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タイトル:公開特許公報(A)_アーク発光分光による材料中の微量成分分析法
出願番号:2007079315
年次:2008
IPC分類:G01N 21/67


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佐々木 幸夫 JP 2008241336 公開特許公報(A) 20081009 2007079315 20070326 アーク発光分光による材料中の微量成分分析法 地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター 506209422 小原 二郎 100082153 佐々木 幸夫 G01N 21/67 20060101AFI20080912BHJP JPG01N21/67 A 7 1 OL 6 2G043 2G043AA01 2G043BA07 2G043CA05 2G043EA09 2G043GA07 2G043GB09 2G043JA04 2G043JA05 2G043LA03 2G043MA01 2G043NA01 2G043NA11 本発明はアーク発光分光分析装置による金属材料、たとえば鉄鋼材料中の炭素を主とした微量成分の定量分析方法及び定量分析装置に関する。 現在、鉄鋼材の成分分析には公定法としてJIS G 1253(鉄及び鋼ースパーク放電発光分光分析法)(非特許文献1)により、炭素を含む多元素の同時定量分析が行われている。しかし、この分析方法は試料の形状について寸法の点で制約があり(20mm×20mm×1mm以上)、切削片や粒状等の微細な試料の分析には適していない。また、研削等による試料の形状調整が困難な場合はガス分析法や湿式法が採用されていたが、これらは分析に長時間を必要とする。 鋼材ではそれらの炭素分含有量が求まれば鉄鋼の種別が分かるので形状による制約なしにたとえば微小形状の鋼材にも適用可能であってかつ前記スパーク発光分光分析等の公定法に近い定量結果の得られる分析方法が求められている。 アーク発光分光分析は従来から定性分析に利用されており、アーク放電により溶融蒸発した試料の粒子(原子、分子、イオン)が放電エネルギーによって励起されて生じる光を分光/検知することにより試料中の微量元素が分析される。アーク発光分光分析では分析試料をアーク放電空間においた補助電極に載置・収容して放電発光させるので、任意の微細な形状の試料でも制約なく適用することができる。 しかし、スパーク発光分光分析とは異なって励起発光時間に数分のオーダの時間を必要とし、またその間の放電のゆらぎを受けやすくなり、充分な測定精度および感度が得られない。したがってたとえば鉄鋼中の微量元素としての炭素成分の分光分析にアーク発光分光分析を適用する場合、スパーク発光分光分析と比較して励起発光を生じるまでの時間が長く発光強度や精度が充分でなのでこれらの点を解決しなければ実質的にスパーク発光分光分析と同レベルの定量結果を得ることはできない。JISG1253 日本規格協会発行 本発明においては、前記課題を解決するために、アーク発光分光分析により試料中の微量元素を定量分析する際、試料の励起発光時に酸素とアルゴンと酸素の混合ガスを発光部内のアーク放電空間中に導入する。 酸素及びアルゴンの混合ガスを用いたことによりアーク放電中の分析試料の溶融蒸発が促進されて励起発光時間が通常のアルゴン雰囲気ガスのみを用いた場合に比較して大幅に減少して感度が向上し、かつ放電のゆらぎによる精度の低下が抑止される。 前記の効果は酸素ガスの混合によって得られるものであり、O2/Arの混合比が約20/80以上で顕著になり、40/60付近で好適な効果がえられるが、80/20を超えると電極が放電により急激に形状変化して適正な分析を維持することが困難になる。 また本発明においては、アーク発光分光分析装置で微量元素を定量分析する際、発光部内に前記混合ガスを導入すると共にアルゴンガスを発光部、光路部、分後部および検出部に置換雰囲気として導入する。これにより各部をアルゴン雰囲気として炭素等の測定成分のスペクトル線の吸収を抑止することができる。 さらに本発明においては前記発光部のアーク発光に用いる放電電極をチタンによって形成する。従来のアーク発行分光分析で用いられていたカーボン電極は本発明で意図する微量炭素成分の分析には適用できない。またAg、CuやPt、Rnは融点や価格の点で好ましくない。スパーク発光分光分析等に用いられるタングステンは炭素のスペクトル線(193.090nm)に干渉を生じるので本発明のように炭素が主たる分析対象である場合には好ましくない。チタンはアーク放電に際して充分な形状保持性を有しかつ炭素スペクトル線に干渉しないことが確認されたので本発明ではこれを放電電極の材料として用いた。 図1は本発明のアーク発光分光分析装置の概要を示す説明である。 図中、本発明のアーク発光分光分析装置は放電電極にアーク放電のための励起電圧を供給するための電源1、前記電源1からの電圧の印加によるアーク放電で分析試料成分からの発光を生じる発光部2、前記発光部に生じ、光路部Lを介して導入された光を各成分の波長にしたがって分光する分光部3、光電変換による測光で試料成分の検知信号を得る検知部4、および検知部4からの検知信号により試料成分を表示する表示部5を備えている。 発光部2の内部には放電用の対向電極6に対して所定の放電間隙を介して補助電極7が設けられ放電電極は電源部1に接続されている。放電補助7の放電空間に面する側には試料8が載置・収容されている。 酸素ガス供給源9およびアルゴンガス供給源10からの酸素/アルゴン混合ガス(以下O2/Ar混合ガス)を所定比で混合して発光部2の放電空間に供給するための混合ガス供給装置11が設けられており、またアルゴンガス供給源10からのアルゴンガスはさらに前記発光部2、光路L及び検知部4に夫々所定の流量で供給するようになされている。さらに酸素ガス供給からの酸素ガスから測定に影響する微量の炭素成分を予め除くため、これを一旦CO2とし水酸化アルカリに吸収させてから、処理後の酸素ガスを混合ガス供給装置11に送る処理装置12が設けられている。 分光部3には光路Lからの光を分光するプリズム14およびエッシェル回析格子15が設けられている。各成分の波長に応じて分光された光を光電変換する検知部4は多数のCID素子の平面的マトリスクからなり、各CID素子の成分情報を信号出力として画像により表示する表示部5が設けられている。 酸素供給源9およびアルゴン供給源10からの所定混合比のO2/Arガスを混合ガス供給装置11によって発光部2の放電空間に対して供給すると共に、アルゴンガスを供給源10から前記発光部2、光路L、分光部3および検知部4に夫々所定の流量で供給する。 電源1から励起電圧を発光部2の放電電極6、7間に印加すると、電極の間にアーク放電が生じ、補助電極7に収容載置した分析試料8がアーク電流によって溶融し微粒子として蒸発する。 この粒子(元素、分子、イオン)が放電エネルギによって励起されそれらが基底状態にもどるとき各成分固有の波長を有する光を発光する。 これらの光は発光部から光路Lを介して分光部3のプリズム14次いでエッシェル回析格子15に入射しここで各成分の波長の大きさ(たとえば炭素成分:193.090nm)により夫々の光に回析され空間的に分離される(分光)。分光された夫々の光は予めそれらの光路に対応して二次元的に配置された検知部4のCID素子に入射し、光電変換により検知部4中で電気的な測光信号として検知される。夫々の成分に由来する測光信号は検知部4で演算処理され成分定量情報として表示装置5において画像として表示され、これによって試料のアーク発光分光による定量分析が得られる。 上記のように、本発明においては金属試料中の微量成分の分析にあたって、アーク発光分光分析を用いたことにより試料の形状寸法における制約がなくなり微小な形状の鋼製品の分析にも適用が可能となる。特に発光部においてO2/Ar混合ガスを放電空間に導入し、かつ電極材料としてチタンを用いたことにより測定時の励起発光時間が著しく短縮され、測定成分が炭素である場合に炭素分析線(193.090nm)の発光強度が5倍以上に向上すると共に、繰返し標準偏差も10%以内に収まり、炭素の低濃度領域(0.01mass%〜2mass%)を含む定量分析法が可能となった。さらに発光部、光路、検知部にもアルゴンガスを供給することにより炭素スペクトル線の吸収が抑止される。またこの方法を蛍光エックス線分析法と組合せればさらに良好な測定結果が得られる。 試料形状に制約のない既存のアーク発光分光分析装置に、新たに開発したアルゴンと酸素の混合ガス導入装置を装着して最適な分析条件を確立するため下記の検討を行った。対・補助電極には炭素分析線(193.090nm)に干渉がなく、発光時間(40s)に対して形状保持時間が長いチタン(純チタンJIS第2種)を用いた。炭素分析線(193.090nm)の発光強度の精度を高くするために、ガス流量および置換時間を検討したところ、混合ガス部:0.23L/min、光路部:1L/min、60sec、発光部:3l/min、360sec、検出器:2L/minが最適であった。特に混合ガスの差酸素とアルゴンの割合は4対6(容積比)とし、装置への挿入角度30度とすることが最適であることが明らかになった(図2)。放電の設定電流が10Aの時、炭素分析線(193.090nm)の発光強度が繰り返しの標準偏差で5%の水準を維持した。 以上の検討から、表1に示す分析条件を確立した。そこで、鉄鋼標準試料(4種類:炭素%0.03%〜0.097%)の場合について検量線の直線性を検討した。図3はその検量線図である。グラフは二次曲線ではあるが、濃度の勾配が求められた。以上の結果から、この分析条件で炭素の定量化が可能であることを確認した。(表1) 最適分析条件(比較例) 前記既存のアーク発光分析装置に、本発明の酸素およびアルゴンの混合ガス導入装置を装着しない場合、炭素分析線(193.090nm)の発光強度が弱く、特に炭素の低濃度領域(0.01mass%〜0.1mass%)では解析不可能であった。また0.11mass%〜1.22mass%での炭素濃度領域でも、発光時間20secの時炭素のスペクトル線発光強度は前記混合装置を用いた場合に比較して1/2以下に低下した。そのために、検量線の傾きは混合ガス導入装置の装着時に比較して1/3程度であった。は本発明のアーク発光分光分析装置の概要を示す説明図である。は本発明のアーク発光分光分析装置に用いるO2/Arガスの混合比とスペクトル強度の関係を示すグラフである。は標準鉄鋼試料について本発明の方法を適用して得られらた炭素含有分についての検量線を示すグラフである。符号の説明1:電源2:発光部3:分光部4:検知部5:表示部6:対向電極7:補助電極8:試料9:酸素供給源10:アルゴン供給源11:ガス混合装置12:処理装置14:プリズム15:エッシェル回析格子L:光路 アーク発光分光分析装置で微量元素を定量分析する際、試料の励起発光時に酸素とアルゴンの混合ガスを発光部内のアーク放電空間に導入することを特徴とするアーク発光分光分析方法。 前記混合ガスの酸素/アルゴンの混合比を20/80〜80/20の範囲としたことを特徴とする請求項1記載のアーク発光分光分析方法。 前記発光部のアーク発光に用いる放電電極をチタンによって形成したことを特徴とする請求項1記載のアーク発光分光分析方法。 アーク発光分光分析装置で微量元素を定量分析する際、発光部内に前記混合ガスを導入すると共にアルゴンガスを発光部、光路部、検出部に置換雰囲気として導入することを特徴とする請求項1記載のアーク発光分光分析方法。 アーク放電の励起電圧を印加する電源部と試料を収容載置するする補助電極と補助電極に対向する対向電極とを備えた発光部と、発光部からの光を導出する光路部と、光路部からの光を分光する分光部と、分光部による分光々を検知する検知部とを備え、かつ前記電極間の放電空間にアルゴンと酸素の混合ガスを供給するアルゴン/酸素混合装置を有することを特徴とするアーク発光分光分析装置。 発光部、光路部、分光部、および検知部にアルゴンガスを置換雰囲気とし導入する手段を備えたことを特徴とする請求項5記載のアーク発光分光分析装置。 前記発光部に用いる放電電極をチタンとしたことを特徴とする請求項5記載の装置。 【目的】 鉄鋼材料中の低濃度の炭素含有分を資料の形状寸法による制約なく高感度かつ高精度で定量分析すること。【課題を解決する手段】 鉄鋼試料の中の微量元素を定量分析する際、アーク発光分光分析装置を用い、試料の励起発光時にアルゴンと酸素の混合ガスを発光部の放電空間に導入し、かつ発光部の放電電極としてチタンを用いる。【効果】 アーク発光分光分析により試料の形状に制約なくかつ定量分析に適用できる感度および精度で鉄鋼材料中の微量炭素成分を分析することができる。【選択図】 図1


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