生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_抗疲労食品素材及び抗疲労食品
出願番号:2007082940
年次:2008
IPC分類:A23L 1/30,A61K 31/7004,A61P 3/00,A61K 36/18


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具 然和 池内 眞弓 諏佐 智之 矢澤 一良 JP 2008237117 公開特許公報(A) 20081009 2007082940 20070327 抗疲労食品素材及び抗疲労食品 株式会社キノス 504054516 清原 義博 100082072 具 然和 池内 眞弓 諏佐 智之 矢澤 一良 A23L 1/30 20060101AFI20080912BHJP A61K 31/7004 20060101ALI20080912BHJP A61P 3/00 20060101ALI20080912BHJP A61K 36/18 20060101ALI20080912BHJP JPA23L1/30 ZA23L1/30 BA61K31/7004A61P3/00A61K35/78 C 6 OL 14 4B018 4C086 4C088 4B018MD61 4B018ME14 4B018MF01 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA05 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZC21 4C088AB15 4C088BA08 4C088BA31 4C088NA14 4C088ZC21 本発明は、抗疲労食品素材並びに該食品素材を含有してなる抗疲労食品に関し、詳細には、少なくともベンジルグルコシノレートを含む抗疲労食品素材及び該食品素材を含有してなる抗疲労食品に関する。 現在、「疲労」は大きな社会問題となっており、「過労死(Karoshi)」という言葉は、不名誉な日本発の国際語である。これは長時間過密の働きすぎによる突然死を指し、社会問題として大きくクローズアップされている。このように疲労の問題は社会的、経済的にも重要なものであるにもかかわらず、その対策はいまだ立ち遅れているのが現状である。 抗疲労食品に関して、例えば、特許文献1には、焙煎コーヒー豆の抽出物を含有し、経口摂取により精神的ストレスを緩和させる作用を有した飲食品が精神的ストレスの緩和のために用いられる旨が開示されている。特許文献2には、プロアントシアニジン、ブドウ種子、皮の抽出物又は赤ワインエキスを含む抗疲労ドリンク剤が開示されている。 これら特許文献が示すように、疲労に関する研究が徐々に進んでいる。しかしながら、現代社会には未だ疲労が蔓延しており、疲労回復に有効な抗疲労食品の創出が望まれているのが現状である。 マカ(Lepidium. meyenii Walp.)は、アンデス山脈のアブラナ科(異名Cruciferae,)に属する作物である。レピディアム属は、およそ175種(Mummenhoffほか1992)から成り、南極大陸を除いて世界中全ての大陸に広く分布している。このマカは、現地では民間伝承薬として用いられ、貧血症、不妊症あるいは精力減退症などへの有効性が知られている。例えば、特許文献3には、マカを含有する血中成長ホルモン量上昇、持久力増加作用を有する機能性食品が開示されている。また、特許文献4には、マカを含有するテストステロン増加組成物が開示されている。特開2006−081513号公報特開平11−318402号公報特開2004‐000171号公報特開2005‐306754号公報 本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、天然物由来成分を含む抗疲労食品素材及び抗疲労食品を提供することを課題とする。詳細には、マカ(Lepidium meyenii-Walp, Cruciferae)に含まれるベンジルグルコシノレートを有効成分として含む抗疲労食品素材並びに該食品素材を含有してなる抗疲労食品を提供することを課題とする。 本発明者らは、天然物であるマカ(Lepidium meyenii-Walp, Cruciferae)に含まれるベンジルグルコシノレートが優れた抗疲労効果を示すことを見出し本発明に至った。 請求項1に係る発明は、下式(化1)で示されるベンジルグルコシノレートを含む抗疲労食品素材に関する。 請求項2に係る発明は、マカ(Lepidium meyenii-Walp, Cruciferae)及び/又はナスタチウム(Tropaeolum majus)の、抽出物及び/又は濃縮抽出物からなり、少なくとも下式(化2)で示されるベンジルグルコシノレートを含む抗疲労食品素材に関する。 請求項3に係る発明は、マカ(Lepidium meyenii-Walp, Cruciferae)及び/又はナスタチウム(Tropaeolum majus)の、葉、地下部、種子、芽の少なくとも1つからなり、少なくとも下式(化3)で示されるベンジルグルコシノレートを含む抗疲労食品素材に関する。 請求項4に係る発明は、前記抽出物及び/又は濃縮抽出物が、水及び/又はエタノールの抽出溶媒を使用して得られる抽出物及び/又は濃縮抽出物であることを特徴とする請求項2記載の抗疲労食品素材に関する。 請求項5に係る発明は、請求項1乃至4いずれかに記載の抗疲労食品素材を含有してなる抗疲労食品に関する。 請求項6に係る発明は、前記抗疲労食品素材が、ベンジルグルコシノレート含量0.00001〜10重量%となるように含有してなることを特徴とする請求項5記載の抗疲労食品に関する。 本発明の抗疲労食品素材及び抗疲労食品は、有効成分としてベンジルグルコシノレートを含むから、優れた疲労回復効果を有する。詳細には、疲労が蓄積した被験物の脳内ホルモン分泌低下を抑制する。 本発明の抗疲労食品素材及び抗疲労食品の他の有利な点は、その抗酸化効果によりストレスを軽減することができる。さらにその抗酸化効果により、活性酸素により引き起こされるような老化、皮膚のシワ形成等、或いは不飽和脂肪酸が体内で活性酸素によって酸化され生成される過酸化脂質により引き起こされ得る様々な症状を防ぐことができる。 本発明の抗疲労食品素材は、下式(化4)で示されるベンジルグルコシノレート(学名:Benzyl glucosinolate)を含む。 他の実施形態として、本発明の抗疲労食品素材は、マカ(Lepidium meyenii-Walp, Cruciferae)及び/又はナスタチウム(Tropaeolum majus)の抽出物及び/又は濃縮抽出物からなり、少なくとも上式(化4)で示されるベンジルグルコシノレートを含む。 本発明に係るマカ(Lepidium meyenii-Walp, Cruciferae)(以下、マカという)は、多年生草本で、ペルー等の中央アンデスの標高4000〜4500m程度の高山地で栽培されている根菜である。現地では民間伝承薬として用いられ、滋養強壮、栄養不良、貧血症、不妊症あるいは精力減退症などへの有効性が知られている。マカは、タンパク質、アミノ酸、ミネラル、ビタミン、必須脂肪酸等の成分を含んでいる。 ナスタチウム(Tropaeolum majus)(以下、ナスタチウムという)は、春まき1年草として花壇や鉢植えに栽培される多年草で、原種はつる性で長さ1〜2mにのび、葉はハスの葉に似た楯状である。その原産地は、ペルー、コロンビア、ブラジルのアンデス山系の高地であり、ナスタチウム(Masturtium)という英名は、オランダガラシ(Nasturtium officinale)のことであるが、両者の辛さが類似することからこの名がある。 本発明の抗疲労食品素材が、マカ及び/又はナスタチウムの抽出物又は濃縮抽出物からなる場合、マカ及び/又はナスタチウムの、葉、地下部、種子、芽等のいずれの部位を使用して抗疲労食品素材を製造してもよいが、好ましくは、マカの地下部、ナスタチウムの葉部の抽出物又は濃縮抽出物が使用される。尚、前記地下部は胚軸及び根を含む。抽出前に、予め植物を乾燥、細切、又は粉砕など加工を施した加工物を抽出してもよいし、或いはマカ及び/又はナスタチウムを何ら加工せずそのまま使用して抽出物又は濃縮抽出物を得てもよい。 本発明に係るマカ及び/又はナスタチウムの抽出物又は濃縮抽出物の製造方法は好ましくは次の通りである。 マカ及び/又はナスタチウムの乾燥物、細切物、或いは粉砕物などの加工物、或いは加工していないそのままのマカ及び/又はナスタチウムを低温加熱抽出する。この際に使用される抽出溶媒として、水、エタノール、或いは水とエタノールの混合溶液が挙げられるが、好ましくは、水とエタノールの混合溶液である。さらに好ましくは水:エタノールが重量比率1:6〜8で混合されてなるエタノール水溶液である。特にマカ及び/又はナスタチウムのエタノールと水の混合溶液による抽出物を使用すると、ベンジルグルコシノレートが優先的に抽出されるため工業的利便性に優れるとともに、得られた抗疲労食品素材は高い抗疲労効果を奏することとなる。 さらに、ろ過して抽出液を得た後、この抽出液を濃縮する。濃縮物を液状のまま使用してその濃縮抽出物を本発明の抗疲労食品素材としてもよい。或いは、濃縮の後、凍結乾燥又は粉砕することにより得られる抽出物を本発明の抗疲労食品素材としてもよい。 他の実施形態として、本発明の抗疲労食品素材は、マカ及び/又はナスタチウムの葉、地下部、種子、芽等のいずれか一種以上の部位からなり、少なくとも上式(化4)で示されるベンジルグルコシノレートを含む。尚、前記地下部は胚軸及び根を含む。 前記実施形態において、マカは、葉、地下部、種子、芽等のいずれの部位を使用してもよいが、好ましくは地下部が使用される。ナスタチウムは、葉、地下部、種子、芽等のいずれの部位を使用してもよいが、好ましくは葉が使用される。本発明の抗疲労食品素材とするために、マカ及び/又はナスタチウムを加工せずにそのまま使用してもよいし、乾燥、細切、或いは粉砕などした加工物で抗疲労食品素材を製造してもよい。 その他の実施形態として、本発明の抗疲労食品素材は、少なくともベンジルグルコシノレートを含有するパパイア(Carica.papaya L.)の抽出物又は濃縮抽出物を使用して製造されてもよい。パパイアの葉、地下部、種子、芽等のいずれの部位を使用してもよいが、好ましくはパパイアの種子が使用される。尚、前記地下部は胚軸及び根を含む。 抽出方法としては、この種子の乾燥物、細切物、或いは粉砕物などの加工物、或いは加工していないそのままのパパイアを低温加熱抽出する。この際に使用される抽出溶媒として、水及び/又はエタノールが挙げられる。ろ過して抽出液を得た後、この抽出液を濃縮する。濃縮物を液状のまま、即ち濃縮抽出物を使用して本発明の抗疲労食品素材としてもよい。或いは、濃縮の後、凍結乾燥又は粉砕することにより抽出物を得て、本発明の抗疲労食品素材としてもよい。 他の実施形態として、本発明の抗疲労食品素材は、前記パパイアをそのまま使用してもよい。使用される部位としては、パパイアの葉、胚軸及び根を含む地下部、種子、芽等のいずれの部位を使用してもよい。好ましくはパパイアの種子が使用される。 その他の実施形態として、本発明の食品素材は、少なくとも上式(化4)で示されるベンジルグルコシノレートを含むワサビノキ(Moringa Oleifera)又はMoringa stenopetalaの抽出物又は濃縮抽出物を使用して製造されてもよい。ワサビノキ又はMoringa stenopetalaの葉、胚軸及び根を含む地下部、種子、芽、根等のいずれの部位を使用してもよいが、好ましくはワサビノキ又はMoringa stenopetalaの葉及び根が使用され、例えば、次のような方法により濃縮抽出物及び/又は抽出物を得ることができる。前記部位の乾燥物、細切物、或いは粉砕物などの加工物、或いは加工していないそのままのパパイアを低温加熱抽出する。この際に使用される抽出溶媒として、水及び/又はエタノールが挙げられる。さらにろ過して抽出液を得た後、この抽出液を濃縮する。濃縮物を液状のまま、即ち濃縮抽出物を使用して本発明の抗疲労食品素材としてもよい。或いは、濃縮の後、凍結乾燥又は粉砕することにより抽出物を得て、本発明の抗疲労食品素材としてもよい。 他の実施形態として、本発明の抗疲労食品素材は、ワサビノキ又はMoringa stenopetalaをそのまま使用してもよい。使用される部位としては、ワサビノキ又はMoringa stenopetalaの葉、胚軸及び根を含む地下部、種子、芽、根等のいずれの部位を使用してもよい。好ましくはワサビノキ又はMoringa stenopetalaの葉及び根が使用される。 本発明の抗疲労食品は、前記抗疲労食品素材を含有してなる。 本発明の抗疲労食品には、前記抗疲労食品素材が、ベンジルグルコシノレート含量が0.00001〜10重量%となるように含有される。より詳細には、本発明の抗疲労食品が、健康食品等の錠剤形状とされる場合は、抗疲労食品素材は、ベンジルグルコシノレート含量が0.1〜3重量%となるように含有される。例えば、ペットボトル飲料等の飲料水とされる場合は0.00001〜0.0001重量%となるように含有される。例えば、菓子類や加工食品等の嗜好食品おいては、抗疲労食品素材が、ベンジルグルコシノレート含量が0.00001〜10重量%となるように含有される。この理由は、このような嗜好食品においてベンジルグルコシノレートが10重量%を超えると、舌触り、味覚等に劣るため好ましくない。また、0.00001重量%未満の場合は、抗疲労や抗酸化の効果が期待できないためいずれの場合も好ましくないからである。 本発明の抗疲労食品には、好ましくは、前記抗疲労食品素材の他に、ビタミンCが含有される。このビタミンCを含むことにより、本発明の抗疲労食品は酸化ストレスから産生される活性酸素を抑える効果を奏するとともに、相乗的に優れた抗疲労効果を示す。 本発明の抗疲労食品には、食品の種類に応じて慣用の添加剤を使用することができる。 添加剤としては、例えば、賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤又は可塑剤などが挙げられる。 前記賦形剤としては、例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール或いはキシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖或いは果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、りん酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、βーシクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。 前記pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、リン酸水素ナトリウム又はリン酸二カリウムなどが挙げられる。前記清涼化剤としては、例えばl−メントール又はハッカ水などが挙げられる。前記懸濁化剤としては、例えば、カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロース又はトラガントなどが挙げられる。前記消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサン又はシリコン消泡剤などが挙げられる。 前記粘稠剤としては、例えばキサンタンガム、トラガント、メチルセルロース又はデキストリンなどが挙げられる。前記溶解補助剤としては、例えばエタノール、ショ糖脂肪酸エステル又はマクロゴールなどが挙げられる。前記崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ又は部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。前記結合剤としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。 前記滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウ又はサラシミツロウなどが挙げられる。 本発明の抗疲労食品には、必要に応じて、他の生理活性成分、ミネラル、ビタミン、ホルモン、栄養成分、香料などの添加物を混合することができる。これらの添加物はいずれも一般的に食品に用いられるものが使用できる。 本発明の抗疲労食品の形状としては、例えば、ハードカプセル、ソフトカプセルのようなカプセル、錠剤、丸剤、顆粒状などの形状に加工され得る。本発明の抗疲労食品は、例えば健康食品として供給することができる。 他の実施形態としては、本発明の抗疲労食品素材を食品に添加して、抗疲労食品を製造してもよい。前記食品としては、例えば、スナック、ビスケット、クッキー、チョコレート等の菓子類、ジュース、お茶等の飲料水等が挙げられる。 尚、本発明の抗疲労食品は、ベンジルグルコシノレートの1日摂取量が1〜5mgとなるように摂取することが好ましい。1日摂取量が1mg未満の場合は、十分な抗疲労効果が期待できず、また5mgを超えて摂取してもそれ以上の効果が期待できないと推測されるためいずれの場合も好ましくない。 次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。 本発明の抗疲労食品素材に含まれるベンジルグルコシノレートについて、マウスを使用して抗疲労効果及び抗酸化効果に関する試験を行った。(実験方法/使用マウスとその飼育・試験方法) 試験には、BALB/cマウス、メス、8週齢を使用し、(1)コントロール運動負荷群(20匹)(2)コントロール明暗負荷群(19匹)、(3)ベンジルグルコシノレート投与運動負荷群(20匹)、(4)ベンジルグルコシノレート投与明暗負荷群(19匹)とした。尚、(1)〜(4)のBALB/cマウスは全ての予備飼育を行ったものである。 試験方法に関して、図1を参照する。図1中[投与開始]から[投与終了]の間の12週間、ベンジルグルコシノレート投与群((3)及び(4))に対し、ベンジルグルコシノレート(Benzyl glucosinolate[Lot. 07300-102,CHROMADEC INC])を1回0.03mg/kgの割合で1日1回、経口投与を行った。コントロール群((1)及び(2))については同量の蒸留水を経口投与により同じ期間行った。 [投与開始]から4週間後に負荷を開始する。図1中[負荷開始]において、運動負荷群((1)と(3))には、動物用トレッドミル(品名:スモールランニングボール、製造元:MR-24 株式会社 マルカン)を用い、5日/週、1日20分の運動を行った。明暗負荷群((2)と(4))に対しては、ケージから30cmの位置から200W白熱灯(品名:クリップランプ、製造元:LC−200 株式会社高儀)で45分間、毎日照明をあてた。 図1中[負荷終了]において、運動負荷及び明暗負荷を終了した。尚、[負荷開始]から[負荷終了]まで4週間である。 [負荷終了]から4週間後に、投与(ベンジルグルコシノレート投与群((3)及び(4))に対しベンジルグルコシノレート、コントロール群((1)及び(2))に対し蒸留水)を終了した。尚、[負荷終了]から[投与終了]は4週間である。(採血方法) [負荷開始]、[負荷終了]、[投与終了]時に、各群より血球測定及び眼底採血、心臓採血をし、得た血液から血清を採取し冷凍保存した。全採血終了後、各血清について抗酸化濃度及びEIA kitを用いて脳内ホルモンの測定を行った。(体重測定) [投与開始]から[投与終了]までの間、1週間ごとにマウスの体重測定を行った。(ルミノール反応によるAAPH測定方法と結果) マウス群((1)〜(4))から得られた血清を0.1MPBS(pH7)にて100倍に希釈し、AAPH試薬を加えたものをサンプルとした。ルミネッセンスリーダーにサンプルを挿入し、37℃に10分加温時点でルミノール試薬を注入し、発光量を測定した。発光量が少ないほどラジカル消去(Radical scavenging)能力が高い。すなわち発光量が少ないほど抗酸化濃度が高いと言える。結果を図2に示す。 図2が示すとおり、コントロール群と比較してベンジルグルコシノレート投与群にAAPH発光の減少が見られた。即ち、ベンジルグルコシノレート投与群において、抗酸化効果を示した。従って、本発明に係るベンジルグルコシノレートは抗酸化効果を奏するから、抗酸化食品素材或いは抗酸化食品としても好適に使用できる。(マウスの体重測定結果) 図3を参照する。図3が示すとおり、コントロール群と比較してベンジルグルコシノレート投与群では負荷時に体重の減少が少なかった。即ち、ベンジルグルコシノレート投与によって、疲労負荷による体重減少が抑えられた。(免疫増強効果に関する試験結果) 図4乃至6は、(1)〜(4)マウス群の血清中の白血球(図4)及びリンパ球(図5)、顆粒球(図6)の数を示す。これらの図が示す通り、明暗負荷マウスにおいて白血球及びリンパ球の数、顆粒球の数の減少抑制が見られた。運動負荷マウスにおいては白血球及びリンパ球数の減少抑制、顆粒球数の上昇が見られた。このことから、ベンジルグルコシノレートを投与することにより、運動及び明暗負荷による免疫機能の低下が改善されたことがわかる。(EIA kitを用いた脳内ホルモンの測定結果) 図7は、(1)〜(4)マウス群の血清中のセロトニン濃度を測定した結果である。図7が示すとおり、ベンジルグルコシノレート投与群において、負荷終了時にセロトニン濃度の低下抑制が見られた。従って、ベンジルグルコシノレート投与によるセロトニン濃度の低下抑制により抑うつ感が軽減されたと考えられる。 図8は、(1)〜(4)マウス群の血清中のドーパミン濃度を測定した結果である。ベンジルグルコシノレート投与群において、負荷終了時にドーパミン濃度の上昇が見られた。従って、ベンジルグルコシノレート投与によるドーパミン濃度上昇により、疲労感が低減されたと考えられる。 以上の試験結果から、ベンジルグルコシノレートは、抗酸化効果によりストレスを軽減するとともに、疲労マウスにおいて、脳内ホルモン分泌低下を抑制することが確認できた。 さらに、本発明の抗疲労食品素材に含まれるベンジルグルコシノレートについて、マウスを使用して持久力向上効果及び抗疲労効果に関する試験を行った。(ベンジルグルコシノレート投与による遊泳運動への影響) Std: ddYマウス、4週齢オスを7日間予備飼育した後、(A)コントロール、(B)マカ抽出物30mg/kg、(C)ベンジルグルコシノレート0.03mg/kg、(D)ベンジルグルコシノレート0.015mg/kg、(E)ベンジルグルコシノレート0.0075mg/kgに群分けし投与を行った。(2回目n=10) 尚、(B)マカ抽出物は、マカの地下部を含水エタノールで抽出し、フリーズドライ加工を経て粉末化したものである。(強制遊泳実験) マウスの尾部に体重の10%の重りを負荷し、マウスが水面下に頭部を完全に5秒間沈めるまでの時間を測定し、遊泳持続時間を持久時間とし判定を行った。遊泳運動は1週間毎に実施した。結果を図9に示す。図9において、横軸は時間(週)、縦軸は時間(分)を示す。(一定時間の強制遊泳実験) マウスに5%の重りを負荷し、15分間の遊泳運動を行わせ、その際、遊泳運動前・遊泳運動中(5、10、15分)・遊泳運動後(10、30、60分)に尾部より採血し、血液中グルコース(図10)、血液中乳酸(図11)、遊離脂肪酸(図12)の測定を行った。尚、図12及び13のグラフの横軸は時間(分)である。さらに、図13には、遊泳運動前後の肝臓グリコーゲン量の変化、図14には5週間投与後の脂肪組織重量の変化を示した。 図9乃至14に示されるとおり、本発明に係るマカ抽出物、又はベンジルグルコシノレートを投与したマウスにおいて、マウスの遊泳時間の延長が認められ、遊泳運動による血液中乳酸の上昇を抑制するとともに、運動時に、血液中遊離脂肪酸の上昇が認められた。さらに、ベンジルグルコシノレートは、マウスの脂肪組織重量を減少させ、運動時の組織中グリコーゲンの減少を抑えた。以上のことより、本発明の食品素材は、抗疲労及び抗酸化効果を付与するばかりか、運動時に糖代謝よりも脂質代謝を促進し、本発明の食品素材は、運動時のエネルギー源として使用されうることが分かった。 即ち、本発明の食品素材は持久力向上及び抗疲労効果を有するから、抗疲労食品素材として好適に使用できる。(マカ抽出物の血液中ヘモグロビン濃度への影響に関する試験) 4週齢のマウス(n=10)を用い、コントロール群と2つの投与群(マカ抽出物6mg/kg、30mg/kg)の3群に分け4週間の経口投与を行った。尚、このマカ抽出物は、マカの地下部を含水エタノールで抽出し、フリーズドライ加工後粉末化としたものである。各群について、4週間投与後の血液中ヘモグロビン濃度の測定を行った。結果を図15に示す。 図15が示すとおり、マカ抽出物が投与されたマウスにおいて、血液中ヘモグロビン濃度の上昇が認められた。これにより、血液中ヘモグロビン濃度の増加によって組織への酸素供給量が増加するから、本発明に係るマカ抽出物は運動時のエネルギー源となり得ることが分かった。本発明の実施例における試験方法(マウスの飼育と試験方法)を説明するための図である。(1)コントロール運動負荷群、(2)コントロール明暗負荷群、(3)ベンジルグルコシノレート投与運動負荷群、(4)ベンジルグルコシノレート投与明暗負荷群の、「投与開始」から「投与終了」の間の1週間ごとの体重測定結果(平均値±標準誤差(t-test (n=8))/*P<0.05,**P<0.01 vs コントロール群)を示す。(1)コントロール運動負荷群、(2)コントロール明暗負荷群、(3)ベンジルグルコシノレート投与運動負荷群、(4)ベンジルグルコシノレート投与明暗負荷群におけるAPPH発酵測定結果(平均値±標準誤差(t-test (n=8))/*P<0.05,**P<0.01 vs コントロール群)を示す。(1)コントロール運動負荷群、(2)コントロール明暗負荷群、(3)ベンジルグルコシノレート投与運動負荷群、(4)ベンジルグルコシノレート投与明暗負荷群における白血球数の測定結果(平均値±標準誤差(t-test (n=8)))を示す。(1)コントロール運動負荷群、(2)コントロール明暗負荷群、(3)ベンジルグルコシノレート投与運動負荷群、(4)ベンジルグルコシノレート投与明暗負荷群におけるリンパ球数の測定結果(平均値±標準誤差(t-test (n=8))/**P<0.01 vs コントロール群)を示す。(1)コントロール運動負荷群、(2)コントロール明暗負荷群、(3)ベンジルグルコシノレート投与運動負荷群、(4)ベンジルグルコシノレート投与明暗負荷群における顆粒球数の測定結果(平均値±標準誤差(t-test (n=8))/**P<0.01 vs コントロール群)を示す。(1)コントロール運動負荷群、(2)コントロール明暗負荷群、(3)ベンジルグルコシノレート投与運動負荷群、(4)ベンジルグルコシノレート投与明暗負荷群におけるセロトニン濃度の測定結果(平均値±標準誤差)を示す。(1)コントロール運動負荷群、(2)コントロール明暗負荷群、(3)ベンジルグルコシノレート投与運動負荷群、(4)ベンジルグルコシノレート投与明暗負荷群におけるドーパミン濃度の測定結果(平均値±標準誤差)を示す。(A)コントロール、(B)マカ抽出物30mg/kg群、(C)ベンジルグルコシノレート0.03mg/kg群、(D)ベンジルグルコシノレート0.015mg/kg群、(E)ベンジルグルコシノレート0.0075mg/kg群における強制遊泳実験結果である。(平均値±標準誤差の値を示す。コントロール群に対し*: p<0.05, **: p<0.01, ***: p<0.005 )(A)コントロール、(B)マカ抽出物30mg/kg群、(C)ベンジルグルコシノレート0.03mg/kg群、(D)ベンジルグルコシノレート0.015mg/kg群、(E)ベンジルグルコシノレート0.0075mg/kg群における15分間の遊泳運動負荷による血液中グルコース量の変化である。(平均値±標準誤差の値を示す。コントロール群に対し*: p<0.05, **: p<0.01, ***: p<0.005)(A)コントロール、(B)マカ抽出物30 mg/kg群、(C)ベンジルグルコシノレート0.03 mg/kg群、(D)ベンジルグルコシノレート0.015mg/kg群、(E)ベンジルグルコシノレート0.0075mg/kg群における15分間の遊泳運動負荷による血液中乳酸量の変化を示す。(平均値±標準誤差の値を示す。コントロール群に対し*: p<0.05, **: p<0.01, ***: p<0.005)(A)コントロール、(B)マカ抽出物30 mg/kg群、(C)ベンジルグルコシノレート0.03mg/kg群、(D)ベンジルグルコシノレート0.015mg/kg群、(E)ベンジルグルコシノレート0.0075mg/kg群における15分間の遊泳運動負荷による血液中遊離脂肪酸量の変化を示す。(平均値±標準誤差の値を示す。コントロール群に対し *: p<0.05, **: p<0.01, ***: p<0.005)(A)コントロール、(B)マカ抽出物30 mg/kg群、(C)ベンジルグルコシノレート0.03mg/kg群、(D)ベンジルグルコシノレート0.015mg/kg群、(E)ベンジルグルコシノレート0.0075mg/kg群における遊泳運動前後の肝臓グリコーゲン量の変化を示す。(平均値±標準誤差の値を示す。遊泳運動前に対し ***: p<0.01, コントロール群に対し、#: p<0.05, ###: p< 0.005 (遊泳運動後)、図中、遊泳運動前が黒グラフ、遊泳運動後が白グラフである。)(A)コントロール、(B)マカ抽出物30 mg/kg群、(C)ベンジルグルコシノレート0.03mg/kg群、(D)ベンジルグルコシノレート0.015mg/kg群、(E)ベンジルグルコシノレート0.0075mg/kg群における脂肪組織重量の変化を示す。(平均値±標準誤差の値を示す。コントロール群に対し*: p<0.05)マカ抽出物の血液中ヘモグロビン濃度への影響に関する試験結果である。 下式(化1)で示されるベンジルグルコシノレートを含む抗疲労食品素材。 マカ(Lepidium meyenii-Walp, Cruciferae)及び/又はナスタチウム(Tropaeolum majus)の、抽出物及び/又は濃縮抽出物からなり、少なくとも下式(化2)で示されるベンジルグルコシノレートを含む抗疲労食品素材。 マカ(Lepidium meyenii-Walp, Cruciferae)及び/又はナスタチウム(Tropaeolum majus)の、葉、地下部、種子、芽の少なくとも1つからなり、少なくとも下式(化3)で示されるベンジルグルコシノレートを含む抗疲労食品素材。 前記抽出物及び/又は濃縮抽出物が、水及び/又はエタノールの抽出溶媒を使用して得られる抽出物及び/又は濃縮抽出物であることを特徴とする請求項2記載の抗疲労食品素材。 請求項1乃至4いずれかに記載の抗疲労食品素材を含有してなる抗疲労食品。 前記抗疲労食品素材が、ベンジルグルコシノレート含量0.00001〜10重量%となるように含有してなることを特徴とする請求項5記載の抗疲労食品。 【課題】疲労回復に有効な抗疲労食品素材並びに該食品素材を含有してなる抗疲労食品を提供することを課題とする。【解決手段】ベンジルグルコシノレートを含む抗疲労食品素材、マカ(Lepidium meyenii-Walp, Cruciferae)及びナスタチウム(Tropaeolum majus)から選択される少なくとも一種の抽出物及び/又は濃縮抽出物からなり、少なくともベンジルグルコシノレートを含む抗疲労食品素材、マカ及びナスタチウムから選択される少なくとも一種の葉、地下部、種子、芽等からなり、少なくともベンジルグルコシノレートを含む抗疲労食品素材、或いは該抗疲労食品素材を含有してなる抗疲労食品とする。【選択図】なし


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