| タイトル: | 特許公報(B2)_口唇化粧料 |
| 出願番号: | 2007500567 |
| 年次: | 2012 |
| IPC分類: | A61K 8/37,A61Q 1/04,A61K 8/34 |
大井 友紀子 JP 5022892 特許公報(B2) 20120622 2007500567 20060126 口唇化粧料 日清オイリオグループ株式会社 000227009 関根 武 100104684 渡部 温 100100413 大井 友紀子 JP 2005021661 20050128 20120912 A61K 8/37 20060101AFI20120823BHJP A61Q 1/04 20060101ALI20120823BHJP A61K 8/34 20060101ALI20120823BHJP JPA61K8/37A61Q1/04A61K8/34 A61K 8/37 A61K 8/34 A61Q 1/04 特開2003−212747(JP,A) 特開2004−331573(JP,A) 国際公開第03/015741(WO,A1) 特開2003−104843(JP,A) 8 JP2006301215 20060126 WO2006080390 20060803 15 20081002 大島 忠宏 本発明は、口唇化粧料に関し、特に、塗布時の滑らかさや密着感等の使用感が良好であり、口唇に対する保湿性及び唇の保護効果に優れ、経時安定性に優れた口唇化粧料に関する。 従来より、スキンケア化粧料においては、油性成分によるエモリエントの付与、水性成分による保湿効果の付与を目的として、双方の原料を界面活性剤によって乳化させて製造することが一般的に行われている。メイクアップ化粧料においても、保湿性や保水性が要求される傾向があり、種々の開発が行われている。メイクアップ化粧料の中でも、特に口唇化粧料においては、水を配合しようという試みは古くから行われている。 例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3には、W/O型乳化基剤に多価アルコールを配合した乳化口紅が開示されている。該特許公報に開示された口紅によれば、唇の保護効果及び保湿効果はある程度発揮されるが、更に効果を向上させることを目的として、種々の開発がなされている。 例えば、特許文献4には、特定の油剤を用いた口唇用化粧料が開示されている。該特許文献に開示された口唇用化粧料は、安全性及び安定性を向上させることを主目的としたものであって、保湿性等については、更に向上させることが求められていた。 特許文献5には、非水系軟膏基材を主基剤にして、多価アルコール及び非イオン性界面活性剤等を含み、実質的に無水であるリップクリームが開示されている。該特許文献に開示されたリップクリームはある程度は保湿効果を備えたものであると言えるが、実質的に無水のものであるため、保湿効果には限界があると言える。 また、特許文献6には、特定のオリゴマーを含有する油性メイクアップ化粧料が開示されている。該特許文献に開示された油性メイクアップ化粧料は口紅等として用いることができ、塗布時のつや、感触、保存安定性に優れたものであるが、更に保湿性、保護性を向上させることが望まれている。 口唇化粧料には、上述したように水を配合することにより保湿性を持たせることが有用であると考えられている。しかし、W/O型乳化口紅は、口紅が折れたり、外観の艶が失われたり、色相の変化が見られる場合があるという欠点がある。また、O/W型乳化口紅は、化粧もちが悪く落ちやすいなどの欠点があると共に、口唇化粧料に配合される水分量が多すぎると、逆に唇の荒れが促進されるという報告もなされており、この面からもO/W型乳化口紅は最適な処方とはいえない(非特許文献1)。 また、唇への艶の付与を目的に使用されるリップグロスや、口紅の消費者にとっては、唇の乾燥や荒れはよく経験されることであるが、唇の乾燥や荒れを防止したり、唇を保護するために、口紅の下地としてリップケアを目的としたリップクリームやリップバーム等を使用することがある。このような使用方法は、2度手間がかかるだけでなく、上に塗布する口紅の付きを悪くしたり、見た目と実際の塗布色の発色に差が見られたりする場合がある。特公昭60−33084号公報特公昭61−40645号公報特公昭62−61565号公報特開平7−223925号公報特開2000−95666号公報特開2003−104843号公報FRAGRANCE JOURNAL(フレグランス ジャーナル) 1992年4月号 平成4年4月15日 フレグランス ジャーナル社発行 第14〜21頁 従って、本発明の目的は、塗布時の滑らかさや密着感等の使用感が良好であり、口唇に対する保湿性に優れ、唇の保護効果に優れ、経時安定性に優れた口唇化粧料を提供することにある。 上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討し、特定のエステル化反応生成物を用いることにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させた。 上記目的を達成するために、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、特定のオリゴマーと特定のエステル油とを、多価アルコール、油性ゲル化剤及び水を含有させることにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は、下記成分(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)を含有することを特徴とする口唇化粧料を提供する。(a)ベヘン酸と、エイコサン二酸と、グリセリン縮合物とから得られるオリゴマー、(b)多価アルコール、(c)水、(d)炭素数2〜36個のカルボン酸と、炭素数1〜36個のアルコールとからなり、常温で液状又はペースト状であるエステル油、及び(e)油性ゲル化剤。 本発明により、塗布時の滑らかさや密着感等の使用感が良好であり、口唇に対する保湿性に優れ、唇の保護効果に優れ、経時安定性に優れた口唇化粧料が提供される。 以下、本発明の口唇化粧料について説明する。 本発明の口唇化粧料は、下記成分(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)を含有する。(a)ベヘン酸と、エイコサン二酸と、グリセリン縮合物とから得られるオリゴマー、(b)多価アルコール、(c)水、(d)炭素数2〜36個のカルボン酸と、炭素数1〜36個のアルコールとからなり、常温で液状又はペースト状であるエステル油、及び(e)油性ゲル化剤。 以下、成分(a)について説明する。 成分(a)のオリゴマーを得るためのグリセリン縮合物は、平均重合度が2以上のものであり、特に平均重合度が5以上のものが好ましく、更に好ましくは平均重合度が10程度のものが好ましい。具体的には、デカグリセリンが特に好ましい。本発明においては、平均重合度が10程度のデカグリセリンが好ましいが、平均重合度が10のもののみでなく、例えば、平均重合度が8〜12のものの混合物であっても特に制限なく用いることができる。 ベヘン酸、エイコサン二酸及びグリセリン縮合物からオリゴマー(本明細書において、「ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル−10」ともいう)を得る方法としては、上記成分をエステル化反応してエステル化生成物とする方法が挙げられる。エステル化反応は、例えば、(1)上記成分を同時にエステル化反応する、(2)グリセリン縮合物とベヘン酸とをエステル化せしめ、次いでエイコサン二酸とエステル化反応物とをエステル交換反応する、(3)グリセリン縮合物とエイコサン二酸とをエステル化せしめ、次いで、得られたエステル化反応物とベヘン酸とをエステル化反応する方法が挙げられる。 本発明において用いられるオリゴマーは、上記(1)から(3)のいずれの方法によって得られたものであっても使用可能である。エステル化反応は、酸、アルカリ又は金属触媒の存在下又は非存在下に、エステル化反応に不活性な有機溶媒及び/又は気体中で、100〜240℃の温度にて数時間〜20時間、副生する水を除去しながら行なうことができる。上記反応の経過は、反応系内の酸価又は遊離状態の酸成分の組成を測定することによって確認することができる。この確認を行い反応の終了時点を決定することができる。エステル化反応の反応生成物は、未反応のグリセリン縮合物、ベヘン酸、エイコサン二酸を含む場合があり、この他に副生する脂肪酸や低分子量のグリセリド等が混在する場合がある。従って、水洗、アルカリ脱酸等の方法で副生物を分離除去し、脱色、脱臭処理を施して精製を行う。 上述のようにして得られるオリゴマーは、グリセリン縮合物、ベヘン酸及びエイコサン二酸が網目状にエステル化された混合物であり、約50〜80℃の融点を有する。 なお、上述した成分(a)のオリゴマーとしては、市販されているものを用いてもよく、このようなものとしては、例えば、日清オイリオグループ(株)製、「ノムコートHK−P」等が挙げられる。 上記成分(a)の含有量は、特に制限はないが、口唇化粧料の全質量に対して、好ましくは20質量%以下であり、更に好ましくは1〜16質量%であり、更に好ましくは1〜10質量%であり、最も好ましくは2〜8質量%である。また、成分(a)の含有量は、後述する(b)及び(c)の合計量(a+b+c)に対して、好ましくは20質量%以下であり、更に好ましくは2〜20質量%であり、更に好ましくは3〜16質量%であり、更に好ましくは3〜10質量%であり、最も好ましくは6〜10質量%である。成分(a)の含有量を上記範囲とすることにより、得られる口唇化粧料の使用感を更に向上させることができる。 次に、成分(b)の多価アルコールについて説明する。成分(b)の多価アルコールとしては、分子内に水酸基を2個以上有するアルコールであれば特に制限されず、いずれのものをも使用することができる。このような多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングルコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール等が挙げられる。上記多価アルコールは単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。 上記成分(b)の中でも、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールが好ましく、グリセリンが特に好ましい。 上記成分(b)の含有量は、特に制限はないが、口唇化粧料の全質量に対して、好ましくは45質量%以下であり、更に好ましくは18〜40質量%であり、更に好ましくは20〜35質量%であり、最も好ましくは24〜30質量%である。また、成分(b)の含有量は、成分(a)、(b)及び(c)の合計量(a+b+c)に対して、好ましくは90質量%以下であり、更に好ましくは10〜90質量%であり、更に好ましくは20〜85質量%であり、更に好ましくは40〜85質量%であり、更に好ましくは60〜85質量%であり、最も好ましくは65〜80質量%である。 上記成分(b)の含有量を上記範囲とすることにより、保湿性能が更に向上した口唇化粧料を得ることができると共に、口唇化粧料に多価アルコールの味を付与することもなく、使用時に使用者に対して不快感を与えるおそれがない。 次に、成分(c)について説明する。成分(c)の水としては、水道水、蒸留水、精製水のいずれをも用いることができる。成分(c)の含有量は、特に制限はないが、口唇化粧料の全質量に対して、好ましくは10質量%以下であり、更に好ましくは0.1〜10質量%であり、更に好ましくは2〜8質量%であり、更に好ましくは3〜7質量%であり、最も好ましくは3〜5質量%である。 本発明の口唇化粧料は油性成分がゲル化された状態(ゲル状の化粧料)であり、これにより、保湿性能等の効果を発揮し得るものである。成分(c)の含有量を上記範囲とすることにより、均一なゲル化状態の口唇化粧料を得ることができ、上述した性能を十分に発揮することができる。一方、成分(c)がない状態、すなわち水を含まない状態でも、油性成分がゲル化された状態のものを調製することはできるが、水分を含有させることにより、保湿性能を十分に発揮させることができる。従って、水分含有量は、上記範囲であることが好ましい。 次に、成分(d)について説明する。成分(d)は、炭素数2〜36個のカルボン酸と、炭素数1〜36個のアルコールとからなり、常温(25℃)で液状又はペースト状のエステル油である。 上記エステル油を構成するカルボン酸としては、1〜6価のカルボキシル基を有するものが好ましく、またアルコールとしては、1〜6価の水酸基を有するものが好ましく用いられる。 炭素数2〜36個のカルボン酸と、炭素数1〜36個のアルコールとからなり、常温(25℃)で液状又はペースト状のエステル油としては、例えば、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、ツバキ油、2-エチルヘキサン酸セチル、イソエチルヘキサン酸セチル(イソオクタン酸セチル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル(パルミチン酸オクチル)、ミリスチン酸オクチルドデシル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル−2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル−2、乳酸オクチルドデシル、トリエチルヘキサノイン(トリオクタン酸グリセリル)、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(ジオクタン酸ネオペンチルグリコール)、ジデカン酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル〔(オクタン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル〕、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリル、モノステアリン酸グリセリル、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸エリスリチル等が挙げられる。上記成分(d)は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。 成分(d)としては、上記の中でも、25℃における粘度が300mPa・s以上であるか、又はペースト状のエステル油を用いると、化粧持ちが良い口唇化粧料を得ることができるので好ましい。上記エステル油の中でも、25℃における粘度が300mPa・s以上であるか、又はペースト状のエステル油は、ヒマシ油、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル−2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル−2、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル〔(オクタン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル〕、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリル、モノステアリン酸グリセリル、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパンである。 本発明の口唇化粧料は、後述するように、更に色素を含有する場合があるので、色素分散性の良好なエステル油が特に好ましい。また、口唇への密着性が高く、使用した際の外観の均一な化粧持ちの良い口唇化粧料が得られるので、水酸基価が5以上のエステル油が特に好ましい。上記エステル油の中でも、水酸基価が5以上のエステル油は、ヒマシ油、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル−2、リンゴ酸ジイソステアリル、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパンである。 (d)成分のエステル油は、炭素数が2〜36個のカルボン酸と、炭素数が1〜36個のアルコールとからなるエステルであり、上記カルボン酸と上記アルコールとのエステル化反応によって製造することができる。エステル化反応は、上記カルボン酸及び上記アルコールを適当な反応容器に仕込み、酸、アルカリ又は金属の存在下又は非存在下に、エステル化反応に不活性な有機溶媒及び/又は気体中で150〜200℃の温度で数時間〜10時間程度、副生する水を除去しながら行なうことができる。反応終了後に、未反応物が含まれる場合があるので、この未反応物を水洗し、アルカリ脱酸、シリカゲル等の吸着剤処理等の公知の方法により分離除去し、更に脱色、脱臭処理を行って精製する。 なお、(d)成分のエステル油としては、市販されているものを用いることもでき、例えば、日清オイリオグループ(株)製「コスモール222」(リンゴ酸ジイソステアリルを含有する)、日清オイリオグループ(株)製「コスモール43V」(トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2を含有する)等が使用可能である。 上記成分(d)の含有量は、特に制限はないが、口唇化粧料の全質量に対して、好ましくは70質量%以下であり、更に好ましくは30〜70質量%であり、更に好ましくは34〜70質量%であり、更に好ましくは40〜70質量%であり、更に好ましくは45〜70質量%であり、更に好ましくは45〜65質量%であり、最も好ましくは45〜60質量%であり、成分(d)の含有量を上記範囲とすることにより、均一なゲル化状態の口唇化粧料を得ることができるとともに、化粧もちの効果を更に向上させることができる。 次に、成分(e)の油性ゲル化剤について説明する。成分(e)の油性ゲル化剤は、使用する成分(d)のエステル油に溶解し、該エステル油を25℃の温度において増粘又はゲル化する機能を有するものであれば特に制限なく用いることができる。成分(e)の油性ゲル化剤を配合することにより、口唇化粧料に皮膜感を持たせることができ、化粧料が唇から落ちることを抑制する効果を発揮することができる。 このような油性ゲル化剤としては、例えば、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル(ベヘン酸とエイコサン二酸とグリセリンとから得られるオリゴマー)、デキストリン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、煙霧状シリカ、ショ糖脂肪酸エステル、金属石鹸、有機変性粘土鉱物等が挙げられる。上記成分(e)は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。 例えば、油性ゲル化剤として、ベヘン酸とエイコサン二酸とグリセリンとから得られるオリゴマーを用いる場合、該オリゴマーは、上記成分をエステル化反応してエステル化生成物とすることによって製造することができる。エステル化反応は、上述した成分(a)と同様にして実施することがきる。 上述のようにして得られるオリゴマーは、グリセリン、ベヘン酸及びエイコサン二酸が網目状にエステル化された混合物であり、約50〜80℃の融点を有する。 なお、上述した成分(e)のオリゴマーとしては、市販されているものを用いてもよく、このようなものとしては、例えば、日清オイリオグループ(株)製、「ノムコートHK−G」等が挙げられる。 上記成分(e)の含有量は、使用するエステル油及び油性ゲル化剤の種類によって決定され、使用するエステル油に溶解し、25℃の温度で該エステル油を増粘又はゲル化することのできる量であれば特に制限はないが、通常は、口唇化粧料の全質量に対して、好ましくは0.5〜10質量%であり、更に好ましくは0.5〜7質量%であり、最も好ましくは1〜5質量%である。 本発明の口唇化粧料は、上記成分(a)、(b)及び成分(c)の合計量(a+b+c)と、成分(d)及び成分(e)の合計量(d+e)との質量比((a+b+c):(d+e))は、特に限定はないが、8:2〜3:7であることが好ましく、3:1〜3:7であることが更に好ましく、2:1〜3.7であることが更に好ましく5:5〜3.7であることが最も好ましい。 本発明の口唇化粧料は、上述したように、ゲル化された状態であり、上記成分(a)、(b)及び成分(c)の合計量(a+b+c)と、成分(d)及び成分(e)の合計量(d+e)との質量比((a+b+c):(d+e))を上記範囲とすることにより、均一なゲル化状態の口唇化粧料を得ることができ、保湿性能等の効果を更に向上させることができる。 本発明の口唇化粧料は、色素を含有してもよい。色素を含有させることによって、口紅として用いることができる。該色素としては、例えば、β−カロチン、三二酸化鉄、赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、鉄クロロフィリンナトリウム、ノルビキシンカリウム、ノルビキシンナトリウム、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル、二酸化チタン、アカネ色素、アナトー色素、アルカネット色素、アルミニウム、イモカロテン、ウコン色素、エビ色素、オキアミ色素、オレンジ色素、カカオ色素、カカオ炭末色素、カキ色素、カニ色素、カラメルI、カラメルII、カラメルIII、カラメルIV、カロブ色素、魚鱗箔、金、銀、クサギ色素、クチナシ色素、クーロー色素、コウリャン色素、コチニール色素、骨炭色素、ササ色素、シアナット色素、シコン色素、シタン色素、植物炭末色素、スオウ色素、タマネギ色素、タマリンド色素、デゥナリエラカロテン、トウガラシ色素、トウモロコシ色素、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ビートレッド、ピーナッツ色素、ファフィア色素、ブドウ果皮色素、ペカンナッツ色素、ベニコウジ色素、ベニノキ色素、ベニバナ色素、ヘマトコッカス色素、マリーゴールド色素、ムラサキトウモロコシ色素、ムラサキヤマイモ色素、油煙色素、ラック色素、ログウッド色素、アカキャベツ色素(ムラサキキャベツ色素)、アカゴメ色素、アカダイコン色素、アズキ色素、イカスミ色素、ウグイスカグラ色素、ウコン、エルダーベリー果汁、カウベリー色素、グースベリー色素、クランベリー色素、サフラン色素、サーモンベリー色素、シソ色素、ストロベリー色素、ダイダイ抽出物、ダークスウィートチェリー色素、チェリー色素、チコリ色素、茶、チンブルベリー色素、デゥベリー色素、ノリ色素、ハイビスカス色素、ハクルベリー色素、ブドウ果汁色素、ブラックカーラント色素、ブラックベリー色素、プラム色素、ブルーベリー色素、ボイセンベリー色素、ホップ抽出物、ホワートルベリー色素、マルベリー色素、モレロチェリー色素、ヨモギ抽出物、ラズベリー色素、レッドカーラント色素、ローガンベリー色素、アルミニウムレーキ等の無機、有機の各種顔料を挙げることができる。上記色素は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 本発明の口唇化粧料は、分岐構造を有する炭化水素を含有してもよい。分岐構造を有する炭化水素を含有させることにより、得られる口唇化粧料の艶及び密着性を向上させることができると共に、コストを低下させることができる。該分岐構造を有する炭化水素としては、例えば、イソパラフィン系炭化水素、スクワラン、スクワレン、プリスタン、α−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。上記イソパラフィン系炭化水素とは、イソブチレンを重合成分として含む炭化水素であり、このような炭化水素としては、例えば、ポリブテン(ポリブチレン)、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン(イソパラフィン)、重質流動イソパラフィン(水添ポリイソブテン)、ポリイソブチレン(ブチルゴム)、流動イソパラフィン(流動ポリイソブチレン、水素添加ポリイソブチレン)等が挙げられる。なお、これらを使用する前に蒸留精製してもよい。上記の中でも、無色液状のものが好ましく、艶を付与する観点から、イソパラフィン系炭化水素が好ましく、ポリブテン又は重質流動イソパラフィン(水添ポリイソブテン)が特に好ましい。また、用いられる分岐構造を有する炭化水素としては、500〜2700の平均分子量を有するものが好ましい。艶を付与する観点からは、平均分子量は、500〜2700の範囲にあるのが好ましく、平均分子量が上記範囲の分岐構造を有する炭化水素を用いることにより、感触面の好ましい口唇化粧料を得ることができる。更に、口唇化粧料を製造する際の取り扱い等を考慮すると、平均分子量は800〜1500の範囲がさらに好ましい。 本発明の口唇化粧料に分岐構造を有する炭化水素を含有させる場合、含有量は、特に制限はないが、口唇化粧料の全質量に対し、15質量%以下であることが好ましく、15〜2質量%であることが更に好ましく、12〜5質量%以下であることが最も好ましい。分岐構造を有する炭化水素の含有量を上記範囲とすることにより、均一なゲル化状態の口唇化粧料を得ることができる。また、分岐構造を有する炭化水素を含有させる場合、分岐構造を有する炭化水素と成分(d)との合計量が、口唇化粧料の全質量に対して、好ましくは70質量%以下、更に好ましくは30〜70質量%、更に好ましくは40〜70質量%、更に好ましくは50〜70質量%、最も好ましくは55〜70質量%となるように含有させる。分岐構造を有する炭化水素を含有させた際の、成分(d)との合計量を上記範囲とすることにより、均一なゲル化状態の口唇化粧料を得ることができる。 本発明の口唇化粧料には、上述した効果を損なわない限り、香料、紫外線吸収剤、消炎剤、抗炎消剤、防腐剤、ビタミン剤、防カビ剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、滑沢剤、pH調整剤、矯味剤、矯臭剤等の各種添加剤を含有させてもよい。 本発明の口唇化粧料は、流し込みタイプ、スティックタイプの口紅やリップクリーム、リップグロスとして用いられる。 本発明の口唇化粧料の製造方法については特に制限はなく、例えば以下のようにして製造することができる。 上記成分(a)、(b)及び(c)を混合し、この混合溶液を、撹拌しながら、70〜80℃の温度で加温して成分を溶解する(成分(a)、(b)及び(c)を含む混合溶液を、本明細書において、「多価アルコール部」ともいう。)。一方、成分(d)及び(e)を撹拌しながら、70〜80℃の温度で加温して成分を溶解し、この溶液(成分(d)及び(e)を含む混合溶液を、本明細書において、「油相部」ともいう。)を、上述の成分(a)、(b)及び(c)を含有する混合溶液に、該混合溶液を撹拌しながら徐々に添加する。次いで、溶液を50℃程度の温度まで冷却し、必要に応じて色素やその他の添加剤を加え、室温まで冷却して、本発明の口唇化粧料を得る。なお、冷却する際に、適当な容器に溶液を流し込み、その容器中で冷却して口唇化粧料を調製してもよい。 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。なお、以下の実施例において、部および%は、特に断りのない限り質量部又は質量%を表す。 本実施例では、以下の方法で口唇化粧料の評価を行った。(1)外観 口唇化粧料を肉眼で観察し、下記評価基準に従って評価を行った。 ○:外観が均一であり、ゲル状又は固化状態であった。 ×:外観が不均一であるか、液状であるか、又は分離していた。(2)塗りやすさ 10名のモニターに口唇化粧料を使用してもらい、下記評価基準に従って評価を行った。評価は、10名のモニターの平均的な評価を示す。 ○:唇への塗布がスムーズに行うことができ、問題なく塗布できた。 ×:口唇化粧料が固すぎるか、軟らかすぎて唇への塗布が困難であった。(3)化粧もち 10名のモニターに口唇化粧料を使用してもらい、3時間経過した後の状態を、下記評価基準にしたがって評価を行った。評価は、10名のモニターの平均的な評価を示す。 ○:3時間経過した後に、肉眼で観察を行ったところ、色落ちがしなかった。 ×:3時間経過した後に、肉眼で観察を行ったところ、色落ちしていた。(4)唇荒れ防止 10名のモニターに口唇化粧料を、1週間続けて使用してもらい、1週間使用した後の状態を、下記評価基準に従って評価を行った。評価は、10名のモニターの平均的な評価を示す。 ○:1週間連用した際に、唇の皮がむけたり荒れたりしなかった。 ×:1週間連用した際に、唇の皮がむけたり荒れたりした。(5)艶感 10名のモニターに口唇化粧料を使用してもらい、下記評価基準に従って評価を行った。評価は、10名のモニターの平均的な評価を示す。 ○:唇へ塗布した際に艶感があった。 ×:唇へ塗布した際に艶感がなかった。 実施例1〜実施例3 表1に示す配合割合で口唇化粧料を調整した。まず、表1に示す割合で油相部の成分をビーカーに計り取り、混合溶液とし、この混合溶液を70℃の温度まで加温した。なお、表1中に示す数字は、%である。 上記とは別に、多価アルコール部の成分をビーカーに計り取り、混合溶液とし、油相部と同様に70℃の温度まで加熱した。次いで、70℃まで加温した多価アルコール部の混合溶液を1000rpmでプロペラ撹拌しながら、油相部の混合溶液を徐々に、20分間かけて添加した。添加が終了した後、5分間撹拌を行い、ジャータイプの容器に流し込み、次いで室温まで冷却してゲル状の口唇化粧料を得た。得られた口唇化粧料について、上述した評価を行った。評価結果を表2に示す。 表1において、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル−10は、日清オイリオグループ(株)製の「ノムコートHK−P」を用い、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルは、日清オイリオグループ(株)製の「ノムコートHK−G」を用い、リンゴ酸ジイソステアリルは、日清オイリオグループ(株)製の「コスモール222」、水添ポリイソブテンは、日本油脂(株)製の「パールリーム18」を用いた。 表2に記載の口唇化粧料の評価結果から、実施例1〜3で得られた口唇化粧料は、上記評価のいずれをも満足するものであることがわかる。また、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル−10の多価アルコール部中の割合は、16質量%以下の場合、上記評価をいずれをも満足するものであることがわかる。 実施例4〜実施例6 表3に示す配合を用いた以外は、実施例1〜3と同様に操作を行い、口唇化粧料を得た。なお、表3において、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル−10、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル及び水添ポリイソブテンについては、実施例1〜3と同じものを用いた。得られた口唇化粧料について、上述した評価を行った。評価結果を表4に示す。 表4に記載の口唇化粧料の評価結果から、実施例4〜6で得られた口唇化粧料は、上記評価のいずれをも満足するものであることがわかる。また、水含有量は2〜10質量%の範囲で、上記評価をいずれをも満足するものであることがわかる。 実施例7〜実施例9、比較例1 表5に示す配合を用いた以外は、実施例1〜3と同様に操作を行い、口唇化粧料を得た。なお、表5において、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル−10、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル及び水添ポリイソブテンについては、実施例1〜3と同じものを用いた。また、表5において、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルは、日清オイリオグループ(株)製の「サラコス5418V」を用いた。得られた口唇化粧料について、上述した評価を行った。評価結果を表6に示す。 表6に記載の口唇化粧料の評価結果から、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル(成分(e))を含有しない比較例1の口唇化粧料は化粧持ちが良好でないことがわかる。これに対し、実施例7〜9で得られた口唇化粧料は、上記評価のいずれをも満足するものであることがわかる。また、油性ゲル化剤の含有量は、1〜5質量%の範囲で、上記評価のいずれをも満足するものであることがわかる。 実施例10〜実施例12 表7に示す配合を用いた以外は、実施例1〜3と同様に操作を行い、口唇化粧料を得た。なお、表7において、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル−10、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル及び水添ポリイソブテンについては、実施例1〜3と同じものを用いた。また、表7において、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルは、日清オイリオグループ(株)製の「サラコス5418V」を用いた。得られた口唇化粧料について、上述した評価を行った。評価結果を表8に示す。 表8に記載の口唇化粧料の評価結果から、実施例10〜12で得られた口唇化粧料は、上記評価のいずれをも満足するものであることがわかる。また、多価アルコール部と油相部との質量比が3:7〜5:5の範囲で、上記評価のいずれをも満足するものであることがわかる。 実施例13、比較例2 表9に示す配合を用いた以外は、実施例1〜3と同様に操作を行い、口唇化粧料を得た。なお、比較例2においては、分離して均一なゲル状態とすることができなかったため、評価は行わなかった。 また、表9において、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル−10、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル及び水添ポリイソブテンについては、実施例1〜3と同じものを用いた。また、表9において、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2は、日清オイリオグループ(株)製の「コスモール43V」を用い、リンゴ酸ジイソステアリルは、日清オイリオグループ(株)製の「コスモール222」を用いた。得られた口唇化粧料について、上述した評価を行った。評価結果を表10に示す。 表10に記載の口唇化粧料の評価結果から、実施例13で得られた口唇化粧料は、上記評価のいずれをも満足するものであることがわかる。成分(d)のエステル油を用いなかった比較例2では、分離してしまい、均一なゲル状態とすることができなかったことより、本発明の口唇化粧料においては、成分(d)のエステル油が必須成分であることがわかる。 成分(a):ベヘン酸と、エイコサン二酸と、グリセリン縮合物とから得られるオリゴマー、成分(b):多価アルコール、成分(c):水、成分(d):炭素数2〜36個のカルボン酸と、炭素数1〜36個のアルコールとからなり、常温で液状又はペースト状であるエステル油、及び成分(e):ベヘン酸と、エイコサン二酸と、グリセリンとから得られるオリゴマーを含有し、 成分(e)の含有量が、口唇化粧料の全質量に対して0.5〜7質量%である、口唇化粧料。 成分(a)、成分(b)及び成分(c)の合計量(a+b+c)と、成分(d)及び成分(e)の合計量(d+e)との質量比((a+b+c):(d+e))が、8:2〜3:7である、請求項1に記載の口唇化粧料。 成分(a)の含有量が、成分(a)、(b)及び(c)の合計量に対して20質量%以下である、請求項1又は2に記載の口唇化粧料。 成分(c)の含有量が、口唇化粧料の全質量に対して10質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の口唇化粧料。 成分(d)の含有量が、口唇化粧料の全質量に対して70質量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の口唇化粧料。 成分(e)の含有量が、口唇化粧料の全質量に対して10質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の口唇化粧料。 分岐構造を有する炭化水素を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の口唇化粧料。 色素を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の口唇化粧料。