生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_月経関連片頭痛、月経痛及び更年期障害の予防治療剤
出願番号:2007242895
年次:2009
IPC分類:A61K 36/48,A61P 5/30,A61P 25/04,A23L 1/30


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金 浩澤 JP 2009073745 公開特許公報(A) 20090409 2007242895 20070919 月経関連片頭痛、月経痛及び更年期障害の予防治療剤 学校法人 埼玉医科大学 504013775 長谷川 芳樹 100088155 木元 克輔 100126653 金 浩澤 A61K 36/48 20060101AFI20090313BHJP A61P 5/30 20060101ALI20090313BHJP A61P 25/04 20060101ALI20090313BHJP A23L 1/30 20060101ALI20090313BHJP JPA61K35/78 JA61P5/30A61P25/04A23L1/30 B 5 OL 6 4B018 4C088 4B018MD58 4B018ME14 4C088AB59 4C088AC04 4C088BA08 4C088NA14 4C088ZA08 4C088ZC11 本発明は、月経関連片頭痛、月経痛及び更年期障害の予防治療剤に関する。 月経関連片頭痛は、月経と深く関連する片頭痛であると考えられている。狭義には、月経開始2日前から月経の3日目まで間に起こる頭痛発作を指すが、期間はそれよりも通常、拡大している。月経関連片頭痛は、女性ホルモンの変動と密接に関連している。現在、月経関連片頭痛の治療法としては、主に片頭痛薬(セロトニン受容体刺激薬、一般名:トリプタン)と非ステロイド系鎮痛薬(NSAIDs)の併用が推奨されているが、一般に治療抵抗性である。また、一部にはホルモン補充療法も試みられているが、効果や安全性について疑問視されている(非特許文献1)。 一方、月経痛は、月経に伴う腹部や腰部などの痛みをいう。中には、日常生活にも支障を来たすような激しい痛みに悪心・嘔吐、下痢、脱力感、イライラなど、種々の随伴症状を伴う場合に月経困難症という。月経痛の原因は、女性ホルモンが変動した結果、子宮内膜の増殖が起こり、プロスタグランジンなどの種々の生理活性物質が分泌され、子宮の収縮が生じるためである。現在、月経痛の治療としては、対症的に非ステロイド系鎮痛薬(NSAIDs)のみが用いられている(非特許文献2)。 上述したように、月経関連片頭痛及び月経痛の治療においては、一般に対症的治療法がなされているに過ぎない。五十嵐久佳著、「月経に伴う片頭痛及び月経痛」、診断と治療、Vol.90:p.877−882、2002伊吹令人編著、「月経異常の臨床」、永井書店、1995年発行内閣府食品安全委員会事務局、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」、2006年5月 本発明の目的は、月経関連片頭痛、月経痛及び更年期障害の予防治療剤を提供することを目的とする。 本発明者は、驚いたことに、月経関連片頭痛、月経痛及び更年期障害の症状が認められる患者に、高野豆腐を摂取させると、これらの症状を抑えられることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は以下のものを提供する。(1)乾燥豆腐の抽出物を有効成分とする、月経関連片頭痛の予防治療剤。(2)乾燥豆腐の抽出物を有効成分とする、月経痛の予防治療剤。(3)乾燥豆腐の抽出物を有効成分とする、更年期障害の予防治療剤。(4)乾燥豆腐の抽出物を含む、健康補助食品。(5)乾燥豆腐の抽出物を含む、保健機能食品。 高野豆腐(乾燥豆腐)が月経関連片頭痛、月経痛及び更年期障害に対して予防治療効果を発揮する機序に関しては、含有する主成分である植物エストロゲン作用を有する大豆イソフラボンが主たる有効成分であると推定される。しかしながら、大豆イソフラボンが月経関連片頭痛、月経痛及び更年期障害に有効である報告はこれまでにない。また、上記患者に大豆イソフラボンを多く含有する豆乳や豆腐、納豆その他の大豆製品または相当量のイソフラボンサプリメントを摂取させても、月経関連片頭痛及び月経痛の諸症状が抑えられないことから、高野豆腐の上記の予防治療効果は、高野豆腐中の大豆イソフラボンは他の大豆食品中の大豆イソフラボンとは異なる含有量、性質を有する故か、又は大豆イソフラボンと高野豆腐中の他の成分との相乗効果によるものではないかと本発明者は考えている。 本発明の予防治療剤を用いると、月経関連片頭痛、月経痛及び更年期障害を予防及び治療することが可能である。また、本発明の健康補助食品及び保健機能食品を摂取すると、女性の月経時の腹痛、月経時及び更年期の片頭痛を始めとする身体不調を緩和し、生活の質の向上を図ることが可能である。 本発明の予防治療剤は乾燥豆腐の抽出物を有効成分としており、月経関連片頭痛、月経痛及び更年期障害に対して予防治療効果を有する。 乾燥豆腐は、凍結乾燥か自然乾燥か又は他の方法によって乾燥させた豆腐であればよく、乾燥させた前の豆腐は、主原料が大豆である豆腐であれば特に限定されず、他の副原料を含んでも良い。本発明の乾燥豆腐は、例えば、一般に市販されている凍結乾燥させた高野豆腐(凍り豆腐)が挙げられる。また、高野豆腐そのまま摂取しても効果がある。高野豆腐の摂取の仕方は、通常の醤油砂糖煮の他に、生のまますり下ろしてスープや味噌汁、その他ハンバーグなどの料理に入れて食してもよく、加熱の有無や形を問わない。 乾燥豆腐の抽出物は、乾燥豆腐中の大豆イソフラボンを抽出できる抽出方法によって得られる抽出物であれば、特に限定されず、粗抽出物、濃縮物及び精製物のいずれであってもよく、液状でも固体でもよい。 抽出方法は、例えば、脂肪族アルコール単独で、又はそれと水との混合物、特に炭素数が1〜8のアルコール単独で、又は水に溶解可能なアルコールと水との混合物、好ましくはエタノール単独で、又はエタノールと水との混合物(例えば、70%以上のエタノールの水溶液、好ましくは90%以上のエタノールの水溶液)によって、乾燥豆腐を抽出し、ろ過することによって行われる。抽出効率を上げるために、乾燥豆腐を予め物理的に粉砕することが好ましい。このようにして得られる粗抽出物をさらに、そのまま使用してもよく、必要があれば濃縮してもよい。また、濃縮物を、例えば、n−ブタノール、イソブタノールおよびイソアミルアルコールなどの水と混合しない脂肪族アルコールを用いて再抽出してもよい。抽出の温度は、大豆イソフラボンを変性させない程度の温度であればよく、例えば、0〜70℃、好ましくは0〜50℃である。また、必要があれば、抽出液のpHを適宜に調節してもよい。 上記の抽出方法によれば、乾燥豆腐中の大豆タンパクや不溶性繊維などの高分子量の成分は、殆ど残渣として除去され、一方、乾燥豆腐中の大豆イソフラボンは高い割合で抽出され、濃縮されることとなる。 本発明の予防治療剤は、乾燥豆腐の抽出物を有効成分とし、0.5〜100%の乾燥豆腐の抽出物を含むことが好ましい。本発明の予防治療剤は、経口剤であることが好ましい。 本発明の予防治療剤の投与量は、含有される大豆イソフラボンの量によって決定する。後述の実施例に記載されるように、患者に30〜80g/日の高野豆腐を摂取させた場合、月経関連片頭痛及び月経痛に対して顕著な予防治療効果が認められている。また、非特許文献3によれば、100gの凍り豆腐中約88mgの大豆イソフラボンが含有されるから、30〜80gの高野豆腐に含有される大豆イソフラボンの量は約26〜70mgである。そのうち実際に消化・吸収を経て利用されるものは一部の大豆イソフラボンしかないことを考慮すれば、本発明の予防治療剤の投与量は、10mg/1日以上の大豆イソフラボンボンアグリコンを目安とするのが好ましく、20mg/1日以上の大豆イソフラボンボンアグリコンを目安とするのがより好ましい。 本発明の健康補助食品は、0.5〜100%、好ましくは20%以上、さらに好ましくは50%以上の乾燥豆腐の抽出物を含むことが好ましい。本発明の健康補助食品の形は特に限定されず、粒状、顆粒状及び液状など人が便宜に摂取できる形であればよい。また、本発明の健康補助食品の摂取の目安量は、10mg/1日以上の大豆イソフラボンボンアグリコンを目安とするのが好ましく、20mg/1日以上の大豆イソフラボンボンアグリコンを目安とするのがより好ましい。 本発明の保健機能食品は、0.5〜100%、好ましくは1〜50%、さらに好ましくは5〜40%の乾燥豆腐の抽出物を含むことが好ましい。本発明の保健機能食品は、あらゆる食品でありうる。また、本発明の保健機能食品の摂取の目安量は、10mg/1日以上の大豆イソフラボンボンアグリコンを目安とするのが好ましく、20mg/1日以上の大豆イソフラボンボンアグリコンを目安とするのがより好ましい。 以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 実施例1 月経痛を伴う又は伴わない月経関連片頭痛が認められる17名の患者に高野豆腐を摂取してもらい、月経関連片頭痛及び月経痛に対する効果を確認した。患者に、市販の高野豆腐を通常の調理法に従い調理し、30〜80g/1日摂取し続けてもらった。 症例1 患者:27歳女性。毎月、月経前に片頭痛がひどくなり、激しい月経痛が認められた。 摂取状況:高野豆腐を30g/1日、朝と夜2回分けて摂取した。 結果: 摂取開始3日前:午後に中度の頭痛が認められた。 摂取開始2日前:午前に中度の、午後に軽度の頭痛が認められた。 摂取開始1日前:午後に中度の頭痛が認められた。患者の判断で、マクサルトを1錠服用した。 摂取開始日:頭痛は認めなかった。 摂取2日目:午後に軽度の頭痛が認められた。 摂取3日目:午後に中度の、夜に軽度の頭痛が認められた。 摂取4〜5日目:午前、午後及び夜にそれぞれ軽度の頭痛が認められた。 摂取6〜14日目:頭痛は認めなかった。摂取9〜14日目の間に月経が認められたが、毎月必ず起こる月経痛は全くなく、月経前の片頭痛も全く認めなかった。 症例2 患者:37歳女性。毎月、月経前に片頭痛がひどくなり、激しい月経痛が認められた。 摂取状況:高野豆腐を78g/1日摂取した。 結果: 摂取開始4日前:午前に中度の、午後及び夜にそれぞれ軽度の頭痛が認められた。 摂取開始3日前:午前に強度の、夜に軽度の頭痛が認められた。 摂取開始2〜1日前:午前に強度の、夜に軽度の頭痛が認められた。患者の判断で、正午にイミグランを1錠服用した。 摂取開始日:午前に強度の、夜に軽度の頭痛が認められた。患者の判断で、正午にイミグランを1錠服用した。 摂取2〜4日目:午前、午後及び夜にそれぞれごく軽度の頭痛が認められた。 摂取5日目:午前にごく軽度の頭痛が認められた 摂取6日目:午前、午後及び夜にそれぞれ軽度の頭痛が認められた。 摂取7日目:明け方1時間弱の間、軽度の頭痛が認められた。 摂取8日目:午前に中度の頭痛が認められた。患者の判断で、正午にレルパックスを1錠服用した。服用して20〜30分後頭痛が治まり、夜まで軽度の頭痛が認められた。 摂取9〜10日目:正午に中度の頭痛が認められた。患者の判断で、その後レルパックスを1錠服用した。服用して20〜30分後頭痛が治まった。 摂取11〜13日目:頭痛は認められなかった。 摂取14日目:夕方に、軽度の頭痛が認められた。その後、患者の判断でレルパックスを1錠服用した。服用して20〜30分後頭痛が治まった。 摂取15〜17日目:頭痛は殆ど認められなかった。 摂取18日目:夜に軽度の頭痛が認められた。その後、患者の判断でレルパックスを1錠服用した。服用して20〜30分後頭痛が治まった。 摂取19日目:正午に軽度の頭痛が認められた。その後、患者の判断でレルパックス及びセデスを各1錠服用した。服用して20〜30分後頭痛が治まった。また、この日から月経が開始し、それまでドロドロだった経血がサラサラに、また月経痛は殆ど認められなかった。 摂取20日目:午前に中度の頭痛が認められた。その後、患者の判断でレルパックス及びセデスを各1錠服用した。服用して20〜30分後頭痛が治まった。また、夜に軽度の頭痛が認められた。その後、患者の判断でレルパックス及びセデスを各1錠服用した。服用して20〜30分後頭痛が治まった。 摂取21日目:夜に軽度の頭痛が認められた。その後、患者の判断でレルパックス及びセデスを各1錠服用した。服用して20〜30分後頭痛が治まった。 摂取22日目:頭痛が認められなかった。 症例3 患者:38歳女性。毎月、月経前に片頭痛がひどくなり、激しい月経痛が認められた。 摂取状況:高野豆腐を42g/1日摂取した。 結果: 摂取を開始してから、頭痛も生理痛も全く認められなかった。 上記の3つの症例を含め全症例の結果は、以下の表1に纏めた。 以上の症例から、高野豆腐を摂取した後、全ての症例において月経関連片頭痛及び月経痛の症状が50%以上低減され、そのうち、完全消失した症例は29.4%(5/17例)であった。 乾燥豆腐の抽出物を有効成分とする、月経関連片頭痛の予防治療剤。 乾燥豆腐の抽出物を有効成分とする、月経痛の予防治療剤。 乾燥豆腐の抽出物を有効成分とする、更年期障害の予防治療剤。 乾燥豆腐の抽出物を含む、健康補助食品。 乾燥豆腐の抽出物を含む、保健機能食品 【課題】本発明の目的は、月経関連片頭痛、月経痛及び更年期障害の予防治療剤の提供にある。【解決手段】本発明の予防治療剤は、乾燥豆腐の抽出物を有効成分として含有する。【選択図】なし


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