生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_微量液滴塗布システム
出願番号:2007093057
年次:2008
IPC分類:G01N 5/02


特許情報キャッシュ

申 ウソク 松原 一郎 伊豆 典哉 伊藤 敏雄 JP 2008249589 公開特許公報(A) 20081016 2007093057 20070330 微量液滴塗布システム 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 須藤 政彦 100102004 申 ウソク 松原 一郎 伊豆 典哉 伊藤 敏雄 G01N 5/02 20060101AFI20080919BHJP JPG01N5/02 A 7 1 OL 12 本発明は、微量液滴塗布システムに関するものであり、更に詳しくは、水晶振動子を用いた微量質量センサ(QCMセンサ)を利用して塗布装置により塗布又は塗出された微小液滴の塗布又は塗出の量を計測する塗布量の計測方法及びその装置に関するものである。本発明は、既存の水晶振動子を用いた微量質量センサを微小液滴の塗布又は塗出の量を計測するために応用して、微量液滴塗布システムを構築したものであり、例えば、塗布装置として、インクジェット又はディスペンサを用いた塗布設備における生産プロセス管理等に利用可能な塗布量の計測方法及びその装置を提供するものである。 微小液滴を塗出乃至吐出し、様々なパターンを形成する製造プロセス、又は適量を加える微量液滴塗布システムにおいて、微量の液滴もしくは液の塗布量の制御は、被塗布材料の品質管理の面からも重要な問題である。しかし、微量の液滴もしくは液は、その量が少ないため、直接計測することが困難である。従来、例えば、塗布する対象のワークに塗布する前に、ダミーに向けて数滴から数千滴を塗布し、十分測定可能な塗布量を塗布してから、計測し、1敵当りの塗布量を計算する方法が利用されている。 塗布装置としては、例えば、インクジェット及びディスペンサ装置が利用されている。それらのうち、例えば、通常のインクジェット塗布の場合、1滴又は1ドロップ当たりの量は、0.01ナノリッタ(nL)未満であり(家庭用のプリンタの場合、最小ドロップは数ピコリッタ、pL)、電子天秤で測るためには、少なくても10万ドロップ以上塗布して計測する必要がある。参考として、1ngの水滴は1pL、1μgの水滴は1nLであり、10万ドロップでやっと1mgとなる。生産管理用であれば、より多く塗布して計測誤差を減らすことが求められる。 しかし、このような計測は、時間がかかるため、より早く評価する手法を開発する必要がある。例えば、1秒当り1000敵塗布するような高速塗布の場合でも、10万ドロップを塗布するには、最低100秒かかることとなる。より多く塗布する場合、更に繰り返しの再現性や精度の面では優れていくが、手間と時間がかかるという問題がでてくる。 他の塗布方法として、例えば、ディスペンシングの場合でも、塗布量を正確に知ることはプロセス管理として重要である。パルス的な塗布、連続的な塗布の場合でも、ある塗布条件で塗出される量を計測することは同じである。塗布量を管理する通常の方法としては、最初の全体の液量の重さを予め計測し、一定のパルス数、もしくは、一定時間の塗布後に重量差を計測する方法が使われている。 しかし、この場合でも、重量計測に十分な量を塗布する必要があり、塗布時間はインクジェットより早くても、塗出特性の変化の詳細を把握することはできない。また、ある塗布量を塗布し、そのシルエットを計測することで塗布量を測り、塗出特性を評価することも可能であるが、通常の市販の装置では、1μL以上の塗布量から正確な計測が可能であり、ナノリッタレベルの塗出特性は評価できない。 一方、従来、水晶振動子及びそれを用いた応用製品が種々開発されており、例えば、高感度化のため、薄板化した水晶の破損を防止した水晶振動子、QCMセンサ、水晶振動子を採用したバイオチップ、水晶振動板上に感光性樹脂からなる被膜を形成した水晶素板を加工した水晶振動子等が開発されている(特許文献1、2、非特許文献1、2)。 しかし、QCMセンサが液量の計測に応用された報告例はない。また、従来、インクジェット液滴観察装置が開発されているが、これは、特にインクジェットの吐出に特化された技術であり、高速塗布評価、例えば、液滴速度、吐出角度、液滴体積等に関する実験の効率と精度を評価できるが、装置が大掛りであり、インクジェット吐出技術の研究開発用であり、積算計測及びディスペンサには不向きである。特開2003−222581号公報特開2003−234632号公報南戸秀仁、“感性を測るエレクトロニックノーズ”、表面科学、Vol.27,No.1, pp39−45(2006)セイコー・イージーアンドジー社の製品カタログ、水晶振動子バイオセンシングシステム、モデル:QCM934、2006年6月、Rev.1.1 このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、微量の液滴又は液を塗布する塗布装置の塗布量を高精度に計測することが可能な塗布量の計測方法及びその装置を開発することを目標として鋭意研究を重ねた結果、水晶振動子を用いた微量質量センサ(QCMセンサ)を用いることで微量液滴又は液の塗布量を高精度に計測できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、QCMセンサを用いて構築した微量液滴塗布システムを利用した塗布量の計測方法及びその装置を提供することを目的とするものである。 上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。(1)微量の液滴又は液を塗布する塗布装置の塗布量を計測する方法であって、水晶振動子を用いた微量質量センサ(QCMセンサ)に付着した被計測材料の質量から周波数の変化量を計測し、その計測値に基づいて塗布量制御のフィードバックを行い、塗布量を制御し、それにより、塗布される微量の液滴又は液の塗布量を計測することを特徴とする塗布量の計測方法。(2)塗布装置に配設したQCMセンサにより、上記周波数の変化量を計測することで、塗布される微量の液滴又は液の塗布量をその場計測により計測する、前記(1)記載の計測方法。(3)上記計測値に基づいて塗布量の少又は多の評価を行い、その評価結果から塗布条件を変更することにより塗布量制御のフィードバックを行う、前記(1)記載の計測方法。(4)上記塗布装置として、インクジェット又はディスペンサを用いる、前記(1)記載の計測方法。(5)微量の液滴又は液を塗布する塗布装置の塗布量を計測する計測システムであって、微量の液滴又は液を塗布する塗布装置、塗布量を制御する塗出制御手段、上記塗布装置による塗布量を計測する水晶振動子を用いた微量質量センサ(QCMセンサ)、上記QCMセンサに付着した被計測材料の質量から周波数の変化量を計測する周波数計測器、上記周波数計測器による計測値に基づいて塗布量制御のフィードバックを行うフィードバック機構を具備していることを特徴とする塗布量の計測装置。(6)上記塗布装置が、インクジェット又はディスペンサを備えた装置である、前記(5)記載の計測装置。(7)前記(5)又は(6)に記載の計測装置を、塗布装置を含む塗布設備に配設して、塗布装置から塗出される微量の液滴又は液の量を所定の値に制御して、液滴又は液の塗出量を管理することを特徴とする塗布装置における液滴又は液の塗出量の管理方法。 次に、本発明について更に詳細に説明する。 本発明は、微量の液滴又は液を塗布する塗布装置の塗布量を高精度に計測する方法であって、水晶振動子を用いた微量質量センサ(QCMセンサ)に付着した被計測材料の質量から周波数の変化量を計測し、その計測値に基づいて塗布量制御のフィードバックを行い、塗布量を制御し、それにより、塗布される微量の液滴又は液の塗布量を短時間で、かつ高精度に計測する、ことを特徴とするものである。 本発明では、塗布装置に組み合せて配設したQCMセンサにより、上記周波数の変化量を計測することで、ngレベルの微量の液滴又は液の塗布量をその場(in−situ)計測で計測すること、また、上記計測値に基づいて塗布量の少又は多の評価を行い、その評価結果から塗布条件を変更することにより塗布量制御のフィードバックを行うこと、更に、上記塗布装置として、インクジェット又はディスペンサを用いること、を好ましい実施の態様としている。 また、本発明は、微量の液滴又は液を塗布する塗布装置の塗布量を計測する計測システムであって、微量の液滴又は液を塗布する塗布装置、塗布量を制御する塗出制御手段、上記塗布装置による塗布量を計測する水晶振動子を用いた微量質量センサ(QCMセンサ)、上記QCMセンサに付着した被計測材料の質量から周波数の変化量を計測する周波数計測器、上記周波数計測器による計測値に基づいて塗布量制御のフィードバックを行うフィードバック機構、を具備してなることを特徴とするものである。本発明では、上記塗布装置が、インクジェット又はディスペンサを備えた装置であること、を好ましい実施の態様としている。 前述したように、従来、QCMセンサは、薄膜の厚みの計測等に実用化されている。このQCMセンサでは、重量変化にともなう周波数変換素子の周波数変化を測定する検出方法に水晶振動子を利用している。このセンサは、絶対量の質量の計測は難しいが、質量変化の計測に対しては、高感度であり、1ng以下の計測にも十分活用できる。従来、このセンサが、液量の計測に応用された例は無いが、本発明者らは、原理的には、微量の液滴又は液の重さを測ることは可能と考え、その実証試験を試みた。 ここで、QCMセンサの動作原理を説明をすると、周波数変化と質量変化の関係式のSauerbreyの式(数1)によると、周波数の変化量は、質量変化量となる。検知の原理は、計測する被計測材料がセンサに付着すると、センサ全体の質量が増大し、その変化分が周波数の変化量として計測することを特徴とするものである。 上記式のパラメーターは、ΔF=周波数の変化量、Fo=センサの周波数、A=電極面積、μ=水晶のせん断応力(2.947×10 10kg ms)、p=水晶の比重(2648kg/m3)、Δm=質量変化量、である。 このQCMセンサは、通常、1cm程度のパレット状のものであり、塗布装置に簡単に取り付け可能であり、塗布量のその場計測にも有利である。本発明では、このセンサを用いて、微量の液滴もしくは液を塗布する塗布装置の塗布量を計測することにより、塗布量を短時間でその場計測で計測することで、塗布装置の塗布量制御のフィードバックを実行し、塗布を行ことができる。本発明で、好適に利用できるQCMセンサとしては、例えば、京セラ製QCMセンサ素子等の市販製品が例示されるが、これに制限されるものではない。 本発明では、好適には、例えば、上記水晶振動子を用いた微量質量センサ(QCMセンサ)、周波数の変化量を計測する周波数計測器、塗布装置、塗出制御手段を備えた塗布システムが用いられる。このような塗布システムは、インクジェット又はディスペンサ等の、液滴プロセスを用いた生産プロセスの管理等に利用され、品質管理やその高効率化を図ることができる。本発明のシステム構成図の例を図1に示す。このQCMセンサのシステム構成は、ペーストを塗布するための塗布システム、塗布量を計測するためのQCMセンサ及び周波数計測器、塗出を制限するための塗布制御装置からなっている。 本発明において、塗布する被塗布材料としては、例えば、ペースト状材料、液滴、液材料が例示されるが、インクジェット又はディスペンサ等で塗布できる材料であれば、その種類は特に制限されるものではない。それらの具体例としては、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)に使われる、有機EL材料のインキが挙げられる。また、配線材料としては、インクジェットヘッドから金属材料を含んだインクを、金属層のパターンどおりに描画する。本発明の塗布システムの制御アルゴリズムの例を図2に示す。この場合、QCMセンサ、周波数計測器、塗布システムから構成される塗布システムを用いて、データベースに保存した初期塗布条件で塗布を開始して、テスト塗布を実施する。 QCMセンサで塗布量を計測し、塗布量が少又は多の場合は、その計測値と初期塗布条件に基づいて、適宜、塗布条件を変更して変更塗布条件を設定し、テスト塗布を実施する。一方、前記塗布量が適用範囲内の場合は、塗布を実施し、QCMセンサで塗布量を計測し、塗布量が適量の場合は、そのまま塗布を実施し、塗布量が少又は多の場合は、その計測値に基づいて、適宜、塗布条件を変更して変更塗布条件を設定し、これらの塗布条件をデータベースに記録、保存し、適量の塗布条件で塗布を継続する。 塗布量制御のフィードバックの場合、例えば、インクジェットでは、塗布のドロップパルスの幅を調整することで塗布量を減らしたり増やしたりすることができる。ディスペンサのような塗布の場合、塗布圧を調整することで、塗出量を調整し、塗布量を減らしたり増やしたりすることができる。本発明では、上述の塗布システムの制御アルゴリズムを用いて、塗布量のフィードバックを実行し、塗布量の調整が行われる。 本発明において、塗布装置に供給される被塗布材料は、インクジェット又はディスペンサにより塗布することができる液体、ペースト状態の原料、その中間品又は製品のいずれであっても良く、特に制限されるものではない。また、本発明で使用される水晶振動子を用いた微量質量センサとしては、例えば、市販製品として、京セラ製のQCMセンサ素子が例示されるが、それらに限定されるものではなく、適宜のQCMセンサを用いることができる。 本発明では、好適には、QCMセンサに付着した被計測材料の質量から周波数計測器により周波数の変化を計測し、その計測値に基づいて塗布量を計測し、塗布量制御のフィードバックを行い、好適な塗布条件を設定し、塗布を実行する。その場合、QCMセンサを塗布装置に配設して、塗布量をその場計測により計測することが好ましい。上記塗布量制御のフィードバックのためのアルゴリズムは、好適には、例えば、図2に示したものが用いられるが、特にこれに制限されるものではなく、任意の方式を採用することができる。 本発明の塗布量の計測方法及び装置を用いることで、塗布装置による1滴あたりの塗布量を高精度に計測することが可能であり、また、QCMセンサは、質量変化の計測に対しては高感度であり、1ng以下の計測にも十分活用することができるので、例えば、0.1pLの液滴の数滴程度の少ない滴数で塗出特性及びその変化を詳細に評価することが可能であり、それにより、塗布量の制御、塗布プロセスを含む生産工程の管理等を高精度に実施することが可能となる。本発明で、塗出特性の評価とは、1滴当たりの塗出量と連続塗布時の線形特性の評価である。 本発明のQCMセンサを用いる塗布量の計測方法及び装置の応用としては、液体の塗布プロセス以外に、さまざまな応用が可能である。例えば、食品、バイオ、医療関連プロセスで、薬液等を配合又は投与するシステムに応用すると、より正確に配合又は投与することが可能であり、それらのプロセスの信頼性向上及び高効率化を図ることができる。 本発明により、次のような効果が奏される。(1)QCMセンサを用いて、微量の液滴もしくは液を塗布する塗布装置の塗布量を計測することで、ngレベルの塗布量を短時間で、かつ高精度に計測することが可能で、しかも塗布量制御のフィードバックが可能となる。(2)小型であるQCMセンサを塗布装置の一部として組み込むことで、塗布量をその場計測で計測し、塗布量制御のフィードバックを実行することができる。(3)QCMセンサを用いることで、微量の液滴の評価ができるため、塗布プロセスと当該プロセス間の均一塗布性を高精度に確認することができる。(4)本発明の計測制御システムを利用することにより、塗布プロセスを含む生産工程の効率を上げることが可能となる。(5)本発明の計測システムを利用することにより、塗布プロセスの品質管理を容易にすることが可能となる。(6)小型軽量のQCMセンサを塗布装置の一部として組み込むことで、他の計測機器と比べて塗布部の移送を高速かつ高精度で実現できる。 次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。(1)塗布システムの構成 本実施例では、図1に示されるQCMセンサのシステム構成において、塗布装置としてインクジェットを用いて塗布量の計測装置を構成した。すなわち、塗布材料として、イソプロパノール(i−propanol)を使用し、QCMセンサ(多摩デバイス製HC−49/U型水晶センサ)、周波数計測器(多摩デバイス製THQ−10D型)を具備する塗布量計測手段を備えた塗布システムを構築した。(2)塗布量制御のフィードバックシステム 図2に示されるシステムの制御アルゴリズムを利用して、塗布量制御のフィードバックシステムを作成した。すなわち、QCMセンサ、周波数計測器、インクジェット、塗出制御手段を含む塗布システムを用いて、データベースに保存した初期塗布条件で塗布を開始し、テスト塗布を実施した。QCMセンサで塗布量を計測し、その計測値と初期塗布条件を対照させて、塗布量の少又は多に応じて、塗布条件を変更し、変更塗布条件を設定して、塗布量が適用範囲内になるように塗布量制御のフィードバックを実行した。 上記適用範囲内に設定した塗布量でバッチプロセスにより塗布を実施し、QCMセンサで塗布量を計測し、その適量の値をデータベースに記録、保存した。また、塗布量が少又は多の場合には、塗布条件を変更し、変更塗布条件を設定する塗布量制御のフィードバックを実行した。(3)インクジェットシステム 本実施例では、上述のように、インクジェットシステムを用いて、QCMセンサにより塗布量の測定を行った。溶液としては、i−propanolを用いた。塗布条件としては、period 0.618 ms、delay 0.605 ms、温度は29℃とした。図3に、インクジェットの異なる塗布量(ドロップパルス数)に対する周波数シフト(Hz)と経時変化の関係を示す。横軸は時間経過(秒単位)、縦軸は周波数シフト(Hz)、グラフの100〜2000はドロップパルスで表した塗布量を示す。 図3に示された周波数シフト(Hz)と経時変化の関係から、QCMセンサの応答には、いずれの塗布量(パルス数)においても、数秒以上の時間が必要であることが明確に分かる。周波数シフトは、ピーク値を示してから減少しているが、これは、溶液が蒸発したためと考えられ、蒸発しやすい溶液に対しては、計測時間に注意が必要であることが分かった。 図4に、インクジェットドロップパルスとQCMセンサの周波数シフト(Hz)ピーク値の関係を示す。横軸はドロップパルス数、左の縦軸は周波数変化のピーク値/Hz、右の縦軸は1ドロップパルス当たりの塗布量を示す。図4では、QCMセンサの周波数シフト(Hz)ピーク値を塗布量と見なし、ドロップパルス数でプロットした。ΔF(Hz)=1.153Δm(ng)の式を用いて、Δmを計算(ng)して、1パルス当たりの量/ngとして右の縦軸に示した。その結果、1ドロップあたりの量は、約0.25ngであり、1ドロップ当たりの塗布量をngレベルで計測できることが実証された。また、1000パルスの前後で補正式を変える必要があることが分かった。 本実施例では、塗布装置としてディスペンサを用いた他は、実施例1と同様にして、塗布システム及び塗布量制御のフィードバックシステムを構築した。本実施例では、ディスペンサによる水の塗布について、液滴量の計測を試みた。図5に、ディスペンサで塗布した水の液滴量とQCMセンサの周波数シフト(Hz)ピーク値の関係を示す。横軸は水量(micro−liter)、縦軸は変化周波数を示す。本来であればΔF=1153Δmとなるはずのものが、プロットからは、ΔF=157Δmであった。これは、予測と一桁異なるが、ある程度の指標としては応用可能であると評価される。 以上詳述したように、本発明は、微量液滴塗布システムに係るものであり、本発明により、QCMセンサを用いて、微量の液滴もしくは液を塗布する塗布装置の塗布量を計測することで、ngレベルの塗布量を短時間で、かつ高精度に計測することが可能で、しかも塗布量制御のフィードバックが可能となる。また、本発明により、小型であるQCMセンサを塗布装置の一部として組み込むことで、塗布量をその場計測で計測し、塗布量制御のフィードバックを実行することができる。また、QCMセンサを用いることで、微量の液滴の評価ができるため、塗布プロセスと当該プロセス間の均一塗布性を高精度に確認することができる。本発明は、QCMセンサを微量塗布システムに適用した、インクジェット又はディスペンサによる塗布量をngレベルで計測することを可能とする新しい計測方法及びその装置を提供するものとして有用である。QCMセンサのシステム構成を示す。システムの制御アルゴリズムを示す。インクジェットの異なる塗布量(パルス数)に対する周波数シフト(Hz)経時変化を示す。インクジェットドロップパルスとQCMセンサの周波数シフト(Hz)ピーク値の関係を示す。右の縦軸は、1パルス当りの塗布量示す。ディスペンサで塗布した水の液滴量とQCMセンサの周波数シフト(Hz)ピーク値の関係を示す。 微量の液滴又は液を塗布する塗布装置の塗布量を計測する方法であって、水晶振動子を用いた微量質量センサ(QCMセンサ)に付着した被計測材料の質量から周波数の変化量を計測し、その計測値に基づいて塗布量制御のフィードバックを行い、塗布量を制御し、それにより、塗布される微量の液滴又は液の塗布量を計測することを特徴とする塗布量の計測方法。 塗布装置に配設したQCMセンサにより、上記周波数の変化量を計測することで、塗布される微量の液滴又は液の塗布量をその場計測により計測する、請求項1記載の計測方法。 上記計測値に基づいて塗布量の少又は多の評価を行い、その評価結果から塗布条件を変更することにより塗布量制御のフィードバックを行う、請求項1記載の計測方法。 上記塗布装置として、インクジェット又はディスペンサを用いる、請求項1記載の計測方法。 微量の液滴又は液を塗布する塗布装置の塗布量を計測する計測システムであって、微量の液滴又は液を塗布する塗布装置、塗布量を制御する塗出制御手段、上記塗布装置による塗布量を計測する水晶振動子を用いた微量質量センサ(QCMセンサ)、上記QCMセンサに付着した被計測材料の質量から周波数の変化量を計測する周波数計測器、上記周波数計測器による計測値に基づいて塗布量制御のフィードバックを行うフィードバック機構を具備していることを特徴とする塗布量の計測装置。 上記塗布装置が、インクジェット又はディスペンサを備えた装置である、請求項5記載の計測装置。 請求項5又は6に記載の計測装置を、塗布装置を含む塗布設備に配設して、塗布装置から塗出される微量の液滴又は液の量を所定の値に制御して、液滴又は液の塗出量を管理することを特徴とする塗布装置における液滴又は液の塗出量の管理方法。 【課題】微量液滴塗布システムを提供する。【解決手段】微量の液滴又は液を塗布する塗布装置の塗布量を計測する方法であって、水晶振動子を用いた微量質量センサ(QCMセンサ)に付着した被計測材料の質量から周波数の変化量を計測し、その計測値に基づいて塗布量制御のフィードバックを行い、塗布量を制御し、それにより、塗布される微量の液滴又は液の塗布量を計測することを特徴とする塗布量の計測方法、及びその計測装置。【効果】ngレベルの塗布量を短時間で、かつ高精度に計測することが可能で、しかも塗布量をその場計測で計測し、塗布量制御のフィードバックにより微量の液滴又は液の塗布量を高精度に評価することができる。【選択図】図1


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