生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_熱処理シミュレーション方法
出願番号:2007114044
年次:2008
IPC分類:G01N 25/18


特許情報キャッシュ

津乗 充良 寺崎 聡 市東 素明 JP 2008268108 公開特許公報(A) 20081106 2007114044 20070424 熱処理シミュレーション方法 株式会社IHI 000000099 志賀 正武 100064908 渡邊 隆 100089037 津乗 充良 寺崎 聡 市東 素明 G01N 25/18 20060101AFI20081010BHJP JPG01N25/18 L 3 2 OL 8 2G040 2G040AA01 2G040AB07 2G040BA08 2G040BA25 2G040CA02 2G040EA08 2G040EB02 本発明は、熱処理シミュレーション方法に関する。 金属熱処理は、金属材料(鋼材)の様々な性質を実現するために日常的に行われている素形材プロセスであり、機械産業を始めとするあらゆる産業において利用されている。 金属熱処理の目的は、それぞれ適用される材料や他の製造プロセスとの関連によって様々であるが、自動車産業や塑性加工(金属)分野では、例えば、表面の耐摩耗性や疲労強度の向上を目的として、浸炭・焼入れ・焼き戻し処理が行われている。具体的には、歯車、軸受、金型等の製造工程において、熱処理が施される。 これらの金属部材では、例えば、嵌め合い部等において、高度な寸法精度が要求されている。このため、熱処理による変形量を予想する必要がある。 例えば、特許文献1に開示されるように、複雑な形状の部品においても熱処理による歪を精度よく解析することのできる熱処理シミュレーション方法が提案されている。特開2003−194754号公報 しかしながら、熱処理(焼き入れ焼き戻し)工程は、複雑な温度変化に伴う弾塑性変形の他に、相変態の影響を考慮する必要があるなど複雑な現象であるため、変形量の予想を完全に自動化することは困難である。すなわち、特許文献1に示す技術では、熱処理における冷却曲線が部品毎に異なることから、実際の冷却曲線を実測し、その変動幅を求めている。 このため、冷却曲線の実測を行うことなく、金属部材の熱処理による変形・ひずみを予想できるシミュレーション技術の開発が要請されている。 本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、冷却状態の実測を行うことなく、金属部材の変形・ひずみを予想できる熱処理シミュレーション方法を提案することを目的とする。 本発明に係る熱処理シミュレーション方法では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。 本発明は、所定形状の鋼材を熱処理した際の歪や変形を解析する熱処理シミュレーション方法であって、前記鋼材をガス冷却した際の熱伝達率を熱流体解析により求める第一工程と、前記熱伝達率に基づいて前記鋼材の熱歪及び/又は熱変形を有限要素解析により求める第二工程と、を有することを特徴とする。 また、前記第一工程は、前記鋼材の周辺における所定ガスの流れ解析に基づいて前記熱伝達率を求めることを特徴とする。 また、前記第二工程は、前記鋼材の浸炭処理に応じて、前記熱歪及び/又は前記熱変形を求めることを特徴とする。 本発明によれば以下の効果を得ることができる。 本発明によれば、冷却状態の実測を行うことなく、鋼材の変形・ひずみを予想可能となる。 また、ガス冷却時における鋼材周辺のガスの流れを解析することで、鋼材の冷却状態を求めることができる。 また、鋼材の組成に応じて適切に、変形・ひずみを予想することが可能となる。 以下、本発明に係る熱処理シミュレーション方法の実施形態について図面を参照して説明する。 図1は、本実施形態に係る熱処理シミュレーション方法のシステム構成図である。 金属熱処理による焼き入れひずみ解析は、(1)応力/変形解析、(2)熱伝導解析、(3)相変態解析、(4)浸炭解析、(5)熱流体解析の全てを連成することにより行われる。つまり、温度、材料組成、炭素濃度に依存した材料定数を使用できる熱処理解析システムを用いる。 具体的には、(1)〜(4)の連成解析は、汎用FEM(finite element method:有限要素解析)コード及びそのユーザサブルーチンにより構築されている。 なお、汎用FEMコードとしては、例えば、ABAQUS(登録商標)やANSYS(登録商標)等を用いることができる。 (5)の解析は、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics:CFD)を用いて行われ、この解析結果を上述した(1)〜(4)の連成解析の入力データとして用いることで、(1)〜(5)の解析が連成されるようになっている。 なお、数値流体力学解析には、汎用熱流体解析コード、例えば、FLUENT(登録商標)等を用いることができる。 また、本実施形態では、金属部材K(解析モデルM)を冷却ガスGにより冷却(ガス冷却)する場合を想定して、熱流体解析を行う。 図2は、本発明の実施形態に係る熱処理シミュレーション方法を示すフロー図である。 図2に示すように、本実施形態に係る熱処理シミュレーション方法では、まず、ステップS1において、解析対象である金属部材Kの解析モデルMを作成する。この解析モデルMは、熱流体解析、有限要素解析に用いられる。 本実施形態では、直径20mm、長さ60mmの円柱形部材(クロム鋼:SCr420H)の解析モデルMを作成した。 次に、ステップS2において、ガス冷却シミュレーション、すなわち、解析モデルMを用いた熱流体解析を行う。 熱処理に伴う金属部材Kのひずみを精度よく解析するためには、金属部材Kの表面における熱的条件、すなわち、熱伝達率を正確に求める必要がある。 そこで、例えば以下の条件で、金属部材K(解析モデルM)を冷却ガスGにより冷却した場合について熱流体解析を行う。[解析手法] 差分近似:高次精度差分スキーム 乱流モデル:低レイノルズ数型乱流モデル[計算条件] 対象モデル: 寸法:直径20mm、長さ60mmの円柱形(解析モデルM) 温度:400℃、600℃、800℃、1000℃ 冷却ガス: 圧力:2MPa 温度:50℃ 流速:12m/s 流れ方法:解析モデルMの端面に対して直角に流入 計算格子: 形状:軸対称 モデル表面での最小格子幅:0.5mm 図3,図4は、ガス冷却シミュレーションの解析結果を示す図であって、図3(a)は冷却ガスGの流速ベクトルの一部を示す図、図3(b)は金属部材K(解析モデルM)の温度分布を示す図、図4は金属部材K(解析モデルM)の表面における局所熱伝達率分布を示す図である。 図3(a)に示すように、例えば、金属部材K(解析モデルM)の表面のうち、冷却ガスGの上流(流入)側を向く端面中心(位置A)では冷却ガスGの流速が小さく、端面外縁(位置B)では冷却ガスGの流速が最大となることが確認できる。 そして、冷却ガスGの流速ベクトルとともに、金属部材K(解析モデルM)の温度分布(図2(b))が求められ、更に、図4に示すように、金属部材K(解析モデルM)の表面における局所熱伝達率分布が求められる。 図4においては、金属部材K(解析モデルM)の表面のうち、冷却ガスGの上流(流入)側を向く端面の外縁(位置B)において、熱伝達率が最大となることが確認できる。そして、下流側の側面の外縁(位置C)に向けて熱伝達率が徐々に低くなり、下流側の側面の外縁(位置C)近傍において熱伝達率が最小となることが確認できる。これにより、位置Bが最も冷却されやすく、下流側の側面の外縁(位置C)近傍が最も冷却されづらいことが確認できる。 このようにして、ステップS2において、解析モデルMを用いた熱流体解析により、金属部材K(解析モデルM)の表面の熱伝達率(分布)が求められる。 なお、従来は、熱伝達率として、機械便覧等の書籍に記載された数値を用いることが少なくなかった。この場合には、金属部材Kの局所的な熱伝達率分布や金属部材Kと冷却ガスGの温度域による熱伝達率の違いを求めることが困難であった。 次に、ステップS3において、ステップS2で求めた熱伝達率(分布)に基づいて、変態・変形シミュレーション、すなわち、金属部材K(解析モデルM)の応力/変形解析・熱伝導解析・相変態解析・浸炭解析を行う。 具体的には、ABAQUSのユーザサブルーチンであるHETVAL(temperature field)、UEXPAN(Stress/Strain field)、USDFLD(Micro-structural State field)、DFLUX(Carburizing process)を連成させて、応力/変形解析、熱伝導解析、相変態解析、浸炭解析を行う(図1参照)。 図5〜図7は、変態・変形シミュレーションの解析結果を示す図であって、図5は温度履歴を示す図、図6は炭素濃度・マルテンサイト堆積分布率を示す図、図7は金属部材K(解析モデルM)の変形量を示す図である。 図5(a),(b)に示すグラフは、金属部材K(解析モデルM)を約870℃からガス冷却した場合の温度履歴である。 実測結果(測定点二箇所)とABAQUSによる解析結果(測定点二箇所)が良く一致していることが確認できる。 なお、温度測定点は、図5(c)に示すように、金属部材K(解析モデルM)の中心Eと、側面から1.8mmの外周側の位置Fの二箇所である。 更に、図6(a)に示すように、浸炭ありの場合の炭素濃度が確認できる。また、図6(b)に示すように、マルテンサイト堆積分布率も確認できる。 そして、図7に示すように、金属部材K(解析モデルM)の半径方向の変形量が、実測結果とABAQUSによる解析結果とが良く一致していることが確認できる。 実測結果は、三つのサンプルについて、周方向の4方向位置(0°、90°、180°、270°)の変形量を、金属部材K(解析モデルM)の長さ方向に沿ってプロットしたものである。なお、長さ方向の原点位置は、冷却ガスGの下流側の端面(図4の位置C)に対応している。 以上説明したように、本実施形態に係る熱処理シミュレーション方法によれば、金属部材K(鋼材)の冷却状態を実測することなく、金属部材Kの変形・ひずみを予想することができる。つまり、ガス冷却時における金属部材Kの冷却ガスGの流れを解析することで、金属部材Kの冷却状態を求めることができる。 また、金属部材Kの組成に応じて適切に、変形・ひずみを予想することができる。 なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において種々変更可能である。本実施形態に係る熱処理シミュレーション方法のシステム構成図である。本発明の実施形態に係る熱処理シミュレーション方法を示すフロー図である。ガス冷却シミュレーションの解析結果を示す図である。ガス冷却シミュレーションの解析結果を示す図である。変態・変形シミュレーションの解析結果を示す図である。変態・変形シミュレーションの解析結果を示す図である。変態・変形シミュレーションの解析結果を示す図である。符号の説明 K…金属部材(鋼材) M…解析モデル G…冷却ガス 所定形状の鋼材を熱処理した際の歪や変形を解析する熱処理シミュレーション方法であって、 前記鋼材をガス冷却した際の熱伝達係数を熱流体解析により求める第一工程と、 前記熱伝達率に基づいて前記鋼材の熱歪及び/又は熱変形を有限要素解析により求める第二工程と、を有することを特徴とする熱処理シミュレーション方法。 前記第一工程は、前記鋼材の周辺における所定ガスの流れ解析に基づいて前記熱伝達率を求めることを特徴とする請求項1に記載の熱処理シミュレーション方法。 前記第二工程は、前記鋼材の浸炭処理に応じて、前記熱歪及び/又は前記熱変形を求めることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱処理シミュレーション方法。 【課題】冷却状態の実測を行うことなく、金属部材の変形・ひずみを予想できる熱処理シミュレーション方法を提案する。【解決手段】所定形状の鋼材を熱処理した際の歪や変形を解析する熱処理シミュレーション方法であって、鋼材をガス冷却した際の熱伝達率を熱流体解析により求める第一工程S2と、熱伝達率に基づいて鋼材の熱歪及び/又は熱変形を有限要素解析により求める第二工程S3と、を有する。【選択図】図2


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