タイトル: | 公開特許公報(A)_ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法 |
出願番号: | 2007250339 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 303/32,C07C 309/35,C07C 303/44 |
卯田 幸男 畑川 由夫 JP 2009079010 公開特許公報(A) 20090416 2007250339 20070927 ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法 第一工業製薬株式会社 000003506 特許業務法人 有古特許事務所 110000556 卯田 幸男 畑川 由夫 C07C 303/32 20060101AFI20090323BHJP C07C 309/35 20060101ALI20090323BHJP C07C 303/44 20060101ALI20090323BHJP JPC07C303/32C07C309/35C07C303/44 7 OL 9 4H006 4H006AA02 4H006AC25 4H006AD17 4H006BE10 本発明は、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法に関し、更に詳細には、水酸化ナトリウムの使用量を低減し、使途のない硫酸ナトリウムの生成量の低減を図ったナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法に関する。 ナフタレン骨格を有するナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩(以下では、「NSF−Na」と略称することがある。)は、染料、顔料、農薬等の分散剤として、また土木や建築用の分散剤として有用である。このナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩は、ナフタレン骨格を有するナフタレンを濃硫酸、発煙硫酸等のスルホン化剤を用いてスルホン化した後、ホルムアルデヒドを用いた縮合反応工程を経てナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(以下では、「NSF−H」と略称することがある。)を得、更にこれに水酸化ナトリウムの中和剤を用いて中和し、脱塩することにより製造されている(例えば、特許文献1)。また、中和剤として、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と同当量の水酸化ナトリウムと、過剰のスルホン化剤と同当量の水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどとを組み合わせて使用することも行われている(例えば、特許文献2〜4)。 しかし、中和剤として使用される水酸化ナトリウムは比較的高価であるため、低減が求められるに至っている。また、中和剤として水酸化ナトリウムのみを使用する場合、過剰のスルホン化剤は硫酸ナトリウムとして排出されるが、この硫酸ナトリウムは使途に乏しく、産業廃棄物として廃棄せざるを得ないという問題がある。特開昭58−179219号公報(第2頁左上欄第11〜15行)特開2007−99719号公報特開2007−99983号公報特開昭58−61115号公報(第7頁右上欄第1〜6行) 本発明はこのような従来技術の問題点を解決するために為されたものであり、本発明の目的は、水酸化ナトリウムの使用量を低減したナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、不要な硫酸ナトリウムの生成量の低減を図ったナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法を提供することである。 本発明のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法は、ナフタレン骨格を有するナフタレン化合物をスルホン化剤によりスルホン化した後にホルムアルデヒドを添加して縮合反応を行うナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物生成工程と、該縮合物生成工程後のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及びスルホン化剤を含有する反応混合物に硫酸ナトリウムを加えて水酸化ナトリウム及び水酸化カルシウムにより中和する中和工程と、該中和工程において生成した硫酸カルシウムを分離する石膏分離工程と、を備えたことを特徴とする。 このように、中和工程に先だって硫酸ナトリウムを加えることにより、以下の化1の反応に加えて、化2の反応が起こり、水酸化ナトリウムの使用量を低減させることができる。(化1) NSF−H + NaOH → NSF−Na + H2O …(1)(化2) Na2SO4 + Ca(OH)2 → 2NaOH + CaSO4 …(2) NSF−H + NaOH → NSF−Na + H2O …(3) H2SO4(スルホン化剤) + Ca(OH)2 → CaSO4 + 2H2O …(4) 即ち、化2の反応により、硫酸ナトリウムと水酸化カルシウムから水酸化ナトリウムと硫酸カルシウム(石膏)とが生成し(式(2))、この水酸化ナトリウムが、化1の水酸化ナトリウムと同様にナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(NSF−H)の中和に使用されることとなる(式(3))。また、過剰のスルホン化剤も水酸化カルシウムとの反応により硫酸カルシウムを生成する(式(4))。化2で生成した硫酸カルシウムは水に殆ど不溶であるため、濾過等により容易に分離され、石膏として利用され得る。 上記の中和工程においては、前記反応混合物中に含まれるナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物に対して、前記水酸化ナトリウム及び前記硫酸ナトリウムに含まれるナトリウムが同当量であり、前記硫酸ナトリウム及び前記反応混合物中に残存する前記スルホン化剤に含まれるスルホン酸基に対して、水酸化カルシウムが同当量以上であることが好ましい。これにより、理論上、一価のナトリウムイオンがNSF−Naの生成に使用されるとともに、二価のカルシウムイオンが硫酸カルシウムの生成に使用されることになり、不要な硫酸ナトリウムが生成しないようにすることができる。 また、本発明のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法は、ナフタレン骨格を有するナフタレン化合物をスルホン化剤によりスルホン化した後にホルムアルデヒドを添加して縮合反応を行うナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物生成工程と、該縮合物生成工程後のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及びスルホン化剤を含有する反応混合物に硫酸ナトリウムを加えて水酸化カルシウムにより中和する中和工程と、該中和工程において生成した硫酸カルシウムを分離する石膏分離工程と、を備えたことを特徴とする。 この構成では、水酸化ナトリウムは中和工程で使用されず、上記化2の式(2)によって生成する水酸化ナトリウムがナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の中和に使用されることになる。また、上述のように化2で生成した硫酸カルシウムは水に殆ど不溶であるため、濾過等により容易に分離され、石膏として利用され得る。 上記の中和工程においては、前記中和工程において、前記反応混合物中に含まれるナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物に対して、前記硫酸ナトリウムに含まれるナトリウムが同当量であり、前記硫酸ナトリウム及び前記反応混合物中に残存する前記スルホン化剤に含まれるスルホン酸基に対して、水酸化カルシウムが同当量以上であることが好ましい。これにより、理論上、一価のナトリウムイオンがNSF−Naの生成に使用されるとともに、二価のカルシウムイオンが硫酸カルシウムの生成に使用されることになり、不要な硫酸ナトリウムが生成しないようにすることができる。 更に、本発明のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法は、ナフタレン骨格を有するナフタレン化合物をスルホン化剤によりスルホン化した後にホルムアルデヒドを添加して縮合反応を行うナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物生成工程と、該縮合物生成工程後のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及びスルホン化剤を含有する反応混合物を水酸化カルシウムを用いて中和することによりナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物カルシウム塩と硫酸カルシウムとを得る中和工程と、該中和工程において生成した硫酸カルシウムを分離する先行石膏分離工程と、該石膏分離工程後の反応混合物に硫酸ナトリウムを加えてナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩と硫酸カルシウムとを生成させるナトリウム塩生成工程と、該ナトリウム塩生成工程において生成した硫酸カルシウムを分離する石膏分離工程とを備えたことを特徴とする。 この構成では、化3の式(5)及び式(6)に示すように、生成したナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及び過剰のスルホン化剤をすべてカルシウム塩とし、生成した硫酸カルシウムを分離する先行石膏分離工程と、更に硫酸ナトリウムを加えてナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物カルシウム塩をナトリウム塩に変える(化3の式(7))ことにより生成する硫酸カルシウムを分離する石膏分離工程とが設けられる。このように、この構成では2回に分けて硫酸カルシウムが除去されるので、硫酸カルシウムの分離を容易かつ確実に行うことができる。(化3) 2NSF−H + Ca(OH)2 → (NSF)2Ca + 2H2O …(5) H2SO4 + Ca(OH)2 → CaSO4 + 2H2O …(6) NSF2Ca + Na2SO4 → 2NSF−Na + CaSO4 …(7) 上記のすべての発明において使用される硫酸ナトリウムとして、他のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造工程で生成したものを使用することができる。他のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造過程で生成した硫酸ナトリウムには、生成物であるナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩が付着しているため、これを中和に使用すると付着していたナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の回収を図ることが可能となる。 ここで、他のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造工程としては、化4に示すように、水酸化ナトリウムのみを中和剤として用いてナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩を製造する際に副成する硫酸ナトリウムを使用することができる。(化4) NSF−H + NaOH → NSF−Na + H2O …(8) H2SO4 + 2NaOH → Na2SO4 + 2H2O …(9) 即ち、ナフタレン骨格を有するナフタレン化合物をスルホン化剤によりスルホン化した後にホルムアルデヒドを添加して縮合反応を行うナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物生成工程と、該縮合物生成工程後のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及びスルホン化剤を含有する反応混合物を水酸化ナトリウムにより中和する中和工程(化4の式(8)及び式(9))と、該中和工程において生成した硫酸ナトリウムを分離する芒硝分離工程とを備えたナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法における、前記芒硝分離工程で分離された硫酸ナトリウム(化4式(9))を、上記各発明における中和工程で使用される硫酸ナトリウムとして使用することができる。他のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造過程で生成した硫酸ナトリウムには、上述の反応で生成したナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩が付着しているため、これを使用することにより、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の回収を図ることが可能となる。 本発明のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法によれば、硫酸ナトリウムを添加することにより、水酸化ナトリウムの使用量を低減させることが可能となる。また、使途のない硫酸ナトリウムの生成量の低減を図ることができる。更に、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造によって生成した硫酸ナトリウムを使用することにより、未回収のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩を回収することができ、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の歩留まりを向上させることができる。 本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。 本発明のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の製造方法における原料は、ナフタレン骨格を有するナフタレン化合物であり、ナフタレン、メチルナフタレン等や、これらの混合物を例示することができ、このナフタレンには、精製ナフタレンや95%ナフタレンなども含まれる。 本発明の製造方法におけるスルホン化工程で使用されるスルホン化剤としては、濃硫酸及び発煙硫酸を使用することができる。通常、スルホン化剤は、ナフタレン化合物に対して当量より多い過剰量で使用される。スルホン化剤を使用したスルホン化は、公知の反応条件で行うことができる。 次に、スルホン化工程で得られたナフタレンスルホン酸は、ホルムアルデヒドとの縮合反応によりナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物となる。この縮合反応も、従来より公知の反応条件で行うことができる。 本発明のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の製造方法においては、縮合反応後の反応混合物の中和は、硫酸ナトリウムの存在下に行われる。この硫酸ナトリウムは、前述の化2の式(2)に示したように、水酸化カルシウムの添加により水酸化ナトリウムを生成し、これがナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の中和に使用されることになる。また、この硫酸ナトリウムは、化3の式(7)に示したように、水酸化カルシウムの添加によって生成したナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物カルシウム塩をナトリウム塩に変えて硫酸カルシウムを生成し、結果として水酸化ナトリウムを使用した場合と同様の効果が得られることになる。 本発明のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法では、硫酸ナトリウムは、化3に示す反応を行う場合を除いて、スルホン化及びホルマリン縮合を行うナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物生成工程の後であって、中和工程の前に反応混合物に加えることが好ましい。中和工程後では硫酸ナトリウムを添加する意義がなくなるからである。 本発明の製造方法においては、生成した硫酸カルシウムは水への溶解度が低いため、デカンタ、遠心分離器、濾過機等を使用して分離することができる。 本発明の製造方法における硫酸ナトリウムの添加効果を明らかにするため、まず従来の水酸化ナトリウムと水酸化カルシウムを用いた中和方法を比較例として説明し、次に比較例における水酸化ナトリウムを硫酸ナトリウムに置き換えた場合を実施例として説明する。化学量論的な関係を表1にまとめて示した。また、沈殿として生成する硫酸カルシウムを分離した後の各分離液の分析結果を表2にまとめて示した。 <実験室における比較> 実際の工場において濃硫酸を用いてスルホン化反応を行い、更にホルムアルデヒドによる縮合反応を行った後の反応混合物を用いて、実験室で中和反応を行った。 (比較例1) 水酸化ナトリウムと水酸化カルシウムを用いた従来の中和方法を行った。この場合の反応式を以下の化5に示した。まず、上記反応混合物に含まれるナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と硫酸の量を予め常法により求めた。次に、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と同当量の水酸化ナトリウム(固形分換算で49.7g、1.24当量)を含む水溶液を反応混合物に添加した(化5の式(10))。次に、この混合物のpHを測定しながら水酸化カルシウムのスラリーを徐々に添加し、pHが中性付近となった時点で水酸化カルシウムの添加を止めた。このときの水酸化カルシウムの添加量は、固形分換算で25.0g(0.67当量)であった。この場合の全アルカリ当量は、1.92当量であった。この反応混合物から沈殿を分離し、その分析から硫酸カルシウムの生成を確認した。また、分離液の分析からナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の生成を確認した。(化5) NSF−H + NaOH → NSF−Na + H2O …(10) H2SO4 + Ca(OH)2 → CaSO4↓ + 2H2O …(11) (実施例1) 比較例1における水酸化ナトリウムに代えて、硫酸ナトリウムを使用して中和反応を行った。この場合の反応式を以下の化6に示した。まず、比較例1における水酸化ナトリウムと同当量(1.24当量)の硫酸ナトリウム(88.0g)を反応混合物に添加した。次に、この混合物のpHを測定しながら水酸化カルシウムのスラリーを徐々に添加し、pH中性付近となった時点で水酸化カルシウムの添加を止めた。このときの水酸化カルシウムの添加量は、固形分換算で71.5g(1.93当量)であった。従って、この場合の全アルカリ当量は、1.93当量となる。この反応混合物から沈殿を分離し、その分析から硫酸カルシウムの生成を確認した。また、分離液の分析からナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の生成を確認した。(化6) Na2SO4 + Ca(OH)2 → 2NaOH + CaSO4↓ …(12) NSF−H + NaOH → NSF−Na + H2O …(13) H2SO4 + Ca(OH)2 → CaSO4↓ + 2H2O …(14) (結果) 上記実施例1と比較例1との比較により、比較例1における水酸化ナトリウムと同当量の硫酸ナトリウムを用いることにより、水酸化ナトリウムを全く使用せずとも、反応混合物の中和を行うことができることが分かる。 <工場生産における比較> (比較例2) 水酸化ナトリウムと水酸化カルシウムを用いた従来の中和方法により、工場での生産を行った。この場合の反応式は、前述の化5と同じである。なお、反応混合物に含まれるナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と硫酸の量は、前述のように予め常法により求められている。まず、反応混合物を中和槽に投入し、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と同当量の水酸化ナトリウムを含む水溶液を投入後、硫酸と同当量の水酸化カルシウムを反応混合物に投入しながら撹拌を行った(化5の式(10)及び式(11))。上記における水酸化カルシウムの全添加量は、固形分換算で278kg(7.51キロ当量)であった。この場合の全アルカリ当量は、21.77キロ当量であった。この反応混合物から沈殿を分離し、その分析から硫酸カルシウムの生成を確認した。また、反応液の分析からナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の生成を確認した。 (実施例2) 比較例1における水酸化ナトリウムの一部を硫酸ナトリウムに置き換えて中和反応を行った。この場合の反応式も、前述の化6と同じとなる。まず、反応混合物に無水物換算で168kg(2.37キロ当量)の硫酸ナトリウムを反応混合物に添加した。次に、この混合物を中和槽に投入し、水酸化ナトリウム水溶液を反応混合物に添加するとともに、反応混合物のpHを中性に維持するように水酸化カルシウムのスラリーを調節しながら投入し撹拌を行った。上記における水酸化カルシウムの全添加量は、固形分換算で367kg(9.91キロ当量)であった。この場合の全アルカリ当量は、21.81キロ当量であった。この反応混合物から沈殿を分離し、その分析から硫酸カルシウムの生成を確認した。また、反応液の分析からナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の生成を確認した。 (実施例3) 水酸化カルシウムの添加後に硫酸カルシウムを分離する先行石膏分離工程と、硫酸ナトリウムの添加後に生成する硫酸カルシウムを分離する石膏分離工程との2回の石膏分離工程を実施してナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩を調製した。 比較例1で用いた反応混合物に含まれるナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と硫酸の量を予め常法により求めた。この反応混合物に、pHを測定しながら水酸化カルシウムのスラリーを徐々に添加し、pHが中性付近となった時点で水酸化カルシウムの添加を止めた(化7の式(15)及び(16))。このときの水酸化カルシウムの添加量は、固形分換算で71.1g(1.92当量)であった。この反応混合物から沈殿を分離し(先行石膏分離工程)、その分析から硫酸カルシウムの生成を確認した。また、分離液の分析からナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物カルシウム塩の生成を確認した。 次に、この分離液720gに、この分離液のCa含量と当量の硫酸ナトリウム86.1g(0.61当量)を加えて30分間混合を行った(化7の式(17))。続いて、生成した沈殿を分離し(石膏分離工程)、その分析から硫酸カルシウムの生成を確認した。また、分離液の分析からナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の生成を確認した。(化7) 2NSF−H + Ca(OH)2 → (NSF)2Ca + 2H2O …(15) H2SO4 + Ca(OH)2 → CaSO4 + 2H2O …(16) NSF2Ca + Na2SO4 → 2NSF−Na + CaSO4 …(17) (結果) 上記実施例2と比較例2との比較により、比較例2における水酸化ナトリウムの一部に代えて硫酸ナトリウムを用いることにより、水酸化ナトリウムの使用量を低減させることができることが分かった。 本発明のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法によれば、水酸化ナトリウムの使用量を低減させることができ、しかも不要な硫酸ナトリウムの生成量を低減させることができるので、界面活性剤の分野で利用可能である。 ナフタレン骨格を有するナフタレン化合物をスルホン化剤によりスルホン化した後にホルムアルデヒドを添加して縮合反応を行うナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物生成工程と、 該縮合物生成工程後のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及びスルホン化剤を含有する反応混合物に硫酸ナトリウムを加えて水酸化ナトリウム及び水酸化カルシウムにより中和する中和工程と、 該中和工程において生成した硫酸カルシウムを分離する石膏分離工程と、を備えたことを特徴とするナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法。 前記中和工程において、前記反応混合物中に含まれるナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物に対して、前記水酸化ナトリウム及び前記硫酸ナトリウムに含まれるナトリウムが同当量であり、前記硫酸ナトリウム及び前記反応混合物中に残存する前記スルホン化剤に含まれるスルホン酸基に対して、水酸化カルシウムが同当量以上であることを特徴とする請求項1記載のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法。 ナフタレン骨格を有するナフタレン化合物をスルホン化剤によりスルホン化した後にホルムアルデヒドを添加して縮合反応を行うナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物生成工程と、 該縮合物生成工程後のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及びスルホン化剤を含有する反応混合物に硫酸ナトリウムを加えて水酸化カルシウムにより中和する中和工程と、 該中和工程において生成した硫酸カルシウムを分離する石膏分離工程と、を備えたことを特徴とするナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法。 前記中和工程において、前記反応混合物中に含まれるナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物に対して、前記硫酸ナトリウムに含まれるナトリウムが同当量であり、前記硫酸ナトリウム及び前記反応混合物中に残存する前記スルホン化剤に含まれるスルホン酸基に対して、水酸化カルシウムが同当量以上であることを特徴とする請求項3記載のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法。 ナフタレン骨格を有するナフタレン化合物をスルホン化剤によりスルホン化した後にホルムアルデヒドを添加して縮合反応を行うナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物生成工程と、 該縮合物生成工程後のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及びスルホン化剤を含有する反応混合物を水酸化カルシウムを用いて中和することによりナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物カルシウム塩と硫酸カルシウムとを得る中和工程と、 該中和工程において生成した硫酸カルシウムを分離する先行石膏分離工程と、 該石膏分離工程後の反応混合物に硫酸ナトリウムを加えてナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩と硫酸カルシウムとを生成させるナトリウム塩生成工程と、 該ナトリウム塩生成工程において生成した硫酸カルシウムを分離する石膏分離工程とを備えたことを特徴とするナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法。 前記硫酸ナトリウムとして、他のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造工程で生成したものを使用することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法。 前記他のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造工程は、 ナフタレン骨格を有するナフタレン化合物をスルホン化剤によりスルホン化した後にホルムアルデヒドを添加して縮合反応を行うナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物生成工程と、 該縮合物生成工程後のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及びスルホン化剤を含有する反応混合物を水酸化ナトリウムにより中和する中和工程と、 該中和工程において生成した硫酸ナトリウムを分離する芒硝分離工程と、を備えており、前記芒硝分離工程で分離された硫酸ナトリウムを、前記中和工程における前記硫酸ナトリウムとして使用することを特徴とする請求項6に記載のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法。 【課題】 水酸化ナトリウムの使用量を低減し、また不要な硫酸ナトリウムの生成量の低減を図ったナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の製造方法を提供する。【解決手段】 スルホン化反応及び縮合反応後のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及びスルホン化剤を含有する反応混合物に硫酸ナトリウムを加え、水酸化ナトリウム及び水酸化カルシウムにより中和する。硫酸ナトリウムは水酸化カルシウムとの反応により水酸化ナトリウムを生成し、この水酸化ナトリウムがナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩を生成するとともに、反応混合物に含まれていたスルホン化剤が水酸化カルシウムと反応して硫酸カルシウムを生成する。この硫酸カルシウムは、石膏分離工程で分離される。【選択図】 なし