タイトル: | 特許公報(B2)_D−プシコースとD−アロースの糖質複合体結晶およびその製造方法 |
出願番号: | 2007506037 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C12P 19/02,C12P 19/24,C12N 15/09 |
何森 健 徳田 雅明 高田 悟郎 森本 兼司 JP 4873493 特許公報(B2) 20111202 2007506037 20060303 D−プシコースとD−アロースの糖質複合体結晶およびその製造方法 国立大学法人 香川大学 304028346 株式会社伏見製薬所 591286270 株式会社林原生物化学研究所 000155908 須藤 阿佐子 100102314 須藤 晃伸 100123984 何森 健 徳田 雅明 高田 悟郎 森本 兼司 JP 2005061638 20050304 20120208 C12P 19/02 20060101AFI20120119BHJP C12P 19/24 20060101ALI20120119BHJP C12N 15/09 20060101ALN20120119BHJP JPC12P19/02C12P19/24C12N15/00 A C12P 19/02 C12P 19/24 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開2004−298106(JP,A) 特開2001−011090(JP,A) Journal of fermentation and bioengineering,1998年,Vol.85,p.539-541 食品と開発,2003年,Vol.38,p.66-69 5 JP2006304151 20060303 WO2006093292 20060908 22 20090114 松原 寛子 本発明は、D-プシコースとD-アロースの複合体結晶性糖質およびその製造方法に関する。 単糖は、炭素鎖が3以上の炭水化物の総称で、天然界には40以上の数多くの単糖類が、代謝産物や生合成産物として遊離体や誘導体、さらに、複合糖質やオリゴ糖、多糖などさまざまな形態で存在している。単糖類で産業上最も重要なものはD-グルコースで、その製造はアミラーゼなどの酵素で澱粉を加水分解する方法により既に工業的規模で確立されており、食品、化粧品、医薬品など産業上最も広く大量に使用されている。さらに、D-グルコースをイソメラーゼで変換することによって製造されているD-フラクトースも産業上重要な糖質である。その他に、酢酸菌によるソルビトールからのL-ソルボース製造、β−ガラクトシダーゼによるラクトースからのD-ガラクトースの製造、酸加水分解によるキシランからのD-キシロースの製造など、幾つかの単糖の製造は工業的に実施されているが、それ以外の多くの単糖類は、原料や生成反応、収率など工業的且つ経済的の制約のために工業的大量製造が困難で、産業上での利用がほとんど行われていない。 本発明者らは、このような高価で少量しか取り扱えない単糖に注目し、それら糖質を希少糖質と名付け、長年の間、希少糖質の生成反応について鋭意研究を続けている。本発明者らは、これまで、D-プシコースとD-アロースのどちらとも、単体の希少糖を対象に開発研究をしてきた。本発明者らは、非特許文献1に開示したように、既に工業的に使用されているD-キシロースイソメラーゼと、本発明者らが発見したD-ケトヘキソース・3−エピメラーゼとを組み合わせて、D-グルコースから直接D-プシコースを製造する方法を開発し、D-プシコースを連続的に製造する製造方法の道を拓いている。 D-プシコースは、一般的には甘蔗廃ミツ中に少量存在することが知られており、D-フラクトースに似た良質の甘味を持っているとともに、難発酵性の糖質で低カロリー性糖質として最適で、産業上、特に食品産業において期待されている糖質の1つである。すなわち、D-プシコースは、D-グルコースやD-フラクトースなどの単糖と比べて脂肪合成を促進せず、体脂肪、特に腹腔内脂肪を蓄積させない糖として、D-プシコースが注目されている(非特許文献2)。また、D-プシコースの有効エネルギー価はほぼゼロであることも報告されている(非特許文献3)。 このようにしてD-プシコースの生産の成功を背景に、このD-プシコースをL-ラムノースイソメラーゼを用いて異性化することによって希少糖D-アロースの大量生産を成功している。本発明者らは、Pseudomonas stutzeri LL-172株の生産するL-ラムノースイソメラーゼ(「L-RhI」とも云う)を発見し、本酵素が、L-ラムノースからL-ラムニュロースへの異性化反応ならびにL-ラムニュロースからL-ラムノースへの異性化を触媒する酵素であることを明らかにした。Pseudomonas stutzerii LL172(IPOD FERM BP-08593)の生産するL-ラムノースイソメラーゼは、D-アロースとD-プシコースの間の異性化にも作用するので、D-プシコースからD-アロースを生産することができる酵素である。ただし、D-プシコースからD-アロースを生産するためには、Pseudomonas stutzerii LL172由来の酵素が必要である(特許文献1)。本酵素の発見により、本発明者らが目指している希少糖質の生成反応の実用化はさらに大きく前進し、特に、D-プシコースを基質にD-アロースを大量生産することにおいては顕著なものがあった。このD-アロースは各種の生理活性を示すことが明らかになり研究が急速に進展している。現在までにD-アロースの性質としてガン細胞抑制や抗酸化作用など医療分野で重要な効果が明らかになっている(特許文献2)。 しかしながら、このD-アロースの生産はその製造工程中にD-プシコースとD-アロースの分離というもっともコストのかかるところが大きなネックとなっている。D-アロースを単体として生産するためには、酵素の性質上、混合糖液の状態になりこれを原料と生産物に分離する必要がある。D-アロースは、L-ラムノースイソメラーゼの反応によってD-プシコースとD-アロースが7:3の平衡状態に達し、その混合糖液をカラムクロマトグラフィーによって分離している。この分離の操作は当然のことながら、単体の糖を精製するためには無くてはならない操作であるが、希少糖生産の規模が大きくなると時間と手間がかかってしまうのも事実である。 一方、現在、実用化されている糖の混合物には、D-グルコースとD-フルクトースの「ブドウ糖果糖液糖」がある。ブドウ糖果糖液糖はキシロースイソメラーゼを用いてD-グルコースの約半分をD-フルクトースに変換し、砂糖の構成比に近づいた代替糖として工業的に生産されており、コーヒーや紅茶のガムシロップとして商品化されている。D-グルコースとD-フルクトースの混合糖液は結晶化が難しく、結晶としてではなく液体の状態で利用されている。これはD-フルクトースの水溶性が非常に高いことが原因であると考えられており、このことから結晶化に時間と手間をかかり、生産コスト面で不利なため結晶化させずにそのまま利用している。異性化糖という呼称は普通、D-グルコースとD-フルクトースの混合糖液のことを指す。これは、現在D-グルコースを原料としたキシロースイソメラーゼによる異性化反応でしか工業的に実用化されていないためである。Journal of Fermentation and Bioengineering, 80, p101,1995AsiaPacific J. Clin. Nutr. 10, 233-237, 2001J. Nutr. Sci. Vitaminol 48, 77-80,2002国際公開番号WO2004/063369 A1)国際公開番号WO03/097820 A1 このような背景のもと、もしも、この分離操作なく反応終了液であるD-プシコースとD-アロースの混合液から、両希少糖の混合結晶を得ることができれば、それぞれの生理活性を生かした新しい希少糖混合結晶が安価に生産できることとなり工業的にも大きな期待が持たれる。すなわち、D-アロース含有糖質の工業的製造において経済的に有利な方法として、「L-RhIの反応物からD-アロースを分離・精製することなく、D-プシコースとD-アロースを含む糖液をそのまま用い、この糖液から結晶性糖質を高収率で得ることが強く望まれる。そして、このような背景はあったものの、L-ラムノースイソメラーゼの反応液からD-アロースを分離することなくD-プシコースとD-アロースが混在する場合は一般に混合結晶が得られることは考えられないという考えが常識であったため、これまで、D-プシコースとD-アロースのどちらとも、単体の希少糖を対象に開発研究が行われてきた。 本発明者らは、L-RhI反応からの平衡状態の混合糖を新たな一つの試薬として生産することを試みた。 すなわち、本発明は、D-プシコースおよびD-アロースを含有する糖液から結晶性糖質を高収率で採取しうる新規な方法を確立し、併せて、その方法で得られる結晶性糖質の特性を解明するとともに斯かる結晶性糖質の製造方法を提供することを課題とする。 L-ラムノースイソメラーゼ(L-RhI)反応からのD-プシコースとD-アロースの混合糖液は異性化反応による生産物であり、異性化糖と呼ぶことができる。 本発明者らは、L-ラムノースイソメラーゼ(L-RhI)反応によって得られるD-プシコースとD-アロースとを含む混合物から結晶性糖質を高収率で得ることを目指して鋭意研究を続けた。 一般に糖の混合物は結晶しにくい性質を持つ。例えば異性化糖として広く甘味料として用いられているD-グルコースとD-フラクトースの混合液糖が典型的例であり、混合することで結晶しないという性質を用いてシラップ状態の甘味料として用いられている。そのような中で、希少糖であるD-プシコースおよびD-アロースの混合物を得ることは予想できない偶然性から得られるものであり、純粋なD-プシコースとD-アロースが充分量生産可能となって初めて今回成功したものである。 その結果、D-プシコースとD-アロースとを含む混合物から、全く新規な複合体結晶性糖質が生成することを見出し、更に、この結晶性糖質がD-プシコースとD-アロースとの組成比として、D-プシコースとD-アロースの比率が約1:1から1:4の新規複合体結晶であることを見出し、加えて、この複合体結晶性糖質の製造方法を確立して本発明を完成した。 すなわち、本発明は、上記の課題を、D-プシコースおよびD-アロースを含有する複合体結晶性糖質と、D-プシコースおよびD-アロースを含有する糖液から、D-プシコースおよびD-アロースを含有する複合体結晶性糖質を生成せしめ、これを採取することを特徴とする複合体結晶性糖質の製造方法により解決するものである。本発明は、以下の(1)の糖質複合体結晶を要旨とする。(1)D−プシコースとD−アロースとの組成比が約1:1乃至2:3である細長い棒状結晶のD−プシコースおよびD−アロースの糖質複合体結晶。また、本発明は、以下の(2)〜(5)の糖質複合体結晶を製造する方法を要旨とする。(2)上記(1)の糖質複合体結晶を製造する方法であって、D−プシコースおよびD−アロースを含有する糖液から、D−プシコースおよびD−アロースを含有する複合体結晶性糖質を単体のD−プシコースやD−アロースとは結晶形が異なる細長い棒状結晶として生成せしめ、これを採取することを特徴とする方法。(3)糖質複合体結晶を生成させる際の糖液の溶媒が水、または、水とエタノールとの混合液であることを特徴とする上記(2)の糖質複合体結晶を製造する方法。(4)D-プシコースおよびD-アロースを含有する糖液が、D-プシコースにL-ラムノースイソメラーゼを作用させD-アロースに変換する工程を含む製造方法で得られた糖液であることを特徴とする上記(2)または(3)の糖質複合体結晶を製造する方法。(5) L-ラムノースイソメラーゼがPseudomonas stutzerii に属する菌株(IPOD FERM BP-08593)由来のものである上記(4)の糖質複合体結晶を製造する方法。 希少糖D-プシコースおよびD-アロースはそれぞれ特有の生理活性を有しておりその用途は大きい期待がある(特許文献2等)。D-アロースの生産はD-プシコースをL-ラムノースイソメラーゼを用いて異性化し、その混合物からD-アロースを分離することで初めて生産可能である。本発明ではD-プシコースとD-アロースを分離することなく、混合結晶として得ることが明確になったため、両生理活性を併せ持つ新しい素材としての用途がひらけ、しかも分離操作の工程が省かれるためのコストダウンをはかることができる。 また、結晶化できることで、精製して純粋な糖質を得られる方法としても非常に有効である。固定化L-ラムノースイソメラーゼを用いたD-プシコースからD-アロースへの転換L-ラムノースイソメラーゼ反応によるD-プシコースからD-アロースへの変換の高速液クロマトグラフによる確認固定化L-ラムノースイソメラーゼ反応によって生産したD-プシコースとD-アロースの混合結晶を撮影した写真D-プシコースとD-アロースの比が7:3から得られた結晶写真各結晶形の比較結晶化における濃度の影響(28℃、24時間の場合結晶の高速液体クロマトグラフィーによる分析(D-プシコース:D-アロースが7:3の場合結晶の高速液体クロマトグラフィーによる分析(D-プシコース:D-アロースが1:1の場合)D-アロースの溶液中での各種の構造 本発明でいうD-プシコースおよびD-アロースを含有する複合体結晶性糖質とは、粉末X線回折法で、D-プシコース結晶およびD-アロース結晶のいずれとも異なる結晶形を示す、D-プシコースおよびD-アロースを含有する結晶性糖質を意味する。本発明に用いる原料の糖質は、D-プシコースとD-アロースとを含む混合糖質であって、斯かる複合体結晶性糖質が製造できるものであればよい。 このような混合糖質を製造するには、L-ラムノースイソメラーゼをD-プシコースに作用させ異性化反応して、D-プシコースおよびD-アロースの混合物を調製することが有利に実施できる。 D-プシコースからD-アロースを生産するためには、Pseudomonas stutzerii LL172((IPOD FERM BP-08593))由来の酵素が必要である(特許文献1)。 上記のL-ラムノースイソメラーゼは、以下の物理化学的性質を有する酵素である。 (イ)作用 第7図,第8図,第9図に太い黒線で示される異性化反応を触媒する。 (ロ)作用pHおよび至適pH 作用pHは7.0〜10.0であり、至適pHは9.0である。 (ハ)pH安定性 種々のpHで4℃、1時間保持した場合、pH6.0〜11.0の範囲で安定である。 (ニ)作用温度および至適温度 作用温度は40〜65℃であり、至適温度は60℃である。 (ホ)温度安定性 40℃、10分では安定しており、50℃、10分でも90%以上残存している。 (ヘ)キレート剤の影響 キレート剤であるEDTA、EGTAを活性測定時に共存させても、ほとんど活性は阻害されない。 (ト)金属イオンの影響 1mMのコバルトイオンにより約30%阻害される。 (チ)SDS−PAGE法による分子量 約43,000である。 調製される糖質のD-プシコースとD-アロースとの割合は、通常、固形物当たりそれぞれ約70%と約30%である。必要ならば、この割合のD-プシコースとD-アロースとの混合糖質を、D-プシコースにL-ラムノースイソメラーゼを作用させて製造することも随意である。また、無機および/または有機触媒を用いてD-プシコースを異性化してD-プシコースおよびD-アロースの混合物を製造することも可能である。その場合、通常、D-アロースの純度が低いため、D-アロースを添加したり、溶媒分画、膜分離、カラム分画、酵素処理などしてD-プシコースを除去しD-アロースの純度を高めたりすることも可能である。勿論、単純にD-プシコースとD-アロースとを任意の割合で配合して、D-プシコースおよびD-アロースの混合物を調製してもよい。 本発明は、D-プシコースおよびD-アロースを含有する糖液から、D-プシコースおよびD-アロースを含有する複合体結晶性糖質を生成せしめ、これを採取して、D-プシコースおよびD-アロースを含有する複合体結晶性糖質を製造できればよい。 D-プシコースとD-アロースの混合糖は、後述の実施例1でも述べているが、具体的な結晶化濃度においては結晶を加えた場合で85%、加えなかった場合90%以上で結晶する。D-プシコースとD-アロースの混合糖は結晶を加えなくても結晶化するほど結晶化しやすいという特徴がある。結晶の形は細長い棒状結晶で、D-プシコースとD-アロースのどちらの結晶にも類似しているとは言い難い。単体のD-アロースは非常に結晶化しやすい性質を持ち、60%程度の濃度で放置しておくと結晶化してしまうほどである。D-プシコースは結晶化しやすいとは言えないが、D-フルクトースほどではないため、この混合糖の状態であっても比較的結晶化しやすい要因だと考えられる。また、糖濃度が高くなると単結晶が大きく成長することが確認される。 また、結晶の組成をHPLCで確認すると、D-プシコースとD-アロースの組成はD-アロースが多く含まれていることがわかる。D-プシコースとD-フラクトースの混合糖のように結晶化前と同じ比率で結晶化はしない。結晶化前の溶液中のD-アロースの割合はD-プシコースよりも50%以下であるにも関わらず、その結晶ではD-アロースが等量もしくはD-プシコースよりも割合が多くなる。一方、D-プシコースとD-アロースが1:1で混合した場合の結晶の組成比もD-プシコースとD-アロースが約2:3でありD-アロースが結晶に多く含まれている。つまり、D-プシコースとD-アロースの混合糖が結晶化した場合、D-プシコースとD-アロースの比率がおよそ1:1から2:3の間で安定した結晶構造になるのではないかと考えられる。 したがって、D-プシコースおよびD-アロースを含有する複合体結晶性糖質の製造方法は、D-プシコースおよびD-アロースを含有する糖質、望ましくは、D-プシコースとD-アロースとの組成比が約1:1から2:3の高濃度溶液、望ましくは、固形分濃度70乃至95%(w/w)(以下特にことわらない限り、本明細書においては「%(w/w)」を単に「%」と記す。)の水溶液を、例えば、助晶缶にとり、これに種晶としてD-プシコースおよびD-アロースを含有する複合体結晶性糖質を適量、望ましくは、0.01乃至10%程度を含有せしめ、混合、助晶してマスキットとし、これを粉末化して採取すればよい。この際、D-プシコースおよびD-アロースを含有する糖液にエタノールなど親水性有機溶媒を加え、D-プシコースおよびD-アロースを含有する複合体結晶性糖質の生成を促進させることもできる。 本発明において、マスキットから複合体結晶性糖質の粉末を製造するには、例えば、噴霧乾燥方法、流動造粒方法、ブロック粉砕方法など適宜用いることができる。噴霧乾燥方法の場合には、通常、固形分濃度70ないし85%、D-プシコースおよびD-アロースを含有する複合体結晶性糖質の晶出率5ないし50%程度のマスキットを高圧ポンプでノズルから噴霧し、結晶含有粉末糖質が溶融しない温度、例えば、40ないし75℃の温風で乾燥し、次いで25ないし40℃で約1ないし24時間、晶出、熟成すればよい。また、ブロック粉砕方法は、通常、固形分濃度85ないし95%、D-プシコースおよびD-アロースを含有する複合体結晶性糖質の晶出率1ないし30%程度のマスキットを約1ないし10日間静置し、全体をブロック状に晶出固化させ、これを粉砕または切削などの方法によって粉末化し、乾燥すればよい。 このようにして得られる本発明の複合体結晶性糖質の粉末は、非晶質糖質と比べ、吸湿性が低く、固結せず、流動性良好であるので、取り扱い容易であり、その包装、輸送、貯蔵など管理に要する物的、人的経費が大幅に削減できる。 本発明のD-プシコースおよびD-アロースのを含有する複合体結晶性糖質は、ノンカロリーの甘味料や生理機能性食品としての利用が期待されているD-プシコースと、ガン細胞増殖抑制作用が認められているD-アロースの混合したものであるから、その利用価値は非常に高いと期待される。 以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されない。 〈L-ラムノースイソメラーゼによるD-プシコースとD-アロースの混合糖の生産〉 希少糖D-プシコースの結晶化と大量生産に成功し、新たな試薬として期待される中、実施例1では更なる混合希少糖の生産を試みた。本発明者らはL-ラムノースイソメラーゼ(L-RhI)を用いてD-プシコースから希少糖D-アロースを大量生産している(特開平2004−298106号公報等参照)。実施例1においてはD-プシコースとD-アロースの混合糖を、単体のD-プシコースやD-アロースとは別の新たな異性化糖として生産を行った。 [実験方法]1) 使用試薬 実施例1の培養と酵素反応の際に用いた試薬及び糖は特に注釈のない限り、希少糖D-プシコースの生産と同様、和光純薬工業およびナカライテスクの特級試薬を使用した。2) 使用菌株およびプラスミド 大腸菌はJM109株を用いた。またプラスミドには、当研究室の石村が構築したPseudomonas. stutzeri LL172株のL-RhI遺伝子を発現ベクターpQE60に導入したプラスミド、pOI-01を用いた。なお、大腸菌JM109の遺伝子型は表1に示した。3) 培地組成 大腸菌の培養において、平面培地にはLB寒天培地を、液体培地にはSuperbroth培地を用いた。そしてそれぞれの培地に終濃度100μg/mlとなるようにアンピシリンを添加した。これらの培地の組成は表2に示した。4) 形質転換 Cohenらの方法(Cohen, S.N., Chang, A. C. Y. and Hsu, L. (1972) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2110)に従い以下の方法で大腸菌JM109の形質転換を行った。大腸菌JM109のコンピタントセルにプラスミドpOI-01を1μl添加して氷中にて30分静置した後、42℃の恒温槽で90秒間ヒートショックを与え、氷中で2分間コールドショックを与えた。800μlのSOC培地を加えて37℃で1時間振とうした後、アンピシリンを含むLB平面培地にコンラージ棒で2μl塗布して28℃オーバーナイトの条件でインキュベートした。5) 組換え大腸菌の培養 組換え大腸菌の前々培養および前培養は以下の培養条件で行った。前々培養:形質転換した大腸菌JM109のコロニーを爪楊枝で掻きとり、100mg/mlのアンピシリンを含むSuper broth液体培地3mlに植菌し、28℃で12時間振とう培養した。 前培養:前々培養した培養液全量を、100mlの同培地に入れて前々培養と同条件で振とう培養した。 本培養は培地量を10Lで行い、全容量20Lのジャーファーメンターを使用した。前培養の培養液を全量加えて30℃で12時間振とう培養した。6) IPTGによる酵素の誘導および粗酵素の抽出 本培養終了後、イソプロピルチオガラクトピラノシド(IPTG)を終濃度1mMとなるように加えさらに30℃、4時間撹拌し酵素の誘導を行った。誘導終了後、培養液を遠心分離(9,000rpm、20min、4℃)後、集菌して50mM グリシン-NaOHバッファー(pH9.0)で洗浄し、菌体を得た。得られた菌体を、アルミナ磨砕法で破砕した。破砕された菌体を同バッファーで懸濁し、遠心分離(12,000rpm、4℃、30min)後、上清を回収し粗酵素溶液とした。7) L-RhIの活性測定法 L-RhIの活性測定にはD-アロースを基質として酵素反応を行い、生じたD-プシコース量を測定して行った酵素反応は表3(L-ラムノースイソメラーゼ活性測定用の反応溶液組成)に示した組成で30℃、10分反応させ、反応停止には10%トリクロロ酢酸を50μl加えた。糖質(生産されるケトース)の分析方法にはシステインカルバゾール法を用いた。システインカルバゾール法は表4(システインカルバゾール法による測定の流れ)に示すように、適宜希釈した試料0.5mlに0.5%システイン溶液0.1ml、70%硫酸3mlを順次加えた後に、撹拌して水中に置き、冷却した。その後、0.12%カルバゾール溶液を0.1ml加え撹拌して、35℃で20分間反応させた。反応終了後、分光光度計(JASCO, Ubest-30 UV/VIS Spectrophtometer)を用いて540nmの吸光度を測定した。この条件で1分当たりに1μmolのD-プシコースを生産する酵素量を1ユニット(U)と定義した。8) PEG#6000によるL-RhIの部分精製 粗酵素溶液に塩化マンガン水溶液を終濃度10mMとなるように撹拌しながら少しずつ加えた。これにPEG#6000を終濃度10%となるように撹拌しながら少しずつ加え40分間撹拌した。その後、遠心分離(12,000rpm、30min、4℃)後、上清を回収しこの溶液に終濃度20%になるようにさらにPEG#6000を加え40分間撹拌した。生じた沈殿を遠心分離(12,000rpm、30min、4℃)によって回収し、50mMグリシンNaOHバッファー(pH9.0)に溶解させ、この溶液を部分精製酵素溶液と得た。9) L-RhIの固定化 固定化担体には、D-TEの固定化と同様に陰イオン交換樹脂キトパールBCW2510を使用した。キトパール樹脂を50mMグリシン-NaOHバッファー(pH9.0)で洗浄した後、同バッファーに浸して緩やかに撹拌しながらオーバーナイトで平衡化を行った。その後、バッファーを除きキトパール樹脂に部分精製酵素溶液を加えてオーバーナイトで緩やかに撹拌し、固定化した。10) D-プシコースとD-アロースの混合糖の生産 本固定化酵素を用いてバッチ法にてD-プシコースとD-アロース(7:3)の混合糖の生産を行った。500mlの三角フラスコに固定化酵素を入れ、50%のD-プシコース水溶液300mlを加え窒素を充填し45℃で緩やかに振とうさせながら酵素反応を行った。D-プシコースとD-アロースが7:3となる平衡状態に達した後に反応液を回収し、また新たな50%のD-プシコース水溶液を加え、この操作を酵素活性が無くなるまで繰り返した。11) 脱イオン処理 脱イオン処理にはカチオン交換樹脂(ダイアイオン SK1B)とアニオン交換樹脂(アンバーライト IRA-411)の樹脂を使用した。両樹脂を等比率で混合したものをカラムに詰め、反応後の溶液を流してイオンの除去を行った。12) D-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶化 生産された混合糖の溶液をエバポレータで95%以上に濃縮し、シロップを別の容器に移し28℃で1日放置した。D-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶化は今回が初めての試みなので種となる結晶が存在しないため、1つはそのまま放置して結晶化させ、一方はD-プシコースの粉末を少量加え放置した13) D-プシコースとD-アロースの混合糖の粉末化 結晶を乳鉢と乳棒を用いて適当な大きさに砕き、乾燥室で放置した。そして1日後、再び結晶を砕いて乾燥室に入れ、D-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶が粉末になるまでこの操作を繰り返した。 [実験結果]1) 組換え大腸菌の菌大量およびL-RhIの酵素活性 今回、10Lの培養を行ったところ、約100gの組換え大腸菌を得た。また粗酵素のL-RhIの活性は10LあたりD-プシコースに対して約5000Uであり、現在、我々はこの酵素活性の持つ固定化酵素でD-アロースを大量生産しており、同様にD-プシコースとD-アロースの混合糖も大量生産が可能である。2) D-プシコースからD-プシコースとD-アロースの混合糖の生産 今回、50%D-プシコース水溶液を基質にバッチ法にて反応させ、適宜サンプリングを行った結果、約14時間でD-プシコースとD-アロースが7:3の平衡状態に達した(図1)。そこで反応液を1日置きに交換し、D-プシコースとD-アロースの混合糖の生産を行った(図2)。3) D-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶化および粉末化 結晶化のため、D-プシコースとD-アロースの混合糖の溶液をエバポレータ(EYELA,Rotary Vacuum Evaporator N-N series)で糖度95%以上に濃縮し、得られたシロップを別の容器に移し結晶の種を入れて、あるいは何も入れずに室温で放置した。この混合糖の結晶化は今回が初めてであるため、結晶が存在せず種としてその結晶を加えることができない。そこで単体のD-プシコースの結晶を種として加えたものと何も入れずに放置したものと2通りの結晶化を試みた。その結果、両方とも結晶が見られ結晶化の速度がD-プシコースとD-フラクトースの混合糖よりも速かった。 また水をあまり取り込まずに結晶化するため、粉末にすることも容易であった。現在までに約200gのD-プシコースとD-アロースの混合糖の粉末結晶を生産することに成功した(図3)。 [要約および考察] L-RhI遺伝子を組み込んだ大腸菌JM109を大量培養し、L-RhIを大量に獲得した。酵素を部分精製し、固定化樹脂に固定化させ基質にD-プシコースを反応させD-プシコースとD-アロースの混合糖を得た。これをエバポレータで糖95%まで濃縮し、シャーレに移し28℃で自然乾燥を行ったところ、1日後に結晶ができ始め2日後にはすべてが結晶化した。また、できた結晶を乳鉢で細かくすりつぶし、粉末にすることにも成功し、現在までに約200gの粉末結晶を生産することに成功した。この混合糖の結晶はあまり水を取り込まずに結晶化するためには粉末化は容易であった。混合液の糖の割合はD-プシコースとD-アロースが7:3であり、結晶化しにくいD-プシコースのほうが多く含まれているにもかかわらず、これは非常に結晶化しやすい性質のD-アロースの性質が大きく影響しているか、D-プシコースとD-アロースの組み合わせによる何らかの結晶化の相乗効果を持っていると思われる。 また、D-プシコースとD-フラクトースの混合糖との大きな相違点は、D-プシコースとD-アロースの混合糖は結晶を種として加えなくても結晶化する結晶化のしやすさである。このことから液体の状態での利用も可能であり、結晶化して固体で利用する場合でも効率良く結晶を生産できるものと思われる。 本発明者らはD-アロースを年間に約10kgを生産している。このことから、混合糖の場合は年間に3倍の約30kgが生産可能ということに理論上はなる。ノンカロリーの甘味料や生理機能性食品としての利用が期待されているD-プシコースと、ガン細胞増殖抑制作用が認められているD-アロースの混合したものであるならば、その利用価値は非常に高いと思われる。 D-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶化条件の検討 実施例2では、D-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶がどのような組成で結晶化しているのかを目的とし結晶の構造を解析するため、また効率の良いD-プシコースとD-アロースの混合糖の生産のため、濃度の影響や結晶構造の違いを調べ、結晶の組成をHPLCで分析した。 [実験方法]1) 使用試薬 今回使用したD-プシコースとD-アロースの混合溶液および結晶は実施例1で生産したものを使用した。また単体のD-プシコースおよびD-アロースについては当研究室が生産したものを使用した。2) D-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶形の観察 生産されたD-プシコースとD-アロースの混合糖の水溶液をエバポレータによって98%まで濃縮したシロップ約20mlをシャーレに移した。移したシロップに結晶の粉末を種として加えず、そのまま28℃で放置した。1日後、結晶化した混合糖の結晶を実体顕微鏡で観察した。また、この結晶を単体のD-プシコースとD-アロースの結晶の形と比較するため、D-プシコースとD-アロースの粉末をそれぞれ水に溶解させ、同様の操作で結晶化を行い顕微鏡でそれぞれの結晶の形を観察した。3) 濃度に対する結晶化の影響 混合糖の溶液をエバポレータによって限界まで濃縮し、そのシロップを5本の25mlのコーニングチューブに20ml程度加え、それぞれ濃度が95%、90%、85%、80%(g/g)となるように水を加え濃度が均一になるようによく攪拌した。その後、一方は結晶の粉末を種として加えたもの、もう一方は何も加えずに28℃で1日放置し結晶の成長を比較した。4) HPLCを用いたD-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶の糖組成分析 D-プシコースとD-アロースの混合糖の糖濃度90%のシロップをコーニングチューブに入れ、結晶を種として少量加え、撹拌して28℃で放置した。すべてのシロップが結晶化する前に結晶を吸引ろ過によって分離した。そしてシロップと結晶を水で溶かしHPLCに供し、結晶、シロップの組成を比較した。またD-プシコースとD-アロースの比率が1:1のものも同様の条件で結晶化させ分離し結晶の組成をHPLCによって調べ、7:3のものと比較した。 [実験結果]1) D-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶形 D-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶は顕微鏡で観察の結果、図4のように棒状の単結晶として確認することができた。また、図5に示すように、D-プシコース:D-アロース=7:3の場合、得られる結晶形は棒状(厚さ10〜30μm、長さ500〜3000μm)であり、単体のD-プシコース(棒状、厚さ40〜50μm、長さ250〜300μm)とD-アロース(棒状、厚さ30〜50μm、長さ500〜800μm)の結晶とも構造を比較した結果、両者とも結晶の形は違っており、一種類の糖の結晶ではない可能性がある。D-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶は、時間が経つにつれて肉眼で形が観察できるほど結晶が成長する。今後、この結晶についてもX線結晶解析も行うため、大きな単結晶を獲得するための結晶化の検討を行っている。2) D-プシコースとD-アロースの混合糖とD-プシコースとD-アロースの結晶の比較 それぞれの結晶の顕微鏡写真および実際に測定した結晶の大きさを図5にまとめた。D-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶は前述のとおり、細長い棒状結晶であり、横幅は10~30μmで長さは長いもので3mmにもなり、D-プシコースやD-アロースほど幅は太くならずまた両者よりも縦に細長くなった。このため、D-プシコースとD-アロースの混合糖での結晶はD-プシコースあるいはD-アロースの単一の結晶ではなく混合結晶であることが示唆された。3) 濃度における結晶化の影響 D-プシコースとD-アロースの混合糖は結晶を種として加えなくても結晶化するすでに述べたが、具体的な濃度での結晶化の影響を調べた結果、90%以上で自然に放置しても結晶化がみられた(図6の(2))。また、結晶を加えるとさらに低い濃度の85%で結晶化した(図6の(1))。4) HPLCによる結晶の組成 D-プシコースとD-アロースの混合糖のシロップを1日放置した後の結晶が混在した溶液を吸引ろ過によって結晶部分と溶液とに分離した。この2つのサンプルと、結晶化前の溶液を4%となるように、イオン交換水で希釈しHPLCで分析した。D-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶の組成はD-プシコースとD-アロースの比がおよそ1:1から3:4の範囲での組成となった(図7)。溶液中では7:3とD-プシコースの割合が多いにも関わらず、結晶は溶液の組成比よりもD-アロースのほうが多く含まれていた。またD-プシコースとD-アロースが1:1の混合糖の結晶をHPLCでの分析の結果、D-プシコースとD-アロースの比がおよそ2:3であり同様の傾向が見られた(図8)。 [要約および考察] D-プシコースとD-アロースの混合糖の結晶形は、横幅10~30μm、長さ500μm~3000μmの細長い棒状結晶であり、結晶は1種類の単結晶であることが確認できた。また、単体のD-プシコースやD-アロースとは結晶形が異なっていた。これによりD-プシコースとD-アロースの混合糖での結晶はD-プシコースあるいはD-アロースの単一の結晶ではなく混合結晶である可能性があると推察される。 D-プシコースとD-アロースの混合糖は、プシコ希少糖とは対照的に結晶化が速いことは実施例1でも述べたが、具体的な結晶化濃度においては結晶を加えた場合で85%、加えなかった場合90%以上で結晶した。プシコ希少糖と最も大きな違いはD-プシコースとD-アロースの混合糖は結晶を加えなくても結晶化するほど結晶化しやすいということである。結晶の形は細長い棒状結晶で、D-プシコースとD-アロースのどちらの結晶にも類似しているとは言い難い。単体のD-アロースは非常に結晶化しやすい性質を持ち、60%程度の濃度で放置しておくと結晶化してしまうほどである。D-プシコースは結晶化しやすいとは言えないが、D-フルクトースほどではないため、この混合糖の状態であっても比較的結晶化しやすい要因だと考えられる。また、糖濃度が高くなると単結晶が大きく成長することが確認されたので、X線結晶構造解析のための単結晶の分離を試みている。 また、結晶の組成をHPLCで確認したところ、D-プシコースとD-アロースの組成はD-アロースが多く含まれていることがわかった。、D-プシコースとD-フラクトースの混合糖のように結晶化前と同じ比率で結晶化はしなかった。結晶化前の溶液中のD-アロースの割合はD-プシコースよりも50%以下であるにも関わらず、その結晶ではD-アロースが等量もしくはD-プシコースよりも割合が多くなる。一方、D-プシコースとD-アロースが1:1で混合した場合の結晶の組成比もD-プシコースとD-アロースが約2:3でありD-アロースが結晶に多く含まれていた。つまり、D-プシコースとD-アロースの混合糖が結晶化した場合、D-プシコースとD-アロースの比率がおよそ1:1から2:3の間で安定した結晶構造になるのではないかと考えられる。 このように混合している糖の溶解度などの物性に大きな差が表れると、その結晶の糖組成の要因は、その物性に大きく左右されるのではないかと考える。さらに濃度や温度の条件に関する結晶化の速度や水溶液中での糖の構造異性体の平衡状態などの要因が複雑に絡み合って結晶を形成している。現在、D-プシコースとともにD-アロースの水溶液中での構造異性体の平衡が明らかにされている(図9)。混合糖液の結晶化には未だ解明できない点が多いが、最近になり希少糖の結晶構造の解析や溶解度などの物理化学的諸性質の研究が進み、希少糖の様々な物性も明らかになってきたため、今後混合糖の結晶についても研究が進んでいくであろうことが期待される。 D−プシコースとD−アロースとの組成比が約1:1乃至2:3である細長い棒状結晶のD−プシコースおよびD−アロースの糖質複合体結晶。 請求項1の糖質複合体結晶を製造する方法であって、D−プシコースおよびD−アロースを含有する糖液から、D−プシコースおよびD−アロースを含有する複合体結晶性糖質を単体のD−プシコースやD−アロースとは結晶形が異なる細長い棒状結晶として生成せしめ、これを採取することを特徴とする方法。 糖質複合体結晶を生成させる際の糖液の溶媒が水、または、水とエタノールとの混合液であることを特徴とする請求項2の糖質複合体結晶を製造する方法。 D-プシコースおよびD-アロースを含有する糖液が、D-プシコースにL-ラムノースイソメラーゼを作用させD-アロースに変換する工程を含む製造方法で得られた糖液であることを特徴とする請求項2または3の糖質複合体結晶を製造する方法。 L-ラムノースイソメラーゼがPseudomonas stutzerii に属する菌株(IPOD FERM BP-08593)由来のものである請求項4の糖質複合体結晶を製造する方法。