生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_脂肪細胞からのレプチン分泌促進剤
出願番号:2007077411
年次:2008
IPC分類:A61K 31/05,A61P 3/10,A61P 3/06,A61P 3/04,A61P 3/00


特許情報キャッシュ

桑島 正道 助野 晃子 新垣 尚捷 JP 2008231080 公開特許公報(A) 20081002 2007077411 20070323 脂肪細胞からのレプチン分泌促進剤 国立大学法人徳島大学 304020292 庄司 隆 100088904 資延 由利子 100124453 大杉 卓也 100135208 桑島 正道 助野 晃子 新垣 尚捷 A61K 31/05 20060101AFI20080905BHJP A61P 3/10 20060101ALI20080905BHJP A61P 3/06 20060101ALI20080905BHJP A61P 3/04 20060101ALI20080905BHJP A61P 3/00 20060101ALI20080905BHJP JPA61K31/05A61P3/10A61P3/06A61P3/04A61P3/00 1 1 OL 9 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206CA19 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZA70 4C206ZC02 4C206ZC21 4C206ZC33 4C206ZC35 本発明は、脂肪細胞からのレプチン分泌を促進する、新規なレプチン分泌促進剤に関する。 レプチンは146個のアミノ酸より成るタンパク質で、脂肪細胞から分泌されるホルモン(アディポカイン)であり、マウスやヒト等の哺乳動物に見出だされた。更に、それらの哺乳動物の白色脂肪細胞で発現したレプチンは、血液中に分泌され、中枢の視床下部に働きかけて、その結果として、エネルギー代謝調節系に関わる生理的な作用を引き起こすことが証明された。レプチンの生理的な作用として、食欲の抑制、体重減少、酸素消費量、体温や活動性の増加、血糖値やインスリン分泌の低下、脂肪組織重量や肝臓重量の減少そして不妊症の改善などが見出だされた(非特許文献1)。その結果、レプチンの分泌により、体脂肪量が減少し、肥満が抑制されると考えられる。 血液中のレプチン濃度を増加せしめるため、直接、哺乳動物の腹腔内、脳室内あるいは静脈内に投与して、肥満やその関連疾患及びそれらの症状を制御し、予防治療する医薬として、組換えレプチン(組換えobタンパク質)が提案されている(特開平9−3098号参照)。しかし、遺伝子組換え技術を用いて人工的に製造したレプチンは、高度に精製しても、不純物を除くことが難しく、副作用等、安全性上問題があり、また、経口投与できず、注射で投与するため、簡便に投与できず、その予防治療方法が限定されるという問題があった。さらに、レプチンの分泌を促し、血液中のレプチン濃度を上昇させる物質として、インスリン(Saladin et al., Nature, 377, 527-529, 1995)やグルココルチコイド(De Vos P. et al., J. Biol. Chem., 270, 15958-15961, 1995)が報告されているが、インスリンは経口投与では効果が認められず、グルココルチコイドはステロイドホルモンであり副作用が強く、肥満やその関連疾患及びそれらの症状の予防治療剤としての実用化は難しい。 肥満及び関連疾患の治療、予防及び制御に有用なレプチンの分泌を促進する薬剤、健康食品及び飼料に関し、トリカルボン酸回路関連有機酸、その誘導体又はそれらの塩を有効成分として含有することを特徴とするレプチン分泌促進剤について開示がある(特許文献1)。ここで開示されるレプチン分泌促進剤は、経口又は注射等による非経口投与したときに血液中のレプチン濃度を上昇せしめることのできる物質である。これにより、血液中のレプチン濃度の上昇により、予防治療が可能な疾患、即ち肥満症(体重増加)やその関連疾患の予防治療が可能になることが示されている。 脂肪代謝活性化剤、肥満制御剤等に関し、レスベラトロールについて開示がある(特許文献2)。ここでは、マウスに特別な食餌を与えたとき、レスベラトロールを同時に投与した系と投与しなかった系について体重増加の傾向を調べており、体重増加、内臓脂肪重量及び肝臓重量について調べた結果、優れた抗肥満効果、体脂肪蓄積抑制効果を示すことが報告されている。ここで、レスベラトロールとレプチンとの関係に着目したところ、特別な食餌をした群において、レスベラトロールの投与群では、非投与群に比べてレプチンの上昇が抑制していることが確認された。ここでは、血中レプチン値抑制に優れ、さらにレプチン抵抗性の抑制に有効であると考えられたことが報告されている。通常、レプチンは上述の如く、レプチンの生理的な作用として、食欲の抑制、体重減少、酸素消費量、体温や活動性の増加、血糖値やインスリン分泌の低下、脂肪組織重量や肝臓重量の減少そして不妊症の改善などを認めるが、レプチンが上昇していても肥満を解消できない場合がある。このような場合にレプチン抵抗性であることが考えられる。したがって、特許文献2に記載のレスベラトロールの作用は、レプチン抵抗性の改善に繋がると考えられる。しかしながら、レスベラトロールがどのように作用した結果、血中レプチン抑制に繋がるのかについては未だ報告がない。 また、レスベラトロールを含むスチルベン系化合物が、高脂血症予防・治療剤として有用であることが記載されている(特許文献3)。実験医学、Vol.14, No.16, P2336, 1996特開2001-187732号公報国際公開パンフレットWO2006/001278号公報特開2001-72583号公報 本発明は、脂肪細胞からのレプチン分泌を促進する新規なレプチン分泌促進剤を提供することを課題とする。 本発明者等は、前記課題解決のために鋭意研究を重ねた結果、ポリフェノールの一種であるレスベラトロールに着目し、脂肪細胞に直接作用させると有意にレプチンの分泌を認め、本発明を完成した。 すなわち本発明は、以下よりなる。1.レスベラトロールを有効成分として含有することを特徴とする、脂肪細胞からのレプチン分泌促進剤。 本発明の脂肪細胞からのレプチン分泌促進剤は、脂肪細胞からレプチンの分泌を促進する。 技術背景の特許文献2に示すレスベラトロールを有効成分とする抗肥満剤は、特殊な食餌を与えたマウスモデルを用いて検討しており、その結果レスベラトロールにより、血中レプチン値上昇抑制を認めて、体重の増加も抑制していることが観察されている。このことは、当該モデルマウスは、レプチン抵抗性を示していると考えられ、通常レプチンの分泌とともに中枢の視床下部に働きかけて抗肥満に作用する、という生理活性が低下しているマウスに対して、レプチンの分泌が抑えられることにより効果を示していることが示唆される。一方、本発明の脂肪細胞からのレプチン分泌促進剤は、レプチン抵抗性の肥満者を対象とするのではなく、むしろレプチンに反応する肥満に問題を有する者に対して効果的に働くものと考えられる。 以下本発明を詳細に説明する。 本発明のレプチン分泌促進剤は、レスベラトロールを有効成分とし、脂肪細胞に直接作用して、脂肪細胞からのレプチン分泌を促すものをいう。その結果として、例えば分泌したレプチンが血中に含まれることにより、血液中のレプチン濃度を上昇せしめることができ、血中のレプチン濃度の上昇により、肥満やその関連疾患及びそれらの症状を制御し、予防治療する作用を有する。 本発明において、レスベラトロールとは、trans-レスベラトロール、cis-レスベラトロール及びそれらの混合物が含まれる。 レスベラトロールは葡萄の葉や果皮等に存在するポリフェノールの一種である。本発明において、レスベラトロールは、有機化学的又は微生物を用いて合成することができ、又はレスベラトロールを含有する天然物から抽出して用いることができる。天然物としては、レスベラトロールを含有するものであれば良く、例えば葡萄、落花生、ピーナッツ、及びイタドリやツルドクダミ等のタデ科植物が挙げられる。 天然物としては葡萄が特に好ましい。葡萄の種類は、特に限定されるものではないが、デラウェア、巨砲、甲州、ピオーネ、マスカット、シュナンブラン、グレナッシュ、マタロ、ミュラーテュルガトウ、トレッビアーノ、ベリーA、カベルネソービニオン、メルロー、ピノノアール、カベルネフラン、シラー、シャルドネ、ソービニヨンブラン、セミヨン、シラー、ガメイ、リースング、アリゴテ等を挙げることができる。葡萄抽出物として、葡萄果実、葡萄葉又は葡萄に由来するものからの抽出物をいう。葡萄に由来するものとして、葡萄ジュース、ワイン、ワイン製造時の残渣、ワイン濃縮物などが挙げられる。抽出は、例えばレスベラトロールは葡萄の果実や葉に多く含まれているので、それらから水、熱水、アルコール水、有機溶媒等を用いた一般的な抽出方法で行う。また、ワイン、ワインの濃縮物又は濃縮乾固した固形物中にも含まれるので、それらを用いることもできる。また、ワイン製造時に発生する葡萄の残渣をそのまま用いるか、それら有機溶剤/水等により抽出することもできる。有機溶剤としてはエタノール等のアルコールが好ましい。 上記のごとくして得られる抽出物や部分精製抽出物をそのまま本発明のレプチン分泌促進剤に用いてもよいが、好ましくは抽出に使用した溶剤を通常の方法、例えば減圧下ロータリーエバポレーター等を使用して除去するのがよい。必要に応じて凍結乾燥、加熱乾燥などの慣用的な乾燥処理を施してもよい。 本発明のレプチン分泌促進剤(以下、本発明の分泌促進剤という)は、脂肪細胞からのレプチン分泌促進作用を有する。脂肪細胞としては、皮下脂肪組織由来の細胞であってもよいし、内臓脂肪組織由来の細胞であっても良い。本発明の分泌促進剤の使用濃度は、in vitroにて作用させた場合において、20〜100μMの範囲で使用したときに、特に効果的に作用する。したがって、ヒトを含む動物に投与する場合には、上記至適濃度に鑑みて、投与濃度を適宜決定することができる。 本発明の分泌促進剤は、そのまま投与することもできるが、一般には、本発明の分泌促進剤に製薬学的に許容し得る各種の添加剤を配合して、投与に適した剤型に製剤化することが好ましい。本発明の分泌促進剤を1種用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。使用し得る添加剤としては、所望の剤型に製剤化するために通常用いられる任意の調剤用添加剤類を挙げることができる。具体的には、例えば、アスコルビン酸、ビオチン、パントテン酸カルシウム、塩化コリン、塩化マグネシウム、ナイアシン、塩化ピリドキシン、リボフラビン、チアミンヒドロクロライド、トコフェロール、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンD2などの栄養剤;メタリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム(第1、第2、第3塩)、ピロリン酸ナトリウム、などの隠蔽剤;ソルビン酸カルシウム、安息香酸、パラオキシ安息香酸メチル、安息香酸ソーダなどの保存料;アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、けい酸アルミニウム、マンニット、乳糖、果糖、可溶性デンプン、アミノ酸類、グルコース、砂糖、蜂蜜、脂肪酸エステルなどの担体ないし希釈剤類等を挙げることができる。 本発明の分泌促進剤は、経口又は注射等により非経口投与することができるが、簡便に投与できる点で、経口投与が好ましい。投与する場合、それぞれの投与経路に適した任意の剤型に製剤化することができ、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、コーティング錠剤、カプセル剤、トローチ剤、液剤、シロップ剤などの経口投与に適した剤型;注射剤、点滴剤などの非経口投与に適した剤型にすることもできる。更に、軟膏、クリーム、チンキ、パップ剤などの外用剤にすることも可能である。 本発明のレプチンを分泌させることにより、予防治療が可能な疾患としては、前述したように肥満症やその関連疾患が挙げられる。関連疾患としては、例えば、インスリン抵抗性の糖尿病、2型糖尿病(非インスリン依存型糖尿病)、高血圧症及び高脂血症のような重要な疾患などが挙げられる。 本発明の分泌促進剤を、各種飲食品に含有させることもできる。これにより、体重増加抑制作用を有する食品を製造することができる。上記飲食品の種類としては、特に限定されず、如何なる食品にも含有させることができる。特に、ケーキやチョコレート等の本来的に肥満を助長する飲食品に含有させることは、当該飲食品の摂取による肥満を予防し得るという点において好ましい。さらに、種々の栄養成分や飲食品等と配合して健康食品とすることもできる。本発明の分泌促進剤を飲食品や健康食品に含有させるときの添加量及びそれらの食品の摂取量は、食品の種類、食品の食する頻度、添加する目的、当該食品の摂取によって期待される効果等に応じて適宜選択される。 さらに、本発明の分泌促進剤を、飼料に含有させることにより、体重増加抑制作用を有する飼料を製造することもできる。前記飼料の種類としては、特に限定されず、如何なる飼料にも含有せしめることができる。牛、豚、鶏等の家畜飼料であってもよいが、特にペットフード等に含有せしめることにより、ペット等の肥満を予防することができる。 以上に説明した本発明の健康食品を含む飲食品、及び飼料は、体重増加抑制作用を有するばかりでなく、レプチン濃度を上昇させることにより、予防治療が可能な疾患にも効果を有しており、さらには、家畜においては、肉質の改善が可能となる。 本発明の理解を助けるために、以下に実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は本実施例に限定されるものでないことはいうまでもない。(実施例1)ヒト脂肪細胞でのレスベラトロールのレプチン分泌作用1)ヒト前駆脂肪細胞の単離と培養 ヒト材料を用いた研究は、徳島大学医学部・歯学部付属病院臨床研究倫理審査委員会の承認を受けた。ヒト内臓脂肪組織と皮下脂肪組織の採取は、徳島大学外科系診療科の全面的協力を得て行われた。同意書が得られた症例について、手術時に余剰の脂肪組織を戴いた。 脂肪組織を、PBS(−)にて2〜3回洗浄した後、眼科穿刀で細切し、消化溶液(0.2%コラゲナーゼ、0.2%ウシアルブミンを含むMEM培地)を加え37℃で20分間消化した。その後、150μmのメッシュで濾過し、160×gで3分間遠心をし、沈渣した細胞を前駆脂肪細胞とした。次に、前駆脂肪細胞から、残存するコラゲナーゼを除去するために10%新生児ウシ血清(NCS)を含むF−12培地で遠心洗浄し、60mmの細胞培養ディッシュで20%NCSを含むF−12培地にて、37℃で5%CO2下にて培養した。2)レスベラトロール刺激とレプチン濃度の定量 前駆脂肪細胞がコンフルエントになった時点で、12well細胞培養プレートに継代し(8×104cells/well)、5μg/ml ヒトインスリン 0.5mM 3-isobutyl-1-methyl-xanthine 0.25μM dexamethasone及び10%NCSを含むDMEMからなる分化誘導培地で14日間分化誘導を行った。前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞へ分化した後に、培養液を除去し、PBS(−)で洗浄後、所定濃度のレスベラトロール(SIGMA社R5010)を含む5μg/ml ヒトインスリン、10%NCSを含むDMEM培地を加え、10日目または20日目まで培養した。コントロールとして、レスベラトロールの代わりに溶媒に用いたDMSOのみを加えた。その後、培養液を回収し、ヒトレプチン定量キット(R&D)を用いて、培養上清中のレプチン濃度を定量した。3)結果 内臓脂肪組織由来の脂肪細胞を5症例及び皮下脂肪組織由来の脂肪細胞を4症例用いて上記の実験を行った。レスベラトロールで刺激した細胞の培養上清中のレプチン濃度を、コントロールのレスベラトロールの代わりにDMSOのみを加えた培養上清中のレプチン濃度で差し引いた。 各レスベラトロール濃度刺激によるレプチンの分泌能を、皮下脂肪組織由来の脂肪細胞1症例について14日目までの経時変化を図1(縦軸:レプチン濃度(ng/ml) 横軸:時間(日))に示した。時間経過毎に培養上清中のレプチン濃度が増大し、レプチン分泌能は、50μMのレスベラトロールで刺激したとき最大であった。(実施例2)皮下脂肪細胞でのレスベラトロールのレプチン分泌作用 レスベラトロール刺激10日目における皮下脂肪組織由来の脂肪細胞4症例の平均レプチン分泌能の結果を、図2(縦軸:レプチン濃度(ng/ml)、横軸:レスベラトロール濃度(μM))に示した。レスベラトロール濃度に個人差がみられるものの、レスベラトロール50μMを中央値として、レプチン分泌能の亢進がみられた。(実施例3)内臓脂肪細胞でのレスベラトロールのレプチン分泌作用 また、レスベラトロール刺激20日目における内臓脂肪組織由来の脂肪細胞5症例の平均レプチン分泌能の結果を、図3(縦軸:レプチン濃度(ng/ml)、横軸:レスベラトロール濃度(μM))に示した。内臓脂肪組織由来の脂肪細胞の反応性は、メタボリックシンドロームにおいて特に重要な役割を担っている。ここで、内臓脂肪組織由来の脂肪細胞においても、皮下脂肪組織由来の脂肪細胞と同様に、反応レスベラトロール濃度に個人差がみられるものの、レスベラトロール50μMを中央値として、レプチン分泌能の亢進がみられた。 上記実施例1〜3の結果より、ポリフェノールであるレスベラトロールが、特に濃度50μMの刺激の際に、皮下と内臓脂肪組織由来のヒト脂肪細胞のレプチン分泌能を亢進させることを明らかとなった。(比較例1,2) ポリフェノール類であるピセタノール(Piceatannol)、ケンフェロール(Kaempferol)、レスベラトロール(Resveratrol)について、レプチン分泌作用を比較検討した。結果 内臓脂肪組織由来の脂肪細胞を1症例、皮下脂肪組織由来の脂肪細胞を6症例用いて実施例1〜3と同様の実験を行った。各ポリフェノールで刺激した細胞の培養上清中のレプチン濃度を、コントロールのポリフェノールの代わりにDMSOのみを加えた培養上清中のレプチン濃度で差し引いた。 ピセタノール、ケンフェロール、レスベラトロール刺激7日目における、皮下脂肪組織由来の脂肪細胞6症例の平均レプチン分泌能の結果を図4に、内臓脂肪組織由来の脂肪細胞1症例の結果を図5(縦軸:レプチン濃度(ng/ml)、 横軸:レスベラトロール濃度(μM))に示す。濃度は、マウス脂肪細胞株である3T3細胞で油滴の縮小効果が認められ、細胞毒性が認められない濃度で行った。即ち、ピセタノールを100μM、ケンフェロール60μM、レスベラトロール50μM)を基準に設定した。 皮下脂肪細胞における最大レプチン分泌濃度は、ピセタノール10μM刺激時には0.126ng/ml、ケンフェロール20μM刺激時には0.028ng/mlであり、レスベラトロール100μM刺激時には1.440ng/mlであった(図4)。 また内臓脂肪細胞において最大レプチン分泌濃度は、ピセタノール3μM刺激時には0.286ng/ml、ケンフェロール20μM刺激時には0.056ng/ml、レスベラトロール50μM刺激時には0.576ng/mlであった(図5)。 以上から、ポリフェノール類であるピセタノール、ケンフェノールと比較すると、特に本発明のレスベラトロールが、強いレプチン分泌亢進作用を有することを明らかである。 以上詳述したように、本発明の脂肪細胞からのレプチン分泌促進剤は、皮下脂肪組織由来及び内臓脂肪組織由来のいずれの脂肪細胞からもレプチンの分泌を促進した。 本発明の脂肪細胞からのレプチン分泌促進剤は、例えば肥満やその関連疾患及びそれらの症状を制御し、改善するための治療・予防剤として利用することができる。又は、脂肪細胞からのレプチン分泌促進剤を含む食品などの機能性食品として利用することができる。さらに、飼育動物やペットの餌にも利用することができる。本発明の分泌促進剤は、皮下脂肪組織由来及び内臓脂肪組織由来の細胞のいずれについてもレプチンの分泌を促進することから、特に皮下脂肪型又は内臓脂肪型の肥満のタイプに関係なく、効果的であると考えられる。各種濃度を変化させてレスベラトロール刺激したときの皮下脂肪細胞のレプチン分泌能を示す図である。(実施例1)レスベラトロール刺激による皮下脂肪細胞のレプチン分泌能を示す図である。(実施例2)レスベラトロール刺激による内臓脂肪細胞のレプチン分泌能を示す図である。(実施例3)各種ポリフェノール刺激による皮下脂肪細胞のレプチン分泌能を示す図である。(比較例1)各種ポリフェノール刺激による内臓脂肪細胞のレプチン分泌能を示す図である。(比較例2)レスベラトロールを有効成分として含有することを特徴とする、脂肪細胞からのレプチン分泌促進剤。 【課題】本発明は、脂肪細胞からのレプチン分泌を促進する新規なレプチン分泌促進剤を提供することを課題とする。【解決手段】ポリフェノールの一種であるレスベラトロールを脂肪細胞に直接作用させると有意にレプチンの分泌を認めた。特に、皮下脂肪組織由来及び内臓脂肪組織由来のいずれの脂肪細胞からもレプチンの分泌を認めた。即ち、レスベラトロールを有効成分として含有することを特徴とする、脂肪細胞からのレプチン分泌促進剤による。【選択図】図1


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