タイトル: | 公開特許公報(A)_トランスグルタミナーゼ−1産生促進剤及びインボルクリン産生促進剤 |
出願番号: | 2007291346 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 31/704,A61P 43/00,A61P 17/00,A61P 17/06,C07H 15/256 |
木曽 昭典 JP 2009114146 公開特許公報(A) 20090528 2007291346 20071108 トランスグルタミナーゼ−1産生促進剤及びインボルクリン産生促進剤 丸善製薬株式会社 591082421 早川 裕司 100108833 太田 昌孝 100132207 木曽 昭典 A61K 31/704 20060101AFI20090501BHJP A61P 43/00 20060101ALI20090501BHJP A61P 17/00 20060101ALI20090501BHJP A61P 17/06 20060101ALI20090501BHJP C07H 15/256 20060101ALI20090501BHJP JPA61K31/704A61P43/00 111A61P17/00A61P17/06A61P43/00C07H15/256 Z 4 OL 9 4C057 4C086 4C057BB03 4C057DD01 4C057JJ54 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA10 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA89 4C086ZB13 4C086ZC19 本発明は、トランスグルタミナーゼ−1産生促進剤及びインボルクリン産生促進剤に関するものである。 基底層、有棘層、顆粒層及び角質層から構成されている表皮は、外部刺激を緩和し、水分等の体内成分の逸失を制御する働きをしている。基底層で分裂し、増殖した細胞は、有棘層、顆粒層を通過しながら分化し、強固な架橋結合をもったケラチン蛋白線維で構成された角質層になり、最終的には垢として角質層から脱落する。特に、顆粒層では、細胞膜が肥厚して肥厚細胞膜を形成するとともに、トランスグルタミナーゼ−1の作用により、蛋白分子間がグルタミル−リジン架橋され、強靭なケラチン蛋白線維が形成される。さらに、その一部にセラミド等が共有結合し、疎水的な構造をとることで、細胞間脂質のラメラ構造の土台を供給し、角質バリア機能及び皮膚の保湿機能の基礎が形成される。 しかし、加齢とともに表皮におけるトランスグルタミナーゼ−1の産生量が減少すると、角質バリア機能及び皮膚の保湿機能が低下するため、肌荒れ、乾燥肌等の皮膚の老化症状を呈したり、アトピー性皮膚炎、乾癬、魚鱗癬、乾皮症、座瘡等の皮膚疾患を発症したりするようになる。そのため、表皮におけるトランスグルタミナーゼ−1の産生を促進することにより、皮膚の老化症状や皮膚疾患等を予防、治療又は改善することができると考えられる。このような考えに基づいて、従来、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を有するものとして、ニガリ又はその構成成分である塩化カルシウム等が知られている(特許文献1参照)。 また、角質細胞は、ケラチン線維を主成分とし、それを包む角化外膜細胞(cornified envelope,CE)から構成される。このCEは、表皮角化細胞の分化に従って産生される複数のCE前駆体蛋白質が、酵素トランスグルタミナーゼにより架橋され、不溶化することで形成される。さらに、セラミド等が共有結合して疎水的な構造をとることで、CEの一部に細胞間脂質のラメラ構造の土台が供給され、これにより角層バリア機能の基礎が形成される。 このCE前駆体蛋白質の1つとして、インボルクリンが知られており、かかるインボルクリンの産生を促進することで、角層バリア機能を改善し、肌荒れ、乾燥肌等の皮膚の老化症状、アトピー性皮膚炎、乾癬、魚鱗癬、乾皮症等の乾燥性皮膚疾患等を予防、治療又は改善することができると考えられる。このような考えに基づき、従来、インボルクリン産生促進作用を有するものとして、セイロンテツボクの種子抽出物等が知られている(特許文献2参照)。特開2004−51596号公報特開2005−213187号公報 本発明は、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用又はインボルクリン産生促進作用を有する物質を見出し、それを有効成分とするトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、インボルクリン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤及びインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤を提供することを目的とする。 上記課題を解決するため、本発明のトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、インボルクリン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤又はインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤は、グリチルリチン酸ジカリウムを有効成分として含有することを特徴とする。 本発明によれば、グリチルリチン酸ジカリウムを有効成分として含有するトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、インボルクリン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤及びインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤を提供することができる。 以下、本発明について説明する。 本発明のトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、インボルクリン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤又はインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤は、グリチルリチン酸ジカリウムを有効成分として含有する。 グリチルリチン酸ジカリウムは、グリチルリチン酸と水酸化カリウム(KOH)等とを反応させることにより得ることができ、グリチルリチン酸は、グリチルリチン酸を含有する植物抽出物から単離・精製することにより得ることができる。なお、グリチルリチン酸を含有する植物抽出物には、グリチルリチン酸を含有する植物を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。 グリチルリチン酸を含有する植物抽出物は、植物の抽出に一般に用いられている方法によって得ることができる。グリチルリチン酸を含有する植物としては、例えば、甘草等が挙げられる。 甘草には、Glychyrrhiza glabra、Glychyrrhiza inflata、Glychyrrhiza uralensis、Glychyrrhiza aspera、Glychyrrhiza eurycarpa、Glychyrrhiza lepidota等、様々な種類のものがあり、これらのうち、いずれの種類の甘草を抽出原料として使用してもよいが、特にGlychyrrhiza glabraを抽出原料として使用することが好ましい。 抽出原料として使用し得る甘草の構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、花部等の地上部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは根部である。 グリチルリチン酸を含有する植物抽出物は、抽出原料を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、植物の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。 抽出溶媒としては、極性溶媒を使用するのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。 抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。 抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。 2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90容量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40容量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して多価アルコール10〜90容量部を混合することが好ましい。 抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。 以上のようにして得られた抽出液、当該抽出液の濃縮物又は当該抽出液の乾燥物からグリチルリチン酸を単離・精製する方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、植物抽出物を、シリカゲルやアルミナ等の多孔質物質、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やポリメタクリレート等の多孔性樹脂等を用いたカラムクロマトグラフィーに付して、水、アルコールの順で溶出させ、アルコールで溶出される画分としてグリチルリチン酸を得ることができる。 カラムクロマトグラフィーにて溶出液として使用し得るアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール又はそれらの水溶液等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。 さらに、カラムクロマトグラフィーにより得られたアルコール画分を、ODSを用いた逆相シリカゲルクロマトグラフィー、再結晶、液−液向流抽出、イオン交換樹脂を用いたカラムクロマトグラフィー等の任意の有機化合物精製手段を用いて精製してもよい。 このようにして得られるグリチルリチン酸を、常法により水酸化カリウム(KOH)等と反応させることで、グリチルリチン酸ジカリウムを得ることができる。 以上のようにして得られるグリチルリチン酸ジカリウムは、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用及びインボルクリン産生促進作用を有しているため、それらの作用を利用してトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤及びインボルクリン産生促進剤の有効成分として使用することができる。 また、グリチルリチン酸ジカリウムは、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を有するため、その作用を利用してトランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患(例えば、魚鱗癬、乾癬、アトピー性皮膚炎、乾皮症、座瘡等の皮膚疾患)の予防・治療剤の有効成分としても使用することができる。 さらに、グリチルリチン酸ジカリウムは、インボルクリン産生促進作用を有するため、その作用を利用してインボルクリンの欠乏に起因する疾患(例えば、魚鱗癬、乾癬、アトピー性皮膚炎、乾皮症等の乾燥性皮膚疾患)の予防・治療剤の有効成分としても使用することができる。 本発明のトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、インボルクリン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤又はインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤は、グリチルリチン酸ジカリウムのみからなるものであってもよいし、グリチルリチン酸ジカリウムを製剤化したものであってもよい。 グリチルリチン酸ジカリウムは、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。グリチルリチン酸ジカリウムは、他の組成物(例えば、皮膚化粧料等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。 なお、本発明のトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、インボルクリン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤又はインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤は、必要に応じて、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用又はインボルクリン産生促進作用を有する他の天然抽出物を配合して有効成分として用いることができる。 本発明のトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、インボルクリン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤又はインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤としては、一般に経皮投与、経口投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。また、本発明のトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、インボルクリン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤又はインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。 本発明のトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤は、グリチルリチン酸ジカリウムが有するトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を通じて、肌荒れ、乾燥肌等の皮膚の老化症状や、魚鱗癬、乾癬、アトピー性皮膚炎、乾皮症、座瘡等の皮膚疾患等を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明のトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤は、これらの用途以外にもトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。 本発明のインボルクリン産生促進剤は、グリチルリチン酸ジカリウムが有するインボルクリン産生促進作用を通じて、肌荒れ、乾燥肌等の皮膚の老化症状や、魚鱗癬、乾癬、アトピー性皮膚炎、乾皮症等の乾燥性皮膚疾患等を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明のインボルクリン産生促進剤は、これらの用途以外にもインボルクリン産生促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。 本発明のトランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤は、グリチルリチン酸ジカリウムが有するトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を通じて、魚鱗癬、乾癬、アトピー性皮膚炎、乾皮症、座瘡等の皮膚疾患等を予防又は治療することができる。 本発明のインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤は、グリチルリチン酸ジカリウムが有するインボルクリン産生促進作用を通じて、魚鱗癬、乾癬、アトピー性皮膚炎、乾皮症等の乾燥性皮膚疾患等を予防又は治療することができる。 なお、本発明のトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、インボルクリン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤又はインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。 以下、試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の試験例に何ら制限されるものではない。なお、下記の試験例においては、試料としてグリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬社製)を使用した。〔試験例1〕トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用試験 グリチルリチン酸ジカリウムについて、以下のようにしてトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を試験した。 正常ヒト皮膚表皮角化細胞(NHEK)を、80cm2のフラスコにて正常ヒト表皮角化細胞培地(KGM)を用いて37℃、5%CO2−95%airの条件下で培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×105cells/mLの細胞密度になるようにKGMで希釈した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、37℃、5%CO2−95%airの条件下で2日間培養した。 培養終了後、試料をKGMで溶解した試料溶液(試料濃度は、下記表1を参照)を各ウェルに100μLずつ添加し、37℃、5%CO2−95%airの条件下で24時間培養した。培養終了後、培地を抜き、細胞をプレートに固定させ細胞表面に発現したトランスグルタミナーゼ−1の量を、モノクローナル抗ヒトトランスグルタミナーゼ−1抗体を用いたELISA法により測定した。得られた測定結果から、下記式に基づいてトランスグルタミナーゼ−1産生促進率(%)を算出した。 トランスグルタミナーゼ−1産生促進率(%)=A/B×100 式中、Aは「試料添加時の波長405nmにおける吸光度」を表し、Bは「試料無添加時の波長405nmにおける吸光度」を表す。 上記試験の結果を表1に示す。 表1に示すように、グリチルリチン酸ジカリウムは、優れたトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を有することが確認された。〔試験例2〕インボルクリン産生促進作用試験 グリチルリチン酸ジカリウムについて、以下のようにしてインボルクリン産生促進作用を試験した。 正常ヒト皮膚表皮角化細胞(NHEK)を、80cm2のフラスコにて正常ヒト表皮角化細胞培地(KGM)を用いて37℃、5%CO2−95%airの条件下で培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×105cells/mLの細胞密度になるようにKGMで希釈した後、48ウェルプレートに1ウェルあたり200μLずつ播種し、37℃、5%CO2−95%airの条件下で一晩培養した。 培養終了後、培地を抜き、試料をKGMで溶解した試料溶液(試料濃度は、下記表2を参照)を各ウェルに200μLずつ添加し、37℃、5%CO2−95%airの条件下で48時間培養した。培養終了後、培地を抜き、細胞をプレートに固定させ細胞表面に発現したインボルクリンの量を、モノクローナル抗ヒトインボルクリン抗体を用いたELISA法により測定した。得られた測定結果から、下記式によりインボルクリン産生促進率(%)を算出した。 インボルクリン産生促進率(%)=A/B×100 式中、Aは「試料添加時の波長405nmにおける吸光度」を表し、Bは「試料無添加時の波長405nmにおける吸光度」を表す。 上記試験の結果を表2に示す。 表2に示すように、グリチルリチン酸ジカリウムは、優れたインボルクリン産生促進作用を有することが確認された。 本発明のトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、インボルクリン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤及びインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤は、肌荒れ、乾燥肌等の皮膚の老化症状、魚鱗癬、乾癬、アトピー性皮膚炎、乾皮症、座瘡等の皮膚疾患等の予防、治療又は改善に大きく貢献できる。 グリチルリチン酸ジカリウムを有効成分として含有することを特徴とするトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤。 グリチルリチン酸ジカリウムを有効成分として含有することを特徴とするインボルクリン産生促進剤。 グリチルリチン酸ジカリウムを有効成分として含有することを特徴とするトランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤。 グリチルリチン酸ジカリウムを有効成分として含有することを特徴とするインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤。 【課題】安全性の高い天然物の中からトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用又はインボルクリン産生促進作用を有する物質を見出し、それを有効成分とするトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、インボルクリン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤又はインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤を提供する。【解決手段】トランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、インボルクリン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ−1の欠乏に起因する疾患の予防・治療剤又はインボルクリンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤に、グリチルリチン酸ジカリウムを有効成分として含有せしめる。【選択図】なし