タイトル: | 公開特許公報(A)_ビシクロヘキシルの製造方法 |
出願番号: | 2007177090 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 7/12,H01L 21/027,C07C 13/38 |
古川 泰一 岸田 高典 山田 欣司 JP 2009013120 公開特許公報(A) 20090122 2007177090 20070705 ビシクロヘキシルの製造方法 JSR株式会社 000004178 和気 操 100100251 古川 泰一 岸田 高典 山田 欣司 C07C 7/12 20060101AFI20081219BHJP H01L 21/027 20060101ALI20081219BHJP C07C 13/38 20060101ALI20081219BHJP JPC07C7/12H01L21/30 515DC07C13/38 3 OL 7 4H006 5F046 4H006AA02 4H006AB92 4H006AD17 5F046DA07 5F046DA30 本発明はビシクロヘキシルの製造方法に関し、特に液浸露光装置または液浸露光方法に用いるために吸光度を低下させることができる製造方法に関する。 半導体素子等を製造するのに際し、フォトマスクとしてのレチクルのパターンを投影光学系を介して、フォトレジストが塗布されたウエハ上の各ショット領域に転写するステッパー型、またはステップアンドスキャン方式の投影露光装置が使用されている。 投影露光装置に備えられている投影光学系の解像度の理論限界値は、使用する露光波長が短く、投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、集積回路の微細化に伴い投影露光装置で使用される放射線の波長である露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大してきている。 このように、半導体素子等の製造分野においては、従来、露光光源の短波長化、開口数の増大により集積回路の微細化要求に応えてきており、現在では露光光源としてArFエキシマレーザ(波長193nm)を用いた1L1S(1:1ラインアンドスペース)ハーフピッチ90nmノードの量産化が検討されている。しかしながら、更に微細化が進んだ次世代のハーフピッチ65nmノードあるいは45nmノードについてはArFエキシマレーザの使用のみによる達成は困難であるといわれている。そこで、これらの次世代技術についてはF2エキシマレーザ(波長157nm)、EUV(波長13nm)等の短波長光源の使用が検討されている。しかしながら、これらの光源の使用については技術的難易度が高く、現状ではまだ使用が困難な状況にある。 ところで、上記の露光技術においては、露光されるウエハ表面にはフォトレジスト膜が形成されており、このフォトレジスト膜にパターンが転写される。従来の投影露光装置では、ウエハが配置される空間は屈折率が1の空気または窒素で満たされている。 屈折率nの液体を投影露光装置のレンズとウエハの間に満たし、適当な光学系を設定することにより、解像度の限界値および焦点深度をそれぞれn分の1、n倍にすることが理論的に可能である。例えば、ArFプロセスで、レンズとウエハの間に満たす液体として水を使用すると波長193nmの光の水中での屈折率nはn=1.44であるから、空気または窒素を媒体とする露光時と比較し、解像度が69.4%、焦点深度が144%となる光学系の設計が理論上可能となる。 このように露光するための放射線の実効波長を短波長化し、より微細なパターンを転写できる投影露光する方法を液浸露光といい、今後のリソグラフィーの微細化、特に数10nm単位のリソグラフィーには、必須の技術と考えられている。 本願出願人は、液浸露光方法において、従来の純水よりも屈折率が大きく、優れた透過性を有し、フォトレジスト膜あるいはその上層膜成分(とりわけ親水性成分)の溶出や溶解を防ぎ、レンズを浸食せずレジストパターンの生成時の欠陥を抑えることができ、液浸用液体として使用した場合、より解像度および焦点深度の優れたパターンを形成できる液浸露光用液体の提供を目的として、種々の化合物について検討を行なった結果、遠紫外領域における吸収が小さく、液浸露光用液体として好適な高屈折率を有するデカリン、ビシクロヘキシルなどの脂環式飽和炭化水素化合物について出願している(特許文献1)。 しかし、公知の方法で合成され、または市場で入手できるビシクロヘキシルを液浸露光用液体に用いた場合、透過率の不足により、感度低下に伴うスループットの低下、液体の光吸収による液体の発熱による屈折率変動に起因する光学像のデフォーカス、歪み、あるいは光学像のデフォーカスによる解像度、パターン形状の劣化等の問題が生じる場合があった。 このため、脂環式飽和炭化水素化合物には、非常に微量であっても透過率に大きく影響する炭素−炭素不飽和結合または芳香族環を有する化合物、カルボニル基、水酸基等の官能基を有する化合物が不純物として僅かに存在しているためと考えられることから、処理温度の異なる複数の硫酸洗浄処理工程を含み、少なくとも最終硫酸洗浄処理工程の処理温度が該洗浄処理工程より前の処理工程の処理温度よりも低い処理温度で処理することを特徴とする方法を本発明者等は既に提案している(特許文献2)。 また、吸着剤を用いて脂環式飽和炭化水素化合物を精製する方法が開示されている(特許文献3および4)。 しかしながら、上記精製方法であってもビシクロヘキシルの193nmにおける透過率が十分に向上しなかったり、工数が煩雑になったりするという問題がある。例えば特許文献3の方法では193nmにおける透過率を光路長1mmあたり99%以上に高められない。また特許文献4の方法では透過率を高めるのに2種類の吸着剤を使用しなくてはならないという問題がある。WO2005/114711特願2006−329265WO2005/119371WO2006/115268 本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、193nmにおける透過率に優れる液浸露光用液体として好適なビシクロヘキシルの透過率をより向上させることができる製造方法の提供を目的とする。 ビシクロヘキシルに含まれる不純物を効率よく除去することに関して種々の検討を行なった結果、SiO2およびAl2O3を含む酸化物に接触させることにより効率よく極微量の不純物を除去できる。その結果、193nmにおける透過率の高い液浸露光用液体が得られることを見出し発明を完成するに至った。 すなわち、本発明に係るビシクロヘキシルの製造方法は、波長193nmにおける透過率が液体の光路長1mmあたり99%以上であるビシクロヘキシルの製造方法であって、原料ビシクロヘキシルをSiO2およびAl2O3を含む酸化物に接触させる工程を含むことを特徴とする。 また、原料ビシクロヘキシルと接触するSiO2およびAl2O3を含む酸化物が、シリカアルミナおよびゼオライトから選ばれた少なくとも1つの酸化物であることを特徴とする。 また、上記ゼオライトおよびシリカアルミナは、SiO2/Al2O3比が2mol/mol以上300mol/mol以下であることを特徴とする。 本発明の製造方法は、原料ビシクロヘキシルをSiO2およびAl2O3を含む酸化物に接触させることにより、少量の酸化物で効率よく極微量の不純物を除去できる。この製造方法で得られるビシクロヘキシルは、193nmにおける透過率が高い液浸露光用液体となる。この液体を使用することにより、光吸収による発熱を抑えることができ、屈折率変動に起因する光学像のデフォーカス、歪み、あるいは光学像のデフォーカスによる解像度、パターン形状の劣化等の問題を抑えることができる。 本発明の製造方法により製造されるビシクロヘキシルは、波長193nmにおける光の透過率が液体の光路長1mmあたり99%以上である。 光路長1mmあたりの透過率Tと光路長1cmあたりの吸光度Aとの間には、 T(%) = 100 × 10−0.1Aの関係があるので、光路長1mmあたり99%以上の透過率は、光路長1cmあたりの吸光度0.0437以下に相当する。透過率が上記範囲となることにより、光吸収による発熱を抑えることができ、屈折率変動に起因する光学像のデフォーカス、歪み、あるいは光学像のデフォーカスによる解像度、パターン形状の劣化等の問題を抑えることができる。 原料ビシクロヘキシルの精製は、SiO2およびAl2O3を含む酸化物に接触させる工程である。ここで原料ビシクロヘキシルとしては、特に限定されるものではないが、ガスクロマトグラフィー法による純度が99質量%以上であることが好ましく、更に好ましくは99.9質量%以上である。 SiO2およびAl2O3を含む酸化物は、吸着剤としても使用できる物質であり、シリカアルミナ、ゼオライト、またはこれらを組み合わせて得られる酸化物である。シリカアルミナは無定形シリカ・アルミナと称されるものであり、ゼオライトは、結晶性アルミノケイ酸塩と称されるものである。 本発明で使用できる上記SiO2およびAl2O3を含む酸化物は、以下の方法により評価したとき、上記酸化物に接触させた後の吸光度と、上記酸化物に接触させる前のビシクロヘキシルの吸光度との比が1.1以下であれば使用できる。<評価方法> ガラス製容器内に波長193nmにおける液体の光路長1cmあたり0.0437以下のビシクロヘキシル30mlを入れ、このビシクロヘキシル中に1.5gのSiO2およびAl2O3を含む供試酸化物を加えて窒素雰囲気下において、25℃で72時間静置する。酸化物に接触させる前の吸光度(A)と、接触させた後の吸光度(B)とを波長193nmの光で測定し、その吸光度比(B/A)を算出する。 本発明で使用するために、上記SiO2およびAl2O3を含む酸化物は200〜500℃、好ましくは250〜500℃の温度で使用前に焼成することが好ましい。200℃未満の焼成であったり、未焼成であったりする場合は、上記評価の値を達成することができなくなり、酸化物接触後のビシクロヘキシルの透過率は波長193nmにおける液体の光路長1mmあたり99%以上が得られない。 また、ゼオライトの場合、およびシリカアルミナの場合において、SiO2/Al2O3のmol比が2mol/mol以上300mol/mol以下であることが好ましい。酸化物に含まれるシリカ(SiO2)の量が多くなると、ビシクロヘキシルの透過率を向上させることが困難になる。 SiO2およびAl2O3を含む酸化物とビシクロヘキシルとの接触は、例えばバッチ法やカラムクロマトグラフィー法により行なうことができる。 バッチ法で行なう場合、上記酸化物の量はビシクロヘキシル100質量部に対し、1.5〜50質量部、好ましくは1.5〜30質量部、更に好ましくは1.5〜20質量部である。50質量部をこえても精製効果は変わらず、酸化物の使用量が増大するのみで好ましくない、また1.5質量部未満の場合、精製効率が低下する。 カラムクロマトグラフィー法で行なう場合、単数または複数段のいずれとしてもよい。 上述の精製を行なったビシクロヘキシルは純度が99質量%以上に向上する。純度はガスクロマトグラフィー(以下、GCともいう)により測定できる。好ましいGC純度は99.9質量%以上である。 また、レジスト成分とりわけ、揮発性不純物の溶出が少ないため、簡便な方法で回収、精製を行なうことにより、光学特性を再現性よく回復し、再利用することができる。 再利用する場合の精製の方法としては、水洗処理、酸洗浄(硫酸洗浄)、アルカリ洗浄、精密蒸留、適当なフィルター(充填カラム)を用いた精製、ろ過等の方法および、上記に述べた精製法、あるいはこれらの精製法の組み合わせによる方法が挙げられる。この中で、水洗処理、アルカリ洗浄、酸洗浄、精密蒸留、酸化物吸着あるいはこれらの精製法の組み合わせにより精製を行なうのが好ましい。 上記アルカリ洗浄は液浸露光用液体に溶出した露光により発生した酸の除去、酸洗浄は液浸露光用液体に溶出したレジスト中の塩基性成分の除去、水洗処理は液浸露光用液体に溶出したレジスト膜中の光酸発生剤、塩基性添加剤、露光時に発生した酸等の溶出物の除去に対して有効である。 本発明で開示したビシクロヘキシルの製造方法は上記回収、精製においても有効であり、本方法により、樹脂中の酸解離性保護基の分解または、液体への放射線の照射により生じる光反応生成物である炭素、炭素不飽和結合を有する不純物の除去を有効にできるため、透過率の変動を防ぐことが可能である。 なお、精製時において精密蒸留を行なうことができる。精密蒸留は、上記添加剤のうち低揮発性の化合物の除去に対して有効な他、露光時にレジスト中の保護基の分解により発生する疎水性成分を除去するのに有効である。 フォトレジスト膜、または液浸用上層膜が形成されたフォトレジスト膜に本発明のビシクロヘキシルを媒体として、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射し、次いで現像することにより、レジストパターンを形成することができる。 液浸露光に用いられる放射線は、使用されるフォトレジスト膜およびフォトレジスト膜と液浸用上層膜との組み合わせに応じて、例えば可視光線;g線、i線等の紫外線;エキシマレーザ等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;電子線等の荷電粒子線の如き各種放射線を選択使用することができる。特にArFエキシマレーザ(波長193nm)あるいはKrFエキシマレーザ(波長248nm)が好ましい。 以下に実施例を示す。なお、吸光度は0.5ppm以下に管理した窒素雰囲気のグローブボックス中でポリテトラフルオロエチレン製蓋付の光路長1cmおよび2cmのセルに液体のサンプリングを行ない、日本分光社製JASCO−V7100を用いて、上記液体の入ったセルをサンプル、空気をリファレンスとして吸光度を測定し、両者の差を1cmあたりの吸光度とした。この値を元にランベルトベールの法則により1mmあたりの透過率を算出した。サンプルの透過光強度をl0、リファレンスの透過光強度をlとすると、吸光度はlog10(l0/l)で示される。各実施例で示す表中の値はセルの反射を計算により補正した値である。 SiO2およびAl2O3を含む酸化物は以下のものを使用した。各酸化物は500℃で3時間焼成後に使用した。シリカゲル、アルミナ、ムライト、カオリンは比較例として使用した。 ゼオライト−1:東ソー社製、HSZ−341NHA ゼオライト−2:東ソー社製、HSZ−690HOA ゼオライト−3:東ソー社製、A−4 ゼオライト−4:東ソー社製、F−9 ゼオライト−5:東ソー社製、HSZ−390HUA シリカアルミナ−1:日揮化学社製、N632L シリカアルミナ−2:日揮化学社製、N633HN シリカゲル:和光純薬社製、ワコーゲル C−200 アルミナ:住友化学社製、KHD−12実施例1〜6および比較例1〜5 GC純度が99.9質量%、193nmにおける1mmあたりの透過率が72%のビシクロヘキシル30mlに対して、表1に示す酸化物1.5gを用いて吸着ろ過し、さらに同種類の酸化物1.5gを用いて吸着ろ過後に透過率を測定した。透過率測定方法は、日本分光社製JASCO-V7100を用いる上述した方法で行なった。各酸化物の特性と精製結果を表1に示す。 実施例1〜6および比較例1〜2より、SiO2およびAl2O3を含む酸化物で処理することにより、透過率99%/mm以上のビシクロヘキシルを得ることができる。 また、実施例1〜4および比較例3より、ゼオライトを用いる処理に関しては、SiO2/Al2O3比が2mol/mol以上300mol/mol以下のときに、透過率99%/mm以上のビシクロヘキシルを得ることができる。 また、実施例5および6より、シリカアルミナを用いる処理に関しては、SiO2/Al2O3比が2mol/mol以上のときに、透過率99%/mm以上のビシクロヘキシルを得ることができる。 本発明のビシクロヘキシルの製造方法は、原料ビシクロヘキシルをSiO2およびAl2O3を含む酸化物に接触させることにより、193nmにおける透過率が高い液浸露光用ビシクロヘキシルとなる。そのため、今後更に微細化が進行すると予想される半導体デバイスの製造に必須の技術である液浸露光に用いられる液体として極めて好適に使用することができる。 波長193nmにおける透過率が液体の光路長1mmあたり99%以上であるビシクロヘキシルの製造方法であって、 原料ビシクロヘキシルをSiO2およびAl2O3を含む酸化物に接触させる工程を含むことを特徴とするビシクロヘキシルの製造方法。 前記SiO2およびAl2O3を含む酸化物は、シリカアルミナおよびゼオライトから選ばれた少なくとも1つの酸化物であることを特徴とする請求項1記載のビシクロヘキシルの製造方法。 前記ゼオライトおよびシリカアルミナにおいて、SiO2/Al2O3比が2mol/mol以上300mol/mol以下であることを特徴とする請求項2記載のビシクロヘキシルの製造方法。 【課題】193nmにおける透過性に優れる液浸露光用液体として好適なビシクロヘキシルの吸光度をより低下させることができる。【解決手段】波長193nmにおける透過率が液体の光路長1mmあたり99%以上であるビシクロヘキシルの製造方法であって、原料ビシクロヘキシルをSiO2およびAl2O3を含む酸化物に接触させる工程を含み、この原料ビシクロヘキシルと接触するSiO2およびAl2O3を含む酸化物がシリカアルミナおよびゼオライトから選ばれた少なくとも1つの酸化物であり、ゼオライトおよびシリカアルミナは、SiO2/Al2O3比が2mol/mol以上300mol/mol以下である。【選択図】なし