生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_オルガノシロキサンの嫌気的生物学的分解のための方法
出願番号:2007502294
年次:2007
IPC分類:C02F 3/28,B09B 3/00,C12N 1/00


特許情報キャッシュ

アントン カンドゥッシオ マンフレート アマン ギュンター ヴィヒ JP 2007527792 公表特許公報(A) 20071004 2007502294 20050310 オルガノシロキサンの嫌気的生物学的分解のための方法 ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト 390008969 Wacker Chemie AG 矢野 敏雄 100061815 山崎 利臣 100094798 久野 琢也 100099483 杉本 博司 100110593 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 100114890 ラインハルト・アインゼル 230100044 アントン カンドゥッシオ マンフレート アマン ギュンター ヴィヒ DE 102004011993.7 20040311 C02F 3/28 20060101AFI20070907BHJP B09B 3/00 20060101ALI20070907BHJP C12N 1/00 20060101ALN20070907BHJP JPC02F3/28 ZB09B3/00 CC12N1/00 R AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW EP2005002546 20050310 WO2005087939 20050922 15 20060911 4B065 4D004 4D040 4B065AA99X 4B065BA22 4B065BB04 4B065BB08 4B065BC14 4B065CA56 4D004AA41 4D004AB05 4D004AC04 4D004CA18 4D004CC11 4D004CC15 4D004CC20 4D004DA03 4D004DA06 4D004DA10 4D004DA20 4D040AA01 4D040AA31 4D040AA61 4D040AA63 本発明は、線状または環状のポリオルガノシロキサン、たとえばポリジメチルシロキサン(PDMS)またはオルガノ官能性シロキサン、オルガノシラン、特にオルガノシラノールおよび化学的解重合を介してこれらの化合物から形成された断片の嫌気的分解に関する。 年間、−(Si−O−Si)−繰り返し単位をベースとするポリジメチルシロキサン(PDMS)に基づく、数10万トンのポリマーが製造されている。これら多量のシロキサンは、使用時または使用後(繊維工業、洗剤、製紙工業、化粧品構造、建築、製薬、農業、石油等)に、環境に達する。シロキサンは、天然に生じることのないポリマーである。以前は、Si−C−化合物の、珪素原子と炭素原子との間にメチル基を形成するかまたは分割する、生物学的方法は知られていなかった。廃水、たとえば地域の浄水場または化学工業の廃水処理施設での廃水、土壌、堆積物、デカントまたは他の環境コンパートメント中の、生物学的シロキサン分解のための方法については知られていない。 Gravierら(2003)は、要約すると、環境においてシロキサンポリマーが化学的に分解されることを記載している。これは、高分子シロキサンの堆積が生じないばかりか、本質的に、水または陸の環境における加水分解によって、オルガノシラノール末端オリゴマーに分解されるということである。これらのオルガノシラノールおよび低分子量PDMS−断片ならびに環式シロキサンは、大気中に蒸発し、したがって最終的には、ここで存在するヒドロキシル基によって、ケイ酸塩、CO2および水に酸化される。 高分子量ポリオルガノシロキサンは、水溶性ではない。水系または廃水中において、相分離が生じる。ポリオルガノシロキサンは、本質的に水中で粒子状成分として存在するか、あるいは、比重量<1.0g/cm3により特定されるシロキサンフィルムを表面上に形成する。ポリオルガノシロキサンは、浄水場で、さらに好気的生物学的工程が存在する場合には、それにより、腐食または分解することなく、それどころか、泥漿の固体相中で、ほぼ定量的な結果となる。このような泥土の研究は、高分子量シロキサンが、ここで、その後に平均して20〜30日間に亘って解重合され(Gravierら、2003)、かつ、その後に、前記のように大気と接触し、ここで酸化されることを示す。 GrassetおよびPalla(US6020184)は、さらに水系において、シロキサンポリマーの分解が生じうることを記載している。さらに、水性ポリオルガノシロキサン懸濁液を、生物学的に利用可能なCo物質、たとえばグルコースと混合し、かつ、ファナコエート(Phanaerochaete)属またはアスペルギルス属の菌類を接種し、かつ好気的にインキュベートした。水系中で60日間に亘って、ポリマーPDMSの80%までが分解する条件下でおこなった。使用される菌類は、グルコースをはじめのうちは全く酸化せず、それどことか、有機酸を生成することが知られている。相当するpH値2.5〜4.5で、PDMSの低分子成分への酸加水分解が生じる。PDMSの直接的な生物学的分解については、記載されていない。 PDMSの揮発性低分子分解生成物が、主に大気中で完全に酸化され、好気的条件下での生物学的分解、化学的分解の組み合わせがさらに記載されているが(Gravier et al 2003)、しかしながら、これは実際意味のないことであり、それというのも、揮発性オルガノ珪素の蒸発速度は、生物学的分解速度よりも2〜20倍大きいためである。したがって、低分子量オルガノ珪素の堆積は、表面であって、良好に空気にさらされる土壌および堆積物中に生じることはなく、深い堆積層および空気にさらされることのない土壌中で、このような化合物の堆積が生じうる。 本発明の課題は、ケイ素炭素単結合を有する物質、好ましくはポリオルガノシロキサン、たとえばPDMSまたはオルガノ官能性シロキサン、または、オルガノシラン、特にオルガノシラノールまたはこれらから化学的解重合を介して形成された断片を、生物学的に分解することができる方法を提供することである。 本発明の課題は、珪素炭素単結合を有する物質と微生物集団とからなる混合物を、嫌気的または微好気的条件下で、別の電子受容体を添加して、インキュベートすることを特徴とする方法によって解決される。 珪素炭素単結合を有する物質は、好ましくは、ポリオルガノシロキサン、オルガノ官能性シロキサン、オルガノシランまたはこれらの化合物から形成された断片を含む物質である。好ましくは、物質は液体または固体である。 本発明による方法を用いて、特に分解される化合物としては、好ましくは式(1〜3)の化合物である。(1)HO(SiR2O)pH その際、p≧1(2)R3SiO(SiR2O)qSiR3 その際、q≧0(3)(SiR2O)r その際、r=3〜10、または、式HOR2SiO1/2、R3SiO1/2、R2SiO、RSi(OH)O、RSiO3/2およびHOSiO3/2の単位からの混合ポリマーであるか、あるいは、式[R3SiO1/2]および[SiO4/2]の単位からのオルガノシロキサン樹脂であり、この場合、これらは、さらに付加的にSi−結合されたOH基を含有していてもよく、その際、R、R2およびR3はそれぞれ同一または異なっていてもよく、かつ、一価の、線状または環状の、分枝または非分枝の、場合によっては置換された炭化水素基を意味するものであってもよい。 別の電子受容体としては、酸素以外の電子受容体であると理解される。この電子受容体は、有機化合物または無機化合物であってもよい。さらに、これは、Si−R結合(その際、Rは一価の有機基であり、好ましくは一価のアルキル基またはアリール基である)の酸化の際に、微生物集団から供与される電子を、受容するのに役立ち、これによって、微生物集団は、好気的呼吸の範囲で、物質酸化からのエネルギーを得ることが可能である。有機的な別の電子受容体は、たとえば、フマル酸塩またはコハク酸塩である。無機的な別の電子受容体は、たとえば、酸化鉄イオン、硫酸塩または硝酸塩である。好ましくは、本発明による方法は、硫酸塩または硝酸塩を使用し、特に好ましくは硝酸塩を使用する。 これらの電子受容体は、混合物の形で、好ましくは0.1〜100mMの濃度である。特に好ましくは、電子受容体が、1〜100mMの濃度で存在するよう添加する。 微好気的条件下とは、混合物中に5%未満の遊離または溶解された酸素が存在する条件であるとされる。好ましくは、混合物中に1%未満の遊離または溶解された酸素が存在する条件であるとされる。特に好ましくは、混合物中に250ppm未満の遊離または溶解された酸素が存在する条件であるとされる。 微好気的または嫌気的条件は、たとえば技術的方法、たとえば残留酸素のガス交換または化学的消費によって達成することができる。好ましくは、存在する酸素を、存在する微生物集団で消費し、かつさらなる酸素供給を低減することによって、微好気性または嫌気性条件で製造する。特に好ましくは、微好気的条件または嫌気的条件を、本発明による方法によって、密閉容器中で、たとえば浄水場の発酵塔(Faulturm)で実施することにより、達成する。 微生物集団は、好ましくは、一の集団であり、たとえば、泥漿または浄水場中でか、あるいは、土壌堆積物中に存在していてもよい。好ましくは、微生物集団は、嫌気性条件下で増殖し、特に好ましくは、この条件下で最適な増殖を示す。 本発明による方法において、微生物集団は外部から添加されてもよいか、あるいは、すでに混合物中(泥漿/土壌等)に存在する微生物を使用することができる。 本発明による方法は、US6020184で開示された方法とは対照的に、さらなる酸化可能な物質(補助物質)、たとえば炭水化物、たとえばグルコースを必要とするものではない。 酸化可能な補助物質を使用しない方法が好ましい。特に好ましくは、バッチ中に補助物質が存在せず、よって、バッチが前記成分からなる、このような方法である。方法は、好ましくは20℃〜80℃、さらに好ましくは30℃〜70℃、特に好ましくは40℃〜60℃で実施する。 インキュベーションは、好ましくは、1〜200時間、さらに好ましくは10〜150時間、特に好ましくは24〜100時間に亘って実施する。 本発明による方法は、適したポリオルガノシロキサン、たとえばPDMSまたはオルガノ官能性シロキサンおよびオルガノシラン、特にオルガノシラノールを連続的に(たとえば、新鮮な基質の持続的供給と同時の、分解された生成物の搬出)または回分的に(たとえば、バッチ中で、新鮮な基質のさらなる供給なしに)分解する。 本発明による方法において、ポリオルガノシロキサンまたはオルガノシランは、嫌気的分解前に、たとえば、酸または塩基での加水分解的処理によって、予め加水分解することができる。 本発明による方法は、たとえば浄水場で、堆積物中で、あるいは、他の水性または陸上のコンパートメントで正常に機能する。したがって、本発明による方法は、たとえば嫌気的工程で、廃水処理施設で使用することができるか、あるいは、陸上または水中の酸素の乏しいまたは酸素不含のコンパートメント中に存在するポリオルガノシロキサン、またはオルガノシランまたはこれらから化学的解重合を介して形成された断片を分解するために使用することができる。 次の実施例は、本発明を更に詳説するために用いられる。 実施例 例1:ジメチルシランジオール(DMSD)の分解地域の浄水場からの泥漿は、酸素不含の条件下で(窒素含有試験容器)運転する範囲から採取した。妨げとなる物質を分離するために、細胞塊を、5倍容量の酸素不含の緩衝液(50mmol/l リン酸カリウム pH6.8)中に懸濁し、かつ遠心分離した。酸素不含の溶液は、溶液の脱ガスおよびガス状の窒素での洗浄によって製造された。 工程(懸濁/遠心分離)を3回に亘って繰り返す。 洗浄された酸素不含の細胞塊を、培地を含む振とうフラスコ中に、酸素の排除下で移す(100mlの培地当たり10gの湿性細胞塊)。コントロールバッチに関しては、泥漿をオートクレーブにかけ、それにより不活性化した。培養は、無機培地(SM1)中で、複合栄養素を添加することなく実施した。培地は、以下のように組成された: 電子受容体として、さらに5g/lのKNO3を添加した。単一の炭素源として、引き続いてこの培地に、ジメチルシランジオール(水溶性、モル質量92g/l)を添加した。バッチ中の濃度は、1mmol/lに達した。培養は、嫌気的条件下で、ロータリシェーカー上で、30℃の温度で、実施した。全培養期間は11日間であった。培地の試料を、規則的な間隔で採取し、かつ直ちに分析した。試料の採取は、同様に嫌気的条件下(Glove Box, N2雰囲気)で、振とうフラスコから直接実施した。 分析:基質としてDSMDを用いる試験において、水相中のDMSD濃度の変動を、プロトン核磁気共鳴スペクトル法(1H−NMR)を用いて測定した。よく適しているのは、この場合、0.164ppmの強力なシグナルである。培養バッチからの試料(0.9ml)を、さらに直接的に(これを充填することにより)容器から採取し、標準で置き換え(D20中のTSP;TSP=3−(トリメチルシリル)−プロピオン酸−D4−ナトリウム塩)、かつ、スペクトロメーターで分析した。公知の標準シグナルにより、DMSDシグナルを、適切に定量化することができた。 コントロールバッチ(−9%、11日間)とは対照的に、泥漿を用いて嫌気的にインキュベートされたバッチ中のDMAD量の顕著な減少が示された(−39%、11日間)。 例2:オクタメチルシクロシロキサン(D4)の分解試験は、例1にしたがって実施した。それぞれ、泥漿を含む5個のフラスコおよび不活性化された泥漿を含む5個のフラスコを準備した。炭素源として、培地にオクタメチルシクロシロキサン(D4)を添加した。シロキサンは、水とは不混和性であり、まずは培養表面上での油性フィルムを形成した。培養期間が進むにしたがって、シロキサンオイルは、培養中で乳化した。より大きい細胞凝集体が形成された。 培養は、例1にしたがって、5g/lのKNO3を電子受容体として含む前記無機培地(SM1)中で実施した。単一の炭素源として、オクタメチルシクロシロキサン(D4)のバッチを添加した(1ml/100ml培地)。種々の長さのインキュベーションの後に、バッチのD4含量を測定した。 D4の分析全バッチを、50mlのペンタンを用いて3回に亘って抽出し、相分離を容易にするために、そのつど遠心分離した。ペンタン相を精製し、かつ、D4を、直接的に、ガスクロマトグラフィー(装置hp5890−1i;Hewlett Packard)を用いて直接、定量的に測定した。ガスクロクロマトグラフィー測定を、30mのキャピィラリーを用いて(Hewlett Packard HP-1, Nr 59026323)を用いて、担体ガスとしての窒素を用いて、実施した。 温度プログラム:50℃(5分)〜270℃、その際、20℃/分。検出は、FIDを用いて300℃でおこなった。得られたシグナルピークの定量化は、相当する標準溶液を用いて実施した。 コントロールバッチ(−6.2%、11日間)とは対照的に、泥漿と一緒に、嫌気的にインキュベートされたバッチ中の、D4量の顕著な減少が示された(16.3%、11日間)。 珪素炭素単結合を有する物質の生物学的分解のための方法において、物質および微生物集団からの混合物を、嫌気的または微好気的条件下で、別の電子受容体の添加下でインキュベートすることを特徴とする、珪素炭素単結合を有する物質の生物学的分解のための方法。 珪素炭素単結合を有する物質が、ポリオルガノシロキサン、オルガノ官能性シロキサン、オルガノシラノールまたはこれらの断片を含む物質である、請求項1に記載の方法。 別の電子受容体が、フマル酸塩、コハク酸塩、酸化鉄イオン、硫酸塩または硝酸塩から成る群から選択される、請求項1または2に記載の方法。 嫌気的または微好気的条件を、5%未満の遊離または溶解された酸素がバッチ中に存在するよう選択する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。 1%未満、好ましくは250ppm未満の遊離または溶解された酸素がバッチ中に存在する、請求項4に記載の方法。 別の電子受容体を、0.1〜100mMの濃度で使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。 20〜80℃の温度、好ましくは30〜70℃の温度、特に好ましくは40〜60℃の温度で実施する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。 インキュベーションを、1〜200時間、好ましくは10〜150時間、特に好ましくは24〜100時間に亘って実施する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。 本発明は、珪素炭素単結合を有する物質の生物学的分解のための方法に関し、この方法は、物質と微生物集団との混合物を、嫌気的または微好気的条件下で、別の電子受容体の添加下でインキュベートすることを特徴とする。


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