タイトル: | 特許公報(B2)_脱アセチル化酵素の活性測定方法、並びにこれら酵素の阻害剤もしくは促進剤のスクリーニング方法 |
出願番号: | 2007149014 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C12Q 1/37,C12Q 1/34,C07K 4/00,C12N 15/09 |
玉井 克之 宮崎 敏昭 和田 恵美 立澤 あゆみ JP 4267043 特許公報(B2) 20090227 2007149014 20070605 脱アセチル化酵素の活性測定方法、並びにこれら酵素の阻害剤もしくは促進剤のスクリーニング方法 株式会社サイクレックス 399121520 清水 初志 100102978 玉井 克之 宮崎 敏昭 和田 恵美 立澤 あゆみ 20090527 C12Q 1/37 20060101AFI20090430BHJP C12Q 1/34 20060101ALI20090430BHJP C07K 4/00 20060101ALI20090430BHJP C12N 15/09 20060101ALN20090430BHJP JPC12Q1/37C12Q1/34C07K4/00C12N15/00 A C12Q 1/00 − 1/70 C07K 4/00 C12N 15/00 −15/90 BIOSIS(STN) PubMed JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) 特開平10−313896(JP,A) 特開昭62−122599(JP,A) 特開平8−56665(JP,A) 特開平5−137599(JP,A) 特開平10−33197(JP,A) 特開平11−318495(JP,A) Nishikata, M., et al.,Biochem. J.,1999年10月15日,Vol.343(2),p.385-91 Carmen, A.A., et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,1999年10月26日,Vol.96, No.22,p.12356-61 Takano, M., et al.,J. Biochem(Tokyo),1985年,Vol.98(5),p.1333-40 Pantazis, P., et al.,J. Biol. Chem.,1981年,Vol.256, No.9,p.4669-4675 Hoffmann, K., et al.,Nucleic Acid Res.,1999年,Vol.27, No.9,p.2057-2058 Steiner, R.F., et al.,Anal. Biochem.,1991年,Vol.196,p.120-125 Ueda, N., et al.,J. Biol. Chem.,1995年,Vol.270, No.40,p.23823-7 Tisljar, U., et al.,Anal. Biochem.,1990年,Vol.186, No.1,p.112-5 15 1999338565 19991129 2007222181 20070906 20 20070704 小金井 悟 本発明は、簡便にアセチル化酵素活性、および脱アセチル化酵素活性を測定する方法、簡便にアセチル化酵素、および脱アセチル化酵素の阻害剤もしくは促進剤をスクリーニングする方法、並びにこれら測定およびスクリーニングのためのキットに関する。 近年、リン酸化、アセチル化、脂質や糖鎖修飾に関連する修飾基転移酵素、脱修飾化酵素、あるいはそれらの基質となる機能性タンパク質は、抗癌剤や抗菌・抗生物質などの新薬開発の標的として注目されている。中でもヒストン脱アセチル化酵素は新たな抗癌剤の標的として有力な候補である。今までに酪酸ナトリウム、トリコスタチンA 、トラポキシンなどの薬剤がヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤であることが報告されている。これらの阻害剤はそもそも抗真菌抗生物質として、または v-sis-トランスフォーム細胞の形態正常化物質として見いだされた(Taunton, J. et al., Science Vol.272, 408-411, 1996(非特許文献1); Yoshida, M. et al., J. Biol. Chem. Vol.265, 17174-17179, 1990(非特許文献2))。その後の研究により、これらの薬剤の標的がヒストン脱アセチル化酵素であることが判明した。また、次のような強力な抗腫瘍活性を持つヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が知られている。FR901228(藤沢製薬)MS275(三井製薬) しかしながら、これらヒストン脱アセチル化酵素阻害剤はCdk阻害タンパク質であるp21CIPの発現を誘導すること以外、制癌作用を発揮する詳細な機構は現在のところ明らかにされていない。 ヒストン脱アセチル化酵素は、ヌクレオソーム構造を変化させることにより、様々な遺伝子の発現を調節する重要な働きをしている(Davie, J. R and Chadee, D. N. J. Cell Biochem. (Suppl.) 30-31, 203-213, 1998(非特許文献3))。またヒストン脱アセチル化酵素は細胞周期の進行、分化に関与しており、この調節が崩れることがある種の癌と関連していることが報告されている(Kouzarides, T. Curr. Opin. Genet. Dev. Vol.9, 40-84, 1999(非特許文献4); Fenrick, R. and Hiebert, S. W. J. Cell Biochem. (Suppl.) 30-31, 194-202, 1998(非特許文献5))。一方、トリコスタチンA (TSA) やスベロイラニリド・ハイドロザミック酸 (SAHA) などのヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤が抗腫瘍効果を有することも公知である。その他にも、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤には次のような作用が報告されている。細胞増殖の阻害(Yoshida, M. et al., Bioassays Vol.17, 423-430, 1995(非特許文献6); Richon, V. M. et al. Proc. Natl.Acad. Sci. USA Vol.93, 5705-5708, 1996(非特許文献7); Richon, V. M. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. Vol.95 3003-3007, 1998(非特許文献8))、最終分化の誘導(Yoshida, M., et al., Bioassays Vol.17, 423-430, 1995(非特許文献6); Richon, V. M. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. Vol.93, 5705-5708, 1996(非特許文献7))、マウスモデルにおける腫瘍の増大を抑えること(Cohen, L. et al. Proc. AACR Vol.39, 108, abstr. 736, 1998(非特許文献9); Desai, D. et al., Proc. AACR Vol.40, 2396, abstr. 362, 1999(非特許文献10))、急性前骨髄性白血病の治療に効果的であること(Fenrick, R. and Hiebert, S.W. J. Cell Biochem. (Suppl.) 30-31, 194-202, 1998(非特許文献5)) このようにヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は新規抗癌剤として期待されており、更に抗菌物質しての可能性も考えられている。今後、さらに同様の作用を有する物質の探索の一つとしてヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤のスクリーニングが行われるものと考えられる。 しかしながら、既存のヒストン脱アセチル化酵素活性の測定方法は非常に煩雑である。すなわち、公知の測定方法においてはまず、培養細胞の培地中に、放射能標識された酢酸を添加し、細胞のヒストンを代謝的に放射能標識する。この細胞より精製したヒストンに脱アセチル化酵素を作用させる。反応後、酢酸エチルを用いて、ヒストンより遊離した放射能標識アセチル基を抽出して、その放射活性に基づいて酵素活性を測定する(Laherty, C. D. et al Cell Vol.89, 349-356, 1997(非特許文献11); Hassig, C. et al Cell Vol.89, 341-347, 1997(非特許文献12))。 また、放射性物質を用いない脱アセチル化酵素活性の測定方法も報告されている。この方法では基質として蛍光物質で標識したアセチル化リジンを用いるため、反応精製物を逆相HPLCで分離して測定する必要がある(Hoffmann, K. et al., Nucleic Acids Res. Vol.27, 2057-2058, 1999(非特許文献13))。また本発明者は、放射性物質を用いない方法として、アセチル化したペプチドに特異的に結合する抗体を利用した、脱アセチル化酵素活性を検出する方法を特許出願している(特願平10-9171)。この方法を用いてELISAにより脱アセチル化酵素活性を検出する場合には、B/F分離が必要なことから、処理ステップが多く、連続した活性測定は難しい。 以上のように、公知の測定方法は操作が煩雑なため、多くのサンプルの処理や、多様な条件下での実験が困難である。新薬開発などの大規模なスクリーニングを容易とするためには、放射性同位体を使わず且つ簡便な系が求められていた。 近年、完全自動化のもとで医薬品の種子となる有機化合物を連続的に合成することを可能にしたコンビナトリアルケミカルライブラリーシステムの開発、導入に伴い、より高速に化合物からのスクリーニングをおこなえるシステムが開発されている。このシステムは天然素材から抽出された有機化合物から構成される既存のケミカルライブラリーとは全く異なり、理論的には無限に新規の有機化合物を作り出すことが可能となった。現在、世界の大手製薬企業はこぞってこの革新的なシステムの導入を推し進めている。その結果、膨大な数の候補化合物が産み出される状況となった。そのため、医薬品に繋がる有用な物質を今まで以上に高い効率で探索しなければならず、より簡便な測定方法の需要が高まっている。しかし、既存の測定方法は非常に煩雑なものが多く、大きな経済的負担が必要とされてきた。 スクリーニング方法の一例として、バイディングアッセイシステムが上げられる。このシステムは、化合物が酵素などのタンパク質とその基質である低分子や結合タンパク質の会合に与える影響を測定するシステムである。バイディングアッセイシステムは確かにスクリーニングの速度的問題に対するひとつの方向を示しはした。しかし、基本的に放射能標識された基質を使用することやシステム自体の導入に非常に莫大な投資が必要である。また、原理的に、分子間の会合を指標としているので、酵素反応の阻害活性のレベルを評価することはできない。更に、しばしば放射性同位体を使用するため、放射性廃棄物を伴う。従って、脱アセチル化酵素の活性を制御する化合物を容易にスクリーニングすることができる方法の提供が求められている。Taunton, J. et al., Science Vol.272, 408-411, 1996Yoshida, M. et al., J. Biol. Chem. Vol.265, 17174-17179, 1990Davie, J. R and Chadee, D. N. J. Cell Biochem. (Suppl.) 30-31, 203-213, 1998Kouzarides, T. Curr. Opin. Genet. Dev. Vol.9, 40-84, 1999Fenrick, R. and Hiebert, S. W. J. Cell Biochem. (Suppl.) 30-31, 194-202, 1998Yoshida, M. et al., Bioassays Vol.17, 423-430, 1995Richon, V. M. et al. Proc. Natl.Acad. Sci. USA Vol.93, 5705-5708, 1996Richon, V. M. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. Vol.95 3003-3007, 1998Cohen, L. et al. Proc. AACR Vol.39, 108, abstr. 736, 1998Desai, D. et al., Proc. AACR Vol.40, 2396, abstr. 362, 1999Laherty, C. D. et al Cell Vol.89, 349-356, 1997Hassig, C. et al Cell Vol.89, 341-347, 1997Hoffmann, K. et al., Nucleic Acids Res. Vol.27, 2057-2058, 1999 本発明は、基質ペプチドのアセチル化レベルを簡便に評価することができる方法の提供を課題とする。また本発明は、この方法に基づいて、脱アセチル化酵素活性、あるいはアセチル化酵素活性の測定方法を提供することを課題とする。更に本発明は、これら活性測定方法に基づくスクリーニング方法、並びにこれら測定方法およびスクリーニング方法のためのキットを提供することを課題とする。 本発明者らは、基質ペプチドのアセチル化レベルを評価する方法として、ペプチドの酵素感受性を利用できるのではないかと考えた。そして上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、ある種のペプチダーゼは、基質ペプチドがアセチル化されている場合には、この基質ペプチドを切断しないか、もしくは切断活性が有意に低下することを確認した。本発明者らはこの現象を、脱アセチル化酵素活性およびアセチル化酵素活性の検出に利用できることを見出して本発明を完成した。 すなわち本発明は、次のペプチドのアセチル化レベル判定方法に関する。更に本発明は、この方法に基づくアセチル化酵素、または脱アセチル化酵素活性の測定方法、並びにこれらの酵素活性に影響を与える化合物のスクリーニング方法に関する。〔1〕ペプチドのアセチル化のレベルを判定する方法において、アセチル化のレベルの変化が、該ペプチドを基質とするペプチダーゼの切断活性の変化を指標として検出されることを特徴とする方法。〔2〕次の工程を含む脱アセチル化酵素活性、またはアセチル化酵素活性の測定方法。(a)基質ペプチドと試料とを、脱アセチル化酵素による脱アセチル化反応に必要な条件下、または基質ペプチドと試料とをアセチル化酵素によるアセチル化反応に必要な条件下で接触させる工程、(b)〔1〕に記載の方法によって基質ペプチドのアセチル化レベルの変化を判定する工程〔3〕脱アセチル化酵素が、リジン残基のεアミノ基に導入されたアセチル基に作用するものである〔2〕に記載の方法。〔4〕脱アセチル化酵素が、ヒストン脱アセチル化酵素である〔3〕に記載の方法。〔5〕ペプチダーゼが、リジルエンドペプチダーゼ、エンドプロテイナーゼLys-C、プラスミン、カルパイン、メタロエンドペプチダーゼ、およびナラタケ(Armillaria mellea)プロテアーゼからなる群から選択される少なくとも1種のペプチダーゼである〔1〕に記載の方法。〔6〕基質ペプチドが、該ペプチドの切断によりシグナルレベルが変化する物質により標識されており、ペプチダーゼによって切断されてシグナルを生成する〔5〕に記載の方法。〔7〕基質ペプチドが、色素標識されており、ペプチダーゼによって切断されてシグナルを生成する〔6〕に記載の方法。〔8〕色素標識が蛍光物質標識であり、シグナルが蛍光シグナルである〔7〕に記載の方法。〔9〕基質ペプチドがアセチル化したリジンを含む〔5〕に記載の方法。〔10〕ペプチダーゼがリジルエンドペプチダーゼである〔9〕に記載の方法。〔11〕次の要素を含む、アセチル化酵素活性または脱アセチル化酵素活性の測定用試薬キット。(a)基質ペプチド(b)基質ペプチドのアセチル化レベルの変化に伴って切断活性が変化するペプチダーゼ〔12〕次の工程を含む脱アセチル化酵素活性を阻害もしくは促進する化合物のスクリーニング方法において、基質ペプチドのアセチル化レベルの変化が基質ペプチドのアセチル化に伴うペプチダーゼの切断活性の変化を指標として検出されることを特徴とする方法。(a)アセチル化した基質ペプチド、および脱アセチル化酵素とを、被検化合物の存在下、脱アセチル化反応に必要な条件下で接触させる工程、(b)基質ペプチドのアセチル化レベルの変化を検出する工程、(c)被検化合物の非存在下における基質の脱アセチル化のレベルと比較して、基質の脱アセチル化のレベルを低下もしくは上昇させる化合物を選択する工程〔13〕次の要素を含む、脱アセチル化酵素活性を阻害もしくは促進する化合物のスクリーニングのための試薬キット。 (a)基質ペプチド (b)脱アセチル化酵素 (c)基質ペプチドのアセチル化レベルの変化に伴って切断活性が変化するペプチダーゼ〔14〕ペプチドのアセチル化レベルを変化させる酵素活性測定用のペプチド基質であって、前記酵素によってアセチル化または脱アセチル化されるアミノ酸残基を含み、かつこのアミノ酸残基のアセチル化のレベルによってペプチダーゼの感受性が変化することを特徴とするペプチド基質。 本発明において「ペプチド」とは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合により結合した化合物を指し、その鎖長は問わない。従って、本発明において、「アセチル化酵素」とは、アセチル基(CH3CO-)をある物質(例えば、アセチルCoA)からペプチドに転移させる反応を触媒する酵素を指す。「脱アセチル化酵素」とは、アセチル化されたペプチドからアセチル基を遊離させる酵素を指す。また、本発明において「ペプチダーゼ」とは、ペプチドを基質とするペプチド結合加水分解酵素を指す。一般に「ペプチダーゼ」という場合は、比較的低分子量ぺプチド基質に作用する酵素を指すこともあるが、本発明における「ペプチダーゼ」とは、基質ペプチドの分子量に関わらず、タンパク質を含むペプチド群に作用する酵素を意味する。従って、いわゆる「タンパク質分解酵素」、「プロテアーゼ(protease)」、「プロテイナーゼ(proteinase)」、「ペプチドヒドロラーゼ(peptide hydrolase)」はいずれも、本発明の「ペプチダーゼ」に含まれる。本発明の「ペプチド切断活性」とは、基質となるペプチド中のペプチド結合を、加水分解する活性を意味する。 また、本明細書において、下記に示す略語を用いた。DMSO: Dimethyl Sulfoxide AFC: 7-Amino-4-Trifluoromethyl Coumarinp-NA: para-nitroaniline(Ac)Lys: Nε-Acetyl Lysine(ε-アセチル化リジン)Boc: t-Butyloxycarbonyl residueMCA:α-(4-Methyl-Coumaryl-7-Amide)AMC: 7-Amino-4-Methyl-CoumarinMOAc-Arg-Pro-Gly-Leu-(Ac)Lys-Pro-Lys(Dnp)-NH2 : (Methyloxycoumarin-4-ly)acetyl-L-Arginyl-L-Prolyl-L-Glycyl-L-Leucyl-Nε-Acetyl-L-Lysyl-Prolyl -Nε -(2,4-Dinitrophenyl)-L-Lysine AmideMOAc-Leu-Pro-(Ac)Lys-Leu-A2pr(Dnp) -Pro-Arg-NH2 : (Methyloxycoumarin-4-ly) acetyl-L-Leucyl-L-Prolyl-Nε-Acetyl-L-Lysil-[N3-(2,4-Dinitrophenyl)-L-2,3-Diaminopropionyl]- L-Prolyl-L-Arginine Amide 本発明により、ペプチドのアセチル化レベルの判定方法、脱アセチル化酵素活性測定方法、および脱アセチル化酵素の阻害剤もしくは促進剤をスクリーニングする方法が提供された。本発明は、基本原理として、脱アセチル化反応をそれに引き続くペプチダーゼの活性に変換してしている。本原理は、脱アセチル化酵素のみならずアセチル化酵素にも応用することができる。一般的なペプチダーゼの活性測定方法自体は非常に簡便であり、経済的にも安価に行うことができる。また、この方法を用いると、同一容器内での反応であることから連続した活性測定が可能となり、脱アセチル化酵素の活性測定や、阻害剤等のスクリーニング効率の飛躍的な向上につながる。このことにより、新薬開発に大きく貢献できるものと期待できる。 特に脱アセチル化酵素を阻害する物質は、細胞周期の停止、細胞分化の誘導を起こすことが明らかなっており(Taunton, J. et al., Science Vol.272, 408-411, 1996; Yoshida, M. et al., J. Biol. Chem. Vol.265, 17174-17179, 1990; Kijima, M. et al., J. Biol. Chem. Vol.268, 22429-22435, 1993; Chen, W. Y. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. Vol. 94, 5798-5803, 1997; Medina, V. et al., Cancer Res. Vol.57, 3697-3707, 1997)、抗癌剤や抗菌物質としての作用が期待できることから、今後重要性を増すものと考えられる。従って、簡便なスクリーニング方法を実現する本発明の意義は大きい。〔発明の実施の形態〕 本発明は第一に、ペプチドのアセチル化のレベルの変化が、該ペプチドを基質とするペプチダーゼの切断活性の変化を指標として検出されることを特徴とする、ペプチドのアセチル化レベルを判定する方法に関する。 また本発明のアセチル化レベルの判定方法は、あるアセチル化酵素のアセチル化酵素活性、および脱アセチル化酵素の脱アセチル化酵素活性の測定に利用することができる。すなわち本発明は、ペプチダーゼの切断活性の変化を指標として、アセチル化レベルを判定する方法を利用した、脱アセチル化酵素活性、およびアセチル化酵素活性の測定方法に関する。本発明の脱アセチル化酵素活性、またはアセチル化酵素活性の測定方法は、(a)基質ペプチドと試料とを脱アセチル化酵素による脱アセチル化反応に必要な条件下、または基質ペプチドと試料とをアセチル化酵素によるアセチル化反応に必要な条件下で接触させる工程、(b)基質ペプチドのアセチル化のレベルを判定する工程、を含む。 本発明で使用するペプチダーゼは、基質となるペプチドのアセチル化レベルの変化により、ペプチド切断活性が変化するような酵素を使用する。ペプチドのアセチル化レベルの変化を、ペプチダーゼ感受性の変化を指標として評価できることは、本発明者らが見出した新規な知見である。 本発明に用いることができるペプチダーゼとしては例えば、リシルエンドペプチダーゼ、エンドプロテイナーゼLys-C、プラスミン、カルパイン、およびトリプシン等が挙げられる。これらのペプチダーゼは、基質ペプチド中のリジン残基のεアミノ基がアセチル化されている場合には、この基質ペプチドを切断しないかもしくは切断活性が有意に低下する。 中でもリシルエンドペプチダーゼは、安定性に優れる酵素であることから本発明における望ましいペプチダーゼの一つである。リシルエンドペプチダーゼは、リジン残基のC末端側を切断するペプチダーゼで、その切断活性はリジン残基のアセチル化によって有意に低下する。 前記ペプチダーゼの切断活性の変化を検出する手段としては、基質ペプチドが、該ペプチドの切断によりシグナルレベルが変化する物質により標識されており、ペプチダーゼによって切断されて発生するシグナルの変化を測定する方法が挙げられる。具体的には、例えばペプチドと結合した状態と結合していない状態とで蛍光波長が異なるような蛍光物質により基質ペプチドを標識し、蛍光強度測定機を用いて、蛍光強度の変化を測定することができる。 この他に、基質ペプチドの切断を検出する方法として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、あるいは質量分析計で得られるマススペクトラム等を用いた検出系を挙げることができる。 本発明の測定方法によって、脱アセチル化酵素を測定する場合には、基質ペプチドとして予めアセチル化されたアミノ酸を含むペプチドを用いる。例えば、ヒストン脱アセチル化酵素は、リジン残基がアセチル化したペプチドからアセチル基を遊離させる反応を触媒する酵素であることが知られている。従って、脱アセチル化酵素としてヒストン脱アセチル化酵素を測定対象とする場合には、εアミノ基がアセチル化されたリジン残基を有するペプチドを用いる。 本発明で使用する基質ペプチドは、ペプチダーゼが切断するためのペプチド結合を有し、その切断活性が基質ペプチドのアセチル化レベルを反映しうるものであれば、その構造は限定されない。該基質ペプチドは、天然のもの、遺伝子組換え技術を利用して調製されたもの、合成ペプチドのいずれであってもよい。ペプチドの精製を容易にするなどの目的で、他のペプチド(例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)と融合されていてもよい。更に、脱アセチル化酵素(またはアセチル化酵素)と、ペプチダーゼの基質として機能するものであれば、アミノ酸以外の構造を含むこともできる。 本発明の基質ペプチドは、通常この分野において用いられる方法に従って合成することができる。通常ペプチド合成は、目的とするアミノ酸配列の、カルボキシル末端側から、1アミノ酸ずつ結合さることによって行われる。あるいは、このようにして合成されたいくつかのペプチド断片同士を結合させることもできる。本発明における基質ペプチドは、脱アセチル化酵素の測定やスクリーニングを行う場合には、予めアセチル化しておかなければならない。アミノ酸のアセチル化の方法として、αアミノ基と側鎖のアミノ基を保護基でブロックしてあるアミノ酸を、酢酸無水物やN-ヒドロキシスクシンイミドアセテート等を用いてアセチル化する方法が挙げられる。そしてこれらのアセチル化したアミノ酸を用い、固相法によってアセチル化リジンを含むペプチドを合成することができる。一般に、アセチル化ペプチドは、ペプチド合成機を用いて、Fmoc法により合成することができる。たとえば商業的にペプチド合成サービスを提供しているメーカーでは、任意のアミノ酸配列について、任意の位置でアセチル化したペプチドの合成を行っている。 脱アセチル化酵素の基質となるペプチドとしては、蛍光物質で標識された以下のペプチドを例示することができる。Boc-Val-Leu-(Ac)Lys-MCABoc-Glu-Lys-(Ac)Lys-MCA BocはValおよびGluのNα位のアミノ基の保護基である。MCAは蛍光物質であり、隣接するリジン残基のεアミノ基がアセチル化されている。これらのペプチドはリジン残基のカルボキシル末端側で切断が起こると、AMCを遊離する。遊離したAMCの蛍光波長は、ペプチジル-MCAとは異なるので、AMCによる蛍光強度の変化を指標として、基質の切断量を測定することができる。 具体的には、まず、アセチル化された基質ペプチドを被検脱アセチル化酵素と反応させる。その結果、リジン残基からアセチル基が除去されると、上記のペプチダーゼにより、基質が切断される。この切断量を上記の方法により測定することにより、脱アセチル化酵素活性を測定することができる。つまり、第一の反応として、リジン残基の脱アセチル化、それに引き続く第二の反応として、タンパク質分解反応(ペプチド結合の解裂反応)を行うことにより、第一の反応のリジン残基の脱アセチル化量を第二の反応のタンパク質分解量に変換することが可能となる(化1)。(式中、Xは任意のアミノ酸残基を表す。) 前記基質ペプチドBoc-Val-Leu-(Ac)Lys-MCAを使用した、ヒストン脱アセチル化酵素活性の測定手順を、以下に示す。 まず、基質ペプチドを反応バッファーに添加し、蛍光測定用マイクロプレートに分注し、保温する。次に、各ウェルにヒストン脱アセチル化酵素液を添加し、一定時間、通常60分間、脱アセチル化反応させる。ペプチダーゼ液、およびペプチダーゼ反応バッファーを各ウェルに添加し、マイクロプレート用蛍光リーダーで一定時間、通常150秒間、毎の蛍光強度を測定する。 蛍光物質標識ペプチドの例として、X-X-(Ac)Lys-MCAを例示したが、蛍光物質としては、基質となるペプチジル-蛍光物質と反応生成物である蛍光物質の蛍光波長が異なれば、その他の蛍光物質、例えばAFC等でもよい。 また、予め蛍光物質の他に、基質ペプチドに消光物質を結合させておき、基質ペプチドの切断によって、蛍光を生じさせることも可能である(化2)。(式中、Xは任意のアミノ酸残基を表す。) この場合の蛍光物質としては、蛍光性を有しかつ分子内の消光基によりその蛍光が消光される性質を有するものであれば良い。具体例としては、MOAc、Nma (N-メチルアントラニル酸;N-methylanthranilic acid)等を挙げることができる。また、消光基としては、同一ペプチドに存在する蛍光基による蛍光を消光する性質があればよく、具体例としては、Dnp等を挙げられる。この場合の基質としては、以下のペプチドを例示することができる。MOAc-Arg-Pro-Gly-Leu-(Ac)Lys-Pro-Lys(Dnp)-NH2(配列番号:1)MOAc-Leu-Pro-(Ac)Lys-Leu-A2pr(Dnp)-Pro-Arg-NH2(配列番号:2) MOAcは蛍光物質、Dnpは消光物質であり、これらの間にあるリジン残基がアセチル化されている。これらの基質は、消光物質を含んでいるために、そのままでは蛍光強度が低下しているが、ペプチダーゼによりリジン残基のアミノ末端側で切断が起こると、蛍光強度が増加し、基質ペプチドの切断量を測定することができる。 さらには、基質ペプチドが切断されると吸収特性が変わるような色素で標識することもできる。吸収特性の変化は分光光度計によって検出することができる(化3)。この場合の基質ペプチドの例として、p-NA色素で標識したペプチドX-X-(Ac)Lys-pNA等を挙げることができる。(式中、Xは任意のアミノ酸残基を表す。) 前記のペプチダーゼは、リジンのカルボキシル末端側で切断するものであるが、リジンのアミノ末端側で切断するペプチダーゼを用いることもできる。このようなペプチダーゼの例として、メタロエンドペプチダーゼ、Armillaria melleaプロテアーゼ等が挙げられる。この場合に用いる基質ペプチドは、前記消光蛍光法に用いられる蛍光物質標識基質ペプチドを用いる必要がある(化4)。(式中、Xは任意のアミノ酸残基を表す。) 上記の蛍光物質、消光物質、および色素により、ペプチドを標識する方法は公知であり、通常用いられる方法に従って行うことができる。 本発明により、脱アセチル化活性の測定が可能な脱アセチル化酵素の例としては、前記ヒストン脱アセチル化酵素が挙げられる。 アセチル化酵素活性の測定の場合も、上記の脱アセチル化酵素活性の測定方法と同様にして測定することができる。この場合は、基質としてリジン残基がアセチル化していないペプチドを使用する。アセチル化酵素と反応させた後、基質ペプチドに対するペプチダーゼの切断活性を測定する。リジンがアセチル化したペプチドは、ペプチダーゼの切断を受けないので、ペプチダーゼの切断活性の変化から、アセチル化酵素の活性を測定することが可能である。すなわち、脱アセチル化酵素活性と、アセチル化酵素活性とは、基質ペプチドのアセチル化の有無のみが相違する。 本発明により、アセチル化酵素活性の測定が可能なアセチル化酵素の例としては、GCN5、CBP/p300、Tip60、SRC1、AIB1、およびATCR等が挙げられる。 本発明に使用する基質ペプチドは、予想される酵素活性に対して不足することが無いように過剰量で用いるのが望ましい。具体的には、細胞核抽出液のような、一般的な生体試料について脱アセチル化酵素活性を測定する場合には、反応時の濃度として通常1〜200μM、好ましくは20〜50μMを用いる。一方ペプチダーゼの濃度は、主として基質ペプチドの使用量に応じて決定することができる。通常は、予想される基質ペプチドの生成量に応じて、与えられた条件下で基質ペプチドを十分に切断することができるペプチダーゼの使用量を設定する。たとえば、用いる基質ペプチドの全てが脱アセチル化によって切断可能となった場合にも、測定条件の基で十分に切断することができるだけのペプチダーゼ活性を存在させることが望ましい。具体的には、リシルエンドペプチダーゼを用い、基質ペプチドの濃度が20〜50μM 程度である場合、ペプチダーゼの使用量としては、通常1 x 10-6 AU 〜1 x 10-4 AU 、好ましくは2.5 x 10-5 AU 〜7.5 x 10-5 AUを例示することができる。脱アセチル化酵素またはアセチル化酵素反応のためのpHは、測定対象である酵素の至適pHを考慮して決定することができる。例えばヒストン脱アセチル化酵素の活性測定を目的とするときには、通常pH6.0〜8.5、好ましくはpH6.8〜7.8である。反応バッファーは、前記pHを与える緩衝剤の中から選択することができる。例えばTris-HCl, Hepes-KOH等を、本発明の測定方法に利用することができる。より具体的には、25 mM Tris HCl, pH 7.5を例示することができる。反応液中には、酵素活性の発現に必要な塩類や活性保護剤を添加しておくことが望ましい。たとえばヒストン脱アセチル化酵素では、2 mMのmercaptoethanol添加が望ましい。 これらのアセチル化酵素活性および脱アセチル化酵素活性の測定方法は、それぞれアセチル化酵素および脱アセチル化酵素の阻害剤もしくは促進剤のスクリーニングに利用することができる。従って、本発明は、また、アセチル化酵素の活性を阻害もしくは促進する化合物のスクリーニングする方法、および脱アセチル化酵素を阻害もしくは促進する化合物のスクリーニング方法に関する。 本発明の脱アセチル化酵素の活性を阻害もしくは促進する化合物のスクリーニング方法は、(a)アセチル化した基質ペプチド、および脱アセチル化酵素とを、被検化合物の存在下、脱アセチル化反応に必要な条件下で接触させる工程、(b)基質ペプチドのアセチル化のレベルの変化を検出する工程、(c)被検化合物の非存在下における基質の脱アセチル化のレベルと比較して、基質の脱アセチル化レベルを低下もしくは上昇させる化合物を選択する工程、を含む。このスクリーニング方法において用いられる被検化合物としては、例えば、ペプチド、合成低分子化合物、動植物や細菌の細胞抽出物、細胞培養上清などが用いられるが、これらに制限されない。被検化合物は、酵素反応に先立って脱アセチル化酵素に加えることもできるし、酵素反応の開始時に加えることもできる。 本発明のスクリーニング方法は、基質ペプチドの脱アセチル化(またはアセチル化)が可能な十分量の脱アセチル化酵素(またはアセチル化酵素)用い、必要な酵素反応に適した条件下でインキュベートすることによって行われる。具体的には、たとえばヒストン脱アセチル化酵素10〜30 Uに対して、基質ペプチド20〜50μMを用い、リシルエンドペプチダーゼを2.5 x 10-5 AU 〜7.5 x 10-5 AU加える。これらの酵素反応に必要な条件は、先に述べた酵素活性の測定のための条件を応用することができる。なお、本明細書においてヒストン脱アセチル化酵素の1 Uとは、ヒト培養細胞株MCF7細胞1000個から得られる粗ヒストン脱アセチル化酵素の量と定義する。 基質ペプチドと脱アセチル化酵素との接触、および基質ぺプチドのアセチル化レベルの変化を検出する工程は、上記の脱アセチル化酵素活性の測定方法と同様にして行うことができる。その結果、被検化合物の非存在下で基質ペプチドのアセチル化のレベルを検出した場合(対照)と比較して、アセチル化のレベルが低下すれば、スクリーニングに用いた被検化合物は、脱アセチル化酵素活性を促進すると判定される。逆に、基質ペプチドのアセチル化のレベルが増加すれば、スクリーニングに用いた被検化合物は、脱アセチル化酵素活性を阻害すると判定される。なお、被検化合物として、動植物や細菌の細胞抽出物、細胞培養上清などを用いた場合には、これらを分画し、各分画についてそれぞれ検出を行うことにより、脱アセチル化酵素の活性を促進もしくは阻害する単一の化合物を最終的に特定することが可能である。分画は各種クロマトグラフィー等を利用して行われる。 また、本発明は、上記の脱アセチル化酵素活性の測定、ならびに脱アセチル化酵素活性を阻害、もしくは促進する化合物のスクリーニングのためのキットに関する。あるいは本発明は、アセチル化酵素活性の測定、ならびにアセチル化酵素活性を阻害、もしくは促進する化合物のスクリーニングのためのキットに関する。 本発明のキットは、(a)基質ペプチド、(b)脱アセチル化酵素(またはアセチル化酵素)、および(c)基質ペプチドのアセチル化レベルの変化に伴って切断活性が変化するペプチダーゼ、を含む。本発明のキットは、更に被検化合物を含むこともできる。基質ペプチドは、脱アセチル化酵素の活性測定を目的とする場合には予めアセチル化したものを用いる。逆にアセチル化酵素の活性測定を目的とするなら、アセチル化されていないペプチドを基質とする。基質ペプチドは先に述べたように標識されていてもよい。酵素標品や基質ペプチドには、タンパク質の安定化のための他の成分を配合することができる。例えば、1%程度のBSA、および終濃度0.2〜10%、好ましくは1%のシュークロース(sucrose)、フルクトース(fructose)などのポリオール類を標品中に添加し、凍結乾燥後のタンパク質変性防止剤として用いることが好ましい。 本発明によるキットの各構成要素は、溶液状態、乾燥状態のいずれの形態でも提供可能である。また、脱アセチル化酵素活性測定を阻害しないものであれば、上記のもの以外に、通常この分野で使用される界面活性剤、防腐剤、あるいは緩衝剤等を加えることができる。 以下、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。[実施例1]遺伝子組換えによるリコンビナント・ヒストン脱アセチル化酵素の作製と精製(1) RT-PCR によるヒストン脱アセチル化酵素遺伝子の単離 現在までに HDAC1/RPD3 (Taunton, J. et al., Science Vol.272, 408-411, 1996; Rundlett, S. E. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. Vol.93, 14503-14508)、HDAC2/YY-1BP(Yang, W. M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. Vol.93, 12845-12850; Lusser, A. et al., Science Vol.277, 88-91, 1997)、HDAC3 (Yang, W. M. et al., J. Biol. Chem. Vol.272, 28001-28007)の3つの遺伝子がヒストン脱アセチル化酵素の遺伝子として報告されている。これらヒストン脱アセチル化酵素遺伝子のうち、HDAC1/RPD3 (Genbank Accession#: U50079)、およびHDAC3 (Genbank Accession#: U66914)を RT-PCR法を用いて増幅、単離した。以下の塩基配列からなるプライマーを PCR に用いた。(a) プライマー<HDAC1/RPD3 増幅用プライマー>フォワードプライマー (HD1F) ;5'-CGCGGATCCATGGCGCAGACGCAGGGCACC-3' (配列番号:3)( 5' 側 3 つの塩基 (CGC) は制限酵素処理を円滑におこなわせるためのもの。5' 側 4 番目から 9 番目 (GGATCC) は制限酵素 Bam HI サイト。)リバースプライマー (HD1R) ;5'-CGCCTCGAGGGCCAACTTGACCTCCTCCTT-3' (配列番号:4)( 5' 側 3 つの塩基 (CGC) は制限酵素処理を円滑におこなわせるためのもの。5' 側 4 番目から 9 番目 (CTCGAG) は制限酵素 Xho I サイト。)このプライマーセットを用いることによって、HDAC1/RPD3 の1番目から 482 番目(全長)をコードしている DNA を増幅した。<HDAC3 増幅用プライマー>フォワードプライマー(HD3F) ;5'-CGCGGATCCATGGCCAAGACCGTGGCGTAT-3' (配列番号:5)( 5' 側 3 つの塩基 (CGC) は制限酵素処理を円滑におこなわせるためのもの。5' 側 4 番目から 9 番目 (GGATCC) は制限酵素 Bam HI サイト。)リバースプライマー(HD3R) ;5'-CGCCTCGAGAATCTCCACATCGCTTTCCTT-3' (配列番号:6)( 5' 側 3 つの塩基 (CGC) は制限酵素処理を円滑におこなわせるためのもの。5' 側 4 番目から9 番目 (CTCGAG) は制限酵素 Xho I サイト。)この 2 つのプライマーセットを用いることによって HDAC3 のアミノ酸 1 番目から 428 番目(全長)をコードしている DNA を増幅した。(b) RT-PCRの条件 ヒストン脱アセチル化酵素遺伝子を PCR 法で増幅する際のテンプレートとして、ヒト子宮頚ガン由来 HeLa 細胞の cDNA を用いた。まず、cDNA を作製するため、HeLa 細胞よりフェノール-チオシアン酸グアニジン法(ニッポンジーン、ISOGEN)を用いて 全RNA を抽出、精製した。抽出した 全RNAをもとにランダムプライマーを用いて cDNA を合成した(逆転写反応)。このcDNAをテンプレートとして以下の条件でPCRを行なった。1)92 ℃ 3 分間を1サイクル、2)92℃ 1分間(変性)、X℃ 1分間(アニーリング)、72℃ 1分間(伸長反応)を 35 サイクル、3)72℃ 10 分を1サイクル。アニーリングの温度(X℃)は以下のように、各遺伝子のプライマーセットで異なった設定値を用いた。プライマーセット :アニーリング温度はHD1F-HD1R :64 ℃、HD3F-HD3R :64 ℃とした。また、これら PCR用の熱耐性 DNA ポリメラーゼとしてPfu-Turbo ポリメラーゼ (StrataGene社製)を用いた。(c)PCR 産物の発現ベクターへのサブクローニングと塩基配列の確認 PCR によって増幅した各 DNA バンド(PCR 産物)を1 % のアガロースゲル電気泳動によって確認した。バンドの確認後、各 PCR 産物は制限酵素 Bam HI と Xho I によって処理した。この処理によって、PCR の各プライマーの 5' 末端側に導入しておいた制限酵素サイトが切られて、PCR 産物の両末端は粘着末端(cohesive end) となる。制限酵素処理した各 PCR 産物はアガロースゲル電気泳動によって分離した。アガロースゲルで分離した PCR 産物のバンドをゲルごと切り出し、glass milk (Bio-101)を用いてアガロースから分離精製した。アガロースゲルから分離精製した PCR 産物を、発現ベクター pCMV-8XHis およびpCMV-Flagのクローニングサイトにサブクローニングした。pCMV-8Xhis、およびpCMV-Flagは、pcDNA3 (Invitrogen社)の制限サイトXhoI/XbaIにそれぞれ下記の8XHisおよびFlagをコードするアダプターオリゴヌクレオチドを挿入して作製したベクターである。pCMV-8Xhis:C-8XHis upper: 5'-TCGAGCTAGCACATCACCACCATCACCATCATCACTAAG-3' (配列番号:7)C-8XHis lower: 5'-CTAGCTTAGTGATGATGGTGATGGTGGTGATGTGCTAGC-3' (配列番号:8)pCMV-Flag:C-Flag upper: 5'-TCGAGGGGGACTATAAGGACGATGATGATGATAAATAAT-3' (配列番号:9)C-Flag lower: 5'-CTAGATTATTTATCATCATCATCGTCCTTATAGTCCCCC-3' (配列番号:10) 発現ベクターは前もって PCR 産物の両末端と同じ制限酵素 Bam HI と Xho I によって処理した後、アガロースゲルで分離精製しておいた。 PCR 産物と発現ベクターをほぼ等モルになるように混和し、T4 リガーゼを用いてライゲーションは 16 ℃、1 時間行なった。ライゲーション後、各サンプルを塩化ルビジウム法によってコンピテント化された大腸菌 DH5αに導入した。 これをセレクション用の抗生物質であるアンピシリンを 50 μg/ml で含む LB プレートにスプレッドした。それらのプレートは 37 ℃、一昼夜培養した。プレートから複数のコロニーを拾い、LB-アンピシリン培地で一晩培養した。培養した大腸菌から、アルカリ法を用いてプラスミド(発現ベクター)を精製した。それらプラスミドを制限酵素 Bam HI と Xho I で処理し、アガロースゲル電気泳動によりインサート(PCR 産物)が入っていることを確認した。また、それらプラスミドのインサートの塩基配列をオートシークエンサーを用いて決定し、報告されている塩基配列と同一であること確認した。(2) リコンビナント・ヒストン脱アセチル化酵素産生細胞株の単離 (1)で構築した発現ベクターpCMV-8XHis-HDAC1, pCMV-Flag-HDAC1, pCMV-8XHis-HDAC3, pCMV-Flag-HDAC3のそれぞれ2.5μgをCHO細胞にリポフェクション法によりトランスフェクトした後、500 μg/mlジェネティシンを添加した培地中で約2週間培養をつづけ、ネオマイシン耐性クローンを選別した。各々独立した12クローンを分離し、24 ウェルプレート で培養し、遺伝子が導入され、ヒストン脱アセチル化酵素を発現しているクローンを抗His-Tag抗体および抗Flag抗体とそれぞれのヒストン脱アセチル化酵素に対する抗体を用いたウェスターンブロット法により同定した。(3) リコンビナント・ヒストン脱アセチル化酵素の精製(a) pCMV-8XHis-HDAC pCMV-8XHis ベクターでは連続した8つのヒスチジン(8His-Tag)がリコンビナントタンパク質のカルボキシ末端に付加される。この 8His-Tag がニッケルと錯体を形成することを利用して、リコンビナントタンパク質の精製をおこなった。1 x 109個のリコンビナント・ヒストン脱アセチル化酵素産生細胞をHypotonic buffer によく懸濁し、氷中で30分間放置した後、低速遠心により核分画を得た。この核分画をHypotonic bufferで2回洗浄後、抽出バッファーを加え、超音波処理を行った。これを高速遠心し、その上清よりリコンビナントタンパク質を含む核可溶性分画を採取した。この核可溶性分画を Ni-NTA-アガロースカラム(キアゲン社)に展開し、8His-Tag を介して組換えタンパク質をカラムに吸着させた。カラムを 抽出バッファーで十分に洗浄した後、更に洗浄バッファーで洗浄した。リコンビナントタンパク質は溶出バッファーを用いて溶出した。この操作は、イミダゾールの濃度を 50 mM, 100 mM, 200 mM, 1 M と濃度を徐々に上げながら行った。リコンビナント・ヒストン脱アセチル化酵素を含む画分をプールして、十分量のHDAC バッファーに一昼夜透析後、-80℃に保存した。各バッファーの組成は以下の通りである。・Hypotonic buffer: 10 mM Hepes KOH pH7.5 10 mM KCl 10 mM MgCl2 0.1% NP-40・抽出バッファー: 20 mM Tris-HCl pH 7.9 5 mM イミダゾール 0.5 M NaCl・洗浄バッファー: 10 mM イミダゾール 0.5 M NaCl 20 mM Tris-HCl pH7.9・溶出バッファー: 50 mM から1 Mイミダゾール 0.5 M NaCl 20 mM Tris-HCl pH7.9・HDACバッファー: 20 mM Hepes KOH pH 7.5 150 mM NaCl 1 mM EDTA 50 % グリセロール(b) pCMV-Flag-HDAC pCMV-Flag-HDAC ベクターではエピトープタグであるFlag-Tagがリコンビナントタンパク質のカルボキシ末端に付加される。このFlag-Tagに抗Flag-Tag抗体が結合することを利用した抗Flag-Tag(M2)抗体カラム法を用いてリコンビナントタンパク質の精製を行った。上記と同様の方法で核可溶性分画を採取し、冷えた蒸留水で3倍希釈した。これを抗Flag-Tag(M2)抗体カラム (Sigma 社製) に展開し、Flag-Tag を介して組換えタンパク質をカラムに吸着させた。カラムを洗浄バッファーで洗浄後、250 μg/ ml のFlag ペプチド(Asp-Tyr-Lys-Asp--Asp-Asp-Asp-Lys)を含む溶出バッファーで溶出した。リコンビナント・ヒストン脱アセチル化酵素を含む画分をプールして、十分量のHDACバッファーに一昼夜透析後、-80℃に保存した。各バッファーの組成は以下の通りである。・洗浄バッファー: 20 mM Tris-HCl pH7.5 250 mM NaCl 0.05 % Triton X-100・溶出バッファー: 20 mM Tris-HCl pH7.5 150 mM NaCl 10 % グリセロール 1 mM EDTA[実施例2]ヒト培養細胞株からのヒストン脱アセチル化酵素の粗精製 MCF7 細胞をPBSで洗浄後、遠心し、沈殿した細胞を4mlのLysis bufferに、懸濁した。氷中で15分間静置した後、07ローター用の細い遠心管でsucrose cushion buffer 15mlに、ライセート(Lysate)を重層した。その際、Lysis buffer 1mlで共洗いし、計5mlを得た。次に、1300g、20分間遠心し、沈殿した細胞を1.5mlのLysis bufferで回収し、洗浄後、Low-salt buffer 700μlに懸濁し30秒超音波処理し、氷中に30分間静置した。100,000 gで40分間遠心し、上清をとり、粗ヒストン脱アセチル化酵素を回収した。粗ヒストン脱アセチル化酵素プールを1.5mlチューブを用いて、50% グリセロール, 150mM NaCl, 20mM Tris pH7.5に対して、一晩透析した。この際透析液は3回交換した。以上の手順で粗精製したヒストン脱アセチル化酵素を、脱アセチル化酵素活性の測定に使用した。各バッファーの組成は以下の通りである。・sucrose cushion buffer: 30% sucrose 10mM Tris (pH7.5) 10mM NaCl 3mM MgCl2・Lysis buffer: 10mM Tris (pH7.5) 10mM NaCl 15mM MgCl2 0.1mM EGTA 250mM sucrose 0.45% NP-40 0.1mM PMSF・Low-salt buffer: 50mM Hepes (pH7.5)[実施例3]脱アセチル化酵素の活性の測定(1) 基質ペプチドBoc-Val-Leu-(Ac)Lys-MCA 蛍光物質であるAMC(7-アミノ-4-メチル-クマリン)のアミノ基に、ε-アミノ基がアセチル化されたリジンを含むペプチドのカルボキシル基を縮合して、基質ペプチドを作製した。該ペプチドは、ペプチド研究所に依頼して作製した。(2) 測定手順 1アッセイ当たり、基質ペプチドであるBoc-Val-Leu-(Ac)Lys-MCAの10 mM DMSO 溶液1 μlを、64 μl のHDAC反応バッファー (25 mM Tris HCl, pH 7.5) に添加し、蛍光測定用マイクロプレートに分注し、30℃に保温した。次いで各ウェルにヒストン脱アセチル化酵素液 10μlを添加し、30℃で60分間、脱アセチル化反応させた。反応後、25 mM Tris HCl, pH 7.5を用いて至適濃度に希釈したペプチダーゼ液5μlと、5Xプロテアーゼ反応バッファー20μlを各ウェルに添加し、マイクロプレート用蛍光リーダーで150秒毎の蛍光強度を測定した。蛍光強度は、Wallac 1420 ARVOsx マルチラベルカウンター(amershampharmacia biotech 社製) で測定した。反応バッファーの組成は以下の通りである。・5Xプロテアーゼ反応バッファー: 500 mM Tris HCl, pH 9.6 50 mM βmercaptoethanol(3) 測定結果 この測定方法を用いて、ヒト培養細胞株から粗精製したヒストン脱アセチル化酵素画分およびリコンビナント・ヒストン脱アセチル化酵素の脱アセチル化酵素活性を測定した結果を図1〜5に示した。 図1、2は蛍光標識基質ペプチドであるBoc-Val-Leu-Lys-MCA と、そのリジン残基がアセチル化されたBoc-Val-Leu-(Ac)Lys-MCAに対するリシルエンドペプチダーゼとプラスミンの切断活性の比較を示す。 5 x 10-6 AU のリシルエンドペプチダーゼと0.001Uのプラスミンを、Boc-Val-Leu-Lys-MCAおよびBoc-Val-Leu-(Ac)Lys-MCAに添加後、約150秒毎の蛍光強度を示した。リシルエンドペプチダーゼとプラスミン共に、明らかにBoc-Val-Leu-Lys-MCAは切断するが、そのリジン残基がアセチル化されたBoc-Val-Leu-(Ac)Lys-MCAは切断しないことが示された。 図3は、脱アセチル化反応のタイムコースを示す。Boc-Val-Leu-(Ac)Lys-MCAの脱アセチル化反応を行なわせ、次に 5 x 10-6 AU のリシルエンドペプチダーゼを添加後、タンパク質分解反応がプラトーとなった約20分後の蛍光強度を示した。脱アセチル化反応の時間に応じて、蛍光強度が上昇していることが示された。 図4は、脱アセチル化反応における酵素の用量依存性を示す。リコンビナント・ヒストン脱アセチル化酵素および粗精製ヒストン脱アセチル化酵素液の原液を倍々希釈して、脱アセチル化反応を行なわせ、次に 5 x 10-6 AU のリシルエンドペプチダーゼを添加後、タンパク質分解反応がプラトーとなった約20分後の蛍光強度を示した。ヒストン脱アセチル化酵素量応じて、蛍光強度が上昇していることが示された。 図5は、既知のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤トリコスタチンAの効果を示す。図に示した濃度のトリコスタチンAを脱アセチル化反応中に添加して、本測定への影響をみた。約200 nMのトリコスタチンAにより、ぼぼ完全に反応は阻害された。このことから、本測定方法は確実にヒストン脱アセチル化酵素の活性を測定できると言える。アセチル化、または非アセチル化ペプチドを基質としたリジルエンドペプチダーゼのペプチド切断活性の比較を示す図。アセチル化、または非アセチル化ペプチドを基質としたプラスミンのペプチド切断活性の比較を示す図。脱アセチル化反応のタイムコースを示す図。脱アセチル化反応における酵素の用量依存性を示す図。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤トリコスタチンAの効果を示す図。次の工程を含む脱アセチル化酵素活性の測定方法;(a) 次のアミノ酸配列を含む基質ペプチドと試料とを、脱アセチル化酵素による脱アセチル化反応に必要な条件下で接触させる工程であって、X-X-(Ac)Lys-(色素);(式中Xは任意のアミノ酸残基を表し、(Ac)Lysはεアミノ基がアセチル化されたリジン残基を表し、(色素)は該リジン残基に結合した色素標識を表す) 前記基質ペプチドが前記酵素によって脱アセチル化されるεアミノ基がアセチル化された1つのリジン残基を含み、かつこのアミノ酸残基のアセチル化のレベルによって前記基質ペプチドのペプチダーゼの感受性が変化し;ただし当該基質ペプチドは、ペプチダーゼによって切断されてシグナルを生成し;および(b) 基質ペプチドのアセチル化のレベルの変化が、該ペプチドを基質とするペプチダーゼの切断活性の変化を指標として検出される工程。次の工程を含む脱アセチル化酵素活性を阻害もしくは促進する化合物のスクリーニング方法において、基質ペプチドのアセチル化レベルの変化が基質ペプチドのアセチル化に伴うペプチダーゼの切断活性の変化を指標として検出されることを特徴とする方法;(a) 次のアミノ酸配列を含むアセチル化した基質ペプチド、および脱アセチル化酵素とを、被検化合物の存在下、脱アセチル化反応に必要な条件下で接触させる工程であって、 X-X-(Ac)Lys-(色素);(式中Xは任意のアミノ酸残基を表し、(Ac)Lysはεアミノ基がアセチル化されたリジン残基を表し、(色素)は該リジン残基に結合した色素標識を表す)前記基質ペプチドが前記脱アセチル化酵素によって脱アセチル化されるεアミノ基がアセチル化された1つのリジン残基を含み、かつこのアミノ酸残基のアセチル化のレベルによって前記基質ペプチドのペプチダーゼの感受性が変化するペプチドである工程、ただし当該基質ペプチドは、ペプチダーゼによって切断されてシグナルを生成し; (b) 基質ペプチドのアセチル化レベルの変化を検出する工程、および(c) 被検化合物の非存在下における基質の脱アセチル化のレベルと比較して、基質の脱アセチル化のレベルを低下もしくは上昇させる化合物を選択する工程。色素標識が蛍光物質標識であり、シグナルが蛍光シグナルである請求項1または請求項2に記載の方法。蛍光物質標識された基質ペプチドに更に付加的に消光物質が結合されている請求項3に記載の方法。ペプチダーゼが、リジルエンドペプチダーゼ、エンドプロテイナーゼLys-C、プラスミン、カルパイン、およびトリプシンからなる群から選択される少なくとも1種のペプチダーゼである請求項1または請求項2に記載の方法。ペプチダーゼが、リジルエンドペプチダーゼである請求項5に記載の方法。脱アセチル化酵素によって脱アセチル化されるεアミノ基がアセチル化された1つのリジン残基を含む基質ペプチドであって、次のアミノ酸配列を含む基質ペプチド; X-X-(Ac)Lys-(色素);(式中Xは任意のアミノ酸残基を表し、(Ac)Lysはεアミノ基がアセチル化されたリジン残基を表し、(色素)は該リジン残基に結合した色素標識を表す)このアミノ酸残基のアセチル化のレベルによって前記基質ペプチドのペプチダーゼの感受性が変化し、かつ当該基質ペプチドは、ペプチダーゼによって切断されてシグナルを生成する脱アセチル化酵素活性測定用の基質ペプチド。脱アセチル化酵素が、ヒストン脱アセチル化酵素である請求項7に記載の基質ペプチド。次の要素を含む、脱アセチル化酵素活性の測定用試薬キット;(a)脱アセチル化酵素によって脱アセチル化されるεアミノ基がアセチル化された1つのリジン残基を含む基質ペプチドであって、次のアミノ酸配列を含む基質ペプチド; X-X-(Ac)Lys-(色素);(式中Xは任意のアミノ酸残基を表し、(Ac)Lysはεアミノ基がアセチル化されたリジン残基を表し、(色素)は該リジン残基に結合した色素標識を表す)このアミノ酸残基のアセチル化のレベルによって前記基質ペプチドのペプチダーゼの感受性が変化し、かつ当該基質ペプチドは、ペプチダーゼによって切断されてシグナルを生成する脱アセチル化酵素活性測定用の基質ペプチド、および(b) 脱アセチル化された基質ペプチドを切断するペプチダーゼであって、該ペプチダーゼは基質ペプチドのアセチル化レベルの変化に伴って切断活性が変化するペプチダーゼ。ペプチダーゼが、リジルエンドペプチダーゼ、エンドプロテイナーゼLys-C、プラスミン、カルパイン、およびトリプシンからなる群から選択される少なくとも1種のペプチダーゼである請求項9に記載の試薬キット。ペプチダーゼが、リジルエンドペプチダーゼである請求項9〜請求項10のいずれかに記載の試薬キット。20−50μMの基質ペプチドに対し、1×10−6〜1×10−4AUのリジルエンドペプチダーゼが組み合わされた請求項11に記載の試薬キット。脱アセチル化酵素が、ヒストン脱アセチル化酵素である請求項9〜請求項12のいずれかに記載の試薬キット。請求項9〜請求項13のいずれかに記載の試薬キットと、脱アセチル化酵素を含む、脱アセチル化酵素活性を調節する化合物のスクリーニング用キット。脱アセチル化酵素が、ヒストン脱アセチル化酵素である請求項14に記載のキット。配列表