タイトル: | 特許公報(B2)_置換1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体 |
出願番号: | 2007501172 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07D 217/18,A61K 31/472,C07D 401/06,A61K 31/4725,A61P 25/22,A61P 25/24,A61P 15/00,A61P 25/18,A61P 25/28,A61P 25/14,A61P 3/10,A61P 3/04,A61P 1/08,A61P 11/06,A61P 25/16,A61P 5/06,A61P 5/02,A61P 35/00,A61P 1/12,A61P 1/06,A61P 1/04,A61P 19/10,A61P 9/12,A61P 13/10,A61P 13/08,A61P 13/12,A61P 9/10,A61P 25/20,A61P 3/00,A61P 1/00,A61P 9/00,A61P 25/08,A61P 11/00,A61P 37/08,A61P 19/02,A61P 25/04 |
ハメッド アイサオウイ マーチン クローゼル ウォルター フィシュリ ラルフ コバースタイン トーマス ウィーラー JP 4094050 特許公報(B2) 20080314 2007501172 20050223 置換1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体 アクテリオン ファーマシューティカルズ リミテッド 500226786 Actelion Pharmaceuticals Ltd 市之瀬 宮夫 100076141 ハメッド アイサオウイ マーチン クローゼル ウォルター フィシュリ ラルフ コバースタイン トーマス ウィーラー EP PCT/EP2004/002020 20040301 20080604 C07D 217/18 20060101AFI20080515BHJP A61K 31/472 20060101ALI20080515BHJP C07D 401/06 20060101ALI20080515BHJP A61K 31/4725 20060101ALI20080515BHJP A61P 25/22 20060101ALI20080515BHJP A61P 25/24 20060101ALI20080515BHJP A61P 15/00 20060101ALI20080515BHJP A61P 25/18 20060101ALI20080515BHJP A61P 25/28 20060101ALI20080515BHJP A61P 25/14 20060101ALI20080515BHJP A61P 3/10 20060101ALI20080515BHJP A61P 3/04 20060101ALI20080515BHJP A61P 1/08 20060101ALI20080515BHJP A61P 11/06 20060101ALI20080515BHJP A61P 25/16 20060101ALI20080515BHJP A61P 5/06 20060101ALI20080515BHJP A61P 5/02 20060101ALI20080515BHJP A61P 35/00 20060101ALI20080515BHJP A61P 1/12 20060101ALI20080515BHJP A61P 1/06 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3/04 A61P 3/10 A61P 5/02 A61P 5/06 A61P 9/00 A61P 9/10 A61P 9/12 A61P 11/00 A61P 11/06 A61P 13/08 A61P 13/10 A61P 13/12 A61P 15/00 A61P 19/02 A61P 19/10 A61P 25/04 A61P 25/08 A61P 25/14 A61P 25/16 A61P 25/18 A61P 25/20 A61P 25/22 A61P 25/24 A61P 25/28 A61P 35/00 A61P 37/08 C07D 401/06 CAplus(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN) 特表2003−527374(JP,A) 9 EP2005001879 20050223 WO2005118548 20051215 2007525531 20070906 35 20061017 新留 素子本発明は、一般式(I)で示される新規な置換1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体および医薬としてのこれらの使用に関する。本発明はまた、一般式(I)で示される化合物を1種または複数含有する医薬組成物、特にオレキシン受容体拮抗薬として、一般式(I)で示される化合物の睡眠障害の予防または治療のための使用に関する。オレキシン類(オレキシンAすなわちOX−AおよびオレキシンBすなわちOX−B)は、二つの研究グループによって1998年に発見された新規な神経ペプチド類であり、オレキシンAは、33個のアミノ酸ペプチドからなり、オレキシンBは、28個のアミノ酸ペプチドからなる(非特許文献1参照)。オレキシン類は、外側視床下部の離散性神経細胞内で産生され、G蛋白質共役型受容体(OX1及びOX2受容体)に結合する。オレキシン−1受容体(OX1)はOX−Aに対して選択的であり、オレキシン−2受容体(OX2)はOX−BだけでなくOX−Aに結合することができる。オレキシン類は、ラットにおいて食物消費を刺激し、食行動を調節する中枢フィードバック機構におけるこれらペプチド類のメディエーターとしての生理学的役割を示唆している(非特許文献1参照)。他方、オレキシン類は睡眠状態および覚醒状態を調節しており、ナルコレプシー(睡眠発作)患者に対する潜在的な新規治療への道を開くものであるとも、提唱されている(非特許文献2)。オレキシン受容体は哺乳動物の脳に見出され、抑鬱;不安;嗜癖;強迫性障害;情動神経症;抑鬱神経症;不安神経症;気分変調障害;気分障害;性機能障害;心理性的障害;性障害;精神分裂病;躁鬱病;譫妄;痴呆;ハンチントン病、トウレット症候群などの重篤な精神発達障害およびジスキネジア(運動機能異常);摂食障害;睡眠障害;心臓血管障害;糖尿病;食欲/味覚障害;悪心/嘔吐;喘息;パーキンソン病;クッシング症候群/クッシング病;好塩基性細胞腺腫;プロラクチノーマ;高プロラクチン血症;下垂体機能低下症;下垂体腫瘍/腺腫;視床下部疾患;炎症性腸疾患;胃運動機能異常(ジスキネジア);胃潰瘍;フレーリヒ症候群;下垂体疾患;視床下部性腺機能低下;カルマン症候群(嗅覚脱失、嗅覚減退);機能性または心因性無月経;下垂体機能低下;視床下部性甲状機能低下;視床下部・副腎機能不全;特発性高プロラクチン血症;成長ホルモン欠乏という形の視床下部障害;特発性発育不全;小人症;巨人症;先端巨大症;生物リズムおよび概日リズム障害;神経障害、神経障害性疼痛、下肢静止不能症候群などの疾患に関連した睡眠障害;心・肺疾患、急性・鬱血性心不全;低血圧;高血圧;尿閉;骨粗鬆症;狭心症;心筋梗塞;虚血性または出血性発作;クモ膜下出血;潰瘍;アレルギー;良性前立腺肥大;慢性腎不全;腎疾患;耐糖能障害;偏頭痛;痛覚過敏;疼痛;痛覚過敏、灼熱痛、異痛症などの疼痛感受性増強または過大;急性疼痛;熱傷痛;非定型顔面痛;神経障害性疼痛;背部痛;複合局所性疼痛症候群IおよびII;関節炎性疼痛;スポーツ外傷痛;感染、たとえばHIVに関連した疼痛、化学療法後の疼痛;発作後疼痛;術後痛;神経痛;過敏腸管症候群、偏頭痛、狭心症などの内臓痛に関連した状態;膀胱尿失禁、たとえば切迫尿失禁;麻薬耐性または麻薬離脱症状(禁断症状);睡眠時無呼吸;ナルコレプシー;不眠;錯眠;および脱抑制・痴呆・パーキンソン病・筋萎縮複合症などの疾病分類学的単位を包含する神経変性障害;淡蒼球・橋・黒質変性癲癇;発作障害ならびに一般のオレキシン系機能障害に関連する疾患などの病理学に多くの密接な関係をもっている可能性がある。本発明は、置換1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体を提供し、これらはヒトオレキシン受容体の非ペプチド性拮抗薬である。これらの化合物は、例えば摂食障害または睡眠障害の治療における利用可能性を有している。今まで、幾つかの低分子量化合物は、特に、OX1またはOX2のどちらか、あるいは同時に両方の受容体に拮抗する能力を有することが知られている。いくつかの特許出願において、例えばスミスクライン・ビーチャムは、OX1 の選択的拮抗薬として、フェニル尿素、フェニルチオ尿素およびシアナミド誘導体を報告している(特許文献1、2、3参照)。さらに最近では、スミスクライン・ビーチャムは、かれらの特許出願において、2−アミノ−メチルピペリジン誘導体(特許文献4参照)、3−アミノメチル−モルホリン誘導体(特許文献5参照)およびN−アロイル環状アミン類(特許文献6、7および8参照)をオレキシン受容体拮抗薬として提案した。萬有製薬は、特許文献9にN−アシルテトラヒドロイソキノリン誘導体を開示している。新規ベンズアゼピン誘導体などのその他のオレキシン受容体拮抗薬が、特許文献10に開示されている。本出願人は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体、および医薬組成物の製剤における活性成分としてそれらの使用を特許請求している(特許文献11参照)。さらに、強力なオレキシン受容体拮抗薬としての1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体の最も重要な最適化のために、溶液相化学を使用することを報告している(非特許文献3)。治療期間中に血漿中の薬物濃度が適切に調節されることが治療における重要な側面の一つであることはよく知られている。この調節のための非常に重要なメカニズムの一つは、チトクロームP450(CYP)酵素類による薬物の酸化である。 CYP酵素類による薬物の酸化は、望ましい治療上の効能との関連から適切なものであるべきであり、CYP酵素の高度の阻害は回避されるべきである。これは、薬物間相互作用、すなわち、あるCYP酵素のある薬物による阻害によって他の薬物の血漿中の濃度が上昇するという問題に起因する。主たる薬物代謝性CYP450類は、CYP1A2, CYP2C9, CYP2C19, CYP2D6, CYP2E1および全CYP酵素の約30%を占めるCYP3A4である。多くの薬物は、CYP3A4によって変換され、若干の薬物はこの特異的なチトクローム以外の代謝経路をもたない。その結果、ある化学物質が候補薬物となるためには、CYP3A4による阻害が低いことが絶対的に重要である。今回、本発明の化合物がCYP3A4に対して低い親和性をもつことが見出された。 さらに,これらの化合物が経口投与後に活性であることも認められた。 それゆえ、本発明の化合物は、たとえば摂食障害、睡眠障害などの疾患の治療に有用である。T. Sakuraiら,Cell, 1998年, 92巻, 573-585頁R.M. Chemelliら,Cell, 1999年, 98巻, 437-451頁Chimia, 2003年, 57巻, 1-6頁WO 99/09024WO 00/47576WO 00/47580WO 01/96302WO 02/44172WO 02/090355WO 03/002559WO 03/002561WO 01/85693WO 02/051838WO 01/68609以下のパラグラフは、本発明の種々の化合物の化学的成分部分の定義を述べるものであるが、他の明示的に述べた定義によってより広い定義が与えられない限り、本明細書および特許請求の範囲全体に一律に適用されるものとする。用語の「アルキル」は、 単独でまたは他の基と組み合わせて, 1〜6個の炭素原子をもつ直鎖または分岐鎖のアルキル基, 好ましくは1〜4個の炭素原子をもつ直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。 直鎖および分岐鎖のC1-C6 アルキル基の例は、メチル, エチル、 プロピル、 イソプロピル、 ブチル、 sec-ブチル、 イソブチル、 tert-ブチル、 ペンチル、 ヘキシル、 異性体ペンチル、 異性体ヘキシルであり、 好ましくはメチル、 エチル、 プロピル、 イソプロピル、 ブチル、 sec-ブチル、 イソブチルまたはtert-ブチルである。用語の「アルコキシ」は、 単独でまたは他の基と組み合わせて、 R-O-基を意味し、ここで Rは、上記で定義したと同じアルキル基であり、たとえば、 メトキシ、 エトキシ、 n-プロポキシ、 イソプロポキシ、 n-ブトキシ、 イソブトキシ、 sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどであり、 好ましくはメトキシおよびエトキシである。「薬理学的に許容可能な塩」なる表現は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、クエン酸、蟻酸、酢酸、マレイン酸、酒石酸、フマル酸、安息香酸、パモン酸、ステアリン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、トリフルオロ酢酸等の無機酸または有機酸と、または式(I)の化合物が本質的に酸性である場合、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基のような無機塩基と塩を形成して、これらの生体に対して非毒性の塩を包含する。薬理学的に許容可能な塩のその他の例については、文献「Salt selection for basic drugs, Int. J. Pharm. (1986), 33, 201-217」に記載されている。塩を形成する基は、塩基性または酸性の性質を有する基またはラジカルである。少なくとも一個の塩基性基または少なくとも一個の塩基性ラジカル、例えば、アミノ、ペプチド結合を形成しない第二アミノ基またはピリジルラジカルを有する化合物は、例えば無機酸と酸付加塩を形成することができる。いくつかの塩基性基が存在する場合は、モノ-またはポリ-酸付加塩を形成することが可能である。カルボキシ基またはフェノール性水酸基などの酸性基を有する化合物は、金属塩またはアンモニウム塩を形成することができる。前記金属塩としては、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩があり、また、前記アンモニウム塩としては、アンモニアまたは好適な有機アミン類とのアンモニウム塩がある。また、前記有機アミン類としては、第三級モノアミン類、例えばトリエチルアミンまたはトリ-(2-ヒドロキシ-エチル)-アミン、 またはヘテロ環塩基、 例えばN-エチルピペリジンまたはN,N'-ジメチルピペラジンなどがある。塩の混合物も可能である。酸性および塩基性の基を有する化合物は分子内塩を形成することができる。化合物を中間体としてさらに用いる場合だけでなく、単離または精製のために薬理学的に許容できない塩、例えば、ピクリン酸塩を用いることも可能である。薬理学的に許容可能な塩で非毒性のもののみを治療のために用いることができる。しかしながら、これらの塩類はそれゆえに好ましい。本発明の第1の実施態様は下記一般式(I)の新規な置換1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体からなる:式中R1 および R2 は、独立に、水素またはC1-C4 アルコキシを表し;R3 は、C1-C6-アルキルを表し;X は、-CH- または窒素原子を表す。式Iの化合物、並びにその光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、光学的に純粋なジアステレオアイソマー、ジアステレオアイソマーの混合物、ジアステレオアイソマーのラセミ体、ジアステレオアイソマーのラセミ体混合物、それらのメソ形、および薬理学的に許容可能な塩が本発明に含まれる。一般式(I)の化合物についてのいかなる言及も、立体配置異性体、ラセミ体などのエナンチオマーの混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体、およびジアステレオマーラセミ体の混合物、並びに塩、とりわけ、薬理学的に許容可能な塩について、適宜かつ便宜的に、同様に言及しているものと理解すべきである。本発明はまた一般式(I)の化合物の溶媒和コンプレックスを包含する。この溶媒和は、製造工程の過程で生じることができ、あるいは、例えば、最初一般式(I)の無水の状態にある化合物の吸湿性の結果として別に生じることができる。本発明は、さらに、いろいろな形態学上の形態、例えば、一般式(I)の化合物、それらの塩および溶媒和コンプレックスの結晶形を包含する。とりわけ、特定の異形体(heteromorphs)は、それぞれ異なった溶解性、安定度プロフィール等を示すことができ、これらはすべて本発明の範囲に含まれる。好ましい置換1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体は、R1およびR2の両方がC1-C4 アルコキシ基、 とりわけメトキシ基を表す誘導体である。本発明の好ましい実施態様では、Xは-CH-を表す。別の好ましい実施態様では、Xは窒素原子を表す。本発明の特に好ましい実施態様では、R1 および R2 はメトキシ基を表し、 Xは-CH-を表し、R3 はC1-C6-アルキルを表す。好ましい化合物の例は下記の化合物からなるグループから選ばれる:2-{6,7-ジメトキシ-1- [2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-N-メチル-2-フェニル-アセトアミド;2-{6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-N-メチル-2-フェニル-アセトアミド。一般式 (I) に基づく化合物は、次のものからなるグループから選ばれる疾患の予防または治療のための医薬の調製に有用である:抑鬱;不安;嗜癖;強迫性障害;情動神経症;抑鬱神経症;不安神経症;気分変調障害;気分障害;性機能障害;心理性的障害;精神分裂病;躁鬱病;譫妄;痴呆;ハンチントン病、トウレット症候群などの重篤な精神発達障害およびジスキネジア(運動機能異常);糖尿病;食欲/味覚障害;悪心/嘔吐;喘息;パーキンソン病;クッシング症候群/クッシング病;好塩基性細胞腺腫;プロラクチノーマ;高プロラクチン血症;下垂体機能低下;下垂体腫瘍/腺腫;視床下部疾患;炎症性腸疾患;胃運動機能異常(ジスキネジア);胃潰瘍;フレーリヒ症候群;下垂体疾患;視床下部性生殖機能低下;カルマン症候群(嗅覚脱失、嗅覚減退);機能性または心因性無月経;視床下部甲状腺機能低下;視床下部・副腎機能不全;特発性高プロラクチン血症;成長ホルモン欠乏という形の視床下部障害;特発性発育不全;小人症;巨人症;先端巨大症;生物リズムおよび概日リズム障害;神経障害、神経障害性疼痛、下肢静止不能症候群などの疾患に関連した睡眠障害;心・肺疾患、急性・鬱血性心不全;低血圧;高血圧;尿閉;骨粗鬆症;狭心症;心筋梗塞;虚血性または出血性発作;クモ膜下出血;潰瘍;アレルギー;良性前立腺肥大;慢性腎不全;腎疾患;耐糖能障害;偏頭痛;疼痛;痛覚過敏、灼熱痛、異痛症などの疼痛感受性増強または過大;急性疼痛;熱傷痛;非定型顔面痛;神経障害性疼痛;背部痛;複合局所性疼痛症候群IおよびII;関節炎性疼痛;スポーツ外傷痛;感染、たとえばHIVに関連した疼痛、化学療法後の疼痛;発作後疼痛;術後痛;神経痛;過敏腸管症候群、偏頭痛、狭心症などの内臓痛に関連した状態;膀胱尿失禁、たとえば切迫尿失禁;麻薬耐性または麻薬離脱症状(禁断症状);睡眠障害;摂食障害;心臓血管疾患;神経変性障害;睡眠時無呼吸;ナルコレプシー;不眠;錯眠;および脱抑制・痴呆・パーキンソン病・筋萎縮複合症などの疾病分類学的単位を包含する神経変性障害;淡蒼球・橋・黒質変性癲癇;発作障害ならびに一般のオレキシン系機能障害に関連するその他の疾患。一般式 (I)の化合物は、摂食障害および睡眠障害の群から選ばれる疾患または障害の治療用に特に適切である。摂食障害は、代謝機能不全; 食欲調節不全; 強迫的肥満; 嘔吐・過食または神経性食欲不振症を含むものとして定義できる。この摂食の病理学的変形は、食欲障害(食物に対する誘惑または嫌悪);エネルギーバランスの変調(摂取/消費)、食品品質についての知覚障害(高脂肪または高炭水化物、良味覚);食物供与(availability)障害(無制限節食または絶食)または水分平衡障害から生じるかもしれない。睡眠障害は、不眠、ナルコレプシーおよび過眠症、睡眠関連失調症、下肢静止不能症候群、睡眠時無呼吸症、時差症候群、交代勤務睡眠障害、睡眠相遅延症候群、睡眠相前進症候群を含む。各種不眠は、加齢と関係付けられる睡眠障害;慢性不眠の間歇治療;環境による一過性の不眠症(新しい環境、騒音)またはストレス;悲嘆;疼痛または病気による短期間の不眠を含むものとして定義される。本発明の更なる目的は、一般式(I)で示される少なくとも1種の化合物および薬理学的に許容可能な担体物質を含む医薬組成物にある。本発明の別の目的は、摂食障害または睡眠障害などのオレキシン受容体に関連する疾患を治療または予防のために、一般式(I)で示される1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体の治療に効果的な用量を患者に投与することを含む。本発明の好ましい実施態様では、この用量は、一日当たり1 mg〜1000 mg 、 特に一日当たり2 mg 〜500 mg 、もっと好ましくは一日当たり5 mg〜200 mgを含む。本発明は、また、それ自体既知の方法で、一般式(I)で示される1種または複数の活性成分を担体物質と混合することによって、一般式(I)で示される1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体を含む医薬組成物を調製する方法を含む。一般式(I)の化合物およびそれらの薬理学的に許容可能な塩は、医薬品(例えば医薬製剤の形態で)として使用できる。これらの医薬製剤は、内服的に、例えば、経口的に(例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、硬・軟質ゼラチンカプセル、溶液、乳剤または縣濁液の形態で)、鼻腔内に(例えば、鼻腔内スプレーの形態で)または直腸内(例えば、坐剤の形態で)に投与できる。しかし、その投与は、また非経口的、例えば、筋肉内または静脈内(例えば、注射液の形態で)あるいは局所的に、例えば、軟膏、クリーム、オイルの形態でも有効である。錠剤、被覆錠剤、糖衣剤、および硬質ゼラチンカプセルの製造では、一般式(I)の化合物およびこれらの薬理学的に許容可能な塩類を薬理学的に不活性な無機または有機の補助剤と処理することができる。ラクト−ス、コーンスターチまたはそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などが、例えば、錠剤、糖衣錠および硬質ゼラチンカプセルの補助剤に使用できる。軟質ゼラチンカプセルに適する補助剤は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体物質および液体ポリオール類などである。溶液やシロップの製造に適する補助剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコースなどである。注射液に適する補助剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。坐剤用に適する補助剤は、例えば、天然または硬化油、ワックス、脂肪、半固体または液体ポリオールなどである。経口投与用又は注射用組成物のための上記成分は単に代表的な例示である。Remington's Pharmaceutical Sciences, 第20版, 2001年, Marck Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaには、処理方法などだけでなくさらなる物質が記載されており、これらの記載は参照によって本明細書に組み込まれる。本発明の化合物は、既知の持続的放出性薬剤送達システムを用いることによって持続的放出性の形で投与することもできる。本発明は、さらに、一般式(I)で示される1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体の製造方法を含む。本発明の一般式(I)で示される化合物は、下記スキームに概略を示した一般的反応順序に従って製造され、ここで、X、R1 およびR2 及びR3 は、一般式(I)で定義したものと同義である。得られる化合物は、それ自体既知の方法で、薬理学的に許容可能なこれらの塩に変換することもできる。下記スキーム1に記載するように、一般式(I)の化合物の合成のキーとなる中間体は、1-置換3,4-ジヒドロイソキノリン誘導体である。 これらの化合物は、N-フェネチル-プロピオンアミドをPOCl3 で環化するか、或いは1-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリンを臭化アルキルでアルキル化することによって調製される。得られた3,4-ジヒドロイソキノリンは、水素化ホウ素ナトリウムで1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンに還元され、ラセミ体混合物としての生成物が得られる。 エナンチオマーに非常に富む1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンは、それぞれの3,4-ジヒドロイソキノリンをキラルRu(II)錯体(キラル触媒)−これはR. Noyoriら(J. Am. Chem. Soc. 1996年, 118巻, 4916-4917頁及びWO 97/20789)によって最初に記載されている−の存在下で水素移動することによって得られる。 用いたキラル触媒(Ru(II)錯体)は下記の通りである:スキーム1以下のスキーム2及びスキーム3に図示するように、本発明に基づく1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン中間体は、次の3つの異なる合成ルートa) 、b) 又は c)の1つにより一般式(I)の化合物に変換することができる。ルート a)では、 1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンは、置換2-ブロモ-酢酸メチルエステルでアルキル化される。 この得られたエステルは対応する酸に加水分解され、最後にカップリング試薬の存在下で所望のアミンを用いアミドカップリング反応によりアミドに変換することができる。ルート b)では、 それぞれの1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを2-ブロモ-アセトアミド誘導体で直接アルキル化することにより側鎖が導入される:スキーム2一般式(I)の1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体は、また、次のルート c)(以下のスキーム3参照)により、純粋なエナンチオマーの(S)-(+)-マンデル酸メチルから出発して立体選択的方法で調製することができる。このエステルをアルコール性アミン溶液で処理すると対応するアミドが得られる。このアミドはp-トルエンスルホニルクロライドでトシル化することができる。最後の段階で、このトシレートを1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体とカップリングさせてそれぞれの一般式(I)の化合物を得る。スキーム3本発明に例示した1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体は、次の一般的方法および手順を用い、容易に入手可能な出発物質から製造可能である。代表的または好ましい実験条件(すなわち、反応温度、反応時間、試薬のモル数、溶媒など)が示されている場合でも、別のことが述べられていないかぎり、他の実験条件もまた用いることができる。最適な反応条件は、使用する個々の反応物質または溶媒で変動する。しかし、このような諸条件は日常的に行なわれている最適手順を用いる当業者により決定できる。実施例の部:略号:aq. 水性のatm 大気圧BSA ウシ血清アルブミンCHO チャイニーズハムスター卵巣d 日DCM ジクロロメタンDIPEA ジイソプロピルエチルアミンDMAP N,N-ジメチル-4-アミノピリジンDMF ジメチルホルムアミドDMSO ジメチルスルホキシドEA 酢酸エチルEDC 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドES 電子スプレーFCS ウシ胎児血清FLIPR 蛍光イメージングプレートリーダーh 時間HBSS ハンクス平衡塩溶液HEPES 4-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-1-エタンスルホン酸HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾールHPLC 高速液体クロマトグラフィーHex ヘキサンHV 高真空条件LC 液体クロマトグラフィーLDA リチウムジイソプロピルアミドMeOH メタノールmin 分MS 質量分析p.o. 経口prep. 分取PyBOP ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウム-六フッ化リン酸塩Rf 保持フロントRT 室温rt 保持時間sat. 飽和tlc 薄層クロマトグラフィーTHF テトラヒドロフラン化学以下の実施例は、本発明の薬理学的に活性を有する化合物の製造を説明するが、本発明の範囲をまったく限定するものではない。温度はすべて℃で示した。非キラル相のすべての分析、分取HPLCの検討は、PR−C18をベースとしたカラムを用いて行った。分析HPLCの検討は、サイクルタイムがそれぞれ〜2.5分と〜3.5分の2個の別々の機器を用いて行った。キラル相のHPLC分離は、ダイセル化学工業株式会社製のChiralcel ODカラムを用いた。化合物は、1H-NMR(300MHZ)または13C−NMR(75MHZ)(バリアン オックスフォード;化学シフトは、使用した溶媒に対するppmで表示される;多重度: s = 一重線、 d = 二重線、 t = 三重線; q = 四重線、 m = 多重線、 b = ブロード、 カップリング定数は、Hzで示される)で; LC-MSで、 rtは分で示され; TLC (メルク社製TLCプレート、 シリカゲル60 F254)で; または融点で特徴づけられる。A. プロピオン酸誘導体の合成:1. 3-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-プロピオン酸の合成:1.1 3-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-アクリル酸メチルエステルの合成:DCM(1.0 mL)中の6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-カルバルデヒド (570 mg)の溶液をDCM (2.5 ml)中の(トリフェニル-λ5-ホスファニリデン)-酢酸メチルエステル(990 mg)の溶液に添加する。 この混合物を窒素下還流温度で20時間撹拌し、真空中で濃縮する。 この残留物をフラッシュクロマトグラフィ−(EA/ヘプタン 3/7)で精製して所望の不飽和エステルを白色固体として得る。 1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ= 3.85 (s, 3H)、 6.59 (d, J = 16.2 Hz, 1H)、 7.70 (d, J = 16.2 Hz, 1H)、 7.71 (d, J = 8.1 Hz, 1H)、 7.98 (dd, J = 8.1 Hz, J = 2.1 Hz, 1H)、 8.84 (bs, 1H).1.2 3-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-プロピオン酸メチルエステルの合成:メタノール(5.0 mL)中の3-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-アクリル酸メチルエステル(720 mg)の溶液をPd/C (10%, 240 mg)で処理し、水素雰囲気下(〜1 バール)室温で20時間撹拌する。 この縣濁物をセライトで濾過し、真空中で濃縮してプロピオン酸エステルの無色の油状物を得る。1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ= 2.69 (t, J = 7.4 Hz, 2H)、 3.05 (t, J = 7.4 Hz, 2H)、 3.68 (s, 3H), 7.60 (d, J = 7.8 Hz, 1H)、 7.71 (bd, J = 8.1 Hz, 1H)、 8.58 (bs, 1H)。1.3. 3-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-プロピオン酸の合成:水酸化リチウム一水和物(330 mg)をTHF(15 mL)と水(5 mL)の混合液中の3-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-プロピオン酸メチルエステル(610 mg)の溶液に徐々に添加する。 この混合物を室温で20時間撹拌する。DCMとHCl水溶液(1.0 M)を添加し、層を分離して、水性層をDCMで2回抽出する。一緒に合わせた有機抽出物をMgSO4 で乾燥させ、真空中で濃縮して、ベージュ色の所望のプロピオン酸の固体を得る。 1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ= 2.75 (t, J = 7.4Hz, 2H)、 3.06 (t, J = 7.4Hz, 2H)、 7.62 (d, J = 8.1Hz, 1H)、 7.73 (bd, J = 8.1Hz, 1H)、 8.62 (bs, 1H)。 B. 2-ブロモ-アセトアミド誘導体の合成:1. 2-ブロモ-N-メチル-2-フェニル-アセトアミドの合成:1.1. N-ヒドロキシ-N-メチル-2-フェニル-アセトアミドの合成:0℃でフェニル-塩化アセチル(11.2 mL)をDCM(300 mL)中のN-メチル-ヒドロキシルアミン塩酸塩 (7.07 g)およびトリエチルアミン(59 mL) の溶液に滴下する。 90分間撹拌後、飽和NaHCO3水溶液を添加し、層を分離し、水層をDCM(2×200 mL)で2回抽出する。 溶媒を真空中で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィ−(EA/ヘプタン 1/1)で精製して所望のN-ヒドロキシ-アセトアミドの無色の液体を得る。 LC-MS: rt = 0.63 min, 166 (M+1, ES+)。1.2. 2-ブロモ-N-メチル-2-フェニル-アセトアミドの合成:0℃で、トリエチルアミン(5.49 mL)をDCM(200 mL)中のN-ヒドロキシ-N-メチル-2-フェニル-アセトアミド(6.5 g)の溶液に添加する。 この混合物をDCM(60 mL)中のメタンスルフォニルクロリドの溶液(3.21 mL)で滴下処理する。 2時間後、水(150 mL)を添加し、層を分離し、水層をEA(2×100 mL)で2回抽出する。 有機抽出物を一緒に合わせ、真空中で濃縮して粗メシル酸塩の淡黄色油を得る。 このメシル酸塩をアセトニトリル (200 mL)に溶解させる。 臭化リチウム(15.3 g)を加え、この反応混合物を5分間超音波で処理する。 ジイソプロピル-エチルアミン (6.78 mL)の添加後、この混合物を再び超音波で5分間処理し、室温でさらに60分間撹拌する。 水 (150 mL)と酢酸エチル(200 mL)を加え、 層を分離し、水層を酢酸エチル(2×200 mL)で2回抽出する。 一緒にした有機抽出物を真空中で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィ−(酢酸エチル/ヘプタン 2:3)で精製して所望の臭化塩の白色固体を得る。LC-MS: rt = 0.75 min, 228 (M+1, ES+)。C. トルエン-4-スルホン酸(S)-メチルカルバモイル-フェニル-メチル エステルの合成:1. (S)-2-ヒドロキシ-N-メチル-2-フェニル-アセトアミドの合成:メチル(S)-(+)-マンデレート (17 g)をメタノール (230 mL, 2.0 M)中のメチルアミンの溶液に溶解させて室温で1日保つ。 メタノール(10 mL, 2.0 M)中のメチルアミンの別の部分を加える。 メタノール(10 mL, 2.0 M)中のメチルアミンの第三の部分を一日後に加える。 さらに24時間後に溶媒を真空中で除去し所望のマンデルアミドの淡黄色の結晶を得、これをさらに精製することなしに用いる。 LC-MS: rt = 0.52 min, 166 (M+1, ES+)。2. トルエン-4-スルホン酸(S)-メチルカルバモイル-フェニル-メチルエステルの合成:室温で、DIPEA (2.74 mL)およびDMAP(145 mg)をDCM(50 mL)中の(S)-2-ヒドロキシ-N-メチル-2-フェニル-アセトアミド(2.4 g)の溶液に添加する。 この混合物をp-トルエンスルホニルクロリド(2.75 g)で滴下処理し、室温で2時間保つ。 溶媒を真空中で除去し、残留物を酢酸エチルに溶解させる。 この溶液を飽和NaHCO3 溶液で2回、塩水で1回洗浄し、溶媒を真空中で除去し、残留物を酢酸エチル/第三ブチルメチルエーテルから再晶析してトシレートの白色結晶を得る。 LC-MS: rt = 0.93 min, 320 (M+1, ES+)。D. N-((1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル)-2,4,6-トリメチル-ベンゼン-スルホンアミド (触媒前駆体)の合成:0℃で、THF(150 ml)中のメシチレンスルホニルクロリド(3.09 g)の溶液を、THF(120 mL)およびDMF(30 mL)の混合液中の(1R, 2R)-1,2-ジフェニル-エタン-1,2-ジアミン (3.00 g)、 ジイソプロピルエチルアミン (3.87 mL)および炭酸カリウム(3.12 g)の縣濁物に滴下する。 3時間後、水(300 mL)および酢酸エチル(300 mL)を加え、 層を分離し、水層を酢酸エチル(3×300 mL)で3回抽出する。 溶媒を真空中で除去し、残留物を分取HPLC クロマトグラフィーで精製する。 ギ酸を除去するために、得られた生成物を飽和NaHCO3 溶液/酢酸エチルで抽出し、モノ-スルホンアミドの白色固体を得る。LC-MS: rt = 0.82 min, 395 (M+1, ES+)。E. フェニルエチルアミドの合成 (一般的方法):トルエン(350 mL)中の各フェニルエチルアミン(110 mmol)の溶液を各プロピオン酸誘導体(110 mmol)で処理し、 ディーン・スターク・トラップを使って90時間還流させ、室温にまでゆっくりと冷却させる。 沈殿物を濾過して除き、真空下で乾燥させて所望のアミドを得る。1. N-[2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-3-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-プロピオンアミドの合成:この化合物を3,4-ジメトキシフェニルエチルアミンおよび4-(トリ-フルオロメチル)-ヒドロケイ皮酸の反応によって調製する。LC-MS: rt = 0.97 min, 382 (M+1, ES+)。2. N-[2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-3-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-プロピオンアミドの合成:この化合物を3,4-ジメトキシフェニルエチルアミンおよび3-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-プロピオン酸の反応によって調製する。LC-MS: rt = 0.88 min, 383 (M+1, ES+)。F.アミド環化による3,4-ジヒドロイソキノリン誘導体の合成(一般法):オキシ塩化リン (123 mmol)をアセトニトリル (300 mL)中の各アミド(55.3 mmol)の縣濁物に添加する。 この混合物を90分間還流し、溶媒を真空中で除去する。 メタノール(100 mL)を加え、再び蒸発させる。 得られた生成物をジオキサンまたはジオキサン/エタノールから再結晶化する。 濾過後、この得られた塩酸塩に飽和NaHCO3水溶液を添加し、ジクロロメタンで抽出することにより遊離塩基に変換する。 溶媒を真空中で除去して各ジヒドロイソキノリンを得る。 1. 6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロイソ-キノリンの合成:この化合物をN-[2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-3-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-プロピオンアミドの環化によって調製する。LC-MS: rt = 0.81 min, 364 (M+1, ES+)。2. 6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-イソキノリンの合成:この化合物をN-[2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-3-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-プロピオンアミドの環化によって調製する。LC-MS: rt = 0.73 min, 365 (M+1, ES+)G. 1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンの合成:1. ビシュラー・ナピエラルスキー反応による1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン の合成(一般法):アセトニトリル (500 mL)中の各アミド (44.8 mmol)の縣濁液にオキシ塩化リン(224 mmol)を添加する。 この混合物を2時間還流温度に加熱し、溶媒を真空中で除去する。 得られた油状物をトルエンまたはMeOH (20 mL)のどちらかで取り除き、蒸発して乾燥させ、 MeOH (200 mL)に溶かし、0℃に冷却する。 NaBH4 (135 mmol)を少量加え、この反応混合物を2時間撹拌する。 溶媒を真空中で除去し、 EA (400 mL)と水(400 mL) を加え、 層を分離し、水性層をEA (3×200 mL)で3回抽出する。 一緒にした有機抽出物を真空中で濃縮し下記1,2,3,4-テトラ-ヒドロイソキノリンのラセミ体混合物を得、これをイソプロパノールからこの塩酸塩を結晶化することによって精製する。1.1. rac-6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンの合成:この化合物をN-[2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-3-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-プロピオンアミドの反応によって調製する。LC-MS: rt = 0.85 min, 366 (M+1, ES+)。1.2. 6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンの合成:この化合物をN-[2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-3-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-プロピオンアミドの反応によって調製する。LC-MS: rt = 0.73 min, 367 (M+1, ES+)。2. 転移水素化による1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンの合成(一般法):ジクロロ-(p-シメン)ルテニウム(II)二量体 (0.20 mmol)を、アセトニトリル (3.0 mL)中のN-((1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン-スルホンアミド (0.40 mmol)およびトリエチルアミン (0.80 mmol) の溶液に添加する。 この混合液を80℃で1時間撹拌し、ジクロロメタン(30 mL)中の各ジヒドロイソキノリン(28.0 mmol)の溶液に添加する。ギ酸とトリエチルアミン (5:2, 14 mL)の共沸混合物を加える(ガス発生)。90分後にNaHCO3 飽和水溶液(200 mL)をこの暗赤色溶液の加える。 層を分離し、 水性層をDCM(2×200 mL)で2回抽出し、一緒に合わせた抽出液を真空中で濃縮する。 残留物を イソプロパノール(1600 mL)中に溶解させ、イソプロパノール (5-6 M, 10 mL)中のHCl溶液で処理する。 得られた塩酸塩を再晶析して、キラルHPLCで分析して高過剰率のエナンチオマーをもつそれぞれの1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを得る。 この塩酸塩をNaHCO3 飽和水溶液/ジクロロメタンで抽出して遊離塩基に変換する。 各生成物の絶対配置を文献 (N. Uematsu, A. Fujii, S. Hashiguchi, T. Ikariya, R. Noyori, J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 4916-4917)に類似する方法で与える。2.1 (1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンの合成:この化合物を6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロイソキノリンの転移水素化によって調製する。LC-MS: rt = 0.80 min, 366 (M+1, ES+)。キラルHPLC: rt = 12.0 min (ヘキサン/エタノール 9/1; エナンチオマー: rt = 17.1 min)。2.2 (1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンの合成:この化合物を6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロ-メチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-3,4-ジヒドロイソキノリンの転移水素化によって調製する。LC-MS: rt = 0.73 min, 367 (M+1, ES+)。キラルHPLC: rt = 10.9 min (ヘキサン/エタノール 4/1; エナンチオマー: rt = 24.4 min)。3. 1-メチル-3,4-ジヒドロ-イソキノリンのアルキル化による1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンの合成(一般法):0℃で、ヘキサン(1.6M, 0.63 mmol)中のn-BuLiの溶液をTHF(1.0 mL)中の6,7-ジメトキシ-1-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン(0.50 mmol)およびジイソプロピルアミン(0.63 mmol)の混合液に滴下する。 この反応混合物を室温で1時間撹拌し、0℃でTHF(1.0 mL)中の各臭化ベンジル(0.50 mmol)の溶液に添加する。 この溶液を1時間撹拌し、 室温にまで温め、DCM (3.0 mL)で希釈する。第2のフラスコに、ジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)二量体(0.15 mmol)をアセトニトリル (3.3 mL)中のN-((1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル)-2,4,6-トリメチル-ベンゼン-スルホンアミド (0.30 mmol)およびトリエチルアミン (0.60 mmol)の溶液に添加する。 この混合物を80℃で1時間撹拌する。 この溶液の一部(0.10 mL)を各ジヒドロイソキノリン(上記したもの)の溶液に添加する。 ギ酸およびトリエチルアミン(5:2, 0.3 mL)の共沸混合物を添加する(気体発生)。 2日後に、この混合物を真空中で濃縮し、分取HPLCで精製して各1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを得る。 エナンチオマー過剰率をキラルHPLCによって測定する。各生成物の絶対配置を文献(N. Uematsu, A. Fujii, S. Hashiguchi, T. Ikariya, R. Noyori, J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 4916-4917)に準じて決定する。3.1. (1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンの合成:この化合物を6,7-ジメトキシ-1-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリンと1-ブロモメチル-4-トリフルオロメチル-ベンゼンとのアルキル化によって調製する。LC-MS: rt = 0.80 min, 366 (M+1, ES+)。キラルHPLC: rt = 12.0 min (ヘキサン/エタノール 9/1; エナンチオマー: rt = 17.1 min)。H. (3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-フェニル-酢酸メチルエステル誘導体の合成 (一般法):DIPEA(43.0 mmol)およびα-ブロモ-フェニル-酢酸メチルエステル(21.5 mmol)を、THF、ジオキサンまたはトルエン(150 mL)中のいずれかにそれぞれの1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン (21.5 mmol)を含む溶液に連続的に添加する。 この混合物を20時間還流し、室温に達するまで放置する。 水(250 mL)およびEA(200 mL)を添加し、 複数層を分離し水性層をEA (2×100 mL)で2回抽出する。 一緒に合わせた有機抽出物を真空中で濃縮しフラッシュクロマトグラフィ−で精製するか、またはさらに精製することなしに用いる。 以下に記載した下記のエステル誘導体を得る。1. {6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-フェニル-酢酸メチルエステルの合成。この化合物を6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンとα-ブロモ-フェニル-酢酸メチルエステルとの反応によって調製する。LC-MS: rt = 0.93 min, 514 (M+1, ES+)。2. {6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-フェニル-酢酸メチルエステルの合成:この化合物を6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンとα-ブロモ-フェニル-酢酸メチルエステルとの反応によって調製する。LC-MS: rt = 1.68 min, 515 (M+1, ES+)。3. {(1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-フェニル-酢酸メチルエステルの合成:この化合物を(1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンとα-ブロモ-フェニル-酢酸メチルエステルとの反応によって調製する。LC-MS: rt = 0.93 min, 514 (M+1, ES+)。I. (3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-フェニル-酢酸誘導体の合成 (一般法):水(2.0M, 50 mL)中の水酸化ナトリウムの溶液をメタノール(400 mL)中の各エステル (21.5 mmol)の溶液に添加する。 この混合液を60℃に加熱し20時間撹拌する。 メタノールの大部分を真空中で除去し残留物を取り出し水酸化ナトリウム溶液(2.0M, 20 mL)、 水 (100 mL)およびDCM (100 mL)中に入れる。 複数層を分離し、水性層をDCM (3×100 mL)で3回抽出する。 一緒に合わせた有機抽出物を真空中で濃縮し各カルボン酸、これはさらに精製することなしに用いる、を得る:1. {6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-フェニル-酢酸の合成:この化合物を{6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-フェニル-酢酸メチル エステルの鹸化によって調製する。LC-MS: rt = 0.88 min, 500 (M+1, ES+)。2. {6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-フェニル-酢酸の合成:この化合物を{6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-フェニル-酢酸メチルエステルの鹸化によって調製する。LC-MS: rt = 1.18 min, 499 (M-1, ES-), 501 (M+1, ES+)。3. {(1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-フェニル-酢酸の合成:この化合物を{(1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-フェニル-酢酸メチルエステルの鹸化によって調製する。LC-MS: rt = 0.88 min, 500 (M+1, ES+)。実施例 1: 2-{6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-N-メチル-2-フェニル-アセトアミドの合成0℃でメチルアミン塩酸塩 (15.0 mmol)およびNaHCO3 (20.0 mmol)をDMF(200 mL)中の{6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-フェニル-酢酸(10.0 mmol)の溶液に添加する。 15分後にHOBt (12.0 mmol)とEDC塩酸塩 (22.0 mmol)を添加する。 この混合物を10分間撹拌し、撹拌せずに0℃でさらに14時間保つ。 水(100 mL)、 EA (300 mL)およびシクロヘキサン(100 mL)を添加し、 複数層を分離し、水性層をEA/シクロヘキサン 3:1 (2×150 mL)で2回抽出する。 一緒に合わせた有機抽出物を飽和NaHCO3水溶液(100 mL)および塩水(100 mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥する。 溶媒を真空中で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィ−(勾配: EA/ヘプタン 1/2からEA/エタノール/ヘプタン 2/1/2) で精製して所望のアミドの予想される4個の立体異性体すべてを混合物として得る。LC-MS: rt = 0.89 min, 513 (M+1, ES+)。実施例 2: (2R)-2-{(1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-N-メチル-2-フェニル-アセトアミドの合成a) 方法 I (アミドカップリング経由):0℃でメチルアミン塩酸塩 (23.7 mmol)およびNaHCO3 (2.01 g, 23.9 mmol)をDMF (300 mL)中の{(1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-フェニル-酢酸(21.5 mmol) の溶液に添加する。 5 分後にHOBt (23.8 mmol)とEDC塩酸塩 (47.6 mmol)を添加する。 この混合液を2時間撹拌し、撹拌せずに0℃で14時間保つ。 水(300 mL)とEA (300 mL)を加え、 複数層を分離し、水性層をEA (3×150 mL)で3回抽出する。 一緒に合わせた有機抽出物を水(3×100 mL)と塩水(100 mL)で洗浄する。 溶媒を真空中で除去し残留物をフラッシュクロマトグラフィ−(EA/ヘプタン 3/2)で精製して所望のアミド類を分離されたジアステレオ異性体として得る。b) 方法 II (臭化物誘導体によるアルキル化経由):DIPEA (119 mmol)をTHF(150 mL)中の2-ブロモ-N-メチル-2-フェニル-アセトアミド (59.6 mmol)の溶液に添加する。 THF(200 mL)中の(1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(62.7 mmol)の溶液を添加し、この反応混合液を60℃で7日間撹拌する。 酢酸エチル(200 mL)とNaHCO3 (200 mL) の飽和水溶液を加え、 複数層を分離し、水性層を酢酸エチル(2×100mL)で2回抽出する。 一緒に合わせた有機抽出物を水(3×50 mL)で洗浄し、 MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮する。 この残留物をフラッシュクロマトグラフィ−(酢酸エチル/ヘプタン 3/2)で精製して所望のアミドを分離したジアステレオ異性体として得る。c) 方法 III (トシレート誘導体によるアルキル化経由):ブタノン(5.0 mL)中の(1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-1,2,3,4-テトラ-ヒドロイソキノリン(100 mg),トルエン-4-スルホン酸(S)-メチルカルバモイル-フェニル-メチルエステル(100 mg)およびDIPEA (0.065 mL)の溶液を加熱し3日間還流させ、室温にまで冷却させる。 酢酸エチルを加え、この混合液を飽和NaHCO3 水溶液と塩水で洗浄する。 有機層をNa2SO4 で乾燥させ、溶媒を真空中で除去する。 THF (2.0 mL) とイソプロパノール(5-6 M, 0.10 mL)中のHClの溶液を粗生成物に添加し、溶媒を真空中で除去する。 得られた固体をTHF (2.0 mL)から再結晶して白色結晶の所望のアミドを得る。活性度のより高いジアステレオ異性体の遊離塩基のデータを示す(IC50, FLIPR)。Rf = 0.21 (EA/ヘプタン 2/1);LC-MS: rt = 0.90 min, 513 (M+1, ES+);キラルHPLC: rt = 18.9 min (ヘキサン/エタノール 95/5; ジアステレオ異性体: rt = 22.3 min; 1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン環系における対照的立体配置をもつ2個の予想される他の立体異性体を、転移水素化のためにN-((1S,2S)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル)-2,4,6-トリメチル-ベンゼン-スルホンアミド (ステップG.2)を用い上記した合成法に類似して調製する: これらの異性体は次の保持時間をもつ: rt = 26.2 min, 33.8 min);1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ = 1.74-1.87 (m, 1H), 2.04-2.19 (m, 1H), 2.40-2.52 (m, 1H), 2.59-2.72 (m, 1H), 2.86 (d, J = 4.8 Hz, 3H), 2.86-3.01 (m, 1H), 3.03-3.18 (m, 2H), 3.30-3.41 (m, 2H), 3.69 (s, 3H), 3.84 (s, 3H), 4.25 (s, 1H), 6.03 (s, 1H), 6.57 (s, 1H), 6.87 (q, J = 4.8 Hz, 1H), 7.10-7.16 (m, 2H), 7.19-7.28 (m, 5H), 7.50 (d, J = 8.1 Hz, 2H);13C-NMR (75MHz, CDCl3): δ= 21.9, 26.1, 33.4, 37.8, 40.7, 55.8, 55.9, 57.0, 70.1, 110.0, 111.4, 124.2 (q, JC,F = 271 Hz), 124.9, 125.1 (q, JC,f = 4 Hz), 128.0 (q, JC,F = 32 Hz), 128.1, 128.4, 128.5, 129.0, 137.0, 146.2, 147.1, 147.6, 172.2.実施例 3: 2-{6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-N-メチル-2-フェニル-アセトアミドの合成DMF (1.0 mL)中の{6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-フェニル-酢酸(0.20 mmol), メチルアミン塩酸塩 (0.20 mmol), PyBOP (0.20 mmol)およびDIPEA (0.46 mmol)の混合物を室温で20時間撹拌する。水とEAを添加し, 複数層を分離し水性層をEAで抽出する。 一緒に合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮する。 残留物をフラッシュクロマトグラフィ−(EA)で精製して所望生成物の粘稠油を得る。LC-MS: rt = 1.17 min, 514 (M+1, ES+)。実施例 4: (2R)-2-{(1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル}-N-メチル-2-フェニル-アセトアミドの合成DIPEA(20.8 mmol)をTHF(40 mL)中の(1S)-6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(10.0 mmol)の溶液に添加する。 2-ブロモ-N-メチル-2-フェニル-アセトアミド (10.4 mmol)を添加し、この混合物を60℃で5日間撹拌する。 水(100 mL)と酢酸エチル(200 mL)を加え, 複数層を分離し、水性層を酢酸エチル(2×100 mL)で2回抽出する。 一緒に合わせた有機抽出物を真空中で濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィ−(酢酸エチル/ヘプタン 3/1)で精製して所望のアミドの分離したジアステレオ異性体を得る。活性度のより高いジアステレオ異性体のデータを示す (IC50, FLIPR)。Rf = 0.15 (EA/ヘプタン 3/1);LC-MS: rt = 0.81 min, 514 (M+1, ES+);1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ = 1.73-1.86 (m, 1H), 2.02-2.16 (m, 1H), 2.41-2.52 (m, 1H), 2.59-2.71 (m, 1H), 2.87 (d, J = 5.1 Hz, 3H), 2.88-3.03 (m, 1H), 3.04-3.17 (m, 2H), 3.26-3.36 (m, 2H), 3.69 (s, 3H), 3.83 (s, 3H), 4.23 (s, 1H), 6.04 (s, 1H), 6.55 (s, 1H), 6.74 (q, J = 5.1 Hz, 1H), 7.10-7.16 (m, 2H), 7.19-7.27 (m, 3H), 7.51-7.61 (m, 2H), 8.52 (s, 1H)。生物学的試験試験管内試験一般式(I)の化合物の オレキシン受容体拮抗活性は、次の実験法に従って測定された。実験方法:・細胞内カルシウム濃度の測定:ヒトオレキシン-1受容体およびヒトオレキシン-2受容体を発現しているチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞をそれぞれ300μg/mlのG418、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび10%不活性化牛胎児血清(FCS)を含む培地(L-グルタミン含有ハムF-12)で培養した。予め、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)に溶解した1%ゼラチンで被覆した96穴の黒色の透明底の滅菌プレート(コースター)に1穴当り80、000個の細胞を播種した。全ての試薬はギブコ(Gibco)BRLからのものであった。播種したプレートを37℃で一晩5%のCO2下でインキュベートした。作働薬のヒトオレキシン-Aを、メタノールと水の混合溶液(1:1)に1mMの保存溶液として調製し、試験での使用に際しては0.1%牛血清アルブミン(BSA)および2mMのHEPESを含むHBSSに10nMの最終濃度に希釈した。拮抗薬はDMSOに10mMの保存溶液として調製したのち、96穴のプレートに、最初はDMSOで、それから0.1%牛血清アルブミン(BSA)および2mMのHEPESを含むHBSSで希釈した。試験日に、負荷培地100μl(1%のFCS、2mMのHEPES、5mMのプロベネシド(シグマ)および3μMの蛍光カルシウム指示薬のフルオ-3AM(1mMの保存溶液は10%のプルロン酸を含むDMSOに溶解)(モルキュラープローブス社製)を含むHBSS)を各穴に添加した。その96穴プレートを37℃で60分間、5%CO2下でインキュベートした。それから、負荷溶液を吸引し、細胞を2.5mMのプロベネシド、0.1%のBSA、2mMのHEPESを含有する200μlのHBSSでもって3回洗浄した。同一の緩衝液100μlを各穴に残した。蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR、モルキュラーデバイセス社製)内で、50μlの容量の拮抗薬をプレートに添加し、20分間インキュベートし、最後に100μlの作働薬を加えた。各穴の蛍光を1秒間隔で測定し、各蛍光ピークの高さを、拮抗薬を緩衝液に代えた10nMのオレキシン-Aによって誘発される蛍光ピークの高さと比較した。各拮抗薬に対して、IC50値(作動薬による反応を50%抑制するために必要とされる化合物の濃度)を測定した。化合物の拮抗活性は、ナノモル範囲内である。・各種CYPに対する阻害能力の測定ヒト肝ミクロソーム(10人分をプールしたもの)、文献上確立されているCYPアイソフォーム選択的基質およびLC−MS/MS(CYP3A4およびCYP2C9の場合)または通常のHPLCと蛍光定量検出(CYP2D6の場合)を用いて、CYP阻害試験を実施する。特異的プローブとしたのは、CYP3A4の場合はミダゾラムの1′−ヒドロキシル化、CYP2D6の場合はデキストロメトルファン3−ヒドロキシル化、CYP2C9の場合はジクロフェナック4′−ヒドロキシル化であった。実験は、96ウエルプレート中、それぞれのKm値付近の基質濃度(表1が実験条件のあらましを示している)および50μMまでの7段階の阻害剤濃度で、二連で実施した。対照実験(CYP2C9の場合はスルファフェナゾール、CYP2D6の場合はフルオキセチン、CYP3A4の場合はニカルジピン)を、各プレートで並行して実施した。表1以下の表2に示すように、実施例1〜4に記載された化合物はCYP3A4Aに対して著しく低い親和性を示す。生体内試験:実験用ラットにおける無線遠隔測定により求めたホームケージ内自発活動性および体温本検定の目的は、本発明の一般式(I)に従った化合物を経口投与したのちのラットの日周期行動の活動度を記録することである。雄性ウィスターラットにおいて遠隔測定により求めたホームケージ内活動性の低下を、限られた数の高度の最適化した1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 誘導体の睡眠導入能の指標であると考えた。抗うつ薬、抗精神病薬、睡眠導入薬、精神刺激薬などの精神作用薬は、実験動物への経口投与後にホームケージ内活動性および体温を減少・低下または増強・上昇させることがよく知られている。体温調節は、代謝、エネルギーバランスおよび行動を調和させることによってホメオスタシス(恒常性)に寄与する複雑なプロセスである。体温は、日周期行動の活動度とともに変化し、移動運動が増すと、上昇する。意識があり、自由に移動できるウィスターラットで、これら2つのパラメータを遠隔測定によって測定した。麻酔した動物の腹膜腔内に、無菌条件下に、体温/活動度遠隔測定装置を植え込んだ。遠隔測定系の植え込みから2週間以上経過してから、5分間隔で96時間にわたりデータを収集した。各ラットについて、1時間当りの平均を算出した。最初の48時間分は内部対照追跡データとして用い、薬物の効果を賦形剤からなるプラセボと比較した。この方法は、ゾルピデムなどのGABA−A受容体調節物質によって惹起される活動低下および体温低下の振幅および時間的経過の測定によって薬理学的に妥当性が証明されている。表3に示したように、実施例1〜4に記載した化合物などの本発明のオレキシン受容体拮抗薬の投与は経口活性がある。 下記一般式(I)式中:R1およびR2は、独立して、水素またはC1-C4-アルコキシを表し;R3は、C1-C6-アルキルを表し;Xは、-CH-または窒素原子を表す;で示される1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体、あるいは、その光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、エナンチオマーのラセミ体、光学的に純粋なジアステレオアイソマー、ジアステレオアイソマーの混合物、ジアステレオアイソマーのラセミ体、メソ形、または薬理学的に許容可能な塩。 R1およびR2が両方ともC1-C4-アルコキシ基を表す請求項1記載の1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体。 R1およびR2が両方ともメトキシ基を表す請求項2記載の1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体。 Xが窒素原子を表す請求項1〜3のいずれかに記載の1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体。 Xが-CH-を表す請求項1〜3のいずれかに記載の1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体。 R3がメチル基を表す請求項1〜5のいずれかに記載の1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体。 R1およびR2がメトキシ基を表し、Xが-CH-を表し、R3がC1-C6-アルキルを表す、請求項1、2、3および5のいずれかに記載の1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体。 2-{6,7-ジメトキシ-1-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソ-キノリン-2-イル}-N-メチル-2-フェニル-アセトアミド、および2-{6,7-ジメトキシ-1-[2-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イル)-エチル]-3,4-ジヒドロ-1H-イソ-キノリン-2-イル}-N-メチル-2-フェニル-アセトアミドからなる群から選ばれる請求項1〜3のいずれかに記載の1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体。 医薬として用いられる請求項1〜8のいずれかに記載の1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体。