| タイトル: | 公開特許公報(A)_紫外線防御効果の評価方法及び評価装置 |
| 出願番号: | 2007260384 |
| 年次: | 2008 |
| IPC分類: | G01N 21/33 |
三浦 由将 白尾 雅之 大森 隆司 才脇 卓也 JP 2008111834 公開特許公報(A) 20080515 2007260384 20071003 紫外線防御効果の評価方法及び評価装置 株式会社資生堂 000001959 伊東 忠彦 100070150 三浦 由将 白尾 雅之 大森 隆司 才脇 卓也 JP 2006274783 20061006 G01N 21/33 20060101AFI20080418BHJP JPG01N21/33 10 4 OL 16 2G059 2G059AA02 2G059BB10 2G059EE01 2G059EE12 2G059FF04 2G059FF08 2G059HH03 2G059HH06 2G059JJ01 2G059JJ03 2G059JJ17 2G059KK01 2G059KK02 2G059KK04 2G059MM01 2G059MM02 2G059MM03 2G059MM09 2G059MM10 2G059PP04 本発明は、紫外線防御効果の評価方法及び評価装置に関する。 紫外線による日焼けを防止するための化粧品(いわゆるサンケア商品)の紫外線防御効果を表わす尺度としては、SPF(Sun Protection Factor)値が用いられる。このSPF値は、紫外線による日焼けから肌を守り、日焼けを防ぐ効果を示す指数であり、サンケア商品を使用した場合に、かすかに赤みを起こさせるために必要な紫外線量を、サンケア商品を使用しない場合に、かすかに赤みを起こさせるために必要な紫外線量で除した値により定義される。例えば、SPF値が10のサンケア化粧品を使用すると、素肌で日焼けする場合の10倍の紫外線をあびた時に、素肌と同じような日焼け(紅斑)をするという意味である。SPF値の測定には、季節や場所によって値が異なる可能性がある太陽光ではなく、太陽光線に非常に近い人工光(ソーラシミュレーター)を採用している。測定法は、製品を塗らない肌と塗った肌にそれぞれ一定量の紫外線を照射し、翌日、紅斑を起こしたかどうかを調べることによる。 上述の方法に準拠して測定したSPF値を用いれば、サンケア商品の紫外線防御効果の容観的な評価が可能となる。しかし、上述の方法は多数の特定の肌タイプの被験者の協力が不可欠であるので、多大な費用と日数とを必要とする。したがって、例えば、開発段階にある製品の紫外線防御効果の評価のためなどに、in vitroで、簡便に、上述の方法で得られたin vivo SPF値との相関が高いin vitro SPF予測値の算出方法の関発が望まれてきた。 従来、in vitro測定による紫外線防御効果の評価方法としては、有機溶媒で希釈した試料を石英セルに入れ、その紫外線の吸光度又は透過率を測定する希釈溶液法、並びに、試料を石英板上で均一な厚さのフィルム膜として形成し、その紫外線の吸光度又は透過率を測定する薄膜法などが知られていた。このような従来方法は、紫外線吸収剤の吸収極大波長及び防御波長領域などの特性を把握するには有意義であるが、SPF値を予想することはできなかった。それは、これらの紫外線防御効果の評価方法が、in vivo SPF値を測定する方法と大きく乖離しているためであった。また、SPF値が示す生体反応には、紫外線の波長依存性があり、紅斑反応を起こしやすい紫外線波長から紅斑反応を起こしづらい紫外線波長までがあるために、生体に対する影響について波長毎に考慮する必要があると考えられた。 上述の2つの問題点について、非特許文献1では、皮膚代替膜としての医療用テープ上に試料を塗布し、試料の分光透過スペクトルを測定した。この測定結果を、Diffey & Robson式により演算し、SPF値を演算した。このDiffey & Robson式は、人間の生体反応としての紅斑反応の波長依存性について、非特許文献2で開示された紅斑係数を用いることで対応をとったために、上述の課題を解決することに成功していた。 しかしながら、in vivo SPF値には、個体差、部位差、年齢差、性差、及び皮膚タイプの差などのあらゆる要因があるために、紅斑係数の一例のみによって、正確にSPF値を予測することは実際には非常に困難であることが問題とされていた。 そのため、紅斑係数のみを採用するのではなく、in vivo SPF値が既知である多数の試料と分光透過スペクトルとの関係から、統計的に高い相関が得られる演算式を導き出し、未知の試料においても、in vitro SPF値を予測できる評価方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この評価方法により、高精度でin vitro SPF予測値が得られ、個体差、部位差、年齢差、性差、及び皮膚タイプの差などから生じるバラツキの要因も解決した。Journal of the Society of Cosmetic Chemists (1989) 40:33,127−133CIE Journal (1987) 6:1,17−22特許第3337832号公報 しかしながら、上記特許文献1で開示された紫外線防御効果の評価方法は、SPF値30程度までは、精度の良い予測が可能であるものの、SPF値30以上の試料に対しては正確な予測を行うことができないという問題があった。近年では、SPF値50以上の製品が主流であり、今後さらなる高SPF値を有する製品が投入されることが予想される。 また、昨今においては、紫外線吸収剤の紫外光による光劣化現象について多くの知見が明らかになってきた。よって、in vitro SPF予測値の算出方法においても、in vivo SPF値の測定条件と同様な光照射条件を再現することによる、SPF値の低下相当分を正しく見積もることが、正確なSPF値の予測には不可欠であると考えられる。 本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、照射光による試料の光劣化現象を反映し、且つ、SPF値の高い試料においても、in vivo SPF値と高い相関を示す、in vitro測定による紫外線防御効果の評価方法、及びこの方法を用いた紫外線防御効果の評価装置を提供することを目的とする。 上記の課題を達成するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とする。 本発明の紫外線防御効果の評価方法は、予め設定される光照射時間による紫外線を含む光源の光照射により測定試料の分光透過スペクトルの経時変化を測定する第1のステップと、前記第1のステップにより得られる測定結果に基づいて前記測定試料の前記分光透過スペクトルの経時変化に応じた補正を行う第2のステップと、前記第2のステップにより得られる補正結果を用いて前記測定試料の最終的なin vitro SPF予測値を算出する第3のステップとを有する。 また、本発明の紫外線防御効果の評価装置は、予め設定される光照射時間による紫外線を含む光源の光照射により測定試料の分光透過スペクトルの経時変化を測定する経時変化測定手段と、前記測定手段により得られる測定結果に基づいて前記測定試料の前記分光透過スペクトルの経時変化に応じた補正を行う補正手段と、前記補正手段により得られる補正結果を用いて前記測定試料の最終的なin vitro SPF予測値を算出するSPF予測値算出手段とを有する。 本発明によれば、照射光による試料の光劣化現象を反映し、且つ、SPF値の高い試料においても、in vivo SPF値と高い相関を示す、in vitro測定による紫外線防御効果の評価方法、及びこの方法を用いた紫外線防御効果の評価装置を提供することが可能となる。 次に、本発明の最良の実施形態について図面と共に説明する。 本実施形態の紫外線防御効果の評価方法、及びこの方法を用いた紫外線防御効果の評価装置は、例えば予め設定される光照射時間による紫外線を含む光源の光照射により測定試料の分光透過スペクトルの経時変化を測定する第1のステップと、得られた分光透過スペクトルの経時変化に応じた補正を行う第2のステップと、測定試料の最終的なin vitro SPF予測値を算出する第3のステップとからなる本測定を行う。 なお、第1のステップでは、例えば、290乃至400nmの紫外線で測定試料の分光透過スペクトルを1nm毎に測定するステップと、得られた分光透過スペクトルから下述する本測定の光照射時間を決めるステップとからなる予備測定を行ってもよい。以下、この方法及び装置について説明する。 (評価装置の概略構成例) 図1は、本実施形態の紫外線防御効果の評価装置の概略構成の一例を示す図である。 図1を参照するに、紫外線防御効果の評価装置10は、大略すると、光源11と、フィルタ12と、光ファイバ13と、照射ポート14と、皮膚代替膜16と、分光器17と、光検出器18と、電算機19とを有するよう構成されている。この紫外線防御効果の評価装置10は、下述する紫外線防御効果の評価方法を測定試料に適用するための装置である。 光源11は、本実施形態においてはキセノンランプが好適に用いられるが、これに限定されるものではない。また、光源11は、下述する電算機19と接続されており、電算機19によって光源11のオン/オフが制御される。 フィルタ12は、光源11からの光の進行方向近傍にあり、光源11から発せられた光線を、例えば290乃至400nmの波長のUVB及びUVAの紫外線等、所定の紫外線領域にする。これは、in vivo SPF測定現場の光源を再現して照射することを意味する。また、上述の290乃至400nmの波長のUVB及びUVAの紫外線にするフィルタ12としては、WG320フィルタ及びUG11フィルタ(いずれもSCHOTT社製)が好適に用いられるが、これに限定されるものではなく、所望する紫外線領域等により適切なフィルタが用いられる。 光ファイバ13は、フィルタ12からの光の進行方向近傍にある。フィルタ12を透過した紫外線を照射ポート14へ導く。 照射ポート14から上述の紫外線が照射され、照射ポート14と光検出器18は所定の間隔で固定され、所定の量及び方法で試料15が塗布された皮膚代替膜16が、照射ポート14から一定の距離の位置に固定される。光の進行する順序で示すと、照射ポート14、試料15、皮膚代替膜16、分光器17、及び光検出器18の順に配置されている。なお、この皮膚代替膜16までの配置は、INTERNATIONAL SUN PROTECTION FACTOR(SPF) TEST METHOD,February 2003で規定されたin vivo SPF測定法に準じている。 皮膚代替膜16は、測定試料15が塗布され、in vivo SPF測定における生体の皮膚に代わるものであり、290乃至400nmの紫外線を吸収しない素材から構成されることが好ましく、非特許文献1では、医療用テープを皮膚代替膜として用いる方法が開示されている。本実施形態では、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂板(PlexiglasTM,Schonberg GmbH & Co. KG社製)が好適に用いられるが、これに限定されるものではない。 光検出器18は、290乃至400nmの範囲の光を1nm間隔にて分光器17で分光し、それぞれの強度を電圧に変換し、さらにA/D変換して電算機19に出力する。紫外線防御効果の評価装置10では、上述の測定試料15及び皮膚代替膜16を透過した光線を光検出器18が検出することになる。 電算機19は、光検出器18から1nm毎の分光強度を入力し、下述する処理を行なって本測定での光照射時間及び最終的なin vitro SPF予測値を算出する。また、電算機19は、上述の通り光源11のオン/オフを制御する。 なお、電算機19は、光検出器18からのデータを受信し、その内容からユーザにわかりやすい形にするようにデータを処理し、結果を画面に表示したり、結果を記録紙に打ち出したり、結果を記憶媒体に保存したりすることができる。また、電算機19は、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等を用いることができ、入力手段等によるユーザからの指示等により上述した評価装置10における各機能を実行させることができる。 (評価装置の機能構成例) 図2は、本実施形態の紫外線防御効果の評価装置の機能構成の一例を示す図である。 図2を参照するに、紫外線防御効果の評価装置10は、大略すると、入力手段21と、出力手段22と、蓄積手段23と、分光透過スペクトル測定手段24と、照射時間設定手段25と、経時変化測定手段26と、補正手段27と、SPF予測値算出手段28と、制御手段29とを有するよう構成されている。 入力手段21は、例えば電算機19に設けられ、ユーザなどからの評価開始指示や、測定結果を出力手段22により出力させるなどの各種データの入力を受け付ける。なお、入力手段21は、例えばキーボードや、マウスなどのポインティングデバイスなどからなる。 また、出力手段22は、例えば電算機19に設けられ、入力手段21により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容などの表示・出力を行う。なお、出力手段22は、ディスプレイやスピーカなどからなる。さらに出力手段22としてプリンタなどの機能を有していてもよく、その場合には、簡単な測定結果や算出結果などを紙などの印刷媒体に印刷して、ユーザなどに提供することもできる。 また、蓄積手段23は、例えば電算機19に設けられ、分光透過スペクトル測定手段24にて測定された結果や、照射時間設定手段25により設定された照射時間、経時変化測定手段26により測定された結果、補正手段27により得られる補正情報、SPF予測値算出手段28により算出された結果などの各種データを蓄積する。 また、分光透過スペクトル測定手段24は、例えば光検出器18などにより290乃至400nmの紫外線で測定試料15の分光透過スペクトルを1nm毎に測定する。つまり、分光透過スペクトル測定手段24は、本測定における光照射時間を決定するための予備測定を行う。また、照射時間設定手段25は、電算機19の機能として上述した分光透過スペクトル測定手段24における予備測定により得られる分光透過スペクトルに基づいて光照射時間を設定する。なお、予備測定の詳細については、後述する。 また、経時変化測定手段26は、電算機19の機能として照射時間設定手段26により設定された光照射時間による光照射により測定試料15の分光透過スペクトルの経時変化を測定する。なお、経時変化測定手段26は、測定試料15における分光透過スペクトルの光劣化による経時変化を測定する。これにより、照射光による試料の光劣化現象を反映したin vitro SPF予測値を算出することができる。 また、補正手段27は、電算機19の機能として経時変化測定手段26により得られる測定結果に基づいて測定試料15の分光透過スペクトルの経時変化に応じた補正を行う。さらに、SPF予測値算出手段28は、電算機19の機能として補正手段27により得られる補正結果を用いて測定試料の最終的なin vitro SPF予測値を算出する。 さらに、制御手段30は、電算機19の機能として評価装置10の各構成部全体の制御を行う。具体的には、例えばユーザなどによる入力手段21からの指示などに基づいて、分光透過スペクトルの測定や照射時間の設定、光劣化測定、分光透過スペクトルの経時変化に応じた補正、in vitro SPF予測値の算出などの制御を行う。また、制御手段29は、電算機19の機能として光源11のオン/オフの制御を行う。なお、本測定の詳細については、後述する。 (予備測定について) ここで、下述するように、予備測定の際に光検出器18は、例えば290乃至400nmの紫外線領域における分光透過スペクトルを所定の波長間隔で測定する。なお、所定の波長間隔としては、例えば、1nm毎や5nm毎などがあるが、本発明においては特に限定されるものではない。したがって、以下の説明では、一例として1nm毎に測定するものとする。また、1nm毎に測定するためには、この波長領域に感度特性をあわせた光検出器18及び分光器17を必要とするが、特に限定されるものではない。ただし、分光透過スペクトルを1nm毎に測定するためには、分光器17の波長分解能が1nm以下である必要がある。 紫外線防御効果の評価装置及び評価方法では、試料の分光透過スペクトルを測定するため、高SPF値の試料になるほど、試料による紫外線吸収効果が高くなるため、結果として透過光量が少なくなる。このため、SPF値が50を超えるような高SPF値の試料においても精度よくSPF値を予測するためには、微弱光の検出感度に優れる光検出装器が必要である。光検出器としては、従来、フォトダイオードアレー及びCCDなどが一般的に使用されてきた。しかし、近年の微弱光検出技術の進展により、検出感度を高めた光電子増倍管も利用されることが多くなっている。従来のフォトダイオードアレー及びCCDに比べて、検出感度が高いことは理論上からも明らかであるが、検出する光の波長領域によって、光電子増倍管の光電面の素材を選定する必要がある。本実施形態では、特に、290乃至400nmの紫外線領域に感度特性のすぐれた光電子増倍管を用いることにより、高SPF値の試料まで測定が可能となる。 (予備測定と光照射時間の決定) 本実施形態では、本測定に先立って、測定試料の分光透過スペクトルを測定する予備測定を行う。この予備測定で得られた試料の分光透過スペクトルから、本測定における光照射時間を決定する。この光照射時間を決定する方法は、in vivo SPF値が既知である標準試料の測定結果に基づき、まず暫定in vivo SPF予測値を算出することから始める。 in vivo SPF値が既知である複数の標準試料に対して、分光透過スペクトルを測定し、このスペクトルと既知のin vivo SPF値との相関関係を波長毎の透過光強度から多変量解析を行う。この多変量解析から求められる数値とin vivo SPF値の関係でプロットした点群からなる検量線と、測定試料の分光透過スペクトルの結果とから、in vivo SPF値に近い暫定in vitro SPF予測値を求めるという解析方法である。 また、本実施形態の多変量解析は、公知の解析法であるPLS(Partial Least Squares)回帰分析法を用いることを特徴とする。通常用いる重回帰分析法は、解析に用いる全てのパラメータを用いて回帰分析を行なう方法であり、原理的には多くの因子を含んだデータの解析に利用できる。しかしながら、目的変数に比べて説明変数が多いような場合には、過度のフィッティングを行うため適切な回帰式を得ることができない。一方、本実施形態として用いるPLS回帰分析は、多数の説明変数があるときに予測モデルを構築する一つの方法である。PLS回帰分析は、予測が最終的な目標であり、計測する因子の数を制限する必要が実際上ない場合には、非常に有用な手段となり得る。例えば今回のような分光スペクトルのデータを用いている場合などがこれにあたる。 図3は、標準試料におけるin vivo SPF値及びin vitro SPF予測値の相関を示す図である。 図3を参照するに、in vivo SPF値が既知である標準試料において、上述のPLS回帰分析法によりSPF値を予測した結果である。横軸は既知のin vivo SPF値を、縦軸はin vitro SPF予測値をそれぞれ示す。 なお、図3の縦軸に示されるin vitro SPF予測値は、この予備測定及び下述するよう本測定を経て、試料の光劣化現象を考慮することにより予測された結果であり、相関係数(R2=0.9743)が示すようにin vitro SPF値の予測精度は高いものである。よって、予備測定により測定試料の分光透過スペクトルが得られれば、暫定in vitro SPF予測値として、ある程度の精度で測定試料のSPF値を把握できることになる。 測定試料の光照射時間は、実際の生体を用いて行うin vivo SPF測定現場の条件を再現し、暫定in vitro SPF予測値が高いほど光照射時間も長くなるように、in vitro SPF予測値と比例関係となるように設定される。そのため、in vivo SPF値の測定現場における、1MED(Minimul Erythema Dose)に基づいて計算される。ここで、1MEDとは、in vivo SPF値の測定現場において、被験者の被験部位における最小紅斑量を惹起するのに要する紫外線光量のことである。 in vivo SPF測定現場で用いられている紫外線ランプ(ソーラーシミュレーター)は、光源の光量及びスペクトル分布が規格化されているため、1MEDは主として時間単位で表現される。これは、in vivo SPF測定現場では、被験部位において、試料無塗布の状態で確認されているものである。 上述のように、ヒトの個体差、部位差、年齢差、性差、及び皮膚タイプ差などといったばらつきの要因があるが、本実施形態においては、1MEDを5秒(0.083分)から90秒(1.5分)の範囲におさまるものと仮定することとする。この仮定条件から、本実施形態の本測定における光照射時間は、暫定in vitro SPF予測値×0.08(分)以上、暫定in vitro SPF予測値×1.50(分)未満とする。データの再現性などの観点から、本実施形態においては、1MEDを好ましくは10秒から60秒の範囲、さらに好ましくは20秒から50秒の範囲とする。この換算で光照射時間を計算すると、予備測定による暫定in vitro SPF予測値が50であり、1MEDが30秒(0.5分)である場合には、50×0.5=25分の光照射を行うことになる。 上述の光照射時間の算出は、電算機19で行われる。また、下述する本測定において、電算機19は、所定の光照射時間となるように光源11を制御する。 (本測定と光劣化に応じた補正) 本測定として、上述の予備測定の結果から算出された光照射時間継続して測定試料に290乃至400nmの紫外線を照射する。このとき、測定試料の分光透過スペクトルの経時変化を測定し、測定試料の光劣化の変化に応じた補正処理を行った上で、最終的なin vitro SPF予測値を算出する。 ここで、測定試料の光劣化現象とは、有機系紫外線吸収剤が光照射を受けて異性化などを起こすことにより、本来の紫外線吸収能が低下することである。つまり、光劣化現象によって、測定試料のSPF値が低下することを意味している(例えば、Photodegradation of Sunscreen Chemicals: Solvent Consideration, Cosmetics & Toiletries (1990) 105:41−44を参照)。 この光劣化現象は、in vivo SPF値の測定現場においても継続的に光照射を行っているために、生体皮膚上の試料においても生じていると考えられる。本評価系においては、光照射に伴う試料の透過スペクトルの変化、すなわち、透過光量が増加する現象として確認することができる。 試料の光劣化現象を再現する目的は、継続光照射条件における分光透過スペクトルの時間変化を測定し、予備測定で得られた光劣化を反映していない暫定in vitro SPF予測値からの光劣化による低下相当分を考慮して、精度の高い最終的なin vitro SPF予測値を算出することである。 本測定における測定試料の分光透過スペクトルの経時変化の検出は、上述の予備測定から求めた光照射時間を秒単位で制御し、且つ、この光照射時間中の任意の時間毎に分光透過スペクトルデータを取得できるようにすることにより達成される。 具体的には、電算機19による処理において、光照射時間の条件を何分何秒というように、秒単位で設定可能である。また、その光照射時間中における経時スペクトル変化についても、1分毎や照射時間を均等に10分割した時間間隔など、任意の時間間隔で取得可能であることを特徴としている。好ましくは、所定の光照射時間に対して、均等に時間分割したうえで、6箇所以上(時間零である光照射開始時も含む)、さらに好ましくは、11箇所以上のスペクトルデータを取得することである。この間のスペクトルデータが多いほど、試料の光劣化挙動の詳細を把握することができるため、予測精度を高めることができる。 このとき、光照射時の測定試料の光劣化現象を正確にとらえるには、測定試料及び装置全体を動かさないことである。完全に固定された同一箇所の時間変化挙動をスペクトルデータとして取得することが、予測精度を高める上で重要である。 上述の本測定における測定試料の分光透過スペクトルの経時変化の検出結果から、測定試料の光劣化の変化に応じた補正処理が行われる。この補正処理は、290乃至400nmの紫外線領域における試料の分光透過スペクトルの時間平均スペクトルからin vitro SPF値を予測することにより達成される。 上述の予備測定にて説明した通り、測定試料の分光透過スペクトルさえ決まれば、ある程度の精度でin vitro SPF予測値を決定することができる。つまり、本測定の際の測定試料の光劣化に伴う分光透過スペクトルの時間変化挙動を把握した上で、どの分光透過スペクトルを測定試料のin vitro SPF予測値の決定のために採用するかということが、精度の高い測定を行う上で非常に重要である。 時間零、すなわち光照射開始時の分光透過スペクトルのデータを採用すると、予備測定における暫定in vitro SPF予測値と同じ値が得られる。ただし、この数値は、継続的な光照射による測定試料の光劣化現象が反映されていないため、本来予測されるべきSPF値に比べて高い数値が予測されると考えられる。また、本測定における光照射時間の終了間際の最も遅い時間の分光透過スペクトルのデータを採用するならば、光劣化によって十分に変化を終えた、すなわち過剰な光照射条件を受けた後のスペクトルデータであるため、本来の測定試料のSPF値に比べて低い値のSPF値が予測されることとなると考えられる。 こうしたことから、本来は時間変化分を反映するためには、分光透過スペクトルの時間積分により、皮膚が時間とともに暴露する現象と同様に、総透過光量を算出した上でin vitro SPF値を予測することが好ましい。 しかしながら、計算処理の煩雑さなどを鑑み、本実施形態において、時間変化する分光透過スペクトルのデータに対し、時間平均スペクトルという計算手法を導入する。この時間平均スペクトルの考え方を用いてin vitro SPF予測値の算出を行うと、in vivo SPF値と相関性の高い、最終的なin vitro SPF予測値を求める方法を構築することができる。 ここで示す、時間平均スペクトルとは、任意の回数で取得した、光照射開始時のスペクトルデータから、光照射時間の最後のスペクトルデータまでの全てのデータを、波長毎の分光透過強度を平均化処理したものである。 最終的なin vitro SPF予測値は、具体的には、上述したin vivo SPF値が既知である複数の標準試料に対して分光透過スペクトルを測定し、このスペクトルと既知のin vivo SPF値との相関関係を波長毎の透過光強度からPLS回帰分析法による解析を行うことにより導かれる検量線と、本測定で得られた分光透過スペクトルを時間平均スペクトルに補正した結果とから算出する。 上述の算出手法を導入することにより、光劣化の影響を受けやすい測定試料から、光劣化現象の影響を受けづらい測定試料までを同様な計算手法にて、最終的なin vitro SPF値を予測することが可能になる。 (紫外線防御効果の評価方法の流れ) 図4は、本実施形態の紫外線防御効果の評価方法の流れ図である。 上述した紫外線防御効果の評価方法について、手順としてまとめる。図4(a)を参照するに、本測定に先だって行われる、予備測定の流れである。 290乃至400nmの紫外線領域における、試料の分光透過スペクトルを1nm毎に測定する(S101)。 in vivo SPF値が既知である標準試料の分光透過スペクトルと、in vivo SPF値との相関を多変量回帰分析法により求めた検量線を用いて、分光透過スペクトルから測定試料の暫定in vitro SPF予測値を算出する(S102)。 暫定in vitro SPF予測値[A]に対して光照射時間を、[A]×0.08(分)以上、[A]×1.50(分)未満の範囲で決定する(S103)。 図4(b)を参照するに、予備測定に次いで行われる、本測定の流れである。 S103にて決定された時間の間、測定試料に光を継続照射し、任意の経時時間毎に分光透過スペクトルデータを取得する(S151)。 得られた経時時間毎の分光透過スペクトルに時間平均化処理をして、測定試料の光劣化を補正した時間平均スペクトルを算出する(S152)。 得られた時間平均スペクトルと、S102にて求められた検量線とを用いて、最終的なin vitro SPF予測値を算出する(S153)。 ここで、上述した実施形態では、本測定の前に予備測定を行う処理について説明しているが、例えば、過去に同様なサンプルを本測定系にて評価した実績がある場合、測定実績がなくとも測定実績のある類似の処方例から容易に予測できる場合(例えば、酸化チタン10%でSPF20を予測し、同5%でSPF10を予測した実績がある場合に酸化チタン7%の処方をSPF14と予測するなど)、また、経験的にin vivo SPFの値が既知である場合などは必要に応じて予備測定を省略することができる。つまり、精度の高い予測を行うためには予備測定は重要であるが、処理時間を短縮させたいなどの各種条件に応じてこれを省略してもよい。 実施例により、本実施形態をさらに詳しく説明する。なお、以下の実施例は、予備測定を行った例を示している。 [実施例1] (測定条件) 上述の実施形態で示した測定装置において、キセノンランプ光源から発せられた光線は、WG320フィルタ及びUG11フィルタ(いずれもSCHOTT社製)をそれぞれ透過させることにより、290乃至400nmの波長の光線を得る。皮膚代替膜には、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂板(PlexiglasTM,Schonberg GmbH & Co. KG社製)を用い、光源から1から2mmの照射距離となるように配置する。このとき、UV−Bの強度は、2.0MED/分となるようにする。PMMA樹脂板上への試料の塗布量は、0.75mg/cm2とし、所定量の試料を秤量後、PMMA樹脂板表面に対して1分間、指で塗り広げることにより塗布を行った。塗布後、25℃の条件で、15分間試料の乾燥を行った。また、予備測定においては、1MEDについて30秒の光照射を行うこととする。 (試料測定) 上述の測定条件において、in vivo SPF値が未知である試料Aについて測定を行った。予備測定の結果、暫定in vitro SPF予測値は、29.8であることから、本測定での光照射時間は、29.8×0.5=14.9分(14分54秒)と決定した。本測定では、この光照射時間の継続照射を行った。また、光照射時間14分54秒を等間隔で5等分し、光照射開始時を含めて計6点のスペクトルデータを取得した。この6点のスペクトルデータについて、波長毎に時間平均スペクトルを算出して、最終的なin vitro SPF予測値21.9を得た。この最終的なin vitro SPF値は、後に得たin vivo SPF値22.5に近似していた。試料Aについての、in vivo SPF値、並びに、暫定及び最終的なin vitro SPF予測値を表1に示す。 [実施例2] 測定条件については、実施例1と同様の条件において、in vivo SPF値が未知である試料Bについて測定を行った。予備測定の結果、暫定in vitro SPF予測値は、70.5であることから、本測定での光照射時間は、70.5×0.5=35.25分(35分15秒)と決定した。本測定では、この光照射時間の継続照射を行った。また、光照射時間35分15秒を等間隔で10等分し、光照射開始時を含めて計11点のスペクトルデータを取得した。この11点のスペクトルデータについて、波長毎に時間平均スペクトルを算出して、in vitro SPF予測値62.4を得た。このin vitro SPF予測値は、後に得たin vivo SPF値64.5に近似していた。試料Bについての、in vivo SPF値、並びに、暫定及び最終的なin vitro SPF予測値を表1に示す。 [実施例3] 測定条件については、実施例1と同様の条件において、in vivo SPF値が未知である試料Cについて測定を行った。予備測定の結果、暫定in vitro SPF予測値は、32.9であることから、本測定での光照射時間は、32.9×0.5=16.25分(16分15秒)と決定した。本測定では、この光照射時間の継続照射を行った。また、光照射時間16分15秒を等間隔5等分し、光照射開始時を含めて計6点のスペクトルデータを取得した。この11点のスペクトルデータについて、波長毎に時間平均スペクトルを算出して、最終的なin vitro SPF予測値32.2を得た。この最終的なin vitro SPF予測値は、後に得たin vivo SPF値31.5に近似していた。試料Cについての、in vivo SPF値、並びに、暫定及び最終的なin vitro SPF予測値を表1に示す。 実施例3において、暫定及び最終的なin vitro SPF予測値が近似していたのは、試料Cが光の継続照射による光劣化の影響を殆ど受けなかったためと考えられる。試料Cの配合成分は、光劣化の影響を受けやすい有機系の紫外線吸収剤の含有量が小さく、主に無機系の酸化チタン又は酸化亜鉛などで構成されていたためと考えられる。 [比較例1乃至3] 上述の試料A、B、及びCについて、従来方法である特許文献1中の実施例2の測定条件を用いて測定を行い、それぞれの試料のin vitro SPF予測値を得た。ここで得られた試料A、B、及びCのin vitro SPF予測値を表1に示す。 [比較例4乃至6] 上述の試料A、B、及びCについて、従来方法である非特許文献1の方法を用いて測定を行い、それぞれの試料のin vitro SPF予測値を得た。ここで得られた試料A、B、及びCのin vitro SPF予測値を表1に示す。 表1を参照するに、実施例1乃至3において、本評価方法による最終的なin vitro SPF予測値は、後に得たin vivo SPF値と非常に近似していた。この結果は、本評価方法の妥当性を証明するものであるといえる。また、特許文献1及び非特許文献1に開示された従来の評価方法によるin vitro SPF予測値よりも、本評価方法による最終的なin vitro SPF予測値の方が、in vivo SPF値により近似していた。よって、本評価方法は、従来の方法よりもin vivo SPF値を予測するという点で優れているといえる。 本実施例によれば、照射光による試料の光劣化現象を反映し、且つ、SPF値50を超えるような高い紫外線防御効果を示す試料においても、in vivo SPF値と高い相関を示すin vitro SPF予測値を得ることが可能となる。 また、本測定方法で得られるin vitro SPF予測値は、in vivo SPF値との相関が非常に高いため、日焼け防止の効果を持つ化粧品の開発段階において、試料のSPF値を簡易、迅速、及び高精度な方法で測定することができる。そのため、開発コストが安く、且つ開発段階において多数の試料の評価を行うことができるため、本評価方法を使用することにより、高性能な日焼け防止の効果を持つ化粧品などの開発の更なる加速が期待できる。 さらに、ナノマテリアルや紫外線吸収剤の開発や評価用途にも応用できるものである。 以上本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。本実施形態の紫外線防御効果の評価装置の概略構成の一例を示す図である。本実施形態の紫外線防御効果の評価装置の機能構成の一例を示す図である。本実施形態の標準試料における既知のin vivo SPF値及び予測されたin vitro SPF値の相関を示す図である。本実施形態の紫外線防御効果の評価方法の流れ図である。符号の説明10 紫外線防御効果の評価装置11 光源12 フィルタ13 光ファイバ14 照射ポート15 試料16 皮膚代替膜17 分光器18 光検出器19 電算機21 入力手段22 出力手段23 蓄積手段24 分光透過スペクトル測定手段25 照射時間設定手段26 経時変化測定手段27 補正手段28 SPF予測値算出手段29 制御手段 予め設定される光照射時間による紫外線を含む光源の光照射により測定試料の分光透過スペクトルの経時変化を測定する第1のステップと、 前記第1のステップにより得られる測定結果に基づいて前記測定試料の前記分光透過スペクトルの経時変化に応じた補正を行う第2のステップと、 前記第2のステップにより得られる補正結果を用いて前記測定試料の最終的なin vitro SPF予測値を算出する第3のステップとを有することを特徴とする紫外線防御効果の評価方法。 前記第1のステップは、 所定の紫外線領域における前記測定試料の分光透過スペクトルを所定の波長間隔で測定する分光透過スペクトル測定ステップと、 前記分光透過スペクトル測定ステップにより得られる前記分光透過スペクトルから光照射時間を設定する照射時間設定ステップとを有することを特徴とする請求項1に記載の紫外線防御効果の評価方法。 前記照射時間設定ステップは、 標準試料の既知であるin vivo SPF値及び前記標準試料の前記分光透過スペクトルから多変量回帰分析法により相関を算出し、前記相関及び前記測定試料の前記分光透過スペクトルから前記測定試料の暫定in vitro SPF予測値を算出し、前記暫定in vitro SPF予測値に0.08を乗じた時間以上、前記暫定in vitro SPF予測値に1.50を乗じた時間未満を前記光照射時間とすることを特徴とする請求項2に記載の紫外線防御効果の評価方法。 前記多変量回帰分析法は、 PLS(Partial Least Squares)回帰分析法を用いることを特徴とする請求項3に記載の紫外線防御効果の評価方法。 前記第1のステップは、 前記測定試料の前記分光透過スペクトルの経時変化について、前記光照射時間を秒単位で制御し、且つ、前記光照射時間中の任意の時間毎に前記分光透過スペクトルのデータを取得することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の紫外線防御効果の評価方法。 前記第1のステップは、 前記測定試料における分光透過スペクトルの光劣化による経時変化を測定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の紫外線防御効果の評価方法。 前記第2のステップは、 前記第1のステップで測定された前記分光透過スペクトルの経時変化を時間平均スペクトルとして補正することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の紫外線防御効果の評価方法。 前記第3のステップは、 前記照射時間設定ステップで算出された前記相関、及び前記第3のステップで補正された前記時間平均スペクトルから前記最終的なin vitro SPF予測値を算出することを特徴とする請求項3に記載の紫外線防御効果の評価方法。 前記分光透過スペクトル測定ステップは、 前記測定試料が塗布された前記紫外線を透過する皮膚代替膜に前記紫外線を照射し、前記測定試料及び前記皮膚代替膜を透過した前記紫外線のスペクトルを測定することを特徴とする請求項2に記載の紫外線防御効果の評価方法。 予め設定される光照射時間による紫外線を含む光源の光照射により測定試料の分光透過スペクトルの経時変化を測定する経時変化測定手段と、 前記測定手段により得られる測定結果に基づいて前記測定試料の前記分光透過スペクトルの経時変化に応じた補正を行う補正手段と、 前記補正手段により得られる補正結果を用いて前記測定試料の最終的なin vitro SPF予測値を算出するSPF予測値算出手段とを有することを特徴とする紫外線防御効果の評価装置。 【課題】照射光による測定試料の光劣化現象を反映し、且つ、SPF値の高い測定試料においても、in vivo SPF値と高い相関を示す、in vitro測定による紫外線防御効果の評価方法、及びこの方法を用いた紫外線防御効果の評価装置を提供する。【解決手段】予め設定される光照射時間による紫外線を含む光源の光照射により測定試料の分光透過スペクトルの経時変化を測定する第1のステップと、前記第1のステップにより得られる測定結果に基づいて前記測定試料の前記分光透過スペクトルの経時変化に応じた補正を行う第2のステップと、前記第2のステップにより得られる補正結果を用いて前記測定試料の最終的なin vitro SPF予測値を算出する第3のステップとを有する。【選択図】図4