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タイトル:特許公報(B2)_mAbCL1−R2から得られる抗CD160特異的化合物の血管新生と免疫の用途
出願番号:2007525269
年次:2013
IPC分類:A61K 39/395,A61P 35/00,A61P 15/00,A61P 3/10,A61P 27/02,A61P 29/00,A61P 19/02


特許情報キャッシュ

ベンスーザン アルマン ブームセル ロランス ル ブテイエ フィリップ JP 5162239 特許公報(B2) 20121221 2007525269 20050809 mAbCL1−R2から得られる抗CD160特異的化合物の血管新生と免疫の用途 インサーム (インスティテュート ナショナル デ ラ サンテ エ デ ラ ルシェルシェ メディカル) 507042442 正林 真之 100106002 高岡 亮一 100114775 林 一好 100120891 加藤 清志 100122426 ベンスーザン アルマン ブームセル ロランス ル ブテイエ フィリップ EP 04292015.7 20040809 20130313 A61K 39/395 20060101AFI20130221BHJP A61P 35/00 20060101ALI20130221BHJP A61P 15/00 20060101ALI20130221BHJP A61P 3/10 20060101ALI20130221BHJP A61P 27/02 20060101ALI20130221BHJP A61P 29/00 20060101ALI20130221BHJP A61P 19/02 20060101ALI20130221BHJP JPA61K39/395 NA61P35/00A61P15/00A61P3/10A61P27/02A61P29/00 101A61P19/02 A61K 39/00-44 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) PubMed Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,2002年,Vol.99, No.26,p.16963-16968 13 CNCM CNCM I-3204 EP2005009231 20050809 WO2006015886 20060216 2008517873 20080529 62 20080723 春田 由香 本発明は、抗CD160特異的mAb(ハイブリドーマ寄託番号CNCMI−3204で取得できるCL1−R2)、それに由来する抗CD160特異的化合物、及びこうした抗CD160化合物とmAbの生物学的・医学的用途に関する。 本発明は、より詳しくは、内皮細胞(EC)の血管新生、及び免疫システムの制御に対するNK細胞とT細胞の寄与、を特異的にコントロールし制御するための手段に関する。 本発明の様々な局面は、本発明の抗CD160モノクローナル抗体(mAb)、即ち、本発明者によりCL1−R2と称されるmAb(ハイブリドーマのブタペスト条約寄託CNCMI−3204)又はその保存的等価物を提供又は必要とする共通の特徴を共有する。 本発明は、実際に、細胞傷害性のNKとTサブセット(CD56dimCD16brightCD3−NK、TCD8+、TCRγδ)によって表されることが知られる受容体CD160(以前はBY55とも称された)が、血管新生と免疫システムの双方の制御に関与することを実証する。CD160の構造は、先行技術文献に広範囲に記載されており、例えば、名称DANA−FARBER CANCER INSTITUTEのWO98/21240を参照されたい。内皮細胞と血管新生 既存の血管から新しい毛細血管が生成する血管新生は、胎児の血管の発育と分化、傷の治癒、及び器官再生の重大な要素である。しかしながら、これはまた、腫瘍成長、糖尿病、虚血性眼疾患、及び関節リュウマチなどの新血管新生に依存する病状の進行にも寄与する(Risau, 997; Ferrara, 1997)。血管新生の最も重要なメディエータ、血管内皮成長因子(VEGF)ファミリー、及び繊維芽細胞成長因子ファミリーは、十分に明確であるが、血管新生は、様々な細胞タイプによって発現される遺伝子産物が関与する複雑なプロセスとして位置しており、全ての遺伝子産物は統合された一連の事象に関与する。 名称ABTECHのWO03/018048は、血管新生を抑制する又は血管新生箇所を検出するための2つの可溶性HLAクラスI分子、即ち、sHLA−G1とsHLA−B7の使用に関する。この抗血管新生作用の支持は、sHLA−G1が内皮細胞(EC)の増殖と遊走を抑制するという実証である。また、sHLA−G1とsHLA−B7は、ヌードマウスにヒト前立腺癌細胞を移植することによって誘発された腫瘍の進行を抑制できることが示されている。 また、WO03/018048は、CL1−R2と称される抗CD160抗体が、sHLA−Gによって発揮されるEC遊走への作用を抑制すると述べている。そのことから、BY55が、sHLA−Gの内皮受容体であり得ると推定される(公開WO03/018048の第23頁3〜8行参照)。 しかしながら、当業者は、WO03/018048が、記載のCL1−R2抗体の公に入手可能な源を何ら与えないと気付くであろう。 一方、sHLA−G1とsHLA−B7のような可溶性HLAは、多くの受容体にとって天然リガンドである。 したがって、含まれるメカニズムの解明を可能にする血管新生のシグナル伝達経路に十分特異的な手段に対して、従来技術においてニーズが存在している。また、必ずしもシグナル伝達経路を邪魔することなく、血管新生の特異的コントロールを発揮することができる医学上有用な化合物を提供する特異性もまた必要とされている。NKとT細胞と免疫システム NK細胞は、ウイルス感染又は腫瘍細胞に対して導かれる先天性免疫において役割を果たすリンパ球のサブセットを構成する。それらのエフェクター機能は、標的細胞の死滅とサイトカイン生成である。NK細胞は、標的細胞の死滅を仲介するために細胞表面で発現する抑制性でアクティブな受容体と、特異的リガンドとの相互作用時のサイトカイン放出のコンビネーションを利用する。標的細胞上に存在するこれらのリガンドと特定の会合をすると、それらは、標的細胞のアポトーシスに寄与するパーフォリンとグランザイムを含む細胞溶解性の顆粒を放出する。感受性の標的細胞と接触すると、それらはまた、T細胞機能を制御することにより、適応性免疫を調節する先天性免疫反応の早期に、IFN−γ、TNF−α、及びGM−CSFなどの多数のサイトカインを生成する。炎症性組織と二次リンパ器官の双方におけるNK細胞によるIFN−γの放出は、樹状細胞が惹起した適応性免疫反応に影響する。また、子宮NK細胞によって分泌されるIFN−γは、妊娠中の胎盤の発達と血管新生をコントロールすることができる。 さらに、僅かだけのヒト活性化NK細胞受容体が、特定の会合後にサイトカイン生成を引き起こすことが示されている。KIR2DL4(CD158d)は、休止又は活性化NK細胞において、IFN−γ生成を引き起こす。CD16は、Ab依存性の細胞障害活性(ADCC)に応答できる低親和性のFcγRIII受容体である。CD16を経由したシグナル伝達は、IFN−γ、GM−CSF、及びいくつかのケモカインなどのサイトカインの生成の引金を引く。抗NKp30又は抗NKp46mAbを用いた活性化NK細胞のインキュベーションは、NK細胞によるIFN−γ生成をもたらした。ストレス誘発性のMICAとMICB分子及び分子のULBPファミリーを認識してNK細胞仲介細胞傷害性の主要な役割を果たすヒトNKG2D活性化受容体は、恐らく、特異性mAbによって引金を引かれた後はサイトカインを生成することができない。 CD8+などのT細胞とCD4+T細胞もまたサイトカインを生成する。ThI細胞はIL−2とIFNγを生成し、一方で、Th2細胞はIL−4を生成する。CD8+T細胞のエフェクター機能は、部分的に、CD4+T細胞のそれと重なる。ナイーブT細胞は、明確なサイトカインパターンを有する少なくとも2つのサブセットに分化することができ、T細胞障害性1細胞は、Th1のようなサイトカインパターンを分泌し、一方で、T細胞障害性2細胞は、Th2サイトカインを分泌する。現状では、IFN−γを典型的なタイプ1サイトカインを表わすと考えるのが習慣であり、一方で、タイプ2応答のサインサイトカインはIL−4である。 サイトカインは、抗体生成B細胞クローンの分化と刺激及び細胞傷害性T細胞の細胞編成作用に介入する。同様に、サイトカインの分泌は、NK細胞の細胞破壊能力、及びいろいろな歯垢成分を食菌するマクロファージの能力に影響する。 本発明は、サイトカイン生成の上方又は下方制御を特異的にコントロールする手段を提供する。その手段は、CD160シグナル伝達経路に特異的に作用する。 これまでに報告されているいろいろな活性化NK細胞受容体の中で、CD160は、唯一の、大部分の循環性NK細胞上に非クローン的に発現した受容体である。CD160+細胞は、非増殖型の高度に細胞溶解性のCD56dimCD16+NKサブセットに対応する。HLA−C分子によるCD160の活性化は、細胞傷害性機能を仲介する。 CD160は、循環性CD56dimCD16brightCD3−NKによって発現し、これは大部分のPB−NK細胞を構成する。 CD56dimNK細胞のサブセットは、より自然に細胞傷害性であり、単球による活性化に続いて、CD56brightサブセットよりも少ない量のサイトカインを生成する。CD56dimNK細胞サブセットもまた、ケモカイン受容体と接着分子の特異的パターンを発現する。こうした表現型は、最終分化したエフェクター細胞の特徴である。CD160+NK細胞は、高い細胞傷害活性の可能性を有し、IL−2により増殖せず、HLA−Cと相互作用すると細胞溶解を仲介する。 これまでに報告された別なヒトNK細胞受容体と異なり、CD160受容体は、次の理由により独特と思われる。それは、ヒト染色体1に位置する遺伝子によってコード化され、グリコシルフォスファチジルイノシトール(GPI)アンカリング分子であり、その細胞面発現は、IL−2とIL−15などのサイトカインによって仲介されるNK細胞活性により下方調節される。キラー細胞Ig状の抑制性受容体について報告されたように、CD160は、γδT細胞、及びαβCD8+T細胞のサブセットによってもまた発現される。 本発明は、抗CD160モノクローナル抗体(CNCM寄託番号I−3204の下で取得できるハイブリドーマTM60より入手可能なmAbCL1−R2)、及びその保存的抗CD160等価物に関する。より詳しくは、EC血管新生の分野におけるこれらの抗CD160化合物の用途、及びNKとTサイトカイン生成に関する。 本発明は、実際に、CD160が内皮細胞(EC)によって発現し、本発明の抗CD160化合物がCD160活性化リガンドとして作用し得ることを実証する。本発明の抗CD160化合物によるCD160シグナル伝達経路の刺激は、抗血管新生効果を引き起こす。 また、本発明はまた、CD160が、細胞傷害性NKとTサブセットのみならず、IL−15(細胞傷害活性を発現)とともに培養されたCD4+T細胞によっても発現し、本発明の凝集した抗CD160化合物によるCD160刺激がサイトカイン生成をもたらすことを実証する。このようにして得られるサイトカインの特性は、別のNK発現受容体の刺激によって得られるものに比較して独特である。またそれは、天然リガンド(膜結合性HLA)によるCD160刺激によって誘導されるサイトカインの特性に非常によく類似するという意味において独特である。これらのサイトカインは、特に、IFN−γ、TNF−α、及びIL−6を含む。天然リガンドではないが、NK細胞からIL−6生成を誘導し得る化合物を初めて提供するものである。細胞膜HLA分子によって誘導されるサイトカイン生成は、可溶形態の本発明の抗CD160化合物、又はCD160結合部位に加えて少なくとも1つのCD158b結合部位を有する本発明の抗CD160化合物のいずれかを用いて抑制することができる。 本発明は、したがって、ハイブリドーマTM60、CL1−R2モノクローナル抗体(mAb)、本発明の抗CD160化合物、それらを含む全ての組成物又はキット、及びそれらの少なくとも1つを含有する全ての薬剤を包含する。本発明はまた、CD160リガンド、CD160膜付随分子、及びCD160の細胞質セカンドメッセンジャーの特定を可能にする手段に関する。 本発明は、本発明者によりCL1−R2と称される抗CD160特異的モノクローナル抗体(mAb)の公に入手可能な源を与える。CL1−R2生成ハイブリドーマは、2004年4月28日のブタペスト条約の規約にしたがい、Collection Nationale de Cultures de Microorganismes C.N.C.M. Institut Pasteurに寄託されている(C.N.C.M. Institut Pasteur 25, rue du Docteur Roux F−75724 Paris Cedex 15 France)。寄託されたハイブリドーマは、CNCM寄託番号I−3204を有する。本発明は、したがって、CNCM寄託番号I−3204の下で利用可能なハイブリドーマTM60と同時に、それから得られる抗CD160mAb(CL1−R2)に関する。 本発明はまた、前記CL1−R2mAbから得られる抗CD160化合物、例えば、CL1−R2フラグメント又は誘導体を提供する。さらに、本発明者は、内皮細胞(EC)と血管新生に関する実証、NK細胞とT細胞及びサイトカイン生成に関する実証を提供する。これらの実証は、前記CL1−R2mAb又はそれから得られる保存的抗CD160化合物を実施するという共通の特徴を共有する。〔ECと血管新生〕 本発明は、これまで、NK細胞の細胞傷害性サブセット及びCD8+とTCRγδT細胞とによって発現することが知られていた受容体であるCD160が、膜受容体としての内皮細胞(EC)によっても発現すること、及びCD160がHLA抗血管新生シグナル伝達を仲介することの実証を提供する。 また、本発明は、WO03/018048で、ECにおいてHLA−G作用を阻害すると言われた抗CD160mAbが、実際はそれを阻害するのではなく、HLA−G作用に類似しているということを実証する。 さらに、本発明は、適切な抗CD160化合物によるCD160の結合、好ましくは架橋が、ECにおけるのVEGF又はFGF2のようなプロ血管新生因子によって引き起こされる血管の生成と成長を抑制することを実証する。このように、本発明は、新しい毛細血管の形成が実際に制御されコントロールされることができるという最初の直接的な実証を提供し、また、その工業的に有効な手段を提供する。したがって、本発明は、現実的な医薬・医療上の適用を提供する。 こうした適用は、特に、新血管新生の活性化によって引き起こされるそれらの病状又は状態の予防、症状の緩和又は治療を含む。これらの状況下で、新血管新生は、前病理的要素として作用する。新血管新生の活性は、そこで、不都合な活性を呈するもの、又は過剰レベルにあるものと見なされる。 こうした新血管新生が与える病状又は状態は、特に、腫瘍成長(例えば、腫瘍類の成長)、糖尿病、虚血性目疾病、及び関節リュウマチを含む。また、それらは子癇前症又は子癇を含み、これらは、胎児と胎盤の境界における不十分な血液供給によって特徴づけられる(母体らせん動脈の不十分又は不適切な血管内栄養膜浸入)。 本発明の有益な局面によると、適切な手段は、CD160への結合についてCL1−R2と競合するのに十分高いCD160への結合親和性を有する抗CD160化合物を含む。 上記のように、CL1−R2は、CNCM寄託番号I−3204の下で到達可能なハイブリドーマによって生成される抗CD160mAbである。それがEC発現CD160に関係するとき、CL1−R2は、可溶形態と同時に凝集形態で使用することができる。両方の形態とも、CD160に結合するとシグナル伝達を引き起こす(即ち、血管新生抑制のシグナルの伝達)。凝集形態は、可溶形態よりも、CD160に対する結合についてより高い親和性を有する。 抗CD160mAbは、HLAリガンドが有しない特異性を有するといった特別な技術的利点を有する。HLAリガンドは、それらがヒトのような生体組織に投与されると、CD160と同時に多くの別な受容体に結合し、それにより、その生体における完全にコントロール不良の連鎖反応を引き起こす。治療上の観点において、HLAリガンドは、このため工業的有用性が証明されていない。 CL1−R2のような抗CD160mAbは、CD160に特異的であり、即ち、それらは、少なくとも生体のような条件下で、基本的にCD160にのみ結合するのに十分なCD160親和性を有する。このため、HLAリガンドとは異なり、抗CD160mAbは、治療上の薬剤として工業的利用性を有する。 本発明は、それゆえ、活性化リガンドとしてCD160に作用することができ、CD160活性化処理を必要とする生物体に投与されるべき薬剤としても有用な薬剤を最初に提供する。要するに、本発明は、最初の治療的上協力的なCD160活性化剤を提供する。 こうした適切な抗CD160の候補リガンドには、当然、CL1−R2そのもの、並びにその保存的フラグメント及び誘導体が含まれる。 また、本発明の1つの局面は、CD160が腫瘍細胞(ルイス肺癌細胞)によって発現するのではなく、腫瘍を囲む又は侵入するECが実際にCD160を発現するという実証を新たに提供することにある。 本発明の抗CD160mAb並びに保存的フラグメント及び誘導体は、それらの細胞膜でCD160分子を発現したB細胞の慢性リンパ球性白血病(CLL)のような悪性細胞に対する治療薬として使用することができる。 本発明の抗CD160化合物は、このため、腫瘍発達の症状を防止、治療、又は軽減するのに非常に有用な手段である。 また、本発明は、CD160に対する結合をスクリーニングすることによる、及び/又はCD160−特異的膜−結合又は細胞質のエフェクターをスクリーニングすることによる、薬剤的に有用な化合物を特定する手段を提供する。こうしたエフェクターは、抗血管新生治療に対する有用な標的を提示する。 CD160は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する。CD160についての記述的情報は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/prow/guide/l660590458_g.htmに見ることができる。ヒトCD160のcDNA配列はWO98/21240(DANA−FARBER CANCER INSTITUTE)にSEQID NO:1(1361bp)として記載されている。 ヒトCD160のmRNA配列は、受入番号AF060981の下でジェンバンクから入手可能であり、マウスCD160のmRNA配列は、AF060982ジェンバンク受入番号を有する。 ヒトCD160のタンパク質配列は、前記WO98/21240にSEQID NO:2として記載され、また、AAC72302受入番号(181aa)の下でジェンバンクから入手可能である。 CD160核酸は、当業者に用いられ得る任意の常套手順にしたがい、CD160発現細胞から単離することができる(例えば、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2nd Ed., Sambrook, Fritsch and Maniatis, Cold Spring Harbor)」、「Current Protocols in Molecular Biology (Eds. Aufubel, Brent, Kingston, More, Feidman, Smith and Stuhl, Greene Publ. Assoc, Wiley−Interscience, NY, N.Y. 1992」に開示の手順参照)。 天然由来のCD160発現細胞は、特に、細胞溶解性NK細胞とT細胞の中に(D56dimCD16+NK細胞、並びに、TCRγδ及びTCRαβ+CD8brightCD95+CD56+CD28−CD27−細胞など)、並びに本発明によれば、外皮細胞と細胞障害性CD+T細胞の中に見出すことができる。 単離したCD160タンパク質とポリペプチドは、CD160発現細胞からの分離による、又は組換え生成によるなどの、当業者に用いられ得る任意の常套手順にしたがって入手することができる(上記文献のマニュアルMolecular Cloning, A Laboratory Manual; Current Protocols in Molecular Biology参照)。 CD160タンパク質は、CD160タンパク質へのアクセスがCD160を発現している細胞の供給を通して得られるので、当然、非単離形態で利用することもできる。したがって、膜受容体としてCD160を発現している細胞は、非単離形態のCD160へのアクセスもまた提供する。 結合実験及び/又は生物活性分析のため、膜受容体としてCD160を発現している細胞は、CD160材料の好ましい源である。こうした細胞の例には、特に、ヒトから採取した細胞溶解活性を有するNK細胞及びT細胞又はEC細胞又は細胞障害性CD4+T細胞、並びに、NK92(ATCC CRL−2407)、HUVEC、又はヒト微小血管内皮細胞(HMVEC)(Cambrex Bio Science, Walkersville, Maryland)のような細胞株が含まれる。 また、CD160タンパク質又はポリペプチドは、密集した形態で提供することもできる。CD160タンパク質又はポリペプチドは、例えば、固体支持体、好ましくは、CD160でコーティングしたビーズのような生物的に不活性な固体支持体に結合させることができる。 このように、本発明は、抗CD160化合物、及びその医療的及び/又は生物的適用に関する。 本発明の抗CD160化合物は、CL1−R2よりも実質的に同じエピトープ上のCD160に結合し、好ましくは、CD160に対する結合について、抗CD160mAbCL1−R2(CNCM I−3204として寄託したハイブリドーマから入手可能)と競合することができる。 好ましくは、本発明の抗CD160は、例えば、CD8αβのようなCD160以外の少なくとも1つのHLA受容体に結合することなく、CD160に対する結合について、十分にCD160特異的である。 さらに、本発明は、本発明の少なくとも1つの抗CD160化合物を含む医薬組成物に関し、ここで前記組成物は、抗血管新生治療における使用を目的とし、特に、抗血管新生薬剤に関する。 また、本発明は、本発明の少なくとも1つの抗CD160化合物を含む医薬組成物に関し、ここで前記組成物は、抗血管新生箇所の検出、及び/又は血管新生を伴う疾病又は状態の治療及び/又は予測を目的とする。 本発明の抗CD160化合物は、抗CD160mAbCL1−R2そのものを含む。 CL1−R2は、CD160に結合したときに抗血管新生作用を引き起こすのに非常に有効であることが証明されているが、これに対し、従来技術は、抗CD160mAbは効果が無いと証明している。このため、CD160上の正しいCD160エピトープを標的にすること、即ち、CL1−R2が結合するものに本質的に類似するエピトープを標的にすることは、所望の効果を得るために重要であると考えられる。このため、本発明の抗CD160化合物は、好ましくは、CL1−R2が結合するものに本質的に類似するエピトロープを有するCD160に結合する。好ましくは、本発明の抗CD160化合物は、ヒトCD160に結合する。 不特定の結合が、抗CD160化合物を受け入れる生物体に不都合な副作用を引き起こすことがある。より詳しくは、sHLA−GのようなsHLAが、抗血管新生効果を必要とする患者(例えば、腫瘍を有する患者)に投与された場合、前記sHLAは、CD160に結合し、ECにおいて望ましい抗血管新生効果を引き起こすであろうが、前記患者中の様々な細胞によって発現する多くの別な受容体にも結合するであろう。sHLA−GのようなsHLAは、特に、T細胞によって発現するCD8αβに結合し、これらのT細胞のアポトーシスを誘発するであろう。こうした抗T効果は、癌のような疾病を患う患者にとって非常に不都合である。 本発明は、十分なCD160特異性を有する抗CD160化合物が、例えば、T細胞のアポトーシスのような不都合でコントロールできない副作用を引き起こすことなく、ECにおいて抗血管新生を引き起こすことを最初に提供する。それゆえ、本発明の抗CD160化合物は、ヒトCD8αβに結合しないことが好ましい。 このmAbから、以下の常套手段にしたがい、当業者により、保存的フラグメントと誘導体を容易に製造することができる。 こうした保存的フラグメントと誘導体は、所望の結合親和性と特異性を有し、即ち、それらはCL1−R2と実質的に同じエピトープに依然として結合し、及び/又はCD160に対する結合についてCL1−R2と競合できるため、「保存的」と見なされ、十分なCD160特異性、例えば、CD8αβのようなCD160以外の少なくとも1つのHLA受容体に結合しない十分なCD160特異性を保有する。 本発明の有益な特徴によると、本発明の抗CD160化合物は、T−、NK−発現受容体CD85j(ILT−2とも称される)に結合しない。好ましくは、それらは、ヒトCD85jに結合しない。好ましくは、本発明の抗CD160化合物は、CD160以外のあらゆるEC受容体と交差反応しない。 最も好ましくは、本発明の抗CD160化合物は、アリル又はブロード特異性のいずれのあらゆる古典的及び非古典的HLA分子とは交差反応しないといった意味で完全にCD160特異性である。これらの受容体には、NKG2ファミリー遺伝子生成物(第12番染色体に位置)の各々に関連するCD8αβ、CD94、及びKIRとILT/LIRファミリーを含む第19染色体に位置する遺伝子の全ての生成物が含まれる。 受容体に対する本発明の抗CD160化合物の結合又は非結合は、生理的条件下、又はインビボ条件を模倣したインビトロ条件下で観察される結合又は非結合を意味する。当業者が前記結合アッセイを行うのに適切と見出した任意の手段及び/又は手順は、化合物がCD160に結合するか、何らかの別なEC受容体に結合しないか、CD8αβに結合しないか、及びCD85jに結合しないかを判断するのに適切である。 例示の条件は、EC(CD160と他のEC受容体を発現)又はCD8+T(CD160とCD8αβを発現)、又は下記に示すようなCD4+T細胞(本発明によって実証されるようなCD160を発現)のような所望の標的を発現する細胞を提供すること、及び前記CD160発現細胞を、その天然リガンドによる細胞発現標的への結合を可能にする化合物濃度、接触時間、pH、及び温度の条件下で、その化合物に接触させることを含む。 ある化合物が、CD160には結合するが、特にCD8αβのような少なくとも1つの別なHLA受容体には結合しないかどうかを評価するための例示の技術には、次のものが含まれる。 ・HLA分子(CD160、CD8αβ等)に結合可能な遺伝子生成物のそれぞれを発現する形質移入細胞を用いたフローサイトメトリー分析、及び/又は ・Biacore(BIACORE AB, Uppsala, Sweden)を用いた、CD160、CD8αβ等のような可溶性の組換え型HLAリガンドによってコーティング可能なセンサーチップ(例えば、センサーチップBR−1000−14, BIACORE AB, Uppsala, スウェーデン) CD160発現細胞の源には、健常人から収集したEC、又はNK92(ATCC Number CRL−2407)、HUVEC、HMVEC(Cambrex Bio Science, Walkersville, Maryland, U.S.A.)のような細胞株からのECが含まれる。 CD8αβ発現細胞の源には、健常人から収集したCD8+T細胞のようなCD8+T細胞、又はMOLT−4(ATCC Number CRL−1582)のような細胞株からのCD8+Tが含まれる。 CD85j発現細胞の源には、健常人から収集したCD85j+T細胞又は単球のようなCD85j+T細胞、又はNAMALWA(ATCC Number CRL−1432)のような細胞株からのCD85j+T細胞が含まれる。 好ましい源は、標的受容体のヒト形態を発現するものである。 人間のCD160の配列は、受入番号NM_007053(核酸)とCAG46686(タンパク質)の下でNCBIデータバンクから入手可能である。人間のCD8αの配列は、受入番号M27161(核酸)とAAA59674(タンパク質)の下でNCBIデータバンクから入手可能である。人間のCD8βの配列は、受入番号M36712(核酸)とAAA35664(タンパク質)の下でNCBIデータバンクから入手可能である。人間のCD85jの配列は、受入番号BC015731とNM_006669M36712(核酸)、及びAAH15731とNP_006660.1(タンパク質)の下でNCBIデータバンクから入手可能である。 本発明の抗CD160化合物は、抗血管新生剤であり、したがって、癌腫又は白血病(例えば、B細胞の慢性リンパ性白血病)のような腫瘍の予防又は治療に有用である。 また、それらは、子癇前症又は子癇の予防又は治療、及び/又は糖尿病、虚血性眼疾患、及び関節リュウマチの予防又は治療に有用である。 本発明の例示の抗CD160化合物には、前記CL1−R2mAbが含まれる。このmAbの保存的フラグメントから、以下の常套手順にしたがい、当業者によって誘導体を製造することができる。こうした保存的フラグメントと誘導体は、前記CL1−R2mAbの機能上均等物である。 「抗体フラグメント」は、重鎖、軽鎖、VH、VL、Fab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2等のような抗体の一部、並びに、高度可変領域(CDRlH、CDR2H、CDR3H、CDRlL、CDR2L、CDR3L)に類似するアミノ酸残基からなる各々の最小認識単位である。こうしたフラグメントは、タンパク分解のような常套手順によって入手可能である(例えば、F(ab’)を発生するペプシン消化、Fabを発生するパパイン消化)。 本発明の好ましいフラグメントは、保存的であるもの、即ち、前記の望ましいCD160の結合親和性と特異性を保持したCL1−R2フラグメントである(即ち、CL1−R2と実質的に同じエピトープでCD160に結合し、CD160に対する結合について、CL1−R2と競合することができる特徴、及び、例えば、CD8αβのようなCD160以外の少なくとも1つのHLA受容体に結合することなくCD160に結合する特徴を保持する)。mAbCL1−R2の好ましい保存的フラグメントには、前記mAbCL1−R2のFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、又はFvフラグメントが含まれる。 こうした保存的フラグメントは、そのようなものとして、生物学的及び/又は医学的用途に用いることができる。 しかしながら、単離した形態におけるCL1−R2CDRのような非保存的フラグメントも、それらが一緒に結合してCL1−R2の保存的誘導体を形成し得るため、本発明の目的物である。 また、本発明の抗CD160化合物には、前記mAbCL1−R2の保存的誘導体、即ち、下記の任意の抗CD160化合物が含まれる。 ・少なくとも1つのCL1−R2フラグメント(好ましくはCL1−R2の少なくとも1つのCDR、好ましくはCL1−R2の少なくとも1つのCDR3)を含むといった意味でCL1−R2誘導体であるもの、及び ・得られる誘導体がCD160に対する結合の親和性を保持し、前記CD160結合特異性もまた保持するという意味で保存的でもあるもの(即ち、CL1−R2と実質的に同じエピトープでCD160に結合し、CD160に対する結合について、CL1−R2と競合することができる特徴、及び、例えば、CD8αβのようなCD160以外の少なくとも1つのHLA受容体に結合することなく、CD160に結合する特徴を保持する)。 CL1−R2から、合成及び/又は遺伝子操作を通して、当業者により保存的誘導体が実際に得られる。例示の保存的誘導体は、当業者により我々の常套手順にしたがって得られる。 本発明の保存的誘導体は、一価(1つのCD160結合部位)又は多価(少なくとも2つのCD160結合部位)であってもよい。好ましい多価の保存的誘導体には、四価の保存的誘導体が含まれる。 それらには、例えば、別な抗体に由来するFcフラグメントにC1−R2の少なくとも1つのFvフラグメントを移植することによって得られるキメラ抗体である誘導体が含まれる。Fcフラグメントは、好ましくは、前記薬剤が投与される生物体にとって出来るだけ免疫反応性が少ないように選択される。例えば、その薬剤が人間に投与される目的のとき、前記Fcフラグメントは、好ましくはヒトFcフラグメントである。また、本発明の保存的誘導体には、少なくとも1つのCL1−R2CDRをヒト抗体フレーム領域(hFR)に移植することによって得られるヒト化抗体もまた含まれる。ここで、この目的はまた、前記薬剤が投与されるべき生物体に、引き起こす不都合な免疫原性が出来るだけ少ない化合物を提供することである。また、本発明の保存的誘導体には、少なくとも1つのCR1−R2VH領域を、所望によりペプチドリンカーのようなリンカー(L)を介して、少なくとも1つのVL領域に移植することよって得られる誘導体が含まれる。こうした分子は、当業者にscFvとして知られている。それらは、単量体的又は多量体的であることができる。適切なリンカーは、VHとVLドメインを全抗体の原構造に非常に似た三次元構造を有する単ポリペプチド鎖の中に組み入れることを可能にするものであり、このようにして、結合特異性を維持する。こうした適切なリンカーは、当業者に知られている。こうしたリンカーを生成する例示の方法は、GENEX社のWO88/01649に記載されている(米国特許第4946778号、米国特許第5260203号)。mAbCL1−R2の前記保存的誘導体は、一価又は多価であることができる。 例示されたmAbCL1−R2の保存的誘導体は、ペプチドリンカー(L)を介して、少なくとも1つのCL1−R2のCL1−R2VL領域にリンクされる少なくとも1つのCL1−R2のCL1−R2VH領域を含む少なくとも1つのscFv化合物を含む。 scFvは、VL−L−VHの方向性(例えば、GENEX社のWO88/01649、米国特許第4946778号、米国特許第5260203号参照)を有してもよく、又はVH−L−VLの方向性(例えば、CREATIVE BIOMOLECULES社のWO88/009344、米国特許第5132405号、米国特許第5091513号、米国特許第5258498号、米国特許第5476786号、米国特許第5482858号、米国特許第6207804号B1−参照)を有してもよい。 scFvは、一価又は多価(いくつかのscFvの集合体)であってもよい。 例示の保存的誘導体には、特に、Fcフラグメントに連結された、前記CR1−R2mAbから誘導されたscFv多量体が含まれる。 もう1つの例示のmAbCL1−R2の保存的誘導体は、ヒトFcに連結したCR1−R2の少なくとも1つのFvフラグメントを含む化合物である。 もう1つの例示のmAbCL1−R2の保存的誘導体は、前記CR1−R2mAbから誘導された1つ以上のFabを、全長CR1−R2mAbの各H鎖のC末端に付加することによって得られる。 もう1つの例示のmAbCL1−R2の保存的誘導体は、全長CR1−R2mAbを一緒に共有結合させてAbの集合形態を形成することによって得られる。 もう1つの例示のmAbCL1−R2の保存的誘導体は、2つ以上のFabを頭部対尾部で結合させることによって得られる。 本発明による多価scFvは、少なくとも2つのscFvを多量体に結合させることによって得られる。結合は、共有的又は非共有的に達成することができる。例示の多価scFvは四量体scFvである。多価scFvは1より多い結合部位を有する。それゆえ、いくつかのCD160結合部位を有する多量体scFvを生成させ、CD160に対する高い結合活性を有する抗CD160化合物を提供することができる。こうした多量体scFvは、本発明において特に有益である。 多量体scFvは、単一特異性であってもよく、即ち、それらの全結合部位がCD160を標的にすることができる。あるいは、多量体scFvは、1つ以上のCD160結合部位を有すると同時に、CD160とは異なる標的に結合する1つ以上の別な結合部位を有することができる。こうした別な結合部位は、ECへの化合物の作用をより効率的に導くように、例えば、CD160とは異なるが依然としてECによって発現される化合物を標的にすることができる。こうした別な標的の例には、VEGF受容体、及びそれらの生理的リガンドとの連結によってEC成長を引き起こす全ての受容体が含まれる。 二重特異的又は多特異的多量体scFvは、特に有益な治療手段である。多量体scFvを製造する方法は、当業者に知られており、例えば、ダウケミカル社のWO94/13806(米国特許第5877291号、米国特許第5892020号)、ENZON社のWO93/11161(米国特許第6515110号B1、米国特許第6121424号、米国特許第6027725号、米国特許第5869620号)を参照されたい。 この他の保存的多価誘導体は次のようにして得ることができ、即ち、 ・scFv多量体をFcフラグメントに連結させる、又は ・全長CL1−R2IgGの各H鎖のC末端に1つ以上のFabを付加する、又は ・全長CL1−R2を共有的に連結し、多価Abを生成する、又は ・2つ以上のFabを頭部対尾部で結合させる(例えば、「Miller et al. 2003 “Design, Construction, and in vitro analysis of multivalent antibodies” The Journal of mmunology, 170:4854−4861」参照)。 本発明は、診断及び/又は予後及び/又は治療に使用される、本発明の抗CD160化合物を活性成分として含む薬剤組成物を提供する。 前記組成物は、限定されるものではないが、溶液、サスペンジョン、凍結乾燥粉末、カプセル、及び錠剤などの、患者に対する投与について適切な任意の薬剤形態であってもよい。本発明の薬剤組成物は、さらに、医薬的に許容される希釈剤、担体、賦形剤、又は助剤を含むことができる。 本発明の薬剤組成物は、注入、例えば、局所注射、経粘膜的投与、吸入、経口投与用に製剤することができ、より一般的には、当業者が所望の予後及び/又は診断及び/又は治療を達成するのに適切と見出す任意の製剤にすることができる。 本発明の抗CD160化合物は、意図する目的を達成するのに有効な量で、かつ選択された投与ルートに適する用量で、前記薬剤組成物の中に含められる。より詳しくは、治療的に有効な用量は、治療される被検者の疾病又は状態の症状を予防、軽減又は改善する、又は前記疾病又は状態を抑止するのに有効な化合物の量を意味する。 意図する用途に応じ、CL1−R2フラグメントであれCL1−R2誘導体であれ、本発明の抗CD160化合物は、付加的成分をさらに含むことができる。 例えば、本発明の抗CD160化合物が予後又は診断を目的とするときには、蛍光色素のような検出可能なラベル、又は酵素活性もしくは放射能を有するもの、そしてより一般的には、前記化合物の検出を可能にする任意のものをさらに含むことができる。 その化合物が、それを必要とする生物体への治療的投与を目的とするとき、それはさらに免疫毒素及び/又は放射性元素を含むことができる。 本発明の抗CD160化合物は、あるいは、当然ながら、抗血管新生箇所の検出のために使用することができる。それゆえ、本発明はまた、抗血管新生箇所の検出を目的とした、本発明の少なくとも1つの抗CD160化合物を含む治療組成物又はキットに関する。 本発明はまた、抗血管新生化合物の特定のための本発明の抗CD160化合物の使用に関する。 本発明は実際に、CD160が内皮細胞(EC)によって発現し、本発明の抗CD160化合物がEC発現CD160に結合し、その結果、前記ECで抗血管新生効果を引き起こすといった実証を提供する。 本発明の抗CD160化合物は、CD160の活性化細胞外リガンドとして作用する有益な能力を有する。 それゆえ、均等化合物は、CD160への結合に対する同等な親和性と特異性を示し、即ち、CD160への結合に対する本発明の抗CD160化合物(CL1−R2自身など)と競合する能力を有し、CD160に対する結合について十分にCD160特異的であってCD8αβのようなCD160以外の少なくとも1つのHLA受容体に結合しない化合物の単離及び/又は同定によって見出すことができる。 こうした同定及び/又は単離は、例えば、ハイスループットスクリーニングのようなスクリーニング方法によって達成することができる。 本発明はまた、それゆえ、本発明の少なくとも1つの抗CD160化合物を含む薬剤組成物又はキットに関し、前記薬剤組成物又はキットは、抗血管新生化合物の同定及び/又は単離を目的とする。 したがって、本発明はまた、抗CD160mAbCL1−R2(CNCMI−3204として寄託されたハイブリドーマから入手可能)、又はその保存的フラグメント、又はその保存的誘導体の、抗血管新生化合物の同定及び/又は単離のための使用、より詳しくは、インビトロでの使用に関し、ここで、前記フラグメント又は誘導体は、CD160への結合に対してCL1−R2と競合することができ、CD160に対する結合について十分にCD160特異的であって、CD8αβのようなCD160以外の少なくとも1つのHLA受容体に結合せず、ここで、前記誘導体は、少なくとも1つのCL1−R2フラグメントを有する。 より詳しくは、本発明は、抗血管新生化合物を特定する方法を包含し、以下のことを含むことを特徴とする。即ち、 ・候補化合物を提供し、 ・前記候補化合物が以下のものであるかどうかを判断し、 ‐CD160に対する結合についてCL1−R2と競合する能力を有する、及び ‐CD8αβのようなCD160以外の少なくとも1つのHLA受容体に結合しない、 ・前記候補化合物が、前記CD160結合の親和性と特異性を実際に有するならば、それを抗血管新生の特異性化合物であると特定する。 当業者が適切と見出す任意の候補化合物を、本発明の方法の実施に提供することができる。例示の候補化合物は、例えば、ウイルスペプチド又は病原体に由来するペプチド(例えば、サイトメガロウイルスペプチド)のような化学的又は生物学的収集によって見出すことができる。 本発明の方法の実施に使用されるCD160標的は、当業者が適切と見出す任意の形態で提供することができる。それは、例えば、機能性膜受容体としてCD160を発現する細胞の形態で提供することができる。例示の細胞には、特に、ECが含まれる。ECは、HUVEC、HMVEC、NK92のような細胞株から入手することができる(例えば、下記の実施例2参照)。ECはまた、健常人から収集・単離によって得ることもできる。CD160標的はまた、可溶性の組換え型CD160タンパク質(Flag−CD160又はGST−CD160)の形態で提供することもできる。 本発明はまた、CD160分子エフェクター又はトランスデューサーを特定するためのCD160活性化リガンドとしての本発明の抗CD160化合物の使用、より詳しくはインビトロでの使用、即ち、EC発現CD160によって仲介される、抗血管新生シグナル伝達に関与する分子を特定するためのCD160リガンドとしての本発明の抗CD160化合物の使用に関する。 こうしたエフェクター又はトランスデューサーは、抗腫瘍薬のような抗血管新生薬剤にとって好ましい細胞内標的である。 それゆえ、本発明はまた、本発明の少なくとも1つの抗CD160化合物を含む医薬組成物又はキットに関し、前記医薬組成物又はキットは、CD160抗血管新生シグナル伝達に関与する膜分子に関連する脂質RAFT、及び/又はCD160抗血管新生シグナル伝達に関与するセカンドメッセンジャーの特定及び/又は単離を目的とする。 本発明はまた、内皮細胞によって発現したときのCD160抗血管新生シグナル伝達経路に関与する脂質RAFT付随膜分子を特定するための方法に関し、次のことを含むことを特徴とし、即ち、 ・CL1−R2を用いて又はその保存的フラグメントもしくは誘導体を用いて、例えば、CD160発現性ECを提供し、CD160を会合させるために、CD160発現性ECを、CL1−R2又はその保存的フラグメント又はその誘導体と接触させることにより、EC上に発現したCD160を活性化し、 ・前記細胞の脂質RAFTのドメイン画分を回収するように前記細胞を溶解し、例えば、膜複合体を解離するように前記細胞を溶解し(例えば、NP40のような強い界面活性剤を使用)、少なくとも1つの脂質RAFTドメインを含む前記溶解物の画分を回収し、) ・前記RAFT画分の中で、CD160特異性を表す少なくとも1つの化合物を、以下のようにして特定し、 ‐同様な条件下で得られる対照化合物を比較することにより、但し、前記CL1−R2又は保存的フラグメントもしくは誘導体の代わりに、非反応性アイソタイプ一致の対照Abを使用することにより、及び ‐同様な条件下で得られる対照化合物を比較することにより、但し、CD160には結合しないが別なEC発現受容体には結合する化合物を用いて、 ・場合により、こうして特定された前記少なくとも1つのCD160特異的化合物を回収し、 ・場合により、この(これらの)化合物を配列決定又は小配列決定し、 それにより、こうして特定された前記少なくとも1つのCD160特異的化合物が、CD160抗血管新生シグナル伝達経路に関与する脂質RAFT関連の膜分子であるとする。 前記対照との必要な比較を行うため、当業者がタンパク質パターンを比較するために適切と見出す任意の手段及び/又は方法を用いることができる。 例えば、前記RAFT画分を、例えば、二次元ゲル(pH/PM)中に泳動のために配置され、そしてタンパク質スポットは硝酸銀によって表される。 前記非反応性でアイソタイプが同一の対照Abは、CL1−R2と同じアイソタイプを有する非関連性Abであるが、CD160と結合せず、また、前記EC中又はEC上に見出されることがある何らかの化合物にも結合しない。前記非反応性アイソタイプ一致の対照Abは、例えば、非関連性のマウスIgであることができる。 CD160に結合しないが別なEC発現受容体に結合する前記化合物は、例えば、ECが使用されるときの抗VEGF受容体のような、CD160以外のEC受容体に向けられるAbであることができる。 任意のCD160発現ECを用いることができる。例示の細胞には、特に、HUVEC、HMVEC、NK92(下記の実施例2参照)のような細胞株から、又は健常人から収集・単離によって得られるECが含まれる。 本発明はまた、内皮細胞によって発現されたときのCD160抗血管新生シグナル伝達に関与するセカンドメッセンジャーを特定する方法に関し、以下のことを含むことを特徴とし、即ち、 ・EC上に発現したCD160をCL1−R2を用いて活性化し、例えば、CD160発現性ECを提供し、CD160を会合させるために、それをCL1−R2と接触させ、 ・CD160上に形成された想定される複合体を基本的に保存するように、穏やかな条件下で前記細胞を溶解し(例えば、BRIJ58(登録商標)又はBRIJ98(登録商標)−SIGMA−のような穏やかな界面活性剤を用いて)、 ・場合により、その溶解物を予備洗浄し、 ・CL1−R2及びそれらに結合し得る化合物を、例えば、ヤギ抗マウスAbを用いた免疫沈降によって回収し、 ・インビトロのキナーゼアッセイを行い、 前記インビトロのキナーゼアッセイの結果として、少なくとも1つのリン化合物を取り込んだ少なくとも1つの化合物を特定し、 それにより、前記少なくとも1つの特定された化合物は、CD160(抗血管新生)シグナル伝達に関与するセカンドメッセンジャーであり、 ・場合により、前記少なくとも1つの特定された化合物を回収し、 ・前記少なくとも1つの特定された化合物が、タンパク質又はポリペプチド成分を含むとき、 ‐場合により、前記少なくとも1つの回収された化合物のトリプシン消化を行い、 ‐場合により、前記少なくとも1つの回収された化合物を配列決定又は小配列決定し、このようにして得られたペプチド配列を、タンパク質データバンクから入手可能なものと比較し、又は、「Bruyns E, Marie−Cardine A, Kirchgessner H, Sagolla K, Shevchenko A, Mann M, Autschbach F, Bensussan A, Meuer S, Schraven B. 《T cell receptor (TCR) interacting molecule (TRIM), a novel disulfide−linked dimmer associated with the TCR−CD3−zeta complex, recruits intracellular signaling proteins to the plasma membrane》 J Exp Med. 1998 Aug 3;188(3):561−75.」に記載されたような質量分析法にしたがい、そのようにして前記タンパク質又はポリペプチド成分の配列を得る。 インビトロのキナーゼアッセイは、当業者に周知である。検出可能なリン化合物(例えば、P32−ATPによって提供される放射能リン、蛍光性又は発光性リン化合物)が、通常、こうしたインビトロのキナーゼアッセイに使用される。例示の実験手順が「Bruyns E, Marie−Cardine A, Kirchgessner H, Sagolla K, Shevchenko A, Mann M, Autschbach F, Bensussan A, Meuer S, Schraven B. 《T cell receptor (TCR) interacting molecule (TRIM), a novel disulfide−linked dimmer associated with the TCR−CD3−zeta complex, recruits intracellular signaling proteins to the plasma membrane》 J Exp Med. 1998 Aug 3;188(3):561−75」に記載されている。 少なくとも1つのリン化合物を取り込んだ前記少なくとも1つの化合物を特定するため、当業者が適切と見出す任意の手段及び/又は手順を用いることができる。それは、例えば、前記CL1−R2複合体画分のポリアクリルアミドゲルへの遊走、場合により抗リン酸化Tyr及び/又は抗リン酸化Ser及び/又はホスホThrを用いたウエスターンブロット、及び取り込まれたリン酸化反応の検出(P32が使用された場合は放射能シンチレーションカウンターを用いる)、対応するバンドの回収(例えば、溶出による)によって進行することができる。 例示の実験手順は、当業者によって見出すこともでき、「Nikolova et al. 2002 (“BY55/CD160 acts as a co−receptor in TCR signal transduction of a human circulating cytotoxic effector T lymphocyte subset lacking CD28 expression” International Immunology vol.14, No.5, p.445−451)」に見ることもできる。 CD160(抗血管新生)シグナル伝達に関与する例示のセカンドメッセンジャーは、本発明者によって特定されている。それらは、特に、pi−3−キナーゼとLck(p56)を含む。 膜付随分子及び/又は細胞質のセカンドメッセンジャーへの阻害剤は、治療への利用性を有することができる。それらは、好都合にも、それらの送達の特異性を高める化合物に結合させことができる。〔NK及びT細胞並びに免疫系〕 本発明は、NK細胞とT細胞によるサイトカイン生成が、NK細胞とT細胞のCD160シグナル伝達経路を使用し、それは、上方制御については凝集した抗CD160化合物によって、又は下方制御については可溶性の抗CD160化合物又はCD160−CD158b架橋剤によってコントロールされ得るという実証を提供する。 本発明は、CD160に対してこれらのコントロールを特に及ぼすことができる抗CD160特異的化合物を提供する。 本発明はまた、CD160のCD158bとの架橋結合が、CD160活性化の阻害を引き起こし、それによりサイトカイン生成の阻害をもたらすことを実証する。 CD160の刺激によって引き起こされるサイトカインの概略は、CD16又はNKG2Dのような別のNK発現受容体の刺激によって得られるものに比べて独特である。また、CD160が引き金となるサイトカインの概略は、天然CD160リガンド(sHLA)を用いた刺激によって得られるものと非常によく似ているという意味で独特である。 CD160の刺激は、IFNγ、TNFα、及びIL−6の生成と分泌を引き起こす。天然リガンドsHLAを除き、NK細胞からIL−6の生成を引き起こすリガンドを提供するものとしては最初である。 本発明によって提供されるCD160リガンドは、抗CD160特異的化合物である。それらは、特に、本発明者によってCL1−R2と称される抗CD160モノクローナル抗体を含む。CL1−R2生成ハイブリドーマは、ブタペスト条約にしたがい、CNCM寄託受入番号I−3204の下でCollection Nationale de Cultures de Microorganismesに寄託されている(C.N.C.M. Institut Pasteur 25, rue du Docteur Roux F−75724 Paris Cedex 15 France)。 本発明はまた、CD160がCD+4T細胞によって発現することを記載する。こうしたCD160の検出は、本発明が公に入手可能な抗CD160特異的化合物を提供することによって可能となったし、可能である。CD160+CD4+細胞は、特に、アトピー性皮膚炎を患うヒト患者からの皮膚サンプルの中に特定されている。 NK細胞とT細胞のサイトカイン生成を制御するのに有用な本発明の抗CD160化合物は、ECと血管新生について上述したものと同じであり、即ち、それらには、本発明のmAbCL1−R2並びにその保存的フラグメント及び誘導体が含まれる。それゆえ、EC血管新生の文脈の中で本発明の抗CD160化合物について記載したその構造的記載、親和性、及び特異性は、必要な変更を加えて、NK細胞とT細胞のサイトカイン生成の制御の文脈の中で、本発明の抗CD160化合物にあてはまる。 また、EC血管新生制御の文脈の中で詳細に説明したのと同様に、非特異的結合、又は不都合な標的への結合、即ち、CD8αβ及び/又はCD85j及び/又はCD4のようなCD160以外のHLA受容体に対する結合は、有益ではない。こうした化合物は、投与されるであろう生物体にコントロール不良の連鎖反応を引き起こすためである。それらが抗CD8リガンドを含んでいた場合、それらは、特に、T細胞アポトーシスを引き起こすであろう。 しかしながら、NK細胞及び/又はT細胞上で免疫受容体として発現したCD160のリガンドとして使用されたときの本発明の抗CD160化合物と、内皮細胞受容体として発現したCD160のリガンドとして使用されたときの本発明の抗CD160化合物と、の間には、機能的な相違が存在する。 NK細胞とT細胞及びサイトカイン生成に関係する場合、可溶性の抗CD160化合物と凝集した抗CD160化合物との間は、事実上、機能的に区別されるはずである。本発明の可溶性の抗CD160化合物は、CD160シグナル伝達経路の阻害を引き起こし(即ち、サイトカイン生成の抑制)、その一方で、本発明の凝集した形態の抗CD160化合物は、CD160刺激を引き起こす(即ち、サイトカイン生成の誘導又は刺激)。 それゆえ、本発明はまた、抗CD160mAbCL1−R2(CNCMI−3204として寄託されたハイブリドーマから入手可能)を含む抗CD160化合物、及びCD160に対する結合についてCL1−R2と競合することができ、好ましくはCD8αβのようなCD160以外の少なくとも1つのHLA受容体に結合せずに、CD160に対する結合について十分にCD160特異性の任意の化合物に関する。 好ましくは、本発明の抗CD160化合物は、さらに、CD85j及び/又はCD4に結合しない。 最も好ましくは、本発明の抗CD160化合物は、CD160以外の全てのHLA受容体に結合しない。 本発明はまた、本発明の抗CD160化合物を含む薬剤のような、医薬組成物に関する。 こうした薬剤は、ある個体のサイトカイン生成を誘導又は抑制及び/又は下方もしくは上方制御するのに有用である。前記サイトカインには、特に、IFNγ及び/又はTNFα及び/又はIL−6が含まれる。こうした薬剤は、過剰又は不十分なサイトカイン生成を伴う疾病又は状態の(治癒及び/又は予防及び/又は対症)の治療に有用である。 このように、こうした薬剤は、前記個体の適応できる免疫可能性を誘導又は抑制及び/又は下方もしくは上方制御するのに有用であることができる。したがって、それは、Th1応答の制御を可能にする。前記薬剤はまた、感染の治療又は防止を目的することができる。前記薬剤はまた、特異的細胞障害性Tリンパ球(CTL)応答を引き起こす及び/又は増幅するためのワクチン法において、助剤のような付加的な製品を目的とすることができる。また、こうした薬剤は、ある個体の血球新生の誘導又は抑制及び/又は下方もしくは上方制御、放射線にさらされた個体の治療(治癒又は対症又は予防)、及び/又は骨髄形成不全の治療もしくは予防、を目的することができる。こうした薬剤は、その結果、移植前治療において又は抗癌治療として放射線治療を受けた患者に非常に有用であることができ、即ち、本発明の抗CD160化合物は、実際に、それらの血液細胞集団を回復するのを助長することができる。 前記薬剤はまた、前記個人の炎症反応の誘導又は抑制及び/又は下方もしくは上方制御、及び/又は前記個体のアトピー性皮膚炎のようなアレルギーの治療もしくは防止を目的とすることができる。前記薬剤はまた、血管拡張を引き起こすことを目的とすることができる。 ある個体のサイトカイン生成の抑制及び/又は下方制御を意図する場合、本発明の抗CD160化合物は、そのCD160結合部位に加え、少なくとも1つのCD158b結合部位を有していてもよい。CD160とCD158bの架橋結合は、実際に、CD160シグナル伝達経路の阻害を引き起こす。 あるいは、本発明の抗CD160は、可溶形態で提供することもできる。可溶形態で提供された場合、本発明の抗CD160化合物は、実際に、CD160シグナル伝達経路を阻害する。「可溶」形態は、本願において、免疫系の受容体とリガンドの相互作用の分野における当業者によって意味される「可溶」形態を意味する。より詳しくは、リガンドが可溶形態であることは、前記リガンドが、活性化標的に対して、即ち、CD160の存在において、1つ又は2つであって2つを超えない結合部位を有することを示唆する。 逆に、リガンドが凝集形態であることは、前記リガンドが、活性化標的に対して、即ち、CD160の存在において、少なくとも3つの結合部位を有することを示唆する。 可溶形態における本発明の抗CD160化合物には、ハイブリドーマCNCMI−3204(IgG)から得られる抗CD160mAbが含まれる。 また、それらには、CL1−R2の保存的フラグメント、即ち、CD160に対する結合親和性、より詳しくは、CD160に対する結合についてCL1−R2と競合する能力を保持し、少なくともCD8αβに結合せずにCD160に結合するのに十分なCD160特異性を保持したCL1−R2フラグメントが含まれる。こうした保存的フラグメントには、特に、前記mAbCL1−R2のFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、及びFvフラグメントが含まれる。 可溶形態における本発明の抗CD160化合物には、CL1−R2の一価又は二価の保存的誘導体もまた挙げることができ、即ち、以下の化合物であり、 ・前記CL1−R2mAbの少なくとも1つのフラグメントを有し、及び ・CD160への結合に対してCL1−R2と競合する能力を保持し、少なくともCD8αβに結合せずにCD160に結合するのに十分なCD160特異性を保持し、 ・ここで、前記誘導体は、1つ又は2つのCD160結合部位を有する。 例示のCL1−R2の一価又は二価の保存的誘導体には、以下のものが挙げられ、即ち、 ・CL1−R2の任意のヒト型のAbの形態、又は ・CL1−R2の任意のキメラAbの形態、又は ・CL1−R2から誘導され、場合によりFcフラグメントに連結した任意の一価又は二価のscFv、又は ・Fcフラグメントに結合したCL1−R2フラグメント、又は ・その各H鎖に1つの付加的CL1−R2Fabを含む全長CL1−R2Ab。 ある個体のサイトカイン生成の誘発及び/又は上方制御が目的とされるとき、本発明の抗CD160化合物を、凝集形態、即ち、少なくとも3つのCD160結合部位を有してCD158b結合部位を有しない化合物として提供することができる。 本発明の抗CD160化合物のこうした凝集形態は、本発明の抗CD160化合物の可溶形態の凝集によって得ることができる。凝集形態は、遺伝子操作によって又はリンカーを用いて化学的に得ることができる。 本発明はまた、NK細胞及び/又はTC8+細胞及び/又はTCD4+細胞のサイトカイン生成を誘発又は抑制、及び/又は上方もしくは下方制御する能力を有する化合物の同定及び/又は単離のための、抗CD160mAbCL1−R2(CNCMI−3204として寄託されたハイブリドーマTM60から入手可能)、又はその保存的フラグメント、又はその保存的誘導体の使用に関し、ここで、前記フラグメント又は誘導体は、CD160への結合に対してCL1−R2と競合することができ、少なくともCD8αβに結合せずにCD160に結合するのに十分にCD160特異的であり、ここで、前記誘導体は、少なくとも1つのCL1−R2フラグメントを有する。 より詳しくは、本発明は、NK細胞及び/又はTC8+細胞及び/又はTCD4+細胞のサイトカイン生成を誘発又は抑制、及び/又は上方もしくは下方制御する能力を有する化合物を同定する方法を包含し、以下を含むことを特徴とし、即ち、 ・候補化合物を提供し、 ・前記候補化合物を以下について判断し、 ‐CD160への結合についてCL1−R2と競合する能力を有する、及び ‐少なくともCD8αβに結合しない、 ・それが実際に前記CD160結合親和性と特異性を有するならば、NK細胞及び/又はTC8+細胞及び/又はTCD4+細胞の化合物のサイトカイン生成を誘発又は抑制、及び/又は上方もしくは下方制御する能力を有するとして前記候補化合物を特定する。 本発明はまた、抗CD160mAbCL1−R2(CNCM I−3204として寄託されたハイブリドーマから入手可能)、又はその保存的フラグメント、又はその保存的誘導体の、NK細胞及び/又はTCD8+細胞及び/又はTCD4+細胞のCD160仲介サイトカイン生成に関与する分子を特定するためのCD160リガンドとしての使用を包含し、ここで、前記フラグメント又は誘導体は、CD160への結合に対してCL1−R2と競合することができ、少なくともCD8αβに結合せずにCD160に結合するのに十分なCD160特異性を有し、ここで、前記誘導体は、少なくとも1つのCL1−R2フラグメントを有する。 より詳しくは、本発明は、NK細胞及び/又はTCD8+細胞及び/又はTCD4+細胞のCD160仲介サイトカイン生成に関与し、前記細胞によって脂質RAFT付随の膜分子として発現する分子を特定する方法に関し、以下のことを含むことを特徴とし、即ち、 ・CL1−R2又はその保存的フラグメント又は誘導体を用いて、NK細胞及び/又はTCD8+細胞及び/又はTCD4+細胞によって発現するCD160を活性化し、例えば、CD160発現NK細胞及び/又はTCD8+細胞及び/又はTCD4+細胞を提供し、CD160を会合させるために、それをCL1−R2又はその保存的フラグメント又は誘導体と接触させ、 ・前記細胞の脂質RAFTドメイン画分を回収するために前記細胞を溶解し、例えば、膜複合体を解離するように前記細胞を溶解し(例えば、NP40のような強い界面活性剤を用いて)、そして少なくとも1つの脂質RAFTドメインを含む前記可溶化液の画分を回収し、 ・CD160特異性を現す少なくとも1つの化合物を前記RAFT画分の中で特定し、即ち、 ‐同様な条件下で得られるが、前記CL1−R2又は保存的フラグメントもしくは誘導体の代わりに、非反応性アイソタイプ一致の対照Abを用いた対照化合物との比較によって、 ‐同様な条件下で得られるが、CD160に結合しないが前記細胞によって発現する別な受容体(NK細胞を用いたときは抗CD16又は抗CD2抗体、TCD8+細胞を用いたときは抗CD8抗体、TCD4+細胞を用いたときは抗CD4抗体)には結合する化合物を用いた対照化合物との比較によって、 ・場合により、このようにして特定された少なくとも1つのCD160特異的化合物を回収し、 ・場合により、この(これらの)化合物を配列決定又は小配列決定し、 それにより、このようにして特定された少なくとも1つのCD160特異性化合物が、前記細胞のCD160仲介のサイトカイン生成に関与し、前記細胞によって脂質RAFT付随の膜分子として発現する分子であるとする。 また、本発明の抗CD160化合物は、NK細胞のサイトリック区画に発現し、そしてCD160シグナル伝達に関与することによって前記NK細胞のサイトカイン生成の上方又は下方制御を仲介する分子の特定を可能にする。 本発明はまた、それゆえ、NK細胞及び/又はTCD8+細胞及び/又はTCD4+細胞のCD160仲介サイトカイン生成に関与するセカンドメッセンジャーを特定する方法に関し、以下のことを含むことを特徴とし、即ち、 ・NK細胞及び/又はTCD8+細胞及び/又はTCD4+細胞の上に発現したCD160を、CL1−R2を用いて、例えば、CD160発現性NK(即ち、細胞傷害性NK及び/又はTCD8+細胞及び/又はTCD4+細胞)を提供することによって、活性化し、CD160を凝集させるために、それをCL1−R2と接触させて、 ・CD160の上に形成されたと推定される複合体を基本的に保存するように、前記細胞を穏やかな条件下で溶解し(例えば、BRIJ58(登録商標)、BRIJ98(登録商標)、−SIGMA−のようなマイルドな界面活性剤を用いて)、 ・場合により、可溶化液を予備洗浄し、 ・CL1−R2及びそれに結合し得る化合物を、例えば、ヤギの抗マウスAbを用いて免疫沈降によって回収し、 ・インビトロのキナーゼアッセイを行い、 ・前記インビトロのキナーゼアッセイの結果として、少なくとも1つのリン化合物が取り込まれた少なくとも1つの化合物を特定し、 それによって、前記少なくとも1つの特定された化合物は、前記細胞のCD160仲介サイトカイン生成に関与するセカンドメッセンジャーであるとし、 ・場合により、前記少なくとも1つの特定した化合物を回収し、及び ・前記少なくとも1つの特定した化合物がタンパク質又はポリペプチド成分を含むとき、 ‐場合により、前記少なくとも1つの回収化合物のトリプシン消化を行い、 ‐場合により、前記少なくとも1つの回収化合物を配列決定又は小配列決定し、このようにして得られたペプチド配列を、タンパク質データバンクで入手できるものと比較し、又は「Bruyns E, Marie−Cardine A, Kirchgessner H, Sagolla K, Shevchenko A, Mann M, Autschbach F, Bensussan A, Meuer S, Schraven B. 《T cell receptor (TCR) interacting molecule (TRIM), a novel disulflde−linked dimer associated with the TCR−CD 3−zeta complex, recruits intracellular signalling proteins to the plasma membrane》 J Exp Med. 1998 Aug 3;188(3):561−75.」に記載されたような質量分析法を踏襲し、 それにより、前記タンパク質又はポリペプチド成分の配列を得る。 上述したように、インビトロのキナーゼアッセイは、当業者に周知である。検出可能なリン化合物(例えば、P32−ATPによって提供される放射性リン、蛍光性又は発光性リン化合物)が、通常、こうしたインビトロのキナーゼアッセイに使用される。 例示の実験手順が「Bruyns E, Marie−Cardine A, Kirchgessner H, Sagolla K, Shevchenko A, Mann M, Autschbach F, Bensussan A, Meuer S, Schraven B. 《T cell receptor (TCR) interacting molecule (TRIM), a novel disulfide−linked dimmer associated with the TCR−CD3−zeta complex, recruits intracellular signaling proteins to the plasma membrane》 J Exp Med. 1998 Aug 3;188(3):561−75」に記載されている。 例示の実験手順は、「Nikolova et al. 2002 (“BY55/CD160 acts as a co−receptor in TCR signal transduction of a human circulating cytotoxic effector T lymphocyte subset lacking CD28 expression” International Immunology vol.14, No.5, p.445−451)」に見ることもできる。 CD160(抗血管新生)シグナル伝達に関与する実例のセカンドメッセンジャーは、本発明者によって特定されている。それらは特に、pi−3−キナーゼとLck(p56)を含む。 本発明はまた、以下のものに関し、即ち、 ・CD160受容体の源又はプロバイダーとしてのTCD4+細胞の使用 ・CD4補助受容体としてのCD160の使用 ・NK細胞及び/又はTCD8+細胞及び/又はTCD4+細胞によるサイトカイン生成を引き起こす又は刺激する受容体としてのCD160の使用 ・IL−6生産株としてのNK細胞の使用。 本発明はまた、CTL分化を引き起こすための本発明の抗CD160化合物の使用を包含する。〔そのHLA−C生理的リガンドによるCD160の関与が、細胞傷害性抹消血のNK細胞サブセットにおけるユニークなサイトカインプロフィール分泌の引金を引く〕〔材料と方法〕〔細胞〕 エフェクター細胞は、IL−2を用いて数日間にわたって培養したヒトCD160+NK92株(ATCC番号CRL−2407)と、正常ドナーから得られ、免疫磁気NK細胞分離キット(Miltenyi Biotec)によって精製した新鮮なヒト抹消血(PB)−NK細胞とした。PB−NK純度は、フローサイトメトリーによると、CD3−CD56+が90%を上回り、精製されたPB−NKの90%超がCD160+であった。 ヒトK562赤白血病細胞の2つの変種を標的細胞として用い、1つの変種(K562class I+)は、IFN−γ(参照14の文献、ATCC CCL−243)を用いて培養したときHLA−Cを発現したのに対し、他方(IFN−γを用いて培養したK562、ATTC CCL−243)はしなかった。K562−HLA−Cw5形質移入体(K562−Cw5)を、K562MHCのクラスI陰性親細胞の中のHLA−Cw5cDNAの形質移入によって得た。〔抗体とフローサイメトリー分析〕 使用したmAbsは次のものを含んだ。 ・CL1−R2(抗CD160IgGl、C.N.C.M.寄託番号I−3204の下でC.N.C.M. Institut Pasteur 25, rue du Docteur Roux F−75724 PARIS CEDEX 15 FRANCEより入手可能なハイブリドーマTM60) ・BY55(抗CD160IgM、ベックマン・コールター社製) ・W6/32抗HLA(IgG2a、ATCC番号HB−95)、本願では抗HLA−Cと称す ・PE共役3G8抗CD16(IgG1、ベックマン・コールター社製) ・GL183抗CD158b(IgG1、ベックマン・コールター社製) ・抗CD3(UCHT1、ベックマン・コールター社製) ・抗CD56(ベックマン・コールター社製)、及び ・抗NKG2Dクローン149810(IgG1、R&Dシステムズ社製) 単一染色のフローサイトメトリー分析のため、細胞を、PE−Cy5−共役BY55抗CD160mAb又は他のPE共役mAbを用いてインキュベートした。NKG2D染色のため、細胞を、抗NKG2DmAbと続いてPE−共役F(ab’)2ヤギ抗マウスIgG1Ab(Cliniscience社製)によってインキュベートした。二重染色のため、細胞を、PE−Cy5−共役BY55と続いてPE共役抗CD56、CD3、CD16、CD158mAbsによって、又は抗NKG2DmAbと続いてPE−共役F(ab’)2ヤギ抗マウスIgG1Abによってインキュベートした。PE−Cy5−IgM、又はPE−IgG(ベックマン・コールター社製)をアイソタイプ対照として用いた。サンプルを、EPICS XL4Cフローサイトメトリー(ベックマン・コールター社製)で分析した。〔受容体特異性mAb仲介の架橋結合〕 PB−NK細胞上のCD160、NKG2D、CD16、又はCD158b受容体の架橋結合を、5%CO2中の37℃で16時間のインキュベーションの間に1〜10μg/mlの最終濃度で行った。IgG1アイソタイプ対照もまた同じ条件で使用した。100U/mlのIL−2をインキュベーション期間の中で添加した。上清を収集し、次の分析まで−80℃で保管した。〔NK細胞とCD160リガンド発現細胞の共培養〕 NK92又はPB−NK細胞を、K562class I+、K562又はK562−Cw5のいずれかを10:1の比で用い、W6/32又はCL1−R2mAbs又はIgアイソタイプ対照の阻止濃度(25〜50μg/ml)の存在又は不存在下で、4時間(NK92)又は16時間(PB−NK)にわたって、単独で又は共にインキュベートした。インキュベーション期間の中で100U/mlのIL−2を添加した。〔細胞内のTNF−αの検出〕 上記のようにして処理したNK92細胞を洗浄し、2%パラホルムアルデヒドに固定し、0.1%サポニンで10分間にわたって透過処理し、PE−共役抗TNF−αmAb又はマウスIgG1−PE(Coulter−Immunotech社製)で染色し、EPICS XL4Cフローサイトメーター(コールター社製)で分析した。〔Cytometric Bead Arrayによるサイトカイン測定〕 メーカーの説明書にしたがい、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、TNF−α、及びIFN−γの同時測定のためにTh1/Th2のCytometric Bead Array(CBA社製)キット(BD Biosciences社製)を用いた(Cook, E.B., J.L. Stahl, L.Lowe, R.Chen, E.Morgan, J.Wilson, R.Varro, A.Chan, F.M.Graziano, and N.P.Barney. 2001. Simultaneous measurement of six cytokines in a single sample of human tears using microparticle−based flow cytometry: allergies vs. non−allergies. J.Immunol. Meth. 254:109−118.)。要するに、CBAは、不連続の蛍光強度(FL3)を有する一連の均一サイズのビーズを用いる。ビーズの各シリーズは、1つのサイトカインに対してmAbでコーティングされる(IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、TNF−α又はIFN−γ、及びビーズの混合物が、1つのサンプル中の6つのサイトカインを検出する)。所定量の全ての6つのサイトカインの混合物を含むサイトカイン標準を、標準曲線を作成するために用いた。IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、TNF−α、及びIFN−γに特異的な各捕獲ビーズの10μlアリコートを、分析すべき各アッセイチューブに混合した。次いで、このようにして混合した捕獲ビーズの50μl、ヒトTh1/Th2−PE検出試薬の50μl、及び適切なテストサンプルの50μl(異なる処理をしたPB−NK細胞からの冷凍した上清、分析前に解凍・遠心分離)を各アッセイチューブに添加した。チューブを室温で3時間にわたってインキュベートし、洗浄し、300μlの洗浄バッファーの中で再構成した。最後に、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、TNF−α、及びIFN−γのサイトカイン結合の細胞数測定ビーズをCELLQuest(Becton Dickinson社製)を用い、FACScaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson社製)で分析した。平均の蛍光を、標準曲線と添付のCBAソフトウエア(BD Biosciences社製)を用いて計算したサイトカイン濃度(pg/ml)とで比較した。IL−2測定は、いろいろなアッセイの間にNK細胞をインキュベートした培地が常にIL−2を含んでいたため、分析から除外した。 両側のスチューデントTテスト又はスチューデントペアーTテストを用い、p<0.05を有意と規定して、統計解析を行った。〔結果と議論〕〔HLA−C発現性K562標的細胞株がPB−NK細胞によるサイトカイン生成の引金を引く〕 我々は、TNF−α生成が、多量のCD160を発現するNK92細胞株の中で得ることができるかどうかを検討した。このサイトカインの細胞内発現は、K562(K562class I+)標的細胞を発現するHLA−Cと共培養したNK92において、フローサイトメトリーによって評価した。我々は、NK92のみの培養によりこのサイトカインを中程度に分泌することに比較し、こうした共培養がTNF−α生成を刺激することを見出した(図1A)。K562class I+のみによってTNF−α生成がないことは、TNF−α放出が、もっぱらNK92によって生じたことを示す。また、mAb培地の中に、標的細胞にマスキングしたW6/32仲介HLA−Cを添加することは、NK92によるTNF−α生成の減少をもたらした(図1A)。これらの結果は、HCL−Aは、NK92がTNF−αを分泌することの引金を引くことが出来ることを示す。 次に、我々は、特異的HLA−C仲介誘導の後に、細胞傷害性PB−NKがTNF−αもまた生成し得るかどうかを検討した。いずれもそれらの細胞表面にHLA−C分子を発現するK562class I+とK562−Cw5形質移入体、又は完全にMHCクラスI陰性のK562を用い、PB−NKを16時間にわたって共培養した(図1B)。CBAキットとフローサイトメトリーを用い、TNF−αと4つの他のTh1/Th2サイトカインを無細胞の上清流体の中で測定した(1つの例示の実験について図1C、及び5つの独立した実験について表1)。 異なるドナーからのPB−NKをK562class I+又はK562−Cw5と共培養したとき、多量のIFN−γ、TNF−α、及びIL−6を検出したが、IL−4とIL−10は検出しなかった。比較すると、クラスIの陰性K562と共培養したPK−NKは、非常に少量のIFN−γと限界量のみのTNF−αとIL−6を生成したが、PB−NK細胞を単独で培養したときに観察されたものと有意に相違しなかった(図1Cと表I)。自発性のサイトカイン放出は、K562又はK562class I+を単独で培養したときに絶対的に生成しなかった。しかしながら、我々は、いくつかのドナーにおいて、K562と共培養したときに、PB−NKがサイトカインを生成したと言わなければならない。このことは、MHCクラスI独立活性化受容体もまた含まれ得ることを示唆した。全体として、これらのデータは、細胞障害性PB−NK細胞サブセットによるHLA−Cの生理的リガンド認識が、特異的サイトカイン分泌の引金を引くことができたことを示す。〔その生理的リガンドHLA−CによるCD160の特異的関与は、PB−NKによるINF−γ、TNF−α及びIL−6の生成をもたらす〕 我々は、CD160受容体が、HLA−Cとの関与の後、PB−NKによる特異的サイトカイン分泌の引金を引くかどうかを検討した。PB−NKを、CD160もしくはHLA−Cに対するmAb、又はIgアイソタイプ対照の阻止濃度の存在中で、K562class I+と共培養した(表2)。 それらの特異的mAbによるHLA−Cリガンド又はCD160受容体のマスキングは、INF−γ、TNF−α及びIL−6の生成を大きく減少させた。これらの結果は、このPB−NKサイトカイン生成が、主に、CD160とHLA−Cの相互作用に起因することを示す。しかしながら、未知の理由のため、W6/32抗HLA−CmAbの使用は、有意にIL−6の分泌を阻害しなかった。〔細胞障害性PB−NKによって発現するCD160の抗体架橋結合は、CD16又はNKG2Dの関与後に得られるものと異なる独特なサイトカイン生成プロフィルの引金を引く〕 我々は、次に、CD160誘導によって生成したサイトカインを、その発現が細胞傷害性NK細胞サブセットにもまた制約されるCD16活性化受容体と比較した。活性化ナチュラル細胞障害性受容体(NCR)と2B4/CD244共受容体は、それらが細胞障害性と非細胞障害性のPB−NKリンパ球の双方の上に同等に分布するため、この比較から除外した(Ferlazzo, G., and C. Munz. 2004. NK cell compartments and their activation by dendritic cells. J. Immunol. 172:1333−1339.)。NKG2D活性化受容体の誘導は、ヒトNK細胞におけるそのものによるサイトカイン生成を仲介するその無能についての陰性対照として用いた(「Andre, P., R. Castriconi, M. Espeli, N. Anfossi, T. Juarez, S. Hue, H. Conway, F. Romagne, A. Dondero, M. Nanni, S. Caillat−Zucman, D.H. Raulet, C. Bottino, E. Vivier, A. Moretta, and P. Paul. 2004. Comparative analysis of human NK cell activation induced by NKG2D and natural cytotoxicity receptors. Eur. J. Immunol. 34:961−971.」、「natural cytotoxicity receptors. Eur. J. Immunol. 34:961−971.」、「Raulet, D.H. 2003. Roles of the NKG2D immunoreceptor and its ligands. Nat. Rev. Immunol. 3:781−790.」)。結果は、CD160−mAb架橋結合は、PB−NKがサイトカイン放出の同じパターン生成、即ち、HLA−C生理的リガンドの誘導よりも、高いレベルのIFN−γ、低い量のTNF−αとIL−6をもたらし、但し、IL−4とIL−10は生成しないことを示す(表1)。アイソタイプ一致の対照Igの使用は、こうした分泌をもたらさなかった。次に、我々は、CD16受容体と特異性3G8mAbとの架橋結合の後、サイトカイン生成を分析した。これは、IFN−γとTNF−αの生成の双方の引金を引いたが、IL−6の引金は引かなかった(図2)。重要なことに、TNF−αの量は、CD160又はCD16の関与後は同程度であったが、CD16架橋結合によって仲介されるIFN−γの生成は、CD160の関与後に得られる分泌の約30倍少なかった。予想通り、NKG2DのAb架橋結合は、有意なサイトカイン生成の引金を引かなかった。これらのデータは、細胞障害性PB−NK細胞上のCD160受容体のAb架橋結合が、HLA−C生理的リガンドとの相互作用の後に観察されるものと類似の独特なサイトカインプロファイルをもたらすことをさらに実証する。活性化受容体の誘導後の細胞障害性NK細胞サブセットによるIL−6生成は、未だ報告されていないことに留意すべきである。IL−6は、免疫系で作用する多機能サイトカインであり、最近の報告は、いくつかの腫瘍浸潤性リンパ球が、高濃度のIL−6、腫瘍細胞TGF−β1の抗LAK活性の阻害を生じることを示した(Hsiao, Y.W., K.W. Liao, S.W. Hung, and R.M. Chu. 2004. Tumor−Infiltrating Lymphocyte Secretion of IL−6 Antagonizes Tumor−Derived TGF−betal and Restores the Lymphokine−Activated Killing Activity. J. Immunol. 172:1508−1514)。〔CD158b抑制性受容体によるCD160仲介NK細胞サイトカイン生成の抑制〕 NK細胞の活性化は、HLA−A、−B又は−C分子の異なる対立形質グループを認識するキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)などの抑制性受容体によって通常は機能的に静められる活性化受容体に依存する。我々は、先に、CD160関与によって引金を引いた細胞障害性活性は、CD158b抑制性受容体の再関与によって抑制されると報告した(Le Bouteiller, P., A. Barakonyi, J. Giustiniani, F. Lenfant, A. Marie−Cardine, M. Aguerre−Girr, M. Rabot, I. Hilgert, F. Mami−Chouaib, J. Tabiasco, L. Boumsell, and A. Bensussan. 2002. Engagement of CD160 receptor by HLA−C is a triggering mechanism used by circulating natural killer (NK) cells to mediate cytotoxicity. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:16963−16968.)。我々は、このように、抑制性受容体はまたCD160仲介のサイトカイン生成をコントロールするかどうかを検討した。我々は、CD158b抑制性受容体を有する種々の割合の細胞集団を発現するドナーからのPB−NKを使用した。我々は、新たに分離した精製PB−NK上のフローサイトメトリーによって、CD160、並びに、CD158b、NKG2D、及び他のNK細胞マーカーの細胞表面発現を分析した。図3Aは、一人の代表的なドナーにおいて得られた結果を示す。PB−NKの主なサブセットは、CD160を発現し、ここで、それらの全ては、CD56+、CD3−、及びCD16+である(図3A、上側パネル)。全体のPB−NK集団はNKG2D+であるが、あるサブセットのみがCD158b抑制性受容体を発現する。二重染色が、CD160+PB−NKがCD3−であり、殆どがCD56dimとCD16+であったと確認する(図3A、下側パネル)。また、我々は、CD160+細胞の唯一の亜集団もまたCD158b又はNKG2Dを発現することを見出した(図3A、下側パネル)。予想通り、我々は、NKG2D受容体のではなくCD160のmAb媒介の架橋結合が、IFN−γ、TNF−α及びIL−6の生成をもたらし、CD158抑制性受容体とCD160の双方の架橋結合が、サイトカイン生成を有意に減少させることを見出した(図3B)。こうした減少は、アイソタイプ一致の対照AbがCD158bmAbを置換したときは生じない。同様な結果が、精製したPB−NK細胞の中でCD158b+NKサブセットのいろいろな割合(約8〜30%)を含む5つの異なるPB−NKドナーについて得られた。PB−NKの亜集団のみがCD158bを発現したため、我々の実験においてサイトカイン分泌の下方調節が部分的に過ぎないことの理由を説明することができる。異なるHLA対立遺伝子と相互作用する別のKIRが、CD160の引き起こすサイトカイン生成のこうしたコントロールにもまた寄与し、したがって通常の生理的状況の中でのNK細胞耐性に寄与すると推測することができる。我々はまた、NKG2D共関与が、CD160と協力し、増大した刺激性シグナルを生成し得るかどうかを調べた。我々は、そのレベルがIL−2活性化に続いて上方制御されるNKG2DとCD160活性化受容体との同時架橋結合が、CD160受容体のみを通した刺激と比較し、累積の正のシグナルを引き起こさないことを見出した(図3)。このことは、特異的mAb架橋結合によるヒトNKG2D誘導がサイトカイン分泌の活性化を引き起こさないことを示す先の結果を確認する(Andre, P., R. Castriconi, M. Espeli, N. Anfossi, T. Juarez, S. Hue, H. Conway, F. Romagne, A. Dondero, M. Nanni, S. Caillat−Zucman, D.H. Raulet, C. Bottino, E. Vivier, A. Moretta, and P. Paul. 2004. Comparative analysis of human NK cell activation induced by NKG2D and natural cytotoxicity receptors. Eur. J. hnmunol. 34:961−971.)。しかしながら、プラスチック結合組換え型MICA又はULBPの生理的リガンドを用いたポリクローナル活性化NK細胞の刺激は、GM−CSFとIFN−γ生成の引金を引くことができた(Andre, P., R. Castriconi, M. Espeli, N. Anfossi, T. Juarez, S. Hue, H. Conway, F. Romagne, A. Dondero, M. Nanni, S. Caillat−Zucman, D.H. Raulet, C. Bottino, E. Vivier, A. Moretta, and P. Paul. 2004. Comparative analysis of human NK cell activation induced by NKG2D and natural cytotoxicity receptors. Eur. J. Immunol. 34:961−971.)。 その発現が、エフェクター細胞障害性CD56dimCD16brightPB−NK細胞サブセットに制約されるCD160受容体は、特異的なリガンドの結合の後、サイトカイン分泌を促進可能な独特なMHCクラスI依存性活性化受容体として現れる。第1に、CD160のHLA−C主要リガンドは、構成的に発現し、これは、細胞障害性と非細胞障害性のNKリンパ球サブセットの双方の上に発現する別なNK誘導受容体の誘導性自己リガンド又は病原体誘導型リガンドとは相違する。ヒトNKG2Dリガンドは、主に上皮由来又は病原体コード化ULBPの細胞によって発現するストレス誘発性のMICAとMICBの分子である(Raulet, D.H.2003. Roles of the NKG2D immunoreceptor and its ligands. Nat. Rev. Immunol. 3:781−790.)。また、NKG2Dは、ヒトにおいてそれ自身でIFN−γ生成の引金を引くことができない(Carayannopoulos, L., and W. Yokoyama. 2004. Recognition of infected cells by natural killer cells. Curr. Opin. Immunol. 16:26−33.)。最近記載されたポリオウイルス受容体(CD155)と、DNAM−1共活性化受容体のネクチン−2(CD112)リガンドもまた、殆どは、ストレスのある組織において発現する(Moretta, L., and A. Moretta. 2004. Unravelling natural killer cell function: triggering and inhibitory human NK receptors. Embo J. 23:255−259.)。NCRリガンドは、NKp44とNKp46についてのSVヘマグルチニン−ノイラミノダーゼなどの非MHC分子である(Carayannopoulos, L., and W. Yokoyama. 2004. Recognition of infected cells by natural killer cells. Curr. Opin. Immunol. 16:26−33.)。上記の受容体とは異なり、CD16は、エフェクター細胞障害性PB−NKリンパ球サブセットの上にのみ存在し、そのリガンドは、IgGのFc部分である。第2に、細胞障害性PB−NKリンパ球のサブセットによってのみ発現する刺激性のKIRsとCD94/NKG2C活性化受容体は、前者についてのHLA−Cなどの構成的HLAクラスI分子と相互作用もまた行い、公知のシグナル伝達モチーフのない短い細胞質ドメインを有する(Cerwenka, A., and L. Lanier. 2001. Natural Killer cells, viruses and cancer. Nat. Rev. Immunol. 1:41−49.)。また、これらの活性化受容体は、アダプター分子に付随し、シグナル伝達を開始し(Lanier, L. 2003. Natural killer cell receptor signaling. Curr. Opin. Immunol. 15:308−314.)、これは、CD160のGPIアンカリング細胞表面分子とは相違する(Le Bouteiller, P., A. Barakonyi, J. Giustiniani, F. Lenfant, A. Marie−Cardine, M. Aguerre−Girr, M. Rabot, I. Hilgert, F. Mami−Chouaib, J. Tabiasco, L. Boumsell, and A. Bensussan. 2002.)。HLA−CによるCD160受容体の関与は、細胞障害性を仲介するナチュラルキラー(NK)細胞を循環することによって使用される誘導メカニズムである(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:16963−16968.)。2B4/CD244は、共刺激性シグナルを、NCR又はNGK2Dなどの他の活性化受容体に与えるNK細胞受容体である(Moretta, L., M. Mingari, C. Bottino, D. Pende, R. Biassoni, and A. Moretta. 2003. Cellular and molecular basis of natural killer and natural killer−like activity. Immunol. Letters 88:89−93.)。 この研究からのデータは、NK細胞上のCD160受容体の刺激が、先天性免疫(特定の細胞の死滅を通して)及び適応性免疫(サイトカイン分泌を通して)の双方の向上をもたらし得ることを示す。際立ったことに、CD160のHLA−Cリガンドは、それぞれ、US2又はUS11のCMV誘導タンパク質(Tortorella, D., B. Gewurz, M. Furman, D. Schust, and H. Ploegh. 2000. Viral subversion of the immune system. Ann. Rev. Immunol. 18:861−926.)又はNefHIV−1タンパク質(Cohen, G., R. Gandhi, D. Davis, O. Mandelboim, B. Chen, J. Strominger, and D. Baltimore. 1999. The selective downregulation of class I Major Histocompatibility Complex proteins by HIV−I protects HIV−infected cells from NK cells. Immunity 10:661−671.)によって仲介される分解又はエンドサイトーシスから保護されることが示されている。このことは、CD160が、ウイルス感染の直後でも依然として機能し得ることを示唆する。 循環休止NK細胞を生体内の活性化サイトカイン分泌細胞に形質転換するシグナルは十分には理解されていない。これは、主として、活性化・抑制性受容体から生じるシグナルの、それらの特異的リガンドによる関与後の結果によって決まる。CD158a/CD158b抑制性受容体が、標的細胞上のHCA−C分子に関与することを知り、我々は、HLA−Cの発現レベルが、KIR又はCD160受容体のいずれかの引金を引く重要な要因であるとの仮説を立てる。HLA−Cのレベルが通常のとき、KIR抑制性受容体の関与はCD160をコントロールするであろう。これに対し、HLA−Cの発現レベルが下方調節されると、KIR受容体はもはや効果的に関与することなく、CD160受容体の活性化機能が起きることを許容する。 まとめると、この研究は、HLA−C生理的リガンドによるCD160のNK細胞受容体の機能的活性化が、最適な受容体の誘導の後、細胞傷害性とサイトカイン生成の双方を開始することを実証する。本結果は、CD160がウイルス血症及び腫瘍量又は病原体感染細胞を制限する独特なシグナル伝達経路を介して活性化エフェクター機能を仲介することを、強く示唆する。〔最先端:可溶性HLA−G1が、内皮細胞によって発現するCD160受容体への結合を介して血管形成を抑制する〕〔材料と方法〕〔細胞と試薬〕 HUVECとヒト微小血管内皮細胞(HMVEC)[HUVEC CC−2517, and neonatal HMVEC−C(CC−2505); Cambrex Bio Science, Walkersville, Maryland, U.S.A; cf. http://www.cambrex.com/Content/bioscience/CatNav.oid.435]を、5%FCSと1ng/mlのVEGF又はFGF−2(R&D systems, Minneapolis, IL)を1日おきに補充したEBM(BioWhittaker)の中に維持した。 ヒトのJurkatT細胞は、ATCC番号TIB152より入手可能である。CD160で形質移入したJurkat細胞(JurkatCD160)を「Anumantha, A., A. Bensussan, L. Boumsell, A. Christ, R. Blumberg, S. Voss, A. Patel, M. Robertson, L. Nadler, and G. Freeman, 1998」に報告されているように、Jurkat細胞の中にCD160を形質移入することによって作成した(“Cloning of BY55, a novel Ig superfamily member expressed on NK cells, CTL, and intestinal intraepithelial lymphocytes”, Journal of Immunology 161:2780.)。 NK92は、CD160を発現するヒトNK細胞株である(ATCC番号CRL−2407)。CD4+T細胞は、MACS分離システムを用いてPBMCから精製した(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)。sHLA−G1−β2m融合単鎖遺伝子を、HLA−Gのα3ドメインの最終残基を、15残基スペーサーを介して、ヒトβ2m配列の第1コドンに接続することによって操作した(Fournel, S., M. Aguerre−Girr, A. Campan, L. Salauze, A. Berrebi, Y. Lone, F. Lenfant, and P. Le Bouteiller. 1999. Soluble HLA−G: purification from eucaryotic transfected cells and detection by a specific ELISA. American Journal of Reproductive Immunology 42:22.)。sHLA−G1とsHLA−Glmonoを、先に記載されたようにして免疫親和性カラムを用い、真核細胞の培養上清から精製した(Fournel, S., M. Aguerre−Girr, A. Campan, L. Salauze, A. Berrebi, Y. Lone, F. Lenfant, and P. Le Bouteiller. 1999. Soluble HLA−G: purification from eucaryotic transfected cells and detection by a specific ELISA. American Journal of Reproductive Immunology 42:22.)。記載のように、バキュロウイルス系でVEGF165を発現した(Plouet, J., F. Moro, S. Bertagnolli, N. Coldeboeuf, H. Mazarguil, S. Clamens, and F. Bayard. 1997. Extracellular cleavage of the vascular endothelial growth factor 189−amino acid form by urokinase is required for its mitogenic effect. J Biol Chem 272:13390.)。 使用したmAbsは次のものを含んだ。 ・CL1−R2(抗CD160IgG1、C.N.C.M寄託番号I−3204の下でC.N.C.M. Institut Pasteur 25, rue du Docteur Roux F−75724 PARIS CEDEX15 FRANCEから入手可能なハイブリドーマTM60) ・抗CD8(B9.ll, Coulter Immunotech, Marseille, France) ・抗CD85j(BD Biosciences Pharmingen, San Diego,CA, USA) ・抗CD160(IG11 Coulter−Immunotech) ・透析したマウスIgG1又はIgG2aアイソタイプ対照(Coulter−Immunotech) 合成自己ペプチドRIIPRHLQL(SEQ ID NO:7)を用い、ストレプトアビジン‐PE(Pharmingen)の添加後、基本的に先に記載されたようにして(Allan, D.S., M. Colonna, L.L. Lanier, T.D. Churakova, J.S. Abrams, S.A. Ellis, A.J. McMichael, and V.M. Braud. 1999. Tetrameric complexes of human histocompatibility leukocyte antigen (HLA)−G bind to peripheral blood myelomonocytic cells. J Exp Med 189:1149.)HLA−G四量体を作成した(Lee, N., A.R. Malacko, A. Ishitani, M.C. Chen, J. Bajorath, H. Marquardt, and D.E. Geraghty. 1995. The membrane−bound and soluble forms of HLA−G bind identical sets of endogenous peptides but differ with respect to TAP association. Immunity 3:591)。PE共役HLA−G四量体によるHUVEC、Jurkat、及びJurkatCD160の標識化を37℃で1時間にわたって行った。JurkatCD160とJurkatについて、四量体は、抗クラスHLAクラスIのW6/32mAbと架橋結合した。 ルイス肺癌細胞は、ECACCから入手可能である[European Collection of Cell Cultures; Health Protection Agency; Porton Down; SP4 OJG Salisbury, Wiltshire UK](ヒトのコーカサス肺癌細胞株COR−L23/R、寄託番号ECACC96042339)。〔細胞の増殖と遊走のアッセイ〕 増殖の分析のため、HUVEC(8×103)を0.3%ゼラチンをコーティングした12ウェルのプレートに接種した。種々の濃度のsHLA−G1又はsHLA−Glmonoの存在・不在において、生理食塩水又はVEGF(1ng/ml)を用いて細胞をインキュベートした。7日後、細胞をトリプシン処理し、コールターカウンターZM(Margency, France)でカウントした。遊走アッセイを、成長停止集密的HUVEC又はBAECの上で行った。細胞の単層をラバーポリスマンを用いて傷つけた。無血清媒体を用いてディッシュを洗浄し、各ウェルを倍率100倍で写真撮影した。次いで、VEGF(50ng/ml)の存在又は不在の中で、sHLA−G1又はsHLA−G1mono(100ng/ml)を含む無血清培地の中でディッシュを16時間にわたってインキュベートした。各ウェルの第2の写真を撮り、2枚の写真を重ね合わせることによって遊走した細胞をカウントした。〔VEGFとsHLA−G1の細胞結合〕 それぞれ240000と110000cpm/ngの比放射能とし、ヨードゲン法を用いてVEGFとsHLA−G1をヨウ素化した(Plouet, J., F. Moro, S. Bertagnolli, N. Coldeboeuf, H. Mazarguil, S. Clamens, and F. Bayard. 1997. Extracellular cleavage of the vascular endothelial growth factor 189−amino acid form by urokinase is required for its mitogenic effect. J Biol Chem 272:13390.)。2×105の血清不足HUVECを含むウェルは、37℃において種々の時間間隔(0.1〜24時間)で50ng/mlのVEGFもしくはsHLA−G1を用いて前処理するか又は結合アッセイのために直ちに処理した。要するに、ディッシュを0.2%ゼラチンと20mMのHepes(pH7.3)を添加した非放射性DMEMでリンスし、非標識リガンドの不在又は存在する中で、2ng/mlの125I−VEGE又はsHLA−G1を用い、4℃で2時間にわたってインキュベートした。次いで、同じ培地で細胞をリンスし、RIPA緩衝液に溶かし、放射能をパッカードγカウンターで計数した。〔インビトロの毛細管作成〕 増殖因子減少マトリゲル(BD Biosciences)をコラーゲンで希釈し(体積比1/6)、氷上に保持した。この溶液の160μlを、タイプIのラット尾部コラーゲンでプレコートした8ウェル培養スライドの各ウェルに添加し、37℃で1時間放置した。ゲル生成の後、対照、FGF−2、sHLA−G1、又はmAbCD160と混合した又はしないHUVECサスペンジョンを、湿り5%CO2インキュベータの中で、37℃で24時間にわたり、マトリゲル/コラーゲンのゲルの上に接種した。先に記載されたようにして血管新生を定量した(Ruggeri B, Singh J, Gingrich D, Angeles T, Albom M, Yang S, Chang H, Robinson C, Hunter K5 Dobrzanski P, Jones−Bolin S, Pritchard S, Aimone L, Klein−Szanto A, Herbert JM, Bono F, Schaeffer P, Casellas P, Bourie B, PiIi R, Isaacs J, Ator M, Hudkins R, Vaught J, Mallamo J, Dionne C. “CEP−7055: a novel, orally active pan inhibitor of vascular endothelial growth factor receptor tyrosine kinases with potent antiangiogenic activity and antitumor efficacy in preclinical models”, Cancer Res. 2003 Sep 15;63(18):5978−91; Erratum in: Cancer Res. 2003 Nov l;63(21):7543.)。 要するに、培地を除去し、細胞をPBSを用いて2回リンスし、4%PFA溶液に室温で30分間固定した。次いで、細胞をPBSを用いて2回リンスし、マッソントリクローム染色で染色した。微細毛管の網状組織の広がりを、自動化コンピューター利用イメージ解析装置(Imagenia, Biocom, Les Ulis, France)で測定し、各ウェルにおける毛管の全長を測定した。平均の微細毛管の網状組織の長さ(μm)を、各実験の条件について計算した。実験は、3通り行って3回繰り返した。〔フローサイトメトリー分析〕 正常酸素又は低酸素(5%O2雰囲気の37℃で24時間インキュベート)における亜集密HMVEC又はHUVEC(Biowitthaker)を、PBS−BSAに掻爬し、4℃で100ng/mlのsHLA−G1を用いてインキュベートする又はしなかった。2時間後、CD8、CD85d、CD85j(Plouet, J., F. Moro, S. Bertagnolli, N. Coldeboeuf, H. Mazarguil, S. Clamens, and F. Bayard. 1997. Extracellular cleavage of the vascular endothelial growth factor 189−amino acid form by urokinase is required for its mitogenic effect. J Biol Chem 272:13390.1)、CD106(BD)、CL1−R2BY55(Fournel, S., M. Aguerre−Girr, A. Campan, L. Salauze, A. Berrebi, Y. Lone, F. Lenfant, and P.Le Bouteiller. 1999. Soluble HLA−G: purification from eucaryotic transfected cells and detection by a specific ELISA. American Journal of Reproductive Immunology 42:22.)、特異的mAbs、又はアイソタイプ対照Abs20μg/mlを用い、続いてF(ab’)2−FITC共役ヤギ抗マウスIgGを用い、細胞をインキュベートした。ヨウ化プロピジウムの使用によって非生存可能な細胞を排除した。Coulter−Epics ELITEフローサイトメーターによって細胞を分析した。〔RT−PCR及びcDNA配列決定〕 CD160の転写産物を、以下のプライマーを用いてRT−PCRにより検出した:5’−3’(sense)TGCAGGATGCTGTTGGAACCC(SEQ ID NO: 1)及び3’−5’(reverse)TCAGCCTGAACTGAGAGTGCCTTC(SEQ ID NO:2)。cDNAの品質は、以下のプライマーを用いてβアクチンの増幅によって確認した:5’−3’GCGGGAAATCGTGCGTGCGTGACA(SEQ ID NO:3)及び3’−5’GATGGAGTTGAAGGTAGTTTCGTG(SEQ ID NO:4)。CD160及びβアクチンの増幅条件は、95℃45秒、60℃30秒、72℃1分で、35サイクル行った。CD160の配列決定のために、Taq High Fidelity(Invitrogen)を用いた。PCR生成物を精製し(qiaex II,Qiagen)、以下のプライマーを用いて分析した:BY0l(5’−3’ sense)(TGCAGGATGCTGTTGGAACCC;SEQ ID NO:1)、BY03(3’−5’ reverse)(TCAGCCTGAACTGAGAGTGCCTTC;SEQ ID NO:2;BY02(5’−3’ sense)CAGCTGAGACTTAAAAGGGATC;SEQ ID NO:5)及びBY04(3’−5’ reverse)(CACCAACACCATCTATCCCAG;SEQ ID NO:6)。〔組織学的研究についての同質遺伝的腫瘍〕 密集成長直前のルイス肺癌細胞をトリプシン処理し、2回洗浄し、PBS中で再懸濁した。2.105細胞を、麻酔した(pentobarbital, IP)雌C57B16マウス(IFFA CREDO, France)の右後部側腹部の皮下に接種した。細胞注射の21日後、ペントバルビタールの過剰投与でマウスを殺し、腫瘍を取り出し、10%中性緩衝化ホルマリン(Sigma)に4℃で一晩固定し、パラフィン包埋した後(Embedder Leica)、ミクロトーム(Leica)で薄切りにした(5μm)。再水和(トルエン/エタノール/PBS)の後、pH6.1のクエン酸塩緩衝液の中でスライドを20分間加熱した。切片を、DAKO Autostainerに入れ、TNB Blockingバファー(TSA Kit, NEN)、ペルオキシダーゼ遮断薬(Dako)、及びMouse on Mouse免疫グロブリン遮断薬(Vector Laboratories)を用いてインキュベートした。腫瘍血管を、室温で30分間にわたって、10μg/ml(希釈1/500の溶液)の最終濃度のモノクローナル抗体CL1−R2で染色した。切片を、ビオチン標識のヤギ抗ウサギIgGを用いて10分間インキュベートし、続いてAvidin−Biotin Complex(Vector Laboratories)を用いて30分間インキュベートした。次いで、切片をDAB(Vector Laboratories)で染色し、ヘマトキシリンで対比染色した。免疫染色組織を、ニコン顕微鏡(E−800)で観察し、40倍対物のDMX1200カメラ(ニコン)を用いてデジタル化した。〔結果〕〔sHLA−G1は、VEGF又はFGF2誘発の内皮細胞の増殖、遊走、及び毛細血管状の管生成を阻害する〕 VEGFは、血管性ECのより強力な分裂促進的・遊走促進的因子である。したがって、我々は、sHLA−G1がインビトロでECのVEGF機能を妨害し得るかどうかを調べた。我々は、sHLA−G1が、HUVECのVEGF誘導増殖を阻害するのに対し、これらの細胞の基本的増殖に影響を及ぼさないことを見出した(図4A)。これに対し、sHLA−G1がβ2mに融合したとき、単鎖タンパク質が、VEGFに誘導されるECの増殖に影響を及ぼさず、したがって、分子の折りたたみがその生物的活性にとって重要であることを示唆する。さらに、sHLA−G1は、大動脈又は副腎の微細血管に由来するウシECのVEGF誘導増殖を阻害し、ECの起源の種及び組織の中で保存されるメカニズムを示唆する。 内皮細胞モデルとしてHUVECを用いた遊走アッセイにおいて、sHLA−G1又はsHLA−GlmonoをVEGFの存在しない中で添加するか否かによらず、遊走は生じなかった(図4B)。これに対し、VEGFの添加後、遊走細胞の数に有意な増加が検出された。これらの条件において、sHLA−G1の添加は遊走を阻害したのに対し、sHLA−Glmonoは有意な効果を有しなかった(図4B)。プロ血管新生因子による刺激後に、sHLA−G1が管生成を阻止できるかどうかを評価するため、HUVECをマトリゲルモデルのFGF−2に供した。この目的のため、培養の3日後に一般に生じる自発的血管新生を制限するため、マトリゲルをコラーゲンで希釈した。マトリゲル中の細胞の形態を図4Cに示し、合計の細管の長さの定量を図4Dに示す。結果は、FGF−2が有力な血管新生応答を引き起こし、FGF−2へのsHLA−G1の添加が、管生成を有意に阻害することを示す。全体として、これらの結果は、sHLA−G1が、プロ血管新生の因子誘導のEC増殖、遊走、及びインビトロの血管形成を阻害できることを実証している。〔sHLA−G1はVEGF受容体を妨害しない〕 この研究において、125I−VEGFと125I−sHLA−G1の双方をリガンドとして使用した。4℃でのHUVEC細胞に対する放射標識リガンドのトータルの結合は、時間依存性であり、実験の開始から45分後に平衡に達する。60分後、未標識リガンドを用いたインキュベーションは、内皮細胞から125I−VEGF又は125I−sHLA−G1の結合をほぼ全体的に分離した。即ち、平衡結合実験を、60分のインキュベーション時間を設定することによって行った。使用した放射性リガンドによらず、高濃度の未標識リガンドの存在下で測定した全結合は、用量依存で非特異性の結合であり、放射性リガンドの濃度に線形であった。非特異性結合は、全結合の20%を超えなかった。125I−sHLA−G1をリガンドとして用いた競合実験において、sHLA−G1は、ナノモル範囲のIC50値でHUVECに対する結合を急速に移動したが、細胞でプレインンキュベートした又はしないVEGFは、この結合に影響を及ぼさなかった(図2A)。次に125I−VEGFをリガンドとして用いた競合実験において、VEGFは、ナノモル範囲のIC50値で125I−VEGFのHUVECに対する結合を急速に移動したが、細胞でプレインンキュベートした又はしないsHLA−G1は、この結合に影響を及ぼさなかった(図2B)。これらの結果は、sHLA−G1が特に内皮細胞に結合することができ、この結合がVEGFによって調節されないことを実証する。さらに、我々は、内皮細胞上のVEGF受容体をsHLA−G1が妨害しないことを明確に実証する。〔CD160受容体が内皮細胞によって発現する〕 特異的mAbsとフローサイトメトリー分析を用い、我々は、HUVECがCD8とCD85jを発現しないことを見出した。これに対し、これらの細胞は、HMVECのような抗CD160mAbによって強く染色される(図6A)。CD160がHUVECによって発現するさらなる証拠を提供するため、我々は、CD160特異的プライマーを用い、CD160+(NK92)とCD160−(CD4+T)対照細胞に対する比較によるこれらの細胞のRT−PCR分析を行った。NK92と同様に、CD160mRNAをHUVEC内に検出し、これに対し、CD160+は陰性であった(図6B)。次いで、HUVECとNK92cDNAを分離し、配列決定した。HUVECとNK92CD160タンパク質の予測されたアミノ酸配列アライメントは、それらの双方が、既に記載されたCD160配列に類似することを示した(Anumantha, A., A. Bensussan, L. Boumsell, A. Christ, R. Blumberg, S. Voss, A. Patel, M. Robertson, L. Nadler, and G. Freeman. 1998. Cloning of BY55, a novel Ig superfamily member expressed on NK cells, CTL, and intestinal intraepithelial lymphocytes. Journal of Immunology 161:2780.)(図6C)。全体として、これらの結果は、CD160がECによって発現することを実証する。〔sHLA−G1は、HUVECの細胞表面に発現したCD160と相互作用する〕 CD160がEC上に存在したことを示し、我々は、sHLA−G1が有望なリガンドであり得るかどうかを調べた。HUVEC上のsHLA−G1とのCD160の直接相互作用は、HLA−G1四量体を用いることによって実証された。我々は、これらの四量体が、非形質移入Jurkatではなく、JurkatCD160に特異的に結合することを最初に示し(図7A)、sHLA−G1リガンドに対するCD160の特異性を最初に実証した。HUVECがHLA−G1四量体とともにインキュベートされると、明確な染色が検出され、この細胞によって発現したCD160にsHLA−G1が結合したことを示唆する(図7A)。CD160とsHLA−G1の相互作用は、sHLA−G1とともにプレインキュベートした又はしないHUVEC上のフローサイメトリーによってさらに評価した。我々は、sHLA−G1を用いたHUVECのプレインキュベーションが、CD160細胞の表面発現を下方調節することを見出した(図7B)。このことは、sHLA−G1が、HUVECの細胞表面でCD160と直接相互作用をすることを実証する。〔内皮細胞によって発現したCD160のmAb架橋結合が、毛細管状の管形成の抑制の引金を引く〕 次に、我々は、CD160−mAbの架橋結合が、sHLA−G1の抗血管新生活性を模倣できるかどうかを調べた。インビトロのマトリゲルアッセイを用い、我々は、CD160−mAbの架橋結合が、FGF2C仲介の細管成長の抑制をもたらすことを見出した(図8)。これらのデータは、ECによって発現したCD160が、抗血管新生の細胞応答の引金を引くことができる機能的受容体であることをさらに実証した。〔低酸素は、内皮細胞上のCD160の発現増加を誘発した〕 細胞遊走又は内皮管形成のような血管新生における個々の表現型プロセスの多くは、低酸素培地条件によって誘発できるが、我々は、低酸素条件下で培養したHMVECにおけるCD160の発現を測定した(Luttun, A., M. Autiero, M. Tjwa, and P. Carmeliet. 2004. Genetic dissection of tumor angiogenesis: are PlGF and VEGFR−I novel anti−cancer targets? Biochim Biophys Acta 1654:79.)。特異的CD160mAbとフローサイトメトリー分析を用い、我々は、低酸素が内皮細胞上のCD160発現を強力に増加させることを見出した(図9)。〔LLC腫瘍の免疫組織化学的染色は、ECのみが腫瘍中でCD160を発現することを実証する〕 最終的に、我々は、LLC腫瘍中のEC上のCD160に強い染色を観察したが(図10A、10B、10C、10D)、これに対し、非特異的IgGには染色は観察されなかった。腫瘍細胞はCD160を発現しなかったが、腫瘍周囲のリンパ管又は腫瘍内部の微細血管のECは、高レベルのCD160を発現する。 この研究において、我々は、内皮細胞において抗血管新生反応の引き金を引くことのできる新たな受容体、CD160を特定した。我々は、初めて、このMHCクラスI依存受容体が、ECによって発現されることを実証した。 CD160は、その生理的リガンド、sHLA−G1、又は以下の特異的mAb架橋結合(CL1−R2)の関与によってCD160−VEGF又はFGFが引き起こすインビトロでの血管新生の阻害の引き金を引く。 CD160は、従来記述されているCD36、トロンボスポンジン1(TSP−1)によって結合されている膜貫通型糖タンパク、有力な阻害剤(Dawson,D.W.,S.F.Pearce,R.Zhong,R.L.Silverstein,W.A.Frazier,and N.P.Bouck.1997.CD36 mediates the In vitro inhibitory effects of thrombospondin−1 on endothelial cells.J Cell Biol 138:707.)とは異なる。CD36と対照的に、CD160は、膜貫通型ドメインや細胞質側の尾部領域を有さないGPI固定分子である(Anumantha,A.,A.Bensussan,L.Boumsell,A.Christ,R.Blumberg,S.Voss,A.Patel,M.Robertson,L.Nadler,and G.Freeman.1998.Cloning of BY55,a novel Ig superfamily member expressed on NK cells,CTL,and intestinal intraepithelial lymphocytes.Journal of Immunology 161:2780.)。 我々は更に、sHLA−G1は、EC CD160リガンドであったことを発見した。様々なHLAクラスI分子は、CD160に結合するかもしれないし、他の可溶性MHCクラスI分子も抗血管新生機能を発揮するこの受容体の引き金を引くかもしれない。我々は、実際に、組換え型の可溶性HLA−B7が、HUVEC増殖の抑制もまた可能であることを観察した。これらの観察は、sHLA−G1とsHLA−B7の抗血管新生機能が、全ての可溶性HLAに普遍化し得ることを示唆する。 ここで報告されたsHLA−G1の抗血管新生活性は、今までに記載された最初の非免疫機能である。母体と胎児の境界における血管新生の空間的・時間的制御は、成長する胎児に栄養を与えるための適切な血液供給を確保するのに重要な役割を果たし、血管成長を制御する局所的活動因子が存在することを示唆する(Ong, S., G. Lash, and P. N. Baker. 2000. Angiogenesis and placental growth in normal and compromised pregnancies. Baillieres Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol 14:969.)。sHLA−G1は、母親のラセン状動脈のECを置き換える血管内栄養膜などの絨毛外栄養膜細胞によって分泌され(Morales, P. J., J. L. Pace, J. S. Platt, T. A. Phillips, K. Morgan, A. T. Fazleabas, and J. S. Hunt. 2003. Placental cell expression of HLA−G2 isoforms is limited to the invasive trophoblast phenotype. J Immunol 171:6215.)、それによって、これらの血管の直径を数倍増加させる(Loke, Y., and A. King. 2000. Immunology of implantation. Bailliere’s Clinical Obstetrics Gynaecology 14:827.)。我々は、sHLA−G1の抗血管新生効果が、こうした置き換えに寄与すると仮説を立てる。浅い細胞栄養芽層浸入と母親血液の胎盤胎児ユニットへの低下した流れを特徴とする子癇胎盤におけるHLA−G発現の不足は(Lim, K. H., Y. Zhou, M. Janatpour, M. McMaster, K. Bass, S. H. Chun, and S. J. Fisher. 1997. Human cytotrophoblast differentiation/invasion is abnormal in pre−eclampsia. Am J Pathol 151:1809.)、こうした仮説に賛成する。 低酸素は、CD54、CD105又はtie−2受容体として、複数の血管新生内皮マーカーの発現を制御することが示されている。tie−2の過剰発現は、それが低酸素に対する陽性の血管新生応答に関与することを示唆する。低酸素によるCD160の上方制御は、血管新生の負の制御を発生することができ、新生血管の生成を防ぐことができる。さらに、CD160抗体を用いたマウス腫瘍上の免疫組織化学は、この受容体が、腫瘍細胞自身によって発現するのではなく、腫瘍性脈管構造のECによって発現することを示す。これらの結果はいずれも、低酸素によって上方制御されたCD160が、血管新生の抑制性シグナル伝達受容体であり、その活性化が、腫瘍性細胞成長を妨げる実験的抗血管新生治療に有用であり得ることを実証する。〔CD160は、細胞傷害性TとNKサブセットに限定されず、CD4+T細胞によっても発現する〕 新たに分離した抹消血(PB)−CD4+細胞を、免疫磁気CD4細胞分離キット(Miltenyi Biotec)を用い、健常人のリンパ球から得た。PB−CD4+の純度は、フローサイトメトリーにより98%超のCD3+CD4+CD8−であることが示された。高濃度のIL−15でサプリメントした10%の加熱不活性化ヒトAB血清を含む標準的培地の中で、PB−CD4+をさらに数日間(3〜6日)培養した。以下のプライマーを用い、CD160転写物をRT−PCRによって検出した。 5’−3’(センス):TGCAGGATGCTGTTGGAACCC(SEQID NO:8) 3’−5’(リバース):TCAGCCTGAACTGAGAGTGCCTTC(SEQID NO:9) 代表的な結果を図11に示す。〔アネキシン−VとPIの二重染色フローサイトメトリーによるアポトーシスの評価〕〔材料と方法〕 0.2×106の細胞を6ウェル/プレートに接種し、24時間にわたって血清飢餓条件にした後、VEGF(50ng/ml)の存在中で50時間にわたってsHLA−G1(1μg/ml)、CL1−R2mAbCD160(10μg/ml)、又は対照Ig−G1(10μg/ml)を用いて処理した。処理の最後に、遠心分離によって浮遊細胞を収集し、一方で、付着細胞は、トリプシン−EDTA溶液によって収穫し、単細懸濁液を作成した。次いで、細胞を遠心分離によってペレットにし、PBSで2回洗浄した。メーカー説明書にしたがってアネキシンV−FITCアポトーシス検出キット(DAKO)を用い、アポトーシス細胞死を、組換え型FITC(蛍光色素イソチオシアネート)共役アネキシン−VとPI(ヨウ化プロピジウム)による二重染色によって特定した。FITC抱合体については蛍光1(FL1)シグナル検出器を、PIについてはFL3シグナル検出器を用い、FACScan(Becton Dickinson)のフローサイトメトリーによって細胞を分析した。各サンプルについて一万数千のイベントを記録した。CellQuestソフトウエアを用いてデータを解析した。〔結果〕 図18aは、CD160受容体が、初代培養のヒト線維芽細胞又は平滑筋細胞ではなく、HUVECとHMVECの細胞表面に発現することを実証する。図18bは、CL1−R2が、線維芽細胞ではなく、HUVECの特異性アポトーシスの引金を引くことを実証する。 図18cは、CL1−R2抗CD160モノクロナール抗体が、CD160の可溶性HLA−G1天然リガンドの抗血管新生効果を模倣することを示す。可溶性HLA−G1及び抗CD60モノクローナル抗体の双方は、内皮細胞(HUVEC)特異性アポトーシスを仲介し、IgG1アイソタイプ対照には効果がない。したがって、アネキシンV結合実験は、この効果の特異性を確立し、即ち、CL1−R2モノクローナル抗体は、CD160陰性初期線維芽細胞のではなく、CD160発現HUVECのアポトーシスを引き起こす。〔可溶性HLA−G1は、アポトーシス経路を通して、かつ内皮細胞によって発現するCD160受容体への直接結合によって血管新生を抑制する〕〔要約〕 HLA−Gは、その構成的組織分布が、妊娠の間に母体と胎児の境界における栄養膜細胞に主に制約される主要組織適合性の複合体クラスIb分子である。この研究において、我々は、可溶性HLA−G1(sHLA−G1)アイソフォームが血管内皮増殖因子誘発の内皮細胞の増殖と遊走を抑制し、線維芽細胞成長因子−2−誘発の毛細状管形成を低下させる能力を実証する。我々は、このことが起きる可能なメカニズムを確認し、即ち、sHLA−G1は、内皮細胞によって発現するグリコシルホスファチジルイノシトール固定の受容体であるCD160に結合することによって、アポトーシスを誘発する。さらに、我々は、特異性CL1−R2抗CD160モニクロナール抗体が、内皮細胞管形成とアポトーシス誘発のsHLA−G1仲介抑制を模倣することを示す。このように、内皮細胞におけるCD160の関与は、血管新生抑制にとって基本的であり得る。sHLA−G1/CD160仲介の抗血管新生特性は、妊娠中の母体ラセン動脈の血管再構築に関与し、我々がネズミ腫瘍の脈管構造中にCD160が強力に発現することを見出したように、病的新血管形成を防ぐための誘引性の治療目標を提供する。〔緒言〕 HLA−Gは、ユニークなプロモーター領域、限られた多形性、制約された構造的組織分布、及び膜結合又は可溶性のタンパク質1のいずれかをコード化するいくつかのスプライスした転写物の発生によって特徴づけられるヒトの主な組織適合性クラスIb遺伝子である。活発に分泌された可溶性HLA−G1(sHLA−G1)アイソフォームは、mRNA保持イントロン42から出現し、これは、膜貫通型ドメインの翻訳を妨げる終止コドンを含む。この37kDaイントロン保持sHLA−G1アイソフォームは、β2−マイクログロブリン(β2m)に付随する2。多形のHLA−AとHLA−BのクラスIa分子が発現したときの胎座におけるsHLA−G1の有力な発現は、妊娠中の重要な免疫機能と一貫性がある3。sHLA−G1は、活性化したCD+8TとNK細胞のアポトーシスを誘発し4,5、CD4+T細胞のアロ増殖応答を下方制御する6。いくつかの抗HLA−Gモノクローナル抗体(mAb)が胎盤内皮細胞に結合したという観察は7,8、HLA−Gもまた胎盤血管形成と子宮血管再構築の調節に関与し得る7という我々の仮説に帰結する。いくつかのさらなる観察は、HLA−Gのこうした新規な機能と一致しており、即ち、第1に、絨毛外栄養膜細胞におけるHLA−G発現の欠陥は、母体のラセン動脈のHLA−G+血管内栄養膜浸入が抑止され、母体境界への血流を損なう9妊娠の一般的合併症である子癇前症に付随し9,10、第2に、HLA−Gは、NK細胞の経皮内遊走11と内皮細胞上の活性化NK細胞の回転付着を抑制することが示されている12。今までに、血管新生の調節におけるsHLA−G1の起こり得る役割には取り組まれていなかった。 既存の血管から新しい毛管が生成する血管新生は、胎児の血管の発達と分化、傷の回復、及び組織再生の重大な要素であるが、さらに、腫瘍成長、糖尿病、虚血性眼疾患、及び関節リュウマチなどの新血管形成によって決まる病状の進行にも寄与する13−15。血管新生、内皮成長因子(VEGF)、及び線維芽細胞成長因子(FGF)の系統群の最も重要なメディエーターは十分に画定されるが16、血管新生は、いずれもが事象の統合順序に寄与するいろいろな細胞種類によって発現する多様な遺伝子生成物を伴う複雑なプロセスとして存在する17。 sHLA−G1が内皮細胞活性の制御因子であるという我々の仮説をテストするため、我々はそのインビトロ効果を調べた。この研究は、sHLA−G1が、VEGFとFGFの誘発する血管新生を抑制し、内皮細胞上に発現したグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)固定のCD160受容体18,19との相互作用によって内皮細胞のアポトーシスを誘発することを実証する。興味深いことに、我々は、生体外で行った免疫組織化学的染色により、CD160がマウス腫瘍モデルの血管レベルで発現することを示す。〔結果〕〔sHLA−G1は、VEGF又はFGF2仲介の内皮細胞の増殖、遊走、及び毛細血管形成を抑制する〕 VEGFは、内皮細胞の最も強力な分裂促進的・遊走促進的因子である16。したがって、我々は、sHLA−G1がインビトロでVEGF機能を妨害し得るかどうかを調べた。精製組換え型sHLA−G1は、HUVECに外因的に添加したとき、用量依存性の状態で、VEGFへの増殖反応を抑制した(図12a)。これに対し、β2m(sHLA−G1mono)に融合した単鎖タンパク質sHLA−G1は、効果を有さず、sHLA−G1の折りたたみがその生物的活性にとって重要であることを示唆する。さらにまた、sHLA−G1は、大動脈又は副腎微小血管に由来するウシ内皮細胞のVEGF仲介増殖を抑制し(データは示さない)、異なる組織から発する種と内皮細胞の中から保存されるメカニズムを示唆する。 次いで、我々は、遊走アッセイを用い、内皮細胞遊走に及ぼすsHLA−G1の効果を検討した。HUVECをVEGFの不在下でインキュベートしたとき、sHLA−G1を添加したか否かによらず、僅かな自発的遊走が生じた(図12b、未処理)。これに対し、VEGFの添加後、遊走した細胞の数の有意な増加が検出された。これらの条件下で、sHLA−G1の添加はそれらの遊走を抑制した(図12b、VEGF処理)。遊走の抑制はsHLA−G1monoでは観察されなかった。 我々は、次に、マトリゲル上で培養した内皮細胞による毛細血管形成を抑制するsHLA−G1の能力を評価した。sHLA−G1は、FGF−2誘発の管状形成を有意に抑制した(図12c、形態、図12d、定量化)。総じて、これらの発見は、sHLA−G1が、インビトロのプロ血管新生因子仲介の内皮細胞の増殖、遊走、及び毛細血管形成を抑制することを示す。〔sHLA−G1は内皮細胞のアポトーシスを誘発する〕 これらのsHLA−G1誘発の抑制効果に関与するメカニズムを割り出す目的で、我々は、経時的顕微鏡検査法を用い、アポトーシスの形態変化がsHLA−G1処理の後に内皮細胞で生じたかどうかを検討した。HUVECに由来する内皮細胞を用い、我々は、sHLA−G1を含む条件培地を用いたこれらの細胞のインキュベーションが、経時的デジタルイメージ顕微鏡検査法による測定で(図13a、b)、明確にアポトーシスを誘発したことを見出した。実験結果からのイメージ(図13b)とビデオデータは、sHLA−G1処理細胞の形態が、細胞質と核の収縮及び相の明るい外観への変化、並びに膜のブレブ/ブリスターの形成によって特徴づけられることを示す。比較として、対照の条件培地におけるこれらの細胞のインキュベーションは、効果を有しなかった。組換え型sHLA−G1(100ng/ml)を用いた実験は、同様なアポトーシス効果を示した(図13c、d)。広域スペクトルのカスパーゼ阻害剤zVAD−fmkの使用は、組換え型sHLA−G1仲介のアポトーシスを防いだ(図13c、d)。sHLA−G1によるアポトーシスの誘発は、さらに、ウエスタンブロット解析による分割ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)の検出によって実証された(図13e)。〔sHLA−G1はCD160受容体に直接結合する〕 次に、内皮細胞に及ぼすsHLA−G1仲介の抑制効果に関与する受容体の特定が重要であった。我々は、先ず、種々の濃度の非放射性競合者の存在下で、125I−VEGF又は125I−sHLA−G1を用い、2時間(平衡時間)にわたってインキュベートしたHUVEC上の4℃における放射性受容体アッセイ結合実験を行うことにより、sHLA−G1がVEGF受容体によって干渉されるかどうかをテストした。我々は、最初に、HUVECに対する125I−sHLA−G1の結合を分析し、低温VEGF又はFGF−2競合者が効果を有さず、一方で、未標識sHLA−G1は、ナノモル範囲におけるIC50値の濃度の関数としてこの結合を抑制することを見出した(図14a)。リガンドとして125I−VEGFを用いた競合実験において、我々は、低温VEGFが、ナノモル範囲にIC50値を有するHUVECにその結合を迅速に置き換え、一方で、sHLA−G1は効果を有しないことを見出した(図14b)。さらに、我々は、低温sHLA−G1競合者が、PAEC−VEGF−R2又はPAEC−NPLl形質移入体に対する125I−VEGFの結合を抑制しないことを見出した(データは示さず)。しかしながら、ドーパミンのようなVEGF依存性の増殖と遊走の別な抑制剤は、VEGF細胞結合と競合せずに、VEGF受容体の内部移行を通して作用することができる。37℃でのVEGFを用いたHUVECのプレインキュベーションは、1時間以内に125I−VEGFの結合をほぼ全体的に消滅させたのに対し、sHLA−G1のそれは24時間までその結合に効果を有さず(データは示さず)、このため、VEGF受容体の内部移行又は発現を調節しないことを実証している。これらの結果は、sHLA−G1結合が、VEGF受容体に干渉することなく、内皮細胞に特異的に結合することを実証する。 次いで、我々は、CD844、CD85d21、CD85j21、及びCD16022などのいくつかの今までに記載されたHLA−G受容体を、HUVECが発現したかどうかを調べた。フローサイトメトリー分析は、一定レベルではないものの、HUVECが、抗CD160mAbによって染色されるけれど、抗CD8、CD85d、又はCD85JmAbによっては染色されないことを示した(図15a)。同様に、HMVECはまた、ウシ内皮細胞のように(データは示さず)抗CD160mAbに結合し(図15a)、mAbによって認識されるCD160エピトープが種の中で保存されたことを示唆する。CD169がHUVECによって発現することをさらに実証するため、我々は、CD160特異性プライマーを用い、CD160+(NK細胞株NK92)とCD160−(CD4+T)対照細胞との比較により、これらの細胞のRT−PCR分析を行った。NK92と同様に、CD160mRNAがHUVEC中に検出されたのに対し、CD4+T細胞は陰性であった(図15b)。次いで、HUVECとNK92cDNAsを分離し、配列決定した。HUVECとNK92CD160のタンパク質の予測されたアミノ酸配列アラインメントは、2つの置換残基があり得る対立形質形態を示すことを除き、それらはいずれも、既に記載19されたCD160配列に類似であることを示した(図15c)。 CD160もまたインビボの内皮細胞上に発現し、その発現が培地条件に起因しないことを実証するため、我々は、移植されたルイス肺癌のマウス腫瘍の特定の免疫組織化学的染色を行った。我々は、抗CD160mAbが、腫瘍の周囲(図16a,b)と内側(図16c、d)で微細血管の内皮細胞を強力に染色したのに対し、IgGアイソタイプ対照では染色が検出されない(データは示さず)ことを見出した。これに対し、腫瘍細胞は未染色のままであった。こうしたCL1−R2抗CD160mAbの反応性は、ヒトとマウスの双方のCD160コード化cDNAの先の同定と配列決定が、2つの種の間で強い相同性を示したことから、驚くことではない。 我々は、次いで、sHLA−G1が、内皮細胞によって発現したCD160受容体に効果的に結合することを実証した。我々は、先ず、HLA−G1四量体が、CD160形質移入Jurkatと同様に、HUVECに特異的に結合することを見出した(図17a)。sHLA−G1とCD160のHUVEC上の直接の相互作用は、組換え型sHLA−G1を用いたHUVECのプレインキュベーションは、抗CD160mAbの結合を特異的に阻止するのに対し(図17b)、VEGFを用いたプレインキュベーションは阻止しない(データは示さず)ことを示すことによってさらに実証された。 sHLA−G1機能がCD160との相互作用を通して仲介されるということをさらに実証するため、我々は、可溶性抗CD160mAbが、インビトロのマトリゲルアッセイとプロアポトーシス効果におけるsHLA−G1抗血管新生活性を模倣し得るかどうかをテストした。結果は、精製CL1−R2mAbの1〜10μg/mlの添加が、FGF−2仲介の血管成長の抑制(図17c)と内皮アポトーシスの誘発(図17d)をもたらしたことを明らかに示した。これらのデータは、内皮細胞によって発現したCD160が、抗血管新生細胞応答の引金を引くことができる機能的受容体であることをさらに実証する。〔議論〕 この研究において、我々は、sHLA−G1分子が非免疫機能、即ち、血管新生抑制を及ぼし得ることを実証した。母体と胎児の境界における脈管構造の空間的・時間的制御は、発育する胎児に栄養を与える適切な血液供給を確保するのに重要な役割を果たし、血管細胞を制御する局所的に作用する因子が存在することを示唆する23。sHLA−G1は、内皮細胞を置き換えて母親のラセン状動脈を再構築する血管内栄養膜などの絨毛外栄養膜細胞によって分泌され3、それによって、これらの血管の直径を数倍増加させる24。我々は、内皮細胞へのsHLA−G1効果がこうした置き換えに寄与するとの仮説を立てる。浅い細胞栄養芽層浸入と母親血液の胎盤胎児ユニット9,10への低下した流れを特徴とする子癇胎盤における可溶性HLA−Gの減少などのHLA−G発現の不足は、こうした仮説に賛成する。 内皮細胞アポトーシスの誘発25、マトリックスのメタロプロテアーゼ活性の抑制26、又は内皮細胞の化学的反発27などの血管新生阻害剤の活性を説明するため、いろいろなメカニズムが報告されている。本報告において、我々は、内皮細胞の遊走、増殖、及び血管形成の有意な遮断などの、sHLA−G1の新規な抑制作用を実証する。また、我々は、sHLA−G1処理の内皮細胞が次第にアポトーシス形態を示したことから、これらの効果が内皮細胞アポトーシスの誘発を伴い得ることを示唆する。CD8+T細胞4におけるように、このアポトーシスが内皮FasL発現によって仲介されるかどうかは、実証されるべきままである。妊娠中の子宮動脈の再構築におけるアポトーシスとFas/FasL相互作用についての役割が最近になって実証された28ことは興味深い。 血管形成に及ぼすsHLA−G1の直接の抑制効果は、CL1−R2抗CD160mAbがマトリゲルで培養された内皮細胞によるFGF−2誘発の毛細血管形成の抑制と内皮アポトーシスの誘発を模倣することから、多分、機能的CD160受容体を通して仲介される。ニューロピン受容体27に結合するVEGFの競合者であるセマフォリン3Fのような別の血管新生阻害剤と異なり、sHLA−G1はCD160受容体に直接作用する。種々のHLAクラスI分子がCD160に結合し得る29ことを知ると、別の可溶性MHCクラスI分子もまたこの受容体が抗血管新生機能を発揮する引金を引き得ることを排除することができない。総じて、これらの発見は、sHLA−G1の抗血管新生作用についての重要な力学的洞察を提供する。CD160関与に続いて内皮細胞とNK細胞によって使用され、前者についてはアポトーシスをもたらし、後者についえはサイトカイン生成30と後者については細胞障害性29をもたらすシグナル伝達経路を割り出すため、さらなる検討が必要とされる。 胎盤/子宮の環境における明らかな重要性に加え、血管新生についての抑制的シグナル伝達受容体としてのCD160の特定は、腫瘍細胞の成長を防ぐ実験的抗血管新生治療にとって有用であり得る。マウス移植腫瘍の我々の免疫組織化学的分析は、この種31において保存される遺伝子によってコード化されるCD160が、腫瘍性脈管構造の内皮細胞には存在するが、腫瘍細胞によっては発現しないことを示した。将来的目標は、したがって、いろいろな腫瘍における起こり得るCD160/sHLA−G1仲介の抗血管新生効果を割り出し、病的新血管形成の制御におけるCD160のあり得る治療的使用を探求することである。〔方法〕〔細胞と試薬〕 ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)とヒト微小血管内皮細胞(HMVEC)(BioWhittaker, San Diego, CA)を、1日おきに5%FCSと1ng/mlのVEGF又はFGF−2(R&D systems, Minneapolis, IL)で添加したEBM(BioWhittaker)の中に維持した。SGHEC−7細胞は、先に記載された32ようにして培養したHUVEC由来の細胞株である。ブタの大動脈内皮細胞(PAEC)−VEGF−R2(KDR)、PAEC−NPLl形質移入体、ヒトのJurkatT細胞、及びCD160で形質移入したJurkat(JurkatCD160)29を局所的に製造した。NK92は、CD160を発現するヒトNK細胞株である29。CD4+T細胞は、MACS分離システム(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)を用いてPBMCから精製した。イントロン4保持sHLA−G1cDNAを含むPCDNAベクトルで形質移入した前立腺癌PC3細胞と空ベクトル(PC3−ネオ)33で形質移入したPC3細胞を、4日間にわたって集密に成長させ、条件培地を収集した。培地を除去し、遠心分離して細胞片を除去し、−20℃で貯蔵した。sHLA−G1−β2m融合単鎖遺伝子を、HLA−Gのα3ドメインの先端残基をヒトβ2m配列の第1コドンに、15残基スペーサー34を介して接続することによって操作した。sHLA−G1とsHLA−G1monoは、先に記載されたようにして34、免疫親和性カラムを用い、真核細胞の培養上清から精製した。VEGF165は、記載されたように35、バキュロウイルス系の中で発現した。使用したmAbには、我々の研究室の1つで製造したCL1−R2(IgG1)抗BY55/CD16029、抗CD8(OKT8, Coulter Immunotech)、抗ILT4/CD85d(M. Colonnaの贈答)、抗ILT2/CD85J、抗CD106(Beckton Dickinson)、及び透析マウスIgG1又はIgG2aアイソタイプ対照(DAKO又はSigma)が含まれた。HLA−G1四量体を基本的に先に記載された36ようにして、合成自己ペプチドRIIPRHLQL37を用い、ストレプトアビジン−PE(Pharmingen)の添加の後、製造した。PE共役HLA−G四量体によるHUVEC、Jurkat、及びJurkatCD160の標識化は、37℃で1時間にわたって行った。JurkatCD160とJurkatについて、四量体は、先に記載されたようにして22、抗HLAクラスI W6/32mAbを用いて架橋結合した。〔内皮細胞の増殖と遊走のアッセイ〕 増殖分析のため、PBS中の0.3%ゼラチンをコーティングした12ウェルのプレート(8000細胞/ウェル)にHUVECを接種した。細胞を、種々の濃度のsHLA−G1又はsHLA−G1monoの存在又は不在下で、生理食塩水又はVEGF(1ng/ml)を用いてインキュベートした。数日後、細胞をトリプシン処理し、コールターカウンターZMを用いてカウントした。遊走アッセイを、成長抑止集密HUVEC又はBAECの上で行った。細胞の単層を、ラバーポリスマンを用いて傷つけ、無血清培地で洗浄し、各ウェルを100倍の倍率で写真撮影した。次いで、ディッシュを、VEGF(50ng/ml)の存在又は不在下で、sHLA−G1又はsHLA−G1mono(100ng/ml)を含む無血清培地中で16時間にわたってインキュベートした。各ウェルの第2の写真を撮り、2枚の写真を重ねることによって遊走した細胞をカウントした。〔VEGFとsHLA−G1の細胞結合〕 精製組換え型VEGFとsHLA−G1をそれぞれ35、2.4×104と1.1×105cpm/ngの比放射能にNa125Iを用いて放射標識した。2×105の血清不足HUVECを含むウェルを、種々の時間間隔(0.1〜24時間)にわたって37℃にて50ng/mlのVEGF又はsHLA−G1を用いて前処理するか、あるいは結合アッセイについて直ぐに処理した。要するに、0.2%ゼラチンと20mMのHepes(pH7.3)でサプリメントした低温DMEMの中でディッシュをリンスし、指示濃度の低温競合者の不在又は存在下で、2ng/mlの125I−VEGF又は125I−sHLA−G1を用い、4℃で2時間にわたってインキュベートした。次いで、細胞を同じ培地中でリンスし、RIPAバッファーに溶かし、γカウンターで放射能をカウントした。〔インビトロの毛細管形成〕 増殖因子減少マトリゲル(BD Biosciences)をコラーゲンで希釈し(体積比1/6)、氷上に保持した。この溶液の160μlを、タイプIのラット尾部コラーゲンでプレコートした8ウェル培養スライドの各ウェルに添加し、37℃にて1時間放置した。対照、FGF−2、sHLA−G1、又はmAbCD160と混合した又はしないHUVEC懸濁液を37℃で24時間にわたってマトリゲル/コラーゲンのゲルの中に接種した。微細管を先に記載のようにして38顕微鏡法によって定量した。要するに、培地を除去し、細胞をPBSを用いて2回リンスし、4%PFA溶液に室温で30分間固定した。次いで、細胞をPBSを用いて2回洗浄し、マッソントリクロームで染色した。微細毛管の網状組織の範囲を、自動化コンピューター利用イメージ解析装置(Imagenia, Biocom)で測定し、各ウェルにおける毛管の全長を測定した。平均の微細毛管の網状組織の長さ(μm)を、各実験条件について計算した。実験は、3通り行って3回繰り返した。〔フローサイトメトリー分析〕 亜集密HUVEC又はHVMECをPBS−EDTAに掻爬し、100ng/mlのsHLA−G1の存在又は不在下で、4℃においてインキュベートした。2時間後、抗CD8、CD85d、CD85j、CD106もしくはCL1−R2抗CD160特異性mAb、又はIgアイソタイプ対照(20μg/ml)を用いて、続いてF(ab’)2−FITC又はPE共役ヤギ抗マウスIgGを用いて、細胞をインキュベートした。ヨウ化プロピジウムの使用によって非生存可能な細胞を排除した。Coulter−Epics ELITEフローサイトメーターによってサンプルを分析した。〔RT―PCR及びcDNA配列決定〕 CD160の転写産物を、以下のプライマーを用いてRT−PCRにより検出した:5’−TGCAGGATGCTGTTGGAACCC−3’(SEQ ID NO:8)及び3’−TCAGCCTGAACTGAGAGTGCCTTC−5’(SEQ ID NO:9)。cDNAの品質は、前記適切なプライマーを用いてβアクチンの増幅によって確認した。CD160及びβアクチンの増幅コンディションは、95℃45秒、60℃30秒、72℃1分で行った。CD160の配列決定のために、Taq High Fidelity(Invitrogen)を用いた。PCR生成物を精製し(qiaex II,Qiagen)、以下のプライマーを用いて分析した:BY0l(5’−TGCAGGATGCTGTTGGAACCC−3’;SEQ ID NO:8)、BY03(3’ −TCAGCCTGAACTGAGAGTGCCTTC−5’;SEQ ID NO:9;BY02(5’−CAGCTGAGACTTAAAAGGGATC−3’;SEQ ID NO:5)及びBY04(3’−CACCAACACCATCTATCCCAG−5’;SEQ ID NO:6)。〔免疫組織化学〕 亜集密ルイス肺癌細胞をトリプシン処理し、2回洗浄し、PBSに懸濁させた。2×105の細胞を、C57BL/6雌マウス(IFFA Credo, France)の背側中央領域の中に皮下注入した。腫瘍を21日に採取し、4℃で終夜にわたって10%ホルマリン(Sigma)に固定し、パラフィン(Embeder Leica)に包埋した。5μmの切片をDako Autostainerに入れ、TNB阻害緩衝液(TSAキット、NEN)、ペルオキシダーゼ阻害剤(DAKO)、及びマウス免疫グロブリン阻害剤(Vector Laboratories)を用いてインキュベートした。切片を、CL1−R2抗CD160mAb(10μg/ml)を用いて、続いてビオチン標識ヤギ抗マウスIgGとアビジン−ビオチン複合体(Vector Laboratories)を用いてインキュベートした。それらをDAB(Vector Laboratories)を用いて染色し、ヘマトキシリンで対比染色し、ニコン顕微鏡(E−800)で観察し、40倍対物のDMX1200カメラ(ニコン)を用いてデジタル化した。〔経時的顕微鏡検査法〕 SGHEC−7細胞を、通常の培地で、6ウェルプレート(2.5×105細胞/ウェルに接種した。15時間後、PC3−sG1又はPC3−ネオ細胞からの条件培地、組換え型sHLA−G1(100ng/ml)、CL1−R2抗CD160mAb(1〜10μg/ml)、IgG1アイソタイプ対照(10μg/ml)又はzVAD−fmk(50μモル/l、Calbiochem)をウェルに添加した。プレートを、モーター付きステージと冷却CCDカメラを備えたオリンパスLX70倒立蛍光顕微鏡に移し、37℃の空気中5%CO2の加熱加湿チャンバーに入れた。15分ごとに36〜50時間にわたって写真を撮り、ImagePro Plus(Media Cybernetics)を用いてタイムラプス配列を解析した。各々の視野において、40細胞をランダムに選択した。実験は少なくとも4回繰り返した。明確なアポトーシス形態が最初に観察されたときの時間にしたがってアポトーシス細胞を記録した39。〔切断PARP発現のウエスタンブロット分析〕 SGHEC−7内皮細胞を培地に接種した。16時間後、細胞を組換え型sHLA−G1(100ng/ml)を用いて60時間にわたって刺激した。細胞を、0.1mg/mlのPMSF、30μl/mlのアプロチニン、1ミリモル/lのオルトバナジン酸ナトリウムを含むRIPA緩衝液に4℃で30分間溶解した。SDS−PAGEによってサンプルを分離し、ニトロセルロース膜に移した。阻止緩衝液中で室温にて1時間インキュベートした後、ウサギのポリクローナル抗ヒト分割PARP(Promega)を用いて膜を1時間インキュベートした。抗ウサギIgGペルオキシダーゼ(A6154, Sigma)を1時間にわたって添加した。膜結合抗体の検出は、化学発光によって行った(ECLPlus, Amersham)。〔統計的解析〕 結果は、nの独立した実験の平均±SEM又はSDとして表し、必要に応じてマンホイットニーU検定又はANOVAテスト、及びP<0.05を統計的に有意と考えるEverstat又はGraphPadPrismソフトウエアを用いて評価した。1. 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Res. 287, 314−324 (2003)図1A、図1B、図1Cは、HLA−Cが引き起こすNK92細胞及びPB−NK細胞によるサイトカイン生産を示す図である。〔図1A〕NK92で処理されたIL−2は、W6/32抗HLA−CmAb(下のパネル)のブロッキング濃度の存在下又は不存在下で、4時間にわたってK562class−I+と共にインキュベートされた。細胞は、細胞内TNF−αの発現のために、材料と方法に記載されているように、固定、透析処理及び染色された。K562class−I+又はNK92細胞は、単独で対照として用いられた(上のパネル)。〔図1B〕K562class−I+、K562又はK562−Cw5は、W6/32mAbを用いたHLA−Cの表面発現を調べるためのフローサイトメトリーによって分析され、続けてPE−conjugateによって分析された(白抜きのプロファイル)。黒ぬりのプロファイルは、Igアイソタイプの対照染色である。〔図1C〕PB−NKによるK562class−I+、K562又はK562−Cw5の存在下、単独で又は共に16時間培養した後のIL−4、IL−6、IL−10、TNF−α、及びIFN−γ生産の同時測定。上清を、CBA分析のために集めた。サンプルをデュアルレーザーフローサイトメーターを用いて得、データを2色のドットプロットとして表示した。各ビーズのサイトカイン特異的セットをFL−3チャンネルによって決定される独特の蛍光強度に設定した。抗IL−4、IL−6、IL−10、TNF−α、及びIFN−γ抗体によって結合され、PE−共役抗IL−4、IL−6、IL−10、TNF−α、及びIFN−γmAbによって検出される各サイトカインの存在は、FL−2の信号強度によって示される。データは5回行ったうちの1回の代表的な実験のものである。CD160mAb架橋結合は、PB−NK細胞によるTNF−α、IFN−γ及びIL−6サイトカイン生成の引き金を引く。16時間のインキュベーションの間の特異的mAbによるCD160、CD16、NKG2D、及びNK細胞受容体の架橋結合の後、上清サンプルは、材料と方法の記載に従って、CBAによりサイトカイン生成が分析された。サンプル中のサイトカイン濃度は、各サイトカインについての標準希釈物を用いた適切な検量線と比較して計算した。結果は、異なるドナーによって遂行された9回の独立した実験の平均±SEとして表される。*P≦0.05,**P≦0.03,***P≦0.01,****P≦0.003,*****P≦0.008(スチューデントt検定)。図3A及び図3Bは、CD158b抑制受容体によるCD160仲介TNF−α、IFN−γおよびIL−6サイトカイン生成の阻害を表す。〔図3A〕新鮮な精製されたPB−NKは、CD160、CD56、CD3、CD16、CD158b及びNKG2Dの表面発現を、PE−Cy5−共役BY55抗CD160mAb及び/又はPE−共役―抗CD56、CD3、CD16、CD158bmAb及び/又は抗NKG2Dを用いて、続いてPE−共役F(ab’)2ヤギ抗マウスIgG1 Abを用いて、フローサイトメトリーによって直ちに分析された。上方のパネル、単染色(黒ぬりのプロファイル);白抜きのプロファイルは、PE−Cy5−IgM又はPE−IgGアイソタイプ対照染色である。下方のパネル、2重染色:CD160及び他のマーカーの両方に陽性の細胞の割合。結果は5回の異なる実験を表す。〔図3B〕材料と方法に記載しているように、CD160、NKG2D及びCD158bNK細胞受容体は、適切な濃度を使用した特異的mAbとPB−NK細胞上で単独で架橋結合するか又は互いに架橋結合する。16時間の受容体の活性化の後、上清サンプルは、材料と方法に記載しているように、CBAによって分析された。データは、異なるドナーによって遂行された5回の実験のうちの1回の代表的な実験から得た。図4A、図4B、図4C、図4Dは、VEGF又はFGF2によって引き起こされたECの増殖、遊走、及び毛細管様管形成におけるsHLA−G1の効果を示す。〔図4A〕sHLA−G1によるVEGF仲介HUVEC増殖の阻害。細胞は、VEGFの存在下、低密度で接種され、様々な濃度のsHLA−G1(sG1)又は対照sHLA−G1−β2m単鎖(sG1mono)でインキュベーションされた。7日間の培養の後、細胞はトリプシン処理され、カウントされた。〔図4B〕sG1又はsG1monoによるVEGF誘導HUVEC遊走の阻害。成長が阻害されたHUVEC単層は、掻爬されsG1又はsG1monoの存在又は非存在(−)下においてVEGFで刺激される又は刺激されなかった(−)。18時間後細胞単層は、May−Grunwald Giemsaで染色され、細胞の遊走は、材料と方法に示されたように、カウントされた。〔図4C及び図4D〕sHLA−G1によるインビトロでの血管新生におけるFGF−2誘導HUVECの抑制。HUVECは、FGF−2及び/又はsG1の存在又は非存在下、コラーゲンゲルで希釈されたマトリゲルに接種された。24時間後、各ウェルの写真が撮られた(図4C)、そして血管新生が材料と方法に記載されているように、定量化された(図4D)。代表的なウェルの顕微写真は、sHLA−G1インキュベーション後のFGF−2誘導HUVEC管形成が、FGF−2単独又はFGF−2及び対照に比較して減少していることを示す。sHLA−G1のための対照は、免疫親和性カラムを通過し、溶出され、プールされた非形質導入細胞の培養上清である(10)。A、B及びDの結果は3つのウェルの平均+/−SDであり、5つの独立した実験を表す。図5A及び図5Bは、sHLA−G1はVEGF受容体に結合しないことを示す。〔図5A〕HUVECは、放射性標識されていないVEGF、FGF−2又は様々な濃度のsHLA−G1(sG1)の存在又は非存在(−)下において125I−sHLA−G1とインキュベーションされた。非標識sHLA−G1は、125I−sHLA−G1結合を阻害したが、VEGFとFGF−2は阻害しなかった。〔図5B〕HUVECは放射性標識されていないsG1、FGF−2又はVEGFの存在下で、ヨード化されたVEGFとインキュベーションされた。放射性標識されていないVEGFとは異なり、放射性標識されていないsG1は、ヨード化されたVEGF結合を排除しなかった。結果は3つのウェルの平均+/−SDであり、5つの独立した実験を表す。図6A、図6B及び図6Cは、ECによって発現されるCD160受容体へのsHLAの結合を示す。〔図6A〕HUVECは、VEGF又はsG1の存在又は非存在下において、CD8、ILT2又はCL1−R2(CD160)特異的mAb(白抜きのプロファイル)又はIgアイソタイプ対照Ab(黒ぬりのプロファイル)とインキュベーションされた後フローサイトメトリーにより分析され、次いでFITC標識結合体により分析された。結果は6つの独立した実験を表す。〔図6B〕NK92、HUVEC及びPB−CD4+リンパ球におけるCD160mRNAの発現は、CD160(上段)又はβ−アクチン(下段)プライマーを用いたRT−PCRによって測定された。〔図6C〕NK92(NK)及びHUVECにおいて発現されるCD160の予想されるアミノ酸配列。(−)同一性を示す。図7A及び図7Bは、HLA−G4量体のJurkatCD160及びHUVECへの結合を示す。〔図7A、上方〕フローサイトメトリーによって、mAbCL1−R2はJurkatCD160を染色したが、Jurkatを移入しなかったCD160(白抜きのプロファイル)は染色されなかった。黒ぬりのプロファイルはIgアイソタイプ対照染色である。〔図7A、下方〕W6/32mAbと架橋結合され、その後ストレプトアビジン−PEとインキュベーションされたHLA−G1の4量体は、HUVECに結合する(白抜きのプロファイル)。黒ぬりのプロファイルは、ストレプトアビジン−PEによる対照染色である。〔図7B〕HUVECは、4℃でsHLA−G1(100ng/ml)とインキュベーションされる又はされなかった。2時間後、細胞はCL1−R2とインキュベーションされてPE共役され、フローサイトメトリーによって分析される(白抜きのプロファイル)。黒ぬりのプロファイルは、Igアイソタイプ対照染色である。結果は、3つの独立した実験を表す。CD160のmAb架橋結合は、インビトロでの血管新生の阻害の引き金を引く。HUVECは、FGF−2及びsHLA6G1及び/又はmAbCD160又はIgアイソタイプ対照の存在又は非存在下、コラーゲンゲルで希釈されたマトリゲルに接種された。24時間後、各ウェルの写真が撮られ、そして血管新生が材料と方法に記載されているように、定量化された。結果は3つのウェルの平均+/6 SDであり、5つの独立した実験を表す。図9A及び図9Bは、ECのCD160発現における低酸素の効果を示す。HUVECは、PE標識結合体に従って、正常酸素又は低酸素(5% O2)コンディションにおいて24時間インキュベーションされ、CL1−R2mAB(図9A)を用いてCD160の表面発現が、又は抗CD106mAB(図9B)を用いてVCMAMの表面発現が分析された。黒ぬりのプロファイルは、Igアイソタイプ対照染色である。結果は、3つの独立した実験を表す。図10A、図10B、図10C、図10Dは、腫瘍部位におけるCL1−R2mAB免疫組織化学的染色であり、CD160が腫瘍細胞で発現されず、腫瘍周辺におけるリンパ管のEC及び腫瘍内部の微小血管のECによって高いレベルで発現されていることを示す。〔図10A及び図10B〕腫瘍の周辺におけるリンパ微小血管のCD160染色である。〔図10C及び図10D〕腫瘍内部における微小血管のCD160染色である。図11は、IL−15を有するCD4+リンパ球におけるCD160転写産物の誘導である。図12a、図12b、図12c及び図12dは、sHLAは、VEGF又はFGF2が仲介する、内皮細胞の増殖、遊走及び毛細管のような管形成を阻害することを示す。(a)HUVECのVEGFに対する増殖反応である。組換えsHLA−G1(sG1)又は対照sHLA−G1− 2m単鎖(sG1mono)の効果である。(b)sHLA−G1による、VEGFが誘導するHUVECの遊走の抑制である。成長が阻害されたHUVEC単層は、掻爬され、sG1又はsG1monoの存在又は非存在(−)下においてVEGFで刺激される又は刺激されなかった。16時間後細胞単層は、May−Grunwald Giemsaで染色され、細胞の遊走は、材料と方法に示されたように、カウントされた。(c、d)sHLA−G1は、FGF−2−誘導血管新生を阻害する。HUVECは、FGF−2及び/又はsG1の存在又は非存在下、マトリゲルに接種された。24時間後、各ウェルの写真が撮られ(c)、そして血管新生が材料と方法に記載されているように、定量化された(d)。対照は、免疫親和性カラムを通過し、溶出され、プールされた非形質導入細胞の培養上清である34。***P<0.001、ANOVA検定。(a、b及びd)の結果は3つのウェルの平均+/−SDであり、5つの独立した実験を表す。図13a、図13b、図13c、図13d及び図13eは、sHLA−G1が、内皮細胞のアポトーシスを引き起こすことを示す。(a)アポトーシス誘導反応速度カーブである。SGHEC−7細胞は、sHLA−G1(G1s)又は空のベクター(neo)で移入されたPC3細胞から得た調整培地でインキュベーションされた。経時の顕微鏡観察はアポトーシスした形態の外観を評価して行われた。7つの実験からプールされたデータの平均±SEMが示されている。データは15分毎に得られたが、明瞭に示すためにデータポイントは2時間毎にのみ示した。(b)sG1又はneo調整培地で処置された後の内皮細胞のイメージである(補足図2ビデオクリップオンライン)。(c)経時顕微鏡観察によって評価されたカスパーゼ阻害剤zVAD−fmkの存在又は非存在下における組換えsHLA−G1によるアポトーシス誘導の反応速度カーブである。4つの実験からプールされたデータの平均±SEMを示す。(d)反応速度カーブから計算されたカーブの面積が(c)に示されている。**P<0.003 Mann Whitney U検定。(e)PARP発現を分割されたp85のウエスタンブロット分析である。SGHEC−7細胞はsHLA−G1の非存在(対照)又は存在下においてインキュベーションされた。図14a及び図14bは、sHLA−G1は、VEGF受容体によって妨げられないことを示す。(a)HUVECは、放射性標識されていないVEGF、FGF−2又は様々な濃度のsHLA−G1(sG1)の非存在(−)又は存在下において125I−sHLA−G1とインキュベーションされた。非標識sHLA−G1は、125I−sHLA−G1結合を阻害したが、VEGF及びFGF−2は、125I−sHLA−G1結合を阻害しなかった。放射性標識されていないVEGFとは異なり、放射性標識されていないsG1は、ヨード化されたVEGF結合を排除しなかった。結果は3つのウェルの平均+/−SEMであり、3つの独立した実験を表す。図15a、図15b、図15cは、HUVECがCD160受容体を発現することを示す。(a)HUVEC及びHMVECは、FITC標識結合体によってフォローされたCD8、CD85d、CD85j又はCL1−R2(CD160)特異的mAb(白抜きのプロファイル)又はIgアイソタイプ対照(黒ぬりのプロファイル)とインキュベーションされた後、フローサイトメトリーによって分析された。結果は6つの独立した実験を表す。(b)HUVECによるCD160mRNAの発現である。(c)HUVEC及びNK92において発現されるCD160の予想されるアミノ酸配列である。(−)はアイデンティティーを示す。図16a、図16b、図16c及び図16dは、茶色でCD160陽性管を示す抗CD160mAbでのルイス肺癌細胞部位の免疫組織化学染色である。管網染色は腫瘍の周辺に局所化された(a)。腫瘍周辺の血管(b)及び腫瘍中心の血管(c、d)はまたCD160mAbで染色された一方、腫瘍細胞は染色されなかった。拡大、400倍。図17a、図17b、図17c及び図17dは、sHLA−G1が内皮細胞によって発現されたCD160受容体に結合することを示す。(a、上方)抗CD160mAbは、JurkatCD160を染色するが、Jurkat非形質移入CD160を染色しない(黒ぬりのプロファイル、アイソタイプ対照)。 (a、下方)HLA−G1 4量体は、HUVEC及びJurkatCD160調整形質移入体に結合するが、非形質移入Jurkat細胞には結合しない(黒ぬりのプロファイル、ストレプトアビジン−PEで染色した対照)。(b)組換えsHLA−G1は、CD160mAbのHUVECへの結合をブロックする(黒ぬりのプロファイル、アイソタイプ対照)。結果は、3つの独立した実験を表す。(c)可溶性CL1−R2抗CD160mAbはインビトロでの血管新生阻害の引き金を引く。HUVECは、FGF−2及びsHLA−G1及び/又はmAbCD160(+++,10μg/ml;+,1μg/ml)又はIgG1アイソタイプ対照(10μg/ml)の存在又は非存在下、マトリゲルに接種された。24時間後、各ウェルの写真が撮られ、そして血管新生が定量化された。結果は3つのウェルの平均±SDであり、5つの独立した実験を表す。ANOVA検定による***P<0.001、*P<0.005、FGF−2処理細胞との比較。(d)可溶性CL1−R2抗CD160mAbは、内皮でのアポトーシスを引き起こす。SGHEC−7細胞はCL1−R2(+,1μg/ml、++,5μg/ml、+++,10μg/ml)又はIgG1アイソタイプ対照(10μg/ml)とインキュベーションされ、経時顕微鏡観察がアポトーシス形態の外観を評価することによって行われた。50時間後のアポトーシスレベルは、3つの実験からプールされたデータの平均±SDで示される。ANOVA検定による*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、対照との比較。ネガティブコントロール細胞(一次培養による平滑筋細胞及びヒト繊維芽細胞)と比較したHUVEC及びHMVECにおけるCD160の発現。IgMアイソタイプ対照と比較したBY55抗CD160mAb(IgM)を用いたフローサイトメトリー分析。細胞は、これらの抗体のいずれかとインキュベーションされ、洗浄され、抗IgM−FITC結合体とインキュベーションされた。CL1−R2mAbは、HUVECのアポトーシスを引き起こすが、繊維芽細胞のアポトーシスは引き起こさない(アネクチン−V及びPI二重染色フローサイトメトリーによる評価)。図18bと同様の方法。2つの異なる実験の平均(各実験は5つの異なるウェル)。 CNCMI−3204として寄託されているハイブリドーマから得られる抗CD160mAbCL1−R2、該mAbCL1−R2の保存的フラグメント、及び少なくとも1つのCL1−R2フラグメントを含有する該mAbCL1−R2の保存的誘導体、を含む群から選択された抗CD160化合物の使用であって、 前記抗CD160化合物は、CD160への結合において前記抗CD160mAbCL1−R2と競合しうるものであり、少なくともCD8αβに結合することなくCD160に結合するというCD160特異性を十分に有し、 前記保存的フラグメントは、前記mAbCL1−R2のFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、及びFvフラグメントからなる群から選択されたCL1−R2の部分であり、 前記保存的誘導体は、ペプチドリンカー(L)を介して、CL1−R2の少なくとも1つのCL1−R2VL領域に連結したCL1−R2の少なくとも1つのCL1−R2VH領域を含む少なくとも1つのscFv化合物を含み、又は、ヒトFcに連結したCL1−R2の少なくとも1つのFvフラグメントを含み、又は、前記CL1−R2mAbから誘導された1つ以上のFabを、全長CL1−R2mAbの各H鎖のC末端に付加することによって得られ、又は、全長CL1−R2mAbを一緒に共有結合させて凝集Ab形態を形成することによって得られ、又は、2つ以上のFabを頭部対尾部で結合させることによって得られる、抗血管新生薬剤の製造のための使用。 請求項1記載の使用であって、 前記抗CD160化合物は、更に、CD85jに結合しないことを特徴とする使用。 請求項1又は2記載の使用であって、 前記保存的誘導体は、一価scFvであることを特徴とする使用。 請求項1又は2記載の使用であって、 前記保存的誘導体は、多価scFvであることを特徴とする使用。 請求項1又は2記載の使用であって、 前記抗CD160化合物は、Fcフラグメントに連結された、前記mAbCL1−R2から誘導されたscFv多量体を含む前記mAbCL1−R2の保存的誘導体であることを特徴とする使用。 請求項1〜5のいずれかに記載の使用であって、 前記抗CD160化合物は、更に免疫毒素及び/又は放射性元素を含むことを特徴とする使用。 請求項1〜6のいずれかに記載の使用であって、 前記抗CD160化合物は可溶性化合物であることを特徴とする使用。 請求項1〜6の何れかに記載の使用であって、 前記抗CD160化合物は、少なくとも1つのCD160結合部位及び少なくとも1つのCD158b結合部位を含む化合物であることを特徴とする使用。 請求項1〜6の何れかに記載の使用であって、 前記抗CD160化合物は、凝集化合物であることを特徴とする使用。 請求項9記載の使用であって、 前記凝集化合物は、少なくとも3つのCD160結合部位を含み、CD158b結合部位を含まないことを特徴とする使用。 請求項1から10のいずれかに記載の使用であって、 前記抗血管新生薬剤は、腫瘍の予防又は治療を目的とすることを特徴とする使用。 請求項1から10のいずれかに記載の使用であって、 前記抗血管新生薬剤は、子癇前症若しくは子癇の予防又は治療を目的とすることを特徴とする使用。 請求項1から10のいずれかに記載の使用であって、 前記抗血管新生薬剤は、糖尿病、及び/又は虚血性眼疾患、及び/又は関節リュウマチの予防又は治療を目的とすることを特徴とする使用。配列表


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