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タイトル:公開特許公報(A)_ビウレット及びシアヌル酸の製造方法及び製造装置
出願番号:2007210622
年次:2008
IPC分類:C07C 273/18,C07C 275/62,C07D 249/12


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李 俊赫 辛 ▲みん▼承 李 勳 JP 2008044942 公開特許公報(A) 20080228 2007210622 20070813 ビウレット及びシアヌル酸の製造方法及び製造装置 株式会社ジェーアンドジェーケミカル 507273116 磯野 富彦 100105946 李 俊赫 辛 ▲みん▼承 李 勳 KR 10-2006-0076212 20060811 C07C 273/18 20060101AFI20080201BHJP C07C 275/62 20060101ALI20080201BHJP C07D 249/12 20060101ALI20080201BHJP JPC07C273/18C07C275/62C07D249/12 501 19 1 OL 13 4H006 4H006AA02 4H006AC59 4H006AD15 4H006AD17 4H006BB31 4H006BB61 4H006BC10 4H006BC51 4H006BD34 4H006BD36 4H006BD40 4H006BD52 4H006BD70 4H006BD84 本発明は、ビウレット及びシアヌル酸の製造方法及び製造装置に係り、さらに詳細には、アンモニア及び尿素の熱分解反応によって生成された生成物に水を添加して冷却することによって結晶化させ、この結晶をアルカリ溶液を利用して溶解させた後に冷却結晶化させることによって、高純度のビウレットを製造する方法と製造する装置、及び前記熱分解反応の副産物であるシアヌル酸を高純度で製造する方法及び製造する装置に関する。 一般に、130℃ないし200℃の温度で尿素を熱分解すれば、ビウレットを含む縮合物が生成される。熱分解を減圧下で行うか、または空気及び窒素を反応器に通過させて尿素の熱分解生成物であるアンモニアを除去する場合、前記熱分解反応がさらに効果的に進められて短時間に多量のビウレットが得られることは、周知である。また、熱分解温度が高いほど、ビウレットの生成速度は速くなるが、シアヌル酸、トリウレット、メラミンのような副反応生成物が多く生成されるという事実も、周知である(非特許文献1)。 尿素の熱分解によってビウレットが生成される過程を説明すると、次の通りである。すなわち、熱分解反応器で尿素が130℃以上まで加熱されれば、化学式1のように、アンモニアとシアン酸とが生成される。 前記化学式1の反応は、尿素が熱を吸収することによって進められる。したがって、加熱温度が高いほど、平衡状態でシアン酸がさらに多く存在し、アンモニアを除去するほど、反応がさらによく起きて尿素の分解速度が速くなるので、シアン酸の生成速度が速くなる。 シアン酸は、反応器に残留する尿素及び化学式2によってビウレットを形成する。 前記化学式2の反応は、発熱反応であり、温度が高いほど、平衡状態で多量に存在するシアン酸と尿素との反応によって、シアヌル酸、トリウレットのような副産物が多量生成される。 前記のビウレット生成過程は、既に色々な文献で報告されており、前記文献では、ビウレットを生成させた後に前記副産物から高純度のビウレットを回収できる方法について主に論議されている。 特許文献1は、シアヌル酸、トリウレットを含むクルードビウレットを10%以上の水性アンモニア溶液に80℃ないし110℃で温浸させ、これを冷却する場合、水に溶解性の低いビウレットが容易に結晶に析出される現象を利用して、高純度のビウレットを回収する方法について開示している。前記特許文献ではまた、ビウレットを回収して残った溶液からアンモニアを減圧下で除去することによって、シアヌル酸を高純度で回収する方法についても開示している。しかし、前記方法は、温浸を行う間に溶液内に所望のアンモニア濃度を維持させるために加圧下で行わねばならないため、別途の複雑な装置が必要であり、温浸時間が30分ないし2時間の時間が必要であり、シアヌル酸の回収においても減圧過程が必要であり、経済的に問題があった。 特許文献2は、尿素をグリコールエーテルに溶かして110℃ないし210℃の温度で反応させることによって、不純物の少ない高純度のビウレットを生成する方法を開示している。しかし、前記方法は、第1工程で尿素分解反応させ、第2工程で温度を若干下げて残留尿素の含量を所望の量より少なくする過程が必要であり、このような過程に2時間ないし6時間の時間が必要であり、経済性が劣るという問題があった。したがって、尿素を熱分解してビウレットを生産することにおいて、比較的簡単な方法で、かつ短時間で高純度のビウレットが得られる経済的な方法が要求される。米国特許第3,057,918号明細書米国特許第1,324,277号明細書"Biuret and Related Compounds",Chemical Reviews,56, pp.95-197 (1956) 本発明が解決しようとする第1の技術的課題は、尿素の熱分解反応によって高純度のビウレットを製造する方法を提供することである。 本発明が解決しようとする第2の技術的課題は、尿素の熱分解反応生成物から高純度のシアヌル酸を製造する方法を提供することである。 本発明が解決しようとする第3の技術的課題は、尿素の熱分解反応によって高純度のビウレットを製造するための製造装置を提供することである。 本発明が解決しようとする第4の技術的課題は、尿素の熱分解反応によって高純度のシアヌル酸を製造するための製造装置を提供することである。 前記本発明の第1の技術的課題を達成するために、本発明の第1態様は、(a)尿素を溶融させる工程と、(b)前記溶融された尿素を加熱して熱分解反応させる工程と、(c)前記熱分解反応によって生成された生成物に水を加えて結晶を析出させ、この結晶を濾過してクルードビウレット結晶を得る工程と、(d)前記クルードビウレット結晶をアルカリ水溶液を利用して溶解させる工程と、(e)前記溶解物を冷却させてビウレット結晶を析出させる工程と、(f)前記ビウレット結晶を濾過及び水洗する工程と、を含むビウレットの製造方法を提供する。 前記本発明の第2の技術的課題を達成するために、本発明の第2態様は、(a)尿素を溶融させる工程と、(b)前記溶融された尿素を加熱して熱分解反応させる工程と、(c)前記熱分解反応によって生成された生成物に水を加えて結晶を析出させ、この結晶を濾過してクルードビウレット結晶を得る工程と、(d)前記クルードビウレット結晶をアルカリ水溶液を利用して溶解させる工程と、(e)前記溶解物を冷却させてビウレット結晶を析出させる工程と、(f)前記ビウレット結晶を濾過及び水洗する工程と、(g)前記(f)工程で得た濾過液を酸で中和してシアヌル酸結晶を析出させる工程と、(h)前記シアヌル酸結晶を含むスラリーを濾過及び水洗してシアヌル酸結晶を回収する工程とを含むシアヌル酸の製造方法を提供する。 前記本発明の第3の技術的課題を達成するために、本発明の第3態様は、(1)尿素を溶融させるための尿素溶融槽と、(2)前記尿素溶融槽から移送された尿素を加熱して尿素を熱分解反応させる熱分解反応槽と、(3)前記熱分解反応器で生成された生成物を移送されて水を添加して結晶を析出させるための第1析出槽と、(4)前記第1析出槽から移送された結晶を含むスラリーを濾過及び水洗してクルードビウレット結晶を得るための第1濾過及び水洗装置と、(5)前記クルードビウレット結晶を移送されて前記クルードビウレット結晶にアルカリ水溶液を加えて、これを溶解させるための溶融槽と、(6)前記溶融槽から移送された溶液を冷却してビウレット結晶を形成させるための第2析出槽と、(7)前記精製されたビウレット結晶を含むスラリーを移送されて濾過して水洗するための第2濾過装置と、を備えるビウレットの製造装置を提供する。 前記本発明の第4の技術的課題を達成するために、本発明の第4態様は、(1)尿素を溶融させるための尿素溶融槽と、(2)前記尿素溶融槽から移送された尿素を加熱して尿素を熱分解反応させる熱分解反応槽と、(3)前記熱分解反応器で生成された生成物を移送されて水を添加して結晶を析出させるための第1析出槽と、(4)前記第1析出槽から移送された結晶を含むスラリーを濾過及び水洗いしてクルードビウレット結晶を得るための第1濾過及び水洗装置と、(5)前記クルードビウレット結晶を移送されて前記クルードビウレット結晶にアルカリ水溶液を加えて、これを溶解させるための溶融槽と、(6)前記溶融槽から移送された溶液を冷却してビウレット結晶を形成させるための第2析出槽と、(7)前記精製されたビウレット結晶を含むスラリーを移送されて濾過して水洗いするための第2濾過装置と、(8)前記(7)の第2濾過及び水洗装置から移送された濾過液を酸で中和してシアヌル酸結晶を析出させる中和装置と、(9)前記得られたシアヌル酸結晶を含むスラリーを移送されて濾過し、かつ水洗いしてシアヌル酸結晶を回収する第3濾過及び水洗装置と、を備えるシアヌル酸の製造装置を提供する。 本発明によるビウレットの製造方法及び製造装置を利用してビウレットを製造する場合、熱分解反応の生成物であるクルードビウレット結晶をアルカリ水溶液で短時間に溶解させ、前記溶液を冷却させて低温で水に対する溶解性の低いビウレットを選択的に回収できるので、高純度のビウレットが得られる。また、前記ビウレットの回収過程でビウレットを回収して残った溶液は、シアヌル酸の純度が高いので、これを酸で中和して結晶を生成させることによって高純度のシアヌル酸を製造できる。 本発明による製造方法及び製造装置を利用する場合、尿素の熱分解反応によって生成されたクルードビウレット結晶をアルカリ水溶液を利用して溶解させるので、従来の方法に比べて、簡単な方法で、かつ低コストで高純度のビウレット及びシアヌル酸を生成できる。また、熱分解反応過程で得られた未反応シアン酸を尿素溶融槽に再投入し、熱分解反応の生成物から濾過された濾過液から水を蒸発させた尿素を尿素溶融槽に再投入して使用することによって、尿素の損失を減らすと同時に、反応の転換率を高めるので、非常に経済的である。また、反応中に生成されたアンモニアをスクラバーを通じて吸収し、吸収されたアンモニアを別途の工程で再使用できる。 以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。 本発明の第1態様で、ビウレットの製造方法は、(a)尿素を溶融させる工程と、(b)溶融した尿素を加熱して尿素を熱分解反応させる工程と、(c)前記熱分解反応によって生成された生成物に水を加えて結晶を析出させ、この結晶を濾過してクルードビウレット結晶を得る工程と、(d)前記クルードビウレット結晶をアルカリ水溶液を利用して溶解させる工程と、(e)前記溶解物を冷却させてビウレット結晶を析出させる工程と、(f)前記ビウレット結晶を濾過及び水洗する工程と、を含むビウレットの製造方法を提供する。 本態様の前記(a)工程で、尿素溶融槽12の温度は130ないし160℃であることが望ましく、さらに望ましくは、132ないし140℃である。前記温度が130℃未満であれば、尿素が完全に溶解されないという問題があり、160℃を超えれば、自体縮合反応による副産物が増加して望ましくない。前記尿素溶融槽で溶融された尿素は、熱分解反応槽13に移送されて加熱される。 本態様の前記(b)工程で、加熱温度は、130ないし200℃であることが望ましく、さらに望ましくは、140ないし150℃である。前記加熱温度は、尿素の反応を迅速かつ効果的に進める適正な温度であって、前記温度が130℃未満であれば、未溶融された尿素が存在してシアン酸の生成反応の効率が過度に低く、前記温度が200℃を超えれば、ビウレットだけでなく、シアヌル酸、トリウレット、メラミン、アメライドなどの副産物が過度に増加して望ましくない。 本態様では、前記(b)工程で、熱分解反応によって生成されたアンモニアガス及びシアン酸ガスを前記(a)工程の尿素溶融反応に再投入する過程をさらに含む。本態様の前記(b)工程では、熱分解反応が空気または不活性ガスを前記反応器の下部から注入しながら行われることが望ましい。空気または不活性ガスを反応器の下部から注入すれば、反応器から吐出されて空気または不活性空気中にアンモニア及び未反応シアン酸が存在するので、これを尿素溶融槽12に再投入することにより、シアン酸は、尿素と反応してビウレットを生成させ、それにより、熱分解反応による尿素の転換率を向上させうるという長所がある。アンモニアは、スクラバーを通過させて水に吸収させた後、液化アンモニアまたは一定濃度のアンモニア水の製造装置に移送される。 本態様の前記(b)工程での熱分解反応は、一つのバッチ式反応器で行われ、複数の反応器が直列に連結された連続式反応器で行われることもある。反応の効率及び安定性のためには、連続式反応器がバッチ式反応器よりは有利であり、反応器が7個を超えれば、これ以上の転換率の上昇効果が見られないので、経済性が低下する。 前記(b)工程で熱分解反応によって生成された生成物には、ビウレットを含み、シアヌル酸、トリウレットなどの副産物が含まれており、本発明では、このような副産物を含むビウレットをクルードビウレットと命名する。前記クルードビウレットは、熱分解反応器から第1析出槽14に移送されて水と混合した後に冷却させることによって結晶を形成する。前記結晶はまた第1濾過及び水洗装置15で結晶が濾過され、濾過された結晶は、溶融槽16に移送される。第1濾過及び水洗装置15は、効率のために遠心分離機または真空濾過装置を使用することが望ましい。 本態様の前記(c)工程で濾過によって得られた濾過液は、尿素を主に含んでおり、これを再び水蒸発装置23に移送して、ここで減圧常圧下で加熱して水を蒸発させ、水が蒸発された状態の尿素は、再び尿素溶融槽12に移送して反応に再投入される過程をさらに含む。 第1濾過及び水洗装置15で濾過される結晶は、アルカリ水溶液を使用してクルードビウレット結晶を溶解させる。前記アルカリ水溶液は、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液であることが望ましく、さらに望ましくは、NaOH、KOH、Ca(OH)2の水溶液であることが望ましく、その濃度は、約10%ないし50%の水溶液を使用する。前記アルカリ水溶液は、ビウレット、シアヌル酸、トリウレットを溶かして溶液を形成させ、特に、シアヌル酸とは、塩を形成して溶解度を急激に向上させる。したがって、シアヌル酸と塩を形成するのにおいては、投入されるアルカリ水溶液の量がシアヌル酸と適正な当量比であることが必要であり、本発明では、前記クルードビウレット結晶のうちシアヌル酸のモル数に対応して0.5ないし5モル当量のアルカリ溶液を投入することが望ましい。投入されるアルカリ水溶液の量が前記範囲を逸脱して過度に少なければ、シアヌル酸塩を形成する比率が低くなって冷却過程で高純度のビウレットが得られなくなり、前記範囲を逸脱して過度に多ければ、ビウレットの濃度も過度に低くて以後冷却過程でビウレットが析出され難いので望ましくない。 本態様の前記(d)工程で、アルカリ水溶液を加える温度は、溶解効率及び安定性のために適正温度であることが必要であり、本発明では、50ないし105℃であることが望ましく、さらに望ましくは、60ないし80℃である。前記温度が50℃未満であれば、アルカリ水溶液を加えてクルードビウレット結晶を溶解させる時間が過度に増加して経済性が低下し、前記温度が105℃を超えれば、ビウレットが分解されて収率が低下するので望ましくない。 前記(d)工程で、アルカリ水溶液を加えて生成された溶液は、再び冷却過程を経る。冷却過程は、冷却コイル、板状またはシェルアンドチューブ状の熱交換装置を利用して行われる。本態様で、前記冷却過程は、5ないし40℃の温度で行われることが望ましい。前記冷却温度が5℃未満であれば、工程上で結晶が固まるという問題があり、40℃を超えれば、冷却効率が低下するという問題があって望ましくない。冷却が進められれば、水に対する溶解性が低いビウレットは、結晶に析出され、塩状態のシアヌル酸は、そのまま液体状態に存在する。 前記ビウレット結晶が形成されたスラリーを第2濾過及び水洗装置18で濾過して水洗することによってビウレット結晶を回収する。前記回収されたビウレット結晶を乾燥することによって、本発明が目的とする高純度のビウレット結晶が得られる。 本発明の第2態様のシアヌル酸の製造方法は、(a)尿素を溶融させる工程と、(b)溶融された尿素を加熱して尿素を熱分解反応させる工程と、(c)前記熱分解反応によって生成された生成物に水を加えて結晶を析出させ、この結晶を濾過してクルードビウレット結晶を得る工程と、(d)前記クルードビウレット結晶をアルカリ水溶液を利用して溶解させる工程と、(e)前記溶解物を冷却させてビウレット結晶を析出させる工程と、(f)前記ビウレット結晶を濾過及び水洗する工程と、(g)前記(f)工程で得た濾過液を酸で中和してシアヌル酸結晶を析出させる工程と、(h)前記シアヌル酸結晶を含むスラリーを濾過及び水洗してシアヌル酸結晶を回収する工程とを含む。 したがって、本態様で、尿素を熱分解反応させる工程からクルードビウレット結晶を濾過する工程までは、前記第1態様と同じである。 本態様の前記(g)で、塩形態に存在するシアヌル酸塩を中和させるためには、酸を処理する方法を使用する。本態様で使われる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸または酢酸、カルボン酸、ギ酸、シュウ酸、ベンゾ酸などの有機酸が可能であり、pHが7未満である任意の酸が利用される。 前記(g)工程で、酸によって中和されて析出された結晶は、シアヌル酸の含量が非常に高い。前記結晶を含むスラリーを第3濾過及び水洗装置20で濾過して水洗することによって高純度のシアヌル酸が得られる。 本発明の第3態様であるビウレットの製造装置は、(1)尿素を溶融させるための尿素溶融槽と、(2)前記尿素溶融槽から移送された尿素を加熱して尿素を熱分解反応させる熱分解反応槽と、(3)前記熱分解反応槽で生成された生成物を移送されて水を添加した後に冷却して結晶を析出させるための第1析出槽と、(4)前記第1析出槽から移送された結晶を含むスラリーを濾過及び水洗してクルードビウレット結晶を得るための第1濾過及び水洗装置と、(5)前記クルードビウレット結晶を移送されて前記クルードビウレット結晶にアルカリ水溶液を加えてこれを溶解させるための溶融槽と、(6)前記溶融槽から移送された溶液を冷却してビウレット結晶を形成させるための第2析出槽と、(7)前記精製されたビウレット結晶を含むスラリーを移送されて濾過して水洗するための第2濾過及び水洗装置と、を備える。 本態様で、前記アンモニアスクラバー11、尿素溶融槽12、熱分解反応槽13、析出槽14,17、濾過及び水洗装置15,18及びアルカリ溶融槽16は、前記第1態様で説明したものと同じであるので、別途の説明は省略する。 本態様ではまた、前記(2)の熱分解反応槽で生成されたアンモニアガス及びシアン酸ガスを捕集して前記(1)の尿素溶融槽に供給する装置をさらに備える。このような再供給装置を備えることによって、未反応シアン酸ガスが外部に消耗されることを防止し、したがって、尿素からビウレットへの転換率を向上させるので経済的である。そして、熱分解反応中に生成されるアンモニアは、スクラバー11を通過させて吸収した後に液化アンモニアまたは一定濃度のアンモニア水の製造装置に移送させて別途の工程に利用する。 本態様の前記(2)の熱分解反応槽は、バッチ式反応器でもあり、複数の反応器が直列に連結された連続式反応器で行われることもある。反応の効率及び安定性のためには、連続式反応器がバッチ式反応器よりは有利であり、反応器が7個を超えれば、それ以上の転換率上昇の効果が見られないので、経済性が劣る。 本態様では、(4)の第1濾過及び水洗装置で得た濾過液を移送されて水を蒸発させた後、前記(1)の尿素溶融槽に再投入する装置をさらに備える。本態様の前記(4)の第1濾過装置で得られた濾過液は、尿素を主に含んでおり、これを再び水蒸発装置23に移送し、ここで減圧または常圧下で加熱して水を蒸発させ、水が蒸発された状態の尿素は、再び尿素溶融槽12に移送して反応に再投入される。これにより、尿素のリサイクル率を高め、製造コストを低減する。 本態様で、前記(5)の溶融槽16に投入される本態様で使われるアルカリ水溶液は、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液であることが望ましく、さらに望ましくは、NaOH、KOH、Ca(OH)2の水溶液であることが望ましく、その濃度は、約10%ないし50%の水溶液を使用してよい。アルカリ水溶液の投入装置は、特別に制限していないが、外部の投入ラインを通じて投入する方法またはアルカリ水溶液槽に前記クルードビウレット結晶を直接投入する方法を使用してよい。 本態様で、前記(5)の溶融槽16の温度は、50ないし105℃であることが望ましく、さらに望ましくは、60ないし80℃である。前記温度が50℃未満であれば、アルカリ溶液を加えてクルードビウレット結晶を溶解させる時間が過度に増加して経済性が低下することもあり、前記温度が105℃を超えれば、ビウレットが分解されることもあるので望ましくない。 本態様の製造装置によって得られたビウレットは、シアヌル酸を含んでいないので、純度が非常に高く、簡単な装置によってビウレットを製造することによって、製造コストも低減する。 本発明の第4態様であるシアヌル酸の製造装置は、(1)尿素を溶融させるための尿素溶融槽と、(2)前記尿素溶融槽から移送された尿素を加熱して尿素を熱分解反応させる熱分解反応槽と、(3)前記熱分解反応槽で生成された生成物を移送されて水を添加した後に冷却して結晶を析出させるための第1析出槽と、(4)前記第1析出槽から移送された結晶を含むスラリーを濾過及び水洗してクルードビウレット結晶を得るための第1濾過及び水洗装置と、(5)前記クルードビウレット結晶を移送されて前記クルードビウレット結晶にアルカリ水溶液を加えてこれを溶解させるための溶融槽と、(6)前記溶融槽から移送された溶液を冷却してビウレット結晶を形成させるための第2析出槽と、(7)前記精製されたビウレット結晶を含むスラリーを移送されて濾過して水洗するための第2濾過及び水洗装置と、(8)前記(7)の第2濾過装置から移送された濾過液を酸で中和してシアヌル酸結晶を析出させる中和装置と、(9)前記得られたシアヌル酸結晶を含むスラリーを移送されて濾過及び水洗してシアヌル酸結晶を回収する第3濾過及び水洗装置と、を備える。 前記(8)で濾過液を中和させるのに使われる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸または酢酸、カルボン酸、ギ酸、シュウ酸、ベンゾ酸などの有機酸が可能であり、pHが7未満である任意の酸が利用される。 前記中和装置19、シアヌル酸結晶の濾過のための第3濾過及び水洗装置20は、前記本発明の第2態様であるシアヌル酸の製造方法で説明されたものと同じであるので、別途の説明は省略する。 以上、本発明の1実施形態によるビウレットの製造方法及びその製造装置、シアヌル酸の製造方法及びその製造装置について説明した。 本発明の1実施形態による方法及び装置を使用する場合、クルードビウレット結晶をアルカリ水溶液を使用して溶解させ、これを冷却してビウレット結晶を形成するので、従来の方法でアンモニア温浸技術を使用する方法より時間が短縮され、工程が単純であり、さらに純度の高いビウレット及びシアヌル酸が得られる。 以下、実施例を通じて本発明をさらに具体的に例示するが、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。 尿素(Sigma Aldrich社製)を140℃の尿素溶融槽に入れて溶かした後、熱分解反応器に一定の速度で注入した。熱分解反応槽の温度は、160℃に維持し、反応槽は、3個の反応器が直列に連結された連続式反応器を使用し、反応器の下部から反応器に注入される尿素1モル当り空気1モルを一定速度で反応器内に注入した。反応器を通過した空気には、アンモニア及び未反応シアン酸が存在するので、これを再び尿素溶融槽に再投入して未反応シアン酸を尿素と再反応させた。熱分解反応槽で得られた生成物は、連続的に冷却タンクに投入されて結晶が析出された。このとき、冷却タンク内での平均滞留時間は、150分程度になるよう調節した。熱分解反応槽を通過した生成物を採取して尿素の転換率を測定した結果、35%ほどであった。また、熱分解生成物の組成を液体クロマトグラフィを利用して分析した。分析結果、組成は、投入された尿素100重量部を基準に、ビウレット29.8重量部、尿素50.9重量部、シアヌル酸3.0重量部、トリウレット1.3重量部と総85重量部であった。前記生成成分の総和85重量部を除外した15重量部は、未反応シアン酸及びアンモニアが熱分解反応槽を抜け出るので、重量が減少した。以下、各重量部は、投入された尿素100重量部を基準にした重量である。 前記85重量部の熱分解生成物に85重量部の水を投入して攪拌しつつ、15℃に冷却した後、遠心脱水機で脱水させた。脱水された結晶を含むケーキに15重量部の水で洗浄してケーキに残存する尿素を除去した。このように得られたケーキは、28重量部であり、ケーキの水を除外した組成を液体クロマトグラフィを利用して測定した結果、ビウレット85.7重量%、尿素1.8重量%、シアヌル酸8.9重量%及びトリウレット3.6重量%であることを確認した。また、前記脱水によって得られた脱水濾過液の組成を液体クロマトグラフィを利用して測定した結果、ビウレット4.1重量%、尿素35.5重量%、シアヌル酸0.3重量%、トリウレット0.2重量%及び水59.9重量%であることを確認した。このような脱水濾過液を200mmHgの真空下で110ないし130℃の温度に加熱した後、尿素溶融槽に再投入し、尿素溶融槽に再投入する直前の水を蒸発させた状態での組成は、ビウレット12.2重量%、尿素86.5重量%、シアヌル酸0.9重量%及びトリウレット0.4重量%であることを確認し、不足した量だけの尿素をさらに尿素溶融槽に投入した。このように再循環される過程によって、熱分解反応槽から生じる熱分解生成物の組成は、平衡状態になるまで、ビウレットの転換率が上昇し、平衡状態での熱分解物質の組成は、ビウレット37.3重量%、尿素57重量%、シアヌル酸4.2重量%及びトリウレット1.5重量%であった。 脱水されたクルードビウレットケーキに72重量部の水をさらに投入した後、シアヌル酸1モルに対して2.5モル当量だけのNaOH水溶液を投入した後、70℃で20分間加熱して全ての熱分解生成物を溶解させた。この過程で、シアヌル酸は、NaOH水溶液と反応して水に非常によく溶解されるシアヌル酸塩の形態となる。前記NaOH水溶液によって溶解されて形成された溶液を冷却タンクに移した後に10℃まで冷却した。このとき、ビウレットが結晶化されて析出された。遠心脱水機を利用して水を脱水させた後、水で水洗して精製されたビウレットを得た。このとき、得られたビウレットの純度は、99.5%であった。 また、前記脱水濾過液を中和タンクに移した後、塩酸を加えてpHを4まで下げた。このとき、シアヌル酸が析出され、50℃で脱水した後、水で水洗して精製されたシアヌル酸を得た。このとき、得られたシアヌル酸の純度は、99%であった。[比較例] 実施例1で熱分解反応、冷却、濾過を経て得たクルードビウレットケーキ85重量部に、122重量部の水と28.6重量部のアンモニア(19%アンモニア水)とを加えて混合した後、加熱して温度を90ないし100℃まで上げた後、30分間維持してから50℃に冷却して反応器内の圧力を常圧に低めてビウレット結晶を析出させた(このとき、シアヌル酸は、アンモニアと結合して水に対する溶解度が上昇して析出されなかった)。生成されたスラリーを濾過して得られた濾過液ケーキを水で水洗し、かつ乾燥させた。乾燥された生成物を液体クロマトグラフィを利用して分析した結果、ビウレット98%、尿素0.5%、シアヌル酸0.3%及びトリウレット1.2%であることを確認した。 以上、本発明を具体的な実施例を通じて説明したが、本発明の技術趣旨の範囲内で多様な変形及び変更が可能であるということは、当業者にとって明白なものであり、このような変形及び変更は、特許請求の範囲に属している。 本発明は、ビウレット及びシアヌル酸の製造装置関連の技術分野に適用可能である。本発明の1実施形態によるビウレット及びシアヌル酸の製造装置を示すブロック図である。符号の説明 11 アンモニアスクラバー 12 尿素溶融槽 13 熱分解反応槽 14 第1析出槽 15 第1濾過及び水洗装置 16 溶融槽 17 第2析出槽 18 第2濾過及び水洗装置 19 中和装置 20 第3濾過及び水洗装置 21 水蒸発装置 (a)尿素を溶融させる工程と、 (b)前記溶融された尿素を加熱して熱分解反応させる工程と、 (c)前記熱分解反応によって生成された生成物に水を添加して冷却した後に結晶を析出させ、この結晶を濾過してクルードビウレット結晶を得る工程と、 (d)前記クルードビウレット結晶を、アルカリ水溶液を利用して溶解させる工程と、 (e)前記溶解物を冷却させてビウレット結晶を析出させる工程と、 (f)前記ビウレット結晶を濾過及び水洗いする工程と、 を含むことを特徴とするビウレットの製造方法。 前記(a)工程での尿素は、130ないし160℃の溶融槽で溶融されることを特徴とする請求項1に記載のビウレットの製造方法。 前記(b)工程の加熱温度は、130ないし200℃であることを特徴とする請求項1に記載のビウレットの製造方法。 前記(b)工程の熱分解反応によって生成されたアンモニアガス及びシアン酸ガスを、前記(a)工程の尿素溶融反応に再投入する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のビウレットの製造方法。 前記(b)工程の熱分解反応は、空気または不活性ガスを反応器の下部で注入しつつ行われることを特徴とする請求項1に記載のビウレットの製造方法。 前記(b)工程の熱分解反応は、バッチ式反応器または複数の直列に連結された連続式反応器で行われることを特徴とする請求項1に記載のビウレットの製造方法。 前記(c)工程で得た濾過液から水を蒸発させた後、前記(a)工程の尿素溶融反応に再投入する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のビウレットの製造方法。 前記(d)工程のアルカリ水溶液は、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液であることを特徴とする請求項1に記載のビウレットの製造方法。 前記(d)工程のアルカリ水溶液の投入量は、前記クルードビウレット結晶のうちシアヌル酸1モルに対して0.5ないし5モル当量であることを特徴とする請求項1に記載のビウレットの製造方法。 前記(d)工程でアルカリ水溶液を加える温度は、50ないし105℃であることを特徴とする請求項1に記載のビウレットの製造方法。 前記(e)工程で溶解物の冷却は、5ないし40℃の温度で行われることを特徴とする請求項1に記載のビウレットの製造方法。 (a)尿素を溶融させる工程と、 (b)前記溶融された尿素を加熱して熱分解反応させる工程と、 (c)前記熱分解反応によって生成された生成物に水を添加して冷却した後に結晶を析出させ、この結晶を濾過してクルードビウレット結晶を得る工程と、 (d)前記クルードビウレット結晶を、アルカリ水溶液を利用して溶解させる工程と、 (e)前記溶解物を冷却させてビウレット結晶を析出させる工程と、 (f)前記ビウレット結晶を濾過及び水洗する工程と、 (g)前記(f)工程で得た濾過液を酸で中和してシアヌル酸結晶を析出させる工程と、 (h)前記シアヌル酸結晶を含むスラリーを濾過及び水洗してシアヌル酸結晶を回収する工程と、を含むことを特徴とするシアヌル酸の製造方法 前記(g)の酸は、有機酸または無機酸であることを特徴とする請求項12に記載のシアヌル酸の製造方法。 (1)尿素を溶融させるための尿素溶融槽と、 (2)前記尿素溶融槽から移送された尿素を加熱して尿素を熱分解反応させる熱分解反応槽と、 (3)前記熱分解反応槽で生成された生成物を移送されて水を添加した後に冷却して結晶を析出させるための第1析出槽と、 (4)前記第1析出槽から移送された結晶を含むスラリーを濾過及び水洗いしてクルードビウレット結晶を得るための第1濾過及び水洗装置と、 (5)前記クルードビウレット結晶を移送されて、前記クルードビウレット結晶にアルカリ水溶液を加えて、これを溶解させるための溶融槽と、 (6)前記溶融槽から移送された溶液を冷却してビウレット結晶を形成させるための第2析出槽と、 (7)前記精製されたビウレット結晶を含むスラリーを移送されて濾過し、かつ水洗いするための第2濾過及び水洗装置と、 を備えることを特徴とするビウレットの製造装置。 前記(2)の熱分解反応槽で生成されたアンモニアガス及びシアン酸ガスを捕集して前記(1)の尿素溶融槽に再供給する装置をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載のビウレットの製造装置。 前記(2)の熱分解反応槽は、バッチ式反応器または複数の反応器が直列に連結された連続式反応器であることを特徴とする請求項14に記載のビウレットの製造装置。 前記(4)の第1濾過装置で得た濾過液を移送されて水を蒸発させた後、前記(1)の尿素溶融槽に再投入する装置をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載のビウレットの製造装置。 前記(5)のアルカリ水溶液は、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液であることを特徴とする請求項14に記載のビウレットの製造装置。 (1)尿素を溶融させるための尿素溶融槽と、 (2)前記尿素溶融槽から移送された尿素を加熱して尿素を熱分解反応させる熱分解反応槽と、 (3)前記熱分解反応槽で生成された生成物を移送されて水を添加した後に冷却して結晶を析出させるための第1析出槽と、 (4)前記第1析出槽から移送された結晶を含むスラリーを濾過してクルードビウレット結晶を得るための第1濾過及び水洗装置と、 (5)前記クルードビウレット結晶を移送されて前記クルードビウレット結晶にアルカリ水溶液を加えてこれを溶解させるための溶融槽と、 (6)前記溶融槽から移送された溶液を冷却してビウレット結晶を形成させるための第2析出槽と、 (7)前記精製されたビウレット結晶を含むスラリーを移送されて濾過して水洗するための第2濾過及び水洗装置と、 (8)前記(7)の第2濾過及び水洗装置から移送された濾過液を酸で中和してシアヌル酸結晶を析出させる中和装置と、 (9)前記得られたシアヌル酸結晶を含むスラリーを移送されて濾過して水洗してシアヌル酸結晶を回収する第3濾過及び水洗装置と、 を備えることを特徴とするシアヌル酸の製造装置。 【課題】ビウレット及びシアヌル酸の製造方法及び製造装置を提供する。【解決手段】熱分解反応によって生成された生成物を冷却して結晶で析出させ、析出された結晶をアルカリ水溶液で溶解した後に冷却させることによって、純度の高いビウレットを製造する方法及びその装置を提供する。また、熱分解反応の副産物であるシアヌル酸を高純度で効果的に回収する方法及びその製造装置を提供する。本発明では、尿素の熱分解反応によって生成されたクルードビウレット結晶をアルカリ水溶液を利用して溶解させるので、簡単な方法で低コストで高純度のビウレット及びシアヌル酸を生成できる。【選択図】図1


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