タイトル: | 公開特許公報(A)_金色固体のアゾ化合物およびその製造方法 |
出願番号: | 2007309519 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 245/08 |
好野 則夫 近藤 行成 河原塚 麻帆 JP 2009132641 公開特許公報(A) 20090618 2007309519 20071129 金色固体のアゾ化合物およびその製造方法 好野 則夫 596087627 大里 一幸 100116735 好野 則夫 近藤 行成 河原塚 麻帆 C07C 245/08 20060101AFI20090522BHJP JPC07C245/08 2 OL 7 4H006 4H006AA01 4H006AA02 4H006AC43 4H006AC52 4H006AC59 4H006BA05 4H006BA36 4H006BA92 4H006BB16 4H006BB31 本発明は、金色固体のアゾ化合物に関するものである。 アゾ化合物には、種々に発色するものがあるが、金属調の光沢を示すものは無かった。一方、ポリアセチレンなどの導電性高分子は、金属調の光沢を示すことは知られていた。近年、単分子系の導電性物質について、金属的性質を示す有機化合物が研究されている。「A Highly d-Stacked Organic Semiconductor for Thin Film Transistors Based on Fused Thiophenes」J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 2206-2207 また、分子間を相互に近づけ分子間作用と導入基との間で、有機π電子系分子と呼ぶ構造により光沢結晶が発現するものが開発された。 具体的には、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロールとテトラシアノエチレンとを反応させるものである。これにより得られた結晶は、置換基を臭素や塩素などにすることで金色を発現し、また、長鎖アルキル基ではブロンズ色の金属光沢を発現するものである。化学工業日報、「有機材料で金属用薄膜(千葉大学工学部・小倉克之他)」2003年(平成15年)10月15日 解決しようとする課題は、金属光沢を有する単分子系のアゾ化合物を提供することである。 本発明は、4,4’−ジ(2−ジアルキルアミノエトキシ)アゾベンゼンであることを最も主要な特徴とする。 本発明の4,4’−ジ(2−ジアルキルアミノエトキシ)アゾベンゼンは、p−アミノフェノールから容易に製造することができるという利点がある。 本発明の4,4’−ジ(2−ジアルキルアミノエトキシ)アゾベンゼンは、(1)p−アミノフェノールをジアゾ化する第1工程、(2)次いで、カップリング反応を行い、4,4’−ジヒドロオキシアゾベンゼンを合成する第2工程、(3)次いで、1,2−ジブロモエタンにより4,4’−ジ(2−ブロモエトキシ)アゾベンゼンを合成する第3工程、(4)最後に、ジアルキルアミンにより4,4’−ジ(2−ジアルキルアミノエトキシ)アゾベンゼンを合成する第4工程からなることを特徴とする。 なお、前記アルキル基の炭素数は、1から3が好適である。 実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。「第1工程:ジアゾ化」 500mlのビーカーに、p−アミノフェノール2.00g(18.34mmol)をとり、水20.00mlを加えて水溶液とした。 そして、塩酸7.32ml、水29.28mlを30分かけて滴下し、塩酸塩水溶液とした。 続いて、水108.00mlに溶かした亜硝酸ナトリウム1.26g(18.34mmol)を、前記塩酸塩水溶液に、2時間かけて、ゆっくりと滴下し、ジアゾ化を行った。以上の操作は、0〜3℃で行った。「第2工程:4,4’−ジヒドロオキシアゾベンゼンの合成」 別のビーカーに、硫酸銅(II)五水和物8.15g(32.65mmol)とアンモニア水5.47ml(29.00mmol)と塩化ヒドロキシルアンモニウム1.28g(18.34mmol)をとり、水18.30mlに溶解させてジアゾニウム塩水溶液を作成した。このジアゾニウム塩水溶液に前記ジアゾ化物を滴下し、さらにジエチルエーテル18.00mlを加え、カップリング反応を行った。反応終了後、ろ過し、希塩酸液で洗浄し粗生成物とした。これを、アセトン−水系で再結晶することにより目的生成物を得た。 この目的生成物について、1H−NMR、FT−IR、Massの各スペクトルにより分析を行った。NMR、IR、Massの各スペクトルを図1、図2、図3に示す。 得られた目的生成物は、1H−NMR、FT−IR、Massの各スペクトルにより、4,4’−ジヒドロオキシアゾベンゼン(OH−azo)であると同定した。収量 3.73g(17.42mmol)、収率 95%、性状 黄色固体。「第3工程:4,4’−ジ(2−ブロモエトキシ)アゾベンゼンの合成」 還流冷却器を装備した200mlナス型フラスコに、OH−azo0.20g(0.93mmol)、炭酸カリウム0.90g(6.54mmol)、1,2−ジブロモエタン 1.76g(9.34mmol)および溶媒としてアセトンを用い、70℃ で50時間加熱還流した。反応終了後、室温まで冷却し、減圧留去し、粗生成物を得た。これを、アセトン−水系で再結晶することにより、目的生成物を得た。 この目的生成物について、1H−NMR、FT−IR、Massの各スペクトルにより分析を行った。NMR、IR、Massの各スペクトルを図4、図5、図6に示す。 得られた目的生成物は、1H−NMR、FT−IR、Massの各スペクトルにより、4,4’−ジ(2−ブロモエトキシ)アゾベンゼン(Br−azo)であると同定した。収量 0.35g(0.81mmol)、収率 87%、性状 黄色固体。「第4工程:4,4’−ジ(2−ジメチルアミノエトキシ)アゾベンゼンの合成」 窒素置換をした100mlナス型フラスコに、Br−azo0.28g(0.66mmol)、ジメチルアミン2.25ml(24.21mmol)、および溶媒としてアセトンを用い,室温で5日間攪拌した。反応終了後、減圧留去し、粗生成物を得た。これを,クロロホルム−水系によって分液操作し、クロロホルム層を減圧留去した。これをアセトン−水系で再結晶することにより、目的生成物を得た。 この目的生成物について、1H−NMR、FT−IR、Massの各スペクトルにより分析を行った。NMR、IR、Massの各スペクトルを図7、図8、図9に示す。 得られた目的生成物は、1H−NMR、FT−IR、Massの各スペクトルにより、4,4’−ジ(2−ジメチルアミノエトキシ)アゾベンゼン(DN−azo)であると同定した。収量 0.03g(0.07mmol)、収率 は11%、性状 金色固体。 本発明の4,4’−ジ(2−ジメチルアミノエトキシ)アゾベンゼン(DN−azo)の結晶は、金色光沢を有し、安定であり、空気中に長期間放置しても、その金色光沢は変化しない。また、紫外線を含む光を照射しても退色しない。 そのためにアゾ染料として、溶液に溶かして塗布するだけでなく、真空蒸着処理ができるので、広範な用途にも適用できる。さらに、厚さ及び結晶性の異なる様々な膜を作製することができる。 また、DN−azoの膜は、導電性薄膜として利用できるだけでなく、光照射により導電性を制御することも可能で、オプトエレクトロニクス材料として広範な用途に適用できる。OH−azoのNMRである。OH−azoのIRである。OH−azoのMassである。Br−azoのNMRである。Br−azoのIRである。Br−azoのMassである。DN−azoのNMRである。DN−azoのIRである。DN−azoのMassである。 下記一般式(1)で表され、式中Rは炭素数1から3のアルキル基である4,4’−ジ(2−ジアルキルアミノエトキシ)アゾベンゼン。 下記一般式(2)で表されるp−アミノフェノールの塩酸塩水溶液を亜硝酸ナトリウムにより、下記一般式(3)のジアゾ化合物を得る第1工程、次いで、硫酸銅(II)五水和物 とアンモニア水と塩化ヒドロキシルアンモニウムからなるジアゾニウム塩水溶液に滴下し、カップリング反応を行い、下記一般式(4)の4,4’−ジヒドロオキシアゾベンゼンを得る第2工程、次いで、炭酸カリウム、1,2−ジブロモエタンとアセトン溶媒中で加熱還流し、下記一般式(5)の4,4’−ジ(2−ブロモエトキシ)アゾベンゼンを得る第3工程、さらに、炭素数1から4のジアルキルアミンとアセトン溶媒中で反応させ、下記一般式(1)の4,4’−ジ(2−ジアルキルアミノエトキシ)アゾベンゼンを得る第4工程からなることを特徴とする黄金色固体の4,4’−ジ(2−ジアルキルアミノエトキシ)アゾベンゼンの製造方法。 【課題】金色固体のアゾ化合物を提供する。【解決手段】p−アミノフェノールをジアゾ化する第1工程、次いでカップリング反応を行い、4,4’−ジヒドロオキシアゾベンゼン(OH−azo)を合成する第2工程、1,2−ジブロモエタンにより4,4’−ジ(2−ブロモエトキシ)アゾベンゼン(Br−azo)を合成する第3工程、さらに、ジメチルアミンにより4,4’−ジ(2−ジアルキルアミノエトキシ)アゾベンゼン(DN−azo)を合成する第4工程からなる。本発明のDN−azoは、p−アミノフェノールから容易に製造することができるという利点がある。また、本発明のDN−azoの結晶は、金色光沢を有し、安定であり、空気中に長期間放置しても、その金色光沢は変化しない。また、紫外線を含む光を照射しても退色しない。そのためにアゾ染料として、溶液に溶かして塗布するだけでなく、真空蒸着処理ができるので、広範な用途にも適用できる。【選択図】なし