生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_PRKCB1をコードするヒト自閉症感受性遺伝子およびその使用
出願番号:2007519916
年次:2008
IPC分類:C12Q 1/68,C12N 15/09,A61K 45/00,A61K 31/7088,A61K 39/395,A61P 25/00,A61P 25/18,G01N 33/50,G01N 33/15


特許情報キャッシュ

フィリッピ,アン ルソー,フランシス ブルックス,ピーター ハーガー,ヨルク JP 2008504838 公表特許公報(A) 20080221 2007519916 20050630 PRKCB1をコードするヒト自閉症感受性遺伝子およびその使用 アンテグラジャン 501358068 INTEGRAGEN 津国 肇 100078662 束田 幸四郎 100113653 齋藤 房幸 100116919 フィリッピ,アン ルソー,フランシス ブルックス,ピーター ハーガー,ヨルク US 60/584,132 20040701 C12Q 1/68 20060101AFI20080125BHJP C12N 15/09 20060101ALI20080125BHJP A61K 45/00 20060101ALI20080125BHJP A61K 31/7088 20060101ALI20080125BHJP A61K 39/395 20060101ALI20080125BHJP A61P 25/00 20060101ALI20080125BHJP A61P 25/18 20060101ALI20080125BHJP G01N 33/50 20060101ALI20080125BHJP G01N 33/15 20060101ALI20080125BHJP JPC12Q1/68 AC12N15/00 AA61K45/00A61K31/7088A61K39/395 DA61K39/395 NA61P25/00A61P25/18G01N33/50 ZG01N33/15 Z 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4C086ZC54 本発明は、一般に遺伝学および医学の分野に関する。 自閉症は、社会的相互作用ならびに言語および非言語コミュニケーションの障害、興味および活動の限定された紋切り型のパターン、ならびに3歳までに存在する発達異常、によって特徴づけられる神経精神病学的発達障害である(Bailey et al., 1996)。Kanner (1943) は、彼の小児自閉症の先駆的報告において:言語能力の障害、アイコンタクトの欠失、社会的相互作用の欠失、反復動作、および定型的行動の厳密な必要性、という症状を含めた。彼は、ほとんどの場合、子供の行動が幼児期の初期から異常であることに注目した。これに基づいて、彼は、先天的な、おそらく遺伝的な、欠陥の存在を示唆した。1年後に、ドイツの Hans Asperger が同様の患者について記述し、その疾患を「自閉的精神病質」と名付けた。 自閉症は、行動的基準を用いて定義される。それは、これまでのところ疾病の診断のための特異的な生物学的マーカーが知られていないからである。自閉症の臨床像は、その重症度で異なり、教育、能力および気質を含む多くの因子によって変化する。さらに臨床像は個人の成長の間に変化する。さらに、自閉症はしばしば、注意力欠如障害、運動失調、ならびに不安およびうつ状態などの精神医学的症状のような、他の障害と合併している。自閉症がさらに、てんかん、代謝障害、および免疫障害を包含している可能性があるといういくつかの証拠が存在する。多様性という臨床的認識に合致して、現在は、知能および言語能力のすべてのレベルならびに重症度すべてにまたがる個人を含む自閉性障害のスペクトルが存在するという一般的な合意が存在する。 アスペルガー症候群(AS)は、自閉症スペクトラムの一部であるが、しかし特別のサブグループであると考えられている。ASは、自閉症スペクトラム障害(ASD)を特徴づける社会的相互作用障害ならびに限定された反復行動、興味および活動が存在するが、言語発達に臨床的に有意な遅延が存在しないことにより、自閉的障害と区別される。 ASDは、広汎性発達障害(PPD)のある型である。「他に特定できない」PPD(PPD−NOS)が、自閉症の厳密な基準は満たさないが、典型的でない自閉症を示すことによって、あるいは基本領域のうちの2あるいは3の診断基準にほぼ合致することによって、基準に近い子供を分類するために用いられる。 自閉症の診断を標準化するために、世界保健機構(国際疾病分類、第10版(ICD−10)、1992年)および米国精神医学会(精神障害の診断・統計マニュアル第4版(DSM−IV)1994年)によって診断基準が定義された。自閉症診断面接(ADI)が開発されている(Le Couteur et al., 1989; Lord et al., 1994)。ADIは、標準化され、厳格にテストされ、世界的に認識されている、ASD診断に利用できる唯一の診断ツールである。ADIは、自閉症診断のためのICD−10およびDSM−IV基準に基づく、採点され半構造化された、親への面接である。それは3つの主領域における行動:社会的相互作用の質;コミュニケーションおよび言語;ならびに限定されまた反復性で紋切り型の興味および行動、に焦点を合わせる。これらの基準を用いると、自閉症は、もはやまれな障害であるとは考えられない。Kannerの基準に基づいた10,000人当たり4〜5人の患者という以前に報告された罹患率と比較して、より最近の研究(Gillberg and Wing, 1999)では、10,000人当たり10〜12人の患者、というより高い比率が報告されている(Folstein and Rosen-Sheidley, 2001)。自閉性障害の全スペクトルの罹患率の推定値は、1.5〜2.5倍高い。女性と比較して男性で4倍高い発生が一貫して報告されている。精神発達遅滞が、ASDを有する患者の25%〜40%に存在する(Baird et al. 2000; Chakrabarti and Fombonne, 2001)。脳に関する追加の疾患が、その集団のおよそ10%で見られる(Gillberg and Coleman, 2000)。 報告された自閉症患者の増加の根底にある機構は未知である。この差異が、自閉症罹患率の増加、診断基準の徐々の変化、疾病発現のより大きな多様性の認識、あるいは障害への高まった意識のいずれを反映するかが、論争の的となっている。さらに、見かけ上の増加は、主に環境因子によるという広範囲の公衆の認識が存在する(Nelson, 1991; Rodier and Hyman, 1998)。しかし、ほとんどの罹患率の増加が、診断基準の広がりと、その基準のより広汎な適用との結びつきによって説明できる可能性が高いように見える。 疾病を改善する有効な治療は存在するが、治癒は可能でない。また、治療の効果は、高くない傾向がある。様々な行動戦略および発達戦略を利用するいくつかのプログラムについて有望な結果が得られている。最も有望なものの中に、応用行動分析(ABA)に基づいたプログラムがある。いくつかの薬物治療が、自閉症に関連した様々な症状を改善し、それによって、個人が教育および行動療法から利益を得る能力が増加したように見えた。最も広範囲に研究された薬剤はドーパミン拮抗剤である。いくつかの研究が、様々な選択的セロトニン再吸収阻害剤の有用性を示唆している。 3つの双生児研究が、自閉症の遺伝性を評価するために行なわれた(Folstein and Rutter, 1977; Bailey et al, 1995; Steffenburg et al, 1989)。地理的に範囲を限定した集団中で生活していた全ての双生児を調査した。統合したデータにおいて、36の一卵性(MZ)双生児および30の二卵性(DZ)双生児が研究された。MZの平均合致率は、DZの一致率0%と比較して、70%である。90%以上の遺伝率が、MZ対DZの一致比率、およびおよそ2%〜4%であると推測された同胞間の再発危険率から、計算された(Jorde et al., 1991; Szatmari et al., 1998)。非自閉症の親族の研究により、社会的に控えめ、コミュニケーションの困難、定型的行動に対する好み、および変化の困難さを含むASDのいくつかの特性が、対照の親より自閉症の子供の両親においてより頻繁に見出されることが明白に示された(FolsteinおよびRutter、1977)。会話の開始の遅れおよび読み取り困難もまた、繰り返し起こるうつ状態、不安障害、高い血小板セロトニンおよび大きな頭囲と共に、自閉症の罹患者の家族においてより一般的に見られた(Folstein and Rosen-Sheidley, 2001)。 自閉症の発生率は、罹患者への血縁度の減少の程度と共に有意に低下する。このことは、単一遺伝子モデルが、自閉症の大部分の症例を説明しない可能性が高いことを示す(Jorde et al., 1990)。報告された分離比分析は、遺伝性の多遺伝子様式に最もよく一致した(Jorde et al., 1991)。最も無駄の少ない遺伝モデルは、いくつかの遺伝子が互いに相互作用して自閉症の表現型を生成するというものである(Folstein and Rosen-Sheidley, 2001)。 相当な間接証拠が、自閉症において自己免疫が役割を担う可能性を示している。ある研究では、自閉症発端者の家族に、対照の発端者の家族と比較して、より多くの自己免疫疾患を有する家族構成員が見出された(Comi et al.,1999)。2,3の研究が、一部の自閉症の子供達の、または彼らの母親らの主要組織適合性複合体(MHC)遺伝子座のハプロタイプは、その自閉症の子供達を自己免疫になりやすくさせる可能性があると報告した(Burger and Warren, 1998)。2つの研究で、ミエリン塩基性タンパク質、神経フィラメントタンパク質および血管上皮組織を含む、一定の脳組織および脳タンパク質に対する自己抗体が、対照と比較して、自閉症の子供でより頻繁に見出された(Singh et al.,1993; Connolly et al., 1999; Weizman et al.,1982)。 ほとんどの自閉症患者は、複数遺伝子的でかつエピスタシスであるという提案された機構と一致しているが、染色体異常を伴いまた特異的な病因を有する障害を持つ少数者が見られた。Smalley (1997)は、自閉症患者のおよそ15〜37%が合併症の疾患を有し、その5〜14%は既知の遺伝病または染色体異常を伴うと述べた。ヒト染色体のほとんどすべてを含む染色体異常が報告されている。これらには、常染色体異数性、性染色体異常、欠失、重複、転位、環状染色体、逆位、およびマーカー染色体が含まれる(Gillberg, 1998)。最も一般的なのは、染色体15上の Prader Willi/Angelman 症候群領域の異常である。自閉症とメンデル型疾患または遺伝的症候群との合併症には、未治療のフェニルケトン尿症、脆弱X症候群、結節硬化症および神経繊維腫症が含まれる。最近、Carney et al.(2003)は、Rett症候群(MECP2遺伝子突然変異によって患者の80%が発症する)を示さない自閉症の2人の女性で、MECP2(メチルCpG結合タンパク質2)遺伝子中の突然変異を確認した。 種々のグループが、自閉症あるいはASDのより広い表現型と関連するゲノム探索を行っている。このアプローチは、系統的およびモデル非依存の両方であるで、非常に有望に見える。さらに、既に成功が示されている。比較的小さな研究グループの分析によってさえも正の関連性の結果が得られている。より重要なのは、既にいくつかの発見が追試されたことである。最も一貫した結果が染色体7qについて得られた。しかし、染色体2qおよび16p上にさらに相当な重複が存在する(Folstein and Rosen-Sheidley, 2001)。染色体領域同定についての相当な進歩が、染色体15およびX上でも為された。ニューロリギン、NLGN3およびNLGN4をコードする2つのX連鎖遺伝子中の突然変異が、自閉症スペクトラム障害を有する同胞らで同定された(Jamain et al., 2003)。いくつかの系列の証拠が、ニューロリギン中の突然変異が自閉性障害に関係するという事実を支持する。第1に、報告された突然変異は、予測されるタンパク質構造の激しい改変を引き起こす。第2に、数人の自閉症の子供においてNLGN4を含むXp22.3の欠失が報告された。第3に、NLGN4中の突然変異が、1人の患者の母親で新たに発見された。 本発明はここで、自閉症、自閉症スペクトラム障害および自閉症関連障害の診断、予防および治療のため、ならびに治療上有効な薬剤の選別のために用いることができる、ヒト自閉症感受性遺伝子の同定を開示する。 本発明はより詳細には、自閉症および関連障害の診断、予防および治療のためにならびに治療上有効な薬物の選別のために用いることができる、ヒト自閉症感受性遺伝子の同定を開示する。本発明はより具体的には、自閉症に対する感受性と関係し、また治療的介入のための新規な標的となるプロテインキナーゼC β−1(PRKCB1)遺伝子の、ある対立遺伝子を開示する。本発明は、PRKCB1遺伝子中の特定の突然変異および発現生成物、ならびにこれらの突然変異に基づく診断ツールおよびキットに関する。本発明を、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、小児期崩壊性障害、精神発達遅滞、不安、うつ病、注意欠陥多動性障害、会話の遅れもしくは言語障害、てんかん、代謝障害、免疫障害、双極性疾病、および統合失調症を含む他の精神医学・神経学的疾病の、素質の診断、検出、予防および/または治療、に用いることができる。 本発明を、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の素質の診断に、またはそれらからの保護、検出、予防および/または治療の中で用いることができ、本方法は、被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子またはポリペプチド中の改変の存在を検知する工程を含み、前記改変の存在は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の存在あるいは素質を示す。前記改変の存在はまた、自閉症からの保護を示す可能性がある。 本発明の特定の目的は、被験者における、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の存在またはそれらへの素質を検出する方法にあり、その方法は被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子座の改変の存在を検出する工程を含み、前記変異の存在が自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の存在、あるいはそれらになりやすい素質を示す。自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の存在またはそれらへの素質を示す改変は、自閉症患者へ優先的に伝達される改変である。あるいは、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の存在あるいはそれらになりやすい素質を示す改変は、非罹患者と比較して、自閉症患者中でより高い頻度で起こる改変である。 本発明の追加の特定の目的は、被験者の自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害からの保護を検出する方法にあり、その方法は、被験者からの試料中にPRKCB1遺伝子座の改変の存在を検出する工程を含み、前記変異の存在は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害からの保護を示す。自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害からの保護を示す改変は、自閉症患者へ優先的に非伝達の改変である。あるいは、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害からの保護を示す改変は、非罹患者と比較して、自閉症患者中でより低い頻度で起こる改変である。 本発明の別の特定の目的は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の治療に対する被験者の応答を評価する方法にあり、その方法は、被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子座の改変の存在を検出する工程を含み、前記改変の存在は前記治療に対する特定の応答を示す。 本発明のさらなる特定の目的は、被験者における、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の治療による悪影響を評価する方法にあり、その方法は、被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子座の改変の存在を検出する工程を含み、前記改変の存在は前記治療による悪影響を示す。 本発明はまた、被験者の自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害、を予防する方法に関し、その方法は、被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子座の改変の存在を検出する工程を含み、前記改変の存在は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害になりやすい素質を示し;ならびにその方法は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害に対する予防用治療を施す工程を含む。 ある好ましい実施態様では、前記改変は、自閉症に関連した1またはいくつかのSNPあるいはSNPのハプロタイプである。好ましくは、前記SNPを、表1aおよび1bに開示されたものから、より好ましくは表3〜10に開示されたものから選択する。より好ましくは、自閉症に関連した前記SNPを、SNP106、SNP134、SNP128、SNP138、SNP140およびSNP149からなる群より選ぶことができる。好ましくは、自閉症に関連した前記ハプロタイプは、表1aおよび1bに開示されたSNPより選ばれるいくつかのSNPを含むか、またはそれらから成る。好ましくは、前記SNPは、表3〜10に開示されたものから成る群より選ばれる。好ましい実施態様では、自閉症に関連した前記ハプロタイプは、SNP106、SNP134、SNP128、SNP138、SNP140、SNP139、SNP141、SNP149、SNP150およびSNP151から成る群より選ばれるいくつかのSNPを含むか、あるいはそれらから成る。特別な実施態様では、自閉症に関連した前記ハプロタイプが、SNP72、SNP75、SNP76、SNP79、SNP89、SNP106、SNP107、SNP109およびSNP111から成る群より選ばれるいくつかのSNPを含むか、またはそれらから成る。さらに好ましくは、前記ハプロタイプは、表4、6、7、9、および/または10に、特に表4、6、9、および10に、開示されたハプロタイプより選ばれる。最も好ましい実施態様では、前記ハプロタイプは、SNP139、SNP140およびSNP141より成るか、またはそれらを含み、好ましくは、対立遺伝子はそれぞれ1−2−2である。最も好ましい実施態様では、前記ハプロタイプは、SNP149、SNP150およびSNP151より成るか、またはそれらを含み、好ましくは、対立遺伝子はそれぞれ1−2−1である。前記変異が自閉症からの保護を示している場合、前記ハプロタイプは、好ましくは表7に開示されたハプロタイプより選ばれる。本発明は、本発明中で開示されるSNPの任意の特定の対立遺伝子を、および本発明中で開示されるSNPの特定の対立遺伝子の任意の組合せを、本発明による方法において使用するために考慮する。 好ましくはPRKCB1遺伝子座の改変を、ハイブリダイゼーション分析、配列決定分析、マイクロシーケンシング分析、オリゴヌクレオチドライゲーション分析、確認に基づいた分析、融解曲線解析、変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)分析、または対立遺伝子特異的増幅分析、を行なうことにより決定する。 本発明の特別の局面は、PRKCB1遺伝子を含むゲノム領域で、自閉症に関連した少なくとも1つのSNPまたはハプロタイプを特異的に検出するように設計されたプライマー、プローブ、および/またはオリゴヌクレオチド、あるいはそれらの組合せを含む物質の組成物にある。好ましくは、前記SNPは表1aおよび1bに開示されたものより、より好ましくは表3〜10に開示されたものより選ばれる。より好ましくは、自閉症に関連した前記SNPを、SNP106、SNP134、SNP128、SNP138、SNP140およびSNP149から成る群より選ぶことができる。好ましくは、自閉症に関連した前記ハプロタイプは、表1aおよび1bに開示されたSNPより選ばれるいくつかのSNPを含むか、またはそれらより成る。好ましくは、前記SNPは表3〜10に開示されたものから成る群より選ばれる。好ましい実施態様では、自閉症に関連した前記ハプロタイプが、SNP106、SNP134、SNP128、SNP138、SNP140、SNP139、SNP141、SNP149、SNP150およびSNP151から成る群より選ばれるいくつかのSNPを含むか、またはそれらより成る。特定の実施態様では、自閉症に関連した前記ハプロタイプが、SNP72、SNP75、SNP76、SNP79、SNP89、SNP106、SNP107、SNP109およびSNP111から成る群より選ばれるいくつかのSNPを含むか、またはそれらより成る。さらにより好ましくは、前記ハプロタイプが、表4、6、7、9、および/または10、特に表4、6、9、および10に開示されたハプロタイプより選ばれる。最も好ましい実施態様では、前記ハプロタイプは、SNP139、SNP140およびSNP141より成るかまたはそれらを含み、好ましくは、対立遺伝子はそれぞれC−G−Tである。別の最も好ましい実施態様では、前記ハプロタイプは、SNP149、SNP150およびSNP151より成るかまたはそれらを含み、好ましくは、対立遺伝子はそれぞれC−T−Aである。 本発明はまた、被験者の自閉症および/または関連障害をPRKCB1の発現あるいは活性のモジュレーションによって治療する方法にある。そのような治療は、例えば、PRKCB1ポリペプチド、PRKCB1 DNA配列(PRKCB1遺伝子座を標的とするアンチセンス配列およびRNAiを含む)、抗PRKCB1抗体、またはPRKCB1の発現あるいは活性をモジュレートする薬剤を用いる。 本発明はまた、遺伝子治療、タンパク質置換療法による、あるいはPRKCB1タンパク質模倣剤および/または阻害剤の投与によるなどの、発症前治療または併用治療を含む、PRKCB1遺伝子の有害な対立遺伝子を所持する個人を治療する方法に関する。 本発明のさらなる局面は、自閉症または関連障害に関連するPRKCB1遺伝子の対立遺伝子あるいはその遺伝子産物のモジュレーションに、またはそれらへの結合に基づく、自閉症あるいは関連障害の治療のための薬剤のスクリーニングにある。 本発明のさらなる局面には、PRKCB1ポリペプチド断片に特異的な抗体およびそのような抗体の誘導体、そのような抗体を分泌するハイブリドーマ、ならびにそれらの抗体を含む診断キットが含まれる。より好ましくは、前記抗体は、改変を含むPRKCB1ポリペプチドあるいはその断片に特異的であって、前記改変はPRKCB1活性を修飾する。 本発明はまた、改変を含むPRKCB1遺伝子またはその断片に関する。本発明はさらに、改変を含むPRKCB1ポリペプチドあるいはその断片に関する。好ましくは、前記改変はPRKCB1の活性を修飾する。特定の実施態様では、前記改変は表12に開示される突然変異より選ばれる。発明の詳細な説明 本発明は、ヒト自閉症感受性遺伝子としてのPRKCB1の同定を開示する。自閉症を有する114家族からの様々な核酸試料を、特定のGenomeHIPプロセスに供した。このプロセスにより前記集団中の特定の同祖的断片であって自閉症の被験者では改変されている断片が同定された。IBD断片のスクリーニングによって我々は、染色体16p11.2の上のプロテインキナーゼC β−1遺伝子(PRKCB1)を、自閉症および関連する表現型の候補として同定した。この遺伝子は確かに、決定的な区間内に存在し、自閉症の遺伝的調節と合致する機能的な表現型を発現する。PRKCB1遺伝子のSNPが、さらにヒト被験者の自閉症に関連づけられるとして、同定された。特に(表3、5、および8を参照のこと)、PRKCB1遺伝子座に存在するSNP106、SNP134、SNP138、SNP140、SNP149、およびSNP128が、自閉症に関連していることが見出された。表4、6、9および10に開示されたハプロタイプが、さらに自閉症に関連していると同定された。 本発明は、このようにPRKCB1遺伝子および対応する発現生成物を、自閉症、自閉症スペクトラム障害および自閉症関連障害の、診断、予防および治療、ならびに治療上有効な薬剤のスクリーニングのために用いることを提案する。定義 自閉症および自閉症スペクトラム障害(ASD): 自閉症は通常、アスペルガー症候群(AS)および他の広汎性発達障害(PPD)を含む障害のスペクトル(ASD)の一部であると見なされる。自閉症は、3歳の前に存在する、健康が害される程に、行動、興味、および活動の限定され、反復的で紋切り型の様式を伴う、社会的相互作用およびコミュニケーション障害の、任意の疾病として解釈される。ASは、自閉症スペクトラム障害(ASD)を特徴づける社会的相互作用の障害、ならびに限定され反復された行動、興味および活動が存在するが、言語発達には臨床的に有意な遅延が存在しないことにより、自閉性障害と区別される。PPD−NOS(他に特定できないPPD)は、自閉症の厳密な基準に合致しないが、典型的でない自閉症を示すことにより、あるいは基本領域のうちの2または3の診断基準にほぼ合致することにより、自閉症の基準に近い子供達を分類するために用いられる。 自閉症関連障害、疾病、または病理学には、より具体的には、任意の代謝および免疫障害、てんかん、不安、うつ病、注意欠陥多動性障害、会話の遅れまたは言語障害、運動失調、精神発達遅滞、統合失調症および双極性障害が含まれる。 本発明を、様々な対象に、特に大人、子供および出生前の段階を含むヒトに、用いることができる。 本発明の文脈中で、PRKCB1遺伝子座は、細胞または生物体中のPRKCB1配列または生成物のすべてを指し、PRKCB1をコードする配列、PRKCB1をコードしない配列(例えばイントロン)、転写、翻訳、および/または安定性を制御するPRKCB1調節配列(例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなど)、ならびにPRKCB1 RNA(例えばmRNA)およびPRKCB1ポリペプチド(例えば、前駆タンパク質および成熟タンパク質)などの、すべての対応する発現生成物を含む。PRKCB1遺伝子座はまた、PRKCB1遺伝子中に存在するSNPと連鎖不均衡にあるSNPを含む、PRKCB1遺伝子の周辺配列を含む。例えば、PRKCB1遺伝子座は、表1aおよび/または1bに開示された周辺配列を含む。 本出願中で用いられる用語「PRKCB1遺伝子」とは、ヒト染色体16p11.2上のプロテインキナーゼC β−1遺伝子、ならびに自閉症および自閉症関連障害に対する感受性と関連するそれの対立遺伝子を含む、それの変異体、類似体および断片(例えば生殖細胞系列突然変異)を指す。PRKCB1遺伝子はまた、HGNC:9395、MGC41878、PKC−β、PKCB、PRKCB、PRKCB2、プロテインキナーゼC β、プロテインキナーゼC β1ポリペプチドとも呼ばれる。 用語「遺伝子」は、ゲノムDNA(gDNA)、相補的DNA(cDNA)、合成または半合成DNAならびに任意の形式の対応するRNAを含む、任意の型のコードする核酸を含む、と解釈するものとする。用語、遺伝子には、特にPRKCB1をコードする組換え核酸が、即ち例えば配列を集め、切断し、ライゲーションし、または増幅することによって人為的に作成される自然に存在しない任意の核酸分子が含まれる。PRKCB1遺伝子は、一本鎖などの他の形も考えられるが、通常は二重鎖である。PRKCB1遺伝子は、様々な供給源から、およびDNAライブラリーのスクリーニング、あるいは様々な自然の供給源からの増幅などの様々な本技術分野における公知技術によって、得ることができる。組換え核酸を、化学合成、遺伝子工学、酵素技術、あるいはそれの組合せを含む従来の技術によって、調製することができる。適当なPRKCB1遺伝子配列は、PRKCB1のためのUnigene Cluster(Hs.349845)および Unigene Representative Sequence NM_002738などの、ジーンバンクで見付けることができる。PRKCB1遺伝子の特定の例は、配列番号1または63を含む。 用語「PRKCB1遺伝子」には、配列番号1または63の、あるいは上に特定された任意のコード配列の、任意の変異体、断片、または類似体が含まれる。そのような変異体には、例えば、個人間の対立遺伝子変異による自然に存在する変異(例えば多型)、自閉症と関係する突然変異対立遺伝子、選択的スプライシング形などが含まれる。用語変異体には、さらに他の供給源あるいは生物体からのPRKCB1遺伝子配列が含まれる。変異体は好ましくは、配列番号1または63に実質的に相同であること、即ち配列番号1と、少なくとも約65%の、通常は少なくとも約75%の、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約95%の、ヌクレオチド配列同一性を示すことが好ましい。PRKCB1遺伝子の変異体および類似体はまた、厳格なハイブリダイゼーション条件下で、上に定義された配列(あるいはそれの相補鎖)とハイブリダイズする核酸配列を含む。 通常の厳格なハイブリダイゼーション条件は、30℃を越す、好ましくは35℃を越す、より好ましくは42℃より上の温度を、および/または約500mM未満の、好ましくは200mM未満の塩分を、含む。ハイブリダイゼーション条件は、当業者が温度、塩分、および/または、SDS、SSCなどの他の試薬の濃度を変更することにより調整することができる。 PRKCB1遺伝子の断片とは、上に開示された配列の少なくとも約8個の連続したヌクレオチドの、好ましく少なくとも約15個のヌクレオチドの、より好ましくは少なくとも約20個のヌクレオチドの、さらに好ましくは少なくとも30個のヌクレオチドの任意の部分を指す。断片には、8〜100のヌクレオチドの間の、好ましくは15〜100の間の、より好ましくは20〜100の間の、あらゆる可能なヌクレオチド長が含まれる。 PRKCB1ポリペプチドとは、上に開示されたPRKCB1遺伝子によってコードされる任意のタンパク質あるいはポリペプチドを指す。用語「ポリペプチド」は、一続きのアミノ酸を含む任意の分子を指す。この用語は、ペプチドおよびタンパク質などの様々な長さの分子を含む。ポリペプチドは、糖鎖形成および/またはアセチル化、および/または化学反応もしくは結合などによって修飾されていてよく、1つあるいはいくつかの自然のものではない、即ち合成の、アミノ酸を含んでいてもよい。PRKCB1ポリペプチドのある具体的な例は、配列番号2(NP_002729)の全て、または一部を含む。 用語「治療に対する応答」とは、個人における、治療用化合物を代謝する能力、プロドラッグを有効な薬剤に変換する能力、ならびに薬剤の薬物動力学(吸収、分配、排泄)および薬力学(レセプター関連の)を非限定的に含む治療効能を指す。 用語「治療による悪影響」とは、薬剤の主要な薬理作用の延張に起因する治療の悪影響、または薬剤と独特の宿主因子との相互作用に起因する特異体質的な有害作用を指す。「治療による副作用」には、皮膚への、血液への、または肝臓への毒性などの有害な作用が含まれるが、それらに限られないし、またさらに胃・腸の潰瘍形成、血小板機能の妨害、腎損傷、全身性じんま疹、気管支収縮、低血圧、およびショックが含まれる。診断 本発明は、ここで被験者のPRKCB1遺伝子座の監視に基づく診断方法を提供する。本発明の文脈中で、用語「診断」には、大人、子供、および誕生前について、初期、発症前期、および後期を含む様々な時期における検出、監視、投薬、比較その他が含まれる。診断には、通常は、予後、素質または発症の危険性の評価、最適な治療(薬理遺伝学)を定めるための被験者の特性決定、などが含まれる。 本発明は、個人が、PRKCB1遺伝子座中の突然変異または多形に起因して、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害を発症する危険性があるか、あるいは自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害に罹患しているか、を判定する診断方法を提供する。本発明はまた、個人が治療薬に肯定的に応答する可能性が高いか、個人が治療薬による有害な副作用を発現する危険があるかどうかを判断する方法を提供する。 本発明の特定の目的は、被験者における、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の存在あるいはそれらになりやすい素質を検出する方法にあり、その方法は、被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子座の改変の存在を前記試料中で検出することを含む。前記改変の存在は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の存在あるいはそれらになりやすい素質を示す。任意で、前記方法は被験者からの試料を準備する前工程を含む。好ましくは、前記試料中のPRKCB1遺伝子座の改変の存在を、試料の遺伝子型決定により検出する。 本発明の別の特定の目的は、被験者における自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害からの保護を検出する方法にあり、その方法は、被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子座の改変の存在の検出を含み、前記改変の存在は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害からの保護を示す。 ある好ましい実施態様では、前記改変は、自閉症に関連した、1またはいくつかのSNP、またはSNPのハプロタイプである。好ましくは、前記SNPは、表1aおよび1bに開示されたものから、より好ましくは表3〜10に開示されたものから選ばれる。より好ましくは、自閉症に関連する前記SNPを、SNP106、SNP134、SNP128、SNP138、SNP140およびSNP149から成る群から選ぶことができる。好ましくは、自閉症に関連した前記ハプロタイプは、表1aおよび1bに開示されたSNPから選ばれるいくつかのSNPを含むか、またはそれらより成る。好ましくは、前記SNPは表3〜10に開示されたものから成る群より選ばれる。好ましい実施態様では、自閉症に関連した前記ハプロタイプは、SNP106、SNP134、SNP128、SNP138、SNP140、SNP139、SNP141、SNP149、SNP150およびSNP151から成る群より選ばれるいくつかのSNPを含むか、またはそれらより成る。ある特定の実施態様では、自閉症に関連した前記ハプロタイプは、SNP71、SNP72、SNP75、SNP76、SNP79、SNP89、SNP106、SNP107、SNP109およびSNP111から成る群より選ばれるいくつかのSNPを含むか、またはそれらより成る。さらにより好ましくは、前記ハプロタイプは、表4、6、7、9および/または10に、特に表4、6、9および10に開示されたハプロタイプより選ばれる。最も好ましい実施態様では、前記ハプロタイプは、SNP139、SNP140およびSNP141より成るか、またはそれらを含み、好ましくは、対立遺伝子はそれぞれ1−2−2である。他の最も好ましい実施態様では、前記ハプロタイプは、SNP149、SNP150およびSNP151から成るか、またはそれらを含み、好ましくは、対立遺伝子はそれぞれ1−2−1である。前記改変が自閉症から保護することを示する場合は、前記ハプロタイプは、好ましくは表7に開示されたハプロタイプより選ばれる。 本発明の別の特定の目的は、被験者における自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の治療に対する応答を評価する方法にあり、その方法は、(i)被験者からの試料を準備する工程、および(ii)前記試料中のPRKCB1遺伝子座の改変の存在を検出する工程、を含む。 本発明の別の特定の目的は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の治療に対する被験者の応答を評価する方法にあり、その方法は、被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子座の改変の存在を、前記試料中で検出する工程を含む。前記改変の存在は、前記治療に対する特定の応答を示す。好ましくは、前記試料中のPRKCB1遺伝子座の改変の存在を、試料の遺伝子型決定により検出する。 本発明のさらに特定の目的は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の治療による患者の悪影響を評価する方法にあり、その方法は、被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子座の改変の存在を検出する工程を含む。前記改変の存在は、前記治療による悪影響を示す。好ましくは、前記試料中のPRKCB1遺伝子座の変異の存在を、試料の遺伝子型決定により検出する。 好ましい実施態様では、前記改変が、自閉症に関連する1またはいくつかのSNPあるいはSNPのハプロタイプである。好ましくは、前記SNPは、表1aおよび1bに開示されたものから、より好ましくは表3〜10に開示されたものから選ばれる。より好ましくは、自閉症に関連する前記SNPは、SNP106、SNP134、SNP128、SNP138、SNP140およびSNP149から成る群から選ばれることができる。好ましくは、自閉症に関連する前記ハプロタイプは、表1aおよび1bに開示されたSNPから選ばれるいくつかのSNPを含むか、またはそれらより成る。好ましくは、前記SNPは表3〜10に開示されたものから成る群より選ばれる。好ましい実施態様では、自閉症に関連した前記ハプロタイプは、SNP106、SNP134、SNP128、SNP138、SNP140、SNP139、SNP141、SNP149、SNP150およびSNP151から成る群より選ばれるいくつかのSNPを含むか、またはそれらより成る。特定の実施態様では、自閉症に関連した前記ハプロタイプは、SNP72、SNP75、SNP76、SNP79、SNP89、SNP106、SNP107、SNP109およびSNP111から成る群より選ばれるいくつかのSNPを含むか、またはそれらより成る。さらにより好ましくは、前記ハプロタイプは、表4、6、7、9および/または10に、特に表4、6、9および10に開示されたハプロタイプより選ばれる。最も好ましい実施態様では、前記ハプロタイプはSNP139、SNP140およびSNP141より成るか、またはそれらを含み、好ましくは、対立遺伝子はそれぞれ1−2−2である。他の最も好ましい実施態様では、前記ハプロタイプはSNP149、SNP150およびSNP151から成るか、またはそれらを含み、好ましくは、対立遺伝子はそれぞれ1−2−1である。 追加の実施態様では、本発明は、被験者における自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の予防のための方法に関し、被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子座の改変の存在を検出する工程を含み(前記改変の存在は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害になりやすい素質を示す);および自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害に対する予防的治療を施す工程を含む。前記予防的治療は、薬剤の投与でありうる。前記予防する治療はまた行動療法であってもよい。 治療または薬剤に対する応答あるいは治療または薬剤への副作用を分析し、予測する診断法を、特定の治療薬で個人を治療するべきかどうか判断するために用いることができる。例えば、診断法が、個人が特定の薬剤による治療に肯定的に応答する可能性を示す場合は、薬剤を個人に投与してもよい。反対に、診断法が、個人が特定の薬剤による治療または行動療法に否定的に応答する可能性が高いことを示す場合は、別の治療方針を処方することができる。否定的応答は、効果的な応答の欠如、または毒性副作用の存在のいずれかとして定義することができる。 臨床薬剤試験は、PRKCB1 SNPに対する別の応用である。薬剤、または薬剤の副作用に対する応答を示す1以上のPRKCB1 SNPを、上述の方法を用いて同定することができる。それに従って、そのような薬剤の臨床試験への参加可能者をスクリーニングし、薬剤に好ましく反応する可能性の最も高い個人を認定し、副作用を経験する可能性の高い人を除外することができる。そのようにして、研究において恐らく肯定的に応答しない個人が含まれる結果として測定値を低下させることなしに、また望ましくない安全性問題の危険を冒すことなしに、薬物に肯定的に応答する個人について薬物療法の有効性を測定することができる。 行動療法の有用性を評価する臨床試験もまた、PRKCB1 SNPに対する応用である。行動療法または行動療法の副作用に対する応答を示す1以上のPRKCB1 SNPを、上述の方法を用いて同定することができる。それに従ってそのような薬剤の臨床試験への可能な参加者をスクリーニングし、治療法に好ましく反応する可能性の最も高い個人を認定して、副作用を経験する可能性の高い人を除外することができる。そのようにして、研究において恐らく肯定的に応答しない個人が含まれる結果として測定値を低下させることなしに、また望ましくない安全性問題の危険を冒すことなしに、治療に肯定的に応答する個人について行動療法の有効性を測定することができる。 改変は、PRKCB1 gDNA、RNAまたはポリペプチドのレベルで決定することができる。任意で、ハイブリダイゼーション分析、配列決定分析、マイクロシーケンシング分析、オリゴヌクレオチドライゲーション分析、確認に基づいた分析、融解曲線解析、変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)分析(Jones et al, 2000)、または対立遺伝子特異的増幅分析、を行なうことにより検出を決定する。特定の実施態様では、PRKCB1遺伝子の全てまたは一部分の配列決定により、あるいはPRKCB1遺伝子の全てまたは一部の選択的ハイブリダイゼーションまたは増幅により、検出を行なう。より好ましくは、PRKCB1遺伝子特異的な増幅を、改変を同定する工程の前に行なう。 PRKCB1遺伝子座における改変は、遺伝子座のコード領域および/または非コード領域中での、単独のまたは様々な組合せの、任意の形式の、突然変異、欠失、再配列、および/または挿入であり得る。突然変異には、より具体的には点突然変異が含まれる。欠失は、2残基から遺伝子または遺伝子座の全てまでのような、遺伝子座のコード部分または非コード部分の1、2、またはそれ以上の残基の任意の領域を包含することができる。典型的な欠失は、ドメイン(イントロン)または反復配列、あるいは連続した約50未満の塩基対の断片などの、小さな領域に影響する。しかしより大きな欠失も生じる可能性がある。挿入は、遺伝子座のコード部分または非コード部分における1つあるいはいくつかの残基の付加を包含することができる。挿入は、典型的には遺伝子座中の1〜50の塩基対の付加を含む。再配列には、配列の逆位が含まれる。PRKCB1遺伝子座の改変は、停止コドン、フレームシフト突然変異、アミノ酸置換、特定のRNAスプライシングあるいはプロセシング、生成物の不安定性、短縮されたポリペプチド産生その他、をもたらす可能性がある。改変は、改変された機能、安定性、標的化、または構造、を有するPRKCB1ポリペプチドの産生をもたらす可能性がある。改変はまた、タンパク質発現の減少、あるいは前記産生の増加を引き起こす可能性もある。 本発明による方法のある特定の実施態様では、PRKCB1遺伝子座の改変は、PRKCB1遺伝子または対応する発現生成物中の点突然変異、欠失、および挿入から、より好ましくは点突然変異および欠失から選ばれる。改変は、PRKCB1 gDNA、RNA、またはポリペプチドのレベルで決定されることがある。 これに関して、本発明は、ここでPRKCB1遺伝子およびあるハプロタイプ中のSNPを開示する。それらには、自閉症に関連するSNP71、SNP72、SNP75、SNP76、SNP79、SNP89、SNP106、SNP107、SNP109およびSNP111から成る群より選ばれるSNPが含まれる。SNPを次の表1aに報告する。 本発明による任意の方法において、PRKCB1遺伝子中の1またはいくつかのSNPを、ならびにPRKCB1遺伝子および周辺領域中にSNPを含む一定のハプロタイプを、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害に関連していて、かつ他の遺伝子に位置する、他のSNPまたはハプロタイプと組み合わせて、用いることができる。 別の変形では、方法は改変されたPRKCB1 RNA発現の存在を検出する工程を含む。改変されたRNA発現には、改変されたRNA配列の存在、改変されたRNAスプライシングまたはプロセシングの存在、改変された量のRNAの存在、その他が含まれる。これらを、例えばPRKCB1 RNAの全てまたは一部分の配列決定、あるいは前記RNAの全てまたは一部の選択的ハイブリダイゼーションまたは選択的増幅を含む、様々な公知技術によって、検出することができる。 さらなる変形では、方法は改変されたPRKCB1ポリペプチド発現の存在を検出する工程を含む。改変されたPRKCB1ポリペプチド発現には、改変されたポリペプチド配列の存在、PRKCB1ポリペプチドの改変された量の存在、改変された組織分布の存在、その他が含まれる。これらを、例えば配列決定および/または特異的なリガンド(抗体など)との結合を含む、様々な公知技術によって検出することができる。 上に示したように、改変されたPRKCB1遺伝子またはRNAの発現または配列を検出するかまたは定量するために、配列決定、ハイブリダイゼーション、増幅、および/または特異的なリガンド(抗体など)との結合を含む、様々な公知技術を用いることができる。他の適当な方法には、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)、オリゴヌクレオチドライゲーション、対立遺伝子特異的増幅、サザンブロット(DNA用)、ノーザンブロット(RNA用)、一本鎖構造解析(SSCA)、PFGE、蛍光インサイチュー・ハイブリダイゼーション(FISH)、ゲル泳動、クランプ変性ゲル電気泳動、変性HLPC、融解曲線解析、ヘテロ二本鎖分析、RNase保護、化学的または酵素的ミスマッチ切断、ELIZA、放射免疫検定(RIA)および、免疫−酵素分析(IEMA)が含まれる。 これらの手法のうちのいくつか(例えばSSCAおよびCGGE)は、改変された配列が存在する結果、核酸の電気泳動移動度が変化することに基づく。これらの技術によれば、改変された配列が、ゲル上の移動度の変化によって視覚化される。次に、断片を配列決定して改変を確認することができる。 他のいくつかは、被験者からの核酸と、野生型または改変された、PRKCB1遺伝子またはRNAに特異的なプローブとの間の特異的なハイブリダイゼーションに基づく。プローブは懸濁液中でも、または基質上に固定されていてもよい。プローブは、ハイブリッドの検出を容易にするために通常はラベルする。 これらの手法のうちのいくつかは、ノーザンブロット、ELIZA、およびRIAなど、ポリペプチドの配列または発現レベルを評価することに特に適する。これらの後者は、ポリペプチドに特異的なリガンドの使用を、より好ましくは特異的な抗体の使用を必要とする。 ある特定の好ましい実施態様では、方法は、被験者からの試料中の、改変されたPRKCB1遺伝子発現プロフィールの存在を検出する工程を含む。上に示したように、これを、より好ましくは前記試料中に存在する核酸の配列決定、選択的ハイブリダイゼーション、および/または選択的な増幅によって、遂行することができる。配列決定 配列決定を、当技術分野における周知技術を用い、自動シーケンサーを使用して行なうことができる。配列決定は、完全なPRKCB1遺伝子で、あるいはより好ましくは、その特異的なドメインで、通常は有害突然変異または他の改変を保持すると知られている、または疑いがあるドメインについて行なうことができる。増幅 増幅は、核酸の複製を開始する役割をする相補的核酸配列間の特異的ハイブリッド形成に基づく。 増幅を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列に基づく増幅(NASBA)などの、当技術分野で公知の様々な技術によって行なうことができる。これらの技術を、市販の試薬およびプロトコールを用いて、実施することができる。好ましい技術は、対立遺伝子特異的PCRまたはPCR−SSCPを用いる。増幅は通常、反応を開始するために特異的な核酸プライマーの使用を必要とする。 PRKCB1遺伝子または遺伝子座からの配列を増幅するために役立つ核酸プライマーは、前記遺伝子座の標的領域の両側に隣接するPRKCB1遺伝子座の一部と特異的にハイブリダイズすることができる。前記標的領域は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害を有する一定の被験者中では、改変されている。そのような標的領域の例が、表1aおよび1bに与えられている。 表1中に特定されているSNPを含むPRKCB1標的領域を増幅するために用いることができるプライマーは、配列番号1または63の配列に基づいて、またはPRKCB1ゲノム配列に基づいて設計することができる。ある特別な実施態様では、プライマーを、配列番号3〜62の配列に基づいて設計することができる。 本発明の別の特定の目的は、周辺領域を含むPRKCB1遺伝子または遺伝子座からの配列を増幅するために役立つ核酸プライマーにある。そのようなプライマーは、好ましくはPRKCB1遺伝子座中の核酸配列と相補的であり特異的にハイブリダイズする。特定のプライマーは、前記遺伝子座の標的領域の両側に隣接するPRKCB1遺伝子座の一部と特異的にハイブリダイズすることができる。前記標的領域は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害を有する一定の被験者中では、改変されている。 本発明はまた、核酸プライマーに関し、前記プライマーはまた、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害を有する一定の被験者中で改変されたPRKCB1コード配列(例えば遺伝子またはRNA)の一部に相補的であり特異的にハイブリダイズする。この点に関しては、本発明の特定のプライマーは、PRKCB1遺伝子またはRNA中の改変された配列に特異的である。そのようなプライマーを用いることにより、増幅生成物の検出は、PRKCB1遺伝子座中の改変の存在を示す。対照的に、増幅生成物の欠如は、特異的な改変が試料中に存在しないことを示す。 本発明の典型的なプライマーは、長さ約5〜60ヌクレオチドの、より好ましくは長さ約8〜約25ヌクレオチドの一本鎖核酸分子である。配列はPRKCB1遺伝子座の配列から直接導出することができる。高い特異性を保証するために、完全な相補性が好ましい。しかし、一定のミスマッチは許容できる。 本発明はまた、上述の1つの核酸プライマーまたは1対の核酸プライマーの、被験者中の自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の存在または素質を検出する方法での使用、あるいは自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の治療に対する被験者の応答を評価する方法での使用、に関する。選択的ハイブリダイゼーション ハイブリダイゼーション検出法は、相補的な核酸配列間の特異的なハイブリッド形成に基づき、それは核酸配列改変を検出するために役立つ。 ある特定の検出技術は、野生型のまたは改変されたPRKCB1遺伝子またはRNAに特異的な核酸プローブの使用を含み、それにハイブリッドの存在の検出が続く。プローブは懸濁液中にあるか、あるいは基質または支持体上に固定される(核酸アレイまたはチップ技術におけるように)。プローブは通常は、ハイブリッドの検出を容易にするためにラベルされる。 この点に関して、本発明のある特定の実施態様は、被験者からの試料を、改変されたPRKCB1遺伝子座に特異的な核酸プローブと接触させる工程、およびハイブリッド形成を評価する工程を含む。特定の好ましい実施態様では、方法が、試料を、野生型PRKCB1遺伝子座に対しておよびそれの様々な改変された形に対してそれぞれ特異的な1セットのプローブと、同時に接触させる工程を含む。この実施態様では、試料中のPRKCB1遺伝子座の様々な形の改変の存在を直接検出することが可能である。さらに、様々な被験者からの様々な試料を並行して処理してもよい。 本発明の文脈中では、プローブとは、PRKCB1遺伝子またはRNA(の標的部分)と相補的であり、特異的ハイブリダイゼーションができ、そして自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の素因となるかまたはそれらに関係するPRKCB1対立遺伝子に関連したポリヌクレオチド多型を検出するために好適である、ポリヌクレオチド配列を指す。プローブは、好ましくはPRKCB1遺伝子、RNA、またはそれらの標的部分に完全に相補的である。プローブは、長さ8〜1000ヌクレオチドの、例えば10〜800の間の、より好ましくは15〜700の間の、通常は20〜500の間の、通常は一本鎖核酸を含む。より長いプローブも用いることができることは理解するべきである。本発明の好ましいプローブは、長さ8〜500ヌクレオチドの間の一本鎖核酸分子であり、改変を伴うPRKCB1遺伝子またはRNAの領域へ特異的にハイブリダイズすることができる。 本発明のある特異的な実施態様は、改変された(例えば、突然変異した)PRKCB1遺伝子またはRNAに特異的な核酸プローブ、即ち前記改変されたPRKCB1遺伝子またはRNAに特異的にハイブリダイズし、本質的に前記改変を欠くPRKCB1遺伝子またはRNAとハイブリダイズしない核酸プローブである。特異性とは、標的配列とのハイブリダイゼーションが、非特異的ハイブリダイゼーションによって生成される信号と区別できる特異的な信号を生成することを示す。完全に相補的な配列が、本発明によるプローブを設計するために好ましい。しかし、特異的信号が非特異的ハイブリダイゼーションと区別できる限り、ある程度のミスマッチは許容できることを理解するべきである。 そのようなプローブの特別な例は、上記の表1aおよび1bに列挙される1つの点突然変異を所持するPRKCB1遺伝子またはRNAを含むゲノム領域の標的部分に相補的な核酸配列である。より詳細には、プローブは、配列番号3〜62から成る群より選ばれる配列、またはSNPまたはそれの相補配列を含むそれらの断片を含むことができる。 プローブの配列は、本出願で提供されるPRKCB1遺伝子およびRNAの配列から導出することができる。プローブのヌクレオチド置換ならびに化学的修飾を行なってもよい。そのような化学的修飾を行って、ハイブリッドの安定性を増加させるか(例えば挿入基)またはプローブをラベルすることができる。ラベルの代表例には、放射能、蛍光、ルミネセンス、酵素ラベルなどが含まれるが、それらに限られない。 本発明はまた、被験者における自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の存在またはそれらになりやすい素質を検出する方法中での、または被験者の自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症に関連障害の治療に対する応答を評価する方法中での、上述の核酸プローブの使用に関する。オリゴヌクレオチドライゲーション オリゴヌクレオチドライゲーション分析は、SNP当たり3つの特異的なプライマー、即ちSNP−塩基特異的な3’端を有する2つのプライマー、および5’端を標的配列のその次の塩基から開始する1つの共通プライマー、を設計する工程より成る方法である。2つの対立遺伝子特異的プライマーは、各対立遺伝子を特定する独特の配列タグを所持する。プライマーを標的配列にアニールして、対立遺伝子特異的な3’−塩基が存在する場合は、ライゲーション反応が、対立遺伝子特異的なプライマーを共通プライマーに連結する。次に、独特の配列タグに相同の短い蛍光色素ラベルプローブを、固定された生成物にハイブリダイズさせて、対応する対立遺伝子の検出を可能にする。オリゴ−ライゲーションキットは市販されている(SNPlex, Applied Biosystems, Foster City)。特異的リガンド結合 上に示したように、PRKCB1遺伝子座の改変を、PRKCB1ポリペプチド配列または発現レベルの改変をスクリーニングすることにより検出することもできる。これに関して、本発明のある特定の実施態様は、試料をPRKCB1ポリペプチドに対して特異的なリガンドと接触させる工程、および複合体の形成を測定する工程を含む。 特異的抗体などの種々の型のリガンドを用いることができる。ある特定の実施態様では、試料をPRKCB1ポリペプチドに特異的な抗体と接触させて、免疫複合体の形成を測定する。ELISA、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および免疫酵素分析(IEMA)などの、免疫複合体を検出する様々な方法を用いることができる。 本発明の文脈中で、抗体とは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ならびに実質的に同じ抗原特異性を有するそれらの断片または誘導体を指す。断片にはFab、Fab’2、CDR領域などが含まれる。誘導体には一本鎖抗体、ヒト化抗体、多機能抗体などが含まれる。 PRKCB1ポリペプチド特異的抗体とは、PRKCB1ポリペプチドと選択的に結合する抗体、即ちPRKCB1ポリペプチドまたはそれのエピトープを含む断片に対して作成された抗体を指す。他の抗原への非特異的結合が存在してもよいが、標的PRKCB1ポリペプチドへの結合が、より高い親和性で存在し、確実に非特異的結合と区別することができる。 ある特定の実施態様では、方法は、被験者からの試料を、PRKCB1ポリペプチドの改変形に特異的な抗体(に覆われた支持体)と接触させる工程、および免疫複合体の存在を決定する工程を含む。ある特定の実施態様では、試料を、同時にまたは平行して、あるいは連続して、野生型およびその様々な改変形などの種々の形のPRKCB1ポリペプチドに特異的な様々な抗体(で覆われた支持体)と接触させてもよい。 本発明はまた、上述のリガンド、好ましくは抗体、それらの断片または誘導体の、被験者中の自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の存在またはそれらになりやすい素質を検出する方法中での、あるいは自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の治療に対する被験者の応答を評価する方法中での、使用に関する。 本発明はまた、被験者からの試料において、PRKCB1遺伝子またはポリペプチド中の、PRKCB1遺伝子またはポリペプチドの発現中の、および/またはPRKCB1活性中の、改変の存在を検出するための生成物および試薬を含む診断キットに関する。本発明による前記診断キットは、本発明に記載される任意のプライマー、任意の一対のプライマー、任意の核酸プローブ、および/または、任意のリガンド、好ましくは抗体、を含む。本発明による前記診断キットは、さらにハイブリダイゼーション、増幅、または抗原抗体免疫反応を行なうための、試薬および/またはプロトコールを含むことができる。 診断方法は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで、好ましくはインビトロまたはエクスビボで実施することができる。それらは、被験者からの試料を用いてPRKCB1遺伝子座の状態を評価する。試料は、核酸またはポリペプチドを含む、被験者に由来する任意の生体試料でよい。そのような試料の例には、体液、組織、細胞試料、器官、生検試料などが含まれる。最も好ましい試料は、血液、血漿、唾液、尿、精液などである。出生前診断を、例えば胎児細胞または胎盤細胞を検査することにより行なうこともできる。試料を、従来技術によって集め、診断に直接用いるかまたは貯蔵することができる。試験用の核酸またはポリペプチドに有効性を与え、または改善するために、方法を実施する前に試料を処理することができる。処理には、例えば、溶解(例えば、機械的、物理的、化学的、その他の)、遠心分離などが含まれる。さらに、核酸および/またはポリペプチドを、従来技術によりあらかじめ精製し濃縮してもよく、および/または複雑さを減少させてもよい。核酸およびポリペプチドを、酵素、あるいは他の化学的または物理学的処理により処理して、それらの断片を生成してもよい。特許請求する本方法の高い感度を考えれば、分析を行なうには非常に僅かな量の試料で十分である。 示したように、改変されたPRKCB1遺伝子座の存在を評価するために、試料を好ましくは、プローブ、プライマーまたはリガンドなどの試薬と接触させる。接触させる工程は、プレート、試験管、ウエル、ガラス器、その他の任意の適当な装置の中で行なうことができる。ある特定の実施態様では、核酸アレイまたは特異的なリガンドアレイなどの試薬で覆われた基質上で、接触させる工程を行なう。基質は、ガラス、プラスチック、ナイロン、紙、金属、ポリマーその他を含む任意の支持体などの固体または半固体の基質でよい。基質は、スライドグラス、膜、ビーズ、カラム、ゲルなどの様々な形およびサイズでよい。接触させる工程を、試薬と試料中の核酸またはポリペプチドの間で複合体を形成させるために適当な、任意の条件下で行うことができる。 試料中に改変されたPRKCB1ポリペプチド、RNAまたはDNAを発見することは、被験者中での改変されたPRKCB1遺伝子座の存在を示しており、それを、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の存在、素質、あるいは進行段階に関連づけることができる。例えば、生殖細胞系列のPRKCB1突然変異を有する個人は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害を発症する危険性が高い。被験者中での改変されたPRKCB1遺伝子座の存在の決定によって、さらにより有効で専用の適切な治療介入の設計が可能となる。さらに、発症前段階におけるこの決定により、予防措置を施すことが可能になる。連鎖不均衡 一旦関心対象のゲノム領域で、より詳細にはPRKCB1遺伝子座で、第1のSNPが同定された場合は、当業者は容易にこの第1のSNPと連鎖不均衡にある新たなSNPを同定することができる。確かに、自閉症または関連障害に関連した第1のSNPと連鎖不均衡にある任意のSNPも、この特性に関連しているであろう。したがって、一旦、与えられたSNPと自閉症または関連障害との間の関連が実証されれば、この特性に関連した追加のSNPの発見は、この特定の領域のSNPの密度を増加させるために、極めて興味深いものであり得る。 与えられたSNPと連鎖不均衡にある追加のSNPの同定は:(a)複数の個人からの、第1のSNPを含むまたはそれを取り囲むゲノム領域からの断片を増幅する工程;(b)前記第1のSNPを包含するかまたは取り囲むゲノム領域の第2のSNPを同定する工程;(c)前記第1のSNPと第2のSNPの間の連鎖不均衡解析を行なう工程;および(d)前記第1のマーカーと連鎖不均衡にあるとして前記第2のSNPを選択する工程、を含む。工程(b)および(c)を含む副次的組合せもまた、考慮する。 当業者は周知の方法を用いて、不適当な実験を行わずにSNPを同定し、連鎖不均衡解析を行なう方法を実行することができる。 これらの連鎖不均衡にあるSNPを、本発明による方法において、より詳細には本発明による診断方法において、用いることができる。 例えば、クローン病の連鎖遺伝子座が、染色体5q31上の18cMに広がる大きな領域にマップされた(Rioux et al., 2000 and 2001)。全領域にまたがるマイクロサテライトマーカーおよびSNPの濃密な地図を用いて、連鎖不均衡(LD)の強い証拠が見出された。LDの証拠を見出したので、著者らは極めて高密度のSNP地図を開発し、この地図から選ばれたマーカーのより濃密な集合を研究した。複数遺伝子座分析により、TDTを用いて各々独立して関連づけられた複数のSNPによって特徴づけられる単一の共通リスクハプロタイプが明らかになった。これらのSNPはリスクハプロタイプに特有で、互いにほとんど完全なLDにあることにより、それらの情報量において本質的に同一であった。これらのSNPの同等な特性が、遺伝的証拠のみに基づいてこの領域内の原因となる突然変異を同定することを不可能にする。原因となる突然変異 自閉症または関連障害の原因であるPRKCB1遺伝子中の突然変異を、自閉症または関連障害を示す患者および対照の個人からのPRKCB1遺伝子配列を比較することにより、同定することができる。PRKCB1のSNPと自閉症または関連障害との同定された関連性に基づいて、同定された遺伝子座を突然変異について探査することができる。ある好ましい実施態様では、PRKCB1遺伝子の、エクソンおよびスプライス部位のような機能的領域、プロモーターおよび他の制御領域を、突然変異について探査する。好ましくは自閉症または関連障害を示す患者は、自閉症または関連障害に関連していることが示された突然変異を所持し、対照の個人は、自閉症または関連障害に関連する突然変異または対立遺伝子を所持しない。自閉症または関連障害を示す患者が、自閉症または関連障害に関連していることが示された突然変異を、対照の個人より高い頻度で所持することもあり得よう。 そのような突然変異を検出するために用いられる方法は、一般に:自閉症または関連障害を示す患者および対照の個人からのPRKCB1遺伝子のDNA試料から、自閉症または関連障害に関連するSNPまたはSNPの群を含むPRKCB1遺伝子の領域を増幅する工程;増幅された領域を配列決定する工程;自閉症または関連障害を示す患者と対照の個人からのPRKCB1遺伝子のDNA塩基配列の比較;自閉症または関連障害を示す患者に特異的な突然変異の決定、の工程を含む。 したがって、当業者は周知の方法を用いることにより、不適切な実験なしに、PRKCB1遺伝子中の原因となる突然変異の同定を行なうことができる。 例えば、型通りの方法を用いることにより、次の例において原因となる突然変異が同定された。 Hugot et al.(2001) は、ポジショナルクローニング戦略を適用して、以前にクローン病に対する感受性に関係していることが見出されていた染色体16のある領域のクローン病感受性遺伝子変異体を同定した。感受性の可能性のある位置を精密化するために、遺伝子座26マイクロサテライトマーカーの遺伝子型を特定し、伝達不平衡テストを用いて、クローン病との関連に関してテストした。有意性が境界上である関連が、マイクロサテライトマーカーD16S136の1つの対立遺伝子との間で見つかった。11の追加のSNPを周辺領域から選び、いくつかのSNPが有意な関連を示した。この領域からのSNP5〜8が、NOD2/CARD15遺伝子の単一エクソン中に存在することが見出され、非同義変異体であることが示された。これに促されて、著者らは50人のCD患者中のこの遺伝子の完全なコード配列の配列決定を行った。追加の2つの非同義突然変異(SNP12およびSNP13)が見出された。SNP13は、家系伝達不平衡テストを用いて、最も有意に関連付けられた(p=6×l0−6)。別の独立な研究では、同じ変異体が、12人の罹患者のこの遺伝子のコード領域を配列決定し、4名の対照と比較することにより見出された(Ogura et al., 2001)。SNP13のまれな対立遺伝子は1塩基対挿入に対応し、NOD2/CARD15タンパク質を短縮すると予測された。この対立遺伝子は、正常な健康な個人中にも、対照と比較して有意に低い頻度ではあるが存在した。 同様に、Lesage et al.(2002)は、166人の散発性および287人の家族性患者を含む453人のCD患者、159人の潰瘍性大腸炎(UC)患者、および103人の健康な対照被験者中の、CARD15の突然変異分析を、コード領域の系統的配列決定により行なった。CD患者中で、同定された67の配列変異のうち、9が>5%の対立遺伝子頻度を有していた。それらのうちの6は多型であると考えられ、3(SNP12−R702W、SNP8−G908R、およびSNP13−1007fs)は独立に、CD感受性に関連すると確認された。さらに、27のまれな追加の突然変異が、疾病を引き起こす突然変異(DCM)の可能性があると考えられた。3つの主な変異体(R702W、G908Rおよび1007fs)は全CD突然変異のそれぞれ32%、18%、および31%に相当したが、一方で27のまれな突然変異の合計は、DCMの19%に相当した。全体として、突然変異の93%が遺伝子の遠位1/3に位置していた。どの突然変異も、UCに関連していないことが分った。対照的に、二重突然変異を有していた17%を含めて、CD患者の50%が、少なくとも1つのDCMを所持していた。薬剤スクリーニング 本発明はまた、薬剤候補またはリード化合物のスクリーニングのための新規な標的および方法を提供する。その方法は、結合分析および/または機能分析を含み、インビトロで、細胞システムで、動物中その他で、行なうことができる。 本発明の特定の目的は、生物学的活性化合物を選択する方法にあり、前記方法は、テスト化合物を本発明によるPRKCB1遺伝子またはポリペプチドとインビトロで接触させる工程、および前記テスト化合物が前記PRKCB1遺伝子またはポリペプチドと結合する能力を決定する工程を含む。前記遺伝子またはポリペプチドとの結合は、化合物の前記標的の活性をモジュレートする能力、したがって被験者中で自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害をもたらす経路に影響する能力、に関する指標を提供する。好ましい実施態様では、方法は、インビトロでテスト化合物を本発明によるPRKCB1ポリペプチドまたはその断片と接触させる工程、および前記テスト化合物が前記PRKCB1ポリペプチドまたは断片と結合する能力を決定する工程を含む。断片は、好ましくはPRKCB1ポリペプチドの結合部位を含む。好ましくは、前記PRKCB1遺伝子またはポリペプチド、あるいはそれらの断片は、改変されたかまたは突然変異されたPRKCB1遺伝子またはポリペプチド、あるいは改変または突然変異を含むそれらの断片である。 本発明のある特定の目的は、自閉症、自閉症スペクトラム障害および自閉症関連障害に活性を有する化合物を選択する方法にあり、前記方法は、インビトロで、テスト化合物を本発明によるPRKCB1ポリペプチドまたはそれの結合部位含む断片と接触させる工程、および前記テスト化合物が、前記PRKCB1ポリペプチドまたはその断片と結合する能力を決定する工程を含む。好ましくは、前記PRKCB1ポリペプチドまたはその断片は、改変されたか突然変異されたPRKCB1ポリペプチドまたは改変または突然変異を含むその断片である。 さらなる特定の実施態様では、方法は、本発明によるPRKCB1ポリペプチドを発現している組換え宿主細胞をテスト化合物と接触させる工程、ならびに前記テスト化合物が前記PRKCB1と結合する能力およびPRKCB1ポリペプチドの活性をモジュレートする能力を決定する工程を含む。好ましくは、前記PRKCB1ポリペプチドまたはその断片は、改変されたか突然変異されたPRKCB1ポリペプチドまたは改変または突然変異を含むその断片である。 結合の測定を、テスト化合物のラベル、ラベルされた参照リガンドとの競合などの様々な技術により行なうことができる。 本発明のさらなる目的は、生物学的活性化合物を選択する方法にあり、前記方法はインビトロでテスト化合物を本発明によるPRKCB1ポリペプチドと接触させる工程、および前記テスト化合物が前記PRKCB1ポリペプチドの活性をモジュレートする能力を決定する工程を含む。好ましくは、前記PRKCB1ポリペプチドまたはその断片は、改変されたか突然変異されたPRKCB1ポリペプチドまたは改変または突然変異を含むその断片である。 本発明のさらなる目的は、生物学的活性化合物を選択する方法にあり、前記方法はインビトロでテスト化合物を本発明によるPRKCB1遺伝子と接触させる工程、および前記テスト化合物が前記PRKCB1遺伝子の発現をモジュレートする能力を決定する工程を含む。好ましくは、前記PRKCB1遺伝子またはその断片は、改変されたか突然変異されたPRKCB1遺伝子またはその改変または突然変異を含む断片である。 別のある実施態様では、本発明は、活性化合物、特に自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害に活性を有する化合物をスクリーニングし、選択しまたは同定する方法に関し、その方法は、テスト化合物を、レポーターコンストラクト(PRKCB1遺伝子プロモーター制御下のレポーター遺伝子を含む)を含む組換え宿主細胞と接触させる工程、およびレポーター遺伝子の発現をモジュレートする(例えば、刺激するかまたは低下させる)テスト化合物を選択する工程を含む。好ましくは、前記PRKCB1遺伝子プロモーターまたはその断片は、改変されたか突然変異されたPRKCB1遺伝子プロモーターまたはその改変または突然変異を含む断片である。 スクリーニングする方法のある特定の実施態様では、モジュレーションは阻害である。スクリーニングする方法の別の特定の実施態様では、モジュレーションは活性化である。 上記のスクリーニング分析を、プレート、試験管、ディッシュ、フラスコなどの任意の適当な装置中で行なうことができる。通常は、分析をマルチウエルプレート中で行なう。いくつかのテスト化合物を平行して分析することができる。さらに、テスト化合物は、様々な起源、性質、および組成であってよい。それは、単離された、または他の物質と混合された、脂質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、小分子その他の、任意の有機物または無機物でよい。化合物は、例えば生成物の組み合わせライブラリーのすべてまたは一部分でよい。医薬品組成物、治療 本発明のさらなる目的は、(i)PRKCB1ポリペプチドまたはその断片、PRKCB1ポリペプチドまたはその断片をコードする核酸、上述のベクターまたは組換え宿主細胞、および(ii)薬学的に許容できる担体または媒体、を含む医薬品組成物である。 本発明はまた、被験者の自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害を治療するまたは予防する方法に関し、その方法は、前記被験者に機能的な(例えば、野生型の)PRKCB1ポリペプチドまたはそれをコードする核酸を投与する工程を含む。 本発明の他の実施態様は、被験者の自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害を治療するかあるいは予防する方法にあり、その方法は、前記被験者に、本発明によるPRKCB1遺伝子の発現またはタンパク質の活性をモジュレートする、好ましくは活性化または模倣する化合物を投与する工程を含む。前記化合物は、PRKCB1の作動薬または拮抗剤、PRKCB1のアンチセンスまたはRNAi、本発明によるPRKCB1ポリペプチドに特異的な抗体またはその断片もしくは誘導体、であり得る。例えば、この化合物は、バルプロ酸、リチウム、タモキシフェン、またはLY333531であり得る。方法のある特定の実施態様では、モジュレーションは阻害である。 方法の別の特定の実施態様では、モジュレーションは活性化である。 本発明はまた、一般に、被験者の自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害を治療または予防するための医薬品組成物の作製における、本発明による機能的なPRKCB1ポリペプチド、それをコードする核酸、またはPRKCB1遺伝子もしくはタンパク質の発現もしくは活性をモジュレートする化合物、の使用に関する。前記化合物は、PRKCB1の作動薬または拮抗剤、PRKCB1のアンチセンスまたはRNAi、本発明によるPRKCB1ポリペプチドに特異的な抗体またはその断片もしくは誘導体であり得る。方法のある特定の実施態様では、モジュレーションは阻害である。 方法の別の特定の実施態様では、モジュレーションは活性化である。 本発明は、自閉症、自閉症スペクトラム障害および自閉症関連障害と、PRKCB1遺伝子座との間の相関性を実証する。本発明は、このようにして、治療的介入の新規な標的を提供する。被験者、特に改変されたPRKCB1遺伝子座を所持する被験者、のPRKCB1活性または機能を回復するかまたはモジュレートするために様々な手法を企図することができる。そのような被験者に、野生型の機能を提供することにより、病的な細胞または生物体における自閉症、自閉症スペクトラム障害および自閉症関連障害の表現型の発現が抑制されることが期待される。そのような機能の提供を、遺伝子またはタンパク質治療を通じて、またはPRKCB1ポリペプチド活性をモジュレートまたは模倣する化合物(例えば上記のスクリーニング分析で同定される作動薬)の投与により、遂行することができる。 野生型PRKCB1遺伝子またはその機能的な部分を、上記のようにベクターを用いて、それを必要とする被験者の細胞へ導入することができる。ベクターはウイルスベクターまたはプラスミドでよい。遺伝子を裸のDNAとして導入してもよい。遺伝子を、受容側宿主細胞のゲノムへ組み込むように、あるいは染色体外に留まるように提供することができる。組込みは、ランダムに、または相同組換えなどにより正確に所定の部位で起こってもよい。特に、相同組換えにより、PRKCB1遺伝子の機能的コピーを、細胞中の改変型と置換して挿入してもよい。さらなる技術には、遺伝子銃、リポソーム媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクションなどが挙げられる。遺伝子治療を、直接の遺伝子注入により、または機能的なPRKCB1ポリペプチドを発現するエクスビボで調製された遺伝的修飾された細胞の投与により、遂行することができる。 PRKCB1活性を有する他の分子(例えばペプチド、薬剤、PRKCB1作動薬、または有機化合物)もまた、被験者中で機能的PRKCB1活性を復元するかまたは細胞内の有害な表現型を抑制するために用いることができる。 細胞中での機能的なPRKCB1遺伝子機能の復元を、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の発症を阻止するか、あるいは前記疾病の進行を減少させるために用いることができる。そのような治療により、細胞の、特に有害な対立遺伝子を所持する細胞の、自閉症に関連する表現型を抑制することができる。 本発明のさらなる局面および長所を、次の実験の項で開示するが、それは説明のためであって、本出願の範囲を制限するものではないと見なすべきである。遺伝子、ベクター、組換え細胞、およびポリペプチド 本発明のさらなる局面は、診断、治療、またはスクリーニングで使用される新規な生成物にある。これらの生成物は、PRKCB1ポリペプチドまたはその断片をコードする核酸分子、それを含むベクター、組換え宿主細胞、および発現されたポリペプチドを含む。 より詳細には、本発明は、改変されたか突然変異されたPRKCB1遺伝子または前記改変または突然変異を含むその断片に関する。本発明はまた、改変されたか突然変異されたPRKCB1ポリペプチドまたは前記改変または突然変異を含むその断片をコードする核酸分子に関する。前記改変または突然変異は、PRKCB1活性を修飾する。修飾された活性は、増加してもまたは減少してもよい。本発明はさらに、改変されたか突然変異されたPRKCB1遺伝子または前記改変または突然変異を含むその断片を含むベクター、あるいは改変されたか突然変異されたPRKCB1ポリペプチドまたは前記改変または突然変異を含むその断片をコードする核酸分子、組換え宿主細胞、および発現されたポリペプチドに関する。 本発明のさらなる目的は、本発明によるPRKCB1ポリペプチドをコードする核酸を含むベクターである。ベクターは、クローニングベクター、またはより好ましくは発現ベクター、即ち受容能力のある宿主細胞中の前記ベクターからPRKCB1ポリペプチドの発現を引き起こす調節配列を含むベクター、であればよい。 これらのベクターを用いて、インビトロ、エクスビボ、インビボでPRKCB1ポリペプチドを発現し、遺伝子組換えまたは「ノックアウト」の非ヒト動物を作成し、核酸を増幅し、アンチセンスRNAを発現することなどができる。 本発明のベクターは通常、例えばプロモーター、polyAなどの調節配列に操作可能に連結された本発明によるPRKCB1コード配列を含む。用語「操作可能に連結された」とは、調節配列がコード配列の発現(例えば転写)を引き起こすように、コード配列および調節配列が機能的に関連付けられていることを指す。ベクターは、さらに1つまたはいくつかの複製起点、および/または選択可能なマーカーを含むことができる。プロモーター領域はコード配列に関して相同また非相同であってよく、インビボの使用を含む、任意の適切な宿主細胞中における、遍在する、構成的な、調節された、および/または組織特異的な、発現を提供することができる。プロモーターの例には、バクテリアのプロモーター(T7、pTAC、Trpプロモーターなど)、ウイルスのプロモーター(LTR、TK、CMV−IEなど)、哺乳動物遺伝子プロモーター(アルブミン、PGKなど)、その他が含まれる。 ベクターは、プラスミド、ウイルス、コスミド、ファージ、BAC、YACなどでよい。プラスミドベクターを、pBluescript、pUC、pBRなどの市販のベクターから調製してもよい。ウイルスベクターを、バキュロウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、AAVなどから公知の組換えDNA技術に従って生成してもよい。 この点に関して、本発明のある特定の目的は、上に定義されるPRKCB1ポリペプチドをコードする組換えウイルスにある。組換えウイルスは、好ましくは複製欠陥であり、よりさらに好ましくはE1欠陥および/またはE4欠陥アデノウイルス、Gag−、Pol−および/またはenv−欠陥レトロウイルス、ならびにRep−および/またはCap−欠陥AAVから選ばれる。そのような組換えウイルスを、パッケージング細胞へのトランスフェクション、またはヘルパープラスミドまたはウイルスによる一過性トランスフェクションなどの公知技術により生成することができる。ウイルスパッケージング細胞の代表例には、PA317細胞、PsiCRIP細胞、GPenv+細胞、293細胞などが挙げられる。そのような複製欠陥組換えウイルスを生成するための詳細なプロトコールは、例えばWO95/14785、WO96/22378、US5,882,877、US6,013,516、US4,861,719、US5,278,056、およびWO94/19478に見出すことができる。 本発明のさらなる目的は、組換えPRKCB1遺伝子または上に定義されたベクターを含む組換え宿主細胞にある。適当な宿主細胞には、原核細胞(バクテリアなど)および真核細胞(酵母菌、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞など)が非限定的に含まれる。具体的な例には、E. coli、KluyveromycesまたはSaccharomyces酵母、哺乳動物細胞系統(例えば、Vero 細胞、CHO細胞、3T3細胞、COS細胞など)ならびに一次または確立した哺乳動物細胞培養物(例えば、繊維芽細胞、胚細胞、上皮細胞、神経細胞、脂肪細胞などから生成された)が含まれる。 本発明はまた、本発明によるPRKCB1ポリペプチドを発現する組換え宿主細胞を生成するための方法に関し、前記方法は(i)インビトロまたはエクスビボで受容能力のある宿主細胞へ、組換え核酸または上述のベクターを導入する工程、(ii)インビトロまたはエクスビボで、得られた組換え宿主細胞を培養する工程、および(iii)任意でPRKCB1ポリペプチドを発現する細胞を選択する工程、を含む。 そのような組換え宿主細胞を、下に述べるようにPRKCB1ポリペプチドの産生、ならびに活性分子のスクリーニングのために用いることができる。そのような細胞を、自閉症を研究するためのモデル系として用いることもできる。これらの細胞を、DMEM、RPMI、HAMなどの適当な培地中で、任意の適切な培養装置(プレート、フラスコ、ディッシュ、試験管、小袋など)で、維持することができる。 実施例染色体16の感受性遺伝子を同定するためのゲノムHIPプラットフォーム 自閉症感受性遺伝子の迅速な同定を可能にするためにゲノムHIPプラットフォームを適用した。簡潔に言えば、この技術は、血族の個人達のDNAから対を形成することから成る。各DNAを、それの識別を可能にする特異的ラベルで標識する。次に、2つのDNA間でハイブリッドを形成させる。次に、複数段階の手順で2つのDNAからすべての同祖的(IBD)断片を選択する特有のプロセス(WO00/53802)を適用する。次にIBDが濃縮された残存DNAを、BACクローン由来のDNAマイクロアレイに対して評価し、それにより染色体上のIBD分画の位置決定が可能になる。 このプロセスを多くの異なる家族に適用することにより、各家族からの各対のIBD分画のマトリックスが得られる。その後、統計分析によって、すべてのテストされた家族間で共有される最小のIBD領域を計算する。有意な結果(p−値)が、関心対象の特性(ここでは自閉症)と正の領域との関連の証拠である。関連区間の限界を、有意のp−値を示す2つの最も離れたクローンによって定めることができる。 本研究において、厳密な自閉症(ADI−Rによって定義された)に一致した米国の114家族(114の独立した血族対)を、ゲノムHIPプロセスに付した。得られたIBDが濃縮されたDNA分画を、次にCy5蛍光色素でラベルし、1.2メガ塩基対の平均間隔で全ヒトゲノムをカバーする2263のBACクローンから成るDNAアレイに対してハイブリダイズした。Cy3でラベルされた選択されていないDNAを用いて信号値を標準化し、各クローンの比率を計算した。その後、比率の結果のクラスター化を行い、各クローンおよび対の、IBDステータスを決定した。 この手続きを適用することにより、いくつかのBACクローン(BACA18ZG03、BACA7ZF09、BACA7ZH09、BACA7ZD06、BACA27ZA05、BACA27ZD05、およびBACA27ZC05)が染色体16上の領域のおよそ5メガ塩基対にわたって(19333164〜24295063塩基)同定され、自閉症との関連を立証する証拠を示した。関連の有意な証拠が、BACクローンBACA7ZD06について観察された(p<1.40×10-5)。表2:染色体16のPRKCB1遺伝子座中の関連の結果: 関連の証拠を有する7つのBACクローンに対応する領域を示す。クローンの開始および終止位置は、染色体の開始点(p−ter)に関するNCBI Build34に基づくそれらのゲノム位置に対応する。染色体16上の自閉症感受性遺伝子の同定 関連染色体領域の前述の5メガ塩基をスクリーニングすることにより、我々はプロテインキナーゼC β−1(PRKCB1)遺伝子を、自閉症および関連する表現型に対する候補として同定した。この遺伝子は、上に概説したクローンにより境界を定められた関連の証拠を有する重要な区間中に確かに存在する。 プロテインキナーゼC(PKC)は、カルシウムおよびセカンドメッセンジャーのジアシルグリセロールによって活性化されることができる、セリンおよびトレオニンに特異的なプロテインキナーゼのファミリーである。Coussens et al.(1986)は、ウシ、ヒトおよびラットのゲノム中でPKC関連遺伝子のファミリーを確定した。これらのうちのα、β、およびγと名付けられた3つが高度に相同である。PKCファミリーメンバーは、種々様々のタンパク質標的をリン酸化し、種々の細胞の信号伝達経路に関係することが知られている。PKCファミリーメンバーはまた、発癌促進剤の一群であるホルボールエステルの主要なレセプターとして働く。PKCファミリーの各メンバーは、特異的な発現プロフィールを有しており、細胞中で異なる役割を果たすと考えられている。PRKCB1によってコードされるタンパク質は、PKCファミリーメンバーの1つである。このプロテインキナーゼは、B細胞活性化、アポトーシス誘導、内皮細胞増殖および腸の糖吸収などの、様々な細胞機能に関係していることが報告されている。マウスでの研究によって、このキナーゼはまた、ニューロン機能を調節し、ストレス後に恐怖によって誘導される葛藤行動に関連していることも示唆されている。別のアイソフォームをコードする、選択的スプライシングによる転写変異体が報告されている。 2つの転写変異体は、より長いアイソフォームであるプロテインキナーゼC βアイソフォーム2、およびコード領域の一部を含む3’終端の別のエクソンを用いるアイソフォーム1である。 PKC−βIアイソフォームは76.8kDaのタンパク質であって、正常組織の限定された範囲において発現され、しかし脳および造血細胞中では高度に発現される。PKCβIは、カルシウムおよびフォスファチジルセリン依存性であり、またジアシルグリセロールによって活性化される。それはホルボールエステルへ曝された後に血小板膜に最も急速に移行されるアイソフォームである。 Guadagno et al. (1992) は、プロテインキナーゼC βIを安定して過剰生産するラット胎児繊維芽細胞を確立した。過剰のPRKCB1は、複数の細胞増殖異常をもたらす。彼らは、未処理の、またはホルボールエステルで処理した培養物の、いずれかからの放射性ラベル細胞のリンタンパク質を調べた。最も顕著なリンタンパク質は、MARCKS(ミリストイル化アラニンリッチCキナーゼ基質)であった。ホルボールエステル処理が、MARCKSのリン酸化の基礎レベルの増加、および細胞質および全細胞の両方のMARCKSタンパク質レベルの持続性の増大を引き起こした。これらのMARCKSタンパク質の改変されたパラメーターが、少なくとも一部分は、これらの細胞の改変された表現型をもたらした可能性がある。 Watterson et al. (2002) は、広域スペクトルの抗痙攣薬であるバルプロ酸(VPA)の、脳中のプロテインキナーゼCの2つの顕著な基質、MARCKSおよびGAP−43(それぞれニューロンの分化中にアクチン膜の可塑性および神経突起伸長に関係することが示され、また正常な脳発達にとって必須である)の発現に対する影響を検討した。VPAに曝された不死化海馬HN33細胞は、低下したMARCKSタンパク質発現および増加したGAP−43タンパク質発現を示し、それと共に神経突起の数および長さの増加を含む細胞形態の改変が起こり、また細胞増殖速度の減少を伴った。さらに、VPAによって誘起されたPKC活性の改変ならびに個々のPKCアイソザイム発現の一時的な変化。PKCの選択的阻害剤LY333531によるPKCの阻害は、VPAが誘起する膜結合MARCKSの下方調節を阻止したが、細胞質のMARCKSの減少またはGAP−43の上方調節には効果がなかった。LY333531によるPKCの阻害は、VPAの分化作用を増強し;さらに、LY333531のみは、この細胞系統でより大きな神経突起の伸長を引き起こした。総合すると、これらのデータは、VPAが、MARCKS発現の減少、およびGAP−43発現の増加に関連して、ニューロンの分化を引き起こすことを示しており、これは膜のMARCKSの減少は神経突起伸長中の細胞骨格の可塑性にとって許容されるという仮説と一致する。 Manji and Chen (2002) は、双極性障害に治療効果のある濃度の長期間にわたるリチウムおよびVPAが、プロテインキナーゼCの信号伝達カスケードを調節することを示す集中的な多数の症状発現前データを精査した。これが、タモキシフェン(プロテインキナーゼCを阻害するのに十分な用量の)の抗躁病効果の研究に導き、非常に有望な予備的結果が得られた。増大する多数のデータが、神経可塑性および細胞快復力の損傷もまた双極性障害の病態生理学の根底に存在する可能性があることを示唆している。したがって、リチウムおよびバルプロ酸などの情緒安定剤が、cAMP応答エレメント結合蛋白質(CREB)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、B細胞リンパ腫タンパク質2(BCL2)およびマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)を含む、細胞生存経路に含まれる多くの因子を間接的に調節して、過小評価されている神経栄養効果によってそれらの遅発性かつ長期に亘る有益な効果のいくつかをもたらす可能性があることは注目に値する。重要な中枢神経系の細胞生存および細胞死経路に含まれる分子を、より直接に標的とする新しい治療法の発展は、神経可塑性および細胞回復力を増強する潜在能力を有する。 Birikh et al.(2003) は、マウスにおいて、ストレスにより誘導されるアセチルコリンエステラーゼ(AChE−R)のスプライシング変異体が、骨格タンパク質RACK1(活性化されたC−キナーゼのレセプター)とニューロン内で相互作用し、それを通じて、その標的である恐怖条件付けに関係することが知られているプロテインキナーゼCβII(PRKCB1のアイソフォーム2)と相互作用することを発見した。コリン作動性遺伝子発現におけるストレスに関連する変化が、ニューロンのPKCβIIの作用を調節して、ストレス後に恐怖によって誘起される葛藤行動を促進する。 Brandon et al.(2002) は、γ−アミノ酪酸レセプターであるα(GABA(A))レセプターのPKC依存性リン酸化および機能的モジュレーションの強化における、RACK−1の中心的な役割について記述した。RACK−1は、GABA(A)レセプターとGタンパク質共役レセプター間の機能的クロストークを増強し、したがってニューロンの興奮性に重大な影響を有する可能性がある。様々な報告、例えば(Martin ER et al., 2000)、が、自閉症の被験者の染色体15q11〜ql3上のGABA(A)レセプターβ3−サブユニット遺伝子の近くの連鎖不均衡についての証拠について記述している。 要約すると、プロテインキナーゼC(PKC)は、MAPKまたはMARCKSなどの鍵タンパク質を有する経路を含めて様々な信号伝達カスケードの上流の役者であり、したがってPKCの構造または発現レベルの変異が多数の下流事象に影響し、多くの遺伝子発現の型、レベル、およびタイミング、様々なタンパク質機能ならびに細胞のその環境との相互作用、の劇的な変化を伴う可能性があろう。そのような変化は、例えば神経突起の成長、ニューロンの分化、またはシナプス伝達に影響して、その結果臨床的自閉症を生じる原因となる表現型を生じやすい細胞を生む可能性があろう。PRKCB1の特定の変異体または他のプロテインキナーゼCアイソフォームは、自閉症または自閉症関連障害の治療において、VPAなどの薬剤により好ましいまたは無反応のいずれかの結果を起こしやすい可能性がある。関連性の研究 関連性の研究に用いたのと同じ家族を、伝達不平衡テスト(TDT)を使用して、対象とする特異的表現型(ここでは自閉症)と、特異的マーカー対立遺伝子を含む遺伝マーカー対立遺伝子またはハプロタイプとの間の関連性をテストするために用いた。TDTは、テストする試料中の集団層別化問題に鈍感なため、強力な関連性テストである。簡潔に述べれば、ヘテロ接合の両親から病気に冒された子孫への対立遺伝子の分離をテストする。伝達されていない対立遺伝子と比較した、罹患した子孫に伝達された対立遺伝子の部分を、ランダム分布の下で期待される比率と比較する。期待値を超える対立遺伝子伝達の有意な過剰は、各対立遺伝子またはハプロタイプと調査対象の自閉症表現型との関連の証拠である。 この分析の結果は、PRKCB1遺伝子のある対立遺伝子は自閉症と正の関連性があり、したがって、疾病に対する感受性を増加させることを示す。テストした集団では、PRKCB1遺伝子のイントロン中に位置するSNP106の対立遺伝子Tが、TDTによって決定されるように(p−値=0.0055)、自閉症と関連している。対照的に、SNP106の対立遺伝子Cは、自閉症の個人に過小に伝達され、この対立遺伝子がその疾病からの保護に役立つことを示す。 SNP106の対立遺伝子Tの自閉症患者への伝達の例を、表3に挙げる。 さらに、すべてのSNPについて相を認定するために、SNP71、SNP72、SNP75、SNP76、SNP79、SNP89、SNP106、SNP107、SNP109およびSNP111についてハプロタイプを構成した。 テストされた集団中のこの分析結果は、すべてSNP106における対立遺伝子Tの存在によって特徴づけられるあるハプロタイプは、強く自閉症に関連しており、一方で対立遺伝子Gが欠けているあるハプロタイプは、優先的に自閉症患者に伝達されないことを示した。例は、SNP106−SNP111に対するハプロタイプT−Cで、p=2.97×10-5であり、またSNP76−SNP106−SNP111に対するT−T−Cで、p=4.51×10-5である。SNP106において対立遺伝子Tの代わりに対立遺伝子Cを所持するハプロタイプは、自閉症の被験者中で過小に出現する証拠がある。例はSNP76−SNP106−SNP111に対するハプロタイプT−C−Cである。自閉症患者へ優先的に伝達されるおよび伝達されない、SNP106のハプロタイプの例が、表4に挙げられている。 情報量を増加させ、関連の区間を狭めるために、PRKCB1遺伝子中のSNP密度を、2.5kbごとに約1のSNPへと増加させた。いくつかの追加のマーカーが、PRKCB1遺伝子中の正の単一点の結果を示した。最も強い関連が、マーカーSNP134について観察され、対立遺伝子2が自閉症患者に、偶然の場合に期待されるよりも頻繁に伝達され、一方で対立遺伝子1は自閉症患者に対して優先的に非伝達であった(p=0.002)。興味深いことに、SNP106と同一のマーカーSNP128がこの分析で最も強く関連したマーカーの1つであった。自閉症患者に伝達された、および伝達されなかった対立遺伝子の例を、表5に示す。 相を決定するためにハプロタイプを構成し、関連について分析した。テストした集団についてのこの分析結果は、あるハプロタイプが自閉症に強く関連しており、その大多数はそれぞれ、SNP128の対立遺伝子2(それはSNP106の対立遺伝子Tと同一である)の存在、またはSNP138の対立遺伝子2の存在、またはSNP140における対立遺伝子2の存在、によって特徴づけられる。最も有意な結果を、マーカーSNP139、SNP140およびSNP141に対するハプロタイプ1−2−2について、2.96×10-05のp−値で得た。一方で、それぞれSNP128での対立遺伝子1(SNP106の対立遺伝子G)、あるいはSNP138またはSNP140の対立遺伝子1、によって特徴づけられるあるハプロタイプは、自閉症患者に優先的に非伝達である。 自閉症患者へ優先的に伝達されるハプロタイプの例を表6に挙げる。 自閉症患者へ優先的に非伝達のハプロタイプの例を表7に挙げる。 167のトリオ家族の第2の独立したセット(セット2)を、関連についての証拠を提供した家族(セット1)で観察された関連を再現するために研究した。 トリオ家族の独立したセットの中で、いくつかの単一SNPが自閉症と正の関連を有することが見出された。例えば、マーカーSNP149の対立遺伝子1が、より頻繁に自閉症患者に伝達された(p=0.01)。これに反して、マーカーSNP149の対立遺伝子2は、より頻繁に自閉症患者に伝達されなかった。有意に、より頻繁に自閉症患者に伝達されたかまたは伝達されなかった対立遺伝子の例を、表8に示す。 相を決定するためにハプロタイプをさらに構成し、独立したトリオ家族の第2のセットの中の関連について分析した。テストされた集団中のこの分析結果は、あるハプロタイプが強く自閉症に関連していることを示した。最も有意な結果を、マーカーSNP149、SNP150およびSNP151に対するハプロタイプ1−2−1で得て、8.7×10-3のp−値であった。 自閉症患者へ優先的に伝達されるハプロタイプの例を表9に挙げる。 両方の家族のセットは、USAの母集団内に見られる種々の人種集団からの試料を含む。任意の集団層別化効果を調整するために、各人種集団についてハプロタイプ分析を繰り返した。下の表10に示すように、白人でのハプロタイプ分析は、セット1中のマーカーSNP139、SNP140およびSNP141に対するハプロタイプ1−2−2の関連性(p=9.0×10-03)を確認し、セット2中でこのハプロタイプの正の再現(p=3.6×10-3)を示したのみであった。表10:セット1およびセット2の家族中の白人のマーカーSNP139、SNP140およびSNP141のハプロタイプ分析。ヌクレオチド変化の同定 96人の無関係な罹患者が、突然変異スクリーニングに含まれていた。PRKCB1遺伝子のコード領域を増幅するためのプライマーをApplied Biosystems から得た。プライマーの位置の、配列番号63中の対応する位置を、下の表11に与える。 生じた増幅生成物を、遺伝子中の希なヌクレオチド変化(突然変異)および多型(対立遺伝子頻度 >1%)を同定するために、ダイ・ターミネーター配列決定法を用いて、両方向に直接配列決定した。 合計29のヌクレオチド変化を、遺伝子のコード領域、およびプライシング部位の最近傍で両側に隣接するイントロン領域(位置については表12を参照のこと)で検出した。表12に図示するように、これらのいずれも、それぞれのコドンのアミノ酸変化をもたらさなかった。 3つの突然変異を、PRKCB1アイソフォーム1の転写物の3’非翻訳領域で検出した。これらの突然変異は、RNAの安定性に影響する可能性があろう。 3つの突然変異、MUT2、MUT21およびMUT22をそれぞれ、個人AU0203−5の中でのみ検出した。この個人はこれらの部位の突然変異対立遺伝子のみを所持していた。しかし、この対立遺伝子は任意の追加の個人の中では検出されなかった。それらの突然変異は希な事象であるように見えるので、もし突然変異が両方の染色体で独立して生じていなければ(これは非常に可能性が少なく見える)、この部位でヘテロ接合の遺伝子型を検出すると人は当然思うであろう。しかし、これらの部位でのホモ接合は、これらの突然変異を含む欠失によるという可能性があるであろう。ゲノムハイブリッド・アイデンティティー・プロファイリング(GenomeHIP)を用いる高密度マッピング。 全ヒトゲノムを表わす、クローン間が1.2メガ塩基対の平均間隔を有する合計2263のBACクローンを、GenomeHIPを用いて、関連性に関して、テストした。各点が一つのクローンに対応する。関連を立証する有意な証拠が、クローンBACA7ZD06について計算された(p値:1.4×l0-5)。関連領域全体は、ヒト染色体16上の134095595塩基対から135593528塩基対までの領域を包含する。Lander and Kruglyak (1995)によって提案された有意な関連の有意水準に対応するp値:2×10-5を、全ゲノムスクリーニングに対する有意水準として用いた。 被験者における、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の存在あるいはそれらになりやすい素質を検出する方法であって、(i)被験者からの試料を準備する工程、および(ii)前記試料中のPRKCB1遺伝子座中の改変の存在を検出する工程、を含む方法。 被験者における、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害からの保護を検出する方法であって、(i)被験者からの試料を準備する工程、および(ii)前記試料中のPRKCB1遺伝子座中の改変の存在を検出する工程、を含む方法。 自閉症または関連障害の治療に対する被験者の応答を評価する方法であって、(i)被験者からの試料を準備する工程、および(ii)前記試料中のPRKCB1遺伝子座中の改変の存在を検出する工程、を含む方法。 自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害の治療による被験者における悪影響を評価する方法であって、(i)被験者からの試料を準備する工程、および(ii)前記試料中のPRKCB1遺伝子座中の改変の存在を検出する工程、を含む方法。 被験者における自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害を予防するための方法であって、被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子座中の改変の存在を検出する工程であって、前記改変の存在は、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害になりやすい素質を示す;および、自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害に対する予防的治療を行う工程、を含む方法。 PRKCB1遺伝子座中の改変の存在を、配列決定、オリゴヌクレオチドライゲーション、選択的ハイブリダイゼーションおよび/または選択的増幅によって検出する、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。 前記改変が自閉症に関連した1つまたはいくつかのSNPまたはSNPのハプロタイプである、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。 前記SNPが、表1aおよび1bに開示されたもの、より好ましくは表3〜10に開示されたもの、から成る群より選ばれる、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。 自閉症に関連する前記SNPが、SNP106、SNP134、SNP128、SNP138、SNP140、およびSNP149から成る群より選ばれる、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。 自閉症に関連する前記ハプロタイプが、SNP106、SNP134、SNP128、SNPl38、SNP140、SNP139、SNP141、SNP149、SNP150、およびSNP151から成る群より選ばれるいくつかのSNPを含むか、またはそれらから成る、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。 前記ハプロタイプが、SNP139、SNP140およびSNP141から成るかまたはそれらを含み、好ましくは対立遺伝子がC−G−Tである、請求項10記載の方法。 前記ハプロタイプが、SNP149、SNP150およびSNP151から成るかまたはそれらを含み、好ましくは対立遺伝子がC−T−Aである、請求項10記載の方法。 自閉症に関連する前記ハプロタイプが表4、6、7、9、および/または10に開示されたハプロタイプから選ばれる、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。 自閉症、自閉症スペクトラム障害および自閉症関連障害に対する生物学的活性化合物を選択する方法であって、テスト化合物をPRKCB1ポリペプチドまたは遺伝子あるいはそれらの断片と接触させる工程、および前記テスト化合物がPRKCB1ポリペプチドまたは遺伝子あるいはそれらの断片と結合する能力を決定する工程を含む方法。 自閉症、自閉症スペクトラム障害および自閉症関連障害に対する生物学的活性化合物を選択する方法であって、PRKCB1ポリペプチドを発現している組換え宿主細胞をテスト化合物と接触させる工程、および前記テスト化合物が前記PRKCB1ポリペプチドと結合し、PRKCBlポリペプチドの活性をモジュレートする能力を決定する工程、を含む方法。 自閉症、自閉症スペクトラム障害および自閉症関連障害に対する生物学的活性化合物を選択する方法であって、テスト化合物をPRKCB1遺伝子と接触させる工程、および前記テスト化合物が前記PRKCB1遺伝子の発現をモジュレートする能力を決定する工程、を含む方法。 自閉症、自閉症スペクトラム障害および自閉症関連障害に対する生物学的活性化合物を選択する方法であって、テスト化合物を、レポーターコンストラクトを含む組換え宿主細胞と接触させる工程であって、前記レポーターコンストラクトは、PRKCB1遺伝子プロモーターの制御下のレポーター遺伝子を含む、およびレポーター遺伝子の発現をモジュレートする、例えば、刺激するかまたは低下させる、テスト化合物を選択する工程を含む、方法。 前記PRKCB1遺伝子またはポリペプチドあるいはそれらの断片が、改変されたか突然変異されたPRKCB1遺伝子またはポリペプチド、あるいは改変または突然変異を含むそれらの断片である、請求項14〜17のいずれか1項記載の方法。 前記モジュレーションが活性化である、請求項14〜18のいずれか1項記載の方法。 前記モジュレーションが阻害である、請求項14〜18のいずれか1項記載の方法。 PRKCB1の作動薬または拮抗剤、PRKCB1のアンチセンスまたはRNAi、PRKCB1ポリペプチドに特異的な抗体、あるいはそれらの断片または誘導体から成る群より選ばれる化合物の、被験者の自閉症、自閉症スペクトラム障害または自閉症関連障害を、治療するか予防するための医薬品組成物の作製における使用。 前記化合物がバルプロ酸、リチウム、タモキシフェン、またはLY333531である、請求項21記載の使用。 本発明は、ヒト自閉症感受性遺伝子の同定を開示する。それは、自閉症および関連障害の診断、予防および治療、ならびに治療上有効な薬剤のスクリーニングのために用いることができる。本発明は、より具体的には、染色体16上のPRKCB1遺伝子およびその一定の対立遺伝子が、自閉症に対する感受性に関係しており、治療的介入のための新しい標的であることを開示する。本発明は、PRKCB1遺伝子および発現生成物中の特定の突然変異、ならびにこれらの突然変異に基づく診断ツールおよびキットに関する。本発明を、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、小児期崩壊性障害、精神発達遅滞、不安、うつ病、注意欠陥多動性障害、会話の遅れもしくは言語障害、てんかん、代謝障害、免疫障害、双極性疾患、ならびに他の精神医学的および神経学的疾病になりやすい素質の診断、それらの検出、予防、および/または治療、に用いることができる。 配列表20070306A16333全文3 被験者における、自閉症または自閉症スペクトラム障害の存在あるいはそれらになりやすい素質をインビトロで検出する方法であって、被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子座中の改変の存在を検出する工程、を含む方法。 被験者における、自閉症または自閉症スペクトラム障害からの保護をインビトロで検出する方法であって、被験者からの試料中の前記試料中のPRKCB1遺伝子座中の改変の存在を検出する工程、を含む方法。 自閉症または自閉症スペクトラム障害の治療に対する被験者の応答をインビトロで評価する方法であって、前記被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子座中の改変の存在を検出する工程、を含む方法。 自閉症または自閉症スペクトラム障害の治療による被験者における悪影響をインビトロで評価する方法であって、前記被験者からの試料中のPRKCB1遺伝子座中の改変の存在を検出する工程、を含む方法。 PRKCB1遺伝子座中の改変の存在を、配列決定、オリゴヌクレオチドライゲーション、選択的ハイブリダイゼーションおよび/または選択的増幅によって検出する、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。 前記改変が自閉症に関連した1つまたはいくつかのSNPまたはSNPのハプロタイプである、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。 前記SNPが、表1aおよび1bに開示されたもの、より好ましくは表3〜10に開示されたもの、から成る群より選ばれる、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。 自閉症に関連する前記SNPが、SNP106、SNP134、SNP128、SNP138、SNP140、およびSNP149から成る群より選ばれる、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。 自閉症に関連する前記ハプロタイプが、SNP106、SNP134、SNP128、SNPl38、SNP140、SNP139、SNP141、SNP149、SNP150、およびSNP151から成る群より選ばれるいくつかのSNPを含むか、またはそれらから成る、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。 前記ハプロタイプが、SNP139、SNP140およびSNP141から成るかまたはそれらを含み、好ましくは対立遺伝子がC−G−Tである、請求項9記載の方法。 前記ハプロタイプが、SNP149、SNP150およびSNP151から成るかまたはそれらを含み、好ましくは対立遺伝子がC−T−Aである、請求項9記載の方法。 前記ハプロタイプが表4、6、7、9、および/または10に開示されたハプロタイプから選ばれる、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。 自閉症または自閉症スペクトラム障害に対する生物学的活性化合物を選択する方法であって、テスト化合物をPRKCB1ポリペプチドまたは遺伝子あるいはそれらの断片と接触させる工程、および前記テスト化合物がPRKCB1ポリペプチドまたは遺伝子あるいはそれらの断片と結合する能力を決定する工程を含む方法。 自閉症または自閉症スペクトラム障害に対する生物学的活性化合物を選択する方法であって、PRKCB1ポリペプチドを発現している組換え宿主細胞をテスト化合物と接触させる工程、および前記テスト化合物が前記PRKCB1ポリペプチドと結合し、PRKCBlポリペプチドの活性をモジュレートする能力を決定する工程、を含む方法。 自閉症または自閉症スペクトラム障害に対する生物学的活性化合物を選択する方法であって、テスト化合物をPRKCB1遺伝子と接触させる工程、および前記テスト化合物が前記PRKCB1遺伝子の発現をモジュレートする能力を決定する工程、を含む方法。 自閉症または自閉症スペクトラム障害に対する生物学的活性化合物を選択する方法であって、テスト化合物を、レポーターコンストラクトを含む組換え宿主細胞と接触させる工程であって、前記レポーターコンストラクトは、PRKCB1遺伝子プロモーターの制御下のレポーター遺伝子を含む、およびレポーター遺伝子の発現をモジュレートする、例えば、刺激するかまたは低下させる、テスト化合物を選択する工程を含む、方法。 前記PRKCB1遺伝子またはポリペプチドあるいはそれらの断片が、改変されたか突然変異されたPRKCB1遺伝子またはポリペプチド、あるいは改変または突然変異を含むそれらの断片である、請求項13〜16のいずれか1項記載の方法。 前記モジュレーションが活性化である、請求項13〜17のいずれか1項記載の方法。 前記モジュレーションが阻害である、請求項13〜17のいずれか1項記載の方法。 PRKCB1の作動薬または拮抗剤、PRKCB1のアンチセンスまたはRNAi、PRKCB1ポリペプチドに特異的な抗体、あるいはそれらの断片または誘導体から成る群より選ばれる化合物の、被験者の自閉症または自閉症スペクトラム障害を、治療するか予防するための医薬品組成物の作製における使用。 前記化合物がバルプロ酸、リチウム、タモキシフェン、またはLY333531である、請求項20記載の使用。


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