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タイトル:特許公報(B2)_血管不全改善剤
出願番号:2007511216
年次:2012
IPC分類:A61K 31/122,A61K 31/355,A61P 9/00,A61P 9/14


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東 直樹 高橋 二郎 JP 5070040 特許公報(B2) 20120824 2007511216 20060331 血管不全改善剤 富士化学工業株式会社 390011877 東 直樹 505119472 田中 政浩 100085109 東 直樹 高橋 二郎 JP 2005104293 20050331 20121107 A61K 31/122 20060101AFI20121018BHJP A61K 31/355 20060101ALI20121018BHJP A61P 9/00 20060101ALI20121018BHJP A61P 9/14 20060101ALI20121018BHJP JPA61K31/122A61K31/355A61P9/00A61P9/14 A61K 31/00 CA/REGISTRY(STN) 特開平10−155459(JP,A) 特開2003−064360(JP,A) 板部洋之,YAKUGAKU ZASSHI,2002年,Vol.122, No.10,pp.745-753 Wei Li et al.,Journal of Molecular and Cellular Cardiology,2004年,Vol.37,pp.969-978 4 JP2006306969 20060331 WO2006106986 20061012 13 20090220 清野 千秋 本発明は、有効成分として(A)アスタキサンチンと(B)トコトリエノールを含有することを特徴とする血管不全の改善・治療・予防剤および血管内皮細胞保護剤に関する。 近年、食事の高カロリー化や生活習慣の変化、ストレス、運動不足などの原因によって生活習慣病が増加しており、大きな社会問題となっている。特に、生活習慣病が高じた結果発病する心疾患、脳血管障害、腎不全、糖尿病などが死亡原因の30%以上を占め、今後も高まっていく傾向にある。死亡原因とならならないまでも、メタボリックシンドローム、高血圧症、心血管障害、高脂血症、動脈硬化、糖尿病等の種々の疾病は、腎障害、視力障害、神経障害、抵抗力低下等の合併症を併発し、生活の質を大きく低下させる。これらの疾患は、血管不全による障害によって生じ、具体的には、体内の過酸化脂質や活性酸素などの攻撃物質が血管内皮細胞を損傷させ、さらに血管組織内部を損傷させることが原因である。これらの初期の引金になるのが細胞の酸化ストレスであることが分かってきた。また、血管内皮細胞は単に血管内腔の内面を覆い血管組織を保護するだけでなく、血管内腔から内皮下への物質移送機能、血圧調整、血流調整、血液凝固等の生命維持に直結する機能や因子に関わる全身にわたる内分泌器官であり、その保護は重要である。 近年、β−カロテンと同じカロテノイドの一種で、エビ、カニ等の甲殻類、サケ、タイ等の魚類、緑藻ヘマトコッカス等の藻類、赤色酵母ファフィア等の酵母類等、天然、特に海洋に広く分布する食経験豊かな赤色色素であるアスタキサンチンが、ビタミンEの約500倍、β−カロテンの約40倍もの強力な抗酸化作用を有することが見いだされ、従来単なる色素として扱われていた時代から、現在アスタキサンチンは健康食品として業界から期待されるまでに至っている。 アスタキサンチンの有するその他の機能特性として、抗炎症作用、抗動脈硬化作用、記憶能力向上作用、日周リズム調節作用、免疫賦活作用、抗ストレス作用、筋肉持続力向上作用、光障害に対する網膜保護作用、目の調節機能改善作用、精子の質向上作用など数多くの報告がなされている。 トコトリエノールは麦類、米糠、パーム油等に含まれるトコフェロール近縁化合物で、トコフェロールの側鎖部分に二重結合が3個入った構造を有する。これも上述のアスタキサンチン同様食経験豊富な天然物である。トコトリエノールの生理活性については、アスタキサンチン同様抗酸化作用があげられる。その作用はトコフェロールの約50倍ともいわれている。 トコトリエノールは、その他の機能として、コレステロール低下作用、動脈硬化改善作用、乳がん細胞増殖抑制作用等が報告されており、ごく最近では、血管新生抑制作用、全血流動性改善作用、赤血球膜変形能改善作用等トコフェロールにはない新たな機能性が発見されてきている。また、欧米では次世代のビタミンEとして化粧品等外用においても広く使用されている。このトコトリエノールは、天然物の圧搾、天然物からの抽出、合成などの方法で得られる。一般的にはヤシ科植物の果皮および/または種子から抽出される。天然物の抽出物から得られるトコトリエノールは複数のトコトリエノール異性体の混合物である。これらは抗酸化作用を利用して、食品添加物、化粧品等への応用がなされている。 アスタキサンチンを添加してなる飲食物が、血清中の低比重リポタンパク(LDL)の酸化を抑制することによって動脈硬化、虚血性心疾患又は虚血性脳障害を抑制の効果を有することが知られている(特許文献1)。アスタキサンチンが赤血球の酸化的損傷抑制、赤血球の硬化防止、赤血球の安定化に効果があることが知られている(特許文献2)。 しかしながら、アスタキサンチンおよびトコトリエノールを投与することにより、血管内皮細胞を保護し、血管不全を改善・治療・予防するということは知られていない。日本国特開平第10−155459号公報日本国特開第2002−226368号公報 本発明者らは、上記課題を解決するべく、血管不全の改善や血管内皮細胞を保護する物質を探索した結果、アスタキサンチンおよびトコトリエノールが血管不全の改善や血管内皮細胞を保護する作用があることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき完成されたものであり、アスタキサンチンおよびトコトリエノールを有効成分とする血管内皮細胞保護剤及び血管不全改善剤を提供するものである。 本発明は、有効成分としてアスタキサンチンおよびトコトリエノールを含有することを特徴とする血管不全改善剤及び血管内皮細胞保護剤を提供することを目的とする。本発明の薬剤は、血管不全改善や血管内皮細胞保護することにより、血管不全や血管内皮細胞の損傷や破壊によって生じる疾病の改善、治療、抑制および予防に有用である。 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、アスタキサンチンおよびトコトリエノールを組み合わせて投与すると優れた血管不全改善作用及び血管内皮細胞保護作用を示すことを見出した。本発明はかかる知見に基づくものである。 即ち、本発明は、(1)有効成分としてアスタキサンチンとトコトリエノールを含有することを特徴とする血管不全改善剤であり、(2)有効成分としてアスタキサンチンとトコトリエノールを含有することを特徴とする血管内皮細胞保護剤であり、(3)有効成分としてアスタキサンチンとトコトリエノールを含有することを特徴とする血管内皮機能改善剤であり、(4)アスタキサンチンの投与量が1日あたり1〜20mgである(1)〜(3)のうちのいずれか記載の薬剤である。 本発明において「アスタキサンチン」とは、天然物由来のものまたは合成により得られるものを意味する。天然物由来のものとしては、例えば、エビ、オキアミ、カニなどの甲殻類の甲殻、卵および臓器、種々の魚介類の皮および卵、緑藻ヘマトコッカスなどの藻類、赤色酵母ファフィアなどの酵母類、海洋性細菌、福寿草および金鳳花などの種子植物から得られるものをあげることができる。天然からの抽出物および化学合成品は市販されており、入手は容易である。 アスタキサンチンは、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌などを、公知の方法に準拠して、適宜な培地で培養することにより得られる。培養や抽出のしやすさ、アスタキサンチンを最も高濃度で含有することや生産性の高さから緑藻ヘマトコッカスが最も好適である。ヘマトコッカス緑藻類のアスタキサンチン含量の高いものを得る培養方法としては、異種微生物の混入・繁殖がなく、その他の夾雑物の混入が少ない密閉型の培養方法が好ましく、例えば、一部解放型のドーム形状、円錐形状又は円筒形状の培養装置と装置内で移動自在のガス吐出装置を有する培養基を用いて培養する方法(国際公開第99/50384号公報)や、密閉型の培養装置に光源を入れ内部から光を照射して培養する方法、平板状の培養槽で培養する方法が適している。 前記培養物または前記甲殻類から抽出および精製する方法については種々の方法が知られている。例えば、アスタキサンチン及びそのエステルは油溶性物質であることから、アスタキサンチンを含有する天然物からアセトン、アルコール、酢酸エチル、ベンゼン、クロロホルムなどの油溶性有機溶媒でアスタキサンチン含有成分を抽出することができる。また、二酸化炭素や水などを用い超臨界抽出を行うこともできる。抽出後、常法に従って溶媒を除去してモノエステル型のアスタキサンチンとジエステル型のアスタキサンチンの混合濃縮物を得ることができる。得られた濃縮物は、所望により分離カラムやリパーゼ分解によりさらに精製することができる。 前記のドーム型培養装置や密閉型の培養装置で培養したヘマトコッカス藻を乾燥させ、粉砕後にアセトンで抽出または、アセトン中で粉砕と抽出を同時に行ったのち、アセトンを除去してアスタキサンチン抽出する製法が、夾雑物が少なく、アスタキサンチンとトリグリセリドを純度良く多く含むことができ好適である。 アスタキサンチンの使用形態としては、前記方法で得たアスタキサンチンの抽出物およびそれらを含有した粉末や水溶液、または赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌などの乾燥品およびそれらの破砕品を用いることができる。 アスタキサンチンは、3,3'−ジヒドロキシ−β,β−カロテン−4,4'−ジオンであり、立体異性体を有する。具体的には、(3R,3'R)−アスタキサンチン、(3R,3'S)−アスタキサンチンおよび(3S,3'S)−アスタキサンチンの3種の立体異性体が知られているが、本発明にはそのいずれも用いることができる。 本発明の記載で、特に記載がない限り、アスタキサンチンはアスタキサンチン及び/又はそのエステルを含む。さらに、アスタキサンチンのエステルにはモノエステル体及び/又はジエステル体を含む。 アスタキサンチンは突然変異原性が観察されず、安全性が高い化合物であることが知られて、食品添加物として広く用いられている(高橋二郎ほか:ヘマトコッカス藻アスタキサンチンの毒性試験―Ames試験、ラット単回投与毒性試験、ラット90日反復経口投与性毒性試験―,臨床医薬,20:867−881,2004.)。 本発明のアスタキサンチンを有効成分とする薬剤には、アスタキサンチンの遊離体、モノエステル体、ジエステル体の少なくとも一種を用いることができる。ジエステル体は2つの水酸基がエステル結合により保護されているため物理的に遊離体やモノエステル体よりも安定性が高く飼料中で酸化分解されにくい。しかし、生体中に取り込まれると生体内酵素により速やかに遊離体のアスタキサンチンに加水分解され、効果を示すものと考えられている。 アスタキサンチンのモノエステルとしては、低級または高級飽和脂肪酸、あるいは低級または高級不飽和脂肪酸によりエステル化されたエステル類をあげることができる。前記低級または高級飽和脂肪酸、あるいは低級または高級不飽和脂肪酸の具体例としては、酢酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、へブタデカン酸、エライジン酸、リシノール酸、ベトロセリン酸、バクセン酸、エレオステアリン酸、プニシン酸、リカン酸、パリナリン酸、ガドール酸、5−エイコセン酸、5−ドコセン酸、セトール酸、エルシン酸、5,13−ドコサジエン酸、セラコール酸、デセン酸、ステリング酸、ドデセン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エイコサオペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などをあげることができる。また、アスタキサンチンのジエステルとしては前記脂肪酸からなる群から選択される同一または異種の脂肪酸によりエステル化されたジエステル類をあげることができる。 さらに、アスタキサンチンのモノエステルとしては、グリシン、アラニンなどのアミノ酸;酢酸、クエン酸などの一価または多価カルボン酸;リン酸、硫酸などの無機酸;グルコシドなどの糖;グリセロ糖脂肪酸、スフィンゴ糖脂肪酸などの糖脂肪酸;グリセロ脂肪酸などの脂肪酸;グリセロリン酸などによりエステル化されたモノエステル類をあげることができる。なお、考えられ得る場合は前記モノエステル類の塩も含む。 アスタキサンチンのジエステルとしては、前記低級飽和脂肪酸、高級飽和脂肪酸、低級不飽和脂肪酸、高級不飽和脂肪酸、アミノ酸、一価または多価カルボン酸、無機酸、糖、糖脂肪酸、脂肪酸およびグリセロリン酸からなる群から選択される同一または異種の酸によりエステル化されたジエステル類をあげることができる。なお、考えられ得る場合は前記ジエステル類の塩も含む。グリセロリン酸のジエステルとしては、グリセロリン酸の飽和脂肪酸エステル類、または高級不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸から選択される脂肪酸類を含有するグリセロリン酸エステル類などをあげることができる。 本発明において「トコトリエノール類」とは、トコトリエノールの異性体や誘導体、トコフェロールの異性体や誘導体を含み、天然物由来のものまたは合成により得られるものを意味する。 トコトリエノールとしては、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、これらの各異性体のニコチン酸、酢酸、コハク酸などのエステルなどを意味する。これらのトコトリエノールには、d−、l−、dl−型の異性体がある。また、これらの1種以上または2種以上の混合物としても使用することができる。 これらのトコトリエノールは、常法により、例えば、天然物の圧搾、天然物からの抽出または合成などの方法により得ることができる。これらのトコトリエノール類は、所望により、例えば、カラムクロマトグラフィーなどにより、さらに分離精製し、純度を良くしたものであってもよい。 トコフェロールとしては、トコフェロールおよびそれらの誘導体であり、それらを1種以上が含まれているオイルであり、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、これらの各異性体のニコチン酸、酢酸、コハク酸などのエステルなどを意味する。これらのトコフェロールには、d−、l−、dl−型の異性体がある。また、これらの1種以上または2種以上の混合物としても使用することができる。 本発明において血管不全とは、血管内皮機能不全のほか、血管平滑筋機能不全、血管代謝不全などの総称である。具体的な障害としては、内皮依存性平滑筋弛緩障害による血管攣攣縮、接着分子発現増加による単球接着、線溶系低下による血栓形成があげられる。 以下に本発明を具体的に述べる。本発明において「血管不全改善」とは、各種の要因によって様々に引き起こされている血管機能の障害を改善・治療・予防する効果であり、たとえば血管内皮細胞が有している機能である各種臓器からの信号やストレスを感知して血流を調整すること、血管損傷時の修復機能、各種の内分泌、血管内腔と内皮下との間での各種物質移送機能、血液中の攻撃物質から血管内皮下組織への防御などの障害を改善・治療・予防する効果である。より具体的には、内皮依存性平滑筋弛緩障害による血管攣縮、接着因子発現増加による単球接着、線溶系低下などの血管内皮機能の改善・治療・予防である。血管内皮細胞保護とは、血液中の過酸化脂質、活性酸素などの攻撃物質、高血圧などによる物理的な攻撃から血管内皮細胞を保護する効果である。 本発明の血管不全改善剤および血管内皮細胞保護剤は、経口または非経口で投与することがでる。経口用の剤形としては、例えば、錠剤、口腔内速崩壊錠、カプセル、顆粒、細粒などの固形投薬形態、シロップおよび懸濁液のような液体投薬形態で投与される。非経口の剤形としては、注射剤、点眼剤、点鼻剤、貼付剤、軟膏剤、坐剤の形態で投与される。リピッド分散型の製剤は血中濃度の増加に有効である。 本発明の血管不全改善剤および血管内皮細胞保護剤は、一般製剤の製造に用いられる種々の添加剤を適当量含んでいてもよい。このような添加剤として、例えば賦形剤、結合剤、酸味料、発泡剤、人工甘味料、香料、滑沢剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、界面活性剤などが挙げられる。賦形剤としては、例えばトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギコデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファ−化デンプン、有孔デンプン等のデンプン類、乳糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトールなどの糖アルコール、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などの無機化合物などがあげられる。結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルランなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えばデンプン、寒天、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、結晶セルロースなどがあげられる。酸味剤としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などがあげられる。発泡剤としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。甘味料としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。香料としては、例えばレモン油、オレンジ油、メントールなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。着色剤としては、例えば食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄などが挙げられる。安定化剤としては、エデト酸ナトリウム、トコフェロール、シクロデキストリン等が挙げられる。pH調整剤としては、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。界面活性剤として、ポリソルベート80、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、アラビアガム、粉末トラガントなどがあげられる。アスタキサンチンやトコトリエノールの吸収や製剤化を良くするためには粉末状態にして配合することが好ましい。 シロップ、ドリンク剤、懸濁液、点眼剤、注射剤などの液剤は、有効成分を必要に応じてpH調製剤、緩衝剤、溶解剤、懸濁剤等、張化剤、安定化剤、防腐剤などの存在下、常法により製剤化することができる。懸濁剤としては、例えば、ポリソルベート80、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、アラビアガム、粉末トラガントなどを挙げることができる。溶解剤としては、例えば、ポリソルベート80、水添ポリオキシエチレンヒマシ油、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マクロゴール、ヒマシ油脂肪酸エチルエステルなどを挙げることができる。安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウムなどを挙げることができる。防腐剤としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾールなどを挙げることができる。 また、皮膚外用剤の形態には、上記成分以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。 本発明の血管不全改善剤および内皮細胞保護剤に用いられるアスタキサンチンの量は、アスタキサンチン遊離体換算量で、成人では1日あたり、0.5〜100mg、好ましくは1〜20mgの服用量で経口投与または非経口投与で行う。投与量は、投与される患者の年齢、体重、症状の程度、投与形態によって異なる。本発明の医薬品におけるアスタキサンチン量は0.01〜99.9重量%、好ましくは0.1〜90重量%の量で含有させることができる。 本発明の血管不全改善剤・内皮細胞保護剤に用いられるトコトリエノール類の量は、トコトリエノールやトコフェロールおよびその誘導体によって異なるが、成人では1日あたり、0.5〜300mg、好ましくは1〜20mgの服用量で経口投与または非経口投与で行う。投与量は、投与される患者の年齢、体重、症状の程度、投与形態によって異なる。本発明の医薬品におけるトコトリエノールの量は0.01〜99.9重量%、好ましくは0.1〜90重量%の量で含有させることができる。 本発明の血管不全改善剤・内皮細胞保護剤にアスタキサンチンとトコトリエノール類を両方配合する場合は、アスタキサンチン1重量部に対してトコトリエノール類が0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の割合で配合することができる。本発明の医薬品におけるアスタキサンチンとトコトリエノール類の合計の配合量は0.01〜99.9重量%、好ましくは0.1〜90重量%の量で含有させることができる。 血管不全改善剤および血管内皮細胞保護剤により、血管の保護や血管が生産している因子を調節できるため、これらの異常が原因であると言われている疾患、例えば、動脈硬化、高血圧、糖尿病、ガン、高脂血症、リュウマチ、痛風、脳卒中、虚血性心疾患、肺気腫、胃潰瘍、胃炎、肝炎、膵炎、腎炎、その他の炎症性疾患、白内障、アルツハイマー病、老化、糖尿病の合併症である神経障害、網膜障害、腎症、大血管障害および血液疾患に関する疾病の治療・改善・予防効果も有している。神経障害においては、突発性の難聴、眼や顔面の異常(麻痺や痛み)、起立性低血圧、発汗の異常、下痢や便秘(消化器症状)、排尿障害、四肢の痛み、知覚の異常、ED、眼精疲労、筋肉疲労、筋肉の委縮、うつ病の治療・改善・予防に効果がある。網膜障害においては、黄斑変性、緑内障、白内障、単純網膜症、前増殖網膜症および増殖網膜症の治療・改善・予防に効果がある。免疫系の疾患としては、自己免疫疾患(アレルギー性疾患、寄生虫感染症、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、ベーチェット病など)、ウイルスまたはバクテリア感染症、悪性腫瘍(形質細胞腫、多発性骨髄腫、癌悪液質、心房粘液腫、骨髄腫、レンネルトリンパ腫など)、HVG病あるいは後天性免疫不全症候群、カポシ肉腫、閉経後骨粗鬆症、炎症性皮膚疾患(炎症性角化症、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎など)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)、炎症性肝疾患(B型肝炎、C型肝炎、アルコール性肝炎、薬物アレルギー性肝炎など)、炎症性腎疾患(糸球体腎炎など)、炎症性呼吸器疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎など)の治療・改善・予防に効果がある。 本発明のその他の用途としては、血管細胞保護効果を有することから、臓器保存剤及び保護剤として用いることができる。保存剤及び保護剤の使用対象とされる臓器は、ヒト及び動物のあらゆる臓器であり、例えばヒト及び動物の心臓、腎臓、膵臓、肺及び肝臓等を挙げることができる。臓器移植手術時に臓器提供者(ドナー)より摘出された臓器の保存において、その臓器の障害を最小限に食い止めるために、保存液中または潅流液中に添加して使用することができる。また臓器移植後の拒絶反応を抑制または予防するための臓器保護剤として移植患者に投与することもできる。さらに本発明の保存剤を使用すれば、摘出臓器を劣化させずに保存することができ、移植後まで臓器の機能を維持することが可能である。尚、移植の目的として臓器を摘出して保存する場合は、前もってドナーにあらかじめ投与し、血管細胞を健常に保っておくことが有効である。 本発明をさらに詳細に説明にするために以下に実施例をあげるが、本発明がこの実施例のみに限定されないことはいうまでもない。 [培地の調製] Eagle(日水製薬製)粉末の最小培地(EMEM)9.4gを水1000mlに室温で撹拌しながら溶解し、オートクレーブ殺菌(121℃、15分)したものに、重炭酸ナトリウム溶液(大塚製薬メイロン製)、グルタミン(日水製薬)、必須アミノ酸溶液(ギブコ製)、非必須アミノ酸溶液(ギブコ製)、ビタミン混合液(ギブコ社製)、抗生物質混合液(ギブコ製)を添加した。この培地に牛胎児血清(ギブコ製)を10%あるいは0.4%加えたものを用意し、以降それぞれ「10%FBS加EMEM」および「0.4%FBS加EMEM」と称する。 [実験方法:24穴プレート] 10%FBS加EMEMで継代した血管内皮細胞(GM07373A)をトリプシン−EDTA溶液で剥離し、10%FBS加EMEMに浮遊させた細胞液の1.5mlに9mlの10%FBS加EMEMを加えて、9cmシャーレに入れ5%二酸化炭素雰囲気下37℃で3〜4日間前培養した。トリプシン−EDTA溶液で剥離し、10%FBS加EMEMに浮遊させた細胞浮遊液(細胞数0.7〜0.9×105cell/ml)の1mlを24穴プレートの各wellに移し、5%二酸化炭素雰囲気下37℃で2日間本培養した。培地を取り除いた後、0.4%FBS加EMEMの500μl/well加えて細胞を飢餓状態にして、5%二酸化炭素雰囲気下37℃で1晩培養した。試料の溶液とグルコース水溶液(200mg/ml)10μlを加えて、5%二酸化炭素雰囲気下37℃で2時間培養した。培地を取り除いた後、ハンクス氏液(日水製薬製)の1ml/wellを加えて2回洗浄し、溶液を取り除いた後、過酸化水素入り(あるいは過酸化水素無添加)染色液300μl/wellを加え、5%二酸化炭素雰囲気下37℃で30分間培養した。染色液を除去し、細胞の蛍光強度を測定した。 GM07373Aは米国のCoriel Human Genetic Cell Repositoryから購入した牛大動脈血管内皮細胞株Repository No.GM07373Aである。過酸化入り染色液は、ハンクス氏液9mlに蛍光色素(C−6827、Molecular Probe社製)50μgをDMSO90μlに溶解したものを混合し、0.3%過酸化水素90μlを加えたものである。対照試験には過酸化水素を加えない。 試料溶液は、アスタキサンチン(シグマ製)は0.053mg/mlおよび0.0053mg/ml、α―トコフェロール(和光純薬製)およびトコトリエノール(シグマ製)を、0.25mg/mlおよび0.025mg/mlをメタノールに溶解したものを用いた。それぞれ10μlを500μlの培地に加えた。 [蛍光強度測定法:画像解析ソフト法] ライカ実体蛍光顕微鏡 MZ FL III(ライカマクロ蛍光装置GFP付)(ライカ製)に、フィルターセット(名称):GFP Plant 蛍光(GFP2)(励起フィルター:480/40nm、吸収フィルター:510nm)を用いて、100倍下で任意三箇所の蛍光強度を測定し、画像をCCDカメラで取り込み画像解析ソフト(Qwin:ライカ製)を用いて、グレー強度%に換算して、蛍光強度を測定した。1wellあたり3ヶ所蛍光強度を測定して、その平均値を求めた。また、1種類につき3〜4well作成した。 [表1] アスタキサンチンを添加した時の蛍光強度 アスタキサンチンを添加した系は、過酸化水素とグルコースを添加したものにアスタキサンチンを加えたものである。前培養期間は5日間、細胞数は0.84×105Cell/Wellであった。 過酸化水素+グルコースを添加することによって蛍光強度が増加しており、生じた活性酸素が蛍光色素が酸化されて蛍光染色され、血管内皮細胞が損傷を受けていることを示す。対してその系にアスタキサンチンを添加した系はより小さな蛍光強度となっており、生じた活性酸素による血管内皮細胞損傷をアスタキサンチンが抑制していることを示す。 [表2] トコトリエノール、α−トコフェロールを添加した時の蛍光強度 トコトリエノールまたはα−トコフェロールを添加した系は、過酸化水素とグルコースを添加したものにトコトリエノールまたはα−トコフェロールを加えたものである。前培養期間は3日間、細胞数は0.89×105Cell/Wellであった。 過酸化水素+グルコースを添加することによって蛍光強度が増加しており、生じた活性酸素が蛍光染色され、血管内皮細胞が損傷を受けていることを示す。対して、その系にトコトリエノールおよびα−トコフェロールを添加した系はより小さな蛍光強度となっており、生じた活性酸素による血管内皮細胞損傷をトコトリエノールまたはα−トコフェロールが抑制していることを示す。 [実験方法:96穴プレート] 方法は実施例1と基本的には同一であるが、96wellプレートを使用し、マルチピペットで段階希釈し、蛍光プレートリーダーを用いた。すなわち、T25フラスコで植え継いだ血管内皮細胞をトリプシン−EDTA溶液を用いて剥離させ、10%FBS加EMEM培地で希釈してT75フラスコで前培養を4日間行った。コンフルエントになった細胞を再びトリプシン−EDTA溶液で細胞を剥離させ、10%FBS加EMEM培地で希釈して95×104cell/mlの細胞浮遊液とし、96wellプレートに100μl/well撒き2日間培養した。培地を吸引除去して0.4%FBS加EMEM培地50μlを加え、一晩飢餓培養を行った。培地を吸引除去し、グルコース(最終濃度400mg/dl)を含んだ0.4%FBS加EMEM培地を用いて各試料の希釈列(50μl/well、2倍×8段)をマルチピペットで作り、各試料溶液をそれぞれのWellに添加した。試料溶液は、実施例1と同様に各試薬をメタノールに適宜溶解して原液を調製し、0.4%FBS加EMEMで希釈して用いた。試料添加後、2時間5%炭酸ガス培養槽で37℃で刺激培養を行った。培地を吸引除去し、ハンクス氏液100μl/wellで2度洗浄後、実施例1と同様に、DMSOに分散させた蛍光色素(C−6827)と過酸化水素(最終0.003%)溶液加えたハンクス液30μl/well加え、5%炭酸ガス培養槽で25分培養し、蛍光色素を細胞に取り込ませた。色素液を吸引除去後、遮光下で室温に一晩放置した。Fluostarプレートリーダーで測定した。なお、1列は過酸化水素の希釈列(最終濃度100μM)を加えこれを標準とした。 [蛍光強度測定法:直接測定法] 蛍光強度の測定は、FluoStar(BMG Labtech社製)を用いた。各well毎の蛍光強度を自動的に測定する装置である。光源はキセノンランプで、Excitationは485nm、Emissionは538nmの条件で測定した。485nmの光を10回フラッシュしたときの蛍光強度を電圧として表示し、ゲインは最も蛍光強度が強い過酸化水素100μMのwellを8000(無単位)に調整した。 [表3] トコトリエノールとアスタキサンチンを添加した時の蛍光強度(24穴プレート) 過酸化水素及びグルコース添加の蛍光強度は7655、過酸化水素及びグルコース添加なし蛍光強度は1338であった。24穴プレートを用い、直接測定法で蛍光強度を測定した。 表3の結果より、アスタキサンチン及びトコトリエノールの投与量が多いほど蛍光強度の値が小さくなっている。トコトリエノール添加量に対して少量のアスタキサンチン添加量により、蛍光強度はより値が小さくなっている。アスタキサンチンとトコトリエノールを共に投与することによって、相乗的に血管細胞の保護効果があることを示す。 [表4] トコフェロールとアスタキサンチンを添加した時の蛍光強度(24穴プレート) 過酸化水素及びグルコース添加の蛍光強度は7605、過酸化水素及びグルコース添加なし蛍光強度は1210であった。24穴プレートを用い、直接測定法で蛍光強度を測定した。 表4の結果より、アスタキサンチン及びトコフェロールの投与量が多いほど蛍光強度の値が小さくなっている。トコフェロール添加量に対して少量のアスタキサンチン添加量により、蛍光強度はより値が小さくなっている。アスタキサンチンとトコフェロールを共に投与することによって、相乗的に血管細胞の保護効果があることを示す。 [表5] グルタチオンとアスタキサンチンを添加した時の蛍光強度(96穴プレート) 過酸化水素及びグルコース添加の蛍光強度は5250、過酸化水素及びグルコース添加なし蛍光強度は6689であった。96穴プレートを用い、直接測定法で蛍光強度を測定した 表5の結果より、アスタキサンチン及びグルタチオンの投与量が多いほど蛍光強度の値が小さくなっている。グルタチオン添加量に対して少量のアスタキサンチン添加量により、蛍光強度はより値が小さくなっている。アスタキサンチンとグルタチオンを共に投与することによって、相乗的に血管細胞の保護効果があることを示す。 [製造例1] 錠剤下記成分を下記組成比(重量%)で均一に混合し、1粒200mgの錠剤とした。アスタリールパウダー 10重量部ブルベリー末 2重量部Vプレミックス 3重量部乳糖 50重量部バレイショデンプン 32重量部ポリビニルアルコール 2重量部ステアリン酸マグネシウム 1重量部アスタリールパウダー(富士化学工業(株)製)はフリー体換算で1重量%のアスタキサンチンを含むヘマトコッカス藻抽出オイルから製造した粉末である。 [製造例2] カプセル剤下記成分からなるソフトカプセル剤皮の中にヘマトコッカス藻抽出オイル(アスタキサンチンを5重量%含有)を常法により充填し、1粒200mgのソフトカプセルを得た。ゼラチン 70重量部グリセリン 23重量部パラオキシ安息香酸プロピル 0.5重量部水 6.5重量部 [製造例3] ドリンク剤下記の成分を配合し、常法に従ってドリンク剤を調製した。ヘマトコッカス藻抽出オイル 5重量部トコトリエノールオイル 5重量部DL−酒石酸ナトリウム 0.1重量部液糖 800重量部クエン酸 12重量部ビタミンC 10重量部ビタミンE 30重量部香料 1.5重量部塩化カリウム 0.1重量部硫酸マグネシウム 0.5重量部水 10000重量部ヘマトコッカス藻抽出オイルはアスタキサンチンフリー体換算で5重量%含有し、トコトリエノールオイルはトコトリエノールを40重量%含有したものである。表3のトコトリエノールとアスタキサンチンを添加した時の蛍光強度を示したグラフである。トコトリエノール濃度は指数で表示されている。表4のトコフェロールとアスタキサンチンを添加した時の蛍光強度を示したグラフである。トコフェロール濃度は指数で表示されている。表5のグルタチオンとアスタキサンチンを添加した時の蛍光強度を示したグラフである。 有効成分として(A)アスタキサンチンと(B)トコトリエノールを含有することを特徴とする血管不全改善剤。 有効成分として(A)アスタキサンチンと(B)トコトリエノールを含有することを特徴とする血管内皮細胞保護剤。 有効成分として(A)アスタキサンチンと(B)トコトリエノールを含有することを特徴とする血管内皮機能改善剤。 アスタキサンチンの投与量が1日あたり1〜20mgである請求項1〜3のうちのいずれか記載の薬剤。


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