生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_2,5−フランジカルボン酸の製造方法
出願番号:2007163711
年次:2009
IPC分類:C07D 307/68,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

三浦 俊成 品川 洋 堀江 仁志 河野 岳信 JP 2009001519 公開特許公報(A) 20090108 2007163711 20070621 2,5−フランジカルボン酸の製造方法 キヤノン株式会社 000001007 宮崎 昭夫 100123788 石橋 政幸 100106138 緒方 雅昭 100127454 三浦 俊成 品川 洋 堀江 仁志 河野 岳信 C07D 307/68 20060101AFI20081205BHJP C07B 61/00 20060101ALN20081205BHJP JPC07D307/68C07B61/00 300 5 OL 8 4C037 4H039 4C037MA01 4H039CA65 本発明は、穏やかな条件で、5−ヒドロキシメチルフルフラール(以下、5−HMFと略す)から効率よく、高収率で2,5−フランジカルボン酸(以下、FDCAと略す)を製造する方法に関する。 FDCAは医薬、農薬、殺虫剤、抗菌剤、香料、高分子材料、その他各種の分野の中間体として利用価値が高く、様々な製造方法について検討されている。 そのうちの一つとして、5−HMFを触媒存在下における酸化によりFDCAを得る製造方法が検討されている。例えば、5−HMFから、アルカリ性水溶液中で活性炭担持白金触媒および酸化銀酸化銅触媒存在下、常温で酸素バブリングを行い選択的に酸化してFDCAを得る方法が報告されている(特許文献1)。しかしながら、上記特許文献1に記載の方法は、白金がアルカリ水溶液中で徐々に溶解するため、白金の回収においてロスが避けられない欠点や触媒活性が低下する欠点等があった。また、白金は埋蔵量が少ない貴金属であるため、工業的生産への適用には問題があった。 一方、不均一触媒のルテニウム(Ru)、コバルト(Co)及びセリウム(Ce)を主成分とする触媒を利用し、アルコールを対応するカルボニル化合物に酸化する方法が報告されている(非特許文献1)。この方法では、ベンゾトリフルオリドを溶媒として使用し、60℃で空気バブリングを行うことにより収率良く酸化する方法である。非特許文献1では、触媒の再利用についても記載されている。しかしながら、非特許文献1の製造方法では、ベンゾトリフルオリドに溶解しない基質は酸化不可能である。5−HMFはベンゾトリフルオリドに溶解しないので、非特許文献1に記載の方法でFDCAを製造するのは困難であった。米国特許3,326,944Tetrahedron Letters 43巻 (2002年) 7179ページ−7183ページ 本発明の課題は、簡単に効率よく高収率で5−HMFからFDCAを製造する方法を提供することにある。また、再利用が可能で資源を有効に利用することができる触媒を用いたFDCAの製造方法を提供することにある。 本発明者らは、5−HMFからFDCAを製造できる方法について鋭意研究した。その結果、水中でルテニウム、コバルト及びセリウムを主成分とする触媒を用い、加熱条件及び加圧条件下で、5−HMFからFDCAを高収率で得ることが出来る事を見出した。 そこで、本発明に係るFDCAの製造方法は、 5−HMFを、 (A)ルテニウム、コバルト及びセリウムを主成分とする触媒の存在下、 (B)加熱条件下、 (C)加圧条件下、 (D)水溶液中、 (E)分子状酸素により、酸化することを特徴とする。 本発明に係るFDCAの製造方法は、簡単で効率よく高収率でFDCAを製造することができる。また、本発明に使用する触媒は再利用が可能であり、資源を有効に利用したFDCAの製造ができる。 本発明に係るFDCAの製造方法は、 5−HMFを、 (A)ルテニウム、コバルト及びセリウムを主成分とする触媒の存在下、 (B)加熱条件下、 (C)加圧条件下、 (D)水溶液中、 (E)分子状酸素により、酸化することを特徴とする。 ここで、FDCAは以下の化学式で表されるものである。 また、本発明に係る反応により得られるFDCA以外のフラン環化合物としては、ヒドロキシメチルフロ酸、2,5−ジホルミルフラン(DFF)、5−ホルミルフラン−2−カルボン酸(CFF)等が挙げられ、以下にその化学式を示す。 5−HMFは、フルクトースやグルコースを構成単位に持つ糖類を酸性触媒の存在下で加熱脱水反応させることにより得られるフラン化合物であり、例えば、フルクトース、イヌリン、キクイモ、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ等農作物や、木材、ナフサ由来のもの等を使用することができる。なお、本発明のフラン環化合物の製造方法に用いる5−HMFは、以下の化学式で表されるものである。 本発明に用いる非特許文献1に記載のルテニウム、コバルト及びセリウムを主成分とする触媒は、大気圧酸素下で効果的に各種アルコールをカルボニル化合物に酸化する不均一触媒として知られている。特に一級脂肪族アルコールをカルボン酸に変換する高い活性を有することが知られている。 上記ルテニウムは、例えば、塩化ルテニウム(III)n水和物を材料とすることができる。上記コバルトは、例えば、硝酸コバルト(II)6水和物を材料とすることができる。上記セリウムは、例えば、硝酸セリウム(III)6水和物を材料とすることができる。上記触媒の調製は、例えば、非特許文献1に記載の方法で調製することができる。 上記触媒の使用量は、例えば、5−HMFに対して、質量で0.1倍から10倍が好ましく、1倍から5倍がより好ましい。 本発明に用いる水の使用量は、例えば、5−HMF対して質量で1倍から100倍が好ましく、10倍から50倍がより好ましい。 本発明に用いる分子状酸素は、酸素ガスや酸素を含んだガス、例えば、空気として、反応に供することができる。 本発明における加圧条件としては、反応温度により適宜選択されるが、反応雰囲気の圧力を1MPa〜40MPaとすることが好ましく、5MPa〜20MPaとすることがより好ましく、10MPa〜15MPaとすることがさらに好ましい。1MPa未満では実用的な反応速度が得られない場合がある。一方、40MPaを越える圧力では副反応が促進されるので、FDCAの選択率が低下してしまう場合がある。また、加圧条件は、酸素ガスを容器に封入して圧力を調整することで行うこともできる。 本発明では、このような加圧条件を達成するため、反応装置としてオートクレーブ等の加圧可能な装置内で反応を行うことができる。 本発明における加熱条件としては、例えば、温度を50℃〜200℃とすることが好ましく、60℃〜120℃とすることがより好ましく、70℃〜100℃とすることがさらに好ましい。50℃以上とすることで、5−HMFをFDCAに酸化することができ、200℃以下とすることで、原料の分解を抑えることができる。 なお、上記5−HMF、触媒及び水の混合の順番は、いずれの順番であってもよい。 以下に、本発明のFDCAの製造方法を具体的に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。 (触媒の調製) 本実施例で用いた触媒は非特許文献1に記載された方法と同様に調整した。 まず、炭酸ナトリウム1.42g(キシダ化学特級、純度99.5%)と水酸化ナトリウム1.93g(キシダ化学特級、純度96%)を蒸留水に溶解し、30mlとした。その溶液に、硝酸コバルト(II)6水和物3.03g(キシダ化学特級、純度98%)、硝酸セリウム(III)6水和物2.26g(キシダ化学特級、純度98%)および塩化ルテニウム(III)n水和物0.35g(Ru含有量43.4質量%、キシダ化学化学用)を蒸留水に溶解して20mlとした水溶液をゆっくり加えた。その後、65℃で18時間激しく攪拌した。得られた暗褐色の泥状物をろ過し蒸留水で洗い、110℃で12時間乾燥し、黒色粉末のルテニウム、コバルト及びセリウムを主成分とする触媒を得た。 (分析方法)高速液体クロマトグラフィー(HPLC) (HPLCの測定条件)装置:日本分光株式会社高速液体クロマトグラフカラム:Shodex SUGAR SH1011(1本使用)カラム温度:80℃移動相:3mM 過塩素酸(キシダ化学製の過塩素酸をイオン交換水で希釈したもの)流量:0.6ml/min(0〜20min)、1.4ml/min(20〜35min)検出器:RIリテンションタイム:5−HMF(24.0min)、DFF(26.0min)、CFF(18.0min)、FDCA(14.3min) (試薬)70%過塩素酸:キシダ化学製、特級、500g入り、比重1.675−HMF:アルドリッチ製 (票品)DFF:東京化成工業製CFF:東京化成工業製FDCA:自社製(水で再結晶した物)(1H−MNR。カルボン酸のH:δ=3.37ppm、シングレット。フラン環のH:δ=3.70、トリプレット。溶媒:DMSO−d6) (実施例1) 容量100mlの加熱攪拌装置付オートクレーブに5−HMF1g(7.93mM)、イオン交換水50g及び触媒2gを入れて密閉し、13MPaの酸素ガスを封入した。加熱温度は、70℃、80℃、90℃及び100℃とし、それぞれの温度について反応を行った。 反応後、得られた生成物をHPLCで分析した結果について、表1に示す。結果として、70℃で67Hr反応させた場合のFDCAの生成率が90.9%となり、良好であった。70℃程度の低温の方が、FDCAの生成率が良好であった。 (実施例2) 実施例1と同条件90℃・20時間の反応を繰り返し、触媒のリサイクル回数に対するFDCAの生成率を調査した。触媒の回収は、反応後の液をろ過し、固形分を精製水で洗浄し乾燥することにより行い、回収した触媒を次の実験に供した。なお、反応に用いる5−HMF及びイオン交換水の量は、回収された触媒の質量に応じて調製することとし、それぞれ回収した触媒の質量の0.5倍及び25倍とした。 実験はリサイクル回数4回目まで行った。FDCAの生成率は1回目(新品)=79.3%、2回目(再利用1回目)=77.5%、3回目(再利用2回目)=76.7%、4回目(再利用3回目)=75.1%、5回目(再利用4回目)=74.9%となり、リサイクル性能は良好であった。 使用前及び使用後の触媒の元素分析結果を表2に示す。使用後ではCe及びRu成分が増加していた。この理由としては、OまたはOHが酸化反応により減少したため、Ce及びRu成分が相対的に増加したものと考えられる。結果より、特に著しい元素組成の変化は認められなかった。 (比較例1) 100ml丸底フラスコに実施例1と同様の5−HMF、触媒、水を入れた。さらに、その溶液を水酸化ナトリウムを用いてpH=12に調整し、空気を毎分2リットルでバブリングし、室温で16時間反応を行った。結果は、表3に示すように、FDCAの生成率は低く、原料、中間体の残存が多かった。つまり、加圧をしなければ反応が効率的に進まないことがわかった。なお、本比較例では水酸化ナトリウムを添加しているが、水酸化ナトリウムを添加しなければ全く反応は進行しないことが確認されている。 5−ヒドロキシメチルフルフラールを、(A)ルテニウム、コバルト及びセリウムを主成分とする触媒の存在下、(B)加熱条件下、(C)加圧条件下、(D)水溶液中、(E)分子状酸素により、酸化することを特徴とする2,5−フランジカルボン酸の製造方法。 前記触媒が、硝酸コバルト(II)6水和物、硝酸セリウム(III)6水和物及び塩化ルテニウム(III)n水和物より調製した触媒であることを特徴とする請求項1に記載の2,5−フランジカルボン酸の製造方法。 前記加熱条件が、温度を70℃〜100℃とする条件であることを特徴とする請求項1又は2に記載の2,5−フランジカルボン酸の製造方法。 前記加圧条件が、反応雰囲気の圧力を1MPa〜40MPaとする条件であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの請求項に記載の2,5−フランジカルボン酸の製造方法。 前記加圧条件が、分子状酸素を用いて反応雰囲気の圧力を1MPa〜40MPaとする条件であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの請求項に記載の2,5−フランジカルボン酸の製造方法。 【課題】本発明の課題は、簡単に効率よく高収率で5−ヒドロキシメチルフルフラールから2,5−フランジカルボン酸を製造する方法を提供することにある。また、触媒の再利用が可能で、資源を有効に利用することが可能な製造方法を提供することにある。【解決手段】そこで、本発明に係る2,5−フランジカルボン酸の製造方法は、5−ヒドロキシメチルフルフラールを、(A)ルテニウム、コバルト及びセリウムを主成分とする触媒の存在下、(B)加熱条件下、(C)加圧条件下、(D)水溶液中、(E)分子状酸素により、酸化することを特徴とする。【選択図】なし


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特許公報(B2)_2,5−フランジカルボン酸の製造方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_2,5−フランジカルボン酸の製造方法
出願番号:2007163711
年次:2013
IPC分類:C07D 307/68,C07B 61/00


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三浦 俊成 品川 洋 堀江 仁志 河野 岳信 JP 5147309 特許公報(B2) 20121207 2007163711 20070621 2,5−フランジカルボン酸の製造方法 キヤノン株式会社 000001007 宮崎 昭夫 100123788 石橋 政幸 100106138 緒方 雅昭 100127454 三浦 俊成 品川 洋 堀江 仁志 河野 岳信 20130220 C07D 307/68 20060101AFI20130131BHJP C07B 61/00 20060101ALN20130131BHJP JPC07D307/68C07B61/00 300 C07D307/00−307/94 C07B 61/00 CA/REGISTRY(STN) 特表2003−528868(JP,A) 特表平10−505867(JP,A) JI,H. et al,Highly efficient oxidation of alcohols to carbonyl compounds in the presence of molecular oxygen using a novel heterogeneous ruthenium catalyst,Tetrahedron Letters,2002年,Vol.43, No.40,p.7179-7183 5 2009001519 20090108 8 20100621 三上 晶子 本発明は、穏やかな条件で、5−ヒドロキシメチルフルフラール(以下、5−HMFと略す)から効率よく、高収率で2,5−フランジカルボン酸(以下、FDCAと略す)を製造する方法に関する。 FDCAは医薬、農薬、殺虫剤、抗菌剤、香料、高分子材料、その他各種の分野の中間体として利用価値が高く、様々な製造方法について検討されている。 そのうちの一つとして、5−HMFを触媒存在下における酸化によりFDCAを得る製造方法が検討されている。例えば、5−HMFから、アルカリ性水溶液中で活性炭担持白金触媒および酸化銀酸化銅触媒存在下、常温で酸素バブリングを行い選択的に酸化してFDCAを得る方法が報告されている(特許文献1)。しかしながら、上記特許文献1に記載の方法は、白金がアルカリ水溶液中で徐々に溶解するため、白金の回収においてロスが避けられない欠点や触媒活性が低下する欠点等があった。また、白金は埋蔵量が少ない貴金属であるため、工業的生産への適用には問題があった。 一方、不均一触媒のルテニウム(Ru)、コバルト(Co)及びセリウム(Ce)を主成分とする触媒を利用し、アルコールを対応するカルボニル化合物に酸化する方法が報告されている(非特許文献1)。この方法では、ベンゾトリフルオリドを溶媒として使用し、60℃で空気バブリングを行うことにより収率良く酸化する方法である。非特許文献1では、触媒の再利用についても記載されている。しかしながら、非特許文献1の製造方法では、ベンゾトリフルオリドに溶解しない基質は酸化不可能である。5−HMFはベンゾトリフルオリドに溶解しないので、非特許文献1に記載の方法でFDCAを製造するのは困難であった。米国特許3,326,944Tetrahedron Letters 43巻 (2002年) 7179ページ−7183ページ 本発明の課題は、簡単に効率よく高収率で5−HMFからFDCAを製造する方法を提供することにある。また、再利用が可能で資源を有効に利用することができる触媒を用いたFDCAの製造方法を提供することにある。 本発明者らは、5−HMFからFDCAを製造できる方法について鋭意研究した。その結果、水中でルテニウム、コバルト及びセリウムを主成分とする触媒を用い、加熱条件及び加圧条件下で、5−HMFからFDCAを高収率で得ることが出来る事を見出した。 そこで、本発明に係るFDCAの製造方法は、 5−HMFを、 (A)ルテニウム、コバルト及びセリウムを主成分とする触媒の存在下、 (B)加熱条件下、 (C)加圧条件下、 (D)水溶液中、 (E)分子状酸素により、酸化することを特徴とする。 本発明に係るFDCAの製造方法は、簡単で効率よく高収率でFDCAを製造することができる。また、本発明に使用する触媒は再利用が可能であり、資源を有効に利用したFDCAの製造ができる。 本発明に係るFDCAの製造方法は、 5−HMFを、 (A)ルテニウム、コバルト及びセリウムを主成分とする触媒の存在下、 (B)加熱条件下、 (C)加圧条件下、 (D)水溶液中、 (E)分子状酸素により、酸化することを特徴とする。 ここで、FDCAは以下の化学式で表されるものである。 また、本発明に係る反応により得られるFDCA以外のフラン環化合物としては、ヒドロキシメチルフロ酸、2,5−ジホルミルフラン(DFF)、5−ホルミルフラン−2−カルボン酸(CFF)等が挙げられ、以下にその化学式を示す。 5−HMFは、フルクトースやグルコースを構成単位に持つ糖類を酸性触媒の存在下で加熱脱水反応させることにより得られるフラン化合物であり、例えば、フルクトース、イヌリン、キクイモ、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ等農作物や、木材、ナフサ由来のもの等を使用することができる。なお、本発明のフラン環化合物の製造方法に用いる5−HMFは、以下の化学式で表されるものである。 本発明に用いる非特許文献1に記載のルテニウム、コバルト及びセリウムを主成分とする触媒は、大気圧酸素下で効果的に各種アルコールをカルボニル化合物に酸化する不均一触媒として知られている。特に一級脂肪族アルコールをカルボン酸に変換する高い活性を有することが知られている。 上記ルテニウムは、例えば、塩化ルテニウム(III)n水和物を材料とすることができる。上記コバルトは、例えば、硝酸コバルト(II)6水和物を材料とすることができる。上記セリウムは、例えば、硝酸セリウム(III)6水和物を材料とすることができる。上記触媒の調製は、例えば、非特許文献1に記載の方法で調製することができる。 上記触媒の使用量は、例えば、5−HMFに対して、質量で0.1倍から10倍が好ましく、1倍から5倍がより好ましい。 本発明に用いる水の使用量は、例えば、5−HMF対して質量で1倍から100倍が好ましく、10倍から50倍がより好ましい。 本発明に用いる分子状酸素は、酸素ガスや酸素を含んだガス、例えば、空気として、反応に供することができる。 本発明における加圧条件としては、反応温度により適宜選択されるが、反応雰囲気の圧力を1MPa〜40MPaとすることが好ましく、5MPa〜20MPaとすることがより好ましく、10MPa〜15MPaとすることがさらに好ましい。1MPa未満では実用的な反応速度が得られない場合がある。一方、40MPaを越える圧力では副反応が促進されるので、FDCAの選択率が低下してしまう場合がある。また、加圧条件は、酸素ガスを容器に封入して圧力を調整することで行うこともできる。 本発明では、このような加圧条件を達成するため、反応装置としてオートクレーブ等の加圧可能な装置内で反応を行うことができる。 本発明における加熱条件としては、例えば、温度を50℃〜200℃とすることが好ましく、60℃〜120℃とすることがより好ましく、70℃〜100℃とすることがさらに好ましい。50℃以上とすることで、5−HMFをFDCAに酸化することができ、200℃以下とすることで、原料の分解を抑えることができる。 なお、上記5−HMF、触媒及び水の混合の順番は、いずれの順番であってもよい。 以下に、本発明のFDCAの製造方法を具体的に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。 (触媒の調製) 本実施例で用いた触媒は非特許文献1に記載された方法と同様に調整した。 まず、炭酸ナトリウム1.42g(キシダ化学特級、純度99.5%)と水酸化ナトリウム1.93g(キシダ化学特級、純度96%)を蒸留水に溶解し、30mlとした。その溶液に、硝酸コバルト(II)6水和物3.03g(キシダ化学特級、純度98%)、硝酸セリウム(III)6水和物2.26g(キシダ化学特級、純度98%)および塩化ルテニウム(III)n水和物0.35g(Ru含有量43.4質量%、キシダ化学化学用)を蒸留水に溶解して20mlとした水溶液をゆっくり加えた。その後、65℃で18時間激しく攪拌した。得られた暗褐色の泥状物をろ過し蒸留水で洗い、110℃で12時間乾燥し、黒色粉末のルテニウム、コバルト及びセリウムを主成分とする触媒を得た。 (分析方法)高速液体クロマトグラフィー(HPLC) (HPLCの測定条件)装置:日本分光株式会社高速液体クロマトグラフカラム:Shodex SUGAR SH1011(1本使用)カラム温度:80℃移動相:3mM 過塩素酸(キシダ化学製の過塩素酸をイオン交換水で希釈したもの)流量:0.6ml/min(0〜20min)、1.4ml/min(20〜35min)検出器:RIリテンションタイム:5−HMF(24.0min)、DFF(26.0min)、CFF(18.0min)、FDCA(14.3min) (試薬)70%過塩素酸:キシダ化学製、特級、500g入り、比重1.675−HMF:アルドリッチ製 (票品)DFF:東京化成工業製CFF:東京化成工業製FDCA:自社製(水で再結晶した物)(1H−MNR。カルボン酸のH:δ=3.37ppm、シングレット。フラン環のH:δ=3.70、トリプレット。溶媒:DMSO−d6) (実施例1) 容量100mlの加熱攪拌装置付オートクレーブに5−HMF1g(7.93mM)、イオン交換水50g及び触媒2gを入れて密閉し、13MPaの酸素ガスを封入した。加熱温度は、70℃、80℃、90℃及び100℃とし、それぞれの温度について反応を行った。 反応後、得られた生成物をHPLCで分析した結果について、表1に示す。結果として、70℃で67Hr反応させた場合のFDCAの生成率が90.9%となり、良好であった。70℃程度の低温の方が、FDCAの生成率が良好であった。 (実施例2) 実施例1と同条件90℃・20時間の反応を繰り返し、触媒のリサイクル回数に対するFDCAの生成率を調査した。触媒の回収は、反応後の液をろ過し、固形分を精製水で洗浄し乾燥することにより行い、回収した触媒を次の実験に供した。なお、反応に用いる5−HMF及びイオン交換水の量は、回収された触媒の質量に応じて調製することとし、それぞれ回収した触媒の質量の0.5倍及び25倍とした。 実験はリサイクル回数4回目まで行った。FDCAの生成率は1回目(新品)=79.3%、2回目(再利用1回目)=77.5%、3回目(再利用2回目)=76.7%、4回目(再利用3回目)=75.1%、5回目(再利用4回目)=74.9%となり、リサイクル性能は良好であった。 使用前及び使用後の触媒の元素分析結果を表2に示す。使用後ではCe及びRu成分が増加していた。この理由としては、OまたはOHが酸化反応により減少したため、Ce及びRu成分が相対的に増加したものと考えられる。結果より、特に著しい元素組成の変化は認められなかった。 (比較例1) 100ml丸底フラスコに実施例1と同様の5−HMF、触媒、水を入れた。さらに、その溶液を水酸化ナトリウムを用いてpH=12に調整し、空気を毎分2リットルでバブリングし、室温で16時間反応を行った。結果は、表3に示すように、FDCAの生成率は低く、原料、中間体の残存が多かった。つまり、加圧をしなければ反応が効率的に進まないことがわかった。なお、本比較例では水酸化ナトリウムを添加しているが、水酸化ナトリウムを添加しなければ全く反応は進行しないことが確認されている。 5−ヒドロキシメチルフルフラールを、(A)ルテニウム、コバルト及びセリウムを主成分とする触媒の存在下、(B)加熱条件下、(C)加圧条件下、(D)水溶液中、(E)分子状酸素により、酸化することを特徴とする2,5−フランジカルボン酸の製造方法。 前記触媒が、硝酸コバルト(II)6水和物、硝酸セリウム(III)6水和物及び塩化ルテニウム(III)n水和物より調製した触媒であることを特徴とする請求項1に記載の2,5−フランジカルボン酸の製造方法。 前記加熱条件が、温度を70℃〜100℃とする条件であることを特徴とする請求項1又は2に記載の2,5−フランジカルボン酸の製造方法。 前記加圧条件が、反応雰囲気の圧力を1MPa〜40MPaとする条件であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの請求項に記載の2,5−フランジカルボン酸の製造方法。 前記加圧条件が、分子状酸素を用いて反応雰囲気の圧力を1MPa〜40MPaとする条件であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの請求項に記載の2,5−フランジカルボン酸の製造方法。


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