生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_冷却水の濃縮度測定方法
出願番号:2007078600
年次:2008
IPC分類:F28F 19/01,F28G 13/00,G01N 33/18


特許情報キャッシュ

染谷 新太郎 熊谷 奈美 JP 2008241068 公開特許公報(A) 20081009 2007078600 20070326 冷却水の濃縮度測定方法 オルガノ株式会社 000004400 伴 俊光 100091384 染谷 新太郎 熊谷 奈美 F28F 19/01 20060101AFI20080912BHJP F28G 13/00 20060101ALI20080912BHJP G01N 33/18 20060101ALI20080912BHJP JPF28F19/00 501ZF28G13/00 AG01N33/18 CG01N33/18 Z 4 OL 6 本発明は、冷却水の濃縮度測定方法に関し、とくに開放系で使用される塩素系酸化剤を用いた冷却水の濃縮度の測定に好適な方法に関する。 各種設備や工場などでは、広範囲で冷却水が利用されている。こうした冷却水系では、配管を軟鋼で形成し、熱交換器は銅や銅合金等の銅系金属で形成する場合が多い。このような金属製の配管や熱交換器の腐食を如何に防ぐかは、冷却水系が抱える一つの大きな問題である。一般に、冷却水にはカルシウムやマグネシウムなどの硬度成分やシリカがイオンとして存在するのが通常で、冷却のために水の一部が冷却塔で蒸発するため、強制的に冷却水の一部を入れ替えない限り各成分は凝縮される。硬度成分やシリカ成分が多く含まれる水は一般に金属を腐食させ難いため、強制ブロー量を調節して適度に冷却水を凝縮し、硬度成分やシリカ成分の濃度をある一定量に保つことで冷却水の防食性を高めることができ、こうした適度な濃縮度下では、スケールの防止のために水溶性ポリマー等のスケール防止剤を添加することで冷却水系の障害を防ぐことが可能になる。しかしながら冷却水を過濃縮すると、硬度成分やシリカ成分は、溶解度の限界から冷却水中で極度の過飽和状態になり、スケール防止剤を添加してもスケール障害が生じ、配管の閉塞や熱交換器の伝熱に支障を来す。このようなことから、冷却水の濃縮度をコントロールすることは、冷却水処理として非常に重要であり、その濃縮度を正しく知ることは必要不可欠である。 通常、冷却水の濃縮倍数を測定、算出するには、不溶化しない成分、例えば特許文献1に示されているように、塩化物イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等を基準として濃縮倍数を測定、算出している。濃縮倍数は、下記式1で示される計算式により求まる。 濃縮倍数=(循環水中イオン濃度)/(補給水中イオン濃度)・・・式1 ただし実際においては、ナトリウムイオン、カリウムイオンは、例えば冷却水処理剤を構成する有効成分に含有するケースや、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど、処理剤のpH調整剤として使用されるケースが多く、濃縮倍数の基準成分としては好ましくない。一方、塩化物イオンは、冷却水処理剤を構成する有効成分や処理剤のpH調整剤として使用されることは殆どないため、塩化物イオンによる濃縮度の管理が最も広く適用されている。特開2003−269888号公報 しかしながら、塩化物イオンによる濃縮度の測定には、以下のような問題がある。例えば次亜塩素酸等の塩素系酸化剤を用いた冷却水処理時においては、塩素系酸化剤が酸化還元反応により分解し、塩化物イオンを冷却水中に放出するため、冷却水中の塩化物イオン濃度は実際の濃縮度による塩化物イオン濃度よりも高くなり、正確な冷却水の濃縮倍数が求められなくなる欠点がある。 そこで本発明の課題は、より正確に冷却水の濃縮倍数を求めることができる、冷却水の濃縮度測定方法を提供することにある。 本発明者らは、従来方法における塩化物イオンの代わりに、硫酸イオンを濃縮倍数計算の基準とし、冷却水の濃縮管理が図れることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明に係る冷却水の濃縮度測定方法は、冷却水の濃縮度を、硫酸イオンを基準として測定することを特徴とする方法からなる。 従来、硫酸イオンは硫酸還元菌などの存在により硫化物イオンに分解されるため、冷却水の濃縮倍数計算基準には用いられていない。しかしながら、本発明においては、適切な条件下、例えば適切な塩素系酸化剤の処理条件下では、硫酸還元菌は発生せず、硫酸イオンを基準として正確に冷却水の濃縮倍数を求めることが可能であり、それによって適切な冷却水の濃縮度の維持、管理が可能であることを見出したものである。後述の実施例に示すように、従来のような塩化物イオンによる場合に比べ、硫酸イオンを基準として冷却水の濃縮度を測定する場合には、より正確に濃縮倍数を求めることができるようになる。 この本発明に係る冷却水の濃縮度測定方法は、とくに、水分蒸発の影響を強く受ける開放系で使用される冷却水の濃縮度の測定に好適なものである。 また、本発明に係る冷却水の濃縮度測定方法は、とくに、塩素系酸化剤を用いた冷却水の濃縮度の測定に好適なものである。前述の如く、塩素系酸化剤を用いた冷却水においては、塩素系酸化剤が酸化還元反応により分解し、塩化物イオンを冷却水中に放出するため、塩化物イオンを基準とした場合には正確に濃縮倍数を求めることが困難であったが、硫酸イオンを基準とする本発明方法では、このような困難性が解消され、正確に濃縮倍数を求めることができるようになる。 このように硫酸イオンを基準とする場合、とくに硫酸還元菌を発生させない適切な条件に保つことが重要になる。例えば塩素系酸化剤を用いた冷却水においては、塩素系酸化剤により冷却水中の残留遊離塩素濃度を0.3mgCl/L以上に保ちつつ、硫酸イオンを基準として冷却水の濃縮度を測定するようにすればよい。 なお、本発明において用いる塩素系酸化剤に特に制限はなく、例えば、塩素ガス、二酸化塩素、次亜塩素酸またはその塩、亜塩素酸またはその塩、塩素酸またはその塩、過塩素酸またはその塩、塩素化イソシアヌル酸またはその塩などを挙げることができる。これらの中で、次亜塩素酸またはその塩を好適に用いることができる。次亜塩素酸塩としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウムなどを挙げることができる。 本発明に係る冷却水の濃縮度測定方法によれば、硫酸イオンを基準として正確に濃縮倍数を求めることができるので、冷却水の濃縮度を、正確に最適な範囲内に管理することが可能になる。とくに、塩素系酸化剤を用いた冷却水に対し、正確な濃縮管理が可能になる。 また、水質評価項目である塩化物イオンの測定や冷却水処理剤のトレーサーとして用いられることの多い臭化物イオンの測定をする場合には、陰イオンクロマトグラフィー法を用いることが一般的であるが、この場合陰イオンクロマトグラフィー法により同時に硫酸イオンの分析値も得られることになるので、実質的に余分な測定負荷をかけることなく硫酸イオンの分析値を得ることができ、その硫酸イオンの分析値を利用して、本発明方法を容易に実施することができる。 さらに、本発明方法は、塩素系酸化剤だけでなく、有機塩素系スライムコントロール剤など塩化物イオンを多く含有する冷却水や、塩酸などpH調整剤を薬剤に含有するケースの濃縮度の測定にも適用可能である。 以下に、試験に基づいて、本発明を詳細に説明する。試験1 硫酸イオンを基準として濃縮倍数を求めるに際しては、前述の如く、とくに硫酸還元菌を発生させない適切な条件に保つことが重要であることから、塩素系酸化剤を用いた冷却水を例にとって、硫酸還元菌を発生させない必要条件を求める試験を行った。試験においては、防食分散剤(100mg/L)及び次亜塩素酸ナトリウム12%溶液による実機の冷却水処理データ(熱負荷、外気温、濃縮度、滞留時間、運転サイクル、補給水の水質等の条件が互いに異なる16件冷却水処理データ)において、循環冷却水中に残留する遊離塩素濃度に対する微生物汚染を調査した。一般細菌数測定にはサンアイバイオチェッカーTTC(三愛石油株式会社製)を用いて30℃にて、48時間培養し、硫酸還元菌測定にはサンアイバイオチェッカーS(同社製)を用いて30℃にて、72時間培養した。図1に一般細菌数測定結果、図2に硫酸還元菌測定結果、図3に硫酸還元菌測定に用いる培地の状況見本(サンアイバイオチェッカーSにおける汚染なし、軽度汚染、中度汚染、強度汚染の評価のための状況見本)をそれぞれ示す。これら調査結果から、残留遊離塩素濃度を0.3mgCl/L以上に保持すれば、一般菌および硫酸還元菌をともに低レベルに抑制できることが確認できた。試験2 硫酸イオンを基準として濃縮倍数を求める方法の有効性について試験した。 実際の現場(補給水水質;表1)において、防食分散剤及び次亜塩素酸ナトリウム12%溶液による冷却水処理を実施した。管理濃度として防食分散剤は100mg/L、次亜塩素酸ナトリウム12%溶液は残留遊離塩素0.5〜1.0mg/Lで維持管理した実験データである。表2に示す循環水(循環冷却水)の水質と前述の表1に示した補給水の水質から、前述の式(1)を用いて各水質項目(電気伝導率、塩化物イオン、硫酸イオン)を基準とした濃縮倍数を求めた。尚、循環水における一般総細菌数は10の3乗(CFU/mL)であり、硫酸還元菌は検出されなかった。循環水シリカ濃度が55mgSiO2 /Lと低いため、不溶化が生じていないと考えられることより、シリカ基準による濃縮倍数を真値と見なし、各水質項目基準による濃縮倍数のずれを式2により検証した。 濃縮倍数の真値に対する比率(%)=(各水質項目基準による濃縮倍数)/(シリカ基準による濃縮倍数)・・・式2 表2から明らかなように、硫酸イオン基準による濃縮倍数(2.21)は、シリカ基準による濃縮倍数の真値(2.20)に極めて近い値を示し、式2による検証でも100.6%であった。したがって、本発明による硫酸イオンを基準とする方法により、塩化物イオンや電気伝導率を基準とする場合に比べ、極めて正確に冷却水の濃縮度を求めることができることを確認できた。 本発明に係る冷却水の濃縮度測定方法は、あらゆる冷却水の濃縮度の測定に適用可能であり、とくに開放系で使用される塩素系酸化剤を用いた冷却水の濃縮度の測定に好適な方法である。試験1における一般細菌数測定結果を示す特性図である。試験1における硫酸還元菌測定結果を示す特性図である。試験1で用いたサンアイバイオチェッカーSにおける状況見本を示す概略構成図である。 冷却水の濃縮度を、硫酸イオンを基準として測定することを特徴とする冷却水の濃縮度測定方法。 開放系で使用される冷却水の濃縮度を測定する、請求項1に記載の冷却水の濃縮度測定方法。 塩素系酸化剤を用いた冷却水の濃縮度を測定する、請求項1または2に記載の冷却水の濃縮度測定方法。 塩素系酸化剤により冷却水中の残留遊離塩素濃度を0.3mgCl/L以上に保ちつつ硫酸イオンを基準として冷却水の濃縮度を測定する、請求項1〜3のいずれかに記載の冷却水の濃縮度測定方法。 【課題】正確に冷却水の濃縮倍数を求めることができる、冷却水の濃縮度測定方法を提供する。【解決手段】冷却水の濃縮度を、硫酸イオンを基準として測定することを特徴とする方法であり、とくに、塩素系酸化剤を用いた冷却水の濃縮度の測定に好適なものである。従来の塩化物イオンを基準とする場合に比べ、はるかに正確に濃縮倍数をもとめることができる。【選択図】なし


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