タイトル: | 公開特許公報(A)_肝機能障害改善用貼付剤 |
出願番号: | 2007190842 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 36/18,A61K 9/70,A61P 1/16,A61P 31/14,A61P 31/20,A61P 39/02 |
南 昇竜 渡辺 丈志 小筆 芳明 JP 2009023976 公開特許公報(A) 20090205 2007190842 20070723 肝機能障害改善用貼付剤 森山 雅美 501369617 草間 攻 100083301 南 昇竜 渡辺 丈志 小筆 芳明 A61K 36/18 20060101AFI20090109BHJP A61K 9/70 20060101ALI20090109BHJP A61P 1/16 20060101ALI20090109BHJP A61P 31/14 20060101ALI20090109BHJP A61P 31/20 20060101ALI20090109BHJP A61P 39/02 20060101ALI20090109BHJP JPA61K35/78 CA61K9/70 401A61P1/16A61P31/14A61P31/20A61P39/02 5 OL 7 4C076 4C088 4C076AA72 4C076BB31 4C076CC16 4C076CC35 4C076EE09A 4C088AB32 4C088AC05 4C088BA08 4C088CA03 4C088MA32 4C088MA63 4C088NA14 4C088ZA75 4C088ZB33 4C088ZC37 本発明は、肝機能障害改善用貼付剤に係わり、特にキンポウゲ科、センニンソウ属のつる性多年草植物の生葉から得られる生薬汁を利用した肝機能障害改善用貼付剤に関する。 キンポウゲ科、センニンソウ属のつる性多年草植物である仙人草(Clematis terniflora DC.)は、北海道から九州までの全国地域や朝鮮半島、台湾、中国中部の比較的標高の高い地域に分布する植物である。この植物の葉は3〜7枚の小葉の羽状複葉であり、秋ごろ、きれいな真っ白な4弁の花を咲かせ、白毛のある果実を結び、実の先端につく白い羽毛状のものを仙人のひげに見立てたことから仙人草と称されている。 仙人草自体は毒草の部類に分類されており、有毒植物のために、馬が食べないところから、別名「馬食わず(うまくわず)」とも称されている。 生薬成分としてプロトアネモニンが含有され、根の部分にはサポニン類が含有されていることが判明しており、根は鎮痛等(神経痛、リウマチ、痛風、筋肉痛、腰痛)に煎用されており、また、外用として神経痛、偏頭腺に用いられている。 有毒植物としての有毒部分は、葉並びに茎の液汁であるとされ、液汁が皮膚に付くと火膨れ状の皮膚炎を起こし、誤って食べると胃腸炎を起こすことが知られている。 したがって、日本では、漢方の生薬として、利用されていない植物である。 ところで、古くから、仙人草の生茎・葉部分は、皮膚引赤、発泡するが、扁桃炎に生葉を揉んで手首の内側に貼り付け一昼夜位そのまま放置すると、水疱状の塊が生じ、その中に貯まった体液を取り除くことで、扁桃炎の痛みが取れる等の民間薬として利用されている(非特許文献1)。 この民間療法による仙人草による扁桃炎の治療は、医学的な根拠は不明であり、その解明もなされていないが、結果的にはかなり有効な治療法であるとされており、日本の特定地方ではかなり古くから、広く行われている民間療法である。 本発明者等は、この仙人草による扁桃炎治療の民間療法についてその医学的根拠を検討しているなかで、かかる仙人草による治療が、肝機能障害を改善することを見出した。 どのようなメカニズムで作用するかは不明であるが、特に、GOT、GPT値が高値を示すB型肝炎、C型肝炎、慢性肝炎、肝硬変、薬剤肝障害或いはアルコール性肝障害等を始めとする肝機能障害を有効に治療することを確認した。仙人草、扁桃炎に関するインターネット情報 したがって本発明は、この仙人草の生薬に基づく肝機能障害改善用剤、特にキンポウゲ科、センニンソウ属のつる性多年草植物の生葉から得られる生薬汁を利用した肝機能障害改善用剤を提供することを課題とする。 かかる課題を解決するべく本発明者等は種々検討した結果、民間治療として行われている仙人草の生葉を揉んで手首の内側に貼り付ける点を、生薬の生薬汁、すなわち搾汁を前もって繊維層に染みこませた貼付剤形態のものとすることで、極めて簡便に皮膚に適用しうることを確認し、本発明を完成させるに至った。 而して、かかる課題を解決するための本発明は、その基本的態様として、キンポウゲ科、センニンソウ属のつる性多年草植物の生葉から得られる生薬汁を含有する繊維層を設けたパッチ剤からなることを特徴とする肝機能障害改善貼付剤である。 具体的には、本発明は、キンポウゲ科、センニンソウ属のつる性多年草植物が、仙人草(Clematis terniflora DC.)である前記1に記載の肝機能障害改善貼付剤である。 より具体的には、本発明は生薬汁が、生葉の搾汁であることを特徴とする前記1又は2に記載の肝機能障害改善貼付剤である。 本発明にあっては、かかる肝機能障害改善貼付剤を例えば、腕内側の手首付近の皮膚に貼付し、その後30分〜2時間程度で皮膚刺激感が感じた段階で貼付剤を取り除き、貼付部位を保護することから、かかる保護用の貼付剤をセットとして提供するのがよい。 したがって、本発明は、好ましい態様として、生薬汁を含有しない保護用の繊維層を設けたパッチ剤のセットからなることを特徴とする上記1〜3に記載の肝機能障害改善貼付剤でもある。 本発明による肝機能障害の改善は、特に肝機能障害が、B型肝炎、C型肝炎、慢性肝炎、肝硬変、薬剤肝障害、アルコール性肝障害に対して有効なものであることが判明した。 したがって、かかる本発明の肝機能障害改善貼付剤は、肝機能障害が、B型肝炎、C型肝炎、慢性肝炎、肝硬変、薬剤肝障害、アルコール性肝障害に対して使用されるものである。 本発明が提供する肝機能障害改善貼付剤は、特にキンポウゲ科、センニンソウ属のつる性多年草植物の生葉から得られる生薬汁、すなわち搾汁、なかでも仙人草の搾汁を含有する繊維層を設けたパッチ剤からなることを特徴とする肝機能障害改善貼付剤である。 その医学的根拠は正式には解明されていないものの、本発明の貼付剤を皮膚に貼付し、その貼付部位に局所的に炎症を形成させ、それに対する生体の防御反応として生じる水疱状の塊に貯まった体液を取り除くことで、肝機能障害か著しく改善されるものであり、薬剤投与によることのない治療法として、安全性の高い肝機能障害改善用剤である。 本発明が提供する肝機能障害改善用剤は、肝障害の程度が悪化している患者に対して特に有効なものであり、難治性の肝障害を改善する点で、極めて応用性のある肝機能障害改善用剤が提供される利点を有している。 以下に、本発明の肝機能障害改善用剤について、その具体的使用例を記載しながら、詳細に説明して行く。 本発明は、上記した如く、キンポウゲ科、センニンソウ属のつる性多年草植物の生葉から得られる生薬汁、すなわち搾汁、なかでも仙人草の搾汁を含有する繊維層を設けたパッチ剤からなることを特徴とする肝機能障害改善貼付剤である。 キンポウゲ科、センニンソウ属のつる性多年草植物である仙人草(Clematis terniflora DC.)は、日本全国の北海道から九州までの比較的標高の高い地域に分布する植物であり、生薬成分としてプロトアネモニンが含有され、根の部分にはサポニン類が含有されていることが判明している。 有害植物であり、葉並びに茎の液汁が皮膚に付くと火膨れ状の皮膚炎を起こすことが知られているが、民間治療としてこの皮膚炎を応用し、生葉を揉んで手首の内側に貼り付けてそのまま放置すると、水疱状の塊が生じ、その中に貯まった体液を取り除くことで、扁桃炎の痛みが取れる民間療法が行われている。 本発明の肝機能障害改善用剤にあっても、基本的にはかかる仙人草の搾汁を用いた民間療法を応用したものである。 したがって、本発明の肝機能障害改善用貼付剤は、例えば、仙人草の搾汁を含有する繊維層を設けたパッチ剤からなることを特徴とする肝機能障害改善貼付剤として提供され、かかる貼付剤を、腕内側の手首付近の皮膚に貼付し、その後30分〜2時間程度で皮膚刺激感が感じた段階で貼付剤を取り除き、貼付部位に形成される水疱状の塊に貯まった体液を取り除くことで、肝機能障害を改善することとなる。 この仙人草の搾汁を含有する繊維層を設けたパッチ剤としては、例えば、一般的に市販されているバンドエイド(登録商標)のガーゼ(繊維層)部分に仙人草の搾汁を染み込ませ、そのガーゼ(繊維層)部分をうえから、剥離紙等により保護することで、肝機能障害改善用貼付剤とすることができる。 ガーゼ(繊維層)部分に染み込ませる仙人草の搾汁は、たとえは、仙人草の生葉を乳鉢等に入れ、乳棒にて押しつぶすようにして得ることができ、かかる搾汁を適当量繊維層に染み込ませればよい。 なお、搾汁の調製はこれに限定されず、一般的な生薬の搾汁液を調製する方法を適宜応用して行うことができる。 また、本発明の肝機能障害改善用貼付剤としては、何も市販されているバンドエイド(登録商標)の形態に限定されるものではなく、一般的な粘着層としてアクリル系樹脂を用いたパッチ剤に繊維層を積層させ、20〜50mm程度の大きさを有する正方形、或いは長方形の貼付剤として調製することができる。 なお、仙人草の搾汁を染み込ませた繊維層部分を合成樹脂シートからなる剥離シートで被覆することは、繊維層部分に染み込んだ仙人草の搾汁液の乾燥を回避するために必要なものである。 かくして調製された本発明の肝機能障害改善用貼付剤は、具体的には以下のようにして使用され、肝機能障害が改善される。 すなわち、本発明の上記した肝機能障害改善用貼付剤における剥離シートを剥離し、腕内側の手首付近の皮膚に貼付する。 貼付した後、個人差はあるものの、およそ30分〜2時間程度で貼付部分の皮膚に刺すような刺激感が感じられる。 この段階で貼付剤を取り除くと貼付部分が局所的に炎症を起こし、赤く発疹が生じていることが判明する。 次いで、貼付部分における炎症を保護するためにガーゼ等で軽く被覆する。貼付後翌日になると、貼付部位に、やけどのような水疱ができてくる。この水疱はなるべく潰さないようガーゼ等で軽く被覆するが、水疱自体が極端に大きくなり、水が溜まってしまった場合はその水疱内の体液を除去し、その後は、普通のやけどの治療と同様に軟膏などを塗布し、ガーゼなどを当てて治療部分を保護して、傷の治癒を行えばよい。 この保護のために、本発明にあっては、仙人草の搾汁を繊維層に染み込ませた貼付剤と、保護用のガーゼ等の繊維層のみを設けた貼付剤のセットとして提供されることが好ましい。 かかる治療処理を行うことにより、処理前の肝機能検査であるGOT、GPT値が高値であった、例えばB型肝炎、C型肝炎、慢性肝炎、肝硬変、薬剤肝障害、アルコール性肝障害を有する患者のGOT、GPT値が有意に低下し、肝障害が改善されるのである。 その医学的根拠は、今後の解明を待つこととなるが、細胞障害性リンパ球や炎症性の細胞、液性因子の均一、肝臓からの移行、ホーミングなどによるものであろうと推定されるが、現在研究中である。 すなわち、正確な医学的な理論は不明なものの、統計学的に、本発明の肝機能障害改善用貼付剤を用いて上記の処理を行った肝機能障害患者では、略80%の有効率で肝機能障害が改善されていた。 以下本発明を、具体的実施例、使用例を記載し、更に詳細に説明する。実施例:肝機能障害改善用貼付剤の調製 仙人草から採取した葉(10〜15枚)を乳鉢に入れ、乳棒で押しつぶすようにして搾汁液を調製した。 一方、アクリル系樹脂からなる粘着層を積層させた貼付剤に更に不織布からなる繊維層を積層させ、該不織布層に上記で得た搾汁をスポイトにより染み込ませ、その上からエンボス加工を施した剥離フィルムを展張した後裁断を行い、20×20mmからなる本発明の肝機能障害改善用貼付剤を調製した。試験例: 上記で調製した肝機能障害改善用貼付剤を用いて、以下の試験を行った。 インフォームドコンセントを行った後、GOT、GPT値が高値である肝機能障害患者(男性:年齢30〜57歳:7名)を被験者とし、その両腕の内側手首付近の皮膚に、上記の実施例で調製した貼付剤を貼付した。 貼付後、30分〜2時間程度で貼付部分の皮膚に刺すような刺激感が感じられた段階で貼付剤を取り除き、貼付部分が、赤く発疹が生じていることを確認した後、貼付部分を保護するためにガーゼにて軽く被覆した。 なお、貼付部位に痒み感が発生するが、その痒みを紛らわせる等の行為をせず、そのままの状態で放置した。 貼付後翌日に貼付部位に、やけどのような水疱が発生した。その後水疱はかなり大きなものとなり、直径が略15〜30mm程度までになった。なお、水疱内部には黄色の粘着性の体液が詰まっていた。 水疱をメスにより切除し、貯まった体液を除去したのち、傷口をガーゼでカバーして治癒を行った。 傷口の治癒が完了した時点で、被験者の血液を採取し、肝機能検査を行った。 その結果、当初高値を示していた肝機能検査値が低値に推移し、肝機能の改善が行われていることが判明した。γ−GTPが正常化した例もあった。 試験対象被験者各人の肝機能値の推移を下記表1にまとめた。 表中に示した肝機能値(GPT、GOT)の推移から判明するように、本発明の肝機能障害改善用貼付剤を用いて治療処置を行った結果、肝機能が著しく改善していることが理解される。 以上記載のように、本発明の肝機能障害改善用貼付剤は、肝障害の程度が悪化している患者に対して特に有効なものであり、難治性の肝障害を改善する点で、極めて応用性のある肝機能障害改善用剤が提供される。 キンポウゲ科、センニンソウ属のつる性多年草植物の生葉から得られる生薬汁を含有する繊維層を設けたパッチ剤からなることを特徴とする肝機能障害改善貼付剤。 キンポウゲ科、センニンソウ属のつる性多年草植物が、仙人草(Clematis terniflora DC.)である請求項1に記載の肝機能障害改善貼付剤。 生薬汁が、生葉の搾汁であることを特徴とする請求項1又は2に記載の肝機能障害改善貼付剤。 生薬汁を含有しない保護用の繊維層を設けたパッチ剤のセットからなることを特徴とする請求項1〜3に記載の肝機能障害改善貼付剤。 肝機能障害が、B型肝炎、C型肝炎、慢性肝炎、肝硬変、薬剤肝障害、アルコール性肝障害から選択されるものである請求項1〜4に記載の肝機能障害改善貼付剤。 【課題】キンポウゲ科、センニンソウ属のつる性多年草植物の生葉から得られる生薬汁を利用した肝機能障害改善用剤を提供すること。【解決手段】キンポウゲ科、センニンソウ属のつる性多年草植物の生葉から得られる生薬汁を含有する繊維層を設けたパッチ剤からなることを特徴とする肝機能障害改善貼付剤であり、具体的には、キンポウゲ科、センニンソウ属のつる性多年草植物が、仙人草(Clematis terniflora DC.)であり、生薬汁が、生葉の搾汁である肝機能障害改善貼付剤である。【選択図】なし