タイトル: | 特許公報(B2)_ペプチドバソプレッシン受容体アゴニスト |
出願番号: | 2007525670 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07K 7/06,A61K 38/00,A61P 7/06,A61P 9/14,A61P 1/16,A61P 13/12,A61P 9/04,A61P 11/16,A61P 9/02,A61P 9/00,A61P 7/04,A61P 27/02,A61P 43/00 |
ウイスニーウスキー,カツイメルツ シユタインガルト,クラウデイオ ラポルト,リージエント ガリイアン,ロバート・フエリツクス リビエール,ピエール・ジ−エム JP 4664363 特許公報(B2) 20110114 2007525670 20050803 ペプチドバソプレッシン受容体アゴニスト フェリング ベスローテン フェンノートシャップ 500297535 大野 聖二 230104019 森田 耕司 100106840 田中 玲子 100105991 松任谷 優子 100119183 北野 健 100114465 伊藤 奈月 100156915 ウイスニーウスキー,カツイメルツ シユタインガルト,クラウデイオ ラポルト,リージエント ガリイアン,ロバート・フエリツクス リビエール,ピエール・ジ−エム EP 04019029.0 20040811 US 60/600,377 20040811 20110406 C07K 7/06 20060101AFI20110317BHJP A61K 38/00 20060101ALI20110317BHJP A61P 7/06 20060101ALI20110317BHJP A61P 9/14 20060101ALI20110317BHJP A61P 1/16 20060101ALI20110317BHJP A61P 13/12 20060101ALI20110317BHJP A61P 9/04 20060101ALI20110317BHJP A61P 11/16 20060101ALI20110317BHJP A61P 9/02 20060101ALI20110317BHJP A61P 9/00 20060101ALI20110317BHJP A61P 7/04 20060101ALI20110317BHJP A61P 27/02 20060101ALI20110317BHJP A61P 43/00 20060101ALI20110317BHJP JPC07K7/06A61K37/02A61P7/06A61P9/14A61P1/16A61P13/12A61P9/04A61P11/16A61P9/02A61P9/00A61P7/04A61P27/02A61P43/00 111 C07K 1/00-19/00 CA/REGISTRY(STN) PubMed 米国特許第03352843(US,A) 国際公開第03/082334(WO,A1) Circulation,1997年 3月 4日,Vol.95, No.5,pp.1108-1110 6 US2005027772 20050803 WO2006020491 20060223 2008509221 20080327 16 20070207 小金井 悟 本発明は新規化合物、前記化合物を含有する医薬組成物、特にショック症状の治療用医薬の製造における前記化合物の使用、及び前記化合物を投与する前記症状の治療方法に関する。 テルリプレッシン等のペプチドバソプレッシンV1a受容体アゴニスト(例えばO’Brianら,Lancet 359(9313):1209−10,2002年6月4日発行参照)は循環血液減少性(例えば出血性)又は血管拡張性(例えば敗血症性)ショック、出血性食道静脈瘤(BEV)、肝腎症候群(HRS)、心肺蘇生及び麻酔による血圧低下等の救急疾患及び症状の治療における臨床用として関心が高まっている。また、起立性低血圧、穿刺による循環機能障害、術中出血又は熱傷デブリドマンに伴う出血及び鼻出血の治療や、流涙/涙液生成の増加による各種眼病の治療に臨床利用できることも示されている。 救急症状の治療には、動脈圧を制御することが非常に望ましく、使用される薬剤は一般に静脈内投与される。所望程度の制御を行う実地手段は速度を増減させながら薬剤を静脈内点滴する方法である。薬剤が所謂「定常状態」血漿濃度に達するまでの時間は点滴する薬剤の排泄半減期に依存する。薬剤の排泄半減期の3倍に等しい時間後に定常状態血漿濃度に達すると一般に認められている。臨床条件下で実地に行うためには、約2時間以内、好ましくは1時間以内に定常状態の所望動脈圧に達する必要がある。従って、排泄半減期が1時間よりも長いV1aアゴニストは救急治療に有用であるとは一般に認められない。 多くの救急状況におけるテルリプレッシンの1つの欠点は作用期間が長いため、疾患状態の変化に応じてその効果を変化させにくいという点である。例えば一般に用量を減らすようにヒトV1a(hV1a)受容体に対するテルリプレッシンの効力を改善することも必要である。 F180として知られる化合物(米国特許第5,459,236号の実施例3参照)も大半の救急症状の治療には作用時間が長いという欠点がある。 例えば[Phe2,Orn8]OT(米国特許第3,352,843号の実施例1f参照)やアルギニン−バソプレッシン(AVP)等の他の既存化合物には非特異的受容体アゴニスト活性という大きな欠点がある。V1b、V2及びオキシトシン(OT)受容体等の関連受容体に対する活性は望ましくない副作用と安全性の問題を生じる可能性がある。1例として、V2受容体活性化は抗利尿作用(デスモプレッシン)、凝血/血栓溶解因子の放出、反射性頻脈を伴う血管拡張/血圧低下を誘発する可能性がある。後者副作用はOT受容体アゴニスト活性により誘発される場合もある。 本発明の目的は救急症状の治療に特に有用な化合物を提供することである。 本発明は一般式(I)(配列番号53):[式中、Arは芳香族炭素環系、5員又は6員複素芳香族環系及び二環式複素芳香族環系から選択されるアリール基であり;mは1、2及び3から選択され;nは0、1、2、3及び4から選択され;pは2、3及び4から選択され;R1、R2及びR3は独立してH、OH、アルキル、O−アルキル及びOC(O)−アルキルから選択され;アルキルはC1−6直鎖及びC4−8分岐鎖アルキルから選択され、場合により少なくとも1個のヒドロキシル置換基をもち;n=0のとき、R1とR2は場合により一緒になって炭素原子数2〜5の含窒素環構造を形成し;但し、Arがフェニル(アミノ酸番号2がPhe)であり、m=2、n=0、R1=R2=H(アミノ酸番号4がGln)であり、pが3又は4であるとき、R3はH以外のものである]により表される化合物とその溶媒和物及び医薬的に許容可能な塩に関する。 アミノ酸番号8はR3=H且つp=3の場合にはOrnであり、R3=H且つp=4の場合にはLysである。 本発明の目的では、以下の用語を使用する。 芳香族炭素環系としてはフェニルとナフチルが挙げられる。 5員複素芳香族環系とは1、2又は3個の環原子が独立してN、O及びSから選択される環原子数5の単環式芳香族環系である。好ましいこのような環系はチエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル及びテトラゾリルから構成される群から選択される。 6員複素芳香族環系とは1、2又は3個の環原子が独立してN、O及びSから選択される環原子数6の単環式芳香族環系である。このような環系はピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル及びピリダジニルから構成される群から選択することが好ましい。 二環式複素芳香族環系とは2個の5員もしくは6員複素芳香族環、又はフェニルと5員もしくは6員複素芳香族環、又はフェニルと複素環、又は5員もしくは6員複素芳香族環と複素環が環縮合により結合しており、1、2又は3個の環原子が独立してN、O及びSから選択される環原子数8〜12の環系である。このような環系はインドール、キノリン、テトラヒドロキノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、1,4−ベンゾジオキサン、クマリン、ベンゾフラン、1,2−ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ピロリジジン及びキノリジジンから構成される群から選択することが好ましい。 ヘテロシクリルないし複素環部分とは1、2又は3個の環原子が独立してN、O及びSから選択される環原子数3〜7の飽和又は部分飽和環系である。ヘテロシクリル部分はアジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ジオキソラン、テトラヒドロフラニル、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラニル、1,4−ジオキサニル、ホモピペリジニル、ホモピペラジニル及びヘキサメチレンオキシドから構成される群から選択することが好ましい。 C1−6直鎖アルキルなる用語は該当直鎖の結合部位に無関係であるのでこの用語は例えばイソプロピル基や2−n−ブチル基も含むと言うことができる。 C1−6とは炭素原子数が1〜6であることを意味し、この範囲の任意値を含み、本明細書ではこの命名法を同様に使用する。 医薬的に許容可能な塩の例としては酸付加塩が挙げられ、例えばハロゲン化水素酸(例えば塩酸)、鉱酸(例えば硫酸、リン酸及び硝酸)、及び脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環スルホン酸又はカルボン酸(例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、琥珀酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、ピルビン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、エンボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ハロベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸)との反応により形成される塩が挙げられる。 Arはフェニル、2−又は3−チエニル、2−又は3−フリル、2−、3−又は4−ピリジル及び2−、4−又は5−チアゾリルから選択することが好ましい。特にR1はHであることが好ましい。 好ましい実施形態ではpは2又は3である。 R2はH、OH、CH3、CH2CH3、CH(CH3)2、CH(CH2OH)2、CH(OH)CH3(両エナンチオマー)、OCH3及びOCH2CH2OHから選択することが好ましい。 更に、R3はH、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル及びi−アミルから選択することが好ましい。 最も好ましい実施形態では、式(I)をもつ前記化合物は下式(記載順に夫々配列番号1〜7):から構成される群から選択することが好ましい。 括弧内の数字は以下に記載する化合物を表す。 更に、本発明は医薬用としての上記化合物に関する。 従って、本発明は医薬的に許容可能なアジュバント、希釈剤又はキャリヤーと共に活性成分として上記化合物を含有する医薬組成物にも関する。 医薬組成物は経口、静脈内、局所、腹腔内、鼻孔内、口腔、舌下もしくは皮下投与又は例えばエアゾール即ち空気に浮遊させた微粉形態の気道投与に用いることができる。従って、組成物は例えば錠剤、カプセル剤、散剤、微粒子、顆粒剤、シロップ、懸濁液、溶液、経皮パッチ又は座剤の形態とすることができる。 なお、本発明の組成物は場合により上記に概説した化合物の2種以上を加えてもよい。 本発明の医薬組成物は場合により例えば崩壊剤、結合剤、滑沢剤、フレーバー剤、防腐剤、着色剤及びその任意混合物から選択される少なくとも1種の他の添加剤を添加してもよい。前記及び他の添加剤の例は“Handbook of Pharmaceutical Excipients”,A.H.Kibbe編,第3版,American Pharmaceutical Association,USA and Pharmaceutical Press UK,2000に記載されている。 本発明の医薬組成物は経口投与に用いることが最も好ましい。本発明の医薬組成物は本発明の化合物の滅菌水性製剤とすることができ、レシピエントの血液と等張にすることが好ましい。この水性製剤は適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して公知方法に従って調製することができる。適切な医薬製剤の典型例は注射用水性製剤Remestyp(登録商標)(テルリプレッシン)である。製剤は希釈剤又は溶媒中の注射用滅菌溶液又は懸濁液(例えば1,3−ブタンジオール溶液)でもよい。許容可能な希釈剤の典型例は水、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液である。滅菌不揮発性油も溶媒又は懸濁媒体として使用することができる。合成モノ又はジグリセリドや脂肪酸(例えばオレイン酸)等の低刺激性不揮発性油も使用できる。 更に、本発明は循環血液減少性又は血管拡張性ショック、BEV、HRS、心肺蘇生、麻酔による血圧低下、起立性低血圧、穿刺による循環機能障害、術中出血又は熱傷デブリドマンに伴う出血及び鼻出血の治療、並びに流涙/涙液生成の増加による各種眼病の治療用医薬の製造における上記に概説した化合物の使用に関する。 別の実施形態において本発明は循環血液減少性又は血管拡張性ショック、BEV、HRS、心肺蘇生、麻酔による血圧低下、起立性低血圧、穿刺による循環機能障害、術中出血又は熱傷デブリドマンに伴う出血及び鼻出血の治療、並びに流涙/涙液生成の増加による各種眼病の治療方法として、ヒトを含む動物患者に治療有効量の上記に概説した化合物を投与することを含む方法に関する。 本発明の化合物の典型的投与量は広い範囲をとり、各患者の個々の必要性及び投与経路等の各種因子により異なる。点滴による投与量は一般に0.01〜200μg/kg体重/時の範囲内である。当分野の通常の知識をもつ医師は現況に合うように投与量を最適化することができよう。 使用する略語は以下の通りである。Abu 2−アミノ酪酸Boc tert−ブトキシカルボニルBOP ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスジメチルアミノホスホニウムDbu 2,4−ジアミノ酪酸DCC N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドDCHA ジシクロヘキシルアミンDCM ジクロロメタンDIAD ジアゾジカルボン酸ジイソプロピルDIC N,N’−ジイソプロピルカルボジイミドDIEA N,N−ジイソプロピル−N−エチルアミンDMF N,N−ジメチルホルムアミドFm 9−フルオレニルメチルFmoc 9−フルオレニルメトキシカルボニルHgn ホモグルタミンHmp 2−ヒドロキシ−3−メルカプトプロピオン酸HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾールHPLC 高性能液体クロマトグラフィーi イソMmt 4−メトキシトリチルMob p−メトキシベンジルMS 質量分析Orn オルニチンPh フェニルPr プロピルPyBOP ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジンホスホニウムo−NBS−Cl 塩化2−ニトロベンゼンスルホニルOT オキシトシンRt 保持時間TFA トリフルオロ酢酸TIS トリイソプロピルシランTMOF オルトギ酸トリメチルTPP トリフェニルホスフィンTrt トリチルVT バソトシン,[Ile3]バソプレッシン。 特に指定しない限り、L−アミノ酸を使用し、従来のアミノ酸用語に従う。 実験(合成) アミノ酸誘導体及び樹脂は商業的供給業者(Novabiochem,Bachem Peptide International及びPepTech Corporation)から購入した。Fmoc−Hgn−OHは文献(Wisniewski,K.,Kolodziejczyk,A.S.Org.Prep.Proced.Int.1997,29,338−341)に従って合成した。他の薬品及び溶媒はSigma−Aldrich、Fisher Scientific及びVWRから購入した。 本明細書に記載する化合物はFmoc及びBoc法の両者を使用して固相ペプチド合成化学の標準方法により合成した。特に指定しない限り、全反応は室温で実施した。上記に引用した文献に加え、以下の標準参考文献は一般実験構成や、必要な出発材料及び試薬の入手方法について記載している。Kates,S.A.,Albericio,F.編,Solid Phase Synthesis.A Practical Guide,Marcel Dekker,New York,Basel,2000;Stewart,J.M.,Young,J.D.Solid Phase Synthesis,Pierce Chemical Company,1984;Biselloら,J.Biol.Chem.1998,273,22498−22505;及びMerrifield,J.Am.Chem.Soc.1963,85,2149−2154。 合成したペプチドの純度は分析用逆相HPLCにより測定することができる。ペプチドの構造的完全性はアミノ酸分析とエレクトロスプレー質量分析を使用して確認することができる。 Fmoc法により合成したペプチドはTFA/TIS/H2O 96/2/2(v/v/v)溶液を使用して開裂させ、Boc法の開裂は90%HF/10%アニソール(v/v)溶液を使用して実施した。ジスルフィド架橋(環)形成は10%TFA(水溶液)に溶かした直鎖ペプチドをヨウ素で酸化することにより実施した。リン酸トリエチルアンモニウム緩衝液(水溶液)中分取HPLCによりペプチドを精製した。最後に従来のHPLC法を使用して化合物を酢酸塩に変換した。純度が97%を上回るフラクションをプールして凍結乾燥した。 8位にアルキル化側鎖をもつペプチドの合成: Fmoc法によりペプチドを合成した。8位のジアミノ酸残基にメトキシトリチル(Mmt;Barlos,K.ら, Peptides 1992,Schneider,CH.,Eberle,A.N.編,ESCOM Science Publishers B.V.,1993,pp 283−284参照)等の酸レービル(即ち1−2%TFA溶液で除去可能な)保護基を導入した。樹脂に結合したペプチドをDCM/TIS/TFA 93/5/2(v/v/v)溶液で処理し、Mmt基を除去した。アセトン/NaBH(OAc)3で還元アルキル化し、N−イソプロピルペプチドを得た。 直鎖アルキルアルデヒドを使用する場合には上記手順の還元アルキル化では望ましくないN,N−ジアルキル化が生じる可能性があるのでこれを避けるために、Mmt除去後にアミノ基を先ず塩化2−ニトロベンゼンスルホニル(o−NBS−Cl;Fukuyama,T.;Jow,C.−K.;Cheung,M.Tetrahedron Lett.1995,36,6373−6374参照)で誘導体化する別法が開発された。得られたスルホンアミドを次に一般には1,2−ジメトキシエタン中TPP/DIADを使用して従来の光延反応条件下で適当なアルコールでアルキル化した(Mitsunobu,O.Synthesis 1981,1−28)。次にDMF中5%チオフェノール酸カリウムでo−NBS−Cl基を除去した後にペプチドを樹脂から開裂させた。 4位にN−アルキル化側鎖をもつペプチドの合成: Boc法によりペプチドを合成した。4位の残基をBoc−Asp(OFm)−OHとして配列に導入した。ペプチド合成の完了後、DMF中30%ピペリジンで側鎖保護基を除去した。得られた遊離カルボン酸基をPyBOP又はBOP/DIEAにより適切なアミンとカップリングすることにより所望アミドに変換した。次にN末端Boc基を除去した後にHF開裂、環化及びHPLC精製した。 表1は上記手順により製造した化合物を示す。配列番号7ではR1をCH3としたが、それ以外の全化合物においてR1はHである。アステリスク「*」は最も好ましい実施形態を示す。 以下、詳細な実施例により合成を更に例証する。 化合物1;[Phe2,Hgn4,Orn(i−Pr)8]VT: 使用したアミノ酸誘導体はBoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Phe−OH、Fmoc−Ile−OH、Fmoc−Hgn−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Orn(Mmt)−OH及びFmoc−Gly−OHとした。Fmoc−Hgn−OHは上記のように合成した。分析用HPLCは流速2ml/分でVydac C18,5μ 4.6×250mmカラムを使用してWaters 600 Liquid Chromatographで実施した。分取HPLCは流速100ml/分でPrepak 47×300mmカートリッジを使用してWaters 2000 Liquid Chromatographで実施した。最終化合物分析は流速0.3ml/分でVydac C18,5μ 2.1×250mmカラムを使用して1100 Agilent Liquid Chromatographで実施した。質量スペクトルはFinnigan MATスペクトロメーターで記録した。 Tentagel−S−RAM樹脂(Peptides International)2g(0.5mmol)から出発してApplied Biosystems 9050 Peptide Synthesiserで完全保護ペプチド樹脂を合成した。DIC/HOBtにより4倍量のアミノ酸誘導体と単一カップリングを実施した。DMF中20%ピペリジンでFmoc基を除去した。自動合成が完了したら、樹脂を手動合成容器に移し、DCM/TIS/TFA 93/5/2(v/v/v)溶液(30ml)で2×1.5時間処理し、Mmt基を除去した。樹脂をDCMで十分に洗浄した後、1,2−ジクロロエタン/TMOF 1:1(v/v)15mlに懸濁した。次にアセトン0.2mlを加えた後、NaBH(OAc)3 0.6gを加えた。懸濁液を一晩振盪し、樹脂をメタノール、DMF及びDCMで洗浄し、減圧乾燥した。次に樹脂をTFA/TIS/H2O 96/2/2(v/v/v)溶液30mlで1.5時間処理した後、濾別した。濾液を蒸発させ、粗直鎖ペプチドをジエチルエーテルで沈殿させた。沈殿をすぐに10%TFA(水溶液)500mlに溶かし、黄色が持続するまで溶液を磁気撹拌下に0.1M I2メタノール溶液を加えることによりペプチドを酸化した。過剰のヨウ素をアスコルビン酸で還元した。次に反応混合物を砕氷で冷却し、濃アンモニア(水溶液)を加えることによりpHを約5に調整した。混合物をHPLCカラムにロードし、pH5.2のリン酸トリエチルアンモニウム緩衝液を使用して精製した。化合物をアセトニトリル勾配で溶離した。純度が97%を上回るフラクションをプールし、得られた溶液を水2容量で希釈した。溶液をカラムに再ロードした後、0.1M酢酸アンモニウム(水溶液)2リットルで洗浄し、2%酢酸(水溶液)で平衡化した。化合物を高速(3%/分)アセトニトリル勾配で溶離した。所望生成物を含むフラクションをプールし、凍結乾燥した。白色非晶質粉末168mg(〜30%収率)が得られた。HPLC:Rt=8.5分,勾配:20→40%B20分,t=40℃,溶媒A 0.01%TFA(水溶液),溶媒B 70%CH3CN,0.01%TFA(水溶液);純度:98.8%;MS(M+H+):予想値1048.5,実測値1048.5。 化合物4;[Phe2,Asn(Et)4,Dbu8]VT: 使用したアミノ酸誘導体はBoc−Cys(Mob)−OH、Boc−Phe−OH、Boc−Ile−OH、Boc−Asp(OFm)−OH、Boc−Asn−OH、Boc−Pro−OH、Boc−Dbu(ベンジルオキシカルボニル)−OH DCHA塩及びBoc−Gly−OHとし、いずれもNovabiochemとBachemから購入した。HPLC及びMS操作は化合物1の合成と同様に実施した。 4−メチル−ベンズヒドリルアミン樹脂(Novabiochem)0.6g(0.4mmol)から出発して完全保護ペプチド樹脂を手動合成した。DCC、PyBOP又はDIC/HOBtにより2.5倍量のアミノ酸誘導体との単一カップリングを使用した。1%m−クレゾールを添加したDCM中50%TFAでBoc基を除去した。合成が完了したらDMF中30%ピペリジンで2×30分間処理することによりアスパラギン酸のβ−カルボン酸基から9−フルオレニルメチルエステルを除去した。樹脂をDMF中1M HOBt溶液で30分間洗浄した後、DMF単独で洗浄した。遊離カルボン酸基をDMF中2mmolエチルアミンPyBOP/DIEAで一晩処理することによりアミド化した。最終樹脂をメタノール、DMF及びDCMで洗浄し、減圧乾燥した。アニソール3mlを加えた無水HF30mlを使用することにより0℃で90分間ペプチドを樹脂から開裂させた。HFを蒸発させ、粗直鎖ペプチドをジエチルエーテルで洗浄した。ペプチドをすぐに25%アセトニトリル/10%TFA(水溶液)200mlに溶かし、上記のように酸化した。得られた混合物をHPLCカラムに直接ロードし、pH2.3のリン酸トリエチルアンモニウム緩衝液を使用して精製した。後続精製段階は化合物1の手順と同一とした。白色非晶質粉末41mg(〜10%収率)が得られた。HPLC:Rt=10.0分,勾配:20→40%B20分,t=40℃,溶媒A 0.01%TFA(水溶液),溶媒B 70%CH3CN,0.01%TFA(水溶液);純度:100%;MS(M+H+):予想値992.5,実測値992.2。 これらの合成手順の同様の変形例により他の化合物を製造した。 実験(生物試験) In vitro受容体アッセイ: ホタルルシフェラーゼの発現を調節する細胞内カルシウム応答性プロモーターエレメントを含むレポーターDNAと共にhV1a受容体発現DNAをHEK−293細胞に一過的にトランスフェクトすることによりhV1a受容体に対する化合物のアゴニスト活性を測定した。このアッセイの詳細な手引きについてはBoss,V.,Talpade,D.J.,Murphy,T.J.J.Biol.Chem.1996,May 3;271(18),10429−10432参照。用量当たり10倍に希釈した化合物の連続希釈液に細胞を5時間暴露した後、細胞を溶解させ、ルシフェラーゼ活性を測定し、化合物効力とEC50値を非線形回帰により測定した。アルギニン−バソプレッシン(AVP)を各実験で内部対照として使用し、少なくとも3回の独立した実験で化合物を試験した。選択性を測定するために、ヒトオキシトシン(hOT)受容体を発現するルシフェラーゼ転写レポーターアッセイで化合物を試験した。他の受容体(hV2,hV1b,ラットV1a及びラットV2)のアッセイも実施した。 更に比較の目的で他の参照化合物[Phe2,Orn8]OT、テルリプレッシン及びF180を使用した。[Phe2,Orn8]OTの構造は以下の通り(配列番号51)である。 F180の構造は以下の通り(配列番号52)である。 in vitroアッセイの結果を下表2に示す。記載するEC50値はナノモル/L(nM)で表した幾何平均である。選択性値はEC50比として示す。 In vivo薬理試験: AVPの標準用量に対する相対値として化合物のin vivo作用時間を試験した。麻酔したSprague−Dawley雄ラット(体重270−300g)の頸静脈と頸動脈にカテーテルを挿入して血圧測定を実施した。カテーテルを挿入した頸動脈を使用して血圧を連続的にモニターし、頸静脈を使用して試験化合物を投与した。V1a受容体アゴニストに対する応答性を強化するためにラットに投与前にジベナミンを静脈内注射した(Dekanski,J.,Br.J.Pharmacol.1952,7,567−572参照)。投与手順は生理的食塩水の静脈内注射後に標準用量のAVP(0.1nmol/kg,〜ED70)を2回続けて注射し、AVPの標準用量と少なくとも同等の応答が得られるように選択した漸増用量の所与化合物を3〜5回注射した。投与間隔は血圧が安定な基線まで低下する時間として設定した。 作用時間の測定は拡張期動脈圧の一過性上昇の減衰率に基づいて実施した。具体的には、血漿濃度の指数的減衰に関して、分配相を越える応答が測定される場合にはEC50付近の減衰率は線形であり、排泄半減期に反比例することが明らかである(Rowland,M.and Tozer,T.“Clinical Pharmacokinetics,Concepts and Applications”,第3版,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,1995)。 所与化合物の応答減衰率を測定するために、標準用量のAVPの2回目の注射に対する応答振幅にできるだけ近い応答振幅が得られる用量を選択した。V1a応答性の個体間変動を正規化するために、この参照AVP応答の減衰率と各試験ラットの等効力用量の減衰率の比として作用時間を表した。試験化合物で得られた結果を表2に示す。 全引用文献は本明細書の一部とみなす。 下式(記載順に夫々配列番号1〜6):から構成される群から選択される化合物。 構造式(配列番号7):をもつ化合物。 医薬用としての請求項1または2に記載の化合物。 医薬的に許容可能なアジュバント、希釈剤又はキャリヤーと共に活性成分として請求項1または2に記載の化合物を含有する医薬組成物。 循環血液減少性又は血管拡張性ショック、出血性食道静脈瘤、肝腎症候群、心肺蘇生、麻酔による血圧低下、起立性低血圧、穿刺による循環機能障害、術中出血又は熱傷デブリドマンに伴う出血及び鼻出血の治療、並びに流涙/涙液生成の増加による各種眼病の治療用医薬の製造における請求項1または2に記載の化合物の使用。 循環血液減少性又は血管拡張性ショック、出血性食道静脈瘤、肝腎症候群、心肺蘇生、麻酔による血圧低下、起立性低血圧、穿刺による循環機能障害、術中出血又は熱傷デブリドマンに伴う出血及び鼻出血の治療、並びに流涙/涙液生成の増加による各種眼病を治療するための、請求項4に記載の医薬組成物。配列表