タイトル: | 公開特許公報(A)_エステルの製造法 |
出願番号: | 2007213235 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 67/08,C07C 69/013,C07C 69/24,C07C 69/75,C07C 269/06,C07C 271/22,C07D 311/72,C07B 61/00,C07D 213/74 |
石原 一彰 坂倉 彰 木幡 康則 JP 2009046415 公開特許公報(A) 20090305 2007213235 20070820 エステルの製造法 国立大学法人名古屋大学 504139662 日本サーファクタント工業株式会社 000228729 古谷 聡 100087642 溝部 孝彦 100076680 持田 信二 100091845 義経 和昌 100098408 石原 一彰 坂倉 彰 木幡 康則 C07C 67/08 20060101AFI20090206BHJP C07C 69/013 20060101ALI20090206BHJP C07C 69/24 20060101ALI20090206BHJP C07C 69/75 20060101ALI20090206BHJP C07C 269/06 20060101ALI20090206BHJP C07C 271/22 20060101ALI20090206BHJP C07D 311/72 20060101ALI20090206BHJP C07B 61/00 20060101ALN20090206BHJP C07D 213/74 20060101ALN20090206BHJP JPC07C67/08C07C69/013 BC07C69/24C07C69/75 ZC07C269/06C07C271/22C07D311/72 101C07B61/00 300C07D213/74 5 OL 8 特許法第30条第1項適用申請有り ホームページのアドレス http://www.chemistry.or.jp/nenkai/index.html 掲載日:平成19年2月20日(日本化学会第87春季年会プロブラム) 平成19年3月12日(日本化学会第87春季年会Web予稿集) 4C055 4C062 4H006 4H039 4C055AA01 4C055BA01 4C055CA01 4C055DA52 4C055DB02 4C062FF22 4H006AA02 4H006AC48 4H006BA51 4H006BC10 4H006KA06 4H006KC12 4H006KC20 4H006RA04 4H006RB34 4H039CA66 4H039CL25 本発明は医薬品、食品添加物、化粧品原料、香料、化成品原料などとして有用なエステルの製造法に関する。 一般にエステルは、アルコールとカルボン酸とを酸触媒の存在下、加熱して副生する水を除去しながら脱水縮合反応させるか、カルボン酸を酸ハロゲン化物、酸無水物、混合酸無水物あるいは活性エステルなどとして一旦活性化し、アルコールと反応させることによって得られる。 カルボン酸無水物によるエステル合成においては、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(以下、DMAPと言う)などの触媒の存在下、カルボン酸無水物と同当量以上の塩基を用いてエステル化が行われてきた(例えば、非特許文献1)。第4版実験化学講座22.有機合成IV p50 実験例1・38 本発明は、前記化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物を使用したより効率の良いエステルの製造法を提供することを目的とする。 今回我々は、無溶媒あるいは非極性溶媒を用いることにより化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物触媒の存在下、触媒量の化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物以外の塩基の存在しない条件下でも反応が効率よく進行することを見出し、本発明を完成した。 本発明に用いる化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物の代表例は、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)である。 本発明にかかる方法を化学反応式で表せば、下記の通りである。 触媒量の化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物の存在下、触媒量の化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物以外に塩基を用いなくとも、アルコールとカルボン酸無水物から収率良くエステル化合物を得ることができる。 無溶媒あるいは非極性溶媒では、下記式の如く化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物のカルボン酸塩(2)と4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物(1)との平衡反応が比較的4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物(1)側に有利に働くため、DMAPの活性が十分維持され反応が効率よく進行すると考えられる。 本発明にかかる製法に従えば、低極性溶媒に不溶なアルコールもほぼ定量的にエステルに変換できる。また、反応性の低い3級アルコールや嵩高いフェノール類、α,β−不飽和エステルの合成も可能である。 さらには、酸無水物を用いた混合酸無水物法によるアルコールとカルボン酸とのエステル化も無塩基・無溶媒条件下で効率よく進行することも見出した。本発明にかかる方法を化学反応式で表せば、下記の通りである。 アルコール、カルボン酸、無水ピバル酸、化学式(1)で表される4−(N,N−-ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物(0.5mol%)を触媒量の化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物以外の塩基が存在しない条件下、反応させることにより収率良くエステル化合物を合成することができる。 ここで、本発明にかかるアルコールは一般式R’-OHで表され、具体的には、2〜22の炭素原子を含む脂肪もしくは合成アルコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、グルコース、スクロース、トレハロース、マンノース、ラフィノース、レチノール、ピリドキシン、アスコルビン酸、コレステロール、トコフェロールなどを挙げることができるが、これらに限定されない。 一方、カルボン酸は一般式R”-COOHで表され、2〜22の炭素原子を含む脂肪酸、レチノイン酸、ニコチン酸、その他ビタミン、各種アミノ酸、ヒドロキシカルボン酸などを挙げることができるが、これらに限定されない。 続いて、本発明にかかるカルボン酸無水物は一般式 (R”CO)2O で表され、具体的には無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水イソ吉草酸、無水ピバル酸などを挙げることができるが、本発明におけるカルボン酸無水物はこれらに限定されない。また、反応後遊離するこれらの酸は、沸点が比較的低いため、温時減圧留去により容易に除去することができる。 上記エステルの製造法において、反応温度としては−20〜120℃であり、好ましく0〜100℃、特に好ましく20〜90℃である。 次に、本発明を具体的に説明するため以下に実施例を掲げるが、本発明はこれらに限定されないことは言うまでもない。・酸無水物によるエステル化実施例1 l-メントールピバル酸エステルの合成 l-メントール 156 mg (1 mmol)、無水ピバル酸 223μL (1.1 mmol) およびDMAP 0.12 mg (0.001 mmol) の混合物を 80 ℃に加熱し、24時間攪拌した。エステルの収率は 1H NMR により算出した[エステル:δ4.62 (CH-OCO-t-Bu)、l-メントール:δ3.41 (CH-OH) のシグナルの面積比から算出]。合成したエステルは、ショートシリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン-酢酸エチル 100:1)で精製し、その構造を確認した。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.75 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.80-1.11 (m, 3H), 0.89 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.90 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.19 (s, 9H), 1.30−1.44 (m, 1H), 1.44−1.56 (m, 1H), 1.62−1.72 (m, 2H), 1.82−2.00 (m, 2H), 4.62 (dt, J = 4.4, 10.8 Hz, 1H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 16.0, 20.8, 22.0, 23.2, 26.1, 27.1, 31.3, 34.3, 38.7, 40.7, 47.0, 73.7, 178.0.比較例1−1 l-メントールピバル酸エステルの合成比較例1−2 l-メントールピバル酸エステルの合成 これらの結果を図1に示す。 無溶媒条件下、ピバロイル化は、3級アミンを共存させる(□)よりも塩基を添加しない方(●)が高い反応性を示した。・酸無水物を用いた混合酸無水物法によるエステル化実施例2 dl-α-トコフェロールリノール酸エステルの合成 dl-α-トコフェロール 2.15 g (5 mmol)、リノール酸 1.71 mL (5.5 mmol)、無水ピバル酸 1.12 mL (5.5 mmol)、DMAP 3.1 mg (0.5 mol%) を 50 ℃、27 時間反応させた。反応終了後、ピバル酸を減圧留去し、ショートシリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン-酢酸エチル 100:1)で精製し、標題化合物を収率 88% で得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.78-0.94 (m, 15H), 0.98-1.62 (m, 36H), 1.23 (s, 3H), 1.79 (m, 4H), 1.92−2.16 (m, 4H), 1.96 (s, 3H), 2.01 (s, 3H), 2.09 (s, 3H), 2.58 (t, J = 7.2 Hz, 4H), 2.78 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 5.28-5.45 (m, 4H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 11.8, 12.1, 12.9, 14.1, 19.5, 19.6, 19.7, 20.5, 21.0, 22.5, 22.6, 22.7, 24.4, 24.8, 25.1, 25.6, 27.1, 27.2, 27.9, 29.1, 29.2, 29.3, 29.3, 31.5, 31.6, 32.6, 32.7, 34.1, 37.2, 37.3, 37.4, 37.5, 39.3, 74.9, 117.2, 122.9, 124.8, 126.6, 127.8, 128.0, 129.9, 130.1, 140.4, 149.2, 172.3.実施例3 l-メントールシクロヘキサンカルボン酸エステルの合成 l-メントール 156 mg (1 mmol)、シクロヘキサンカルボン酸 136 μL (1.1 mmol)、無水ピバル酸 223 μL (1.1 mmol)、DMAP 0.61 mg (0.5 mol%)を 50 ℃、15 時間反応させた。反応終了後、ピバル酸を減圧留去し、ショートシリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン-酢酸エチル 100:1)で精製し、標題化合物を収率 92% で得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.74 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.80-2.00 (m, 19H), 0.89 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.90 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 2.26 (tt, J = 3.7, 11.0 Hz, 1H), 4.65 (tt, J = 4.2, 10.8 Hz, 1H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 16.1, 22.0, 23.3, 24.2, 25.4, 25.5, 25.8, 26.1, 29.0, 29.1, 31.3, 34.3, 40.9, 43.5, 47.1, 73.5, 175.7.実施例4 n-オクタノールBoc-L-Phe-OHエステルの合成 n-オクタノール 157 μL (1 mmol)、N-(tert-ブチルオキシカルボニル)-L-フェニルアラニン 292 mg (1.1 mmol)、無水ピバル酸 223 μL (1.1 mmol)、DMAP 0.61 mg (0.5 mol%)を 50 ℃、24 時間反応させた。反応終了後、ピバル酸を減圧留去し、ショートシリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン-酢酸エチル 20:1)で精製し、標題化合物を収率 92% で得た。光学純度を損なうことなく生成物を与えた。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.89 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.18-1.46 (m, 10H), 1.42 (s, 9H), 1.51-1.65 (m, 2H), 3.01-3.16 (m, 2H), 4.08 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 4.57 (q, J = 8.4 Hz, 1H), 4.98 (br d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.10-7.33 (m, 5H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 14.0, 22.6, 25.8, 27.0, 28.2, 28.4, 29.1, 31.7, 38.4, 54.4, 65.5, 79.8, 126.9, 128.4, 129.3, 136.0, 155.0, 171.2.実施例5 l-メントールシクロヘキサンカルボン酸の合成(ポリスチレン樹脂担持型DMAPの使用) l-メントール 781 mg (5 mmol)、シクロヘキサンカルボン酸 682 μL (5.5 mmol)、無水ピバル酸 1.12 mL (5.5 mmol)、ポリスチレン樹脂担持型DMAP (10 mol%-DMAP unit) を室温で 24 時間反応させた。反応終了後、デカンテーションにより上澄み液を取り出し、1H NMRにより収率を算出した。残渣に l-メントール 781 mg (5 mmol)、シクロヘキサンカルボン酸 682 μL (5.5 mmol)、無水ピバル酸 1.12 mL (5.5 mmol)を加え同じ条件下で反応させるという操作を繰り返した。 収率は以下の通りであった。実施例1と比較例1−1、1−2の結果をプロットしたグラフである。無溶媒もしくは非極性溶媒中、触媒量の化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物(式中、R1およびR2はアルキル基、R3およびR4は水素原子あるいはアルキル基を表す。但し、R1とR2、R1とR3、R2とR4は互いに結合して環状構造を形成する場合もある。)存在下、触媒量の化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物以外に塩基を全く使用することなくカルボン酸無水物とアルコールとを反応させることを特徴とするエステルの製造法。無溶媒もしくは非極性溶媒中、触媒量の化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物(式中、R1およびR2はアルキル基、R3およびR4は水素原子あるいはアルキル基を表す。但し、R1とR2、R1とR3、R2とR4は互いに結合して環状構造を形成する場合もある。)と酸無水物の存在下、触媒量の化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物以外に塩基を全く使用することなくアルコールとカルボン酸とを反応させることを特徴とする混合酸無水物法によるエステルの製造法。アルコールが、2〜22の炭素原子を含む脂肪あるいは合成アルコール、グリセリン、ジグリセリンポリグリセリン、糖質又はビタミンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエステルの製造法。カルボン酸が、2〜22の炭素原子を含む脂肪酸、アミノ酸、ビタミン又はヒドロキシカルボン酸であることを特徴とする請求項2に記載のエステルの製造法。反応温度が−20〜120℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエステルの製造法。 【課題】DMAPを使用したより効率の良いエステルの製造法を提供することを目的とする。【解決手段】無溶媒もしくは非極性溶媒中、触媒量の化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物存在下、触媒量の化学式(1)で表される4−(N,N−ジアルキルアミノ)ピリジン系化合物以外の塩基を全く使用することなく酸無水物とアルコールとを反応させ、エステルを製造する。【選択図】なし