生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_片頭痛の予防治療剤
出願番号:2007242730
年次:2009
IPC分類:A61K 33/14,A61P 25/06,A61K 35/02


特許情報キャッシュ

金 浩澤 JP 2009073744 公開特許公報(A) 20090409 2007242730 20070919 片頭痛の予防治療剤 学校法人 埼玉医科大学 504013775 長谷川 芳樹 100088155 寺崎 史朗 100092657 木元 克輔 100126653 金 浩澤 A61K 33/14 20060101AFI20090313BHJP A61P 25/06 20060101ALI20090313BHJP A61K 35/02 20060101ALN20090313BHJP JPA61K33/14A61P25/06A61K35/02 3 OL 6 4C086 4C087 4C086AA01 4C086AA02 4C086HA04 4C086HA24 4C086HA27 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA14 4C086ZA08 4C086ZC51 4C087AA01 4C087AA02 4C087BA02 4C087CA01 4C087MA52 4C087NA14 4C087ZA08 4C087ZC51 本発明は、片頭痛の予防治療剤に関する。 現在、前兆のある片頭痛の頭痛症状に対する特効薬としてセロトニン受容体刺激薬が存在するものの、視覚症状を中心とする前兆そのものに対する治療方法は存在しない。代表的な視覚症状として閃輝暗点がある。閃輝暗点とは、視野の中心部にギザギザした光の波が発生し、それが半円状に広がっていき視野を塞ぐ症状である。閃輝暗点を繰り返した後、頭痛が生じる。また、閃輝暗点のみが現れ頭痛が全く生じないケースもある。 前兆のある片頭痛患者の大脳内、脳脊髄液中及び血液中のマグネシウムイオン濃度が低下していることが知られている(非特許文献1〜3)。そこで、本発明者は、経口投与によるマグネシウム補充療法を試みたが、有効性等の点で満足し得るものではなかった。他方、本発明者は、マグネシウム溶液の静脈注射療法を試み、片頭痛及びその前兆に対して極めて有効であることを確認している(非特許文献4)が、片頭痛患者に対する静脈注射は実用性の点で問題がある。N.M.Ramadanら,“Low brain magnesium in migraine.”,Headache 29:416−419,1989A.C.Jeinら,“A clinical electrographic and trace element study with special reference to zinc,copper and magnesium in serum and cerebrospinal fluid(CSF) in cases of migraine.”,Journal of Neurology (Suppl.) 232:161,1985A.Mauskopら,“Deficiency in serum ionized magnesium but not total magnesium in patients with migraines. Possible role of ICa2+/IMg2+ ratio.”,Headache 33(3):135−138,1993金浩澤ら、「片頭痛発作に対するSO4−Mg静注療法の効果」、日本頭痛学会誌 27巻:13−15頁、2000年伊藤要・永長久彦著、「無機工業化学概論 改訂版」、培風館、1995年1月10日、39頁 したがって、本発明の目的は、有効性及び実用性の点に優れた、片頭痛及びその前兆の予防治療剤を提供することを目的とする。 本発明者は、片頭痛患者ににがりを摂取させると、閃輝暗点等の前兆及び頭痛を抑えられることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は以下の予防治療剤を提供する。(1)にがりを有効成分とする、片頭痛の予防治療剤。(2)にがりを有効成分とする、片頭痛の前兆の予防治療剤。(3)前兆が閃輝暗点である、(2)記載の予防治療剤。 にがりはマグネシウムイオンの吸収に優れ、片頭痛患者の大脳内及び血液中のマグネシウムイオン濃度の低下を抑えることができるため、片頭痛の前兆及び頭痛を予防及び治療できると考えている。 本発明の予防治療剤を用いると、片頭痛患者の前兆及び頭痛、特に閃輝暗点を予防及び治療することが可能である。 本発明の予防治療剤はにがりを有効成分としており、片頭痛の前兆及び頭痛に対して効果がある。片頭痛の前兆には、閃輝暗点等の視覚異常、耳鳴り、聴覚過敏等の聴覚異常、嗅覚過敏等の嗅覚異常などが含まれる。本発明の予防治療剤は、片頭痛の前兆の中でも閃輝暗点に対して特に有効である。また、頭痛を伴わない閃輝暗点に対しても有効である。 にがりとは、海水から食塩(塩化ナトリウム)を採取した後の残液をいう。にがりの組成は、製塩方法、濃縮度及び濃縮温度等の条件により異なるが、例えば表1に示すように、塩化マグネシウムを主成分とする組成である(非特許文献5から引用)。 本発明の予防治療剤は、経口剤であることが好ましい。にがりを1回あたり10〜20滴程度(0.7〜1.3ml程度)、好ましくは15滴程度(1ml程度)を1日3回程度、片頭痛患者に経口投与することが望ましい。にがりをそのまま投与してもよく、コップ1杯程度の水に混ぜて投与してもよい。このようにして、片頭痛及びその前兆を予防治療することが可能である。 閃輝暗点の症状が認められる3名の患者ににがりを摂取してもらい、閃輝暗点及び頭痛に対する効果を確認した。市販のにがり15滴をコップ1杯の水(約200ml)に加えたものを1日3回、患者に摂取し続けてもらった。 症例1 患者:26歳女性。試験のストレスのため、2ヶ月ほど閃輝暗点が続いていた。閃輝暗点の頻度は3日に1回から1日に3回程度であり、1回の継続時間は10分から1時間程度であった。 結果: 摂取開始日:弱度〜中程度の頭痛が終日あった。光が気になり、吐き気も感じた。朝、インテバン(登録商標)25mg2カプセルを服用した。昼、マクサルト(登録商標)錠10mgを服用した。 摂取2日後:弱度〜強度の頭痛が終日あった。光が気になり、吐き気も感じた。夜10時ごろ頭痛が激しくなり、嘔吐した。閃輝暗点あり。朝及び夜、マクサルト錠10mgを服用した。 摂取3日後:弱度の頭痛が朝あった。終日、光過敏。夜、頭痛が激しくなった。朝、マクサルト錠10mgを服用した。夜、マクサルト錠10mg及びインテバン25mg2カプセルを服用した。 摂取4日後:頭痛は終日なかった。1時間ほど続く閃輝暗点が3回あった。 摂取5日後:頭痛は終日なかった。1時間ほど続く閃輝暗点が3回あった。 摂取6日後:弱度の頭痛が夜あった。光が気になった。1時間ほど続く閃輝暗点が3回あった。夜、マクサルト錠10mgを服用した。 摂取7日後:弱度の頭痛が朝、中程度の頭痛が夜あった。朝から頭痛と軽い吐き気が続いた。日中すっきりしたが、夜に再び頭痛と吐き気を感じた。朝及び夜、マクサルト錠10mgを服用した。 摂取8日後:頭痛は治ったが、閃輝暗点は夜まで治らなかった。朝、マクサルト錠10mg及びインテバン25mgカプセルを服用した。 摂取9日後:頭痛は終日なかった。閃輝暗点は終日なかった。においが気になった。 摂取10日後:夜、弱度の頭痛があった。閃輝暗点もあった。におい及び音に対して過敏になった。思ったよりも症状はひどくならなかった。夜、インテバン25mg2カプセルを服用した。 摂取11日後:頭痛は終日なかった。閃輝暗点は終日なかった。においが気になった。 摂取12日後:夜、中程度の頭痛があった。香水のにおいで頭痛が誘発された。夜、マクサルト錠10mgを服用した。 摂取13日後〜14日後:症状なし。 摂取15日後:朝と昼、中程度の頭痛があった。光が気になることはなかった。朝、マクサルト錠10mgを服用した。 摂取16日後〜19日後:症状なし。 摂取20日後:朝、中程度の頭痛があった。朝、マクサルト錠10mgを服用して、すぐに良くなった。 摂取21日後:症状なし。 なお、摂取11日目以降は閃輝暗点は完全に消失した。 症例2 患者:76歳男性。閃輝暗点が2回/週以上の頻度で生じていた。 結果:にがりの摂取開始直後から閃輝暗点が完全に消失した。にがりを摂取していた3週間の間に一度も閃輝暗点は生じなかった。 症例3 患者:35歳女性。元々は閃輝暗点等の前兆症状を伴う片頭痛があったが、最近は前兆症状のみがほぼ毎日起こっていた。 結果: 摂取14日前〜8日前:毎朝、強度の閃輝暗点が起こり、昼又は夜に中程度〜強度の閃輝暗点が起こることもあった。頭痛もあった。 摂取7日前:朝、5分以内の弱度の閃輝暗点が起こり、夜、5分以上の中程度の閃輝暗点が起きた。 摂取6日前:症状なし。 摂取5日前:朝、強度の閃輝暗点が起きた後、頭痛になった。 摂取4日前:朝、弱度の閃輝暗点が起きた。 摂取3日前:症状なし。 摂取2日前:朝、強度の閃輝暗点が起きた。 摂取1日前:症状なし。 摂取開始日:症状なし。 摂取1日後:夜、弱度の閃輝暗点が起きた。 摂取2日後〜10日後:症状なし。 摂取11日後:朝、弱度の閃輝暗点が起きた。 摂取12日後〜19日後:症状なし。 摂取20日後:朝、弱度の閃輝暗点が起きた。 なお、にがり摂取開始後は、閃輝暗点は摂取前に比べてほぼ完全に抑制され、頭痛は全く起きなかった。 にがりを有効成分とする、片頭痛の予防治療剤。 にがりを有効成分とする、片頭痛の前兆の予防治療剤。 前兆が閃輝暗点である、請求項2記載の予防治療剤。 【課題】本発明の目的は、片頭痛及びその前兆の予防治療剤の提供にある。【解決手段】本発明の予防治療剤は、にがりを有効成分として含有する。【選択図】なし


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