生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ハイパーブランチポリマーを用いたバイオ支持体及びバイオチップ
出願番号:2007312924
年次:2009
IPC分類:G01N 33/547,G01N 33/543,G01N 33/553,G01N 33/552,C07K 17/08


特許情報キャッシュ

片山 佳樹 森 健 安井 圭 JP 2009139112 公開特許公報(A) 20090625 2007312924 20071203 ハイパーブランチポリマーを用いたバイオ支持体及びバイオチップ 国立大学法人九州大学 504145342 日産化学工業株式会社 000003986 萼 経夫 100068618 宮崎 嘉夫 100104145 中村 壽夫 100093193 加藤 勉 100104385 小野塚 薫 100109690 ▲高▼ 昌宏 100131266 片山 佳樹 森 健 安井 圭 G01N 33/547 20060101AFI20090529BHJP G01N 33/543 20060101ALI20090529BHJP G01N 33/553 20060101ALI20090529BHJP G01N 33/552 20060101ALI20090529BHJP C07K 17/08 20060101ALN20090529BHJP JPG01N33/547G01N33/543 525UG01N33/553G01N33/552G01N33/543 595C07K17/08 14 OL 24 4H045 4H045AA30 4H045BA15 4H045BA62 4H045EA50 本発明は、ハイパーブランチポリマーを用いたバイオ支持体及びバイオチップに関するものである。 バイオチップは、チップ基板上に、抗体やタンパク、ペプチド、DNAなど生体関連分子を固定化させるもので、医療・診断分野、生体メカニズムの研究などへの幅広い利用が期待されている。特に、ペプチドチップは、基板上での酵素反応により病気診断、健康診断、個人判別、生体システムの解析等を行う上で必須と考えられる。 例えば、早期病気発見における生体システムを把握するには、細胞内で生じているプロテインキナーゼ、チロシンキナーゼ、スオレオニンキナーゼなどの病態関連酵素の変動を明らかにしなければならない。そのためには、酵素反応を高いスループットで高感度に解析できるペプチドチップの登場が期待されている。また、ペプチドチップは、ガン、感染症を含めさまざまな疾病の程度などを診断することができる。さらに、このような手法を適用することは、難病の特効薬や副作用のない医薬品を開発する上で、また、テーラーメード医薬を実現する上で有用であると考えられている。 このような生体システムの解析等を目的として、基板上にチロシンキナーゼ、プロテインキナーゼなどの酵素の基質となり得るペプチドを固定化し、リン酸化反応に供することのできるペプチドチップが検討されている(特許文献1、及び特許文献2)。 特許文献1、2に記載のバイオチップ(ペプチドチップ)においては、検体と結合ないしは反応する基質ペプチドを基板の特定位置に固定する方法または効率よく固定する方法と、基質ペプチドの基板上への非特異吸着を抑制する方法の検討がなされている。 特に特許文献1、2に記載の酵素反応を利用するペプチドチップにおいては、酵素基質となるペプチドは、直鎖高分子を介して基板に固定している。そのため、直鎖高分子間に大きく隙間を生じてしまう。そのような基板に基質ペプチドを固定化しようとすると、直鎖隙間に検体が非特異吸着してしまい、これがノイズとなり、正しく固定された基質ペプチドから得られるシグナルと基板とのシグナル差(S/N比)が小さくなり、酵素反応の進行を正しく測定できず、問題となっていた。 また、デンドリマーを利用したバイオチップが報告されている(特許文献3)。スライドガラス表面のアルデヒド基とデンドリマーのアミノ基を反応させてバイオ支持体を製造し、この支持体に核酸を固定化させてバイオチップを作製している。特開2006−226828号公報特開2006−47017号公報特表2004−511804号公報 ペプチドチップでは、基板上への非特異吸着により生じるノイズによりS/N比が小さくなるという課題を有している。特に、直鎖状の高分子を用いて基質となるペプチドを固定化する蛋白質チップでは、直鎖高分子隙間への検体の非特異吸着により、S/N比が小さくなる課題を有している。 また、デンドリマーを用いるバイオチップでは、デンドリマーの世代が大きくなるにつれて、デンドリマーが変形しにくい堅いポリマー粒子となる。また、バイオ支持体を製造する反応工程が煩雑で、反応残留物も発生するという課題を有している。 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、酵素の基質ペプチドを緻密に固定化することが可能であり、酵素が基質に近づき易いように形態を柔軟に変化させることができ、また、それにより検体の非特異吸着を抑制することができ、かつ、簡便な工程で製造できるバイオチップを提供することを目的とする。 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、基板、該基板に結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに結合したリンカーを含むバイオ支持体に生体分子を固定したバイオチップが、上記課題を解決し得るバイオチップとなり得ることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、(1)基板、該基板に硫黄原子又は窒素原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに硫黄原子又は窒素原子を介して結合したリンカーを含むバイオ支持体、(2)前記基板が、その表面が金で覆われた基板であり、該基板に硫黄原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに硫黄原子を介して結合したリンカーを含むことを特徴とする、前記(1)に記載のバイオ支持体、(3)前記基板が、ガラス基板又はプラスチック基板であり、該基板に窒素原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに窒素原子を介して結合したリンカーを含むことを特徴とする、前記(1)に記載のバイオ支持体、(4)前記リンカーがスクシンイミド基及び/又はマレイミド基を含有するものであることを特徴とする、前記(1)ないし(3)の何れか1つに記載のバイオ支持体、(5)前記リンカーが式(1)又は(2)で表されることを特徴とする、前記(4)に記載のバイオ支持体、(式中Xはエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表す。)(6)前記ハイパーブランチポリマーは、平均粒径が1nmないし100nm以下であることを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載のバイオ支持体、(7)前記ハイパーブランチポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が3、000ないし300,000であることを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載のバイオ支持体、(8)前記(1)ないし(7)のいずれか1つに記載のバイオ支持体に生体分子を固定したバイオチップ、(9)前記生体分子がペプチドであることを特徴とする、前記(8)に記載のバイオチップ、(10)表面プラズモン共鳴(SPR)を利用する測定に用いるための前記(8)又は(9)に記載のバイオチップ、(11)表面が金で覆われた基板上に、チオール基を含有するハイパーブランチポリマーを塗布し、その上にマレイミド基を含有する化合物を塗布することを特徴とするバイオ支持体の製造方法、(12)前記マレイミド基を含有する化合物が式(3)又は(4)で表される構造を有することを特徴とする、前記(11)に記載のバイオ支持体の製造方法、(式中Xはエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、Rは水素原子又はSO3-(1/nMn+)(式中、Mn+はn価のカチオンを示し、nは1又は2を表す。)を表す。)(13)前記(11)又は(12)記載のバイオ支持体に、生体分子を塗布することを特徴とする、バイオチップの製造方法、(14)前記生体分子がペプチドであることを特徴とする、前記(13)に記載のバイオチップの製造方法、を提供する。 本発明に従えば、基板、該基板に結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに結合したリンカーを含むことにより、非特異吸着が抑えられてS/N比が向上し、かつ酵素反応がスムーズに進行する高感度なバイオチップおよびバイオセンサが得られる。 特に、本発明のバイオチップを、ペプチドを固定化するペプチドチップとして用いると、ノイズと酵素反応基質とのシグナル差が大きくなり、より生体システム解析容易なバイオチップとなることが判った。 本発明のバイオチップはまた、検査対象となる検体の有無、量、あるいは結合の特異性などの反応状態を検出するための測定装置とを備えたバイオセンサ、特に、表面プラズモン共鳴を利用したバイオセンサに有利に使用することができる。 本発明のバイオチップ及びバイオセンサを用いて、表面プラズモン共鳴や蛍光等の検出方法により検体を測定した場合、ノイズを少なくでき測定精度を向上させることができる。さらに、本発明のバイオチップは、チロシンキナーゼ、プロテインキナーゼなどの酵素の基質となり得るペプチドを固定化して、リン酸化反応に供することができるため、生体システムを理解するための、また、細胞内で発現しているタンパク質分子間の相互作用ネットワークや、そのネットワークの時間的変動を高いスループットで解析するためのペプチドチップとして有利に活用できる。 また、先行技術におけるバイオ支持体の作製は、反応試剤等を用いて基板上にポリマーを化学結合させることにより固定していたため、反応残留物が発生し、それにより工程が煩雑となっていたが、本発明では、基板上にポリマー溶液を塗布するだけという簡便な方法で固定化することができ、それにより反応残留物の発生が抑制され、また、リンカーの導入、ペプチドの固定化もすべて塗布のみという簡単な操作で行うことができるため、工業的製法として優れている。 以下、本発明について詳細に説明する。 本発明のバイオ支持体は、基板、該基板に硫黄原子又は窒素原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに硫黄原子又は窒素原子を介して結合したリンカーを含む。 本発明に使用されるハイパーブランチポリマーとしては、分子末端にチオール基を有するハイパーブランチポリマー及び分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーが挙げられる。 分子末端にチオール基を含有するハイパーブランチポリマーは、例えば、公知の分子末端にジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーのジチオカルバメート基を、例えば、ヒドラジン、ベンジルヒドラジン、アンモニア、金属ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、臭化水素、塩酸、トリフルオロ酢酸、ジアセチル水銀等のチオール化変換剤を用いてチオール化反応を行なうことにより得ることができる。 分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーは、例えば、公知の分子末端にジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーのジチオカルバメート基をアミノ基に変換することにより製造することができる。 具体的には、例えば、ジチオカルバメート基をハロゲン化、例えば臭素原子等に置換し、このハロゲン原子をフタルイミドで置換した後、ヒドラジン誘導体でフタルイミドを分解することにより分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーを製造することができる。 公知の分子末端にジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーとしては、国際公開第2006/093050号パンフレットに記載の、アクリル系ハイパーブランチポリマー、スチレン系ハイパーブランチポリマー、及び特開2004−256563号公報に記載のN、N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレンと、4、4'−ビスマレイミデジフェノルメタンと、メタクリル酸メチルとから合成されたハイパーブランチポリマー等が挙げられる。 本発明に使用される基板としては、ハイパーブランチポリマーのチオール基又はアミノ基と結合し得る基板であれば特に限定されるものではない。アミノ基と反応し得る基板としては、例えば、ガラス基板及びプラスチック基板等が挙げられ、チオール基と反応し得る基板としては、例えば、表面が金で覆われた基板等が挙げられる。 好ましいガラス基板としては、表面にアルデヒド基を有するシリレイテッドスライドガラス等が挙げられる。 プラスチック基板としては、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリノルボルネン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。 表面が金で覆われた基板としては、表面に金を有する基板であれば特に限定はされないが、例えば、金基板又は表面に金が蒸着されたガラス基板若しくは金属基板等が挙げられる。 本発明に使用されるリンカーは、一端にチオール又はアミノ基と結合可能な基を有し、もう一方にペプチドの固定が可能な基を有する試剤を反応させることにより形成されるリンカーである。リンカーの主鎖部分は、ある程度の鎖長を有し、且つ、バイオチップの製造のための反応や、生化学的反応を阻害しないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、炭素原子数1ないし20のアルキレン基(該アルキレン基は、酸素原子、カルボニル、CO2、CONH、フェニレン、環状アルキレン等で複数回中断されていてもよい。)等が挙げられる。 本発明のバイオ支持体は、例えば、分子末端にチオール基を有するハイパーブランチポリマーを表面が金で覆われた基板等に、塗布等の簡単な操作により硫黄原子を介して結合させた後、チオール基と結合可能な基を有するリンカーを該ハイパーブランチポリマーに結合させることにより製造できる。 また、分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーを、例えば、ガラス基板及びプラスチック基板等の表面で反応させ、例えば、表面にアルデヒド基を有するシリレイテッドスライドガラス等の基板上で反応させてシッフ塩基を形成した後、NaBH4等で還元すること等により、ハイパーブランチポリマーを窒素原子を介して基板に結合させ、その後アミノ基と結合可能な基を有するリンカーを該ハイパーブランチポリマーに結合させることにより製造できる。 本発明のバイオ支持体は、好ましくは、前記基板が、その表面が金で覆われた基板であり、該基板に硫黄原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに硫黄原子を介して結合したリンカーを含むことを特徴とする。 本発明のバイオ支持体は、好ましくは、前記基板が、ガラス基板又はプラスチック基板であり、該基板に窒素原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに窒素原子を介して結合したリンカーを含むことを特徴とする。 本発明のバイオ支持体は、好ましくは、前記リンカーがスクシンイミド基及び/又はマレイミド基を含有するものである。 本発明のバイオ支持体は、好ましくは、前記リンカーが式(1)又は(2)で表されるものである。(式中Xはエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表す。) 式(1)における、炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基の具体例としては、メチレン、エチレン、ノルマルプロピレン、ノルマルブチレン、ノルマルヘキシレン等の直鎖状アルキレン、イソプロピレン、イソブチレン、2−メチルプロピレン等の分岐状アルキレンが挙げられる。また環状アルキレンとしては、炭素数3ないし30の単環式、多環式、架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基が挙げられる。具体的には、炭素数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基を挙げることができる。例えば、下記に脂環式脂肪族基のうち、脂環式部分の構造例(a)ないし(s)を示す。 本発明のバイオ支持体は、好ましくは、前記ハイパーブランチポリマーは、その平均粒径が1nmないし100nm以下である。 本発明のバイオ支持体は、好ましくは、前記ハイパーブランチポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は3、000ないし300,000である。 本発明はまた、上記バイオ支持体に生体分子を固定したバイオチップに関する。 バイオチップに固定される生体分子としては、抗体、核酸、アプタマー、タンパク質、ペプチド、糖鎖、糖タンパク質などが挙げられる。 本発明のバイオチップは、好ましくは、バイオチップに固定される生体分子はペプチドである。 使用されるペプチドの種類は特に限定されず、例えば、プロテインキナーゼ、チロシンキナーゼ、スオレオニンキナーゼ等が挙げられる。 本発明のバイオチップは、好ましくは、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用する測定に用いるための生体分子を固定したバイオチップ、特にペプチド固定したバイオチップである。 本発明はまた、表面が金で覆われた基板上に、チオール基を含有するハイパーブランチポリマーを塗布し、その上にマレイミド基を含有する化合物を塗布することを特徴とするバイオ支持体の製造方法に関する。 表面が金で覆われた基板及びチオール基を含有するハイパーブランチポリマーは、上述と同様のものが挙げられる。 チオール基を含有するハイパーブランチポリマーの塗布は、例えば、有機溶剤にチオール基を含有するハイパーブランチポリマーを0.05〜10質量%濃度になるように溶解した溶液を、浸漬、吹きつけ等の公知の方法で基板表面に塗布した後、室温下ないしは加温下にて乾燥させることにより行うことができる。 上記有機溶剤としてはDMF、DMSO、エタノール、メタノール、t−ブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン等の単独溶媒またはこれらの混合溶剤が挙げられ、DMF又はDMSOが好ましい。 マレイミド基を含有する化合物を塗布する方法は、上記と同様の塗布方法を挙げることができる。 本発明のバイオ支持体の製造方法は、前記マレイミド基を含有する化合物が式(3)又は(4)で表される化合物であるのが好ましい。(式中Xはエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、Rは水素原子又はSO3-(1/nMn+)(式中、Mn+はn価のカチオンを示し、nは1又は2を表す。)を表す。) エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基としては、前記式(1)で示されたものと同様のものが挙げられる。 好ましいRの具体例としては、水素原子、−SO3Na等が挙げられる。 本発明はまた、前記記載のバイオ支持体に、生体分子を塗布することを特徴とする、バイオチップの製造方法に関する。 生体分子としては、上記と同様のものが挙げられ、生体分子の塗布は、例えば、生体分子の溶液(例えば、PBS、TBS等の緩衝液)を、浸漬、吹きつけ等の公知の方法で基板表面に塗布した後、室温下ないしは加温下にて乾燥させることにより行うことができる。 本発明のバイオチップの製造方法は、前記生体分子がペプチドであるものが好ましい。 ペプチドとしては上記と同様のものが挙げられる。 本発明のバイオチップの一つの態様の模式図を図1に示した。 該態様において、表面が金で覆われた基板上にチオール基を含有するハイパーブランチポリマー(HPS−SH)が硫黄原子を介して固定され、次にハイパーブランチポリマーにリンカーとして2価性のマレイミドを反応させて結合し、その後、N端にCysを持つペプチドを該マレイミドに反応させて固定化する。 以下に、本発明に使用されるチオール基を含有するハイパーブランチポリマーの製造方法の1例として式(6)で表される化合物の製造方法に付き説明する。 ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー(5)をチオール化変換剤によって処理すること、すなわち、ジチオカルバメート基をチオール基に変換することによって分子末端にチオール基を有する式(6)で表されるハイパーブランチポリマーを得ることができる。(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、A1は式(7)又は式(8):(式中A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1ないし30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表し、DCは、ジチオカルバメート基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100000の整数を表す。) 反応の方法は、ジチオカルバメート基をチオール基に変換することができる方法であれば、特に制限はない。 具体的には、ヒドラジン、ベンジルヒドラジン、アンモニア、金属ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、臭化水素、塩酸、トリフルオロ酢酸、ジアセチル水銀等のチオール化変換剤を用いてチオール化反応を行なうことができる。その使用量は、ハイパーブランチポリマー内のジチオカルバメート基の数に対して1ないし200倍モル当量、又は2ないし100倍モル当量、又は2.5ないし80倍モル当量、又は3ないし50倍モル当量であればよい。チオール化反応の条件としては、反応時間0.01ないし100時間、反応温度0ないし200℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間1ないし80時間、反応温度20ないし150℃である。 チオール化反応は水又は有機溶剤中で行なうことが好ましい。使用する溶剤は、前記のジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマー(5)とチオール化変換剤を溶解可能なものが好ましい。またジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマー(5)を製造する際に使用する溶剤と同じであると、反応操作も簡便になり好ましい。 チオール化反応の方法としては、有機溶剤溶液中、ヒドラジン等の化合物を使用して、加熱還流することによって行なう反応が好ましい。有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン及びジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系化合物、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が使用できる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー(5)の質量に対して0.2ないし1000倍質量、又は1ないし500倍質量、又は5ないし100倍質量、又は10ないし50倍質量の有機溶剤を使用することが好ましい。また、この反応では反応開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴンなどの不活性気体で系内を置換するとよい。 上述のようなチオール化反応によって得られたチオール基を含有するハイパーブランチポリマー(6)は、反応溶液中から溶剤留去又は固液分離により溶剤と分離することができる。また、反応溶液を貧溶剤中へ加えることによりチオール基を含有するハイパーブランチポリマー(6)を沈殿させ、粉末として回収することもできる。 なお、チオール基を含有するハイパーブランチポリマーは、分子末端の一部がジチオカルバメート基として残存していてもよい。 尚、上記化合物における置換基の具体例を以下に示す。 アルキレン基の具体例としては、メチレン、エチレン、ノルマルプロピレン、ノルマルブチレン、ノルマルヘキシレン等の直鎖状アルキレン、イソプロピレン、イソブチレン、2−メチルプロピレン等の分岐状アルキレンが挙げられる。また環状アルキレンとしては、炭素数3ないし30の単環式、多環式、架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基が挙げられる。具体的には、炭素数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基を挙げることができる。例えば、下記に脂環式脂肪族基のうち、脂環式部分の構造例として前述の(a)ないし(s)が示される。 炭素原子数1ないし20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基及びノルマルペンチル基等が挙げられる。炭素原子数1ないし20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基及びノルマルペンチルオキシ基等が挙げられる。ハロゲン基としてはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基である。X1、X2、X3及びX4としては、水素原子又は炭素原子数1ないし20のアルキル基が好ましい。 また、式(5)及び(6)のA1としては、式(9)又は式(10)で表される構造であることが好ましい。式(10)中、mは2ないし10の整数を表し、mとしては2又は3が好ましい。 以下に、本発明に使用されるアミノ基を含有するハイパーブランチポリマーの製造方法の具体例に付き説明する。 分子末端にアミノ基を含有するハイパーブランチポリマーは、例えば、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー(5)のジチオカルバメート基をハロゲン化、例えば臭素原子等に置換し、このハロゲン原子をフタルイミドで置換した後、ヒドラジン誘導体でフタルイミドを分解することにより製造できる。 上記ハロゲン化の方法は、ジチオカルバメート基をハロゲン原子に変換することができる方法であれば、特に制限はない。本反応で使用できるハロゲン化剤としては、塩素、N−クロロコハク酸イミド、塩素化イソシアヌール酸、塩化スルフリル、ターシャリーブチルハイポクロリド、三塩化リン、五塩化リン、トリフェニルホスフィンジクロリド、塩化第二銅、五塩化アンチモン等の塩素化剤、臭素、N−ブロモコハク酸イミド、N−ブロムグルタルイミド、N,N',N”−トリブロモイソシアヌル酸、N,N'−ジブロモイソシアヌル酸ナトリウム、N,N'−ブロムイソシアヌル酸カリウム、N,N'−ジブロモイソシアヌル酸、N−ブロモイソシアヌル酸ナトリウム、N,N’−ジブロムヒダントイン、N−ブロモヒダントインカリウム、N,N’−ブロモヒダントインナトリウム、N−ブロム−N’−メチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5’−ジメチルヒダントイン、3−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントイン、3−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントイン、1−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントインナトリウム、1−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントインカリウム、3−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントインナトリウム、3−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントインカリウム等の臭素化剤、ヨウ素、N−ヨードコハク酸イミド、ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸、ヨウ素酸等のヨウ素化剤を使用することができる。ハロゲン化剤の使用量は、ハイパーブランチポリマー内のジチオカルバメート基の数に対して1ないし20倍モル当量、好ましくは1.5ないし15倍モル当量、より好ましくは2ないし10倍モル当量であればよい。置換反応の条件としては、反応時間0.01ないし100時間、反応温度0ないし300℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間0.1ないし10時間、反応温度20ないし150℃である。 分子末端のジチオカルバメート基をハロゲン原子に置換する反応は、水又は有機溶剤中で行なうことが好ましい。使用する溶剤は、前記のジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーとハロゲン化剤とを溶解可能なものが好ましい。また、該溶剤がジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーを製造する際に使用する溶剤と同じものであると、反応操作も簡便になり好ましい。 ハロゲン化の方法としては、有機溶剤溶液中、臭素等のハロゲン化剤を使用して、加熱還流することによって行なう反応が好ましい。有機溶剤としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、酢酸等の有機酸系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が使用できる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種またはそれ以上を混合して用いてもよい。また、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーの質量に対して0.2ないし1,000倍質量、好ましくは1ないし500倍質量、より好ましくは5ないし100倍質量、最も好ましくは10ないし50倍質量の有機溶剤を使用することが好ましい。また、この反応では反応開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴン等の不活性気体で系内を置換するとよい。反応条件としては、反応時間0.01ないし100時間、反応温度0ないし200℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間0.1ないし5時間、反応温度20ないし150℃である。 反応後は系内に残存するハロゲン化剤を分解処理することが望ましいが、その際、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の還元剤の水溶液、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ水溶液を用いることが出来る。また、エチレン、プロピレン、ブテン、シクロヘキセン等の不飽和結合を含む化合物と反応させてもよい。使用量は用いたハロゲン化剤に対して、0.1ないし50当量、好ましくは、0.5ないし10当量、より好ましくは1ないし3当量であれば良い。上述のような反応によって得られた本発明の分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーは、反応溶液中から溶剤留去又は固液分離により溶剤と分離することができる。また、反応溶液を貧溶剤中へ加えることにより本発明の分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーを沈殿させ、粉末として回収することもできる。 なお、本発明の分子末端にハロゲン原子を含有するハイパーブランチポリマーは、分子末端の一部がジチオカルバメート基として残存していてもよい。 ハロゲン原子のフタルイミドによる置換は以下のようにして行うことができる。 フタルイミドの使用量は、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマー中のハロゲン原子の1モル当量に対して0.1ないし20倍モル当量、好ましくは0.5ないし10倍モル当量、より好ましくは1ないし5倍モル当量であればよい。反応の条件としては、反応時間は0.01ないし100時間、反応温度は0ないし300℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間が0.1ないし10時間で、反応温度が20ないし150℃である。 分子末端のハロゲン原子とフタルイミドとの反応は、水又は有機溶剤溶液中で、塩基の存在下又は非存在下で行なうことができる。使用する溶剤は、前記のハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーとフタルイミドを溶解可能なものが好ましい。さらに、前記ハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーとフタルイミドを溶解可能であるが、分子末端にフタルイミド基を有するハイパーブランチポリマーを溶解しない溶媒であれば、単離が容易となりさらに好適である。 有機溶剤としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、水及び酢酸等の有機酸系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の脂肪族炭化水素類等が使用できる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、使用量は、ハロゲン原子を分子末端に有するハイパーブランチポリマーの質量に対して0.2ないし1,000倍質量、好ましくは1ないし500倍質量、より好ましくは5ないし100倍質量、最も好ましくは10ないし50倍質量の有機溶剤を使用することが好ましい。また、この反応では反応開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴン等の不活性気体で系内を置換するとよい。反応条件としては、反応時間0.01ないし100時間、反応温度0ないし200℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間が0.1ないし5時間で、反応温度が20ないし150℃である。 好適な塩基としては一般に、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属水素化物及びアルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属アミド、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム)、アルカリ金属重炭酸塩(例えば重炭酸ナトリウム)等の無機化合物、並びにアルカリ金属アルキル、アルキルマグネシウムハロゲン化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、ジメトキシマグネシウム等の有機金属化合物が使用される。特に好ましいのは、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムである。また、使用量は、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーの質量に対して0.2ないし10倍等量、好ましくは0.5ないし10等量、最も好ましくは1ないし5等量の塩基を使用することが好ましい。 塩基の存在下で、フタルイミドと分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーと反応させた場合、分子末端にフタルイミド基を有する化合物を得ることができる。 更に、分子末端にフタルイミド基を有する化合物を、ヒドラジン、メチルヒドラジン、フェニルヒドラジン等のヒドラジン誘導体による加水分解によって、下式で表される構造、即ち、分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーを得ることができる。(式中、R1、A1、nの定義及び具体例は、式(6)で表されるハイパーブランチポリマーで示されたものと同様である。) 上述のような反応方法によって得られた本発明の分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーは、反応溶液中から溶剤留去又は固液分離により溶剤と分離することができる。また、反応溶液を貧溶剤中へ加えることによりハイパーブランチポリマーを沈殿させ、粉末として回収することもできる。 なお、本発明の分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーは、分子末端の一部がハロゲン原子として残存していてもよい。 次に、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー(5)の製造方法に付き説明する。 ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーは、式(11)で表されるジチオカルバメート化合物をリビングラジカル重合することによって得られる。 式(11)中、R1及びA1は前記と同義であり、R2及びR3は、それぞれ、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表すか、又は、R2とR3は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成する。 炭素原子数1ないし5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロペンチル基及びノルマルペンチル基等が挙げられる。炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基等が挙げられる。炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基としては、ベンジル基及びフェネチル基等が挙げられる。 R2とR3が互いに結合し窒素原子と共に形成する環としては四ないし八員環が挙げられる。そして、環としてメチレン基を四ないし六個含む環が挙げられる。また、環としては酸素原子又は硫黄原子と、四ないし六個のメチレン基を含む環が挙げられる。R2とR3が互いに結合し窒素原子と共に形成する環の具体例としては、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環及びホモピペリジン環等が挙げられる。 式(11)の化合物の具体例としては、N,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン及びN,N−ジエチルジチオカルバミルエチルメタクリレート等が挙げられる。 式(11)の化合物のリビングラジカル重合は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの公知の重合形式により行なうことができる。溶液重合が好ましい。 溶液重合の場合は、式(11)の化合物を溶解可能な溶剤中で、任意の濃度で重合反応を行なうことができる。式(11)の化合物の濃度は任意であるが、例えば1ないし80質量%であり、又は2ないし70質量%であり、又は5ないし60質量%、又は30ないし50質量%である。溶剤としては、式(11)の化合物を溶解可能な溶剤であれば特に制限はない。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系化合物、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。 式(11)の化合物のリビングラジカル重合は、溶剤中、加熱又は紫外線等の光照射によって行なうことができる。紫外線等の光照射によって行なうことが好ましい。リビングラジカル重合においては、重合開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴンなどの不活性気体で系内を置換するとよい。重合時間としては、例えば0.1ないし100時間であり、又は1ないし50時間であり、又は3ないし30時間である。通常、重合時間の経過と共にモノマー(式(11)の化合物)の転化率は増加する。重合温度は特に制限されないが、例えば0ないし200℃であり、又は10ないし150℃であり、又は20ないし100℃である。 式(11)の化合物のリビングラジカル重合は、また、Macromolecules Vol.35, No.9, 3781−3784(2002)又はMacromolecules Vol.36, No.10, 3505−3510(2002)記載の方法を参照して行なうことができる。 式(11)で表されるジチオカルバメート化合物のリビングラジカル重合によりジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーが得られる。ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーは次のようにして生成すると考えられる。 すなわち、式(11)の化合物への光照射等によってA1−S結合が開裂してラジカル種(式(12))が発生する。次に、式(12)のラジカル種が式(11)の化合物と反応し式(13)の化合物を生成する。さらに、式(13)においてC−S結合又はA1−S結合が開裂してラジカル種を発生し、それが式(11)の化合物と反応することによって式(14)又は式(15)の化合物を与える。なお、式(14)及び式(15)中、DCはジチオカルバメート基(−SC(=S)N(R2)R3)を表す。そして、式(14)又は式(15)の化合物から同様の反応が繰り返されることによって、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーが生成すると考えられる。 リビングラジカル重合時には、分子量や分子量分布を調整するために、メルカプタン類及びサルファイド類等の連鎖移動剤や、二硫化テトラエチルチウラムなどのスルフィド化合物を使用することができる。さらに所望により、ヒンダードフェノール類などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール類などの紫外線吸収剤、4−tert−ブチルカテコール、ハイドロキノン、ニトロフェノール、ニトロクレゾール、ピクリン酸、フェノチアジン及びジチオベンゾイルジスルフィド等の重合禁止剤を使用できる。 さらにリビングラジカル重合時には、分岐度や重合度を調整するために、ジチオカルバメート基を有していない公知のビニルモノマー又は不飽和二重結合を有する化合物を添加することができる。これらは、式(11)の化合物に対して50モル%未満の割合で使用することができる。これらの具体例としては、スチレン類、ビニルビフェニル類、ビニルナフタレン類、ビニルアントラセン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルピロリドン類、アクリロニトリル類、マレイン酸類、マレイミド類、ジビニル化合物類及びトリビニル化合物類が挙げられる。 本発明の主な特徴は、バイオ支持体にハイパーブランチポリマーを用いることにある。 ハイパーブランチポリマーは柔軟な粒子状の高分子として知られている。そのため、基板上にハイパーブランチポリマーを用いて薄膜を形成した場合、直鎖状高分子を用いて形成した薄膜に比べて、その表面積が大きくなることが予想される。それにより、ハイパーブランチポリマーを用いて形成した薄膜の表面上に基質ペプチドを固定化した方が、直鎖状高分子を用いて形成した薄膜の表面上に基質ペプチドを固定化するより、より緻密にペプチドを基板上に固定化することができる。この効果により、ハイパーブランチポリマーを用いることにより、S/N比の大きなペプチドチップを作成することができる。 また、ハイパーブランチポリマーは柔軟な粒子であるため、酵素が基質に近づけるようその形態を自由に変えることで、スムーズに酵素反応を進行させることができる。これに対し、ハイパーブランチポリマーと同様にデンドリック(樹枝状)な構造を有する高分子であるデンドリマーは、その表面積は大きくなるものの、構成する分子の規則性の高さから柔軟性が乏しくなるため、酵素が粒子上の基質へと近づくのに対応できず、そのため、スムーズに酵素反応を進行させることができない。 ハイパーブランチポリマーのデンドリマーに対する更なる利点は、その合成の簡便さが挙げられる。特に工業的生産においては有利である。一般にデンドリマーが保護−脱保護を繰り返し合成されるのに対し、ハイパーブランチポリマーは1分子中に二種類の置換基を合計3個以上持つ、いわゆるABX型モノマーの1段階重合により合成される。 ハイパーブランチポリマーのデンドリマーに対する特性の違いとして、不規則な分岐及び分子量分布を有する点が挙げられる。ハイパーブランチポリマーは、線状および完全に分岐した繰り返し単位の混合物を有し、それに対してデンドリマーは、線状の繰り返し単位も有さずに、規則的に分岐した繰り返し単位を有する。また、ハイパーブランチポリマーは分子量分布を有し、それに対してデンドリマーは、単一の分子量を有する。 ハイパーブランチポリマーとデンドリマーとのこれらの差異は、球状のデンドリマーと比較してハイパーブランチポリマーの構造にランダム性及び不規則性があるということである。 デンドリマーを堅いポリマーとするとハイパーブランチポリマーは柔らかいポリマーと表現できる。 ハイパーブランチポリマーは一般的に、AB2、AB3のように一分子中にA官能基を1官能基有し且つA官能基と反応しうるB官能基を2官能基以上有するABx型化合物や、AB*型と呼ばれる重合点と開始剤それぞれ1つずつ兼ね備えた化合物とを縮合、付加、あるいは挿入反応などを利用して重合したものを指し、高度に分岐した高分子である。AB*型分子は、重合点にあたるA官能基と開始剤となるB*官能基とが反応し、反応後にA官能基は消失するがB*は脱離、付加により反応後でもB*としての反応性を残したままとなる化合物である。 ここで例えばAB2型の場合、A官能基がカルボキシル基の場合にはB官能基はアミノ基があげられ、この場合はハイパーブランチポリアミドとなる。また、AB*型の場合、A官能基がスチレン性二重結合の場合にはB*官能基はジチオカーバメート基があげられ、その場合はハイパーブランチポリスチレンとなる。 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。 以下の実施例において、試料の物性測定には下記の装置を使用した。(1)液体クロマトグラフィー 装置:Agilent製 1100Series カラム:Inertsil ODS−2 カラム温度:40℃ 溶媒:アセトニトリル/水=60/40(体積比) 検出器:RI(2)ゲル浸透クロマトグラフィー 装置:東ソー株式会社製 HLC−8220GPC カラム:Shodex KF−805L+KF−804L カラム温度:40℃ 溶媒:テトラヒドロフラン 検出器:RI(3)FT−IR 装置:ニコレー・ジャパン株式会社製 NEXUS670(4)熱重量分析 装置:(株)リガク製 TG8120 昇温速度:10℃/分 空気量:60ml/分(5)融点分析 装置:(株)リガク製 DSC8230 昇温速度:2℃/分 窒素量:60ml/分(6)元素分析(炭素、水素、窒素) 装置:パーキンエルマー製 PE2400II 燃焼管温度:975℃(7)元素分析(硫黄) 前処理装置:株式会社ダイアンインスツルメンツ製 自動試料燃焼装置 AQF−100型 燃焼管温度:1000℃ 分析装置:日本ダイオネクス株式会社製 ICS−1500 カラム:Dionex AS12A 溶離液:Na2CO3 2.7mM − NaHCO3 0.3mM(8)元素分析(ナトリウム) 装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 Vista−Pro参考例1:N、N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレンの合成 2Lの反応フラスコに、クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−14(商品名)]120g、N、N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3水和物[関東化学(株)製]181g、アセトン1400gを仕込み、撹拌下、40℃で1時間反応させた。反応後、析出した塩化ナトリウムを濾過して除き、その後エバポレーターで反応溶液からアセトンを留去させ、反応粗粉末を得た。この反応粗粉末をトルエンに再溶解させ、トルエン/水系で分液後、−20℃の冷凍庫内でトルエン相から目的物を再結晶させた。再結晶物を濾過、真空乾燥して、白色粉末の目的物206g(収率97%)を得た。液体クロマトグラフィーによる純度(面百値)は100%であった。DSC測定で融点は56℃であった。参考例2:ジチオカルバメート基を分子末端に有するスチレン系ハイパーブランチポリマーの合成 300mlの反応フラスコに、N、N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン108g、トルエン72gを仕込み、撹拌して淡黄色透明溶液を調製した後、反応系内を窒素置換した。この溶液の真ん中から100Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株)製、HL−100]を点灯させ、内部照射による光重合反応を、撹拌下、室温で12時間行なった。次にこの反応液をメタノール3000gに添加してポリマーを高粘度な塊状状態で再沈した後、上澄み液をデカンテーションで除いた。さらにこのポリマーをテトラヒドロフラン300gに再溶解した後、この溶液をメタノール3000gに添加してポリマーをスラリー状態で再沈した。このスラリーを濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物48gを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは20,900、分散度Mw/Mnは4.9であった。元素分析は、炭素64.6%、水素7.4%、窒素5.0%、硫黄25.3%であった。熱重量分析より、5%重量減少温度は248℃であった。 また、得られた目的物の2質量%シクロヘキサノン溶液を調整し、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過した。この溶液をシリコンウェハー上にスピンコート法で塗布し、その後ホットプレート上にて温度150℃で3分間加熱し、膜厚44nmの薄膜状成形体を得た。この薄膜状成形体の表面状態をAFM測定にて観察した。薄膜表面には多数の粒径10nm程度の粒子が点在している様子が観察され、表面粗さは0.36nmであった。参考例3:ジチオカルバメート基のチオール化(HPS−SHの合成) 還流塔を付した100mlの反応フラスコに、参考例2で得たジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー5g、1,4−ジオキサン50gを仕込み、撹拌して無色透明溶液を調製した後、ヒドラジン一水和物[関東化学社製]50gを加え、反応系内を窒素置換した。溶液を3日間還流した後、室温まで冷却した。二層分離した溶液の下層を除去、これに飽和食塩水を加えて有機層を洗浄後、無水硫酸マグネシウムによって乾燥させた。この溶液を濃縮し、クロロホルム5gを加え、これを50gのn-ヘキサンに滴下することで、再沈を行った。得られた無色粉末を再度クロロホルム5gに溶解し、50gのメタノールに滴下し、再沈を行った。得られた無色粉末を乾燥して、ジチオカルバメート基がチオール基に変換したハイパーブランチポリマー2.5gを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは16,900であった。元素分析は、炭素73.2%、水素6.9%、硫黄18.6%、窒素1.0%未満、であった。得られたハイパーブランチポリマーは下式で表される構造を有する。実施例1:表面プラズモン検出用ペプチドアレイのHSP-SHによる高感度化 1 mg/mL HSP-SH〔Mw 16900(SH化率80%)、Mw 81000(SH化率80%)〕のDMF溶液に対して、金蒸着基板を浸漬し、室温で2時間放置する。放置後、DMFで洗浄する。また、対照実験として、1 mM 1,8-octanedithiolのエタノール溶液に対して、金蒸着基板を浸漬し、室温で2時間放置する。放置後、エタノールで洗浄する。得られた基板を5 mM 1,4-bis-maleimidobutaneのDMF溶液に対して、室温で1時間浸漬する。浸漬後、DMFで洗浄する。10-1000 uMのペプチド溶液(1 x PBS緩衝液)に対して、室温で2時間浸漬する。浸漬後、1xPBS緩衝液にて洗浄する。ペプチドの配列は次ぎの通りである:CXXXDEVDGGSY-NH2(X = -NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CO-, Y = N-D-biotinyl-L-lysine)。5 mM 片末端チオール化ポリエチレングリコール(Mw 2,000)溶液(1 x PBS緩衝液)に対して、室温で40分間浸漬する。浸漬後、1xPBS緩衝液にて洗浄する。SPR測定: 基板をSPR装置(TOYOBO製、SPRinter)にセットし、まず、running buffer(0.05 % Tween, 1xTBS緩衝液)を1分間流す。1 mg/mL ストレプトアビジン溶液(0.05 % Tween, 1xTBS緩衝液)を10分間流し、基板上のペプチドとの反応を行う。10分間の反応で、SPRシグナルの変化が飽和に達することを確認した。 結果を図2にペプチドアレイのシグナル強度イメージを示し、また図3にはその強度をグラフで表示した。 尚、図3中のHBP(ハイパーブランチポリマー)は、HPS−SHを意味する。 結果:全てのペプチド濃度においてSPRシグナル強度は、HPS-SHの方が対照として用いた1,8-octanedithiolよりも高くなった。シグナル強度が高いほどアビジンの吸着量が多いと考えられ、それはすなわち、シグナル強度が高いほどペプチドの固定化量が多いことを表している。したがって、HPS-SHの方がペプチド固定化量が多いと考えられる。1,8-octanedithiolの固定化は自己組織膜ができる程度の濃度であるため、この場合も基板表面にはかなり高密度にSHが存在していると考えられる。しかしながら、HPS-SHの場合は、(1)ハイパーブランチポリマー内部にもSHが存在する、(2)HPS-SHが球状という形態のため基板の表面積が大きくなるなどが原因となって、1,8-octanedithiolよりも固定化量が増えたと考えられる。 また、分子量の異なるHPS-SHで比較した場合、いずれのペプチド濃度においても分子量の小さい方(Mw 16,900)がSPRシグナル強度は高かった。これは、分子量の小さいものの方が、比表面積が大きいため、結果としてそれが固定化された基板表面積も大きくなったためと考えられる。生体分子固定化基板へのペプチド固定化示す模式図である。実施例1におけるペプチドアレイのSPRシグナル強度イメージを示す図である。実施例1におけるペプチド固定リンカーの種類とSPRシグナル強度の関係を示すグラフである。基板、該基板に硫黄原子又は窒素原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに硫黄原子又は窒素原子を介して結合したリンカーを含むバイオ支持体。前記基板が、その表面が金で覆われた基板であり、該基板に硫黄原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに硫黄原子を介して結合したリンカーを含むことを特徴とする、請求項1に記載のバイオ支持体。前記基板が、ガラス基板又はプラスチック基板であり、該基板に窒素原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに窒素原子を介して結合したリンカーを含むことを特徴とする、請求項1に記載のバイオ支持体。前記リンカーがスクシンイミド基及び/又はマレイミド基を含有するものであることを特徴とする、請求項1ないし3の何れか1項に記載のバイオ支持体。前記リンカーが式(1)又は(2)で表されることを特徴とする、請求項4に記載のバイオ支持体。(式中Xはエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表す。)前記ハイパーブランチポリマーは、平均粒径が1nmないし100nm以下であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のバイオ支持体。前記ハイパーブランチポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が3、000ないし300,000であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のバイオ支持体。請求項1ないし7のいずれか1項に記載のバイオ支持体に生体分子を固定したバイオチップ。前記生体分子がペプチドであることを特徴とする、請求項8に記載のバイオチップ。表面プラズモン共鳴(SPR)を利用する測定に用いるための請求項8又は9に記載のバイオチップ。表面が金で覆われた基板上に、チオール基を含有するハイパーブランチポリマーを塗布し、その上にマレイミド基を含有する化合物を塗布することを特徴とするバイオ支持体の製造方法。前記マレイミド基を含有する化合物が式(3)又は(4)で表される構造を有することを特徴とする、請求項11に記載のバイオ支持体の製造方法。(式中Xはエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、Rは水素原子又はSO3-(1/nMn+)(式中、Mn+はn価のカチオンを示し、nは1又は2を表す。)を表す。)請求項11又は12記載のバイオ支持体に、生体分子を塗布することを特徴とする、バイオチップの製造方法。前記生体分子がペプチドであることを特徴とする、請求項13に記載のバイオチップの製造方法。 【課題】ハイパーブランチポリマーを用いたバイオ支持体及びバイオチップの提供。【解決手段】基板に硫黄原子又は窒素原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに硫黄原子又は窒素原子を介して結合したリンカーを含むバイオ支持体であって、前記基板が、その表面が金で覆われた基板であり、該基板に硫黄原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに硫黄原子を介して結合したリンカーを含み、前記リンカーがスクシンイミド基及び/又はマレイミド基を含有するものであるバイオチップ支持体。【選択図】なし


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特許公報(B2)_ハイパーブランチポリマーを用いたバイオ支持体及びバイオチップ

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ハイパーブランチポリマーを用いたバイオ支持体及びバイオチップ
出願番号:2007312924
年次:2013
IPC分類:G01N 33/547,G01N 33/543,G01N 33/553,G01N 33/552,C07K 17/08


特許情報キャッシュ

片山 佳樹 森 健 安井 圭 JP 5139046 特許公報(B2) 20121122 2007312924 20071203 ハイパーブランチポリマーを用いたバイオ支持体及びバイオチップ 国立大学法人九州大学 504145342 日産化学工業株式会社 000003986 萼 経夫 100068618 宮崎 嘉夫 100104145 中村 壽夫 100093193 加藤 勉 100104385 小野塚 薫 100109690 ▲高▼ 昌宏 100131266 片山 佳樹 森 健 安井 圭 20130206 G01N 33/547 20060101AFI20130117BHJP G01N 33/543 20060101ALI20130117BHJP G01N 33/553 20060101ALI20130117BHJP G01N 33/552 20060101ALI20130117BHJP C07K 17/08 20060101ALN20130117BHJP JPG01N33/547G01N33/543 525UG01N33/553G01N33/552G01N33/543 595C07K17/08 G01N 33/547 G01N 33/543 G01N 33/552 G01N 33/553 C07K 17/08 CA/REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開2005−283572(JP,A) 特開2007−298334(JP,A) 特表2004−511804(JP,A) 特開2006−242753(JP,A) 国際公開第2006/093050(WO,A1) 特開2002−323497(JP,A) 高分子学会予稿集(CD−ROM),2007年 5月10日,Vol.56, No.1, Disk1, Page.2PC061 高分子学会予稿集(CD−ROM),2006年,Vol.55, No.2, Disk1, Page.3PB012 高分子学会予稿集(CD−ROM),2006年,Vol.55, No.1, Disk1, Page.2F15 ポリマー材料フォーラム講演予稿集,2007年11月14日,Vol.16th, Page.45 Mater Integr,2007年 4月25日,Vol.20, No.5, Page.29-34 17 2009139112 20090625 28 20101130 三木 隆 本発明は、ハイパーブランチポリマーを用いたバイオ支持体及びバイオチップに関するものである。 バイオチップは、チップ基板上に、抗体やタンパク、ペプチド、DNAなど生体関連分子を固定化させるもので、医療・診断分野、生体メカニズムの研究などへの幅広い利用が期待されている。特に、ペプチドチップは、基板上での酵素反応により病気診断、健康診断、個人判別、生体システムの解析等を行う上で必須と考えられる。 例えば、早期病気発見における生体システムを把握するには、細胞内で生じているプロテインキナーゼ、チロシンキナーゼ、スオレオニンキナーゼなどの病態関連酵素の変動を明らかにしなければならない。そのためには、酵素反応を高いスループットで高感度に解析できるペプチドチップの登場が期待されている。また、ペプチドチップは、ガン、感染症を含めさまざまな疾病の程度などを診断することができる。さらに、このような手法を適用することは、難病の特効薬や副作用のない医薬品を開発する上で、また、テーラーメード医薬を実現する上で有用であると考えられている。 このような生体システムの解析等を目的として、基板上にチロシンキナーゼ、プロテインキナーゼなどの酵素の基質となり得るペプチドを固定化し、リン酸化反応に供することのできるペプチドチップが検討されている(特許文献1、及び特許文献2)。 特許文献1、2に記載のバイオチップ(ペプチドチップ)においては、検体と結合ないしは反応する基質ペプチドを基板の特定位置に固定する方法または効率よく固定する方法と、基質ペプチドの基板上への非特異吸着を抑制する方法の検討がなされている。 特に特許文献1、2に記載の酵素反応を利用するペプチドチップにおいては、酵素基質となるペプチドは、直鎖高分子を介して基板に固定している。そのため、直鎖高分子間に大きく隙間を生じてしまう。そのような基板に基質ペプチドを固定化しようとすると、直鎖隙間に検体が非特異吸着してしまい、これがノイズとなり、正しく固定された基質ペプチドから得られるシグナルと基板とのシグナル差(S/N比)が小さくなり、酵素反応の進行を正しく測定できず、問題となっていた。 また、デンドリマーを利用したバイオチップが報告されている(特許文献3)。スライドガラス表面のアルデヒド基とデンドリマーのアミノ基を反応させてバイオ支持体を製造し、この支持体に核酸を固定化させてバイオチップを作製している。特開2006−226828号公報特開2006−47017号公報特表2004−511804号公報 ペプチドチップでは、基板上への非特異吸着により生じるノイズによりS/N比が小さくなるという課題を有している。特に、直鎖状の高分子を用いて基質となるペプチドを固定化する蛋白質チップでは、直鎖高分子隙間への検体の非特異吸着により、S/N比が小さくなる課題を有している。 また、デンドリマーを用いるバイオチップでは、デンドリマーの世代が大きくなるにつれて、デンドリマーが変形しにくい堅いポリマー粒子となる。また、バイオ支持体を製造する反応工程が煩雑で、反応残留物も発生するという課題を有している。 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、酵素の基質ペプチドを緻密に固定化することが可能であり、酵素が基質に近づき易いように形態を柔軟に変化させることができ、また、それにより検体の非特異吸着を抑制することができ、かつ、簡便な工程で製造できるバイオチップを提供することを目的とする。 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、基板、該基板に結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに結合したリンカーを含むバイオ支持体に生体分子を固定したバイオチップが、上記課題を解決し得るバイオチップとなり得ることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、(1)表面が金で覆われた基板、分子末端にチオール基を有するハイパーブランチポリマーであって該基板に硫黄原子を介して結合したハイパーブランチポリマー、及び、スクシンイミド基及び/又はマレイミド基を含有するリンカーであって該ハイパーブランチポリマーの硫黄原子に結合したリンカーを含むバイオ支持体、(2)前記スクシンイミド基及び/又はマレイミド基を含有するリンカーが式(1)又は(2)で表される構造を有することを特徴とする、前記(1)に記載のバイオ支持体、(式中Xはエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表す。)(3)前記ハイパーブランチポリマーは、平均粒径が1nmないし100nm以下であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載のバイオ支持体、(4)前記ハイパーブランチポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が3,000ないし300,000であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載のバイオ支持体、(5)前記ハイパーブランチポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が3,000ないし16,900であることを特徴とする、前記(4)に記載のバイオ支持体、(6)前記ハイパーブランチポリマーが式(6)で表されることを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載のバイオ支持体、(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、A1は式(7)又は式(8):(式中A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1ないし30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100000の整数を表す。)(7)前記A1が式(9)又は(10)(式中、mは2ないし10の整数を表す。)で表される構造である、前記(6)に記載のバイオ支持体、(8)前記(1)ないし(7)のいずれか1つに記載のバイオ支持体に生体分子を固定したバイオチップ、(9)前記生体分子がペプチドであることを特徴とする、前記(8)に記載のバイオチップ、(10)表面プラズモン共鳴(SPR)を利用する測定に用いるための前記(8)又は(9)に記載のバイオチップ、(11)表面が金で覆われた基板上に、チオール基を含有するハイパーブランチポリマーを塗布し、その上にマレイミド基を含有する化合物を塗布することを特徴とするバイオ支持体の製造方法、(12)前記マレイミド基を含有する化合物が式(3)又は(4)で表される構造を有することを特徴とする、前記(11)に記載のバイオ支持体の製造方法、(式中Xはエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、Rは水素原子又はSO3-(1/nMn+)(式中、Mn+はn価のカチオンを示し、nは1又は2を表す。)を表す。)(13)前記ハイパーブランチポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が3,000ないし16,900であることを特徴とする、前記(11)又は(12)に記載のバイオ支持体の製造方法、(14)前記ハイパーブランチポリマーが式(6)で表されることを特徴とする、前記(11)ないし(13)のいずれか1つに記載のバイオ支持体の製造方法、(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、A1は式(7)又は式(8):(式中A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1ないし30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100000の整数を表す。)(15)前記A1が式(9)又は(10)(式中、mは2ないし10の整数を表す。)で表される構造である、前記(14)に記載のバイオ支持体の製造方法、(16)前記(11)ないし(15)のいずれか1つに記載のバイオ支持体に、生体分子を塗布することを特徴とする、バイオチップの製造方法、(17)前記生体分子がペプチドであることを特徴とする、前記(16)に記載のバイオチップの製造方法、を提供する。 本発明に従えば、基板、該基板に結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに結合したリンカーを含むことにより、非特異吸着が抑えられてS/N比が向上し、かつ酵素反応がスムーズに進行する高感度なバイオチップおよびバイオセンサが得られる。 特に、本発明のバイオチップを、ペプチドを固定化するペプチドチップとして用いると、ノイズと酵素反応基質とのシグナル差が大きくなり、より生体システム解析容易なバイオチップとなることが判った。 本発明のバイオチップはまた、検査対象となる検体の有無、量、あるいは結合の特異性などの反応状態を検出するための測定装置とを備えたバイオセンサ、特に、表面プラズモン共鳴を利用したバイオセンサに有利に使用することができる。 本発明のバイオチップ及びバイオセンサを用いて、表面プラズモン共鳴や蛍光等の検出方法により検体を測定した場合、ノイズを少なくでき測定精度を向上させることができる。さらに、本発明のバイオチップは、チロシンキナーゼ、プロテインキナーゼなどの酵素の基質となり得るペプチドを固定化して、リン酸化反応に供することができるため、生体システムを理解するための、また、細胞内で発現しているタンパク質分子間の相互作用ネットワークや、そのネットワークの時間的変動を高いスループットで解析するためのペプチドチップとして有利に活用できる。 また、先行技術におけるバイオ支持体の作製は、反応試剤等を用いて基板上にポリマーを化学結合させることにより固定していたため、反応残留物が発生し、それにより工程が煩雑となっていたが、本発明では、基板上にポリマー溶液を塗布するだけという簡便な方法で固定化することができ、それにより反応残留物の発生が抑制され、また、リンカーの導入、ペプチドの固定化もすべて塗布のみという簡単な操作で行うことができるため、工業的製法として優れている。 以下、本発明について詳細に説明する。 本発明のバイオ支持体は、基板、該基板に硫黄原子又は窒素原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに硫黄原子又は窒素原子を介して結合したリンカーを含む。 本発明に使用されるハイパーブランチポリマーとしては、分子末端にチオール基を有するハイパーブランチポリマー及び分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーが挙げられる。 分子末端にチオール基を含有するハイパーブランチポリマーは、例えば、公知の分子末端にジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーのジチオカルバメート基を、例えば、ヒドラジン、ベンジルヒドラジン、アンモニア、金属ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、臭化水素、塩酸、トリフルオロ酢酸、ジアセチル水銀等のチオール化変換剤を用いてチオール化反応を行なうことにより得ることができる。 分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーは、例えば、公知の分子末端にジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーのジチオカルバメート基をアミノ基に変換することにより製造することができる。 具体的には、例えば、ジチオカルバメート基をハロゲン化、例えば臭素原子等に置換し、このハロゲン原子をフタルイミドで置換した後、ヒドラジン誘導体でフタルイミドを分解することにより分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーを製造することができる。 公知の分子末端にジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーとしては、国際公開第2006/093050号パンフレットに記載の、アクリル系ハイパーブランチポリマー、スチレン系ハイパーブランチポリマー、及び特開2004−256563号公報に記載のN、N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレンと、4、4'−ビスマレイミデジフェノルメタンと、メタクリル酸メチルとから合成されたハイパーブランチポリマー等が挙げられる。 本発明に使用される基板としては、ハイパーブランチポリマーのチオール基又はアミノ基と結合し得る基板であれば特に限定されるものではない。アミノ基と反応し得る基板としては、例えば、ガラス基板及びプラスチック基板等が挙げられ、チオール基と反応し得る基板としては、例えば、表面が金で覆われた基板等が挙げられる。 好ましいガラス基板としては、表面にアルデヒド基を有するシリレイテッドスライドガラス等が挙げられる。 プラスチック基板としては、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリノルボルネン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。 表面が金で覆われた基板としては、表面に金を有する基板であれば特に限定はされないが、例えば、金基板又は表面に金が蒸着されたガラス基板若しくは金属基板等が挙げられる。 本発明に使用されるリンカーは、一端にチオール又はアミノ基と結合可能な基を有し、もう一方にペプチドの固定が可能な基を有する試剤を反応させることにより形成されるリンカーである。リンカーの主鎖部分は、ある程度の鎖長を有し、且つ、バイオチップの製造のための反応や、生化学的反応を阻害しないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、炭素原子数1ないし20のアルキレン基(該アルキレン基は、酸素原子、カルボニル、CO2、CONH、フェニレン、環状アルキレン等で複数回中断されていてもよい。)等が挙げられる。 本発明のバイオ支持体は、例えば、分子末端にチオール基を有するハイパーブランチポリマーを表面が金で覆われた基板等に、塗布等の簡単な操作により硫黄原子を介して結合させた後、チオール基と結合可能な基を有するリンカーを該ハイパーブランチポリマーに結合させることにより製造できる。 また、分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーを、例えば、ガラス基板及びプラスチック基板等の表面で反応させ、例えば、表面にアルデヒド基を有するシリレイテッドスライドガラス等の基板上で反応させてシッフ塩基を形成した後、NaBH4等で還元すること等により、ハイパーブランチポリマーを窒素原子を介して基板に結合させ、その後アミノ基と結合可能な基を有するリンカーを該ハイパーブランチポリマーに結合させることにより製造できる。 本発明のバイオ支持体は、好ましくは、前記基板が、その表面が金で覆われた基板であり、該基板に硫黄原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに硫黄原子を介して結合したリンカーを含むことを特徴とする。 本発明のバイオ支持体は、好ましくは、前記基板が、ガラス基板又はプラスチック基板であり、該基板に窒素原子を介して結合したハイパーブランチポリマー及び該ハイパーブランチポリマーに窒素原子を介して結合したリンカーを含むことを特徴とする。 本発明のバイオ支持体は、好ましくは、前記リンカーがスクシンイミド基及び/又はマレイミド基を含有するものである。 本発明のバイオ支持体は、好ましくは、前記リンカーが式(1)又は(2)で表されるものである。(式中Xはエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表す。) 式(1)における、炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基の具体例としては、メチレン、エチレン、ノルマルプロピレン、ノルマルブチレン、ノルマルヘキシレン等の直鎖状アルキレン、イソプロピレン、イソブチレン、2−メチルプロピレン等の分岐状アルキレンが挙げられる。また環状アルキレンとしては、炭素数3ないし30の単環式、多環式、架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基が挙げられる。具体的には、炭素数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基を挙げることができる。例えば、下記に脂環式脂肪族基のうち、脂環式部分の構造例(a)ないし(s)を示す。 本発明のバイオ支持体は、好ましくは、前記ハイパーブランチポリマーは、その平均粒径が1nmないし100nm以下である。 本発明のバイオ支持体は、好ましくは、前記ハイパーブランチポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は3、000ないし300,000である。 本発明はまた、上記バイオ支持体に生体分子を固定したバイオチップに関する。 バイオチップに固定される生体分子としては、抗体、核酸、アプタマー、タンパク質、ペプチド、糖鎖、糖タンパク質などが挙げられる。 本発明のバイオチップは、好ましくは、バイオチップに固定される生体分子はペプチドである。 使用されるペプチドの種類は特に限定されず、例えば、プロテインキナーゼ、チロシンキナーゼ、スオレオニンキナーゼ等が挙げられる。 本発明のバイオチップは、好ましくは、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用する測定に用いるための生体分子を固定したバイオチップ、特にペプチド固定したバイオチップである。 本発明はまた、表面が金で覆われた基板上に、チオール基を含有するハイパーブランチポリマーを塗布し、その上にマレイミド基を含有する化合物を塗布することを特徴とするバイオ支持体の製造方法に関する。 表面が金で覆われた基板及びチオール基を含有するハイパーブランチポリマーは、上述と同様のものが挙げられる。 チオール基を含有するハイパーブランチポリマーの塗布は、例えば、有機溶剤にチオール基を含有するハイパーブランチポリマーを0.05〜10質量%濃度になるように溶解した溶液を、浸漬、吹きつけ等の公知の方法で基板表面に塗布した後、室温下ないしは加温下にて乾燥させることにより行うことができる。 上記有機溶剤としてはDMF、DMSO、エタノール、メタノール、t−ブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン等の単独溶媒またはこれらの混合溶剤が挙げられ、DMF又はDMSOが好ましい。 マレイミド基を含有する化合物を塗布する方法は、上記と同様の塗布方法を挙げることができる。 本発明のバイオ支持体の製造方法は、前記マレイミド基を含有する化合物が式(3)又は(4)で表される化合物であるのが好ましい。(式中Xはエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、Rは水素原子又はSO3-(1/nMn+)(式中、Mn+はn価のカチオンを示し、nは1又は2を表す。)を表す。) エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基としては、前記式(1)で示されたものと同様のものが挙げられる。 好ましいRの具体例としては、水素原子、−SO3Na等が挙げられる。 本発明はまた、前記記載のバイオ支持体に、生体分子を塗布することを特徴とする、バイオチップの製造方法に関する。 生体分子としては、上記と同様のものが挙げられ、生体分子の塗布は、例えば、生体分子の溶液(例えば、PBS、TBS等の緩衝液)を、浸漬、吹きつけ等の公知の方法で基板表面に塗布した後、室温下ないしは加温下にて乾燥させることにより行うことができる。 本発明のバイオチップの製造方法は、前記生体分子がペプチドであるものが好ましい。 ペプチドとしては上記と同様のものが挙げられる。 本発明のバイオチップの一つの態様の模式図を図1に示した。 該態様において、表面が金で覆われた基板上にチオール基を含有するハイパーブランチポリマー(HPS−SH)が硫黄原子を介して固定され、次にハイパーブランチポリマーにリンカーとして2価性のマレイミドを反応させて結合し、その後、N端にCysを持つペプチドを該マレイミドに反応させて固定化する。 以下に、本発明に使用されるチオール基を含有するハイパーブランチポリマーの製造方法の1例として式(6)で表される化合物の製造方法に付き説明する。 ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー(5)をチオール化変換剤によって処理すること、すなわち、ジチオカルバメート基をチオール基に変換することによって分子末端にチオール基を有する式(6)で表されるハイパーブランチポリマーを得ることができる。(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、A1は式(7)又は式(8):(式中A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1ないし30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表し、DCは、ジチオカルバメート基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100000の整数を表す。) 反応の方法は、ジチオカルバメート基をチオール基に変換することができる方法であれば、特に制限はない。 具体的には、ヒドラジン、ベンジルヒドラジン、アンモニア、金属ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、臭化水素、塩酸、トリフルオロ酢酸、ジアセチル水銀等のチオール化変換剤を用いてチオール化反応を行なうことができる。その使用量は、ハイパーブランチポリマー内のジチオカルバメート基の数に対して1ないし200倍モル当量、又は2ないし100倍モル当量、又は2.5ないし80倍モル当量、又は3ないし50倍モル当量であればよい。チオール化反応の条件としては、反応時間0.01ないし100時間、反応温度0ないし200℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間1ないし80時間、反応温度20ないし150℃である。 チオール化反応は水又は有機溶剤中で行なうことが好ましい。使用する溶剤は、前記のジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマー(5)とチオール化変換剤を溶解可能なものが好ましい。またジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマー(5)を製造する際に使用する溶剤と同じであると、反応操作も簡便になり好ましい。 チオール化反応の方法としては、有機溶剤溶液中、ヒドラジン等の化合物を使用して、加熱還流することによって行なう反応が好ましい。有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン及びジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系化合物、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が使用できる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー(5)の質量に対して0.2ないし1000倍質量、又は1ないし500倍質量、又は5ないし100倍質量、又は10ないし50倍質量の有機溶剤を使用することが好ましい。また、この反応では反応開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴンなどの不活性気体で系内を置換するとよい。 上述のようなチオール化反応によって得られたチオール基を含有するハイパーブランチポリマー(6)は、反応溶液中から溶剤留去又は固液分離により溶剤と分離することができる。また、反応溶液を貧溶剤中へ加えることによりチオール基を含有するハイパーブランチポリマー(6)を沈殿させ、粉末として回収することもできる。 なお、チオール基を含有するハイパーブランチポリマーは、分子末端の一部がジチオカルバメート基として残存していてもよい。 尚、上記化合物における置換基の具体例を以下に示す。 アルキレン基の具体例としては、メチレン、エチレン、ノルマルプロピレン、ノルマルブチレン、ノルマルヘキシレン等の直鎖状アルキレン、イソプロピレン、イソブチレン、2−メチルプロピレン等の分岐状アルキレンが挙げられる。また環状アルキレンとしては、炭素数3ないし30の単環式、多環式、架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基が挙げられる。具体的には、炭素数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基を挙げることができる。例えば、下記に脂環式脂肪族基のうち、脂環式部分の構造例として前述の(a)ないし(s)が示される。 炭素原子数1ないし20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基及びノルマルペンチル基等が挙げられる。炭素原子数1ないし20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基及びノルマルペンチルオキシ基等が挙げられる。ハロゲン基としてはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基である。X1、X2、X3及びX4としては、水素原子又は炭素原子数1ないし20のアルキル基が好ましい。 また、式(5)及び(6)のA1としては、式(9)又は式(10)で表される構造であることが好ましい。式(10)中、mは2ないし10の整数を表し、mとしては2又は3が好ましい。 以下に、本発明に使用されるアミノ基を含有するハイパーブランチポリマーの製造方法の具体例に付き説明する。 分子末端にアミノ基を含有するハイパーブランチポリマーは、例えば、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー(5)のジチオカルバメート基をハロゲン化、例えば臭素原子等に置換し、このハロゲン原子をフタルイミドで置換した後、ヒドラジン誘導体でフタルイミドを分解することにより製造できる。 上記ハロゲン化の方法は、ジチオカルバメート基をハロゲン原子に変換することができる方法であれば、特に制限はない。本反応で使用できるハロゲン化剤としては、塩素、N−クロロコハク酸イミド、塩素化イソシアヌール酸、塩化スルフリル、ターシャリーブチルハイポクロリド、三塩化リン、五塩化リン、トリフェニルホスフィンジクロリド、塩化第二銅、五塩化アンチモン等の塩素化剤、臭素、N−ブロモコハク酸イミド、N−ブロムグルタルイミド、N,N',N”−トリブロモイソシアヌル酸、N,N'−ジブロモイソシアヌル酸ナトリウム、N,N'−ブロムイソシアヌル酸カリウム、N,N'−ジブロモイソシアヌル酸、N−ブロモイソシアヌル酸ナトリウム、N,N’−ジブロムヒダントイン、N−ブロモヒダントインカリウム、N,N’−ブロモヒダントインナトリウム、N−ブロム−N’−メチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5’−ジメチルヒダントイン、3−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントイン、3−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントイン、1−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントインナトリウム、1−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントインカリウム、3−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントインナトリウム、3−ブロモ−5,5’−ジメチルヒダントインカリウム等の臭素化剤、ヨウ素、N−ヨードコハク酸イミド、ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸、ヨウ素酸等のヨウ素化剤を使用することができる。ハロゲン化剤の使用量は、ハイパーブランチポリマー内のジチオカルバメート基の数に対して1ないし20倍モル当量、好ましくは1.5ないし15倍モル当量、より好ましくは2ないし10倍モル当量であればよい。置換反応の条件としては、反応時間0.01ないし100時間、反応温度0ないし300℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間0.1ないし10時間、反応温度20ないし150℃である。 分子末端のジチオカルバメート基をハロゲン原子に置換する反応は、水又は有機溶剤中で行なうことが好ましい。使用する溶剤は、前記のジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーとハロゲン化剤とを溶解可能なものが好ましい。また、該溶剤がジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーを製造する際に使用する溶剤と同じものであると、反応操作も簡便になり好ましい。 ハロゲン化の方法としては、有機溶剤溶液中、臭素等のハロゲン化剤を使用して、加熱還流することによって行なう反応が好ましい。有機溶剤としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、酢酸等の有機酸系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が使用できる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種またはそれ以上を混合して用いてもよい。また、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーの質量に対して0.2ないし1,000倍質量、好ましくは1ないし500倍質量、より好ましくは5ないし100倍質量、最も好ましくは10ないし50倍質量の有機溶剤を使用することが好ましい。また、この反応では反応開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴン等の不活性気体で系内を置換するとよい。反応条件としては、反応時間0.01ないし100時間、反応温度0ないし200℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間0.1ないし5時間、反応温度20ないし150℃である。 反応後は系内に残存するハロゲン化剤を分解処理することが望ましいが、その際、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の還元剤の水溶液、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ水溶液を用いることが出来る。また、エチレン、プロピレン、ブテン、シクロヘキセン等の不飽和結合を含む化合物と反応させてもよい。使用量は用いたハロゲン化剤に対して、0.1ないし50当量、好ましくは、0.5ないし10当量、より好ましくは1ないし3当量であれば良い。上述のような反応によって得られた本発明の分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーは、反応溶液中から溶剤留去又は固液分離により溶剤と分離することができる。また、反応溶液を貧溶剤中へ加えることにより本発明の分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーを沈殿させ、粉末として回収することもできる。 なお、本発明の分子末端にハロゲン原子を含有するハイパーブランチポリマーは、分子末端の一部がジチオカルバメート基として残存していてもよい。 ハロゲン原子のフタルイミドによる置換は以下のようにして行うことができる。 フタルイミドの使用量は、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマー中のハロゲン原子の1モル当量に対して0.1ないし20倍モル当量、好ましくは0.5ないし10倍モル当量、より好ましくは1ないし5倍モル当量であればよい。反応の条件としては、反応時間は0.01ないし100時間、反応温度は0ないし300℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間が0.1ないし10時間で、反応温度が20ないし150℃である。 分子末端のハロゲン原子とフタルイミドとの反応は、水又は有機溶剤溶液中で、塩基の存在下又は非存在下で行なうことができる。使用する溶剤は、前記のハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーとフタルイミドを溶解可能なものが好ましい。さらに、前記ハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーとフタルイミドを溶解可能であるが、分子末端にフタルイミド基を有するハイパーブランチポリマーを溶解しない溶媒であれば、単離が容易となりさらに好適である。 有機溶剤としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、水及び酢酸等の有機酸系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の脂肪族炭化水素類等が使用できる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、使用量は、ハロゲン原子を分子末端に有するハイパーブランチポリマーの質量に対して0.2ないし1,000倍質量、好ましくは1ないし500倍質量、より好ましくは5ないし100倍質量、最も好ましくは10ないし50倍質量の有機溶剤を使用することが好ましい。また、この反応では反応開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴン等の不活性気体で系内を置換するとよい。反応条件としては、反応時間0.01ないし100時間、反応温度0ないし200℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間が0.1ないし5時間で、反応温度が20ないし150℃である。 好適な塩基としては一般に、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属水素化物及びアルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属アミド、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム)、アルカリ金属重炭酸塩(例えば重炭酸ナトリウム)等の無機化合物、並びにアルカリ金属アルキル、アルキルマグネシウムハロゲン化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、ジメトキシマグネシウム等の有機金属化合物が使用される。特に好ましいのは、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムである。また、使用量は、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーの質量に対して0.2ないし10倍等量、好ましくは0.5ないし10等量、最も好ましくは1ないし5等量の塩基を使用することが好ましい。 塩基の存在下で、フタルイミドと分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーと反応させた場合、分子末端にフタルイミド基を有する化合物を得ることができる。 更に、分子末端にフタルイミド基を有する化合物を、ヒドラジン、メチルヒドラジン、フェニルヒドラジン等のヒドラジン誘導体による加水分解によって、下式で表される構造、即ち、分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーを得ることができる。(式中、R1、A1、nの定義及び具体例は、式(6)で表されるハイパーブランチポリマーで示されたものと同様である。) 上述のような反応方法によって得られた本発明の分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーは、反応溶液中から溶剤留去又は固液分離により溶剤と分離することができる。また、反応溶液を貧溶剤中へ加えることによりハイパーブランチポリマーを沈殿させ、粉末として回収することもできる。 なお、本発明の分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーは、分子末端の一部がハロゲン原子として残存していてもよい。 次に、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー(5)の製造方法に付き説明する。 ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーは、式(11)で表されるジチオカルバメート化合物をリビングラジカル重合することによって得られる。 式(11)中、R1及びA1は前記と同義であり、R2及びR3は、それぞれ、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表すか、又は、R2とR3は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成する。 炭素原子数1ないし5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロペンチル基及びノルマルペンチル基等が挙げられる。炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基等が挙げられる。炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基としては、ベンジル基及びフェネチル基等が挙げられる。 R2とR3が互いに結合し窒素原子と共に形成する環としては四ないし八員環が挙げられる。そして、環としてメチレン基を四ないし六個含む環が挙げられる。また、環としては酸素原子又は硫黄原子と、四ないし六個のメチレン基を含む環が挙げられる。R2とR3が互いに結合し窒素原子と共に形成する環の具体例としては、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環及びホモピペリジン環等が挙げられる。 式(11)の化合物の具体例としては、N,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン及びN,N−ジエチルジチオカルバミルエチルメタクリレート等が挙げられる。 式(11)の化合物のリビングラジカル重合は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの公知の重合形式により行なうことができる。溶液重合が好ましい。 溶液重合の場合は、式(11)の化合物を溶解可能な溶剤中で、任意の濃度で重合反応を行なうことができる。式(11)の化合物の濃度は任意であるが、例えば1ないし80質量%であり、又は2ないし70質量%であり、又は5ないし60質量%、又は30ないし50質量%である。溶剤としては、式(11)の化合物を溶解可能な溶剤であれば特に制限はない。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系化合物、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。 式(11)の化合物のリビングラジカル重合は、溶剤中、加熱又は紫外線等の光照射によって行なうことができる。紫外線等の光照射によって行なうことが好ましい。リビングラジカル重合においては、重合開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴンなどの不活性気体で系内を置換するとよい。重合時間としては、例えば0.1ないし100時間であり、又は1ないし50時間であり、又は3ないし30時間である。通常、重合時間の経過と共にモノマー(式(11)の化合物)の転化率は増加する。重合温度は特に制限されないが、例えば0ないし200℃であり、又は10ないし150℃であり、又は20ないし100℃である。 式(11)の化合物のリビングラジカル重合は、また、Macromolecules Vol.35, No.9, 3781−3784(2002)又はMacromolecules Vol.36, No.10, 3505−3510(2002)記載の方法を参照して行なうことができる。 式(11)で表されるジチオカルバメート化合物のリビングラジカル重合によりジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーが得られる。ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーは次のようにして生成すると考えられる。 すなわち、式(11)の化合物への光照射等によってA1−S結合が開裂してラジカル種(式(12))が発生する。次に、式(12)のラジカル種が式(11)の化合物と反応し式(13)の化合物を生成する。さらに、式(13)においてC−S結合又はA1−S結合が開裂してラジカル種を発生し、それが式(11)の化合物と反応することによって式(14)又は式(15)の化合物を与える。なお、式(14)及び式(15)中、DCはジチオカルバメート基(−SC(=S)N(R2)R3)を表す。そして、式(14)又は式(15)の化合物から同様の反応が繰り返されることによって、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーが生成すると考えられる。 リビングラジカル重合時には、分子量や分子量分布を調整するために、メルカプタン類及びサルファイド類等の連鎖移動剤や、二硫化テトラエチルチウラムなどのスルフィド化合物を使用することができる。さらに所望により、ヒンダードフェノール類などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール類などの紫外線吸収剤、4−tert−ブチルカテコール、ハイドロキノン、ニトロフェノール、ニトロクレゾール、ピクリン酸、フェノチアジン及びジチオベンゾイルジスルフィド等の重合禁止剤を使用できる。 さらにリビングラジカル重合時には、分岐度や重合度を調整するために、ジチオカルバメート基を有していない公知のビニルモノマー又は不飽和二重結合を有する化合物を添加することができる。これらは、式(11)の化合物に対して50モル%未満の割合で使用することができる。これらの具体例としては、スチレン類、ビニルビフェニル類、ビニルナフタレン類、ビニルアントラセン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルピロリドン類、アクリロニトリル類、マレイン酸類、マレイミド類、ジビニル化合物類及びトリビニル化合物類が挙げられる。 本発明の主な特徴は、バイオ支持体にハイパーブランチポリマーを用いることにある。 ハイパーブランチポリマーは柔軟な粒子状の高分子として知られている。そのため、基板上にハイパーブランチポリマーを用いて薄膜を形成した場合、直鎖状高分子を用いて形成した薄膜に比べて、その表面積が大きくなることが予想される。それにより、ハイパーブランチポリマーを用いて形成した薄膜の表面上に基質ペプチドを固定化した方が、直鎖状高分子を用いて形成した薄膜の表面上に基質ペプチドを固定化するより、より緻密にペプチドを基板上に固定化することができる。この効果により、ハイパーブランチポリマーを用いることにより、S/N比の大きなペプチドチップを作成することができる。 また、ハイパーブランチポリマーは柔軟な粒子であるため、酵素が基質に近づけるようその形態を自由に変えることで、スムーズに酵素反応を進行させることができる。これに対し、ハイパーブランチポリマーと同様にデンドリック(樹枝状)な構造を有する高分子であるデンドリマーは、その表面積は大きくなるものの、構成する分子の規則性の高さから柔軟性が乏しくなるため、酵素が粒子上の基質へと近づくのに対応できず、そのため、スムーズに酵素反応を進行させることができない。 ハイパーブランチポリマーのデンドリマーに対する更なる利点は、その合成の簡便さが挙げられる。特に工業的生産においては有利である。一般にデンドリマーが保護−脱保護を繰り返し合成されるのに対し、ハイパーブランチポリマーは1分子中に二種類の置換基を合計3個以上持つ、いわゆるABX型モノマーの1段階重合により合成される。 ハイパーブランチポリマーのデンドリマーに対する特性の違いとして、不規則な分岐及び分子量分布を有する点が挙げられる。ハイパーブランチポリマーは、線状および完全に分岐した繰り返し単位の混合物を有し、それに対してデンドリマーは、線状の繰り返し単位も有さずに、規則的に分岐した繰り返し単位を有する。また、ハイパーブランチポリマーは分子量分布を有し、それに対してデンドリマーは、単一の分子量を有する。 ハイパーブランチポリマーとデンドリマーとのこれらの差異は、球状のデンドリマーと比較してハイパーブランチポリマーの構造にランダム性及び不規則性があるということである。 デンドリマーを堅いポリマーとするとハイパーブランチポリマーは柔らかいポリマーと表現できる。 ハイパーブランチポリマーは一般的に、AB2、AB3のように一分子中にA官能基を1官能基有し且つA官能基と反応しうるB官能基を2官能基以上有するABx型化合物や、AB*型と呼ばれる重合点と開始剤それぞれ1つずつ兼ね備えた化合物とを縮合、付加、あるいは挿入反応などを利用して重合したものを指し、高度に分岐した高分子である。AB*型分子は、重合点にあたるA官能基と開始剤となるB*官能基とが反応し、反応後にA官能基は消失するがB*は脱離、付加により反応後でもB*としての反応性を残したままとなる化合物である。 ここで例えばAB2型の場合、A官能基がカルボキシル基の場合にはB官能基はアミノ基があげられ、この場合はハイパーブランチポリアミドとなる。また、AB*型の場合、A官能基がスチレン性二重結合の場合にはB*官能基はジチオカーバメート基があげられ、その場合はハイパーブランチポリスチレンとなる。 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。 以下の実施例において、試料の物性測定には下記の装置を使用した。(1)液体クロマトグラフィー 装置:Agilent製 1100Series カラム:Inertsil ODS−2 カラム温度:40℃ 溶媒:アセトニトリル/水=60/40(体積比) 検出器:RI(2)ゲル浸透クロマトグラフィー 装置:東ソー株式会社製 HLC−8220GPC カラム:Shodex KF−805L+KF−804L カラム温度:40℃ 溶媒:テトラヒドロフラン 検出器:RI(3)FT−IR 装置:ニコレー・ジャパン株式会社製 NEXUS670(4)熱重量分析 装置:(株)リガク製 TG8120 昇温速度:10℃/分 空気量:60ml/分(5)融点分析 装置:(株)リガク製 DSC8230 昇温速度:2℃/分 窒素量:60ml/分(6)元素分析(炭素、水素、窒素) 装置:パーキンエルマー製 PE2400II 燃焼管温度:975℃(7)元素分析(硫黄) 前処理装置:株式会社ダイアンインスツルメンツ製 自動試料燃焼装置 AQF−100型 燃焼管温度:1000℃ 分析装置:日本ダイオネクス株式会社製 ICS−1500 カラム:Dionex AS12A 溶離液:Na2CO3 2.7mM − NaHCO3 0.3mM(8)元素分析(ナトリウム) 装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 Vista−Pro参考例1:N、N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレンの合成 2Lの反応フラスコに、クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−14(商品名)]120g、N、N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3水和物[関東化学(株)製]181g、アセトン1400gを仕込み、撹拌下、40℃で1時間反応させた。反応後、析出した塩化ナトリウムを濾過して除き、その後エバポレーターで反応溶液からアセトンを留去させ、反応粗粉末を得た。この反応粗粉末をトルエンに再溶解させ、トルエン/水系で分液後、−20℃の冷凍庫内でトルエン相から目的物を再結晶させた。再結晶物を濾過、真空乾燥して、白色粉末の目的物206g(収率97%)を得た。液体クロマトグラフィーによる純度(面百値)は100%であった。DSC測定で融点は56℃であった。参考例2:ジチオカルバメート基を分子末端に有するスチレン系ハイパーブランチポリマーの合成 300mlの反応フラスコに、N、N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン108g、トルエン72gを仕込み、撹拌して淡黄色透明溶液を調製した後、反応系内を窒素置換した。この溶液の真ん中から100Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株)製、HL−100]を点灯させ、内部照射による光重合反応を、撹拌下、室温で12時間行なった。次にこの反応液をメタノール3000gに添加してポリマーを高粘度な塊状状態で再沈した後、上澄み液をデカンテーションで除いた。さらにこのポリマーをテトラヒドロフラン300gに再溶解した後、この溶液をメタノール3000gに添加してポリマーをスラリー状態で再沈した。このスラリーを濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物48gを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは20,900、分散度Mw/Mnは4.9であった。元素分析は、炭素64.6%、水素7.4%、窒素5.0%、硫黄25.3%であった。熱重量分析より、5%重量減少温度は248℃であった。 また、得られた目的物の2質量%シクロヘキサノン溶液を調整し、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過した。この溶液をシリコンウェハー上にスピンコート法で塗布し、その後ホットプレート上にて温度150℃で3分間加熱し、膜厚44nmの薄膜状成形体を得た。この薄膜状成形体の表面状態をAFM測定にて観察した。薄膜表面には多数の粒径10nm程度の粒子が点在している様子が観察され、表面粗さは0.36nmであった。参考例3:ジチオカルバメート基のチオール化(HPS−SHの合成) 還流塔を付した100mlの反応フラスコに、参考例2で得たジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー5g、1,4−ジオキサン50gを仕込み、撹拌して無色透明溶液を調製した後、ヒドラジン一水和物[関東化学社製]50gを加え、反応系内を窒素置換した。溶液を3日間還流した後、室温まで冷却した。二層分離した溶液の下層を除去、これに飽和食塩水を加えて有機層を洗浄後、無水硫酸マグネシウムによって乾燥させた。この溶液を濃縮し、クロロホルム5gを加え、これを50gのn-ヘキサンに滴下することで、再沈を行った。得られた無色粉末を再度クロロホルム5gに溶解し、50gのメタノールに滴下し、再沈を行った。得られた無色粉末を乾燥して、ジチオカルバメート基がチオール基に変換したハイパーブランチポリマー2.5gを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは16,900であった。元素分析は、炭素73.2%、水素6.9%、硫黄18.6%、窒素1.0%未満、であった。得られたハイパーブランチポリマーは下式で表される構造を有する。実施例1:表面プラズモン検出用ペプチドアレイのHPS−SHによる高感度化 1 mg/mL HPS-SH〔Mw 16900(SH化率80%)、Mw 81000(SH化率80%)〕のDMF溶液に対して、金蒸着基板を浸漬し、室温で2時間放置する。放置後、DMFで洗浄する。また、対照実験として、1 mM 1,8-octanedithiolのエタノール溶液に対して、金蒸着基板を浸漬し、室温で2時間放置する。放置後、エタノールで洗浄する。得られた基板を5 mM 1,4-bis-maleimidobutaneのDMF溶液に対して、室温で1時間浸漬する。浸漬後、DMFで洗浄する。10-1000 uMのペプチド溶液(1 x PBS緩衝液)に対して、室温で2時間浸漬する。浸漬後、1xPBS緩衝液にて洗浄する。ペプチドの配列は次ぎの通りである:CXXXDEVDGGSY-NH2(X= -NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CO-, Y = N-D-biotinyl-L-lysine)。5 mM 片末端チオール化ポリエチレングリコール(Mw 2,000)溶液(1 x PBS緩衝液)に対して、室温で40分間浸漬する。浸漬後、1xPBS緩衝液にて洗浄する。SPR測定: 基板をSPR装置(TOYOBO製、SPRinter)にセットし、まず、running buffer(0.05 % Tween, 1xTBS緩衝液)を1分間流す。1 mg/mL ストレプトアビジン溶液(0.05 % Tween, 1xTBS緩衝液)を10分間流し、基板上のペプチドとの反応を行う。10分間の反応で、SPRシグナルの変化が飽和に達することを確認した。 結果を図2にペプチドアレイのシグナル強度イメージを示し、また図3にはその強度をグラフで表示した。 尚、図3中のHBP(ハイパーブランチポリマー)は、HPS−SHを意味する。 結果:全てのペプチド濃度においてSPRシグナル強度は、HPS-SHの方が対照として用いた1,8-octanedithiolよりも高くなった。シグナル強度が高いほどアビジンの吸着量が多いと考えられ、それはすなわち、シグナル強度が高いほどペプチドの固定化量が多いことを表している。したがって、HPS-SHの方がペプチド固定化量が多いと考えられる。1,8-octanedithiolの固定化は自己組織膜ができる程度の濃度であるため、この場合も基板表面にはかなり高密度にSHが存在していると考えられる。しかしながら、HPS-SHの場合は、(1)ハイパーブランチポリマー内部にもSHが存在する、(2)HPS-SHが球状という形態のため基板の表面積が大きくなるなどが原因となって、1,8-octanedithiolよりも固定化量が増えたと考えられる。 また、分子量の異なるHPS-SHで比較した場合、いずれのペプチド濃度においても分子量の小さい方(Mw 16,900)がSPRシグナル強度は高かった。これは、分子量の小さいものの方が、比表面積が大きいため、結果としてそれが固定化された基板表面積も大きくなったためと考えられる。生体分子固定化基板へのペプチド固定化示す模式図である。実施例1におけるペプチドアレイのSPRシグナル強度イメージを示す図である。実施例1におけるペプチド固定リンカーの種類とSPRシグナル強度の関係を示すグラフである。 表面が金で覆われた基板、分子末端にチオール基を有するハイパーブランチポリマーであって該基板に硫黄原子を介して結合したハイパーブランチポリマー、及び、スクシンイミド基及び/又はマレイミド基を含有するリンカーであって該ハイパーブランチポリマーの硫黄原子に結合したリンカーを含むバイオ支持体。 前記スクシンイミド基及び/又はマレイミド基を含有するリンカーが式(1)又は(2)で表される構造を有することを特徴とする、請求項1に記載のバイオ支持体。(式中Xはエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表す。) 前記ハイパーブランチポリマーは、平均粒径が1nmないし100nm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のバイオ支持体。 前記ハイパーブランチポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が3,000ないし300,000であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のバイオ支持体。 前記ハイパーブランチポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が3,000ないし16,900であることを特徴とする、請求項4に記載のバイオ支持体。 前記ハイパーブランチポリマーが式(6)で表されることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のバイオ支持体。(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、A1は式(7)又は式(8):(式中A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1ないし30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100000の整数を表す。) 前記A1が式(9)又は(10)(式中、mは2ないし10の整数を表す。)で表される構造である、請求項6に記載のバイオ支持体。 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のバイオ支持体に生体分子を固定したバイオチップ。 前記生体分子がペプチドであることを特徴とする、請求項8に記載のバイオチップ。 表面プラズモン共鳴(SPR)を利用する測定に用いるための請求項8又は9に記載のバイオチップ。 表面が金で覆われた基板上に、チオール基を含有するハイパーブランチポリマーを塗布し、その上にマレイミド基を含有する化合物を塗布することを特徴とするバイオ支持体の製造方法。 前記マレイミド基を含有する化合物が式(3)又は(4)で表される構造を有することを特徴とする、請求項11に記載のバイオ支持体の製造方法。(式中Xはエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、Rは水素原子又はSO3-(1/nMn+)(式中、Mn+はn価のカチオンを示し、nは1又は2を表す。)を表す。) 前記ハイパーブランチポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が3,000ないし16,900であることを特徴とする、請求項11又は12に記載のバイオ支持体の製造方法。 前記ハイパーブランチポリマーが式(6)で表されることを特徴とする、請求項11ないし13のいずれか1項に記載のバイオ支持体の製造方法。(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、A1は式(7)又は式(8):(式中A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1ないし30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100000の整数を表す。) 前記A1が式(9)又は(10)(式中、mは2ないし10の整数を表す。)で表される構造である、請求項14に記載のバイオ支持体の製造方法。 請求項11ないし15のいずれか1項に記載のバイオ支持体に、生体分子を塗布することを特徴とする、バイオチップの製造方法。 前記生体分子がペプチドであることを特徴とする、請求項16に記載のバイオチップの製造方法。


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