タイトル: | 公開特許公報(A)_湿度センサー |
出願番号: | 2007285907 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | G01N 21/23 |
二村 恵朗 JP 2009115483 公開特許公報(A) 20090528 2007285907 20071102 湿度センサー 富士フイルム株式会社 306037311 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 二村 恵朗 G01N 21/23 20060101AFI20090501BHJP JPG01N21/23 10 1 OL 9 2G059 2G059AA03 2G059BB10 2G059CC09 2G059EE01 2G059EE05 2G059EE09 2G059JJ13 2G059JJ19 2G059KK07 2G059PP04 本発明は、湿度を色によって知ることができる湿度センサーに関する。 生活空間での湿度(40〜70%RH)の制御が要求されている。また、IC及びLSI等の電子部品の製造及び保管には、低湿環境が要求されている。これらの電子産業に加えて、医療機関、食品、繊維、農業分野においても湿度調整システムが不可欠となっている。湿度の検出ディバイスとして、湿度センサーは欠くことのできない重要なものである。毛髪や高分子フィルムを利用した機械センサー、乾湿球湿度計、水分による赤外線やマイクロ波の吸収を利用するセンサー、さらに、電界効果トランジスタ型等の製品化されている。これらの装置は、機械的に複雑であるか、読み取るために特別の操作を必要とするか、外部のパワーを必要とする。 外部パワーに依存せず、また簡単に読み取り可能な装置とし、所定のコバルト化合物が湿度によって青色から赤色に変化するという現象を利用した、簡易な構成の可視型の湿度計が存在し、坂東勝正、前橋康裕;センサー技術、50,3(1983)にも紹介されている。しかし、この湿度計では、正確に湿度を測定することが困難である。 一方、化合物が水和によって複屈折状態と非複屈折状態になるのを利用して、偏光子と組み合わせた、可視型の湿度センサーが知られている(特許文献1)。このセンサーは、湿度を、透過光強度の変化によって示すので、視認性の点で劣っている。米国特許第4,166,891号 本発明は、湿度感度が高く、視認性に優れる新規な湿度センサーを提供することを課題とする。 前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。[1] 湿度によってレターデーションが変化する複屈折層と、該複屈折層からの出射光に複屈折干渉を起こさせる手段とを有し、湿度又は湿度範囲を色で表示することを特徴とする湿度センサー。[2] 一対の偏光子を有し、前記複屈折層が、前記一対の偏光子の間に遅相軸が入射光側の偏光子の軸と一致しない様に配置されていることを特徴とする[1]の湿度センサー。[3] 偏光子と光反射面とを有し、前記複屈折層が、前記偏光子と前記光反射面との間に配置されていることを特徴とする[1]の湿度センサー。[4] 前記複屈折層の、温度25℃・相対湿度60%での面内レターデーションReが150nm以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの湿度センサー。[5] 前記複屈折層の、温度25℃・相対湿度60%と温度25℃・相対湿度80%の面内レターデーションReの差が、50nm以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの湿度センサー。[6] 前記複屈折層の透湿度が100g/m2・day以上であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの湿度センサー。[7] 前記複屈折層が、高分子を主成分として含むことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの湿度センサー。[8] 前記高分子が、セルロース系高分子から選択されることを特徴とする[7]の湿度センサー。[9] 前記高分子が、水酸基の水素原子がアシル基で置換されたセルロース系高分子から選択されることを特徴とする[8]の湿度センサー。[10] 前記複屈折層が、延伸高分子フィルムであることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかの湿度センサー。 本発明によれば、湿度感度が高く、視認性に優れる新規な湿度センサーを提供することができる。本発明では、複屈折干渉によって生じる色によって湿度を表示するので、従来の色表示による湿度センサーが、湿度を、ある特定の色から他の色(例えば、青色から赤色)への色調によって表示していたのに対して、湿度を多彩な色相によって表示することができ、高感度であるとともに、視認性に優れている。 さらに、複屈折層を高分子フィルムなどで構成することで、容易に大面積化することができ、例えば、任意の空間内の湿度の分布を容易に検出し、色相による分布図として可視化することもできる。発明の実施の形態 以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、数値範囲について、「〜」はその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で用いる。 本発明は、湿度によってレターデーションが変化する複屈折層を利用した湿度センサーに関する。本発明の湿度センサーは、前記複屈折層のレターデーションを、該層からの出射光を複屈折干渉させることで色光として可視化し、その色相によって湿度を表示する。前記複屈折層からの出射光を複屈折干渉させるためには、該複屈折層に入射する光が偏光であり、且つ出射する光が偏光分離される必要がある。例えば、前記複屈折層を、偏光子やミラーなどと組合せることで、複屈折干渉を起こさせることができる。 図1に本発明の湿度センサーの一態様の概略断面図を示す。図1に示す湿度センサーは、複屈折層10と、その上下に一対の偏光子12a及び12bとを有する。偏光子12a及び12bは、互いの偏光軸を直交にして配置されている。自然光は、偏光子12bによって同一の偏光面を有する直線偏光として、複屈折層10に入射し、出射面においては、偏光子12aの存在により、複屈折干渉する。複屈折層10のレターデーションを調整すれば、観察者は、出射光を所定の色相の色光として認識する。色相は複屈折層のレターデーションに依存するので、複屈折層のレターデーションが湿度によって変化すれば、出射光の色相も変化する。事前に、湿度センサーが表示する色と湿度(湿度範囲であってもよい)との関係について、対応表を作成しておけば、湿度センサーが表示する色によって、湿度(又は湿度範囲)を知ることができる。 図1では、一対の偏光子の間に複屈折層を配置することで、複屈折干渉を起こさせた態様を示したが、例えば、図1中、偏光子12bをミラーに置き換えて、ミラーによって直線偏光を反射して、偏光軸を90°回転させた反射光を再び複屈折層に戻すことでも、複屈折干渉を起こさせることができる。また、図1では、クロスニコル配置の一対の偏光子の間に複屈折層を配置したが、パラレルニコル配置の一対の偏光子の間に複屈折層を配置し、複屈折干渉を発生させてもよい。 本発明の湿度センサーでは、複屈折層が湿度に対して高感度でレターデーションを変化させるためには、複屈折層が、測定対象となっている環境に十分に曝されることが好ましい。そのためには、例えば、図1中の構成を例に挙げれば、複屈折層10と偏光子12a及び12bとの間に、本発明の効果を損なわない範囲で隙間を形成すること、偏光子12a及び12bに透湿性の高い材料を用いること、及び偏光子12a及び12bに、本発明の効果を損なわない範囲で微細な孔を複数形成すること等を採用してもよい。 複屈折層には、面内遅相軸が存在する。本発明の湿度センサーでは、前記複屈折層の面内遅相軸を、入射する直線偏光の偏光面に対して45度の方向に配置するのがコントラストを高めるために好ましい。但し、これに限定されるものではない。ただし、複屈折干渉を発現させるために入射偏光の軸と一致しないようにすることが必要である。 以下、本発明の湿度センサーが有する複屈折層の好ましい性質、及び好ましい材料例等について詳細に説明する。(複屈折層の光学特性) 前記複屈折層は、湿度によってレターデーションが変化する性質を有する。複屈折干渉により色表示を可能にするためには、25℃・相対湿度60%という常温且つ常湿度の環境で、面内レターデーションReが150nm以上であるのが好ましく、250nm以上であるのがより好ましく、300〜1000nmであるのがさらに好ましい。また、湿度変化を高感度で色変化として表示可能とするためには、温度25℃で、相対湿度を60%から80%に変化させた際のReの差が、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であるのがより好ましく、50〜500nmであるのがさらに好ましい。 なお、本明細書において、Re(λ)は、波長λにおける面内のレターデーション(nm)を表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。また、所定の温度及び所定の湿度におけるReは、その条件の環境下に試料を24時間以上放置した後に、その環境下で、上記方法によって測定されたReをいうものとする。 また、測定波長について特に記述がない場合は、測定波長は550nmである。また、測定温度及び湿度について特に記述がない場合は、温度25℃・相対湿度60%の雰囲気下における測定値であるとする。(複屈折層の透湿度) また、前記複屈折層のレターデーションが湿度によって変化するためには、該層は、空気中の水分子の浸透が可能な程度の透湿性を有し、透湿性が高いのが好ましい。前記複屈折層の透湿度の好ましい範囲は、該層の元々のレターデーションや、その材料などによって異なるが、例えば、高分子フィルムからなる場合は、前記複屈折層の透湿度は、100g/m2・day以上であるのが好ましく、1000g/m2・day以上であるのがより好ましい。上限値は特に制限はないが、セルロースアシレートフィルムでは透湿度の上限値は10000g/m2・day程度になる。 なお、本明細書において「透湿度」は、JIS規格JIS Z 0208をもとに、温度60℃、湿度95%RH(相対湿度)の条件において測定し、膜厚80μmに換算した値をいうものとする。なお、膜厚の換算は、下記式 80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm から算出するものとする。 透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4,共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、試料70mmφを25℃90%RH及び60℃95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、商品名、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量の式から算出することができる。(複屈折層の厚み) 前記複屈折層の厚みは、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はない。環境湿度に対して高感度であるためには、薄層であるのが好ましいが、一方、複屈折干渉により色表示を可能とするためには、上記した通り、ある程度のReが必要であり、材料によっては、厚みを厚くすることで、Reを適当な範囲にする必要がある場合もある。これらの観点から、前記複屈折層の厚みは、一般的には、10〜1000μm程度が好ましい。但し、この範囲に限定されるものではない。(複屈折層の材料) 前記複屈折層は、種々の材料から作製することができる。その一例として、高分子材料が挙げられる。高分子材料の中には、水に対する親和性の高い材料があり、該高分子材料をフィルム状に成形すると、透湿度の高い層になる。また高分子フィルムは、延伸処理によって容易にReを調整することができるので、延伸高分子フィルムを利用すれば、所望のReを示し、且つ湿度に応じてReが変化する複屈折層を容易に作製することができる。中でも、セルロース系高分子は、水に対する親和性が高く、これを製膜したフィルムは、水分子を吸収することによってレターデーションが変化し、またその吸収の程度に比例してレターデーションが変化する性質を有する。 以下、本発明において、前記複屈折層として利用可能なセルロース系高分子フィルムについて、詳細に説明する。(セルロース系高分子フィルム) セルロース系高分子は、セルロースを原料として製造される。原料としては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)など何れを用いてもよい。場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤・宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。 前記セルロース系高分子は、セルロースアシレートであるのが好ましい。セルロースアシレートは、セルロースの水酸基をアシル基で置換して得られるセルロースのエステルである。より具体的には、セルロースアシレートは、セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基の一部又は全部の水素原子が、アシル基によって置換された重合体(ポリマー)である。製膜性、水に対する親和性、及びRe発現性等を考慮すると、アシル基による置換度は、1〜3であるのが好ましく、2〜3であるのがより好ましい。 前記セルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であることが好ましく、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400がさらに好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度を700以下とすることにより、セルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり過ぎず、流延によるフィルム製造が容易になる傾向にある。また、重合度を180以上とすることにより、作製したフィルムの強度がより向上する傾向にあり好ましい。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫著、「繊維学会誌」、第18巻、第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。具体的には、特開平9−95538号公報に記載の方法に従って測定することができる。 また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましく、1.0〜1.6であることがさらに好ましい。 また、前記セルロースアシレートの原料綿や合成方法としては、例えば、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、7頁〜12頁、2001年3月15日発行、発明協会)に記載のものを好ましく採用できる。 前記複屈折層として利用可能なセルロース系高分子フィルムは、セルロース系高分子を主成分として、即ち50質量%以上の割合で含有しているのが好ましく、セルロース系高分子のみからなっていてもよい。 前記複屈折層として利用可能なセルロース系高分子フィルム等の高分子フィルムは、溶液製膜法及び溶融製膜法のいずれの方法によっても製造することができる。以下では、溶液製膜法を利用した方法について説明するが、これに限定されるものではない。(溶液製膜法(セルベントキャスト法)) ソルベントキャスト法では、高分子を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)調製し、このドープを用いて製膜する。ドープの調製に用いられる主溶媒は、有機溶媒であるのが好ましく、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、及び炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン及び、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、例えば、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。 また、塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としてもよいし、例えば公開技法(公開技報2001−1745、12頁〜16頁、2001年発行、発明協会)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としてもよい。 その他、ドープの調製方法、溶媒等については、その溶解方法も含め以下の特許文献に開示されているものを、好ましい態様としてあげることができる。特開2000−95876号、特開平12−95877号、特開平10−324774号、特開平8−152514号、特開平10−330538号、特開平9−95538号、特開平9−95557号、特開平10−235664号、特開平12−63534号、特開平11−21379号、特開平10−182853号、特開平10−278056号、特開平10−279702号、特開平10−323853号、特開平10−237186号、特開平11−60807号、特開平11−152342号、特開平11−292988号、特開平11−60752号、特開平11−60752号の各公報。 ドープの調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法又は高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。ドープの調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、22頁〜25頁、2001年3月15日発行、発明協会)にて詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。 前記ドープの透明度としては、85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、商品名、島津製作所)で550nmの吸光度を測定する。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比から透明度を算出する。 溶解機(釜)から調製されたドープを貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば、回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせは、目的に応じて決定することができる。 上記方法により製膜されたフィルムは、そのまま種々の用途に利用することができる。さらに延伸処理を施して、所望のReとしてから使用してもよい。特に、フィルムの面内レターデーション値を高い値とする場合には、積極的に幅方向に延伸する方法、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、及び特開平11−48271号の各公報などに記載されている方法等に従って、フィルムを延伸するのが好ましい。 フィルムの延伸は、常温又は加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムの延伸は、縦又は横だけの一軸延伸でもよく、同時又は逐次2軸延伸でもよい。フィルムは、1〜200%の延伸を行うことが好ましく、1〜100%の延伸を行うことがより好ましく、1〜50%の延伸を行うことがさらに好ましい。 本発明の湿度センサーは、簡易な構成であり、且つ外部からのエネルギーの供給がなくても、湿度を感知できる点で有用である。また、上記した通り、偏光膜や高分子フィルムといった、種々の大きさ及び形状に作製可能な部材のみから構成できるので、用途に応じて、種々の形態にできる点でも有用である。特に、偏光膜や高分子フィルムは、大面積化が可能なので、任意の空間内の湿度の分布を容易に検出し、色相による分布図として可視化することもできる。 以下に本発明の実施例を挙げて、より具体的に本発明を説明する。[実施例1]<セルロースアセテートフィルムの製造方法>セルロースエステルA: 置換度が2.91のセルロースアセテートの粉体(15質量部)をセルロースエステルとして用いた。セルロースアセテートの粘度平均重合度は270、、アセトン抽出分は7質量%、質量平均分子量/数平均分子量比は2.3、ガラス転移温度(Tg)は160℃、含水率は0.2質量%、6質量%ジクロロメタン溶液中の粘度は305mPa・s、残存酢酸量は0.1質量%以下、Ca含有量は65ppm、Mg含有量は26ppm、鉄含有量は0.8ppm、硫酸イオン含有量は18ppm、イエローインデックスは1.9、遊離酢酸量は47ppmであった。粉体の平均粒子径は1.5mm、標準偏差は0.5mmであった。 上記セルロースアセテートを溶媒A(ジクロロメタン/メタノール/ブタノール(79.0/14.0/2.0質量部))に固形分が15%となるように溶解し、セルロースエステル溶液とした。この溶液を、流延ギーサー(特開平11−314233号公報に記載)を通して、温度15℃に設定したバンド長60mの鏡面ステンレス支持体上に流延した。流延スピードは35m/分、塗布幅は200cmとした。流延部全体の空間温度は、15℃に設定した。そして、流延部から50cm手前で流延して回転してきたセルロースエステルフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターでクリップした。ピンテンターで保持されたセルロースエステルフィルムは、乾燥ゾーンに搬送した。初めの乾燥では45℃の乾燥風を送風した。次に110℃で5分、さらに145℃で10分乾燥(フィルム温度は約140℃)して、100μmのセルロースアセテートフィルムを得た。 上記セルロースアセテートフィルムを160℃に加熱した状態で20%延伸した。このフィルムの、温度25℃・相対湿度60%での面内レターデーションReを測定すると200nmあった。また、温度25℃・相対湿度60%と温度25℃・相対湿度80%のReの差は、100nmあった。また、このフィルムの透湿度は、2000mg/m2/dayであった。 上記で作製したセルロースアセテートフィルムを用いて、図1と同様の構成の湿度センサーを作製した。具体的には、二枚の偏光子をクロスニコル状態とし、その間に、上記方法で作製したセルロースアセテートフィルムを挿入した。なお、フィルムと偏光子との間に隙間を設け、該フィルムに湿度を検出したい雰囲気が十分に接触するようにした。 この湿度センサーを、温度25℃・相対湿度10%の雰囲気の室内に放置すると、フィルムは黄土色になり、同温度のまま相対湿度を60%まで上昇させると、青色に変化し、さらに同温度のまま相対湿度を80%まで上昇させると、緑色に変化した。 この過程を数回繰り返したところ、同じ結果が得られた。本発明の湿度センサーの一実施形態の断面模式図である。符号の説明 10 複屈折層 12a、12b 偏光子湿度によってレターデーションが変化する複屈折層と、該複屈折層からの出射光に複屈折干渉を起こさせる手段とを有し、湿度又は湿度範囲を色で表示することを特徴とする湿度センサー。一対の偏光子を有し、前記複屈折層が、前記一対の偏光子の間に遅相軸が入射光側の偏光子の軸と一致しない様に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の湿度センサー。偏光子と光反射面とを有し、前記複屈折層が、前記偏光子と前記光反射面との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の湿度センサー。前記複屈折層の、温度25℃・相対湿度60%での面内レターデーションReが150nm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の湿度センサー。前記複屈折層の、温度25℃・相対湿度60%と温度25℃・相対湿度80%の面内レターデーションReの差が、50nm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の湿度センサー。前記複屈折層の透湿度が100g/m2・day以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の湿度センサー。前記複屈折層が、高分子を主成分として含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の湿度センサー。前記高分子が、セルロース系高分子から選択されることを特徴とする請求項7に記載の湿度センサー。前記高分子が、水酸基の水素原子がアシル基で置換されたセルロース系高分子から選択されることを特徴とする請求項8に記載の湿度センサー。前記複屈折層が、延伸高分子フィルムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の湿度センサー。 【課題】湿度感度が高く、視認性に優れる新規な湿度センサーを提供する。【解決手段】湿度によってレターデーションが変化する複屈折層と、該複屈折層からの出射光に複屈折干渉を起こさせる手段とを有し、湿度又は湿度範囲を色で表示することを特徴とする湿度センサーである。本発明の一例は、偏光軸が互いに直交する一対の偏光子(12a及び12b)を有し、前記複屈折層(10)が、前記一対の偏光子の間に配置されている湿度センサーである。【選択図】図1