水素化処理によるオキシジェネートのプロピレンへの転化方法 ユーオーピー エルエルシー 598055242 五十嵐 和壽 100080115 カルネス,トム,エヌ. ウェイ,ダニエル,エイチ. グローバー,ブライアン,ケイ. US 10/946,605 20040921 20140521 C07C 1/20 20060101AFI20140424BHJP C07B 61/00 20060101ALI20140424BHJP C07C 11/06 20060101ALI20140424BHJP JPC07C1/20C07B61/00 300C07C11/06 C07C1/20-1/247,C07C11/06,C07B61/00 特表2003−535069(JP,A) 特表2003−511484(JP,A) 特開平6−25020(JP,A) 特開2001−72612(JP,A) 米国特許第3838039(US,A) 6 US2005030075 20050825 WO2006033759 20060330 2008513449 20080501 21 20080814 2012022215 20121109 門前 浩一 木村 敏康 中田 とし子 本発明は、二元機能触媒技術及び1つ又は複数の重質オレフィン再循環ストリームの選択的水素化処理技術を組み合わせて利用し、サイクル当たりの平均的触媒活性率及びプロピレンの選択率を、全オンストリームサイクル時間を通じて、循環開始時のレベルに近いレベルに維持することによって、触媒がそのライフサイクルに対して達成する平均プロピレン収率を、選択的水素化処理ステップを利用しない重質オレフィン再循環システムにおいて同一又は類似の二元機能触媒によって達成可能な収率に比べ飛躍的に向上させる、改善された、触媒によるオキシジェネートからプロピレンへの転化(OTP)プロセスに関するものである。本発明には、重質オレフィン再循環モードで稼動する当業界において周知の二元機能OTP触媒系に対して達成可能なプロピレンの選択率は、コーク析出及び熱水脱アルミニウム化(蒸気の存在下、この過剰なコーク析出によって引き起こされる活性低下を補うために、OTP反応ステップ及びOTP触媒再生ステップの両方において必要となる高温に曝されることによって加速する)による不活性化の影響を非常に受け易いという認識、及びこの重質オレフィン再循環ストリームにはジエン、アセチレン系炭化水素及びその他の高度不飽和炭化水素等のコーク前駆体が濃縮されているという認識が含まれる。従って、重質オレフィン再循環ストリームの選択的水素化処理技術を利用して、二元機能OTP触媒系における有害なコーク析出を最小限化し且つ制御することができれば、二元機能触媒で稼動するOTP触媒プロセス及び重質オレフィン再循環モードにおけるプロピレンの選択率を、循環開始時のレベルと同じレベル又は近いレベルに継続的に維持することが可能ということになる。 世界中の石油化学産業の大部分が、軽質オレフィン物質の製造、そして重合化、オリゴマー化、アルキル化及び同様の周知の化学反応を利用した、多くの重要な化学製品の生産におけるそれらの物質の利用について関心を寄せている。軽質オレフィンにはエチレン、プロピレン及びそれらの混合物が含まれる。当業界は長らく、石油以外で、これら軽質オレフィン物質の需要を満たすために必要とされる大量の原料のソースとなる物質を探求してきた。オキシジェネートは、石炭、天然ガス等の幅広く流通した物質からの製造が可能でもあり、代替的ソースとして特に魅力ある物資である。この種の原料からのメタノール及びその他のオキシジェネートの製造技術は十分に確立されている。先行技術において、メタノールから軽質オレフィンへの転化(MTO)を検討する実質的に2つの主要な技術が開示されている。これらのMTOプロセスの第1のものは、米国特許-A-4,387,263号明細書において述べられている。米国特許-A-4,587,373号明細書においては、適正な規模の業務用設備の構築のために十分な圧力下での稼動が必要であること、また洗浄帯の小型化のためにメタノール供給の一部をDME吸着帯へ転用することについて開示されている。 ZSM-5触媒系によって生成される好ましくないC4+炭化水素生成物の量を制御するために、後者の先行技術においては、非ゼオライト系モレキュラーシーブ触媒物質が用いられる。米国特許-A-5,095,163号、同-A-5,126,308号及び同-A-5,191,141号各明細書において、金属アルミノホスフェート(ELAPO)、そしてより具体的にはシリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブ(SAPO)が開示されており、この中でSAPO-34が特に好ましい。 従来のオキシジェネートからオレフィンへの転化(OTO)技術では、種々の高沸点オレフィンとともに、主としてエチレン及びプロピレンから成る軽質オレフィンの混合物が生成される。従来のOTOプロセス技術においては、反応帯で維持される条件の種々の調整によって、前記プロセスから回収される主要なオレフィン生成物をエチレンからプロピレンへシフトさせることが可能であったが、当業界では、従来のOTO技術に比べてプロピレンのより高い収率を実現できるOTP技術が長らく求められてきた。 米国特許公開2003/0139635A1号明細書においては、メタノールをプロピレンへ(MTP)及び/又はDMEをプロピレンへ選択的に転化するためのプロセスについて述べられており、ここではオキシジェネート供給原料に対しては平行流れ配置で、また第1反応器及び第2反応器の流出物に対しては直列流れ配置で、ペンタシル型(つまりZSM-5型)のオキシジェネート転化触媒の固定床を含む3つの反応器が利用される。このMTPプロセスは、Rothaemelらによる、in situ 再生が必要となるまでに、ほぼ500〜700時間の循環プロセスのオンストリーム部分を有していることを示す『新しいメタノールからプロピレンへの転化(MTP)プロセスの実証』(2003年3月、仏国パリにて開催されたERTC石油化学会議にて提示)において述べられている。従来の手順においては、反応器の平均温度を高め、転化率をオキシジェネート供給の94%を上回る目標範囲内に保つという方法によって触媒作用の活性低下を補う。 従って、本発明によって取り扱う課題は、重質オレフィンの再循環を利用する先行技術のこのOTPプロセスを改良し、そのオンストリームサイクル時間に亙っての平均的なプロピレン選択率を向上させ、それによってプロピレン選択率の低下を補うためにプロピレン以外のオレフィン生成物を再循環させる必要性を減少させることである。プロピレンの選択率は、反応条件のみならず、循環プロセスのオンストリーム部分においてのOTP転化触媒上へのコークスの平均堆積レベルの作用でもあること、そしてコーク前駆体の主要なソースは、有害な量の高度不飽和炭化水素を含んでいる重質オレフィン再循環ストリームであることが確認されている。従って、循環プロセスのオンストリーム部分においての二元機能触媒への有害な炭素質の堆積量を、前記重質オレフィン再循環ストリームの少なくとも一部を選択的に水素化処理し、そこに含まれるジエン及びアセチレン系炭化水素等の高度不飽和炭化水素を対応するオレフィン化合物に転化し、コーク前駆体を除去することによって制御すれば、重質オレフィンの再循環によって稼動するOTPプロセスにおける平均プロピレン選択率を著しく向上させることが可能となる。この触媒による水素化処理ステップによって、オキシジェネートの転化率及びプロピレンの選択率を、循環プロセスに亙って、実質的に循環開始時のレベルに、又はそれに近いレベルに維持することが可能となる。きわめて驚くべきことに、重質オレフィン再循環ストリームの選択的水素化処理を利用した場合、循環プロセスに亙っての平均プロピレン選択率は、オンストリームサイクルの後半部分において触媒上への高レベルのコーク析出を伴う先行技術と比較して、1.5%〜5.5%又はそれ以上も向上するということが分かった。 本発明の第1の目的は、先行技術の固定床OTPプロセスが、少なくとも1つの重質オレフィン再循環ストリームによって稼動した場合に、そのオンストリームサイクルにおいて生じるプロピレンの選択率低下の問題に対して、解決法を提供することである。第2の目的は、二元機能触媒上へのコーク析出を制御してオキシジェネートの転化率及びプロピレンの選択率を高いレベルに維持することによって、OTPプロセスの経済性を改善することである。本発明のもう1つの目的は、必要な再生ステップの苛酷度を最小化するため、本発明のOTPプロセスに用いられる二元機能OTP触媒の苛酷な不活性化を防ぎ、それによって熱水ダメージを最小限化し、触媒の寿命を長持ちさせることである。より全体的な目的は、重質オレフィン再循環ストリームの少なくとも一部の選択的水素処理を、移動床技術で稼動するOTPプロセスに組み込んで消耗を最小限化することである。 1つの実施の形態において、本発明は、二元機能触媒技術及び重質オレフィン再循環ストリームの選択的水素処理を利用して触媒性能を実質的に循環開始時のレベル又はそれに近いレベルに維持し、それによってプロピレンのサイクル当りの平均収率を向上させ、また生成物ストリームに漏入(breakthrough)するオキシジェネートの量を最小限化する、オキシジェネート供給原料のプロピレンへの選択的転化処理のためのOTPプロセスである。前記プロセスの第1のステップにおいて、オキシジェネート供給原料及びオキシジェネート1モルに対して0.1〜5モルの量の希釈剤を、オキシジェネートの少なくとも一部をプロピレンに転化し、またC2及びC4+オレフィンをC3オレフィンに相互転換する能力を有するモレキュラーシーブを含んだ二元機能触媒と接触させる。このOTP転化ステップは、オキシジェネートをプロピレンに選択的に転化、また任意のエチレン又はそこに再循環される重質オレフィンをプロピレンに転化するのに有効なオキシジェネート転化条件下で稼動する少なくとも1つの固定床又は移動床を含むOTP反応帯で行われる。次にその流出ストリームを前記OTP反応帯より回収すると、多量のC3オレフィン生成物及び副生成物としての水、それよりも少ない量のC2オレフィン、C4+オレフィン、C1〜C4+飽和炭化水素、及び少量の未反応オキシジェネート、副生成物オキシジェネート、ジエン、アセチレン系炭化水素及び芳香族炭化水素を含んでいることが分かる。この流出ストリームは第1分離帯へと通過し、ここで冷却され、そしてC3オレフィン含有量の多い気体留分、未反応オキシジェネート及び副生成物オキシジェネートを含む水留分、及び重質オレフィン、重質飽和炭化水素、及び少量のジエン、アセチレン系炭化水素及び芳香族炭化水素を含む液状炭化水素留分へと分離される。次にこの分離ステップで回収された水留分の少なくとも一部が、オキシジェネート転化ステップへ再循環され、そこで用いられる希釈剤の少なくとも一部を提供する。さらにこの分離ステップで回収された気体留分は、第2分離帯で、C2オレフィンを豊富に含んだ留分、C3オレフィンを豊富に含んだ生成物留分及びジエン及びアセチレン系炭化水素等の高度不飽和炭化水素を含むC4+オレフィンを豊富に含んだ留分に分離される。続いて前記C3オレフィンを豊富に含んだ生成物留分が、主生成物ストリームとして回収され、そして前記C4+オレフィンを豊富に含んだ留分の少なくとも一部が、選択的水素化処理ステップへと供給される。この選択的水素化処理ステップにおいて、このC4+オレフィンを豊富に含んだストリームに含まれる高度不飽和化合物が、対応するオレフィンに選択的に転化され、それによって前記OTP転化ステップからコーク前駆体が除去される。この触媒による水素化処理ステップにおいて、このC4+オレフィンを豊富に含んだストリームの少なくとも一部及び水素が、その内に含まれる高度不飽和炭化水素を対応するオレフィンに転化し、また選択的に水素化処理されたC4+オレフィンを豊富に含んだ留分を生成するのに有効な選択的水素化条件下で、金属含有水素化触媒と接触する。前記選択的に水素化処理されたC4+オレフィンを豊富に含んだ留分は、前記OTP転化ステップへと再循環され、そしてこれらの重質オレフィン系物質は所望のプロピレン生成物の追加量へと相互転化される。 第2の実施の形態は、第1の実施の形態に述べられるオキシジェネート供給原料をプロピレンへ選択的に転化するためのプロセスを含んでおり、さらに、二元機能触媒がZSM-5に相当する構造を有するゼオライト系モレキュラーシーブ、又はSAPO-34に相当する構造を有するELAPOモレキュラーシーブ、又はこれらの物質の混合物を含んでいることを特徴とする。 もう1つの実施の形態は、前記第1の実施の形態に述べられるオキシジェネート供給原料をプロピレンへ選択的に転化するためのプロセスを含んでおり、さらに、OTP反応帯が、そこに供給されるオキシジェネート供給原料に対しては直列流れ又は平行流れ配置で、またそこを通過する触媒粒子のストリームに対しては直列流れ配置で接続された少なくとも3つの移動床反応器を含んでいることを特徴とする。 本発明のきわめて好ましいもう1つの実施の形態は、前記第1の実施の形態に述べられるオキシジェネート供給原料をプロピレンへ選択的に転化するためのプロセスを含んでおり、さらに、前記オキシジェネート供給原料が、メタノール又はジメチルエーテル又はそれらの混合物を含んでいることを特徴とする。この実施の形態において、本プロセスはメタノールからプロピレンへの実施形態(MTP)と称される。 本プロセスの高プロピレン収率の実施の形態は、前記実施の形態の内のいずれかに述べられたオキシジェネート供給原料をプロピレンへ選択的に転化するためのプロセスを含んでおり、また第1分離ステップで回収された液状炭化水素留分が、さらに第2のC4+オレフィンを豊富に含んだ留分及びナフサ生成物留分に分離され、そして生成されたC4+オレフィンを豊富に含んだ留分の少なくとも一部が前記選択的水素化処理ステップへと供給され、続いて前記水素化処理された生成物がOTP転化ステップへと再循環され、これらの重質オレフィン類がプロピレンへ相互転化されることを特徴とする。(用語及び条件の定義) 以下の用語及び条件は、以下に示す意味において、本明細書に用いられる。(1)ストリームの『一部』とは、ストリーム全体と同じ組成を有する画分、又は容易に分離可能な1つ又は複数の成分をそこから除去することによって得られる部分のいずれかを意味する。(2)『塔頂』ストリームとは、還流又はその他の何らかの理由のためにいずれかの部分を特定の帯域へ再循環した後、前記特定の帯域から回収される正味の塔頂ストリームを意味する。(3)『塔底』ストリームとは、再加熱及び/又は再沸騰のためにいずれかの部分を再循環した後、及び/又はいずれかの相分離の後に得られる、特定の帯域からの正味の塔底ストリームを意味する。(4)『軽質オレフィン』という用語は、エチレン、プロピレン、及びそれらの混合物を意味する。(5)『OTP』プロセスという表現は、アルコール性オキシジェネートをプロピレンに転化するためのプロセスを意味し、また好ましい実施の形態において、前記アルコール性オキシジェネートがメタノールである場合、前記OTPプロセスはここでMTPプロセスと称される。(6)『触媒オンストリームサイクル時間』という用語は、触媒粒子が、再生のために反応帯から回収される前の転化条件下で供給原料に曝される時間の長さを意味する。(7)『プロピレンの平均サイクル収率』という用語は、触媒オンストリームサイクル時間中の総プロピレン収率を、前記触媒オンストリームサイクル時間中に転化されたオキシジェネート供給原料の総量で除した数値を意味する。(8)『二元機能』という用語は、前記OTP触媒が、OTP反応及びC2及びC4+オレフィンのプロピレンへの転化に必要なオレフィン相互転換反応の両方を触媒する、ということを意味する。(9)『重質オレフィン』という用語は、プロピレンよりも大きい分子量を有するオレフィンを意味する。(発明の詳細な説明) 本OTPプロセスに供給される供給ストリームは、1つ又は複数のオキシジェネートより構成されている。ここで『オキシジェネート』という用語は、脂肪族アルコール、エーテル、カルボニル化合物(例えば、アルデヒド、ケトン、カルボン酸等)及びそれらの物質の混合物を含んだ意味で用いられる。前記オキシジェネート供給原料は、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子及び1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子を含んでいる。好ましいオキシジェネート化合物の典型例には、メタノール、ジメチルエーテル(DME)、エタノール、ジエチルエーテル、メチルエーテル、ホルムアルデヒド、ジメチルケトン、酢酸及びそれらの混合物が含まれる。好ましい供給ストリームには、メタノール又はジメチルエーテル及びそれらの混合物が含まれる。 本発明のOTP転化ステップにおいて、オキシジェネート供給原料は、前記供給原料を有効なOTP条件下で二元機能OTP触媒と接触させることによって、プロピレン、及びメタン、エタン、エチレン、プロパン、ブチレン、ブタン及び一定限度の量のその他の高炭素数脂肪族化合物等の脂肪族部分を含んだ副生炭化水素へ、接触的かつ選択的に転化される。またこのOTP転化ステップは、不定量、且つ少量の、ジエン及びアセチレン系炭化水素等の高度不飽和炭化水素、及び芳香族炭化水素も生成する。希釈剤は、必ずしも必要というわけではないが、OTP触媒の選択率を維持し、軽質オレフィン、特にプロピレンを生成するための有用なオプションである。 本発明において希釈剤は、好ましくは、前記OTP転化帯域において前記オキシジェネート反応物質の分圧を制御し、全体的な反応選択率をプロピレンへとシフトするために用いられる。本発明での使用に好適な希釈剤には、ヘリウム、アルゴン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、水、C1〜C5パラフィン、芳香族炭化水素及びこれらの物質の混合物が含まれる。好ましい希釈剤は、水、メタン、芳香族化合物、及びそれらの混合物である。特に好ましい希釈剤は水である。用いられる希釈剤の量は、オキシジェネートの分圧をプロピレンの生成に好適なレベルまで低下させるために、希釈剤対オキシジェネートのモル比が0.1:1〜5:1、好ましくは0.5:1〜2:1となる範囲から選択される。本発明の全ての実施の形態は、特定の重質オレフィンストリーム内の少なくとも1つの再循環を想定している。これらの再循環ストリームは前記OTP反応帯に飽和炭化水素希釈剤を供給し、一旦前記OTP反応帯が始動すると、希釈剤対オキシジェネートの目標のモル比を達成するために前記OTP反応帯に加えなければならない希釈剤の量を減少させる。水が希釈剤として使用される場合、起動中のOTP反応帯に供給される水の量は、飽和炭化水素及びこの反応帯に再循環されるその他の不活性物質の量に比例して減少する。 前記OTP反応帯で用いられる転化条件は、供給原料内に投入されるオキシジェネートからのプロピレンの生成に有利となるように慎重に選択される。当技術において、周知のオキシジェネート転化触媒でのオキシジェネートの転化のためには、350℃〜600℃の範囲のオキシジェネート転化温度が有効であるということが既に確認されている。このオキシジェネート転化温度の範囲内の低い温度は、プロピレンの生成にとって有効であり、一方高い温度はプロピレンを犠牲にしたエチレンの生成にとって有効であることが知られている。従って、前記OTP反応帯にとって好ましい入口温度は、350℃〜500℃、より好ましくは400℃〜500℃の範囲内である。各OTP反応器にわたる温度の上昇は、熱水不活性化を最小限にするため、また個々の反応器の末端部の温度が、本発明において考慮されている温度を超えたレベルにまで達する際に起こる前述の触媒上へのコーク析出の加速を防ぐため、好ましくは、10℃〜80℃の範囲内に保たれる。反応帯における温度の上昇を制御するための技術として、周知の非常に多くの方法が存在する。そしてそれらの殆どは、内部床又は床間冷却を伴い、別々の反応器内での触媒の複数床を利用し、及び/又は再循環ストリームの比較的冷たい量分、又はオキシジェネート供給原料及び/又は前記帯域で用いられる希釈剤の一部の追加を利用する。本発明によって検討される具体例においては、軽い吸熱性を有することで知られる軽質及び/又は重質オレフィン相互転換反応を利用することで、反応器内の温度上昇を特定の範囲内に制御するための一助とする。本発明においては、好ましくは、少なくとも3つの移動床反応器を利用し、これらに対して比較的冷たい再循環ストリームを加えることによって床間冷却を実施し、反応物質及び希釈剤の追加量を提供する。 オキシジェネートをプロピレンへ転化するステップは、0.1atm(10.1kPa)〜100atm(10.1MPa)の範囲内の、入口総圧力を含む広範囲の圧力下で効率的に行われる。しかし、プロピレンのような軽質オレフィンの生成は、1〜3atm(101.3〜304kPa)、より好ましくは136〜343kPa(5〜35psig)の範囲内の低圧力条件下で行うのが好ましい。 反応物質と二元機能触媒との接触時間は、通常、OTP転化帯域へと通過するオキシジェネート反応物質の質量と、供給ストリーム中に存在する任意の反応性炭化水素物質又は任意の再循環ストリームの質量との合計を、前記OTP転化帯域に存在する二元機能触媒の質量で除し、その結果出た質量の単位時間当たりの質量流量に基づいて計算される重量時間空間速度(WHSV)の関連語を用いて計測される。本発明のOTP転化帯域においてのWHSVは0.1〜100hr-1、好ましくは0.5〜20hr-1の範囲であり、最良の結果は通常0.5〜10hr-1の範囲で達成される。 本発明におけるオキシジェネートからプロピレンへの転化ステップにおいては、オキシジェネートをプロピレンに転化する能力、またプロピレン以外のオレフィンをプロピレンに相互転化する能力を有する二元機能触媒の使用が好ましい。これら2つの反応を触媒する能力を有する、当業界で周知の任意の触媒物質は、本発明での使用にとって好適な触媒である。前記好適な二元機能触媒には、活性成分としてのモレキュラーシーブが含まれ、そしてより具体的には、前記モレキュラーシーブは比較的小さな孔を有している。前記好ましい小孔触媒は、その少なくとも一部、好ましくは主要部が、その吸着量(任意の吸着分子を用いた標準的McBain-Bakr重量吸着法によって測定)が、酸素の十分な吸着量(平均運動直径0.346nm)及びイソブタンのごく僅かな吸着量(平均運動直径0.5nm)を示すことを特徴とする平均有効径を有する小孔、を有しているものと定義される。より好ましくは、前記平均有効径は、キセノンの十分な吸着量(平均運動直径0.4nm)及びイソブタンのごく僅かな吸着量、最も好ましくは、n−ヘキサンの十分な吸着量(平均運動直径0.43nm)及びイソブタンのごく僅かな吸着量によって特徴付けられる。任意の吸着物のごく僅かな吸着量とは、触媒の3重量%未満の吸着量であって、前記吸着物の十分な吸着量とは、前記触媒の重量に基づいた前記吸着物の3重量%を超える吸着量である。本発明において有用な触媒のいくつかは、平均有効径が5Å未満の小孔を有している。好ましい触媒の小孔の平均有効径は、D. W. Breck, ZEOLITE MOLECULAR SIEVES by John Wiley & Sons, New York (1974) に述べられている測定法によって測定される。『有効径』という用語は、前記小孔がしばしば不規則に、例えば楕円形状に成形されるので、孔寸法は実際の寸法よりも吸着される分子によって特徴付けられる、ということを意味する。好ましくは、前記小孔触媒は実質的に均一な孔構造を有している。好適な二元機能触媒は、ゼオライト系モレキュラーシーブ及び非ゼオライト系モレキュラーシーブの中から選択されてもよい。 焼成形態のゼオライト系モレキュラーシーブは、以下の一般式によって表される。ここでMeはカチオンであって、xは2〜無限大の値を有し、nはカチオン価数、そしてyは2〜100以上、より通常には2〜25の値を有する。 使用可能なゼオライトには、菱沸石(ゼオライトDとも称される)、クリノプチロライト、エリオナイト、フェリエライト、モルデナイト、ゼオライトA、ゼオライトP、ZSM-5、ZSM-11、及びMCM-22が含まれる。ゼオライトはシリカ含有量が多い(つまり、シリカ対アルミナ比が10よりも大きい値、通常100よりも大きい値であり、シリカ対アルミナのモル比が250:1〜1000:1で最良の結果が得られるゼオライトが特に好ましい)。ZSM-5の構造を有する1つのそうした高シリカゼオライトはシリカライトである。ここで用いられる用語には、米国特許-A-4,061,724号明細書に述べられているシリカ多形体、また米国特許-A-4,073,865号明細書に述べられているF−シリケートの両方が含まれる。 非ゼオライト系モレキュラーシーブには、適度な有効孔径を有し、無水換算で、以下の実験式で表される実験的化学組成を有するモレキュラーシーブが含まれる。ここでELはシリコン、マグネシウム、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、クロミウム及びそれらの混合物から成る群から選択される元素であって、xはELのモル分率であり、少なくとも0.005であって、yはアルミニウムのモル分率であり、少なくとも0.01であって、zはリンのモル分率であり、少なくとも0.01であって、そしてx+y+z=1である。ELが金属の混合物である場合、xは存在する元素混合物の総量を表す。好ましい元素(EL)はシリコン、マグネシウム及びコバルトであって、シリコンは特に好ましい。 種々のELAPOの調製については、米国特許-A-5,191,141号明細書(ELAPO)、同-A-4,554,143号明細書(FeAPO)、同-A-4,440,871号明細書(SAPO)、同-A-4,853,197号明細書(MAPO, MnAPO, ZnAPO, CoAPO)、同-A-4,793,984号明細書(CAPO)、同-A-4,752,651号明細書及び同-A-4,310,440号明細書において述べられている。 本発明の1つの好ましい実施の形態において、元素(EL)含有量はモル分率0.005〜0.05の範囲で変化する。ELが2つ以上の元素である場合、全ての元素の総濃度はモル分率0.005〜0.05の範囲内である。1つの特に好ましい実施の形態において、ELはシリコン(通常SAPOと称される)である。本発明において用いられる前記SAPOは、米国特許-A-4,440,871号明細書、同-A-5,126,308号明細書、及び同-A-5,191,141号明細書に述べられているものの内のいずれかである。SAPO-34が好ましい。 前記好ましいOTP転化触媒は、好ましくは、多孔質固体粒子に組み込まれる。前記粒子中には、所望のOTP反応を促進できるだけの量の触媒が存在している。一形態において、前記多孔質固体粒子は、触媒として有効な量のモレキュラーシーブ触媒、及び好ましくは結合材、充填材及びそれらの混合物から成る群より選択される少なくとも1つのマトリクス材によって構成され、所望の特性、又は例えば所望の触媒希釈、機械的強度等の特性を前記固体粒子に対して提供する。そうしたマトリクス材は本来多孔性であり、所望のOTP転化の促進にとって有効であったりなかったりする。充填材及び結合材には、例えば、金属酸化物、クレイ(粘土)、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニア、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、アルミノホスフェート、及びそれらの混合物等の合成物質及び天然物質が含まれる。 マトリクス材、例えば結合材及び/又は充填材が前記触媒組成物に含まれている場合、前記非ゼオライト系及び/又はゼオライト系モレキュラーシーブ触媒は、好ましくは全組成物の重量の1%〜99%、より好ましくは5%〜90%、さらにより好ましくは5%〜50%を構成している。 本発明のOTP反応ステップにおいて用いるのに最も好ましいゼオライト系二元機能触媒は、しばしば文字どおり『ペンタシル型』構造を有していると称され、また米国特許公開2003/0139635A1号明細書においても述べられているZSM-5の構造形状を有するゼオライトである。前記ZSM-5構造形状を有するボロシリケートゼオライトが、米国特許-A-4,433,188号明細書において、特に好ましい二元機能触媒として述べられている。前記モルデナイト系構造形状を有するゼオライト系触媒の使用については、英国特許公開-A-2171718号明細書に述べられている。 本発明で用いるのに特に好ましいもう1つの種類の二元機能触媒は、ELAPOモレキュラーシーブである。これらの物質は、米国特許-A-4,677,243号及び同-A-4,527,001号明細書において教示されているように、オキシジェネートから軽質オレフィンへの直接転化及びオレフィンから所望の生成オレフィンへの相互転化の両方を触媒する。米国特許-B-6,455,749号明細書においては、シリコアルミノホスフェート触媒(SAPO)の二元機能触媒としての利用について教示されており、そしてSAPO-34の有効性が具体的に述べられており、そしてまたC4オレフィンからその他のオレフィンへの相互転化において利用される、SAPO-34型触媒系及びシリカライトとZSM-5が結合した型の触媒系の両方の利用法が教示されている。 非ゼオライト系触媒系での最良の結果は、SAPO-34を二元機能触媒として利用した場合に得られる。ゼオライト系物質での最良の結果は、ZSM-5型の物質によって得られる。本発明の特に好ましい特徴の1つは、ゼオライト系触媒系と非ゼオライト系触媒系との混合物の利用である。この混合触媒の実施形態は、ゼオライト系物質を含む粒子と非ゼオライト系物質を含む粒子との物理的混合物、又は触媒、又は前記2つのタイプの物質を結合材内に混合し、その内に存在する両方の成分を有する粒子を生成する調製方法のいずれかを利用する。いずれの場合でも、好ましい組み合わせは、ZSM-5とSAPO-34との混合物であって、その相対量においてSAPO-34が前記混合物のモレキュラーシーブ成分の30〜70重量%であるのが好ましく、また45〜55重量%であるのが特に好ましい。 反応物質と二元機能触媒との接触時間は、通常、OTP転化帯域へと通過するオキシジェネート反応物質の質量と、供給ストリーム中に存在する任意の反応性炭化水素物質又は任意の再循環ストリームの質量との合計を、前記OTP転化帯域に存在する二元機能触媒の質量で除し、その結果出た質量の単位時間当たりの質量流量に基づいて計算される重量時間空間速度(WHSV)の関連語を用いて計測される。本技術の当業者であれば、反応物質と触媒との接触時間はWHSVの逆数に比例、つまりWHSVが増加するにつれて接触時間が減少し、反対にWHSVが減少するにつれて接触時間が増加することを理解するであろう。本発明と関連するOTP転化帯域で用いられるWHSVは0.1〜100hr-1、好ましくは0.5〜20hr-1の範囲であり、最良の結果は通常0.5〜10hr-1の範囲で達成される。 本発明におけるオキシジェネートからプロピレンへの転化ステップにおいては、オキシジェネートをプロピレンに転化する能力、またプロピレン以外のオレフィンをプロピレンに相互転化する能力を有する二元機能触媒の使用が好ましい。これら2つの反応を触媒する能力を有する、当業界で周知の任意の触媒物質は、本発明での使用にとって好適な触媒である。前記好適な二元機能触媒には、活性成分としてのモレキュラーシーブが含まれ、そしてより具体的には、前記モレキュラーシーブは比較的小さな孔を有している。前記好ましい小孔触媒は、その少なくとも一部、好ましくは主要部が、その吸着量(任意の吸着分子を用いた標準的McBain-Bakr重量吸着法によって測定)が、酸素の十分な吸着量(平均運動直径0.346nm)及びイソブタンのごく僅かな吸着量(平均運動直径0.5nm)を示すことを特徴とする平均有効径を有する小孔、を有しているものと定義される。より好ましくは、前記平均有効径は、キセノンの十分な吸着量(平均運動直径0.4nm)及びイソブタンのごく僅かな吸着量、最も好ましくは、n−ヘキサンの十分な吸着量(平均運動直径0.43nm)及びイソブタンのごく僅かな吸着量によって特徴付けられる。任意の吸着物のごく僅かな吸着量とは、触媒の3重量%未満の吸着量であって、一方十分な吸着量とは、この場合のこのカットオフ値を超える吸着量である。本発明において有用な触媒のいくつかは、平均有効径が5Å未満の小孔を有している。好ましい触媒の小孔の平均有効径は、本明細書においてそのまま引用によって組み込まれるD. W. Breck, ZEOLITE MOLECULAR SIRVES by John Wiley & Sons, New York (1974) に述べられている測定法によって測定される。『有効径』という用語は、前記小孔がしばしば不規則に、例えば楕円形状に成形されるので、孔寸法は実際の寸法よりも吸着される分子によって特徴付けられる、ということを意味する。好ましくは、前記小孔触媒は実質的に均一な孔構造、例えば実質的に均一なサイズ及び形状の孔を有している。好適な二元機能触媒は、ゼオライト系モレキュラーシーブ及び非ゼオライト系モレキュラーシーブの中から選択されてもよい。 焼成形態のゼオライト系モレキュラーシーブは、以下の一般式によって表される。ここでMeはカチオンであって、xは2〜無限大の値を有し、nはカチオン価数、そしてyは2〜100以上、より通常には2〜25の値を有する。 使用可能なゼオライトには、菱沸石(ゼオライトDとも称される)、クリノプチロライト、エリオナイト、フェリエライト、モルデナイト、ゼオライトA、ゼオライトP、ZSM-5、ZSM-11、及びMCM-22が含まれる。ゼオライトはシリカ含有量が多い(つまり、シリカ対アルミナ比が10よりも大きい値、通常100よりも大きい値であり、シリカ対アルミナのモル比が250:1〜1000:1で最良の結果が得られるゼオライトが特に好ましい)。ZSM-5の構造を有する1つのそうした高シリカゼオライトはシリカライトである。ここで用いられる用語には、引用によって組み込まれる米国特許-A-4,061,724号明細書に述べられているシリカ多形体、また米国特許-A-4,073,865号明細書に述べられているF−シリケートの両方が含まれる。本発明において用いられる好ましいゼオライトの内の1つは、ZSM-5の構造を有しており、ZSM-5又はシリカライト又はそれらの混合物のいずれかである。 非ゼオライト系モレキュラーシーブには、適度な有効孔径を有し、無水換算で、以下の実験式で表される実験的化学組成を有するモレキュラーシーブが含まれる。ここでELはシリコン、マグネシウム、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、クロミウム及びそれらの混合物から成る群から選択される元素であって、xはELのモル分率であり、少なくとも0.005であって、yはアルミニウムのモル分率であり、少なくとも0.01であって、zはリンのモル分率であり、少なくとも0.01であって、そしてx+y+z=1である。ELが金属の混合物である場合、xは存在する元素混合物の総量を表す。好ましい元素(EL)はシリコン、マグネシウム及びコバルトであって、シリコンは特に好ましい。 種々のELAPOの調製については、当該分野で周知であり、米国特許-A-5,191,141号明細書(ELAPO)、同-A-4,554,143号明細書(FeAPO)、同-A-4,440,871号明細書(SAPO)、同-A-4,853,197号明細書(MAPO, MnAPO, ZnAPO, CoAPO)、同-A-4,793,984号明細書(CAPO)、同-A-4,752,651号明細書及び同-A-4,310,440号明細書において述べられている。これらは全て参照として組み込まれている。通常、ELAPOモレキュラーシーブは、水熱結晶化によって、EL、アルミニウム、リン及びテンプレート化剤を含む反応混合物から合成される。ELの反応性原料は、塩化物及び硝酸塩等の金属塩である。ELがシリコンの場合、好ましい原料はヒュームド、コロイダル又は沈降シリカである。アルミニウム及びリンの好ましい反応性原料は、擬ベーマイトアルミナ及びリン酸である。好ましいテンプレート化剤は、アミン及び第4級アンモニウム化合物である。特に好ましいテンプレート化剤は、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)である。 本発明の1つの好ましい実施の形態において、元素(EL)含有量はモル分率0.005〜0.05の範囲で変化する。ELが2つ以上の元素である場合、全ての元素の総濃度はモル分率0.005〜0.05の範囲内である。1つの特に好ましい実施の形態において、ELはシリコン(通常SAPOと称される)である。本発明において使用可能なSAPOは、米国特許-A-4,440,871号明細書、同-A-5,126,308号明細書、及び同-A-5,191,141号明細書に述べられているものの内のいずれかである。〜871号明細書に述べられている特定の結晶構造の内、前記SAPO-34、つまり構造型34が好ましい。前記SAPO-34構造は、キセノンは吸着するがイソブタンは吸着しないという点で特徴付けられ、4.2Åの孔開口を有していることが示されている。また前記〜871号明細書の実施例25及び26に例示されているその他のSAPO、SAPO-17も好ましい。前記SAPO-17構造は、酸素、ヘキサン及び水は吸着するがイソブタンは吸着しないという点で特徴付けられ、4.3Åより大きく5.0Å未満の孔開口を有していることが示されている。 前記好ましいOTP転化触媒は、好ましくは、多孔質固体粒子に組み込まれる。前記粒子中には、所望のOTP反応を促進できるだけの量の触媒が存在している。一形態において、前記多孔質固体粒子は、触媒として有効な量のモレキュラーシーブ触媒、及び好ましくは結合材、充填材及びそれらの混合物から成る群より選択される少なくとも1つのマトリクス材によって構成され、所望の特性、又は例えば所望の触媒希釈、機械的強度等などの特性を前記固体粒子に対して提供する。そうしたマトリクス材は本来多孔性であり、所望のOTP転化の促進にとって有効であったりなかったりする。充填材及び結合材には、例えば、金属酸化物、クレイ(粘土)、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニア、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、アルミノホスフェート、及びそれらの混合物などの合成物質及び天然物質が含まれる。 マトリクス材、例えば結合材及び/又は充填材が前記触媒組成物に含まれている場合、前記非ゼオライト系及び/又はゼオライト系モレキュラーシーブ触媒は、好ましくは全組成物の重量の1%〜99%、より好ましくは5%〜90%、さらにより好ましくは5%〜50%を構成している。モレキュラーシーブ触媒及びマトリクス材を含む固体粒子の調製は、当該分野において従来よく知られているものである。本発明に関連する移動床反応器を通じた二元機能触媒の動きを円滑化するために、前記触媒の粒子は球状又は球形に近い形状であることが非常に望ましい。これらの触媒粒子の直径は、好ましくは、0.5〜7mm(0.02〜0.28in)の範囲から選択され、また最良の結果は、通常、1.6mm(0.063in)の有効径を有する球形粒子によって得られる。 本発明において用いるのに最も好ましいゼオライト系二元機能触媒は、しばしば文字どおり『ペンタシル型』構造を有していると称される、ZSM-5の構造形状を有するゼオライトである。この型の二元機能触媒のよい例は、参照によってその教示が本明細書に組み込まれる米国特許公開2003/0139635A1号明細書において述べられている。前記ZSM-5構造形状を有するボロシリケートゼオライトが、参照によってその教示が本明細書に組み込まれる米国特許-A-4,433,188号明細書において、特に好ましい二元機能触媒として述べられている。ZSM-5触媒系の二元機能の使用が米国特許-A-4,579,999号明細書に述べられており、ここでは、メタノールからオレフィンへの転化帯域に、エチレンを含む再循環ストリーム、また別個の、オレフィンを豊富に含んだC5+ガソリンストリームが導入され、ここで述べられる第1段階MTO反応帯におけるC3〜C4オレフィンの収率を増大させる。この〜999号明細書には、ZSM-5触媒系の二元機能の利用のよい開示が含まれており、参照によって具体的に本明細書に組み込まれる。前記モルデナイト系構造形状を有するゼオライト系触媒の使用については、英国特許公開-A-2171718号明細書に具体的に述べられており、ここでは、シリコン対アルミニウムの原子比率が80:1よりも高く、酸化ナトリウム含有量が重量の0.1未満である脱アルミニウム化モルデナイト触媒系が用いられ、メタノール含有供給ストリーム及びC4オレフィンを豊富に含んだ再循環ストリームを転化し、これらの物質からのプロピレンの生成率を最大にする。この〜718号明細書の教示の全てが、参照によって具体的に本明細書に組み込まれる。 本発明で用いるのに特に好ましいもう1つの種類の二元機能触媒は、ELAPOモレキュラーシーブである。これらの物質は、米国特許-A-4,677,243号及び-A-4,527,001号明細書の組み合わせた教示からも参照されるように、オキシジェネートから軽質オレフィンへの直接転化及びオレフィンから所望の生成オレフィンへの相互転化の両方を触媒することが知られている。米国特許-B-6,455,749号明細書においては、シリコアルミノホスフェート触媒(SAPO)の二元機能触媒としての利用が具体的に教示されており、またそこに含まれる第1の実施例において教示されているように、SAPO-34の有効性が具体的に述べられている。さらに、この〜749号明細書の第2の実施例において、C4オレフィンからその他のオレフィンへの相互転化における、SAPO-34型触媒系及びシリカライトとZSM-5が結合した型の触媒系の両方の利用法が、合理的かつ明確に教示されている。前記〜243、〜001及び〜749号明細書の教示は、参照によって具体的に本明細書に組み込まれる。 非ゼオライト系触媒系での最良の結果は、SAPO-34を二元機能触媒として利用した場合に得られる。一方、ゼオライト系物質での最良の結果は、前記〜749号明細書に述べられるZSM-5物質のようなZSM-5型の物質によって得られる。本発明の特に好ましい特徴の1つは、ゼオライト系触媒系と非ゼオライト系触媒系との混合利用である。この混合触媒の実施形態は、ゼオライト系物質を含む粒子と非ゼオライト系物質を含む粒子との物理的混合物を利用する方法、あるいは、前記2つのタイプの物質を結合材内に混合して触媒を調製し、それらの内に存在する両方の成分を有する粒子を生成する方法のいずれかによって達成される。いずれの場合でも、好ましい組み合わせは、ZSM-5とSAPO-34との混合物であって、その相対量においてSAPO-34が前記混合物のモレキュラーシーブ成分の30〜70重量%であるのが好ましく、また約45〜55重量%であるのが特に好ましい。 本発明の選択的水素化処理ステップでは、OTP転化ステップで少量(即ち、転化されるオキシジェネート供給原料の量の2重量%未満、通常0.01〜1重量%)生成される、ジエン及び/又はアセチレン系炭化水素などの高度不飽和炭化水素を選択的に水素化処理する。これら高度不飽和炭化水素は、本発明において用いられる好ましい二元機能OTP触媒上へのコーク析出の度合いに大きく影響を及ぼすものであり、このOTP転化ステップから回収される副生ストリームによって、重質オレフィン中に集中する傾向がある。これらの1つ又は複数の重質オレフィン副生ストリームをOTP転化ステップへ再循環すると、OTP触媒の不安定化を引き起こし、プロピレン選択率の著しい損失につながる可能性がある。本発明において利用可能な、重質オレフィン再循環ストリームの少なくとも2つの原料がある。1つはOTP転化ステップからの流出ストリームから生じる気体留分から分離されたC4+オレフィンを豊富に含む留分、そしてもう1つは、このOTP流出物冷却及び分離ステップで回収された液状炭化水素留分から分離された第2のC4+オレフィンを豊富に含むストリームである。本発明によれば、これらC4+オレフィンを豊富に含んだストリームの1つ又は両方の少なくとも一部が選択的水素化処理ステップへ導入され、これらのコーク前駆体を対応するオレフィンへと選択的に転化する。好ましくは、任意の重質オレフィン再循環ストリームの少なくとも50重量%が、より好ましくは70〜95重量%又はそれ以上のストリームが、この水素化処理ステップへ導入される。また本発明の範囲内として、前記OTP流出ストリームからのC2オレフィンを豊富に含むストリーム中に微量のアセチレンが存在している可能性があるため、回収された任意のC2オレフィンを豊富に含む留分の少なくとも一部を、二元機能OTP触媒がエチレンをプロピレンへと相互転化するので前記OTP転化ステップへの再循環の前に、この水素化処理ステップへと導入する。このC2オレフィン再循環ストリーム中のアセチレンの量が過剰である場合、望ましい方法としては、前記C2オレフィンを豊富に含む再循環ストリームの少なくとも50重量%、より好ましくは70〜95重量%又はそれ以上を前記水素化処理ステップへと導入する。 この選択的水素化処理ステップにおいては、1つ又は複数の前記重質オレフィン再循環ストリームの少なくとも一部及び水素を、そこに含まれる任意の高度不飽和炭化水素を対応するオレフィンに転化するのに有効な選択的水素化条件で、金属含有水素化触媒と接触させる。前記触媒は、好ましくは、触媒粒子の固定床としての水素化処理帯に保持される。これらの粒子は、好ましくは、1〜10mm(0.04〜0.4in)の直径及び又は1〜5のL/Dを有している。 前記選択的水素化条件は、高度不飽和炭化水素を対応するオレフィンに効率的に転化し、一方で水素化過剰物質を除去又は最小限化して対応する完全に飽和した炭化水素に転化できるように選択される。このステップは、通常、30〜250℃の温度、液相及び1〜30hr-1の液空間速度(LHSV)を十分に維持できる1〜40atm又はそれ以上(101kPa〜4.05MPa)の圧力下で行われ、また最良の結果は75〜150℃の温度、5〜20hr-1のLHSVで得られる。 この処理ステップに導入される水素の量は、そこに導入される高度不飽和炭化水素1モルあたり0.8〜10モル、好ましくは1〜2.5モルの量である。前記水素の少なくとも一部は、このステップに導入されるオレフィン含有供給ストリームに溶解又は混合され、あるいは、当業者には周知の技術を利用して前記重質オレフィン含有供給ストリームに対して順方向又は向流方向に、前記水素化処理帯に単独で添加される。 前記水素化処理触媒は、本出願における任意の選択的水素化処理触媒であり、好ましくは、触媒として有効な量の金属水素化成分と好適な多孔性担体物質との結合物である。場合によっては、完全に飽和した炭化水素を生成する、水素化副反応を阻止又は実質的に除去するのに十分な量のオレフィン選択率向上成分(即ち、減衰成分)が、前記触媒に添加される。 前記金属水素化成分は、好ましくは、ニッケル、パラジウム、白金及びそれらの混合物から成る群から選択される。ニッケルが好ましい。用いられる量によって、好ましくは、前記金属に基づいて算出される金属成分の0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%を含む水素化処理触媒が提供される。この金属水素化成分の少なくとも重要な部分が、好ましくは、金属状態で前記水素化処理触媒中に保持される。しかし場合によっては、対応する金属酸化物及び/又は硫化物などの金属化合物が用いられ、良好な結果が得られる。 オプションの減衰成分は、銅、銀、金、ガリウム及びそれらの混合物から成る群から選択される。水素化処理触媒に添加される減衰成分は、通常、金属換算で前記水素化処理触媒の0.01〜2重量%の量で有効な結果が得られ、また通常、0.01〜1重量%で最良の結果が得られる。好ましくは、銅、銀又は金減衰成分の大部分が、金属状態で利用される。その一方、ガリウム又はイリジウム減衰成分は、大部分が酸化状態で維持される場合に最良の結果が得られる。 この水素化処理触媒のための多孔性担体物質は、前記水素化処理技術によって得られる任意の好適な物質であってよい。好適な多孔性担体物質は、通常、10〜50m2/gの表面積を有しており、またそれには以下の物質が含まれる。(1)例えば、アタパルガスクレイ、陶土、珪藻土、フラー土、カオリン、ベントナイト、キーゼルグール等の、酸処理された又はされていない、合成及び天然のものを含むシリカ又はシリカゲル、クレイ(粘土)及びシリケート、(2)アルミナ、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化ベリリウム、酸化バナジウム、酸化セシウム、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、マグネシア、ボリア、トリア、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、クロミア−アルミナ、アルミナ−ボリア、シリカ−ジルコニア等の耐火性無機酸化物、(3)炭素及び木炭等の炭素を豊富に含む物質、(4)アルミン酸亜鉛、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウム等のスピネル、及び(5)これらの群の内の1つ又は複数から選択される物質の混合物。この水素化処理触媒で用いるのに好適な多孔性触媒は耐火性無機酸化物であって、またアルミナ物質によって最良の結果が得られる。 好適なアルミナ物質は、γ−アルミナ、η−アルミナ、及びθ−アルミナとして知られる結晶性アルミナであり、この内γ−アルミナ又はη−アルミナによって最良の結果が得られる。さらに、前記アルミナ担体物質が、アルカリ及び/又はアルカリ土類酸化物及び/又はシリカ、ジルコニア、マグネシア等のその他のよく知られた耐火性無機酸化物を少ない割合で含んでいる場合もある。しかし、好ましい触媒は、実質的に純粋なγ−アルミナ又はη−アルミナである。好ましい触媒は、0.3〜0.9g/ccの見掛け嵩密度、及び平均細孔径が約20〜300Å、細孔容積が0.1〜1cc/g、そして表面積が100〜500m2/gといった表面積特性を有している。通常、最良の結果は、比較的小さい1〜10mm(0.04〜0.4in)の直径、0.3〜0.8g/ccの見掛け嵩密度、0.4ml/gの細孔容積、及び150〜250m2/gの表面積を有する球状粒子の形態で用いられるγ−アルミナ担体物質によって得られる。 前記水素化処理触媒は、周知の、また好ましくは、多孔性担体物質を予備生成し、続いて金属成分及びオプションの減衰成分を、前記多孔性支持体上に順次又は同時に含浸法及び/又は噴霧する方法によって添加する技術によって調製される。本発明においては、『外膜』又は『外殻』含浸技術を利用して、活性成分を前記多孔性支持体上又はその周囲近傍に集中させてもよい。続いて、前記含浸又は噴霧された多孔性支持体は、50〜200℃の温度で乾燥させられ、そして通常、空気中で250〜750℃の温度下で5〜100時間焼成される。生成された前記触媒は、通常、遊離水素を用いて250〜750℃の温度下で1〜10時間処理されるオプションの還元ステップを経由させることも可能である。 本発明は、OTP転化ステップのための固定床及び移動床の両稼動方式を含んでいるが、きわめて好ましい特徴は、OTP転化ステップにおいて移動床技術を利用してプロピレン生成プロセスの選択率を向上させることである。移動床技術の利用については、米国特許-A-5,157,181号明細書において述べられている。好適な移動床反応器及び再生システムは、例えば、オクタン価を高め、またオレフィンを生成するための軽質パラフィンの脱水素化処理を円滑化するためのナフサ留分の接触改質処理において、幅広く工業的に利用されてきた。 移動床反応帯はいく通りかの方法で構成される。例えば、触媒粒子が前記反応帯の上位部へと導入され、重力によって前記反応帯の容積全体を経由して供給され、ここで前記触媒は、触媒の動きに対して逆方向又は同方向である供給ストリームと接触する。本発明の1つの好ましい態様において、前記供給ストリームの流れは、触媒の流れに対して逆方向、つまり、前記供給ストリームは反応帯の下位部へと導入され、そしてその上位部より回収される。これによって前記供給ストリームは、駆動力が高い転化の最初の段階で部分的に失活した触媒と接触し、そして駆動力が低い転化のその後の段階でより活性の高い触媒と接触するので、この好ましい構成によってOTP転化反応に実質的利点がもたらされる。 より通常には、前記触媒粒子は、前記反応帯を貫通する同心触媒担持スクリーンによって画定されるアニュラスへと導入され、ここで、前記触媒粒子は前記アニュラスを通じて流下し、そして前記OTP反応帯の下位部から回収される。前記供給ストリームは、前記反応帯の上位部又は下位部のどちらかに導入され、そして通常、触媒の流れを横切る方向にアニュラスを横切って通過する。放射状の床構成によって、前記反応帯に亙って圧力損失を低下させ、それによって良好な流れ配分の提供が可能となる。 OTP転化帯域を通過する間、炭素質物質、つまりコークスが、反応帯を通じて下方に移動する際に触媒上に堆積される。前記炭素質堆積物質は触媒上の活性点を減少させる効果を有し、これが転化の程度及びプロピレンに対する選択率に影響を及ぼす。従って、前記移動床転化プロセス中、前記コークス化した触媒の一部が前記OTP反応帯から回収され、再生帯で再生されて前記炭素質物質の少なくとも一部が除去される。このOTP転化ステップの固定床の1つの実施形態において、転化率が許容できないレベルまで低下し、OTP触媒がin situ 再生されると、前記プロセスのオンストリーム部分が停止する。 好ましくは、前記炭素質物質は酸化再生によって前記触媒より除去され、ここで、反応器から回収される触媒は、十分な温度及び酸素濃度の酸素含有ガスと接触し、所望の量の炭素質物質が前記触媒から除去されることを可能にする。前記固定床の実施形態においては、酸素含有ガスストリームがOTP反応帯に導入される。特定の触媒及び転化においては、前記炭素質物質を実質的に除去、例えば1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満になるまで除去するのが望ましい。一部の例では、前記触媒を部分的にのみ再生、例えば前記炭素質物質の約30〜80重量%を除去するのが望ましい。好ましくは、前記再生触媒は、約0〜20重量%の炭素質物質、より好ましくは約0〜10重量%の炭素質物質を含んでいる。殆どの例において、触媒上の炭素質物質(つまり、コークス)の濃度が比較的高い、つまり触媒上の炭素質物質が約1重量%を上回る場合、酸素濃度が比較的低い酸素含有ガスストリームで炭素焼失を生じさせることが好ましい。好ましくは、前記酸素含有ガスの酸素含有量は不活性ガスの使用又は排ガス物質の再循環を通じて調節され、0.5〜2容量%の初期の酸素レベルが維持される。酸素の低濃度を利用することによって、触媒上の炭素質物質の酸化を、過度の温度上昇を引き起こすことなく合理的に制御し、これにより前記モレキュラーシーブ触媒に回復不能な熱水的ダメージを与える可能性を排除することができる。再生処理中の温度は400℃〜700℃の範囲内であり、最良の結果は500℃〜650℃の範囲内で得られる。前記移動床の実施形態における再生帯は、好ましくは、OTP反応帯において利用される移動床構成と同様に移動床帯域として構成され、ここで前記コークス化した触媒は前記再生帯の上位部へと供給され、重力供給方式で前記再生帯を通過する。ここで前記炭素質物質が除去され、そしてこの再生された触媒は再生帯の下位部から回収され、前記OTP反応帯へと再循環される。(図面の詳細な説明) 添付図面は、本発明のフロー構成の略図を示している。ここで反応器1、2及び3を含む反応帯は、移動床構成で、二元機能OTP転化触媒を含んでいる。3つの移動床反応器1、2及び3が、各反応器を通じてのオキシジェネート供給原料及び触媒の流れの両方に対して直列に配置されている。前記反応器の垂直断面が示されており、適合した同心触媒担持スクリーンで保持されるアニュラスを通じて流れる触媒を示している。3つ全ての移動床反応器は、触媒粒子の下降ストリームに対して向流方向に流れる、反応器への供給物の流れと共に動作する。好ましくは、3つ全ての移動床反応器は、触媒アニュラスの外側から、流出ストリームが回収される中心部分へと流れ込むオキシジェネート含有供給原料ストリームを有している。図面において用いられている仕様として、供給物質、中間物質及び生成物質の流れは実線で示し、そして反応帯から、または反応帯への触媒の流れは点線で示してある。好ましくは、蒸気、窒素又はその他の任意の利用可能な不活性希釈剤である搬送媒体によって触媒が搬送される。好ましい触媒搬送媒体は、OTP反応帯におけるその実質的存在の理由から、蒸気である。 反応器1、2及び3において用いられるOTP触媒は、上述の二元機能触媒から選択され、0.5〜5mmの有効径を有する球形状で用いられる。1.6mmの直径が特に好ましい。用いられるOTP触媒の総量は、好ましくは、3つのOTP反応器に均等に分配される。 前記反応帯の反応器の数は、個々の反応器における転化条件を、前記個々の反応器に亙る温度差動を80℃以下に維持し、それによって収率構造のエチレンへのシフトを防止し、同時にOTP反応帯の末端部で急激に加速する触媒上へのコークスの形成を最小限化することによってプロピレンの収率を向上させる状態、に維持できるように選択される。 プロセスの開始時、循環開始のために十分な生成物質が得られるまでの間、循環ライン14、17、21及び22は遮断される。同様に、ライン13、28及び29を通じて流れる水希釈剤循環流も遮断され、その代わりに、水又は蒸気の外部ソースが、ライン8との相互接続の直前に、ここには図示されていない手段によってライン13に注入される。従って開始時に、アルコール性オキシジェネート供給ストリームはライン8を経由してライン13との交点へと流れ、ここで水又は蒸気状の適当量の希釈剤が混合され、オキシジェネート対希釈剤の比率は0.1:1〜5:1の範囲内とされる。循環開始のためには、前記比率が0.5:1〜2:1の範囲内であるのが特に好ましい。次に、この生成されたオキシジェネート供給原料及び希釈剤の混合物は、適正な供給及び流出物熱交換及び加熱手段(図示せず)を通過し、ここで生成された前記ストリームは気化され、350〜475℃の温度下、136〜343kPa(5〜35psig)の総圧力下で反応器へと流入する、反応器1への供給ストリームが提供される。反応器1、2及び3は十分な二元機能OTP触媒を含んでおり、開始時に約0.5〜5hr-1の重量時間空間速度(WHSV)を提供する。一旦オレフィン系炭化水素物質の循環が開始されると、有効WHSVは1〜10hr-1のレベルにまで上昇する。次に反応器1からの流出物質はライン9を通じて回収され、図示されていない1つ又は複数の冷却手段を経由して、反応器1への供給物の温度に近い温度まで冷却され、そして生成された冷却流出物ストリームは反応器2へと供給され、ここで二元機能触媒と接触し、追加量のオキシジェネート物質がプロピレンへと転化され、ライン10を経由して回収される流出ストリームが生成される。ライン10の流出物は、適正な手段(図示せず)によって反応器1への前記入口温度に近い温度まで冷却され、反応器3へと通過し、追加量の二元機能触媒と一定の条件下で接触し、その結果、未反応オキシジェネートが、さらにプロピレン及びその他の種々の副生成物に転化される。第2反応帯の各反応器にわたる温度差動をほぼ同じ程度に維持することによって、反応器2及び3における触媒のコークス化を反応器1での程度と同程度にまで最小限化する。 次に反応器3からの前記流出ストリームはライン11を経由して回収され、次に供給物/流出物熱交換器(図示せず)のような1つ又は複数の冷却手段を経由してそこに含まれる相当量の水分を液化するように構成された適正な冷却ステップにて処理され、そして帯域5の三相分離器へと通過し、ここで、反応器3から流出する炭化水素気体相、液体炭化水素相及び相当量の未反応オキシジェネートを含んだ水相が形成される。本発明においては、二元機能触媒の活性を実質的に循環開始時の状態に維持することによって、帯域5へと通過する未反応オキシジェネートの量を最小限とし、反応器1、2及び3を通じてのオキシジェネート供給原料の総合的な転化率が、全サイクルを通じて97%以上となることを想定する。 ライン13は分離器5から水相を回収する。ライン23を経由して回収されるドラッグストリームは余剰水を処理する。ライン13は生成された純水ストリームを再循環させ、ライン8との接合点でオキシジェネート供給原料と混合させる。ライン28及び29は、反応器2及び3の冷却及び分圧調整のために追加量の水を加える。水の再循環が開始されると、開始時の希釈水注入ための供給は終了する。 ライン12は分離器5から気相を回収し、またそれを、脱エタン化器として機能し、またエチレンを豊富に含み、少量のエタン及び幾分かのメタン及び微量のアセチレンをも含んでいる塔頂留分14を生成する分別用カラム6へと導入する。分別用カラム6は、実質的に、前記カラム6へと導入される物質のC3+部分を含む塔底留分15を生成する。ライン18は、前記塔頂ストリーム14からドラッグストリームを回収し、エチレン循環ループにおけるC1及びC2パラフィンの蓄積を制御する。このエチレン循環ループは、このストリームからメタンを除去し、メタン濃度の著しい蓄積を防ぐために、前記エチレンを豊富に含んだ塔頂ストリームのさらなる処理を必要とする。任意の好適な手段を用いてもよく、この手段には脱メタン化カラム、メタン吸着帯、及びメタン選択膜帯が含まれる。ライン18は、ライン14を通じて流れる塔頂ストリームの1〜15容量%、より通常にはこのストリームの1〜10容量%を回収する。ライン14は、前記塔頂ストリームの残留物を、エチレンを豊富に含んだ再循環ストリームとして、ライン8を経由して反応器1へと供給する。本発明においては、ライン14を流れるエチレンを豊富に含んだ再循環ストリームが3つの反応帯間に分配されるが、図面は、このエチレンの全体量を反応器1へと供給し、結果的に、前記3つの反応帯を通じて流れる際に、用いられる最大量の触媒に曝した場合に優れたエチレン転化率が得られる好ましいフロー構成を示している。 ライン14を流れるC2オレフィンを豊富に含んだストリームが相当量のアセチレンを含んでいる場合、本発明においては、このストリームの少なくとも一部を、図示されていない手段によって水素化処理帯30へと転流させ、前記アセチレンを含んだストリームの選択的水素化処理を行う。その結果、この水素化処理されたC2オレフィンを豊富に含む再循環ストリームは、ライン32及び8を経由してOTP反応器1へ、ライン32、21及び9を経由して反応器2へ、そしてライン32、21、22及び10を経由して反応器3へそれぞれ循環する。 ライン15は、塔底ストリームのC3+物質を、本発明の主生成ストリームであって、また副生プロパン物質の含有量が少ないプロピレンを豊富に含んだ塔頂ストリーム16を生成するように設定された分別条件下の、脱プロパン化カラム7へと導入する。ライン17は、ごく微量のブタン及びペンタンと、主にC4、C5、及びC6オレフィン系物質から成るC4+オレフィンを豊富に含んだ物質の塔底ストリームを、カラム7から回収する。 ライン17は、この塔底ストリームの全て又は大部分を、多孔性アルミナ支持体上に0.01〜5重量%のニッケルを含んでいる水素化処理触媒の固定床を含む選択的水素化処理帯30へと通過させる。ライン31は、この水素化処理帯30に水素を豊富に含むストリームを導入する。ライン31は、帯域30に導入される高度不飽和炭化水素1モルあたりに0.9〜5モルの水素を提供できるだけの十分な水素を含んでいる。帯域30においては、C4+オレフィンを豊富に含んだストリーム及び水素ストリームが、実質的に全ての高度不飽和炭化水素を対応するオレフィンに転化するのに有効な選択的水素化条件下で、ニッケル含有水素化処理触媒と接触する。帯域30内の特定条件には、75〜150℃の入口温度、帯域30内で液体ストリーム状態を実質的に維持できるように選択される101kPa〜405MPaの圧力及び1〜30hr-1のLHSVが含まれる。ライン32は、高度不飽和炭化水素を実質的に含んでおらず、ましてOTP反応帯1、2及び3においてコークスの形成を加速させる可能性はずっと少ない、選択的に水素化処理されたC4+オレフィンを豊富に含んだ再循環ストリームを、帯域30から回収する。ライン19は、このC4+オレフィン循環ループにおいてパラフィン系物質の蓄積を制御するため、1〜15容量%、好ましくは1〜3容量%の量のドラッグストリームをライン32から回収する。 ライン32を通じて流れるC4+物質の残留物は、ライン32、21及び22を経由して水素化処理されたC4+オレフィン反応物質を反応器1、2及び3にそれぞれ供給する、ライン21との相互接続部へと通過する。一旦循環動作が開始されると、これらのラインの遮断が解除され、これらの水素化処理されたC4+オレフィン再循環ストリームの再循環を円滑化する。好ましくは、ライン32を通じて流れるこの水素化処理されたC4+オレフィンを豊富に含んだストリームは3つの部分に分割され、3つの反応器に並行的に導入される。好ましくは、前記ストリームの大部分を反応器1へと通過させ、少ない部分を反応器2及び3へと通過させる。より好ましくは、この水素化処理されたC4+オレフィンを豊富に含む再循環ストリームの総量の60〜80容量%を、ライン32及び8を経由して反応器1へと流入させ、また同様に総量の約10〜20容量%を、それぞれ反応器2及び3へと同時に流入させる。 ライン13、14及び32を通じて流れる前記3つの再循環ストリームの稼動が一旦開始されると、本発明の開始時のモードが終了し、そして運転のフル循環モードが開始され、反応器1、2及び3内の二元機能触媒床が、オキシジェネート転化触媒及びオレフィン相互転化触媒として機能する。前記フル循環モードにおいては、アルコール性オキシジェネートを豊富に含む供給ストリームがライン8を経由してこのプロセスへと流入し、ライン14によって搬送される第1のエチレンを豊富に含む再循環ストリームと混合され、続いてライン13によって水希釈剤と混合される。生成された前記混合物はライン32との接合部へと通過し、ここでC4+オレフィン物質の追加量と混合され、反応器1への供給物が生成される。この供給混合物は、適正な入口温度まで適切に加熱された後、上述の態様で反応器1へと流入する。 反応器1内に保持される触媒床を通過した後、ライン9は前記生成された流出物を回収する。ライン28は比較的冷たい水希釈剤の追加量を加え、そしてライン21は比較的冷たいC4+オレフィンを豊富に含む再循環ストリームの追加量を加える。さらに適切な冷却を行い反応器2のための上述の入口温度が得られた後、前記生成された混合物は反応器2へと供給され、ここで触媒床を通過し、流出ストリームが生成される。ライン10は、流出物を回収し、そしてライン29を経由してそこまで流れる比較的冷たい水希釈剤の追加量及びライン22を経由してそこまで流れる比較的冷たいC4+オレフィンを豊富に含む物質の追加量と混合させる。前記生成された混合物を上述の入口温度まで冷却した後、ライン10は前記混合物を反応器3へと搬送し、そこで触媒と接触させ、適切な急冷及び冷却の後、ライン11を通じて上述の三相分離帯5へと流れる流出ストリームが生成される。 OTP反応器1、2及び3において用いられる二元機能触媒の量には変化があってもよい。反応器2及び3は、触媒がライン25を経由して反応器2へと流れる際に反応器1で、また触媒がライン26を経由して反応器2から反応器3へと流れる際に反応器2で生じる僅かな不活性を埋め合わせるために、より多量の触媒を含んでいてもよい。好ましくは、反応器1、2及び3は、3つの帯域において実質的に等量の触媒で、あるいは触媒の総量の約25〜30%が各反応器1及び2に、そして残りの40〜50容量%が反応器3に存在するという分配で稼動する。 前記OTPプロセスにおいては、反応器が稼動条件下に設定された後、触媒の循環が開始される。触媒は、ライン25及び26を経由して反応器間を、またライン27を経由して再生帯4へと循環する。再生帯4において、ライン27を経由してそこに供給されるコークス含有触媒から、上述の低苛酷度の酸化手段を用いて、コークスの堆積の少なくとも一部を除去する。また再生帯4には、図示されていない手段によって、この帯域に供給されるコークスの大部分を燃焼させるために十分な量の、約0.5〜2容量%の酸素を含む酸素含有ガスストリームも供給される。ライン24は、触媒を反応器1へと再循環させ、これによってライン25、26、27及び24によって画定される触媒循環回路は完成する。帯域4からは、添付図面には示されていないラインを経由して燃焼ガスストリームが回収される。 この触媒循環回路を流れる触媒の流速は、触媒活性、オキシジェネート転化率及びプロピレンの選択率を循環開始時の状態と同じか又はそれに近い状態に維持するための、400時間以下の触媒オンストリームサイクル時間を提供できるように選択される。すなわち、この循環回路を流れる触媒粒子の流速は、再生のために帯域4へと循環する前に、触媒粒子の反応器1、2及び3内での滞留時間が400時間を超えないように設定される。 ライン32’は、三相分離帯5から炭化水素相を回収する。この物質は、通常、ガソリン範囲において沸騰し、微量のジエン及びアセチレン系炭化水素を含む第2のC4+オレフィンを豊富に含んだ再循環ストリームを含み、またそこに存在するオレフィン物質の高含有量のため、さらなる処理を必要とする本発明のガソリン生成物ストリームを含んでいてもよい。好ましくは、ライン32’の液体炭化水素相は、カラム33のさらなる分別ステップへと通過し、ライン35を経由してC4+オレフィンを豊富に含む塔頂ストリームが回収される。この塔頂ストリームの少なくとも一部が、前記ステップで選択的に水素化処理される。そして水素化処理された前記ストリームはライン35及び17を経由して帯域30へと通過し、反応器1、2及び3へと再循環されて、重質オレフィンをプロピレンへさらに転化するための手段を提供する。ライン34は、カラム33から、オレフィンを豊富に含むガソリン生成物ストリームで構成される塔底ストリームを回収する。そうした第2のC4+オレフィンを豊富に含むストリームを再循環させるための好ましい手段は、カラム7からの塔底ストリームを利用する。また実際は、この第2のC4+オレフィンを豊富に含む塔頂ストリームを、ライン35及び17を経由して帯域30に直接供給し、ジエン及びアセチレン系炭化水素を対応するオレフィンへと選択的水素化処理することも可能である。本発明の好ましい実施の形態の工程系統図である。この図面において、反応物質及び生成物の循環のために用いられるラインは実線で示されるが、触媒粒子の循環のみを表す線は点線で示されている。符号の説明1、2、3 反応器(反応帯)4 再生帯(帯域)5 三相分離器(三相分離帯 分離器 帯域)6 分別用カラム(カラム)7 カラム30 水素化処理帯(帯域)33 カラム オキシジェネート供給原料をプロピレンに選択的に転化するためのプロセスであって、前記プロセスが、a)希釈剤対オキシジェネートのモル比が0.1:1〜5:1の範囲内のオキシジェネート供給原料及び希釈剤を、少なくとも3つの移動床反応器を含む反応帯で、モレキュラーシーブを含み、オキシジェネートの少なくとも一部をC3オレフィンに転化し、C2及びC4+オレフィンをC3オレフィンに相互転化する能力を有する二元機能触媒粒子と反応させ、ここで前記反応帯が、オキシジェネートをプロピレンに転化するのに有効なオキシジェネート転化条件で運転され、多量のC3オレフィン生成物及び副生成物としての水、それよりも少ない量のC2オレフィン、C4+オレフィン、C1〜C4+飽和炭化水素、少量の未反応オキシジェネート、副生成オキシジェネート、ジエン、アセチレン系炭化水素及び芳香族炭化水素を含む流出ストリームを生成するステップと、b)この流出ストリームを分離帯へと通過させ、ここで前記流出ストリームを冷却し、そしてC3オレフィン含有量の多い気体留分、未反応オキシジェネート及び副生成オキシジェネートを含む水留分、及び重質オレフィン、重質飽和炭化水素及び少量の芳香族炭化水素を含む液状炭化水素留分へと分離するステップと、c)ステップb)で回収された水留分の少なくとも一部をステップa)へと再循環させ、そこで用いられる希釈剤の少なくとも一部を提供するステップと、d)前記気体留分を、C2オレフィンを豊富に含んだ留分、C3オレフィンを豊富に含んだ生成物留分、及びジエン及びアセチレン系炭化水素を含むC4+オレフィンを豊富に含んだ留分に分離するステップと、e)前記C4+オレフィンを豊富に含んだ留分の少なくとも一部及び水素を、そこに含まれるジエン及びアセチレン系炭化水素を対応するオレフィンへと転化するのに有効な選択的水素化条件下で、金属含有水素化触媒と接触させ、それによってコークス前駆体を除去するステップと、そしてf)生成された、前記選択的に水素化処理されたC4+オレフィンを豊富に含んだ留分の少なくとも一部をステップa)へと導入し、プロピレンの収率を向上させるステップとで構成され、 前記オキシジェネートが、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン又はそれらの混合物、あるいはメタノール又はジメチルエーテル(DME)又はそれらの混合物で構成される、1〜4個の炭素原子を含む酸素置換脂肪族物質であって、 前記各移動床反応器が、オキシジェネート供給原料に対して、またそこを通過する二元機能触媒のストリームに対して直列流れ配置で接続され、 オキシジェネート供給原料の前記選択的転化処理が、コークス含有二元機能触媒粒子を反応帯から回収し、前記回収された触媒粒子を再生帯で酸化再生し、再生された触媒粒子のストリームを、反応帯を通過する触媒オンストリームサイクル時間が結果的に400時間以下となるように選択された触媒循環速度で、反応帯へと再循環させることによって稼動する連続的プロセスであることを特徴とするプロセス。 前記二元機能触媒が、ZSM-5に対応する構造を有するゼオライト系モレキュラーシーブ、SAPO-34に対応する構造を有するSAPO物質であるELAPOモレキュラーシーブ、又はそれらの混合物を含んでいることを特徴とする請求項1記載のプロセス。 前記金属含有水素化触媒が、多孔性支持体上に、ニッケル、パラジウム、又は白金を含んでいることを特徴とする請求項1記載のプロセス。 ステップb)で分離された液状炭化水素留分が、さらにナフサ生成物留分、及びジエン及びアセチレン系炭化水素を含む第2のC4+オレフィンを豊富に含んだ留分に分離され、そして前記生成された第2のC4+オレフィンを豊富に含んだ留分の少なくとも一部がステップe)に導入されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。 ステップd)で分離された前記C2オレフィンを豊富に含んだ留分の少なくとも一部が、ステップa)又はステップe)へと導入されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。 ステップe)で利用される選択的水素化条件に、75〜150℃の温度、液相を維持するのに十分な圧力及び5〜20hrs-1のLHSVが含まれることを特徴とする請求項1記載のプロセス。


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