| タイトル: | 公開特許公報(A)_フェルラ酸エステル類化合物の製造方法 |
| 出願番号: | 2007265738 |
| 年次: | 2009 |
| IPC分類: | C12P 7/62 |
村田 修市 王 忠信 土山 守安 築野 卓夫 門田 めぐみ 味村 妃紗 JP 2009089689 公開特許公報(A) 20090430 2007265738 20071011 フェルラ酸エステル類化合物の製造方法 奥本製粉株式会社 591018534 築野食品工業株式会社 591066362 岩谷 龍 100077012 村田 修市 王 忠信 土山 守安 築野 卓夫 門田 めぐみ 味村 妃紗 C12P 7/62 20060101AFI20090403BHJP JPC12P7/62 11 OL 11 4B064 4B064AD64 4B064CA21 4B064CA36 4B064CB24 4B064CD06 4B064CD07 4B064DA01 4B064DA10 4B064DA20 本発明はフェルラ酸エステル類化合物の製造方法に関し、さらに詳しくはフェルラ酸類化合物とヒドロキシ化合物とから固定化酵素法によりフェルラ酸エステル類化合物を効率よく製造する方法に関する。 フェルラ酸エステル類化合物、例えばフェルラ酸は、米、小麦、野菜類、柑橘類などの植物の細胞壁や種子にエステルや配糖体として存在している。構造上フェルラ酸は多くの共鳴構造をとり、フェノキシラジカルとして安定して存在でき、フリーラジカル連鎖反応を容易に停止するので抗酸化剤として作用する。また、抗癌作用や血圧低下作用などの様々な生理活性の観点からも注目されている。 しかしながら、フェルラ酸エステル類化合物、例えばフェルラ酸は水に対する溶解度が低く、室温でフェルラ酸の結晶が析出するため、化粧品や食品の水相に含有させることが困難であるという問題がある。 上記の問題を解決するために、例えば水溶化を目的としてフェルラ酸類化合物にグリセロール等により親水基を導入することが行われている(特許文献1)。 フェルラ酸エステル類化合物(例えば、グリセリルフェルラ酸)自体は公知であり、その製造方法としては化学的合成法や酵素法が知られている。例えば、非特許文献1には、フェルラ酸とグリセロールとをジクロロメタンとジメチルホルムアミドの混合溶媒中脱水縮合剤であるジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下に縮合反応させる化学合成法が開示されている。また、特許文献1には、フェルラ酸とグリセロールに、水とジメチルスルホキシドとの混合溶媒中、フェルラ酸エステラーゼを作用させる酵素法が開示されている。 しかしながら、上記方法はいずれも有機溶媒を使用しなければならず、環境上好ましくない。また、上記酵素法は有機溶媒を使用しなければならない上に、反応終了液からの目的物(グリセリルフェルラ酸)の回収が煩雑であるという難点がある。特開2007−10号公報J.Agric. Food Chem.,2000,48,5476−5483 本発明の目的は、グリセリルフェルラ酸などのフェルラ酸エステル類化合物を工業的有利にかつ環境にやさしく製造しうる方法を提供する点にある。 本発明者等は、上記目的を達成するためにフェルラ酸エステル類化合物の製造方法について種々研究を重ねた結果、フェルラ酸類化合物とヒドロキシ化合物とに、水性溶媒中、固定化担体に固定化したフェルラ酸エステラーゼを作用させれば、工業的有利にかつ環境にやさしくフェルラ酸エステル類化合物を製造できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、[1] 一般式[II](ただし、環Aは置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)で示されるフェルラ酸類化合物と一般式[III](ただし、Rは一価もしくは多価アルコールまたは糖類から1つの水酸基を除いた残基を表す。)で示されるヒドロキシ化合物に、水性溶媒中、固定化担体に固定化したフェルラ酸エステラーゼを作用させることを特徴とする一般式[I](ただし、環AおよびRは前記と同一意味を有する。)で示されるフェルラ酸エステル類化合物の製造方法、[2] 環Aが低級アルコキシ基、低級アルキル基及び水酸基から選ばれる置換基1〜3個を有していてもよいフェニル基である前記[1]記載の製造方法、[3] フェルラ酸類化合物[II]がフェルラ酸である前記[1]記載の製造方法、[4] ヒドロキシ化合物[III]が一価もしくは多価アルコールまたは糖類である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法、[5] ヒドロキシ化合物[III]がグリセロールである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法、[6] フェルラ酸エステラーゼが、フェルラ酸エステラーゼを含むペクチナーゼである前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法、[7] 固定化担体が、アミノアルキル基もしくはアミノフェニルアルキル基が導入されたキトサンである前記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法、[8] 固定化されたフェルラ酸エステラーゼが、アミノアルキル基もしくはアミノフェニルアルキル基が導入されたキトサンとフェルラ酸エステラーゼが多官能試薬を介して共有結合されている前記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法、[9] 多官能試薬がグルタアルアルデヒドである前記[8]記載の製造方法、[10] 水性溶媒が水または緩衝液である前記[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法、および[11] 固定化担体に固定化したフェルラ酸エステラーゼを繰返しまたは連続的に使用する前記[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法である。 本発明によれば、フェルラ酸類化合物(例えば、フェルラ酸)とヒドロキシ化合物(例えば、グリセロール)とからフェルラ酸エステル類化合物(例えば、グリセリルフェルラ酸)を工業的有利にかつ環境にやさしく製造することができる。 フェルラ酸類化合物[II]において、環Aは置換基を有していてもよいフェニル基であり、ここで置換基としては、例えば、低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソピル基などの炭素数1〜5個のアルキル基)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基などの炭素数1〜5個のアルコキシ基)、ヒドロキシ基から選ばれる基があげられ、これらの置換基は同一または異なってベンゼン環上に1〜3個置換していてもよい。これらの置換基がベンゼン環上に置換した環Aを含む基の具体例としては、例えば、3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル基などがあげられる。 フェルラ酸類化合物[II]の具体例としては、例えば、桂皮酸、フェルラ酸(=3−メトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸)、シナピン酸(=3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸)、ジメトキシ桂皮酸(=3,4−ジメトキシ桂皮酸)などがあげられる。これらのうち、とりわけフェルラ酸が好ましい。 ヒドロキシ化合物[III]の例としては、炭素数1〜20のアルカノール、炭素数2〜20のアルコキシアルカノール、トコフェロールなどの1価アルコール、グリセロールなどの多価アルコール、フラクトース、グルコース、キシロース、ガラクトース、アラビノースなどの単糖類を含む糖類があげられる。したがって、一般式[III]におけるRは、これらヒドロキシ化合物(一価もしくは多価アルコールまたは糖類)から1個の水酸基を除いた残基、すなわち炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、グリセロイル基、糖残基などである。ヒドロキシ化合物[III]として、特に好ましいのはグリセロールである。 本発明において基質として用いるフェルラ酸類化合物は種々の方法により合成することができる。例えば、フェルラ酸の製造方法として、特開平5−331101号公報に開示された製造方法を用いることができ、例えば、粗γ−オリザノールをアルカリ加水分解することにより容易に製造することができる。また、市販品として入手することもできる。 本発明に用いる酵素は、固定化担体に固定化したフェルラ酸エステラーゼ(以下、単に、固定化酵素ともいう。)である。固定化に用いる固定化担体としては、フェルラ酸エステラーゼを固定化し得る水不溶性担体であれば、特に限定されない。このような固定化担体としては、例えばポリビニルアルコール、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、イオン交換樹脂、セルロース、キチン、キトサンなどの水不溶性担体あるいはこれらにさらにアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基などの官能基を導入したものが挙げられ、とりわけアミノ基を導入したキトサンが好ましい。アミノ基を導入したキトサンはキトサンを原料として製造できるが、市販品として入手することもできる。市販品としては、キトパール(登録商標、富士紡績社製)などが挙げられ、例えばアミノアルキル基を導入したものとして、キトパールBCW−3001、キトパールBCW−3003、キトパールBCW−3005、キトパールBCW−3010などがあり、アミノフェニルアルキル基を導入したものとしてキトパールBCW−3501、キトパールBCW−3503、キトパールBCW−3505、キトパールBCW−3510など挙げられる。これらのうちアミノアルキル基を導入したキトパールの主要構造を示せば次の通りである。 またアミノフェニルアルキル基を導入したキトパールの主要構造を示せば次のとおりである。 本発明の固定化酵素に用いるフェルラ酸エステラーゼ(以下、単に酵素ともいう。)は、フェルラ酸とグリセロールとの間でエステル化反応を生じさせるものであれば特に限定されない。このような酵素としては、アスペルギルス属に属する微生物(例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger))、ペニシリニウム属(Penicillium)に属する微生物(例えば、ペニシリニウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum))などに由来するフェルラ酸エステラーゼが使用できる。 上記微生物由来のフェルラ酸エステラーゼは、精製した酵素であってもよく、粗製の酵素であってもよい。粗製の酵素としては、市販のペクチナーゼ、例えばペクチナーゼPL(商品名:ペクチナーゼPL「アマノ」、天野エンザイム株式会社製)、ペクチナーゼG(商品名:ペクチナーゼG「アマノ」、天野エンザイム株式会社製)などが挙げられる。 本明細書中では、フェルラ酸エステラーゼが微生物に「由来する」とは、その微生物から直接単離したことのみを意味するのではなく、その微生物を遺伝子組換えや紫外線等の照射線や変異原性物質による突然変異誘発によるなどの慣用技術を利用することによりフェルラ酸エステラーゼが得られることをいう。例えば、アスペルギルス・ニガーのフェルラ酸エステラーゼ遺伝子をクローニングし、クローン化された該遺伝子を他の宿主微生物(例えば、大腸菌)に導入し、得られた形質転換体からフェルラ酸エステラーゼを単離する場合も、そのフェルラ酸エステラーゼはアスペルギルス・ニガーに「由来する」という。アスペルギルス・ニガーからのフェルラ酸エステラーゼ遺伝子のクローン化、クローン化されたフェルラ酸エステラーゼ遺伝子での宿主微生物の遺伝子組み換えは、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2nd Ed., T. Maniatis, et al., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY., 1989などの当業者に周知の実験室マニュアルに記載される方法によって行われ得る。微生物の培養は、常法に従って、炭素源、窒素源を含む培地中で好気的に培養することにより容易に実施することができる。 上記の酵素を固定化担体に固定化する方法としては、架橋法または活性化法が好ましい。架橋法は、酵素の吸着処理で使用する溶液(緩衝液等)で固定化担体をpHが安定化するまで平衡化させたのち、酵素を前記担体に吸着させ、次いで前記担体を多官能試薬(架橋剤)で処理し、洗浄して行う。活性化法は、酵素の吸着処理で使用する溶液(緩衝液等)で固定化担体をpHが安定化するまで平衡化させたのち、前記担体を多官能試薬(架橋剤)で処理し、次いで酵素を前記担体に吸着させて行う。 多官能試薬としては、例えば、グリセロールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテルおよびポリエチレングリコールジグリシジルエーテルから選ばれる二官能性のエポキシ化合物もしくは三官能性のエポキシ化合物、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテルおよびペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルから選ばれる多官能性のエポキシ化合物、グルタルアルデヒドまたはアセトアルデヒドなどのアルデヒド化合物などが挙げられ、好ましくはグルタルアルデヒドである。なお、上記架橋法および活性化法により得られる固定化フェルラ酸エステラーゼは、固定化担体とフェルラ酸エステラーゼとが多官能試薬(架橋剤)を介して共有結合しているものが好ましい。 本発明の酵素反応は、水性溶媒で実施される。酵素の固定化を行う温度は、酵素の失活が起きないように、通常約0〜40℃、好ましくは約2〜30℃である。 酵素反応の温度は、約30〜70℃が好ましく、約50〜60℃が特に好ましい。また、酵素反応のpHは、約3〜7.5が好ましく、約4〜6がより好ましい。 本発明の酵素反応をフェルラ酸類化合物[II]としてフェルラ酸を、ヒドロキシ化合物[III]としてグリセロールを用いた場合を例として説明すれば、下記スキームで示され、該酵素反応はフェルラ酸とグリセロールとを水性溶媒(水、または酢酸緩衝液、リン酸緩衝液またはトリス塩酸緩衝液などの緩衝液)に溶解または懸濁させ、得られた基質溶液もしくは基質懸濁液に固定化酵素を加えて静置、あるいは攪拌することにより実施することができる。この場合、酵素反応が進行するにつれて反応系中の基質濃度が変化するので、その場合は反応当初に用いた基質溶液もしくは基質懸濁液を添加して繰り返し回分法により連続的に酵素反応を実施することができる。また、固定化酵素をカラムに充填し、これに前記基質溶液もしくは基質懸濁液を連続的に流通させて行うこともでき、この場合、酵素反応後の液を循環させることもできる。 フェルラ酸は水に対する溶解度が低いので、フェルラ酸は懸濁液の状態で供給するのが好ましい。溶液の状態で供給する場合は、前記の循環方式で実施するのが好ましい。 反応液中のフェルラ酸エステル類化合物(例えばグリセリルフェルラ酸)が所望量に達したのち、反応液から常法(抽出、濃縮、遠心分離、シリカゲルクロマトグラフィー、イオン交換樹脂処理など)により、目的とするフェルラ酸エステル類化合物(例えばグリセリルフェルラ酸)を採取することができる。例えば、イオン交換樹脂Dowex 1-X2(室町ケミカル社製)に生成したフェルラ酸エステル類化合物(例えばグリセリルフェルラ酸)を吸着させたのち、高濃度のエタノールを用いて脱着することにより効率的に回収することができる。 以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例においてフェルラ酸とグリセリルフェルラ酸の濃度測定は、下記条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行った。 (HPLC条件)分析用カラム:CapCell Pack 18(4.6mmφ×150mm、資生堂社製)、ポンプ:LC−10AD(島津製作所社製)、移動相:メタノール:0.2%酢酸=60:40(v/v)の混合液、流速:0.8ml/分、検出器:SPD−10AVvp(島津製作所社製)、検出波長:320nm[実施例] (固定化酵素の調製) 固定化担体には、キトパール(登録商標)BCW2010、3003、3010、3510(富士紡績社製)を使用した。固定化前後の溶液中のタンパク質はタンパク質定量キット(Bio−rad社)を用いて測定した(Bradford法)。染色液は、Dye Reagentを脱イオン水で5倍希釈したのち、ろ紙(125mm、アドバンテック社製)でろ過して調製した。検量線は標準タンパク質(bovine gamma globlin)溶液(0.2、0.5、0.7、1.0、1.4mg/ml)を用いて作成した。試料溶液100μlに5mlの染色液を加えて室温で5分以上放置した。その後、紫外可視分光光度計を用いて595nmの吸光度を測定した。 キトパールの付着水を上記のろ紙で除去したのち、100mM緩衝液(pH4)に24時間漬けた。ろ紙で付着水を除去した所定量のキトパールを50ml容のバイアル瓶に量りとり、5mlの5v/v%グルタルアルデヒド溶液を添加して、30℃で約2時間振とうした。次いで、ろ紙を用いてろ過したのち、蒸留水で十分にキトパールを洗浄した。洗浄したキトパール2g(湿潤重量)に酵素液10ml(ペクチナーゼPL、混合後の濃度20mg/g−wet resin)を加えたのち、4℃の低温室で2時間娠とうした。ろ紙でろ過し、蒸留水で十分に洗浄したのち、100mM酢酸緩衝液(pH4)を加えて固定化酵素を得た。得られた固定化酵素は4℃で冷凍保存した。 (酵素活性測定) 固定化酵素を用いた酵素反応は以下のようにして行った。グリセロール98容量部と100mM酢酸緩衝液(pH4)2容量部の混合液に終濃度が5w/v%になるようにフェルラ酸を加えて基質溶液とした。この基質溶液1mlに固定化酵素0.2g(湿潤重量)を加えて50℃で反応させた。適当な時間間隔で反応液の0.1mlを採取し、沸騰水中に5分間浸して反応を停止した。反応液中のグリセリルフェルラ酸濃度を上記HPLCで測定した。なお、反応は24時間まで測定した。表1に各種固定化担体に対するタンパク質の固定化量、反応初速度および24時間後のグリセリルフェルラ酸濃度を示す。 上記表1から明らかなように、BCW−3510に固定化した場合タンパク質の固定化量が最も多かったが、反応初速度はBCW−3003に固定化した場合が最も大きかった。また、24時間後の生成物濃度(反応平衡濃度に相当すると考えられる。)はいずれの担体に固定化した場合も大差なかった。以下の酵素反応は、反応初速度が最も大きかったBCW−3003に固定化された固定化酵素を用いて行った。 (酵素反応) 10mlの基質溶液(フェルラ酸250mmol、グリセロール98容量部と100mM酢酸緩衝液(pH4)2容量部の混合液)を調製した。この溶液に1.56gの固定化酵素を添加(3w/v%に相当)し、50℃で反応を開始した。適当な時間間隔で0.1mlの反応溶液を採取し、フェルラ酸とグリセリルフェルラ酸の濃度を上記HPLCで測定した。 23時間で反応を中断し、遠心分離(424×g、20分)したのち、上澄み液の80%(8ml)を除去した。23時間後の濃度からフェルラ酸の減少量を算出し、減少量のフェルラ酸を8mlの基質溶液(グリセロール98容量部と100mM酢酸緩衝液(pH4)2用量部の混合液)とともに固定化酵素の入ったチューブに添加して、50℃で再び反応した。同様の操作を5回繰り返した。 5回繰り返した回分反応の際のフェルラ酸とグリセリルフェルラ酸濃度の経時変化を図1に、また各回分反応における23時間後のグリセリルフェルラ酸濃度を図2に示す。5回繰り返し回分反応操作において固定化酵素の活性の低下は認められず、各回分反応の23時間後のグリセリルフェルラ酸の濃度は一定であった。 本回分反応は操作が簡単であり、かつ固定化していることにより酵素の再利用が可能であるので、グリセリルフェルラ酸の量産に適した操作法と考えられる。 本発明によれば、有機溶媒を用いることなく、フェルラ酸類化合物(例えば、フェルラ酸)とヒドロキシ化合物(例えば、グリセロール)とからフェルラ酸エステル類化合物(例えば、グリセリルフェルラ酸)を工業的有利にかつ環境にやさしく製造することができる。また、本発明の製造方法で得られるフェルラ酸エステル類化合物(例えば、グリセリルフェルラ酸)は水に可溶性であるため、抗酸化剤として化粧品や食品に広く適用できる。図1は、実施例の酵素反応で得られたフェルラ酸およびグリセリルフェルラ酸の濃度の経時変化を示す図である。縦軸は濃度(mmol/L)を示し、横軸は時間(日数)を示す。図2は、実施例の各回分反応における23時間後のグリセリルフェルラ酸の濃度を示す図である。縦軸は濃度(mmol/L)を示し、横軸は時間(日数)を示す。 一般式[II](ただし、環Aは置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)で示されるフェルラ酸類化合物と一般式[III](ただし、Rは一価もしくは多価アルコールまたは糖類から1つの水酸基を除いた残基を表す。)で示されるヒドロキシ化合物に、水性溶媒中、固定化担体に固定化したフェルラ酸エステラーゼを作用させることを特徴とする一般式[I](ただし、環AおよびRは前記と同一意味を有する。)で示されるフェルラ酸エステル類化合物の製造方法。 環Aが低級アルコキシ基、低級アルキル基及び水酸基から選ばれる置換基1〜3個を有していてもよいフェニル基である請求項1記載の製造方法。 フェルラ酸類化合物[II]がフェルラ酸である請求項1記載の製造方法。 ヒドロキシ化合物[III]が一価もしくは多価アルコールまたは糖類である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。 ヒドロキシ化合物[III]がグリセロールである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。 フェルラ酸エステラーゼが、フェルラ酸エステラーゼを含むペクチナーゼである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。 固定化担体が、アミノアルキル基もしくはアミノフェニルアルキル基が導入されたキトサンである請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。 固定化されたフェルラ酸エステラーゼが、アミノアルキル基もしくはアミノフェニルアルキル基が導入されたキトサンとフェルラ酸エステラーゼが多官能試薬を介して共有結合されている請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。 多官能試薬がグルタアルアルデヒドである請求項8記載の製造方法。 水性溶媒が水または緩衝液である請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。 固定化担体に固定化したフェルラ酸エステラーゼを繰返しまたは連続的に使用する請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。 【課題】工業的有利にかつ環境にやさしくフェルラ酸エステル類化合物(例えば、グリセリルフェルラ酸)を製造する新規製造方法を提供すること。【解決手段】フェルラ酸類化合物(例えば、フェルラ酸)とヒドロキシ化合物(例えば、グリセロール)に、水性溶媒中、固定化担体に固定化したフェルラ酸エステラーゼを作用させることを特徴とするフェルラ酸エステル類化合物(例えば、グリセリルフェルラ酸)の製造方法。【選択図】なし